韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

プロデューサー最終話あらすじ&日本語訳 vo.3

   

キム・スヒョン、IU、コン・ヒョジン、チャ・テヒョン、出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサー」12話、いよいよラストです。

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テホCPがエレベーターに乗っていると、途中でスンチャンが乗って来た。
「おはようございます、部長」スンチャンがペコリとお辞儀をすると、テホCPがふっと頭を近づける。「昨日みたいにしろよ」

スンチャン「?」
テホCP「俺の頭撫でてさ」
スンチャン「僕がですか?」
テホCP「”テホ~!”ってさ」
スンチャン「…この機会に禁酒します!」
テホCP「出来るわけないだろ。これからも誰かが飲ませるだろうに。何度も失敗して何度も許してもらうしかない」
スンチャン「申し訳ありません」
テホCP「おぉ、そうだ。そうやってな」

「あ、そうだ」テホCPがふと思い出す。「ペク・スンチャン」

テホCP「この間の予告だけど」
スンチャン「はい」
テホCP「ずいぶんバカらしくはあったけど、面白かったぞ。うちの娘なんか”わーキモい”なんて言いながら笑ってたんだから」

エレベーターを降りていくテホCPを見送り、スンチャンは喜びを噛み締めた。

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スンチャン(インタビュー)「僕、正直、学生時代も誰かを笑わせたことなんかなかったんですよ。ジョーク本なんかを一生懸命覚えてみても、友だちは”寒い、やめろ”って。それなのに、知らない誰かが僕の作った予告を観て笑ったなんて、なんだかシビれるっていうか…。嬉しいです!」

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FD「PDさんは中毒になったんですよ。麻薬みたいなもんだ。頭がイカれたんです」

FDの言葉にスンチャンは考えを巡らせる。

FD「人を楽しませるってこと。拍手と歓声を貰うってこと」
スンチャン「そうなんですよ。だって、たったの30秒を一人が”面白かった”って言ってくれただけで胸がいっぱいなのに、そのうち自分の番組を作ったら、ホント…」
FD「祝福しますよ。だけど、これは体にいいもんじゃない。麻薬だって言ったでしょう?」
スンチャン「あぁ、健康に悪い?」
FD「気を全部吸い取られるまで終わらない」
スンチャン「…。」
FD「見てください。ここはそういう物が集まってる部屋なんです」

「あのブラウニーを見て」いつもの小道具部屋で、FDは向こうを指さした。「一時は大流行したでしょう?」
窓辺に置いてある犬のぬいぐるみを、スンチャンは振り返る。

FD「小さな子どものいる家で、ブラウニーのいない家は珍しかった。だけど、今は? 埃を舞い散らすただの綿ですよ」

「それから、このユニコーン」FDは自分の腰掛けているユニコーンの置物を叩く。

FD「前にあったでしょ?”体験暮らしの現場”」
スンチャン「あぁ」
FD「あの時、これに乗って天に昇ったら、照明がパッとあたって、スモークがわぁっと出て、皆が拍手して… カッコ良かったですよね」

※参考=체험 삶의 현장(体験暮らしの現場)←これは番組打ち切りのニュース。

FD「だけど、今は?遊園地の木馬以下です」
スンチャン「人気っていうのは落ちるものだから…」
FD「いつかはね。だから僕、ここへ来るうちに小道具を粗末にしなくなりました。なんだか胸が痛くて」
スンチャン「あぁ… そこまで考えていませんでした。ところで、FDさんはどうして会議に参加しないんですか?撮影にも来ないし」

FDは何も言わずにニッコリし、恥ずかしそうに頬を触った。

そこへブラリと入ってきたのはヒョングンだ。「おい、そこで何してんだ?」

スンチャン「あ、FDさんとちょっと話を」

ヒョングンは不思議そうに部屋を見渡した。「誰?」
驚いて振り返ったスンチャンが見たのは… 誰もいない空間だった。

#うんうん、途中から何となく変だと思ってたんだよねぇ。
ロケの持ち物とかあんなに詳しいのに何にも参加していないし、スンチャンとしか絡みがなくて、すごく浮いた存在だったから。

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「酒はほどほどにしろよな」会議室でイリョンが言う。

#あんなに嬉しそうに行かせたくせに

イリョン「幻覚見てどーすんだ」
ハンナ「でもね、自分はテレビ局に勤めてるんだって言う詐欺師がときどきいるでしょ?偽造した入場証で出入りして。そういう人じゃないの?」
スンチャン「…。」
ヒョングン「そういうのじゃないなら… オバケだ」

おどけるヒョングンをハンナが叩く。
会議室に笑いが起きた。
その途端、ゴロゴロと雷がなる。

スンチャン「や、やめてください、先輩!」

「話もしたのか?」黙っていたジュンモが口を開いた。

スンチャン「…はい」
ジュンモ「メシも食って?」
スンチャン「…はい」
ジュンモ「公園にも行ったのか」
スンチャン「…。」
ジュンモ「だけど、いつもお前と二人きりだったんだな?」

スンチャンの中で恐怖がみるみるうちに膨れ上がる。「…。」

「わぁ!!!」ジュンモがいきなり大声を上げ、テーブルに身を乗り出してスンチャンの手を握った。「お前!出世するぞ!」

ジュンモ「お前、そりゃ有名なテレビ局の幽霊と会ったんだ。いやぁ、こりゃ凄いぞ!」

キョトンとしたまま、スンチャンは皆に拍手される。「…。」
彼は今までFDに教えてもらって書き取ったメモを、神妙な顔でめくった。

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スンチャン(インタビュー)「僕、全てのことには原因と結果が存在すると考えていて、かなり科学的な人間なんです。先輩はみんな僕がまぼろしを見たとか、疲れてるとか、家に帰りたくて芝居してるんだって… しまいには将来を占ってほしいなんて言う人もいるけど、僕は絶対幽霊を見たんじゃありません」
インタビュアー「それなら…何ですか?」
スンチャン(インタビュー)「… 妖精?放送局の妖精?そのほうが語感がいいでしょう?妖精、ティンカーベル」

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ホンスンはそっと事務局を覗いた。
コ・ヤンミが目にも留まらぬ勢いでキーボードを叩いている。

「僕のメッセージ、お返事がないですね。一度の失態で…あんまりです」ホンスンはメッセージを送り、再び彼女を見守った。

メッセージの着信音が鳴ると、ヤンミはチラリと携帯を覗き、そのまま裏返すと、指で向こうへ弾く。
そこへテホCPがやって来て、ホンスンをつついた。「お前、今から夜中まで時間あるか?」

ホンスン「何だよ」
テホCP「お前、俺にめちゃくちゃ感謝するぞ」
ホンスン「何のことだ?」
テホCP「今晩、局長が社長と食事をされるんだ。誰を連れて行こうかって言うから、お前を強くプッシュしておいた」
ホンスン「ホントか?!」
テホCP「お前、今日ホント上手くやれよな」
ホンスン「もちろん!」

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ホンスンは張り切って車を走らせていた。
後ろに乗っているテホCPが局長に言う。「ホンスンは接待にかけちゃ芸術的なんです。プロですよ、プロ」

局長「社長は気難しいからなぁ。いつまでも根に持つし、最近は予算のことで責められて機嫌が悪いんだ」
テホCP「ホンスンにお任せください」
局長「そうだな。社長は酒がお好きだから」
ホンスン「僕の接待人生のピークだと思って、今日は最善を尽くします!」

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「社長!」末席で正座し、ホンスンはニコヤカに挨拶をした、。「こんな光栄な席に私を呼んでくださり、心から御礼申し上げます!」

社長「いやいや、楽に座りなさい。そんなに固くならないで」
テホCP「キム・ホンスンPDは随分運動しているので、体がガチガチなんです」

皆が調子を合わせて笑う。

テホCP「お見せしろ、ホンスン」

「お恥ずかしいですが」ホンスンは社長の隣へ行き、腕を差し出す。
社長がホンスンの二の腕を触り、唸った。「鍛えてるなぁ」

社長「これだけ筋肉、一日二日運動したって出来るものじゃないぞ」
皆「(笑顔)」
社長「芸能局は楽なんだな」
ホンスン「!」
テホCP「!」
局長「!」
社長「体を作る時間がたっぷりあるらしい」

そこへ店員がトングやハサミを運んでくる。

ホンスン「私がやります!」

ホンスンが店員から道具を受け取った。
「ここは私のテリトリーです!」ホンスンの目が光る。

そこからはまさに芸術だ。
芸術的に肉を焼き、芸術的にドリンクを作る。
まさにホンスンのワンマンショーだった。

彼は紅参の粉末を飲み物に溶いた。「社長のお身体は社長お一人のものではないことをお忘れなく」

ホンスン「紅参酒です!どうぞ」

酒を注いだところで、ホンスンの携帯の着信音が鳴った。

ホンスン「あ、申し訳ありません。切っておかないといけなかったのに」
社長「いや、構わんよ。(皆に)彼は大物だなぁ」

ホンスンは携帯に届いたメッセージを開く。

ヤンミ(メッセージ)「30分差し上げます。運命の30分ですわ。その間にいらっしゃらなければ、私たちの縁は本当に終わりです。場所はあのときのトッポッキの店」

ホンスン「!!!」

社長がグラスを差し出した。「キム・ホンスンPD、一杯受けなさい」

ホンスン「あの…」

ホンスンは深刻な顔で社長を見つめた。「私、どうかしてしまったみたいです」

社長「?」

「申し訳ありません!」ホンスンは駈け出した。

#全く迷わなかった!本能で決めたぞ。やるなぁお前!

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ホンスンが大急ぎで駆け込んでくると、まだそこにヤンミはいた。
彼は呼吸を落ち着け、向かいの席に腰を下ろす。

ヤンミ「1時間経ちました。期限切れですわ」
ホンスン「江南からここまで1時間で来たんだから奇跡ですよ。何を放棄して来たか知ったら、僕にそんなこと言えませんよ」
ヤンミ「何を放棄したんです?」
ホンスン「(溜息)知らなくていいですよ。僕に悪いと思うはずだから」
ヤンミ「?」

「すみません、ご飯ください」ホンスンが手を上げる。

ホンスンは運ばれてきた締めのご飯と調理具を手に取ると、真剣な顔で彼女を見た。「僕がやります。これは僕のテリトリーだ」
と、その途端、思い切りプレートにご飯をぶちまけ、葉野菜をはらはらと散らし、豪快にかき混ぜた。

ヤンミ「!!!!!」

「どうぞ」彼女が受け取ったのは、世にも美しいハート型のチャーハンだ。

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ホンスンはクールに溜息をついた。「俺の接待人生のピークを、ここで迎えるとはな」
「…。」皿を持つヤンミの手が、興奮に震えた。

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ホンスン(インタビュー)「すでに後悔してますよ。あの瞬間、どうかしてたんだ。我に返ってみたら、局長も吹っ飛んで… 社長も吹っ飛んで…。コ・ヤンミが残ったのは確かだけど、別に社長の娘でもないし」

ホンスンは局長に電話を掛けた。
留守番電話サービスの声が流れるだけだ。

ホンスン(インタビュー)「局長、僕の電話を拒否なさってる」

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イェジンはマンションに管理人に出会った。「こんばんは」

イェジン「そこの街灯が点いて、すごく助かります」
管理人「もともと順序があってね、向こうの方から点けることになってたんですけど、要望がたくさんありましてね」
イェジン「要望ですか?」
管理人「えぇ、いやね、朝から晩までどれだけ電話してきたことか。管理室だけじゃない、役場も随分困らせたようですよ」
イェジン「ここの住民ですか?」
管理人「いえ、住民でもないようでね。それなのに一体どうしてなのか」
イェジン「あぁ、そうなんですか」
管理人「それで、何をしてる人なのかって聞いたら、どこかのテレビ局のPDだって」
イェジン「!」
管理人「カメラでも持って来られちゃ困るから、ここからやってやろうってね」

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イェジンは屋上にスンチャンを呼び出した。

イェジン「ペク・スンチャン」
スンチャン「はい」
イェジン「よく聞いて。私はあんたの先輩で、あんたは私の後輩よ。そうよね?」

「はい」スンチャンは素直に頷く。

イェジン「二人の間であれこれあった個人的な出来事のせいで、あんたとギスギスしたくないの」
スンチャン「僕も同じです」
イェジン「それなのにどうして?」
スンチャン「え?」
イェジン「よく聞いてね。あんた、PDとしてやっちゃいけないことをしたわ」
スンチャン「?」
イェジン「最悪よ」
スンチャン「え?僕が何を?」
イェジン「あんたのお陰で解決はしたわ。灯りが点いたのよ」
スンチャン「灯り?どこに…?」
イェジン「もちろん住民のための設備だから、要望を出したり抗議したり、それもいいわよ。だけど、どうしてPDだなんて言ったの?あんたどこでそんな悪いこと覚えたのよ?」
スンチャン「…。」
イェジン「あんたはまだ持ってもいない職権を乱用したのよ」
スンチャン「先輩、何をおっしゃってるのか…」
イェジン「カメラでも持って行くって、そんな言い方したの?カメラ持って行ってどうするのよ?撮影でもするつもり?」

「…。」スンチャンは冷静に考えを巡らせた。「ひょっとして…」

スンチャン「この間、街灯がついていないっておっしゃってたことですか?」
イェジン「そうよ」
スンチャン「あぁ、街灯がついたんですか?」
イェジン「…うん」
スンチャン「誰かが要望を出したって?」
イェジン「……うん」
スンチャン「その人がPDだって言ったんですか?」
イェジン「そうよ」
スンチャン「僕じゃないですけど」
イェジン「あんたじゃないの?」
スンチャン「はい」
イェジン「あんたじゃなきゃ、誰かな?」

「!」二人は顔を見合わせた。

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芸能局に戻ってくると、イリョンと楽しそうに談笑しているジュンモを、スンチャンはじっと見つめた。

ジュンモ「?」
スンチャン「…。」
ジュンモ「お前、ときどき人のこと変な目で見るよな。何なんだよ?」

「…何でもありません」スンチャンはポツリと答え、自分のデスクに向かう。
イリョンが編集室へ向かうと、ジュンモはスンチャンに向かって声を潜めた。「なぁ、ペク・スンチャン」

スンチャン「はい」
ジュンモ「いいニュースがある」
スンチャン「何ですか?」
ジュンモ「俺たちひとまず生き残ったぞ」
スンチャン「!」
ジュンモ「視聴率がちょびっと上がったのもあるし、シンディのお陰もある」

「お前の予告のお陰もあるしな」そう言って、ジュンモはニッコリ笑った。

スンチャン「ありがとうございます」
ジュンモ「今度の予告もお前が作れよ。俺はまた手を付けないから、お前が責任をもつんだ」
スンチャン「わかりました」

「OK」ジュンモが立ち上がった。

スンチャン「…先輩」
ジュンモ「何だ?」
スンチャン「先輩は、イェジン先輩とどうしてこんなに長く一緒にいられたんですか?」
ジュンモ「…。」

2092

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「え?」インタビューのカメラの前で、ソン・へ氏は元気に訊き返した。

ソン・へ(インタビュー)「長寿になる番組が最初からわかるかって?そんなのわかりませんよ。長寿番組ってのはねぇ、最初から長く続くかどうかなんて思いもせずに、一度ピンチヒッターで出てみようかな、上手く行かなきゃやめりゃいいさ、そんな感じで出掛けた番組が長寿になるケースが多いんです。30年も40年も前から、これは長く続くぞなんて、そうやって始まった番組なんてありません。全国のど自慢だってそうですよ。始まった頃は、郡単位で出かけていましたからねぇ、我が国には郡が230あるから、2年もすれば終わると思ってたのに、いやぁ、行き先がどんどん増えたでしょう?人の縁だってそうじゃありませんか?そうとは知らずに結んだ縁が長く長く続く、そんな縁が周りにはたくさんあるでしょう?そんなもんですよ」

2093

#あーもう素敵すぎる 途中からボロボロ泣いてた
なんだろうね、この方の発するパワーは。見てると幸せが湧き上がってくるのよ。

#スンチャンがジュンモに投げかけた疑問に、ソン・へさんのインタビューが代わりに答えているんですね。
とても味わいのある回答であり、おしゃれな構成ですが、スンチャンの疑問がちょっと唐突でしたね^^;

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『僕も知らずにいた。この春… こんな短い間に、僕にどんなことが起きるのか。
雨が降っていたあの夜、学校で学んで来た数多くのことが、何も役に立たないことに気づき、
ここへ来たのは人生最大の失敗だったと思った』

2094#ユン・ヨジョン先生に降板を告げに行った日、梅茶を抱えて局を出るところですね。

 

『今日終わるのか、明日終わるのかもわからずに僕の生気を奪う、あのはらはらする緊張感。
その中で僕は毎夜考えた。
”今日だけやってみて、ダメならやめよう”
”明日だけやってみて、ダメなら逃げ出そう”
そうやって今この瞬間の足元だけを見て、一日一日を耐えしのぐ間、
春は誰にも公平に過ぎて行った』

2095

『あたりまえだと思っていた存在について、もう一度考える時間を与えられた者もいれば、
またある者は一人で生まれ変わるため、手にしていた多くの物を手放した』

2096

『憎しみが愛に変わるという、稀にみる奇跡を体験した者たちもいれば、
またある者は、長く続いた大切なものを守りぬくため、日夜努力を続けてた』

2097

~12 長寿番組の理解 始まりを忘れない~

『そうやって流れていく季節の中で、僕は”始まり”を忘れないようにしようと思う。
もうすっかり遠くなったように思える、僕の”始まり”。
この世で一番役立たずに思えた自分に今日だけ耐え忍んで、明日からはそんなふうに危なっかしかった自分を忘れないでいよう』

2098

『そうなるとは知らずに始まった縁。
その愛のために幸せだったこの春を忘れないでいよう』

2099

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夜中にジュンモの電話が鳴り出した。
寝ぼけまなこで電話を探り当てると、彼は耳の上にそれを乗せた。「…もしもし」

「ジュンモ~、うちにデッカイ蚊がいるの!」イェジンの声が聴こえる。

ジュンモ「…ん?」
イェジン「近くに山があるからかなぁ、めちゃくちゃデッカイ蚊が」
ジュンモ「どうしろってんだよ」
イェジン「捕まえてよ。あんたがくれた電気網で捕まえようとしたんだけど、全然見えなくて」
ジュンモ「ふざけんなよ。蚊を捕まえに京畿道まで来いって?」
イェジン「2箇所も刺されたんだから」
ジュンモ「吸わせてやれよ。ヤツらだって生きなきゃならないんだから」
イェジン「ホントに来ないつもり?」
ジュンモ「行くかよ」

「切るぞ」電話を切り、ジュンモは再び眠りに落ち…

…ない!

「あー!ムカつく!」泣きそうになりながら、彼はモゾモゾと靴下を履いた。

ジュンモ「蚊を捕まえに京畿道まで行くなんてあり得ねぇ…」

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車を走らせながら、ジュンモはまだまだ盛大にボヤき続けた。

ジュンモ「だから汝矣島にいろって言ったのに、結局押し切りやがって。俺ばっか大変じゃないか!」

そうやって進むうちに、ジュンモは先に見えてきた人影に目を凝らした。「あれ?」
イェジンがじっと立っているのが見える。
彼女のマンションへと続く歩道の入り口に、ジュンモは車を停めた。

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「ここで何してんだ?」車を降りると、ジュンモはキョトンとして言った。
「どう?」イェジンは後ろに灯っている街灯を指す。「明るいでしょ。ちゃんと点いてるでしょ」

ジュンモ「うん、まぁ、そうだな」
イェジン「誰かがしつこく要請したんだって」
ジュンモ「ふぅん、そうなのか?」
イェジン「うん。自分のことPDだって。PDの権力を利用して、黙ってないぞ、カメラ抱えて追い回すぞってね」
ジュンモ「おい!俺は言ってないぞ!」

イェジンがニヤリと笑う。

ジュンモ「何してる人だっておじさんがエラく訊くもんだから、PDだって答えただけだ!」
イェジン「ふふふ」
ジュンモ「!」
イェジン「やっぱりあんたね」
ジュンモ「あぁ、そうさ!俺だ!そんなこと訊くために、こんな夜中に人を…!蚊がどうだとか全部ウソだろ」
イェジン「今そんなことどうでもいいのよ」
ジュンモ「?」
イェジン「だらしなくて、ねぼすけで、自分勝手なあんたが、私の電話一本でここまで来たのよ」
ジュンモ「…。」
イェジン「何で来たの?」

「…。」ジュンモはドギマギして視線を逸らした。

イェジン「何で街灯つけろってしつこく要請したのよ?」
ジュンモ「…。」
イェジン「はぁ、言わないなら帰るわよ」

クルリと背を向けたイェジンを、ジュンモが慌てて止める。
「待てって!」彼女を追い越し、彼は前に立ち塞がった。

イェジン「…。」

ツンと澄ました彼女の前で、ジュンモはふぅっと息を吐き出した。「タク・イェジン、よく聞け」

ジュンモ「学校に行ってた頃、お前はすごく勉強ができたから、俺は大変だった。お前と同じ大学に… 行かなきゃならないから」
イェジン「…。」
ジュンモ「お前がいきなりテレビ局のPDになるって言うもんだから、それだって面倒くさかったんだ。性に合わない小論文の勉強もやらなきゃいけないから」
イェジン「…。」
ジュンモ「面倒くさくても、辛くても、俺はお前の後を追いかけたんだ。だけど、人生半分以上お前のこと追い回しても、わからなかった。俺がお前のこと追いかけてるのが、習慣じゃなくて… 愛だったって」
イェジン「…。」
ジュンモ「俺たちが中途半端につき合いだしたとして、だらしない俺にお前が耐えられなくて別れることになったらどうしよう… それでずっと言うのを躊躇ってた」
イェジン「…。」
ジュンモ「それでも… どこにも行かずに俺のそばにくっついててくれて… ありがとうな」

2100

「…。」じっと聞いていたイェジンが小さく笑みを浮かべる。
ジュンモが不器用に… そして温かく彼女を抱きしめた。
彼の腕の中で、イェジンの目に涙が滲んだ。

2101

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朝。

局の駐車場にスンチャンの車が入ってくる。
停めるところを探し、彼は奥へ進みながらキョロキョロと辺りを見回した。

車を停め、運転席から出て来たシンディは、後ろに置いた荷物を取り出そうと、後部座席を覗きこんだ。
そこへ、ちょうどスンチャンの通りかかるのに気づき、シンディはハッと顔を上げる。「あっ!ペク・スンチャンPD!」

スンチャン「あ…」

思いがけず彼と出くわし、シンディは嬉しそうに微笑んだ。

2103

スンチャン「どうして一人で…?」
シンディ「あぁ、えっと… マネージャーがバスで向かってるんですけど、混んでるんですって」

シンディはぎこちなくそう答える。

スンチャン「(ニッコリ)」
シンディ「個人事務所だから、まだ慣れなくて…」
スンチャン「えぇ」

スンチャンの前で、シンディは照れくさそうに髪を直す。
「シンディさん、ファイト♪」スンチャンが明るく拳を突き出した。

2102

シンディは思わず苦笑いし、拳を返す。「えぇ、サンキュー」
「では」スンチャンがペコリと頭を下げ、背を向けた。

シンディ「ジャンケンしません?」
スンチャン「え?」

シンディは後部座席の荷物を指さす。「荷物持ち」

スンチャン「あぁ、僕は荷物ないんだけど」

シンディは茶目っ気たっぷりに笑った。「私、チョキ出しますからね♪」

シンディ「出さなきゃ負けよ、じゃんけんぽん!」

シンディの笑顔が…

…消えた。

シンディ「PDさん、勝つ気まんまんですね」
スンチャン「…。」
シンディ「いいですよ、勝負は勝負だから。いつかは勝つ日が来るでしょ」

プイッとそっぽを向いたシンディに、スンチャンがふっと笑う。
「行ってください」そう言って、シンディは荷物に手を伸ばした。

何やらニヤニヤと眺めていたスンチャンは、彼女の方へ近づいていくと、黙って荷物を取り出す。
突然荷物と自分の間に分け入ったスンチャンに、シンディはハッとして身を起こした。「!」
彼は両手に荷物をひょいと持ち、涼しい顔で歩き出す。
しばらく歩いたところで、彼は楽しそうに笑った。

シンディ「一緒に行きましょうよ!」

すっかり初夏を迎えた眩しい日差しの下、二人は並んで歩き出した。

2104

#空気読まずに言いますが、ヒトデ?

♪♪♪

どこかで私を呼んだみたい
しばらく振り返ってみたけれど
通り過ぎていった人々の中
あなたの顔は私の中にある

私を抱いて囁く 今はもうあなたの腕の中

愛してる あなたの全て まるで時間がとまったみたい
覚えていて あなたの瞳の中に 胸をときめかせる私がいる
♪♪♪

+-+-+-+

【エピローグ】

ジュンモ(インタビュー)「3ヶ月時間を稼いだんだから、秋までに勝負をかけなきゃ。前とは変わったって言葉も最近はよく聞くんですよ。えぇ(ニコニコ)」

「アイディア出せって!」インタビューで余裕を見せたものの、ジュンモは会議で癇癪を起こしていた。

ヒョングン「PD特集」
ジュンモ「お前が責任とるのか?失敗したらどうすんだよ!」

ジュンモ(インタビュー)「もう優柔不断は卒業して、確信を持ってオールイン!まぁそんな感じで(ニコニコ)チームのメンバー同士で信頼も厚くなった気がするし、はぁ、いい予感がするんです!(ニコニコ)え?イェジンと?あぁ~僕たちはまぁ、すごく上手く行ってますよ。…あ、ちょっと待った。ちょっと慎重に行きましょう。こういうのが資料として残るのは、どう考えてもちょっと。先のことはわからないんだし」

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イェジン(インタビュー)「人はどうして自分の家に拘るのか、家を持ってみてわかりました。人生がちょっと変わった気分?レベルアップした気分?」

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そういうイェジンも、毎日渋滞に巻き込まれてイライラを募らせていた。「毎朝帰省ラッシュだわ!」

イェジン(インタビュー)「別の名前で保存し直すのと同じような概念なんだけど、もともといた友だちを再活用で彼氏にして。たくさん手に入れて余裕が出来た気分?何かあってももう軍鶏みたいに衝突することもないし、流れる水のように受け入れるっていうか?」

彼女の電話が鳴った。「もしもし」

イェジン(電話)「局長のオーダー?ははは、何とんでもないこと言ってるんですか、ダメです!私、そんなお粗末なステージOK出来ませんから!だって、オーダーも何も…!」

興奮したところでカメラを思い出し、彼女は気を取り直した。「後で話しましょ(ニコニコ)」

+-+-+-+

シンディ(インタビュー)「個人事務所なんて言ったって、前と変わりませんよ。新人なら困ることもあるだろうけど、私はシンディだから」

カメラにニッコリとスマイルを向け、彼女はチラリと運転席を見る。「ねぇ、ちょっと!」

シンディ「インタビュー中なのにエンジン吹かしてどうすんの!地面見てみなさいよ!油まみれだわ」

マネージャーを叱り飛ばし、彼女は再びニッコリとカメラに笑い掛けた。

シンディ「飛び出してみたら、世の中そんなに簡単にいかなくて。その中でも一番手ごわいのは… ペク・スンチャンだけど」

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「おっ」携帯を覗いていたスンチャンが声を上げた。

スンチャン(インタビュー)「今、僕の作った予告が検索ワード8位に上がったんです」

そう言って彼が差し出した画面には、リアリタイム検索ワードランキングの8位に【一泊二日 予告編】とある。

※ちなみに4位に【シンディ】が

スンチャン(インタビュー)「前は6位まで上がって、キャプチャ撮っておいたんですよ。これで人気を計るわけじゃないですけど、こんなにたくさんの方々が気に入ってくださって、予告界のポン・ジュノだ、パク・チャヌクだって、そんな賞賛も…(ニヤニヤ)勿論、僕にはもったいないことですけど、胸にしっかり刻んで…」

2106

彼はふと向こうを見上げた。「はい?領収書がないんですか」

スンチャン「あれ?全部僕が立て替えたのに」
ジュンモ「おい!領収書の処理も出来ないのかよ!お前それでもPDか!!!」

「ちょっとすみません」カメラに断り、スンチャンは立ち上がった「先輩」

スンチャン「あははっ」

【 完 】

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これでプロデューサ全12話、終了です。

ずっととても楽しく見てきましたが、最終話だけはかなり消化不良が残りました。

キャラはどうしたって皆ホントに魅力的です。
きっと脚本家さんの頭の中で、もう彼らは勝手にイキイキと喋ってくれるんでしょうね^^

だけど、シーンはブチブチ切れて、あっちこっち行ったり来たり、知りたい部分がウヤムヤのままだったり。
じっくり描いてあった田舎ロケあたりはとても見応えがあり、大満足ですが、「あぁ、脚本家さん、この辺をギリギリまで悩んでたのかな」という迷いがところどころに感じられました。
ただ、不完全燃焼になっている部分が、解決しないまま私の中に残り、それが余韻として続くことだろうと思います。

※私は訳しながら見ているので、通して見れば印象も変わるかもしれません。私個人の感想として読んでくださいね^^;

さて、毎回とても長い記事になりましたが、最後までお付き合いくださった皆さん、本当にありがとうございました。
最終回は106分にもなり、それこそウンウン唸りながら訳しましたが、それでも時にはゲラゲラ笑い転げながら、ボロボロ泣きながら、楽しい作業でした。
また、何か素敵なドラマでお会いしましょう♪

yujina

2107

#↑うちにいる仲良し兄弟にそっくりで、思わず吹き出しました^^

 

 - プロデューサー