プロデューサー3話あらすじ&日本語訳 vo.3
キム・スヒョン、IU、コン・ヒョジン、チャ・テヒョン、出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサー」3話、終盤です。
他のドラマでもそうなんだけど、ヒョジンさんがときどき(←失礼ごめんなさい!)ふとすごく綺麗に見えるのがツボ。
彼女にはときどきハッとします(笑
+-+-+-+
すっかり朝になり、会議室の外ではいつものように各チームが動き出している。
会議室の中は完全に空気が停滞していた。
「他のメンバーも、ハニの代わりが誰だかわからないと出演は確定出来ないって」渉外担当のハンナが口を開く。
ジヨン「雲行き次第で抜けるつもりね」
イリョン「この調子じゃ本当に打ち切りになるんじゃないか?」
頭を抱えていたジュンモが顔を上げる。「みんな、誰かキープしてた人はいないのか?」
全員「…。」
ジュンモ「急ぎの時に助けてくれる芸能人、みんな一人ずついるだろ」
スンチャンが皆を順に見比べる。
「実は、先輩」口を開いたのはイリョンだ。
イリョン「さっきから何度も電話が入ってはいるんだけど」
ジュンモ「(身を乗り出し)誰?」
イリョン「…ホン・ギョンミンです」
全員にガッカリした空気が流れる。
イリョン「自分が代打で出るって」
ジュンモ「男じゃないか。ポシャったのは女なのに。しかも既婚者が恋愛バラエティに出るって?頭おかしいのか?!」
イリョン「奥さんが許可なさったそうですよ、何とかしてやれって」
「あの、ひょっとして…」スンチャンが口を開いた。「シンディはどうですか?」
「…。」皆の視線がゆっくりと彼に集まる。
ジュンモ「シンディ?俺たちの知ってる、あのシンディか?」
スンチャン「…はい。イマイチですか?」
ジュンモ「イマイチなわけあるか!いいに決まってるだろ。最高だ」
「みんなどうだ?シンディいいだろ」ジュンモの声に、皆の顔も明るくなり、一気に場が盛り上がった。
ジュンモ「そうだ。何で俺たちシンディがいるのに気づかなかったんだ?(スンチャンに)シンディに電話して、訊いてみろよ。一泊二日にハニの代打で出てくれないかって」
スンチャン「僕が訊いてもいいんですか?」
ジュンモ「訊いてみろ。お前が言い出したんだから。上手く行ったら、何でもお前の言うとおりにするさ」
思わず皆から笑いが漏れる。
「…。」スンチャンは黙ったまま口唇をギュッと噛んだ。
+-+-+-+
廊下を歩きながら、スンチャンは携帯の連絡帳を開いた。
開いた連絡先は…「傘返却」
発信ボタンを押したそのとき、エレベーターから降りてきたイェジンが彼の肩を叩いた。
スンチャン「!」
イェジン「私のデスクに来て。お金返すから」
スンチャンは電話を切り、イェジンに続いた。
+-+-+-+
「ラ・ジュンモPDは何してるの?」デスクの椅子に腰を下ろし、イェジンはスンチャンを見上げた。
スンチャン「局長と会議中です」
イェジン「徹夜したの?ここで」
スンチャン「はい。出演者がダメになって」
「そうだったのね」イェジンは頷いた。「あんたも疲れたでしょうね」
スンチャン「あ、大丈夫です」
イェジン「お~、逞しいわ。新入りはそうでなきゃ」
「気に入ったわ」そう微笑んで、イェジンは財布に手を伸ばす。「ほら、5万ウォン」
「ありがとうございます」スンチャンは丁寧にそれを受け取った。
イェジン「また有難い?それじゃ、ホットック買って来てよ。朝、食べられなくて腹ペコだわ」
スンチャン「!」
イェジン「ホットックを買う時はね、5個は緑茶ホットック、5個はプレーン。OK?」
スンチャン「…はい」
「Go!」合図をされ、スンチャンは反射的に駆け出した。
+-+-+-+
「いい知らせと悪い知らせがあるんだが、どっちから聞きたい?」局長をはさみ、テホCPがジュンモに言った。
#こんな超定番の言い回し、久し振りに聞いた(笑
ジュンモ「(グッタリ)いい知らせもあるんですか?」
テホCP「社長はもともとハニがあまりお好きじゃないってさ」
ジュンモが皮肉な笑いを浮かべる。「そりゃ良かった」
ジュンモ「悪い知らせは?」
~~~~
社長「こうなったからにはスジくらいキャスティングなさい。あるいは、シンディとか」
#1話で出て来たけど、一泊二日にMiss Aを呼ぶって話があって、ミューバンとスケジュール調整さえ出来れば済みそうな感じでしたよね、そのときは。よく知らないけど、単発でちょこっと出るようなこともあるのかな^^
~~~~
ジュンモが顔を上げる。「そんなトップスターがうちの番組出るわけないでしょ!しかも代役なんだから」
局長「その一言を社長の前で言えなかったんだよ、ジュンモ」
ジュンモ「ダメですって!出来る話をしなきゃ」
テホCP「やってもみないで言うなよ」
「ありゃいつのことだっけな?」テホCPが続ける。
テホCP「正月番組にカン・ホドンをキャスティングしたくて、零下12度の中SBSまで行った。ホドンが”夜心萬萬”をやってる頃だ。中へ入らずに、わざと外で待ってたんだ。俺は寒いと鼻が真っ赤になるんだ。なるべく可哀相に思わせようと思ってな」
「私はね」局長も負けずに始めた。
局長「CPの頃、ジェソクが”Happy Together”の収録の日、ほら、撮影してる新吉洞の銭湯、あるだろ?あそこは狭くて、スタッフが全員入れなかったんだ。俺は夜明けから収録が終わるまで銭湯の前に立って待ってたんだぞ」
#完全に話がすり替わってる(笑
局長「(ジュンモに)出演交渉っていうのはな、もともと楽なものじゃないんだ」
テホCP「お前、パク・ジニョンと仲良かったろ。あいつのビニールパンツに穴が開いた時、お前がすかさずテープで貼り付けて、お前にエラく感謝してたじゃないか」
ジュンモ「とっくの昔の話だろ」
テホCP「それでも、とにかく行ってトライしてみろって。ズボンの裾でも掴んで頼むんだ」
「あぁ、何てツイてないんだ、俺は」ジュンモがうなだれる。「分かりましたよ」
ジュンモが出て行くのを見届けると、局長はテホCPを振り返った。「ところで、君」
局長「あの時カン・ホドンはキャスティング出来なかったんじゃ?」
テホCP「えぇ。局長はジェソクをキャスティング出来たんですか?」
「出来なかったさ」局長が微笑む。「けど、断り方が礼儀正しかった」
テホCP「行ったからって全部上手く行くわけじゃないですよねぇ」
+-+-+-+
スンチャンの父はKBSのすぐそばにいた。
「うちの息子はソウル大を卒業して、KBSに入ったんですよ」ホットック屋台の主人を相手に誇らしげに語る。
スン父「国営放送局のPDです。元々は検事になるつもりが、PDになったんです。かえって良かったですよ」
屋台の主人はホットックを焼きながら、客の自慢話に耳を傾ける。
スン父「PDとは何か?番組全体を陣頭指揮しつつ、多くの出演者たちとスタッフたちをリードして尊敬されながら…」
そこへ若者が一人飛び込んでくる「10個ください」
スンチャンだ。
スン父「?」
「緑茶のを5個、プレーンを5個」父に気づかず、スンチャンは手早くホットックを注文した。
スン父「スンチャン」
スンチャン「あぁ、父さん」
スン父「何でここに?」
スンチャン「ホットックを買って来るように言われて」
「…。」父は気まずそうに店主をチラリと見る。「おぉ、そうか!」
スン父「下の人にやらせてもいいのに、わざわざお前自ら!」
「立派だ」父は大げさに言い、息子の肩を叩く。
スンチャン「僕が一番下ですけど」
スン父「…。」
ホットックを受け取った時、スンチャンの電話が鳴り出した。
発信者は…「傘返却」!
「父さん、先に行きますね」スンチャンは急いで店の前を離れた。
店主「息子さんですか?ソウル大を出て検事にならずにPDになったっていう?」
「あぁ、えぇ」スンチャンの父は苦笑いを浮かべた。
スン父「それはそうと、私は前職の永登浦区長として、民生をこうして調査しているところなんですがね、最近、永登浦の暮らしはどうです?」
店主「私は西大門に住んでるんですよ」
スン父「あぁ…そうですか」
+-+-+-+
「もしもし」スンチャンは桜の花の下を歩きながら電話を取った。「ペク・スンチャンです」
「傘を貸してくれたPDさんでしょ?」電話の向こうからシンディの声が聴こえる。
シンディ(電話)「返してくれって電話なさったんですか?」
スンチャン(電話)「まだ返していらっしゃらないんですか?」
シンディ「…。」
スンチャン「今朝9時までに返してくれなきゃいけなかったのに。今日の延滞料は僕の給料から引かれますね…」
「後でお渡ししますから、延滞料」シンディは完全に呆れてそう返した。
スンチャン「払ってくださるんですか?僕に?」
シンディ「えぇ、傘も延滞料も返しますから」
「あ、それって…」スンチャンがニヤリと笑みを浮かべる。「今いただけませんか?」
シンディ「え?ダメですよ、今リハーサル中なんです」
「ここに来るって?」予想外の展開に、シンディが驚く。
彼女は不思議そうに電話を見つめた。「変な男」
「誰?俺がカタつけるぞ」そばにいるマネージャーが思わず尋ねる
シンディ(電話)「ここがどこかって言うと…」
スンチャン(電話)「…はい!今すぐ行きます!」
スンチャンは大喜びで桜並木を駆け出した。
+-+-+-+
ジュンモはJYP事務所を訪れていた。
「突然ご連絡いただいたので、少し驚きました」出迎えたスタッフが笑顔を見せる。
ジュンモ「そうだよな。大丈夫か?代表、お忙しいんじゃないかな」
スタッフ「代表は今運動中なんです。お待ちいただく間、我々が社内をご案内しますよ」
「俺もそうしたいんだけど、時間がね」廊下を進みながら、ジュンモが時計を覗く。
スタッフ「1時間のロングコースと、20分のショートコースがあるんですが、ショートコースでご案内しましょう」
「さぁ、こちらへ」スタッフは慣れた様子で、ニコヤカに彼を誘導する。
+-+-+-+
スンチャンはシンディの楽屋で彼女の前に座っていた。
シンディのそばでマネージャーが怪訝そうに彼を様子をうかがう。
シンディ「本当にタンヒョンまで傘を受け取りにいらっしゃるなんて」
スンチャン「それも兼ねて、お話しすることがあって」
シンディ「どうぞ。聞いてみるわ」
「シンディ」マネージャーが口を開く。「こちらはどなたなんだ?」
シンディ「言ってたでしょ。夕食を買ってくれた一泊二日のPD…」
スンチャン「?」
マネ「違うけど?それはラ・ジュンモPDだよ」
スンチャン「あ、僕の先輩です」
シンディ「…。」
「ところで、それは?」シンディはスンチャンが両手で大切に抱えているビニール袋に視線を落とした。
スンチャン「あぁ、これはホットック…」
シンディは苦笑いして、手を差し出した。「いただきます。せっかくだから」
スンチャン「あぁ、これはダメなんです!」
シンディ「…。」
スンチャン「これは別の方のお使いで。つまり、持ち主は他にいるんです」
シンディ「(呆)何なの?いっぱい入ってるみたいだけど」
スンチャン「言われた数どおりに買ったので。緑茶が5個、プレーンが5個…」
#あはは 一体何言ってんだか~
シンディ「…。」
シンディの表情がガッカリしたように見えて、スンチャンはふと不安になった。「今度は必ず持って来ますから」
シンディ「結構です。ただ言ってみただけだから」
マネ「俺が買ってやろうか?」
シンディ「いいってば!」
「ちょっと出てて」シンディはマネージャーを外に出した。
+-+-+-+
JYPの社内ツアーを終えたジュンモは、幾分疲れた様子だ。
スタッフ「代表は今、運動を終えられたそうです」
ジュンモ「そうか。良かった」
彼をこじんまりとした部屋に案内すると、スタッフが言った。「お繋ぎします」
ジュンモ「繋ぐ?」
スタッフ「明日東京公演ですので、日本にいらっしゃるんです」
ジュンモ「…。」
「忙しい時はいつもこうやってビデオ会議をするんですよ」スタッフは愉しげに笑う。
スタッフ「それでは、お話の前にしばし映像をご覧ください」
「何が映像だよ。すぐ繋げって」ジュンモがボヤくと共に部屋が暗くなり、スクリーンに映像が映し出される。
~~映像~~
2AMチョ・グォン「君は背も低いし」
Wonder girlsソンミ「芸能センスもない」
2PMニックン「僕は韓国語があまり出来ません」
GOT7ジャクソン「僕はもっと韓国語が苦手です」
皆「だけど僕たちはこの方に出会って、何だって不可能じゃないと知ったんです」
ド派手に画面に登場したのは、JYP代表パク・ジニョンだ。
~~~~
ジュンモ「………。」
+-+-+-+
マネージャーを退出させ、シンディはスンチャンと2人になった。
スンチャン「シンディさんが一泊二日の新メンバーになってくださったらと思って」
シンディ「なぜ?どうして私がメンバーにならなきゃいけないんです?」
スンチャン「え?」
シンディ「そちらにとって私が必要なのはよく分かります。だけど、私にとってこの番組がどうして必要なのかしら?」
スンチャン「…。」
シンディ「お互い必要なわけじゃないなら、私を利用しようってことにしかならないわ」
スンチャン「僕、ちょっと勉強してみたんですけど…」
シンディ「?」
スンチャン「空に輝く星のようなトップスターが、ある日バラエティ番組を始めたら、さらに多くのファンを獲得して、一気に勢いがついた例がたくさんあるんです」
「続けて」シンディが小さく頷く。
スンチャン「1995年、スーパーサンデーでやっていた”恐怖体験 振り返るな”というコーナーで、映画俳優のイメージが強かったチョン・ドヨンさんが、幽霊にビックリ仰天して、ひっくり返って泣く場面があったんです。すごく愛らしかったんですよ、その姿が。”ファミリーがやって来た”に出ていたイ・ヒョリさんも、それまではセクシースターのイメージが強かったけど、そこで畑を耕してスッピンも見せて、料理をする姿を通して、隣のお姉さんみたいなイメージ、なんとなく大雑把だけど魅力的な姿が老若男女すべてにアピール出来たんじゃないかと…」
ドアの外でじっと聞き耳を立てているマネージャーに、誰かが声を掛けた。「何してんだ?」
事務所のキム室長だ。
後ろにはピョン代表もいた。
ドキッとしたマネージャーは思わずドアにピッタリくっついた。
ピョン代表「中に誰かいるの?」
マネ「…。」
ピョン代表が扉を開ける。
スンチャンがホットックの袋を手に立ち上がった。「?」
ピョン代表「どちら様?」
スンチャン「…。」
ピョン代表「訊いてるんですよ、誰なのか!」
スンチャン「…。」
「PDですよ」シンディが穏やかに答えた。「出演交渉しに来たんです」
ピョン代表「(袋を見て)それは?」
スンチャン「あ、ホットックですけど、差し上げられません」
#も~ イェジンめ(笑
ピョン代表「PDさんというと、何の番組?」
+-+-+-+
JYPスペシャル映像に疲れ、ウトウトしていたところに、突然豪快な声が聴こえた。「おぉ、ラPD!」
「あ、兄貴!」ジュンモが飛び起きると、スクリーンの中にJYP代表パク・ジニョンがいた。
JYP代表「久し振りだなぁ」
ジュンモ「えぇ、ホントお久しぶりです」
JYP代表「全部観たか?」
ジュンモ「えぇ、最高ですよ!」
JYP代表「凄いだろ。うちの子たち、観たか?”K-POPスター”」のバーナード・パクとジミン」
ジュンモ「いえ、まだ」
JYP代表「この子たちは…OK」
ジュンモ「え?」
JYP代表「他の人ならともかく、ジュンモ、お前が言うならKBSに出してやるよ」
ジュンモ「あぁ、はい。ありがとうございます」
JYP代表「あ、それからGOT7は観たか?」
「えぇ、観ますよ」ジュンモは何とか本題に入ろうと先を急いだ。
ジュンモ「今日はお願いがあるんですよ、キャスティング関連で」
JYP代表「あぁ、分かった。誰だ?言ってみろよ」
ジュンモ「一泊二日のメンバーを一新するんですけど、スジは…」
そのとき、スクリーンの中央で、読み込み中のマークがくるくる回り始めた。
ジュンモ「兄貴?」
スタッフ「ときどきあるんです、回線が弱い時に」
そのとき、再びスクリーンが動き出した。
JYP代表「あぁ、聴こえなかった。何だって?」
ジュンモ「今度番組を一新するのに、ちょっとパワフルに行こうと思って」
JYP代表「いいな、俺はパワフルなのが好きだ!」
ジュンモ「それでなんですが、スジは最近忙しいですよね?」
その瞬間、またJYP代表の動きが止まり、読み込みマークが回り始める。「兄貴?」
「電話で話しちゃダメかな?」そういうジュンモに、スタッフは困った表情を見せた。
スタッフ「公演前は電話を切っておられますので」
ジュンモ「ホント急ぎなんだけど」
そのとき、ジュンモの携帯が鳴った。「もしもし」
「ラPDさん?お久しぶりね」電話の向こうから気だるい声が聴こえてくる。「ピョンエンターのピョンよ」
ジュンモ(電話)「僕たち電話で話す用事なんてありましたか」
ピョン代表(電話)「そうね、私もないと思ってたけど、出来たのよ。そちらの一番下のPDさんが訪ねてきたわ」
ジュンモ「何ですって?!」
「そこ、どこです?」ジュンモは立ち上がった。「分かりました」
ふと見ると、スクリーンは止まったままだ。
ジュンモ「(スタッフに)あの…急用が出来まして。バッファリングが進んだら、スジはムリだろうかって代表によく申し上げてください」
スタッフ「えぇ」
ジュンモが出て行くと、スクリーンの中のパク・ジニョンがふいに動き出す。「帰ったか?」
スタッフ「はい」
JYP代表「あいつ、また来るぞ。気をつけろ」
#JYP何から何まで訳わからん
+-+-+-+
「はぁ、馬鹿なやつ!何であんなとこ行くんだよ!」車を走らせながら、ジュンモは唸った。
#そりゃ行くよねぇ。シンディがピョンエンタ所属なのはジュンモだって知ってるんだし、当然予測出来たでしょーよ。
+-+-+-+
「一泊二日をやろうって?」シンディの隣に腰掛け、ピョン代表はネイルを眺めた。「うちのシンディにねぇ」
スンチャン「はい、そうです」
ピョン代表「新入りPDさん、よくお聞きなさい。今から算数をやるわ」
スンチャン「?」
ピョン代表「うちのシンディに一ヶ月に2回、週末一泊二日スケジュールをあけてくれってことでしょ?その時間、もし外国へ行ってコンサートをすれば、1公演に最低でも1万人。収入は1億7000ウォン。前後にイベントをやって、広告を撮れば合わせて最低3億。それが1シーズンとなれば36億ウォンになるわ」
スンチャン「(絶句)」
「とんでもない額でしょ?」ピョン代表は満足気にソファに身を沈める。
ピョン代表「答えの出しようがないわ。そんな答えの出せない問題を持って来てどうするの?まだ何も知らないんでしょうけど」
スンチャン「あぁ… はい、知りませんでした。僕はまだPDになって何日も経たないので」
ピョン代表「(余裕)」
スンチャン「うちの先輩もおっしゃってました。PDは適度に3枚目じゃなきゃならないのに、僕は2枚目すぎるって」
シンディ「…?」
スンチャン「”2枚”と”3枚” ご存知ですよね?」
ピョン代表「えぇ、知ってます。だから、そろそろ終わりにしてお帰りくださいな。うちのシンディ、ステージの準備をしなきゃ」
シンディ「いいんです、私はまだ時間あるから」
ピョン代表「…。」
「それで?」そうスンチャンに尋ねるシンディの顔は、どことなく愉しげだ。
スンチャン「あ… まだよく分かっていないんですが、PDは適度に3枚目なのがいいけど、あまり3枚目すぎるとダメだと思うんです。お金だとか算数だとか、そういうのはそれなりに計算しなきゃならないけど、あまりそればかり考えていると目標を見失うこともあるから」
ピョン代表「ちょっと待って。私が3枚目だって言いたいの?」
スンチャン「いえ、違います!そういう話じゃなくて。ある問題に答えを出すとき、もちろんお金のことも考えなきゃいけないけど、お金のことしか考えなかったら、それは… ただの商売人だし俗物だって…」
ピョン代表「!」
シンディが下を向き、ひそかに微笑む。
「私のことじゃないの!!!」ピョン代表がカッとなって立ち上がった。
ピョン代表「あんた何なのよ!恐れ多くも誰に向かって…!3枚目ですって?!」
スンチャン「!」
そのとき、扉が開き、ジュンモが飛び込んできた。「おい、ペク・スンチャン!」
「…先輩」スンチャンがほとんど声にならない声を発する。
「出るんだ」ジュンモはスンチャンの腕を掴み、出口へと向かった。
ピョン代表「ラPD」
ジュンモ「?」
ピョン代表「あなたがこの子を来させたの?」
ジュンモは掴んだスンチャンの腕を離し、下を向く。
ピョン代表「何よ、今さら仕返しでもするつもりかしら」
ジュンモ「仕返しも何も。相手にしたいと思わなきゃ出来ないだろ」
ピョン代表「…。」
ジュンモ「俺は忙しいんだ。誰も彼も相手にしてる時間はない」
「行くぞ!」ジュンモがスンチャンを振り返る。「何を好き勝手に変人に会いに来てんだ?!」
ジュンモ「今度やったらタダじゃ済まねーぞ!」
「!」ピョン代表は唖然と立ち尽くした。
その背後で、シンディは嬉しそうに2人が出て行くのを見送る。
「シンディ」ピョン代表が振り返ったのに見向きもせず、シンディはマネージャーに呼びかけた。
シンディ「あの方がキンパの?」
マネ「あぁ」
ピョン代表「キンパ?」
「ちょっとステージを見てきます」シンディは立ち上がった。
+-+-+-+
「夕飯なににする?」ひとしきり車を走らせると、ジュンモは言った。
「先輩が召し上がりたいものを」助手席のスンチャンがポツリと言う。
ジュンモ「PDのくせに。意見ってもんがないのか?何食べたいのか訊いてんだ」
スンチャン「…ジャージャー麺」
ジュンモ「ジャージャー麺以外だ。徹夜で腹の具合が悪い。小麦粉はダメだ」
スンチャン「キムチチゲを」
ジュンモ「目がねぇのか?俺が白いTシャツ着てるのが見えねぇのかよ」
スンチャン「ハンバーガー?」
ジュンモ「腹の具合が悪いっつってんだろ」
スンチャン「先輩の召し上がりたいものにします」
+-+-+-+
しばらくして、2人は定食屋で汁物をすすっていた。
ジュンモは自分のグラスに焼酎を注ぎ、目の前で黙々と食べているスンチャンをチラリと見る。「一杯飲むか?」
「いえ」小声で断るスンチャンに構わず酒をついでやり、彼はカチンとグラスを合わせた。
そこへ、ホンスンと一緒に入ってきたテホCPが彼らに気づく。「おぉ、ここにいた」
テホCP「何で一日じゅう何も連絡して来ないんだ?」
2人は彼らの隣に腰を下ろす。
ホンスン「スジに交渉しに行ったんだろ?どうなった?」
ジュンモ「知るかよ。行ったら何かジニョン兄貴の映像が出て来て…」
そう言って、グラスを持ち上げたっきり、ジュンモはピクッと動きを止める。
バッファリング停止だ。
全員「???」
テホCP「何だよ?」
ジュンモ「このまま3分ずつ止まるのに、話なんか出来るかよ」
テホCP「一体何のことだよ?」
ジュンモ「とにかくダメでした」
その瞬間、ホンスンの目がキラリと鋭くなる。「一泊二日、このままで大丈夫か?」
ホンスン「こんな調子で続けられるのか?」
テホCP「それで?ビタミンのチェ・ジェウォンにやらせて、自分はビタミンをやるって?」
ホンスン「!」
ジュンモ「おい!」
ホンスン「ジュンモ、俺を助けてくれよ」
テホCP「局長に直に訴えて生きる道を探せって」
ホンスン「これ以上どうしろって言うんだ?この6ヶ月、週末のたびに局長にくっついて登山に行って、ゴルフに行って、局長の子どもたちをキャンプに連れて行ってテントまで張ってやって。この筋肉、見てみろよ」
テホCPがホンスンの腕を触って笑う。「上腕二頭筋じゃなくて接待筋か」
テホCP「それにしても、局長はヒドイよな。それだけ連れ回してこき使ったんなら、もう少し何とかしてやるべきだろ」
「一杯やれよ」そう言って焼酎の瓶を取ると、テホCPはスンチャンのグラスを満たした。
テホCP「入るなり苦労ばかりだな」
スンチャンはほんの少し酒をすすり、そっとテーブルに置く。
「全部飲まなきゃ」テホCPがニコニコしながら、めざとく突っ込んだ。
スンチャン「…。」
テホCP「誰が途中でやめていいって言ったよ?」
スンチャンは言われるまま、懸命に酒を流し込んだ。
#わー ここでこの音楽が流れ始めるのがたまらんね。みんな大変だけど頑張れー
+-+-+-+
【03 渉外への理解
関係の始まりだ】
+-+-+-+
アンチカフェに入会したシンディは、さっそく書き込みフォームを開いた。
タイトル:傘
本文:ある男の人が傘を貸してくれたんだけど、それをナンパされたんだと思ってたら、本当に傘だけ返してくれって。これってどういうこと?
シンディは書き込みを終えると、リプライ欄を眺める。
「照れくさいからじゃないですか?」
「あなたのこと何とも思ってないってこと」
「傘はブランド物ですか?」
「上級者かも。駆け引きしてるんじゃ?」
「傘が勿体ないからかな」
+-+-+-+
顔をまっかにして店を出たスンチャンは、ホットックの袋を両手で大事に抱え、桜並木を早足で進んだ。
+-+-+-+
帰宅したイェジンは、ジュンモにメールを打っていた。
「昨日は私が悪かったわ。家にいるから、これ読んだら早く帰って来て」
「はぁ、間合いだなんて」彼女は弟のアドバイスを思い出し、顔を歪める。
そのとき、玄関のチャイムが鳴った。
「お帰り!」イェジンは嬉しそうに玄関に向かう。「何でチャイム鳴らすのよ?」
玄関のドアを開けると、彼女は目を見開いた。「!」
フラフラのスンチャンが、ビニール袋を差し出したのだ。「ホットック買って来ました」
イェジン「???」
スンチャン「緑茶が5個、プレーンが5個」
イェジン「ちょっと、あんた…」
スンチャンはさっとイェジンの手を取ると、ホットックの袋を握らせる。
イェジン「?」
スンチャン「………。」
キョトンとして見つめるイェジンに近づいてきたかと思うと、スンチャンはそれっきり、彼女めがけて倒れこんだ。「!!!」
+-+-+-+
【エピローグ】
チャン・ヒョンソン
イェジンの元カレ
ヒョンソン(インタビュー)「僕が浮気したんじゃなくてね。タク・イェジンの小学校のときの友だちにラ・ジュンモってのがいるんですよ、ラ・ジュンモ。タク・イェジンはラ・ジュンモが好きだったんです」
イ・ミンチョル
イェジンの元々カレ
ミンチョル(インタビュー)「自分じゃただの友だちって言うんだけど、一目見れば分かりますよ。週末会おうって言ったら、ラ・ジュンモに会うんだって、会ってくれなくて」
ヒョンソン(インタビュー)「桜を観に行こうって言っても、ラ・ジュンモと観に行くことにしたって、そう言うんですよ、僕に」
ミンチョル(インタビュー)「それに、酔っ払ったらいつもラ・ジュンモが連れて帰って来るし。人妻と付き合ってるみたいだったんですから」
ヒョンソン(インタビュー)「タク・イェジンがラ・ジュンモを好きなのは一目見りゃわかるけど、本人たちは気づいてないみたいですよ」
#思わずチャン・ヒョクと歩く桜並木を想像してニヤけたのは私だけじゃないはず♪
彼がヒョジンさんの元恋人っていう設定も、一人の女性をめぐってチャ・テヒョンさんと繋がりがあるっていう設定も、何だかとても懐かしくて嬉しいです^^
+-+-+-+
3話はここまで♪
ありがとうございました。
もう今回要素がてんこ盛りすぎて、めちゃくちゃ疲れました。
その分面白かったですけど。
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