プロデューサー6話あらすじ&日本語訳 vo.2
キム・スヒョン、IU、コン・ヒョジン、チャ・テヒョン、出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサー」6話、中盤です。
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いよいよ一泊二日新シーズンの放送時間が迫った。
「うちの息子が担当PDなんだ」スンチャンの父は電話で知人へのPRに余年がない。
父(電話)「一人で全部やるわけじゃないさ。補佐をする子もいるらしい」
「僕がその補佐なんです」今回もスンチャンが修正を入れる。
「ところで」姉の夫がスンチャンに声を掛けた。
義兄「男性メンバーたちをうちの病院に連れてくるところ、撮ってくれよ。泌尿器系は若いうちにちゃんとケアしてやらなきゃいけないんだ」
姉「そうよ、女の子たちも来なさいって。最近はね、女の人の膀胱炎みたいなのも全部、泌尿器科で診るのよ。尿結石とか」
「汚い」妹が言う。
姉「何が汚いのよ、あんたオシッコしないの?」
「おい、電話してるのにウルサイぞ!」父が声を上げる。
母「もう、そんなところで電話するからよ。他のところでなさいって」
父「私がこの家長なのに、どこへ行けと言うんだ?!」
母「…。」
父「君がこうだから、(長男を指さし)うちの嫁だって亭主をバカにして、すぐ追い出すんだろうが」
長男「違いますよ、父さん。僕は自分から出てきたんですから」
一家は今日も大賑わいだ。
「始まりますよ」スンチャンが控えめにテレビを指さした。
+-+-+-+
番組が進んでいた。
本隊メンバーのゲーム映像が続いている。
母「知らない顔ばかりだからかしら、それほど面白くないわね」
父「見てるうちに面白くなるだろ」
スンチャン「…。」
父「スンチャンはまだ経験が乏しいがな、そのうちノ・サヨンだとかイ・ドクファだとか、そんな有名な人たちと番組をやるようになるはずだ」
母「私はホ・チャムがいいわ。イ・テンニムと」
お喋りを続ける両親の隣で、妹は携帯ゲームに興じている。
スンチャンは彼らの反応を静かに窺った。
番組の映像には、編集で笑い声がかぶせてある。
父「一体この笑い声はどこから出てるんだ?笑えない時も出るようになってるのか?」
スンチャン「… 笑えるけど?」
「スンチャン、あんたじゃないの?あれ」姉がテレビを指さす。
番組が山を歩く脱落組の映像に切り替わっていた。
妹「すごい!」
姉「そうだわ!うちのスンチャンだわ!」
照れくさくて、スンチャンはぎゅっと唇を噛み締めた。
母「ちょっと!、この子PDなのに、他人の靴の紐結んでやってるわ!」
画面には『靴の紐を結んでやる、心細やかな新人PD』とテロップが出ている。
父「ワケがあったんだろうよ」
姉「結んでくれって?あの子が?」
母「自分の手があるくせに!結んでくれだなんてどうしてよ!人の家の大事な息子をつかまえて!」
スンチャン「母さん、そうじゃなくて」
「シンディ、可愛かったか?」兄が騒ぎに油を注いだ。
スンチャン「?」
母「(長男に)可愛けりゃ靴紐を結んでやるわけ?!」
スンチャン「すごく辛そうだったから」
母「(スンチャンに)お母さんの靴紐、一度でも結んでくれたことあるの?!」
スンチャン「母さんはマサイ族の健康サンダルしか履かないから」
「母さんはいつもそれだよな」長男がゲラゲラと笑う。
母「あの子、あの時の子でしょ?パンツ一枚で踊ってた子よ」
「ホントにブサイクだわ!」母はテレビに向かって敵意をむき出しにした。
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#この映像は誰が撮ったんだ?って話だよねぇ
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ジュンモとイェジンは二人、リビングのソファに並んでテレビを見ていた。
イェジンが笑うと、ジュンモが嬉しそうに彼女を見る。「面白いか?」
ジュンモ「(テレビを指差し)今のテロップ良かったろ」
イェジン「うん」
ジュンモは満足気にニコニコと微笑んだ。
イェジン「それにしてもさ、ペク・スンチャン、テレビに映るのも悪くないわ」
ジュンモ「…。」
イェジン「たいしたものね。子どもだと思ってたけど、男っぽくも見えるし」
ジュンモ「俺が嫌ほど編集したからだろーが。あいつのどこが男なんだ、子どもだろ」
「?」イェジンが急に身を乗り出す。「ねぇ、慶南高霊であってるの?」
ジュンモ「?」
イェジン「慶北高霊じゃないの?」
ジュンモ「?!」
「あっ!」ジュンモが画面を見て思わず声を上げる。
行き先を記したテロップが間違っていたのだ。彼は慌てて電話を取り出した。「どうなってんだ!テロップ間違ってるじゃねーかよ!誰が書いたんだ?」
イェジン「2度3度確認しなきゃ!」
そのとき、今度はイェジンの電話が鳴り出した。
ジュンモの母親からだ。
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「おばさん」イェジンは玄関の外に出て電話を取った。
ジュンモ母「私が頼んだこと、調べてみた?ジュンモの彼女のことよ」
イェジン「そうですねぇ、私のまわりに紹介するほどの人がいなくて。お見合いもするんでしょう?検事と」
ジュンモ母「その大事なお見合いに行かなかったんだから」
イェジン「えっ?!行かなかったんですか?どうして?」
ジュンモ母「それがね、編集室で作業してたって言うのよ。電話まで切っちゃって」
イェジン「そうだったんですね。ジュンモあの子、夢中になったら周りが見えないんだから。ホント問題だわ」
イェジンは妙に明るく文句を言った。
ジュンモ母「それで私、明後日また日程を取り直したのよ。苦労してね」
イェジン「…。」
ジュンモ母「それなのにあの子、行かないって言うの。ついこの間は行くって言ってたのに」
イェジン「…。」
ジュンモ母「あなたがそばでよく言ってやって。逃すのは本当に惜しい席なのよ」
イェジン「だけどね、おばさん。ジュンモもすっかりいい年なんだし、私が言ったからって聞くかしら。やっぱり自分で決めさせてやったほうが…」
ジュンモ母「だめなら私、汝矣島のアパートに一緒に住んで、クドクドいびってやるんだから」
「私が言います!」イェジンは即答する。
イェジン「えぇ、もちろん!私の言うこと、よく聞くじゃないですか、ジュンモは」
+-+-+-+
イェジンが戻ってくると、ジュンモはソファで上の空になっていた。
イェジン「番組終わったの?」
ジュンモ「あぁ」
イェジン「反応は?」
ジュンモ「良くないさ」
イェジン「…。」
ジュンモ「地理の勉強を足でやったのか?脳みそは飾りか?番組は遊びか?」
イェジン「あのさぁ、あんたんとこ何人もいるのに、誰も気付かなかったの?」
ジュンモ「…。」
イェジン「仮編集で1回、プレイバックで1回、仕上げのときにもう1回。3回は見るはずだけど」
ジュンモ「だからさ、大勢で一緒に見てたのに、何で気付かなかったんだ?」
「何でなんだ?何でだろうな」ジュンモは完全に混乱していた。
イェジン「テレビ局の幽霊が、目と耳を塞いで放送事故起こさせるって言うしさ。作ってる間は絶対わからないんだって」
ジュンモ「幽霊より、明日会社に行くほうがずっと怖いよ」
落ち込むジュンモの背中を、イェジンがさすってやる。「事故っていうのは、起きた後にどうするかが大事なんでしょ?」
ジュンモ「…。」
イェジン「業務掲示板から目を背けないで、全部チェックして、しっかり対処するのよ」
イェジンの励ましにも関わらず、ジュンモはソファに倒れこむ。
ぎゅっと目を閉じている彼の顔を、イェジンは覗きこんだ。「ビール飲む?」
ジュンモ「?」
イェジン「起きなよ♪」
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「はぁ、いいね♪」二人はベランダに並んでいた。
イェジン「春の宵の一刻は千金に値するって言葉があるでしょ?」
※春宵一刻値千金=蘇軾の七言絶句「春夜」より。
イェジン「全部忘れてさ、私たち春の夜を楽しもうよ、ジュンモ」
「どうってことないって!」イェジンはお酒の瓶を差し出す。「ほら♪」
「そうだな」ジュンモも瓶を手に取り、彼女に答えた。「どうってことないさ」
イェジン「ところでさ、この間言ってた検事さんだけど…」
ジュンモ「あぁ、会った」
イェジン「…会ったって?」
ジュンモ「会ったさ。言ったろ、見合いするって」
イェジン「…そう?可愛かった?」
ジュンモ「あぁ、まぁな。可愛かった」
ずっとそっぽを向いたまま、ジュンモは淡々と答える。
イェジン「へぇ、可愛かったんだ。アフターはしたの?」
ジュンモ「した」
「…。」イェジンはじっと彼を見ると、顔を両手で掴み、ぎゅっと自分の方を向かせた。
ジュンモ「な、何だよ?」
イェジン「もう1回言ってみなさいよ」
ジュンモ「何を?」
イェジン「もう1回言ってみなって。お見合いしたって?」
「したってば」それでも彼はあらぬ方向へ視線を逸らす。
イェジン「アフターもしたって?」
ジュンモ「した」
イェジン「あんた、何で目を逸らすの?」
「俺が何で…」ジュンモは彼女の手から離れようとする。「離せよ」
イェジン「あんた、何で嘘つくのよ?」
ジュンモ「何の嘘だよ?」
イェジン「…。」
ジュンモ「…。」
しばらくじっと彼の目を見つめると、彼女はようやく静かに手を離した。
お酒を一口流し込むと、悲しそうに下を向く。
イェジン「あんた、聞いたのね、私の話したこと」
ジュンモ「!…何の話だよ」
イェジン「聞いたんだわ。私が屋台でした話。それであんた、私との間に一線引いてるんじゃない」
ジュンモ「…違うって」
イェジン「彼女のいない隙に私がつけ込むんじゃないかって、してもいないお見合いしたなんて言ったの?すごい線引きね」
ジュンモ「違うって!何もわからないくせに、一人で決めつけんなよ」
イェジン「じゃあ何?」
ジュンモ「事故だろ。違うか?」
イェジン「!」
ジュンモ「お前、本気で言ったのか?」
イェジン「…。」
ジュンモ「それなのに、俺が覚えてたら、お前も俺も気まずくなるかもしれないし」
イェジン「…。」
ジュンモ「それに、俺たち今上手くやってるだろ。気楽だし」
イェジンは何度も頷いた。「…そうだね」
イェジン「問題は私なのかも。事故は私がやらかしといて、後始末はあんたにやらせたんだから」
「悪かったわ」彼女は俯いたまま言うと、立ち上がった。「後始末も私がやるから」
部屋に戻っていく彼女に何も言えず、ジュンモは深い溜息をついた。「…。」
と、そこへまた彼女が戻ってくる。「そうだわ、あんたの言うとおりよ」
ジュンモ「?」
イェジン「事故よ。本心じゃなかった。こんな長い付き合いなのに、バカじゃあるまいし」
ジュンモ「…。」
イェジン「それなのに変よ。私今、どんな男に振られた時よりずっとプライドが傷ついて、恥ずかしいんだから!あんたのせいよ!」
そう言い捨てると、彼女は部屋の扉をしめ、ベッドに潜り込んだ。
+-+-+-+
翌朝
さっそく昨日放送分の視聴率が掲示板に貼り出された。
ジュンモは恐る恐る掲示板を覗く。
6.8
ジュンモ「ペク・スンチャンのヤツ、うまくやりやがって…。どうしてわかったんだ?」
+-+-+-+
「どうしてそんなピッタリ当たるんだ?」
「いいもの買えよ」
「すごいですね!」
「おめでとう、ノストラダムス!」
スンチャンの元へ、次々とスタッフが1万ウォン札を持って来る。
最後にやって来たジュンモが千ウォン札を10枚数え、突き出した。「お前、占い師でもやれよ」
スンチャン「…すみません」
ジュンモ「謝ることないさ、ぴったり当てたのに。よくやった」
スンチャン「…。」
ジュンモ「嬉しいか?自分の言ったとおりになって」
スンチャンが首を横に振る。
そこへテホCPがやって来た。
ジュンモ「先輩も出せよ。ペク・スンチャンがピッタリ当てたんだ」
「いいのに…」スンチャンが困って二人を見上げる。
テホCP「俺だって0.2差なんだから、ほとんど当てたようなもんだろ」
ジュンモ「(ジロジロ)」
仕方なくテホCPは1万ウォン札を差し出した。
テホCP「(ジュンモに)局長がすぐ来いってさ」
+-+-+-+
その後、スンチャンの周辺では小さな変化が起こっていた。
まず、訪ねてきたのは見知らぬ男性だ。「ひょっとしてペク・スンチャンPD?」
スンチャン「…そうですけど?」
男性「噂を聞いて来たんですよ。今新しい番組を企画中なんですがね、初回放送の視聴率、どうなると思います?」
ヤンミの元へ書類を提出しに行ったときも…。
ヤンミ「昨日の番組面白かったですよ。テレビ映りが良かったわ」
スンチャン「ありがとうございます」
ヤンミは引き出しを開けると、そこからA4の包みを一つ取り出し、黙って差し出す。
スンチャン「紙は申請してないですけど?」
ヤンミは頭を下げるように手で合図した。
ヤンミ「取っておいて。大事に使ってくださいな」
スンチャン「あぁ… ありがとうございます」
ヤンミ「私、どうなると思います?」
スンチャン「えっ?」
彼女はスンチャンの顔を覗き込む。「何か思い浮かんだりしませんか?」
スンチャン「…。」
ヤンミ「何かチラチラ見えたりだとか… 恋愛運だとか」
スンチャン「………。」
ヤンミ「すごい腕前だって聞いたんだけど」
+-+-+-+
「何から怒ろうか」ジュンモとテホCPを前に局長が言った。
ジュンモ「何々あるんですか」
局長「放送事故と視聴率」
ジュンモ「…言いたい方からどうぞ」
局長「お前な、試験を受けてテレビ局へ入ったヤツが、慶北高霊か慶南高霊か区別もつかんのか?慶北高霊、何かおかしいと思わないか?」
ジュンモ「?」
局長「慶南高霊が自然だろ」
「局長」テホCPがそっと口を挟む。「慶北高霊です。慶南と書いて事故になったんですよ」
局長「あぁ、こうやってこんがらがるのか」
ジュンモ「(ホッ)」
テホCP「そんな傾向もありますよね」
「ほらな」ジュンモが小声でテホCPに言う。
局長「それなら尚更お前が神経を使うべきだったんじゃないのか?」
ジュンモ「すみません。高霊郡庁にお詫びの電話をしました。来週、お詫びのテロップを入れることで理解してくださるそうです」
局長「そんなことは問題じゃないんだ」
ジュンモ「えっ?」
局長「社長の故郷が高霊なんだよ」
二人「!」
局長「責任の所在をハッキリさせろ。こんな許しがたいミスがなぜ起きたのか。そうじゃないと、私も報告できん」
+-+-+-+
「帰られないんですか?」帰り支度をしたスタッフがジュンモに声を掛けた。
ジュンモ「経緯書を書かないと。先に帰りな」
スタッフたちが帰っていく。
『経緯書
番組編集時、テロップ作業中に何度も確認するべきにもかかわらず、間違ったテロップを放送に出してしまった経緯です。
地名等の固有名詞は何度も確認すべきにも関わらず、よりによって前夜徹夜した担当PDは眠気に勝てなくて確認できず、よりによって担当作家はコーヒーを飲んでいて確認できず、6ヶ月要求しても修理されていなかった編集室の電灯が、よりによってその日、いつもより酷くチカチカして、全員確認できませんでした。結局、それらの理由が積み重なって事故が発生し、当番組のプロデューサーである本人は重い責任を感じております』
「はぁ」深い溜息をつくと、1ブロック向こうにイェジンの姿が見える。
彼女が廊下を遠ざかっていくのを、彼はじっと目で追った。
『事故というものは、起きた後が重要であり…』
ジュンモ「…その後が重要なのに、どうすりゃいいんだ?俺は…」
+-+-+-+
会社を出て歩いていたスンチャンは、目の前にイェジンが歩いているのに気がつき、顔をほころばせた。「♪」
嬉しそうに走って行くと、突然彼女の前に飛び出す。「先輩!」
イェジン「きゃっ!」
スンチャン「あ、驚かれました?」
イェジン「驚くに決まってるでしょ。突然気配もなしに」
「すみません、僕、嬉しくて」スンチャンの顔に笑みが滲む。
イェジン「何が嬉しいのよ」
「あんた」イェジンが彼を指さす。
スンチャン「?」
イェジン「今日の返済分をもらおうと思って、嬉しそうに走ってきたわけ?」
スンチャン「…?」
イェジン「見た目よりキッチリしてるのね。だけど、今はダメ。現金がないの」
スンチャン「じゃあ僕がご馳走します!」
イェジン「あんたが?」
スンチャン「はい、今日は僕がご馳走します」
イェジン「…。」
スンチャン「お肉を食べたいんだけど… 一人で食べるのも何なので」
イェジンはニッコリ微笑んだ。
+-+-+-+
二人は焼肉店で向かい合っていた。
イェジン「サムギョプサルにしようって言ったのに、韓牛だなんて」
スンチャンが健気に肉を焼いている。
イェジン「ねぇ、私は後輩にこんなものタカるような人間じゃないわよ」
スンチャンはニッコリ笑って、彼女の小皿に肉を置いた。
「う~ん、美味しい」イェジンはお肉をつまみ、頷く。「あんたも食べなよ」
スンチャン「はい」
イェジン「ところでさ、ジュンモがあの夜のこと全部覚えてたんだよね」
スンチャン「!」
#もー さっそくそれを言わないで、もうしばらくルンルンさせてやりなよー
イェジン「あんたも知ってたの?」
スンチャン「あ…」
スンチャンは少し考えて頭を下げた。「すみません」
イェジン「いいの。あんたに何の罪があるのよ、間に挟まれて」
スンチャン「先輩はジュンモ先輩のどこがそんなに好きなんですか?」
イェジン「…そうだね。わかんない」
スンチャン「…。」
イェジン「誰かを好きになるときって説明できないんだよね、私は」
「あんたはできる?」イェジンが訊き返す。
イェジン「あんた、ヘジュのどこがそんなに好きだったの?」
スンチャン「そりゃまぁ… 可愛いし」
イェジン「それから?」
「…可愛いから」そう言ってスンチャンが笑うと、イェジンも笑う。「男は可愛いけりゃいいのよね」
イェジン「だけど、ジュンモにとって私は気楽な飲み友だちがイイのよ。付き合いが長いから、余計な説明がいらなくて楽で…」
「それ止まりみたい」イェジンはそう言って俯いた。「可愛くはないみたい」
スンチャン「可愛いいです!」
イェジンが黙って顔を上げる。「…。」
スンチャン「あ… 先輩も可愛いです」
「…。」イェジンは思わずふっと笑った。「かなり腕上げたわね、ペク・スンチャン」
スンチャン「…。」
イェジン「そう、それよ。社会生活を送るにはね、3枚目っぽくても、そういう心にもないことも言えなきゃ」
「さぁ、ご褒美」イェジンが肉をサンチュに包み、差し出した。「あーんして」
スンチャン「…。」
スンチャンは少し照れくさそうに顔を近づけると、素直にパクっと口に入れた。
#途中で一瞬チラッと彼女の顔を見るのがたまらんよ
そんな彼の姿を、イェジンも楽しそうに眺める。
+-+-+-+
ジュンモはリビングでぼんやりテレビを眺めていた。
玄関を開く音が聴こえ、彼はパッと顔を輝かせる。「!」
ドアが開き、入ってきたのはイェジンではなく、弟のイェジュンだ。
「あ… お帰り」そう言って、彼はテレビに視線を戻した。
弟「姉さん、まだですか?」
ジュンモ「俺より先に会社を出たヤツが、どこに寄ってるんだか。電話してみろよ」
弟「帰って来るでしょ」
弟は近くの椅子に腰を下ろす。「ところで、兄貴」
弟「姉さんと喧嘩しました?」
ジュンモ「何で?」
弟「昼にメールが来てて。短期契約で2ルームを探せって」
ジュンモ「何だって?」
弟「知らなかったんだな。そんなことだと思ったんだ」
ジュンモ「…。」
弟「女ってのはそうなんだ。ホントに2ルームを探すつもりなら、自分で不動産に電話すりゃいいのに、何で俺に調べろって?」
ジュンモ「何でだ?」
弟「何言ってんですか兄貴、素人みたいに。俺から伝えてくれってことじゃないか」
ジュンモ「…。」
弟「私はすごく腹が立ってて、出て行くつもりだってあるんだから、引き止めるなり何なり、あんたがやんなさいよって」
ジュンモ「そうなのか?」
弟「女ってのはホントにすごい存在だよ。結局は男にトスを出すんだ」
「実の姉さんだし、俺が利用されてやるよ」そう呟き、イェジュンは立ち上がる。
+-+-+-+
帰ってこないイェジンが気になって、ジュンモはベランダで悶々としていた。
ジュンモ「?」
ふと気配がして、彼は階下を覗く。
向こうから、スンチャンと一緒に歩いてくるイェジンの姿が見えた。
仲の良さそうな二人の様子を、ジュンモはじっと目で追った。
ジュンモ「…。」
+-+-+-+
しばらくして玄関が開くと、イェジンが入ってくる。
さっき見た表情とは打って変わって、彼女は実に硬く顔をこわばらせていた。
ジュンモ「おい、タク・イェジン」
イェジン「…。」
ジュンモ「お前、2ルームって何だよ。そこまでしなきゃダメか?」
イェジン「言ったでしょ。私が事故起こしたんだから、自分で後始末するって」
ジュンモ「こんなの後始末かよ?」
イェジン「これ以上気まずくないようにね」
ジュンモ「お前がこんなことする方がずっと気まずいぞ」
イェジン「私がここにいることだって、気まずいのは同じでしょ」
ジュンモは小さく溜息をついた。「それもそうだな」
「好きにしろ」ジュンモはあっさり背を向けた。
イェジン「…。」
+-+-+-+
カッとして部屋に戻ってしまったものの、どうにもたまらず、彼はすぐ部屋のドアを開ける。
リビングには誰も居ない。
彼女の部屋のドアを開いても… そこに彼女の姿はなかった。
「兄貴」イェジュンが出て来て言った。「姉さん、また出て行ったみたいだけど」
ジュンモ「…。」
弟「そんなに酷い喧嘩だったんですか?」
+-+-+-+
朝になった。
イェジンは昨日の服装のまま、デスクで眠っている。
やって来たタジョンが言った。「何か被せるもの持って来ます」
イェジンはそっと目を開けると、目の前のタジョンを眺め、また目を閉じる。
タジョンは小さなタオルを持って来ると、イェジンの顔に被せた。
イェジン「あんた何してんの?」
タジョン「隠してあげたほうがいいと思ったんです」
イェジン「…。」
タジョン「…顔を。恥ずかしいかと思って」
タオルを投げ捨て、イェジンはハッと体を起こす。「今何時?!」
+-+-+-+
ここで一旦区切ります。
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