プロデューサー最終話あらすじ&日本語訳 vo.1
チャ・テヒョン、コン・ヒョジン、キム・スヒョン、IU出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサ」12話、序盤です。
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頑固なジュンモの決断に、テホCPは苦々しい思いでいっぱいだ。
テホCP(インタビュー)「もどかしい話ですよ。大学のサークルじゃあるまいし、ここは市場理論にしたがって動く冷静な場所なんだ。シンディも番組も見方によっちゃソックリだ。愛されてるうちはわからないんですよ。その愛が終わるかもしれないってことをね。男女の関係と同じです。一度背を向けるでしょう?戻ってきませんよ。訴えられなきゃ幸いだ」
+-+-+-+
一泊二日の女性作家3人は、浮かない顔でトイレの鏡を見つめていた。「打ち切り説であちこち大騒ぎよ」
ハンナ「よりによってラPD、どうしてこんなときに決断力を発揮するんでしょうね。いつも優柔不断なのに」
ジヨン「そうよ。切羽詰まってるのに、今全国民から袋叩きにされてるシンディを撮影に連れてってどうするの?!みんなで心中しようってことじゃない」
トイレの個室の中で、イェジンが耳を傾けていた。「…。」
ハンナ「本当に怖いのは何だと思います?」
ジヨン「何?」
ハンナ「誰も止めようとしてないの、上が」
ミンジョン「うちの番組、ホントになくなるみたい…」
ジヨン「とにかく、ラ・ジュンモPDは責任感がないわよ!」
彼女たちの後ろで水を流す音が聴こえる。
3人「!!!」
個室から出て来たイェジンに、3人は慌てて小さくなった。「こんにちは…」
「ソン作家」イェジンが手を洗いながら言う。
ジヨン「はい?」
イェジン「ラ・ジュンモと仕事してどれくらいになるんだっけ?」
ジヨン「5年くらいです」
「今までうまく行ったことなんか1つもなかったでしょ」ペーパーを取り出し、イェジンは手を拭きながら振り返る。
ジヨン「…。」
イェジン「そうやってグズグズとダメになっていく間、作家を替えろって上が言わなかったと思う?」
ジヨン「PDさん」
イェジン「言ったわ。言われてたのよ」
イェジンの口調はとても穏やかだ。「だけど…」
イェジン「普段はあんなに優柔不断なラ・ジュンモが… 何一つうまく行かなくて、いつも切羽詰まってるラ・ジュンモがよ。それでも自分の仲間たちだからって、そんなこと出来ないって、頑として最後まで守り通したのよ」
3人「…。」
イェジン「わからないわ、私。ソン作家が言う責任感っていうのが何なのか」
イェジンは紙をゴミ箱にポイと捨て、トイレを出た。
3人「…。」
#開始2分半で泣きました
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芸能局を出て来たスンチャンは、向こうの廊下を曲がってきたイェジンに気づく。
「…。」硬い表情ですれ違おうとして、スンチャンは小声で言った。「屋上」
イェジン「?」
#あはは 前のイェジンと一緒だ。
スンチャン、短い間にずいぶん大人になったようにみえるね^^
+-+-+-+
「あんたのチーム、心配だわ」屋上で向き合ったまま、気まずい沈黙を破ったのはイェジンの方だ。
イェジン「何でこう事件続きなの?」
スンチャン「…。」
イェジン「何よ?先輩を呼んでおいて、何で黙ってるの?」
俯いていたスンチャンが、視線を上げた。「ゆうべ僕、家まで歩いて帰ったんですけど…」
イェジン「歩いて?!あそこから家まで?」
スンチャン「…。」
イェジン「あんなに遠いのに…。あんた、寝てないの?」
スンチャン「いえ、そうじゃないですけど… 5時頃に着きました」
イェジンは溜息をついた。「どうかしてるわ、あんた」
スンチャン「話を続けてもいいですか?」
イェジン「あぁ、ごめん。続けて」
スンチャン「ずっと歩きながら考えたんです。もう一度撮りたいって」
イェジン「え?何を?」
スンチャン「僕の人生が番組であり、僕はその番組の主人公で、誰かがそれを撮っているとしたら…」
イェジン「おぉ~。すごい比喩。あんたすっかりPDになったわね」
スンチャン「…。」
イェジン「あ、続けて」
スンチャン「そうだとしたら、もう一度撮りたいって…。どこからやり直せばいいのかわからないけど。ぬいぐるみに気持ちを録音しなきゃ良かったのか、父が将棋を打つとおっしゃったとき、先輩だけ部屋に残して出なきゃ良かったのか。それとも、先輩が公園に来いと言ったとき、行かなきゃ良かったのか、そうじゃなきゃ、先輩が断れないようなデートを昨夜しなきゃ良かったのか…」
イェジン「…。」
スンチャン「それとも…」
イェジン「?」
スンチャン「もっとずっと前… 先輩と一緒にいるのが楽しくなって、先輩がジュンモ先輩を見てるのが嫌だと思った、あのときに…!あのときにもう一度戻るべきなのか」
イェジン「…。」
スンチャン「どこからやり直すべきなのかちっともわからないけど、とにかく… もう一度撮り直したいって」
イェジン「どうして撮り直したいの?私を好きにならなかったら、心が痛むこともないし、楽だと思うから?」
スンチャン「いいえ」
「もっと」スンチャンは語気を強めた。「ちゃんと好きになりたいから」
イェジン「!」
スンチャン「僕はあまりに不器用だったし、未熟で先を焦ってしまったから。幼くて、野暮ったかったから!」
スンチャンの目に涙がにじむ。
スンチャン「もっとカッコイイ方法があったんじゃないか、もっと大人っぽくて… 先輩にこんな気まずい思いをさせずに近づける、そんなスマートな方法があったんじゃないか…!」
イェジン「…。」
スンチャン「ここで撮影を止めて、今までの分は全部カットして、もう一度撮り直してくれって、そう言いたい…。ずっとそんなことを考えながら歩いたんです」
「不可能なことですか?」スンチャンが問い掛けた。
イェジン「…。」
スンチャン「最後にもう一度だけ訊きたいんです」
+-+-+-+
イェジンは明るくなった街灯を見上げていた。
イェジン(インタビュー)「どうなんでしょうね。街灯がパパパッと点いたんだけど、これってひょっとしたらスンチャンが役場に要望を出したんじゃないかって、そんな気がして。まぁ、違うかもしれませんけどね。もともと時間が来たから点いただけなのかもしれないけど、最近スンチャンがすごく助けてくれるから、そんな気がしたんですよ。正直、ラ・ジュンモには望めないし、望んじゃいけない繊細さ、優しさ、そういうのが、あの子にはあるでしょう?」
#何か屋上のシーンが急に終わっちゃって、前に見たシーンに戻っちゃって、なんだかちょっと調子が狂いますね。
+-+-+-+
シンディの黒いバンがマンションの前に停まると、マネージャーの導きで一泊二日のスタッフたちが一斉に降りてきた。
最後に奥から降りてきたスンチャンは、高くそびえるマンションを見上げると、小さく微笑み、歩き出す。
+-+-+-+
突然柔らかく降り注いだ霧に目を開けると、その向こうでスンチャンが笑いかける。
驚いて起き上がったシンディは、そこで大勢の笑顔に囲まれているのに気づいた。
ジュンモ「シンディ、何してんだ?撮影に出掛けるぞ」
「これ、飲んでいただかないと」スンチャンがニヤリとして怪しい飲み物を差し出す。
大粒の涙が流れ落ちた途端、シンディはタガが外れたように声を上げて泣いた。
+-+-+-+
車を走らせながら、マネージャーはチラチラとバックミラーを窺った。
シンディ「何そんなに見てんのよ」
マネ「シンディ、俺、撮影に行くのが夢みたいだ♪」
シンディ「もうやめてよね。制作陣と組んで私に教えてくれないなんて。さっき私、ホント変な感じに映っちゃったじゃない」
マネ「君に会って以来、一番可愛かったぞ♪」
シンディは小さく溜息をつく。「ピョン代表に何て言うつもり?」
シンディ「また何かされたらどうするのよ?」
マネ「俺、ピョン代表はそんなに怖くないんだ」
「君が一番怖いよ」彼はバックミラー越しに穏やかにシンディを見た。
シンディ「私が一番怖い?」
マネ「そりゃな。好きでもない人が俺に怒っても、ああ怒ってるんだなって思うだけだけど、好きな人が俺に失望して怒るのは、ホントに怖いだろ?」
シンディ「バカじゃないの?何が好きなのよ」
+-+-+-+
「シンディが撮影に?!」ピョン代表が目を丸くした。
キム室長「はい。今朝、寝起きドッキリがあって、そのまま連れて行ったそうで」
ピョン代表「それじゃ、ジニは?」
廊下の窓の向こうには、一泊二日のコールをひたすら練習しているジニがいた。
キム室長「あの子、昨日からずっとあればかり練習してますけど… 」
ピョン代表「局長と話は済んでるのに…!(溜息)ラ・ジュンモが最後までバカげたことを!そんなことをしたって結局シンディのためにならないのに」
衝撃を隠せないピョン代表に、キム室長はひそかにニヤリと笑みを浮かべた。
+-+-+-+
いつも一泊二日のオープニングを撮る階段下には、シンディ以外の出演者がすでに集まっていた。
ミンジェ「来るんですか?シンディ」
ダラ「まさか、来るわけないわよ。来たらホントすごいメンタルしてるわ」
ジス「だけど、どうしてそんな嘘ついたんでしょうね」
ダラ「もともと嘘つきな子みたい」
ミンジェとスンユンがチラリと目を合わせる。
ダラ「みんなそう思わなかった?」
「俺はイイと思ったけど」スンユンが言う。
ダラ「!!!」
#先輩や周りに調子を合わせようなんて思わないで、自分の率直な考えをケロッと言えるこの感じ、ものすごくイイです。
スンユン「最初はちゃっかりしすぎな感じがしたけど、つきあってみればみるほど悪くないよ」
ダラ「あんたって人を見る目がないのね。私にシレッと”先輩♪”って言ってきたの、見なかったの?あの子、変よ!」
皆が顔を見合わせ、苦笑いを浮かべた。
ミヌ「先輩がシンディよりずっと上なのは確かじゃないですか」
ダラ「とにかくよ!人は正直じゃなきゃ。大衆を相手にする人間に表と裏があっていいの?」
そこへ、シンディの黒いバンがやって来て停まるのが見えた。「?」
ドアが開き、シンディが降りてくると、彼らの元へやってきて頭を下げる。
「あら~!シンディ!」表と裏を見事に使い分けるダラが、シンディに甲高い声を発した。
ダラ「私たち今、みんなでシンディのこと心配してたのよ」
シンディ「…。」
ダラ「(皆に)でしょ?そうよね?」
スンユン&ミンジェ「(笑笑笑)」
ダラ「記事に出てたこと、あれってホントじゃないよね?誤解があったんでしょ?」
シンディ「…。」
ダラ「全部言っちゃいなさいよ、ね?」
ずっと黙っていたシンディは、静かに微笑んだ。「先輩、心配してくださって、本当にありがとうございます」
ダラ「…。」
+-+-+-+
さぁ、いざ撮影に出発だ!
一行はソウルを離れ、のどかな田舎に来ていた。
ジュンモ(進行)「皆さんここまでお疲れ様でした。今日は”家へ”特集です。おばあさんと共に、それぞれの家で一晩過ごすんです。さぁ、今日皆さんと1日を過ごしてくださるおばあさんたちをお招きしましょう!」
「???」脇にずらりと並んだおばあさんたちは、皆の拍手をよそに、宙に浮かぶ謎の物体に夢中だ。「あれは何?」
ジュンモ「あ、あれはですね、ヘリカムって言って、ヘリコプターみたいに空中から撮影するカメラなんですよ、カメラ」
「今撮っているんです」おばあさんたちの横でスンチャンが言い添える。
#おばあちゃんたち、のんびりしててすごく素敵♪
ジュンモ「スンチャン、何してんだ。ご案内しろ」
スンチャンが真ん中へ出て、おばあさんたちを懸命に手招きした。
+-+-+-+
ジュンモ(インタビュー)「本当にいいところを選んだみたいですね。お年寄りの方々も純朴で」
そこへお年寄りがやってくる。「あれドローンでしょ?」「この前”6時私の故郷”の撮影でも、ああいうの飛ばしてたわ」
「PDさん」おばあさんがジュンモに声を掛けた。
おばあさん「私らの出演料、現金でくれるんですか?それとも商品券?」
ジュンモ「あ、その… 作家と一度…確認してご連絡します」
「ありがとうございます」おばあさんは丁寧に礼を言い、立ち去った。
ジュンモ「ドローンご存知なんだな」
+-+-+-+
出演者はそれぞれ、お世話になるおばあさんと共に、6手に分かれた。
シンディペアに同行するのは、スンチャンだ。
おばあさんは彼らの前をどんどん歩いて行く。
スンチャン「おばあさん、ゆっくりでいいんです。時間はたっぷりありますから」
おばあさんが振り返る。「ところで、誰が歌手なんです?」
スンチャン「え?」
おばあさん「二人のうちどっちが芸能人?」
シンディ「あの… おばあさん、私が誰なのかご存知ありませんか?」
おばあさん「私はね、芸能人はソン・へしか知らないんだけど」
シンディ「私もすごくたくさんテレビに出てるんですよ」
おばあさん「名前は何て言うんだい?」
シンディ「シンディです」
おばあさん「何て?」
シンディ「シンディ」
おばあさん「変な名前だねぇ」
おばあさんがクルリと身を翻し、再び歩き出した。
「ふふっ」スンチャンが思わず笑う。
シンディ「可笑しいですか?」
スンチャン「…可笑しいねぇ(※おばあちゃんの方言を真似て)」
#しばらく笑い転げ、そして上手く訳せなくて頭を抱えました。
シンディ「(絶句)笑い取ろうとしたの?今」
スンチャン「…。」
シンディ「今のジョーク?まさか?!」
スンチャン「…すみません」
しょんぼりして歩き出したスンチャンを、シンディは笑って追いかけた。
#シンディが走って追いかけたのに思わずホロッときた^^
+-+-+-+
シンディ(インタビュー)「そりゃ戸惑いますよ。私も一応10年やってきて、CMやらドラマやら、各種のショー、年末授賞式、そういうのにずっと顔を出して来たんだし。正直、韓国に私のこと知らない人はいないと思ってたのに。(おばあさんの方を指し)ははっ、私のことご存知ないって。だけど、嫌だとは思いませんでした。私のこと全く知らない方だなんて、いい感じ♪ 気楽で、自由で」
+-+-+-+
おばあさんの家の門を入ると、シンディはおばあさんに駆け寄った。「おばあさん!」
シンディ「釜で火を炊いてご飯作るんですか?」
おばあさん「釜?戦時中じゃないんだよ」
シンディ「?」
おばあさん「私らだって圧力鍋を使うんだから」
シンディ「じゃ、釜の蓋でジョンを焼いたりも?」
おばあさん「フライパンがあるからねぇ」
二人のやり取りに、スンチャンとカメラマンがニヤリと笑う。
キョトンとしているシンディを残し、おばあさんは家の中へ入っていった。
+-+-+-+
家の中へ入った途端、シンディは驚いて目を見張る。
内装はとても新しいものの、棚の中はごちゃごちゃで乱雑だ。
冷蔵庫を開けて思わず顔をしかめた彼女は、何とか心を落ち着かせた。
一晩泊まる部屋に入ると、彼女は押入れの布団をめくってみた。
シンディ「おばあさん、これいつ洗ったんですか?」
おばあさん「それは新しいのだよ」
シンディ「?」
シンディは布団の表示を見て、ハッと息を呑んだ。【2002年ワールドカップ記念】
シンディ「2002年から今まで一度も洗ってないんですか?!」
おばあさん「新品だからねぇ」
シンディ「…わぁ」
+-+-+-+
シンディはたらいに水を溜め、一生懸命裸足で布団を踏んだ。
縁側にスンチャンとカメラマンがいる。
シンディ「布団がね…」
スンチャン「え?」
シンディ「…思ったより大きくて」
「えぇ」生返事をして、スンチャンはカメラマンとの打ち合わせの方に忙しい。「(カメラマンに)テープどれくらい使いました?」
洗い終わった布団はとても重く、たらいから取り出すのも一苦労だ。「PDさん」
シンディ「そろそろ撮るのやめてもいいんじゃないですか?」
スンチャン「あ、はい。量は十分ですけど」
シンディ「それくらいにして、ちょっと手伝ってくださいよ」
「はい!」スンチャンはようやく気がついて、彼女の方へ駆け出す。
二人は布団の端をそれぞれ持った。
シンディ「反対に回して。ううん、その反対に」
二人でそれぞれ反対に布団を捻り、水気を絞る。
不器用に布団をクルクルと捻るスンチャンに、シンディは愉しげに笑みを受かべた。
パッと引っ張ると、スンチャンが勢いで前につんのめる。
シンディ「あはは!PDさん、私より力弱くてどうするの?」
スンチャン「いや、弱いんじゃなくて、タイミングが合わなかったから」
シンディがもう一度ふざけて思い切り布団を引っ張った。
不意打ちを食らい、スンチャンが思い切り彼女のほうへつんのめった。
シンディ「!」
スンチャン「!」
# 最終回になってシンディ♥スンチャンのドキドキがまた見られるなんて!
「…。」沈黙の後、シンディが照れ隠しに笑う。「あはは」
シンディ「ほら、私より弱いじゃない」
スンチャン「ホントに… そうじゃないんだけど」
シンディ「…。」
スンチャン「タイミングが狂ったから」
シンディ「PDさん、2002年のワールドカップはどこで見たんですか?」
スンチャン「僕は兄と何度もパブリックビューイングに行きました」
シンディが顔を輝かせる。「私も」
シンディ「私、お父さんとソウルに行って、見たことがあるんです。汝矣島公園で大きなスクリーンの前にゴザを敷いて」
スンチャン「僕も行きましたよ!家が汝矣島だから」
シンディ「どの試合だったか覚えてます?」
「…。」スンチャンが記憶を手繰り寄せるのを、シンディは期待に満ちた目で待った。
スンチャン「PK戦があった…」
シンディ「スペイン戦!」
「わぁ!」シンディが声を上げる。「不思議な感じ」
スンチャン「えぇ。もともと人がすごく多かったから」
シンディ「すごい縁じゃないけど、小さな縁とは言えるんじゃないかな」
シンディの言葉に、スンチャンは嬉しそうに笑みを浮かべた。
~~~~
あれは、イェジンのアルバムの中に、幼いころの自分を見つけたときだ。
「ジュンモ先輩との方が長いご縁だけど、僕とだってこうして小さな縁があったってことですから」興奮しながら、彼はイェジンに力説したのだった。
~~~~
「参考までにお話ししますけど」スンチャンが言う。
シンディ「?」
スンチャン「僕、シンディさんが嘘をついてたんじゃないって、知ってます」
シンディはニッコリ笑い、腕をぐいっと振る。「当然よ!」
スンチャン「ふふっ」
シンディ「”これ、あんたが干してくれるよね?”」
スンチャン「?」
シンディ「太陽でカラッカラになるように」
「当然だ」スンチャンはぎこちなく拳を握り、笑った。
#このとき、スンチャンが布団を抱えて、ふと上を見たときの一瞬がかっこ良すぎる。
シンディ、ちゃんと見てなきゃダメだってば!
スンチャンが布団を物干し竿に広げるのを眺めながら、シンディの心に温かい何かがジワジワと広がった。
+-+-+-+
スンチャン(インタビュー)「心配しましたけど、思ったより逞しくてホッとしました。だけど、他の家の話を聞いてみたら、おばあさんの前で特技を披露したり、隣の家に遊びに行ったりして、そこから選ぶみたいで。シンディさんはお手伝いさんみたいに家事ばかりしてるから、ちょっと分量が心配です」
「絵が足りてないんじゃないかな」彼は手でカメラのフレームを作り、周囲にかざす。
スンチャン(インタビュー)「僕、今、すごくPDっぽくなかったですか?」
「絵が足りてないんじゃないかな?」「分量的に問題が…」彼は嬉しそうに繰り返した。
スンチャン(インタビュー)「…そんなことないですか?」
+-+-+-+
「本当にシンディを連れて行ったのか?」局長が驚いて訊き返した。
テホCP「はい。もう記事も出ていますし、番組までひっくるめて叩かれていますね」
局長「…。」
テホCP「リアルだとか言いながら、嘘つきを使ってどうするんだ、世論を無視するのかって」
#リアルなのに嘘つき使うなとか、上手いこと言ってどーすんだかねぇ
局長「ピョン代表も知ってるだろうな」
テホCP「乗り込んでくるでしょうけど、一度来たら長くなるでしょうし、先に食事して来ませんか?」
局長「そうだな、やっぱり。今日の社員食堂、メニューは何だ?」
#あんたら徹底してるな
揃って立ち上がったところで、ピョン代表が入ってくる。
ピョン代表「お二人お揃いで」
二人はまた揃って腰を下ろした。
テホCP「腹が立ってね、話をしてたんですよ。ジュンモのヤツ、ホントに!」
ピョン代表「こちらもそれなりに何とかしようと、問題のある子を外して、可能性のある子を投入すると言ったんですけどね、ラPDは私の気持ちをわかってくれないわ」
テホCP「ご存知じゃないですか。あいつは別名”芸能局のペレ”なんですから。ダメな方向しか選ばないんだ」
ピョン代表「そこでですけど、試験番組の”スターウォーズ”、一泊の場所に入るって聞いたわ」
「…。」局長とテホCPが顔を見合わせた。
ピョン代表「うちのジニ、そこに差し上げますわ。一泊を早く打ち切って、そっちをスタートさせてくださいな」
「いやぁ」局長が言う。
局長「ピョン代表が自らいらしてそんな話をされるとは、ちょっとあれですねぇ」
ピョン代表「(余裕)」
局長「少しこじれたからってすぐ打ち切れ、問題があるからって無くせ、そんなこと言ってたら、6ヶ月以上続く番組なんてありませんよ」
ピョン代表「!」
「そうですよ、ありません!」テホCPが即座に局長に同調する。
その鮮やかな変わり身に、ピョン代表は驚いて二人を見比べた。
局長「いろんな事務所が後をつけ回して、こっちにこの子を入れろ、そっちにあの子を入れろって、そんな話を全部聞いてやってたら、PDたちがいる必要なんかありますか?」
ピョン代表「局長」
局長「打ち切りにしようが、リニューアルしようが、どこに誰を投入しようが、我々が決めることです、ピョン代表。そのために私がここにいるんですから!」
ピョン代表「あぁ、そうですか?わかりましたわ。お二人が今後私に泣き言を漏らすことにならなければいいけど」
「そんな真似されたら頭痛の種だわ」ピョン代表は立ち上がり、部屋を出て行った。
局長「…。」
テホCP「局長、本当に打ち切りになさらないおつもりですか?」
局長「知らん。カッとなって言ったんだ。行こう、メシ食いに」
+-+-+-+
イェジンたちミューバン班は、副調整室で今後の進行を打合せていた。
「先輩」イェジンがミキサーに言った。
イェジン「今週の事前収録分、リハーサルでは演奏なしで行きますね」
女性「時間がないんです」
ミキサー「OK、しっかりチェックしよう」
「いやぁ」ミキサーが感嘆の声を漏らした。「先週のシンディ、最後に上手く抜けたな」
ミキサー「今週1位は難しかったろうに」
イェジン「今週は一杯一杯よ。すごく僅差だし。強い歌手たちが勢揃いだわ」
ベテランスタッフ「1位になってたとしても出演は難しかったろうな。シンディ、当分出られないんじゃないか?」
イェジン「…。」
ミキサー「一泊二日の撮影に行ってるんだろ?ジュンモ、どういうつもりなんだ?」
イェジン「そうですね…。だけど、シンディあの子、嘘つくような子じゃないわ」
男性スタッフ「どっちにしたって、黙ってたのだって悪いですよ。暗黙の了解だったわけなんだから」
「だけど、ありゃそういうのじゃないぞ」彼よりベテランの男性スタッフが言う。
男性スタッフ「?」
ベテランスタッフ「前に俺がENG(※ハンディカメラ収録)をやってたとき、あれはいつだったかな、シンディがPinky4にいたときだ。何の番組だったか、インタビューに行ったことがある。そのとき、言ってたんだぞ、シンディが。自分は孤児だって」
男性スタッフ「そんなことがあったんなら、何で今回みたいなことに?番組を観た人だっていたはずなのに。先輩また別の人と勘違いしてるんだ」
ベテランスタッフ「見たんだって。あの子、すごく泣いてたから覚えてるんだ」
イェジン「何て言って泣いたんです?」
ベテランスタッフ「自分のせいで両親が亡くなって悲しいって。あの子、そりゃもう悲しそうだった」
イェジン「!…それって放送されたんですか?」
ベテランスタッフ「されてないはずだ、たぶん。あのとき、途中でマネージャーか誰かが打ち切ったからな。新人なんだからニコニコ笑ってなきゃいけないのに、メイクがすっかり落ちるくらい泣いたもんだから、それで切ったんだろ。PDに放送しないでくれって頼んでたみたいだ」
イェジン「それ、いつ頃のことですか?」
ベテランスタッフ「あれはそうだなぁ、7、8年になるだろうな」
イェジン「どんな番組だったんです?」
ベテランスタッフは記憶を手繰り寄せる。「芸能街中継だったかな。歌謡特集か何かで…。随分経つからよくわからないよ」
「先輩」スタッフが言った。「客席の整理しないと。もう時間だ」
イェジンは時計を見て、ハッと現実に戻った。
カフを上げ、フロアスタッフに告げる。「客席の整理お願いします」
イェジン「…。」
+-+-+-+
ジニを連れ、楽屋の扉を開けたピョン代表は、鏡の前で携帯を触っている女性に首を傾げた。
タジョンだ。
ジニ「どなたですか?」
タジョンは驚くこともなく、ゆっくりと顔を上げた。
チラリと彼女を見て、再び携帯に視線を戻す。「どちら様です?」
「ピョンエンタの新人歌手、ジニです」後ろにいたキム室長が場をとりなした。
キム室長「ミューバンの一番下の作家さんですよね?」
それを聞き、ピョン代表が呆れ返った。「!」
タジョン「えぇ」
ピョン代表「歌手が来たのになぜ立たないの?ここは歌手の楽屋よ、作家の楽屋じゃないわ」
タジョンはじっとピョン代表を見た。「あぁ、来たんですか」
ピョン代表「来たのかですって?!」
「…。」タジョンはジニを見ると、顔から足まであからさまに値踏みした。「スタイリストの方かと思って」
ジニ「!」
タジョン「芸能人のビジュアルじゃないから」
ジニ「代表!」
ピョン代表「一体何を言ってるの!この子のどこが芸能人のビジュアルじゃないのよ!」
タジョンがすくっと立ち上がると、ピョン代表はそのボディに圧倒されて目を丸くした。
ピョン代表「!!!」
キム室長「Oh」
#ゲラゲラ 面白すぎる
タジョン「ホントすみませんね」
ピョン代表「(絶句)」
ジニ「(絶句)」
タジョン「私、ホントにスタイリストかと」
部屋を出て行くタジョンに、キム室長はペコペコと頭を下げた。
ピョン代表「放送局の連中、今日はみんなで結託してるわけ?!」
ジニは鏡の前に腰を下ろした。「ムシャクシャするわ!」
ピョン代表「ジニ、あなた減量しなさいよ。どうして自分に厳しく出来ないの!シンディは食べないと決めたら何日も食べなかったわ」
「キム室長」ピョン代表が振り返る。
ドアの外にまだぼんやり気を奪われていたキム室長が、慌てて答えた。「はい!」
ピョン代表「この子、今日からよく見張ってなさい。食堂の外で何か食べていたら、すぐ私に報告するのよ」
+-+-+-+
ジュンモがスンチャンのところへ様子を見にやって来た。「うまく行ってるか?」
外に出て来たスンチャンが、家を振り返る。「よくわかりません」
ジュンモ「何でわからないんだよ?おばあさんと仲良く、面白く撮れてるか?」
スンチャン「仲良くは出来てるんですけど、面白いかどうか…」
ジュンモ「シンディは?」
+-+-+-+
シンディは台所にいた。
棚の食器を全部出し、整理整頓していたのだ。
ひたすら食器を磨きながら、シンディはふと溜息をついた。
シンディ「…。」
#でもね、辛いことがあったときって、確かにひたすら何かを磨くのがいいよね。
+-+-+-+
ジュンモも、シンディの整理整頓癖を前にどうすることも出来ずにいた。
ジュンモ「あの子、いつまでやってるつもりなんだ?食堂にでも就職したのか?」
スンチャン「ずっと動いてはいるんですけど、使えるほどのコメントもないし、絵的にも…。編集のときに困りはしないかって」
「先輩」スンチャンがポツリと言う。「僕、ちょっとPDっぽくないですか?」
ジュンモ「?」
スンチャン「(ポーズ)」
ジュンモ「(笑)そうだな、めちゃくちゃPDっぽいぞ」
スンチャン「うちの番組、本当に打ち切りになるんでしょうか」
ジュンモ「…。知ってるか?拍手されて終わるバラエティ番組なんてない。バラエティってのはダメになって終わるんだ。ドラマは16部作、50部作、そうやって決まってるだろ。だから、うまく行けば拍手されて華やかに終わる。ハッピーエンドだ」
スンチャンがうんうんと頷いた。
ジュンモ「だけど、バラエティは違う。拍手されれば”続けろ”って。でも、永遠に拍手してもらえるはずはない。そのうち飽きられて、ワンパターンになって、だんだん見なくなって、そのうちお荷物になるんだ。そうなれば、ようやくそこで終わる。綺麗に終わるのは難しい」
スンチャン「…。」
ジュンモ「どこか後味が悪くて、寂しいサッドエンドだ」
スンチャン「僕は、どうにかして終わってほしくないのに」
ジュンモ「俺だってそうに決まってるだろ!」
スンチャン「…。」
ジュンモ「2007年から続いてる、それなりの長寿番組なんだ。長く続いた番組ほど、それを締めくくるのが俺なのは嫌だ」
#いいシーンでしたねぇ。
ジュンモがした話、数ヶ月前にSMAPの中居くんがテレビで全く同じことを言ってたんですよね。
ドラマは最初から3ヶ月とか期間が決まってるけど、バラエティは視聴率が悪くなって終わるから、終わりが本当に寂しいんだって、そういう話。
+-+-+-+
ここで一旦区切ります。
この35分くらいの映像を訳してる間、ずっとずっとポカポカと胸が熱かったです。
まずは、あらゆる感情がたっぷり網羅されていることと。
そして、胸のすく出来事の連続!
ジヨンたちをイェジンが諭し、ピョン代表は局長やタジョンがとっちめて、男性アイドルがシンディを褒め、シンディが嘘をついていないのがベテランスタッフの口から語られ、オマケにシンディの元気な「当然よ」!
観ていてどんどんモヤが晴れていくような、気持ちのいい瞬間の連続でした。
そして、今日のジュンモはとても穏やかでカッコイイです^^
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こんなに早く最終回の内容がわかるなんて、感謝しかありません。
あらすじで、トイレでの会話の内容がわかり、ボロボロ泣きました。活字で泣くのは久しぶりです。田舎でのシンディとスンチャンのやりとりが知りたかったので、そこでも何故か泣いてしまいました。
訳すのは難しい作業なのですね。
でも、言葉一つで涙を流させるのはすごいです。
超特急での翻訳作業、心から感謝します。
最後まで楽しみにしています。
スンチャンがデートの感想で言っていた感じ、まさに今そんな感じです。