韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

引っ越し作業中です

プロデューサー5話あらすじ&日本語訳 vo.1

   

チャ・テヒョン、コン・ヒョジン、キム・スヒョン、IU出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサ」5話、パート1です。

先週分はとても作業に時間がかかり、最後はバタバタとアップする形になってしまいました。
3,4話も長い長い文章にお付き合いくださり、ありがとうございました。
ブログへのコメント、Twitterやコンタクトフォームからの応援や感想のメッセージ、ブログなどでのご紹介、共有、本当に感謝します。

さて!4話はおとぼけスンちゃんの魅力はもちろん、クルクルと表情が変わるシンディの魅力も炸裂した回でした。
二人のさらなる化学反応が楽しみです。
では、5話へ♪

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傘を広げると、スンチャンはあっという間に本降りになった雨を眺める。
間近にある彼の顔を、シンディは上目遣いにそっと見つめた。

スンチャン「?」
シンディ「!」

ふと目が合い、彼女は慌てて目をそらす。
「…。」そして、もう一度ゆっくり… 彼の横顔を見上げた。

と、雨から機材を守るカメラマンに、スンチャンが傘を持って駆け寄るまでは。

シンディ「…。」

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インタビュアー「傘を差し掛けた基準は?」
スンチャン(インタビュアー)「えーと。湿気?二人のうち、どちらが湿気に弱いか。どう考えてもカメラの方が弱いから、瞬間的な判断で」
インタビュアー「シンディさんがへそを曲げたんじゃないでしょうか」
スンチャン「…。 …? …。」

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スンチャンがテントを張るのを、シンディは渋い顔で見守った。
「ちょっとすみません」カメラマンに断り、シンディは傘を地面に置く。
スンチャンの方へ近づいていくと、彼の前にしゃがみ込み、杭を手に取った。

シンディ「はぁ、めちゃくちゃ大変ですよね」
スンチャン「え?」

「…すみません」シンディは一旦カメラを停めさせると、傘を拾い上げた。

シンディ「テントを張る映像、要らないんですか?」

「あぁ」スンチャンは立ち上がる。「はい、あったらいいけど」

シンディ「だから…。PDさんが一人で張ってるところはカットして、今からのを使えばいいんですよ」
スンチャン「…。」
シンディ「テロップは”シンディが腕前を発揮し、初めてのテントで野宿。テント張りもラブリー♥”こんな風にしてくれればいいわ。色はピンクで」

「それは難しいです」スンチャンは真顔で答える。

シンディ「ピンクが?最近のテロップはカラフルでしょう?」
スンチャン「ピンクじゃなくて、そういう嘘は無理なんです」
シンディ「ドキュメンタリー撮りにいらしたんですか?」
スンチャン「え?」
シンディ「ドキュメンタリーを撮るなら、もっと山奥に入って狸でも撮ればいいじゃない。これはバラエティじゃないですか。面白くなきゃ」
スンチャン「あ… うちはリアルバラエティなんです」
シンディ「?」

「もっと正確に言うと、”リアル野生ロードバラエティ”」スンチャンは堂々と言い放った。

シンディ「…。」

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「凄いですよ」ミンジョンがジュンモたちに声を掛けた。「今シンディの方は雨ですって」

ミンジョン「それなのに、テント張って野宿するって」
ジヨン「!」
ジュンモ「…。」
ハンナ「VJに聞いたんですけど、ジャンケンして負けたからって、シンディが荷物全部持って登っていったって。あんな急勾配を」

「はぁ…」ジュンモは深く溜息をつき、頭を垂れた。

ジヨン「どうしたんです?面白い絵になりそうですけど」
ジュンモ「前のこと思い出してさ」
皆「…。」

「先生方がいらっしゃるときのこと、思い出してみろよ」座っているジュンモが皆を見上げる。

ジュンモ「こんなことあり得なかったろ?」

ジュンモの言葉に、皆それぞれ感慨深い思いを募らせる。「あり得ませんよね」

ハンナ「雨降ってるのにテントで野宿しようって言ってみなさいよ。あんたたち頭おかしいのかって。膝が痛いから家に帰るってね」
ジヨン「ペク・スンチャン、あの子マヌケで世間知らずだからこうなったのよ。要領のいい子だったらどう?シンディにそんな大胆な真似できる?」

皆が笑った。

ハンナ「こんなときに夕飯の幸運不運ゲームまでやろうなんてしてませんよね?」
ジュンモ「いや、まさか~!」

笑ったものの、ジュンモはすぐ真顔になった。「電話してみろよ」

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もちろん、その”まさか”だ。

スンチャンが10数え、シンディは中央で真剣にゲームに励んでいた。
ジュンモ班からの電話になど出ている場合ではないのだ。

ぐるぐると10回まわった後、ふらふらと水鉄砲を広い、的めがけて発射する。
びしょ濡れの髪で、見るからに哀れな姿のシンディは、すがるようにスンチャンを見た。

スンチャン「失敗!」
シンディ「…。あぁ、キツすぎるわ、お腹ペコペコなのに」
スンチャン「それでは、夕飯の幸運不運ゲームのラストチャンスは」

スンチャンは手元のメモから顔を上げる。「”友だちから応援してもらう”です!」

シンディ「え?」
スンチャン「えっと、今日は初めての撮影だから、友だちに電話して1分以内に”ファイト”とか”頑張れ”とか応援の言葉を言ってもらえたら、ミッション成功で、夕飯が貰えます」

シンディは茫然とゲーム道具を見つめる。「コキリコをもう一回やっちゃダメかな…」

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シンディはじっと電話を見つめた。
連絡帳に並ぶ名前の上を指が迷う。

シンディ「…。」

※画面に並んでいる名前は、マネージャー、ピョン代表、傘、ピンキー4の1ユジュオンニ、ピンキー4の2クリスティンオンニ、ピンキー4の3ハヌルオンニ。以上!

スンチャン「電話を掛ける相手は決まりましたか?」
シンディ「…。」

シンディは小さく息をつくと、ピンキー4の1に電話を掛けた。

ワンコールで「電話に出られません」と自動メッセージがスピーカーフォンで流れる。
「忙しいのかな」シンディは顔を上げ、苦笑いした。

次はピンキー4の2だ。
電話が繋がった瞬間、シンディは思わず急いで話しかけた。「もしもし!」

ピンキー4の2「あんた何の用?」
シンディ「私、今一泊二日の初ロケに来てるんだけど、今これ撮ってるから」
ピンキー4の2「それで?」
シンディ「え?えーと…。私に何か言ってくれたりしないかなぁと思って」
ピンキー4の2「何て?応援でもしてあげよっか?あんた、ホント図々しいよね。もう電話しないで」

プツリと電話が切れた。
「…。」スンチャンとカメラマンが無言で顔を見合わせる。

スンチャン「…失敗」
シンディ「…。」

+-+-+-+

結局シンディは空きっ腹で一日山を歩いた末に、夕食にもありつけず、テントに入った。
スンチャンが手に機材を持ってテントを覗く。「据え置きカメラ2台だけ置いて行きますね」

シンディ「…。」

シンディは彼に背を向けたまま、頑なに下を向いた。

スンチャン「野外で眠るのが初めてだから、寝つけるかどうか…」
シンディ「…。」

「あの…」シンディの様子を気にしながら、スンチャンは外からリュックを手繰り寄せる。

スンチャン「僕も外では眠れなくて、いろいろ用意してきたんです」
シンディ「…。」
スンチャン「FDさんにはどれも要らないって言われたんだけど、もしかしたらと思って」

じっと背を向けていたシンディが、ほんの少し彼を振り返る。「?」
彼が差し出したのはヘッドフォンだ。

スンチャン「音楽でもお聞きになれば、眠れると思います」
シンディ「…。」

それでも元気のないシンディに、彼は次の道具を取り出した。「これ、読んでみてください」

スンチャン「僕が寝る前にいつも読む本なんです」
シンディ「?」
スンチャン「…。」
シンディ「私にここで本読めって?」
スンチャン「よく眠れますから」

彼女は不機嫌そうに、それでも本を受け取った。

スンチャン「あ、それから、明日の朝、寝ぐせがついてたら使ってください」

「非常用で」彼は野球帽をそっと置く。

シンディ「…。」
スンチャン「それじゃ… おやすみなさい」

スンチャンがテントから出ようとした時、シンディが口を開いた。「カットしてください」

スンチャン「…え?」
シンディ「さっきのあれ…。電話で話したの、カットしてください」
スンチャン「あ… 編集は大事な要素だから、僕の意見できることじゃないんですけど…」
シンディ「私、仲間はずれなんかじゃないんです!友だちがいないわけじゃないの、いるんです!いるけど…」
スンチャン「…。」
シンディ「みんなすごく忙しくて…。あれが放送されたら、みんな私が仲間はずれだって誤解するでしょ?それに、さっき電話に出たクリスティンだって叩かれるわ」
スンチャン「…。」

「カットしてください、絶対」悲しそうに俯く彼女を、スンチャンは静かに見つめる。

1881
そして、何も言わず、そっとテントを出た。

+-+-+-+

翌朝は清々しい青空が広がった。

「シンディが到着したそうです!」本隊に居座っているピョン代表の元に、キム室長が駆けて来た。

ピョン代表「着いたの?どこにいるのよ?」
キム室長「今、朝食のミッションだとかで、パートナーとスピードクイズをしているそうです」
ピョン代表「シンディにパートナーなんかいないじゃない。0票なんでしょ?」
キム室長「それで担当PDがやってるそうで」
ピョン代表「担当PD?誰?」

キム室長が困ったように指をさす。

ピョン代表「あのときのホットック?!」

+-+-+-+

シンディとスンチャンが本隊に合流し、全員でゲームが行われていた。

スンチャンと向かい合ったシンディの後ろに、答えを持ったミヌが立っている。
ヒントでキーワードを当てるゲームだ。

1891

#シンディ、スンチャンの帽子かぶってる♪かわいいなー

スンチャン「沿岸の砂地に生息してする海の魚で、実は分類学的には玉筋魚とは違う種類で、江原道では玉筋魚と呼ばれていて、ちょっと見た感じはドジョウと似てるけど、ドジョウよりは胴体が太いんです」

「………。」全員がぽかーんと口を開けた。

シンディ「?」
スンチャン「背中は青くて、腹は銀白色の魚」
シンディ「???」

ブブー

正解は「イカナゴ」だ。

お次は…

スンチャン「運がいいとか良くないとか、人の運勢を言う言葉です」
シンディ「…。」
スンチャン「あ、英語では…Crap Shoot!」
シンディ「…。」

ブブー

正解は「幸運不運」♪

お次!

スンチャン「石器時代以降、人類の住居形態は、家屋を建てて中に居住する形態でした。だけど、最近それとは反対に、外で…」

シンディの目がピカっと輝いた。「野宿!!!」

どんよりしていたジュンモがハッと顔を上げる。「正解!!!」
その瞬間、カメラマンが声を上げた。「テープ交換します」

そこへ割り込んできたのがピョン代表だ。「ちょっと!何でテープ替えるのよ?」

ピョン代表「当てたでしょ!あんな酷い説明だったのに、うちのシンディが当てたのよ!」

「…。」シンディがうんざりしたように下を向く。

ピョン代表「それなのにテープ交換してどうするのよ!今の撮り直してよ」

「おい、現場ちゃんと仕切れよ!」ジュンモの声で、周りのスタッフが慌てて立ち上がると、ピョン代表の両腕を掴み、連行する。

ピョン代表「英語が分からなかったところまでカットして、今正解したところから撮り直してってば!!!」

「離してよ!」スタッフの腕を振り払うと、今度はスンチャンの方へ向かった。「それからあんた!」

ピョン代表「そんな酷い説明でどーすんの!あんたのことずっと見てるからね!!!」

+-+-+-+

ジュンモはまたピョン代表の説得に時間を奪われる。

ピョン代表「シンディなのよ、あのシンディ。我が社のメインコンテンツであり、韓国の音楽市場のコア。あの子の動き一つでうちの会社の株価の色が変わるんだから」
ジュンモ「…。」
ピョン代表「シンディが一泊二日に出るって発表して以来、うちの株価はどうなったと思う?底値よ、ストップ安!真っ青よ」
ジュンモ「あのねぇ」
ピョン代表「それなのに、番組に出てもっと株価を下げるつもり?ラPD、これをお金にしたらいくらだと思う?」

#もーいい加減そろそろ耐えられなくなってきたね、このおばさん

ジュンモ「僕が知らなきゃいけないことですか?」
ピョン代表「知らなきゃ!何人もの運命がかかった問題なんだから」
ジュンモ「…。」
ピョン代表「うちのシンディをあんな物の分別もつかない青くさい新人に押し付けて、一体何してるのよ!」
ジュンモ「ピョン代表こそ一体どういうおつもりですか?コンテンツ?人がコンテンツだって?」
ピョン代表「…。」
ジュンモ「確かにね。そんな考え方だから人を相手に何しても平気なんだろうな。シンディも同じ目に遭わせるつもりですか?以前のあの子みたいに?」
ピョン代表「その話をどうして今持ち出すの?私はね、うちの子たちをスターにするための肥やしになって、人生全部捧げた人間よ!」
ジュンモ「肥やし?肥やしだって好きになれると思ってるんですか?ゴミはね、肥やしにはなれない。ゴミはただのゴミだ」
ピョン代表「!」
ジュンモ「株価?底値?そんな数字の話をしたいなら、競馬場にでも行けばいい」
ピョン代表「…。視聴率のためじゃない、あんただって」
ジュンモ「何だって?!」

1884

+-+-+-+

撮影現場にジュンモが戻ってきた。
出演者たちが集まり、食事を取っている。
その向こうの方に、ヘッドフォンをつけ、一人ポツンと膝を抱えているシンディの姿が見えた。

1883

ジュンモ「…。」

ピョン代表の言葉が胸に突き刺さる。

「あんたがいきがるのは分かるけど、あんただって視聴率のために体重が45にもならない子を一日じゅう飢えさせて、野宿させて、朝まで何も食べさせずに、自分はのんびり座ってるんじゃないの?」

1882

「あんたたちはそれに群がって、面白いだの爆笑だの絵になるだの言って、喜んでるのよ。それもこれも視聴率のためじゃないの!私の数字は浅はかで、あんたたちの数字は格調高いのかしら?」

+-+-+-+

「おい、ペク・スンチャン」ジュンモがスンチャンを呼び止めた。

ジュンモ「お前、シンディに昨日から何も食べさせてないのか?」
スンチャン「夕食のミッションに失敗して…」
ジュンモ「雨が降ってるのに道も分からなくて、何時間も迷った末にあんな時間に着いたんだぞ。しかも野宿まですることにしたんなら、融通利かせて夕食のミッションは省くべきだろうが!一口も与えずに一体何食分!!!」
スンチャン「…。すみません。分かりませんでした」
ジュンモ「何なら分かるんだ?俺はな、これ以上お前に怒る言葉が見つからん。怒ってるこの瞬間に飽々してんだ!」
スンチャン「…。」

+-+-+-+

いつも暇そうなホンスンは、今日はイェジンのところへやって来て得意のウワサ話だ。

ホンスン「それでピョン代表とジュンモの間で罵声が飛び交ってさ、で、カッとなったジュンモが新入りのヤツにブチ切れたって。現場は酷い有り様らしい」
イェジン「…。」
ホンスン「なぁ、一泊は新シーズンのスタートからこれでいいのか?局長の心配だって尋常じゃないぞ」
イェジン「一泊チームはまだ戻ってもいないのに、あんたそんなニュースどこで掴んだわけ?」
ホンスン「局長のお供で礼拝に行って聞いたんだ」
イェジン「?」
ホンスン「局長はその知らせにどうしても不安だって、もう一回お祈りしに教会へ戻られたんだから」
イェジン「あんた教会通ってんの?」
ホンスン「局長が変わってからな」
イェジン「あんたさ、前の局長のときは、仏教山岳会とかそんなのに通ってなかった?お寺に泊まったりして」
ホンスン「いつの話してんだよ?政権が変わったら、何もかも変わるんだから」

「泣けるねぇ」イェジンがからかう。「ところで、何で日曜日に来てんの?」

「本部長のミサが終わったら、聖堂の前に迎えに行くんだ」ホンスンは左手に大事に聖書を抱えて言う。「君は?」

イェジン「私はシンディのことで放通委に回答書を書かなきゃ。後でみんなと会議もしなきゃならないし」

電話の音にホンスンは飛び起きた。「本部長!ミサは終わりましたか?」

「じゃあな」ホンスンがそそくさと走って行く。「じゃあね、ステファノ!」イェジンは手を振り、彼の後ろ姿を見て笑った。

※ステファノ=キリスト教における最初の殉教者、すなわち信仰のために自らの命を犠牲にする者であったとされている。(Wikipediaより)

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一泊二日の現場では、スタッフたちが粛々と撤収作業を進めていた。
「先輩」ジュンモに声を掛けたのは、スンチャンたちに同行していたカメラマンだ。

カメラマン「ペク・スンチャンPDなんですけど、シンディが食べないからって、自分も昨日何も食べなかったんです」
ジュンモ「…。」
カメラマン「僕はお腹が空いたから食べましたけど、一口も食べなかったんですよ、最後まで。さっき先輩に怒られてるの見て、ちょっと…」
ジュンモ「食べなきゃいいのか?」
カメラマン「…。」
ジュンモ「もういい。お前だって一緒だ。そういう状況なら連絡するべきだったんだ」

そう言いながらも、ジュンモは小さく考えを巡らせた。「…。」

+-+-+-+

スンチャンがロケバスに乗り込むと、すでにスタッフたちが点々と座っていた。
彼は離れたところに腰を下ろし、リュックを抱える。
その途端、女性が乗って来たので、彼は反射的に席を空け、後ろの席に移った。
次に別のスタッフが乗って来たのを見てまた席を譲り、
移った先でまた別のスタッフに席を譲る。

結局一番後ろへ追いやられ、腰を下ろした席の隣にいたのは… ジュンモだ。
ジュンモは口を閉ざしたまま、彼から顔をそらし、じっと窓の外を見ていた。

スンチャン「…。」

バスが出発する。
スンチャンの長い長い初めてのロケが、日暮れとともに終わろうとしていた。

1885

+-+-+-+

ミューバン班がミーティングを始めていた。

イェジン「BIGBANGのステージ床、ガラスだってまだ伝えてないよね?振付を変更しなきゃいけないだろうから、早く向こうに…」

「伝えましたよ、私」タジョンが携帯をいじりながらポツリと言う。

イェジン「伝えたの?いつ?」
タジョン「たった今です」

「…。」イェジンの視線が、タジョンの携帯に移る。
隣にいる女性スタッフがイェジンの視線にドキリと目を見開いた。

タジョン「大丈夫ですって。修正するそうです」
イェジン「誰が?あんた今、BIGBANGのマネージャーとメールしてるの?」
タジョン「いえ、スンリさんと」
女性スタッフ「えっ」

タジョンは涼しい顔で立ち上がる。

女性スタッフ「あんた、スンリと仲良いの?」
タジョン「GDさんの方が仲良いですけど」
イェジン「…。」
女性スタッフ「いやぁ、私ミューバン5年やってるけど、あの子たちと一言も喋ったことないのに。あんた凄いよね」

「あのさぁ、タジョン」感心しつつ、イェジンは表情を引き締める。

イェジン「芸能人と仲良くなりたくて放送局に来てるわけ?」
タジョン「…。」
イェジン「ミーティングで何かアイディア出してって言うたびに、ギュッと口つむったまま携帯睨んでる子がさぁ、いつそんな子たちと友だちになるのよ?」

「それにあんた、その服は何よ?」イェジンの文句が止まらなくなった。「あんたアイドルか何か?」
「先輩」黙っていた男性スタッフが止めに入る。

男性スタッフ「うちのキム作家は社交性が高いからだろ。放送作家にはピッタリな長所だぞ」
女性スタッフ「(うんうん)」
イェジン「そうそう、実にとんでもない長所よ、そうよね!」

そこへ、ゾロゾロと人が歩く気配がして、彼女は腰を上げた。「?」
皆荷物を抱え、少し向こうのエリアへ入っていく。
イェジンはさっそく彼らの方へ向かった。

「おう、ペク・スンチャン」妙に静かな彼女の声に、スンチャンはギクリとして立ち止まる。

イェジン「やっと帰って来たのね」
スンチャン「はい」
イェジン「ジュンモは?」
スンチャン「会食場所に直接向かわれました。僕は荷物を運びに寄ったんです」

「…。」イェジンは彼に近づき、声を潜める。「あんた、禁酒中なのに行ってどうすんの?」

スンチャン「…。」
イェジン「当分お酒は飲むなって言ったよね。口に気をつけろって」

「ね?」黙っているスンチャンの顔を、彼女は目をパチリと開けて覗き込む。

スンチャン「だけど… 初撮影記念の会食だから、僕が抜けるのは…」
イェジン「…。」
スンチャン「出来るだけ飲まないようにします」
イェジン「…不安だなぁ」
スンチャン「…。」
イェジン「それってどこでやるの?」

+-+-+-+

シンディのマネージャーは、運転しながらバックミラー越しにシンディを見た。「会食、ホントに行くのか?」
眠っているのか起きているのか、シンディはじっと目を閉じたまま、シートに身を委ねている。

マネ「出来れば行くなって代表が。メインPDと一戦やり合ったのに、君が行ったら自分はどうなるんだって」
シンディ「だったら尚更行かなきゃ」
マネ「え?」

「PDがよく使う言葉って何?」シンディがふと目を開けた。「カットでしょ」

マネ「あぁ、そうだ」
シンディ「それはね、ただ言ってるわけじゃないの。カットは何でやる?刀でしょ?つまりね、自分たちは刀の柄を握ってるんだ(=実権を握ってる)…そういうことよ」
マネ「そうなのか?」
シンディ「特にね、編集を前にしたPDはね、刀を景気よく振りかざす(=権力をふりかざす)人たちってこと」
マネ「そうだな」

シンディは物憂げに溜息をつく。「そんなときに代表がメインPDと喧嘩したんだから、私が行ってほぐさなきゃ。それでこそ、いいカットの一つも使ってくれるだろうし、嫌なカットは切ってくれるんじゃない」

#ホントだよねぇ。番組のために、嫌なことも全部我慢して、あんなに頑張ったのに。

マネ「ホントにそうだな。早く行こう」
シンディ「もう… そんな早く行かなくてもいいってば」
マネ「?」
シンディ「私はシンディよ。店のそばの見えないところに車をつけておいて、他の子たちがみんな来たかな?と思ったら、そのとき入るのよ」
マネ「あぁ」

+-+-+-+

出演者とスタッフたちがもうすっかり集まり、会食が始まっていた。

テホCP(←ちゃっかりいる)がチラチラと会場を見る「なぁ、シンディは来ないのか?」
向かいに座っているジュンモも、後ろを振り返った。

#テホCPの気合の入ったパーマがきになる(笑

テホCP「この場の実質的主人公なのにさ」
ジュンモ「先輩」
テホCP「ん?」
ジュンモ「あそこにいるの、奥さんじゃないのか?先輩の子どもたちと」

向こうのテーブルで、ゴキゲンに食事をしているご婦人が一人。その前に座っているのは、テホCP秘蔵の娘ではないか。

テホCP「あぁ。いや、女房と娘には偶然合ったんだ、店の前でな」
ジュンモ「(ジロリ)」
テホCP「ちょうど飯時だから、食って行けって」
ジュンモ「あぁ~、偶然ねぇ」
テホCP「あぁ」

ジュンモが料理に箸を伸ばす。

テホCP「シンディは来ないのかって。娘がシンディのファンなんだ。いつ来るんだ?」

+-+-+-+

シンディは店のそばで退屈そうに腕を組み、時間を持て余していた。
彼女の前で、マネージャーが壁の向こうを覗きこんでいる。「ほとんど来たみたいだ」

「誰がほとんど来たわけ?」突然後ろから声が飛んできて、二人は揃って振り返った。
イェジンたちミューバン軍団が怖い顔で立ちはだかっていたのだ。

イェジン「また会ったわね、シンディ」

イェジンに呼びかけられ、シンディはキョトンとして彼女を見る。「どなた…?」

イェジン「私?ミュージックバンクのタク・イェジンPDよ。覚えてるでしょ?」
シンディ「…。」
イェジン「覚えてないはずないんだけど」

#いつもそばで機嫌を窺ってる女性スタッフの素早い目の動きが天才的(笑

シンディ「あぁ~、お化粧なさってないから気づきませんでした」
イェジン「…。」

「ごめんなさい」シンディは明るく笑い、会釈してみせる。

シンディ「私たち、今日そこで食事会があって」

「先に入ります」シンディは最後まで優雅に背を向けた。

イェジン「…。」

+-+-+-+

化粧で気合を入れ直し、乗り込んできたイェジンはゆっくり会場を見渡した。
彼女に気づいたスンチャンが、ジュンモに声を掛ける。「イェジン先輩たちがいらっしゃってます」

ジュンモ「おう、お前ら日曜日にどうした?」
イェジン「こっちもミーティングあってね」

近くの席で食事をしているシンディを、彼女はチラリと見た。

イェジン「どこかの歌手のせいで、私、放通委に行かなきゃいけなくなってさ。その準備も兼ねてね」

「こっち来いよ」テホCPが手招きする。

イェジン「いいんです。うちは反省文書かなきゃいけないのに、お祝いムードの一泊チームに合流するのはちょっと」
スンチャン「…。」

「あっち行こ」イェジンは刺々しい空気をさんざん振りまき、別の席へと移った。

ジュンモ「全く…」

+-+–+

空いている席に腰を下ろし、イェジンはそばに店員の姿を探す。「何で誰もいないの?」

イェジン「…。」

あれ?ふと周りを見ると、彼女は一人だ。「???」
後ろを振り返ると、部下たちがさっさと一泊チームに混じってよろしくやっているのが見えた。

イェジン「おい!ミューバン!」
皆「…。」
イェジン「こっち来なさいってば」

「…。」ミューバンチームが無言でイェジンのテーブルへ戻る。

+-+-+-+

しばらく時間が経った。

テホCP一家がシンディと記念撮影をしている。
その様子を静かに眺めているのは、いつの間にか集まっていたジュンモ、イェジン、そしてスンチャンだ。

「ねぇ」イェジンが嬉しそうにジュンモをつつく。

イェジン「あれ見なさいよ。テホ先輩が部長だからってニコニコしてたくせに、いなくなった途端表情が変わったの観た?」
ジュンモ「…。」
イェジン「そういう子なのよ。顔を使い分けるの。あんな子が上手く行っちゃダメなんだってば」
ジュンモ「お前キツすぎるぞ。芸能人だからって24時間ニコニコしてなきゃいけないのかよ?」

二人の様子を、スンチャンは目をパッチリ開け、じっと見守る。

イェジン「あんた、シンディの味方なわけ?」
ジュンモ「お前が話にもならん言いがかりつけるからだろ」
イェジン「あんたさ、私が悪口言った芸能人が男でも同じこと言う?」
ジュンモ「お前は男のアイドルを悪く言ったりしないだろ。女だけだ」
イェジン「まぁそうね…」
スンチャン「(じーっ)」

+-+-+-+

いつの間にかジュンモはよそへ移り、イェジンはスンチャンと二人になっていた。
「ねぇ」イェジンがグラスをカチンと合わせる。「撮影のとき、どうだった?」

イェジン「自分勝手に、あれを撮れ、これを撮れって言わなかった?ん?」
スンチャン「そんなことなかったですけど」
イェジン「やれって言ってもやらないって言ったり、好き勝手に撮影止めたりしたでしょ?ん?」
スンチャン「…してませんけど?」
イェジン「あんたにキレたりとか1回もなかったの?たったの1回も?」
スンチャン「…。」
イェジン「よく思い出してみてよ」

「…。」よくよく考えた末に、スンチャンは口を開く。「キレました」
「ほらね」イェジンはようやくホッと息をつく。

イェジン「あの子PDをバカにしてるのよ」

彼女は後ろを振り返った。
ジュンモがイェジンと何やら話しているのが見える。

ジュンモ「初撮影ホント頑張ったよ。あんなふうにやればいい」

シンディが楽しそうに笑う。
「大丈夫だって」ジュンモの柔らかい声が漏れ聞こえてきた。

1886

イェジン「…。」

「チッ」イェジンが寂しそうに向き直るのを、スンチャンはそっと見つめた。

1887

+-+-+-+

そして…
いよいよイェジンは宿敵シンディと対峙していた。
隣でジュンモが彼女のグラスにビールを注ぐ。

#メイン4人の集合♪ワクワクしますねぇ

イェジン「ジュンモにとっては日常茶飯事だろうけどさ、私は放通委に出動するなんて初めてだから」

「…。」シンディとスンチャンは、毒づくイェジンの前でどこまでも無表情だ。

イェジン「私、何着ていけばいいの?ジュンモ。あんたはそっちの分野じゃ専門家でしょ?」
ジュンモ「身綺麗にしろ、小ざっぱり。正装だ」
イェジン「自戒の意味を込めて韓服を着ていくのってどう?そうすれば委員の人たちも伝統的な雰囲気みたいなのを気に入ってくれるんじゃないかな」
ジュンモ「それじゃ反抗してるって逆に嫌がられるぞ」
イェジン「そう?とにかく、そのこと考えるだけで落ち着かないのよね。放通委に行くの初めてだから」

「私のせいで放通委にいらっしゃるんですね」じっと黙っていたシンディが口を開く。

シンディ「申し訳ないわ」
イェジン「いや、何も私はさぁ、わざわざそうやって謝ってもらいたくて言ってるわけじゃないけど」
シンディ「だけど私、自分じゃ理解できなくて。だって、あの日の衣装、綺麗だと思いませんでした?」

「あのとき綺麗だっておっしゃったでしょ?」彼女は隣のスンチャンを振り返った。
「えっ?!」そう驚いて、スンチャンは思わずイェジンを見る。
イェジンとジュンモが、じーっと彼の答えを待っていた。

スンチャン「僕… そんなこと言いましたっけ」

イェジンがコトンとグラスを置いた。「とにかく」

イェジン「あの日も言ったけど、公営放送じゃ困るのよ、あんな衣装は」

「だから私たちもKBSに出るときは衣装も振り付けも変えてたんですよ」隣からダラが話に入る。
「おぉ、特別制作?」スンユンが感嘆の声を上げた。

ダラ「うん。出来るだけダサくね」
タジョン「状況を見てると、シンディはよく知らなかったってことですよね」

シンディが涼しい顔で前髪をなぞる。

タジョン「あの日、PDがシンディを散々やり込めたから、腹いせにやったのかと思ってたけど」
イェジン「!!!!!」
タジョン「…そうじゃないんだわ」

「やり…込めた?誰がですか?」シンディが苦笑いした。

イェジン「いや、そうだよ~!誰が誰をやり込めたって?!」
タジョン「だってあの日、PDがシンディさんをめちゃくちゃ叱ったって、そうPDは言ってたけど」
イェジン「!」
シンディ「私が?叱られた?」
イェジン「そんなぁ、叱ったなんて表現はよくないよ」

「あのとき叱られたんですか?私が?PDさんに?」シンディがニヤリと笑う。

タジョン「楽屋でシンディをめちゃくちゃ叱ったって、PDが言ってましたよ」

「昔の話はやめなさい!」とうとうイェジンが声を荒げる。
場に沈黙が流れた。

イェジン「シンディ、私は過ぎたことにこだわるような、そんな未練がましい人間じゃないわ。放通委に出動するのだって、まぁいい経験だと思うし」

「ってことで二人で乾杯しましょ」イェジンは景気よくビールグラスを差し出した。

シンディ「私、ビール飲まないんです」

1888

シンディは焼酎のグラスを手に取り、視線をそらす。

イェジン「…。」

「俺としとけ」代わりにスッとグラスを出したジュンモと小さく乾杯し、イェジンは行き場を失ったビールを一気に飲み干した。

+-+-+-+

ここで区切ります。

野宿の夜はもう少し何か欲しかったなぁ~。残念。

ジュンモもイェジンもスンチャンもシンディも、みんな魅力的でみんな好き。
4人それぞれの微妙~な関係性で存分に楽しませて欲しいです♪

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