プロデューサー4話あらすじ&日本語訳 vo.3
キム・スヒョン、IU、コン・ヒョジン、チャ・テヒョン、出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサー」4話、終盤です。
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ラ・ジュンモ率いる一泊二日チームは、どこかの廊下でうずくまり、ひそひそと作戦を立てていた。
ジュンモが水スプレーをスンチャンに差し出す。「水を掛けるのはお前がやれ」
スンチャン「ぼぼぼ、ぼ、ぼ、僕がですか?」
ジヨン「新人PDたちがやって来たことなんです。昔、ユ・ホジンPDもやったって」
ジュンモ「スプレーで水を掛けたら、シンディがビックリして目を覚ますだろ?そしたら、すいませんって言いながら、この”カナリカーノ”を渡せばいい」
※少し前にFDが「魚醤を持って行け」と言ってましたが、”カナリ”の部分がそれ。
”カナリ”はイカナゴのことで、FDは正確にはイカナゴ魚醤と言ってました。
それをコーヒーっぽく見せかけて、”カナリカーノ”と名づけたのかなと。
ジュンモが出したのは、ストローの刺さったドリンクだ。
ジヨン「ここが超大事なんです。飲んだカナリカーノを噴き出す表情で、笑いを取らなきゃいけないから」
ジュンモ「そのとおり」
スンチャンが頷いた。
そのとき、目の前で扉が開く。
シンディのマネージャーだ。
彼はそっと出てくると、こっそり一泊二日チームを手招きした。
足音を立てぬよう、彼らは一人ずつ慎重に中へ入っていく。
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当のシンディはベッドの真ん中にチョコンと座り、手鏡を覗いていた。
ちょうどいい感じにふんわりと髪を乱す。
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ジュンモたちは広い廊下を抜け、リビングを進んだ。
マネージャーが奥の寝室のドアを開け、彼らが続く。
ジュンモに合図され、右手にカナリカーノ、左手に水スプレーのスンチャンが、天蓋付きの大きなベッドに近づいた。
そして…
思い切ってスンチャンがぶしゅっと水を掛けた瞬間、シンディが悲鳴を上げて飛び起きた。
シンディ「何なさってるんですか?!」
シンディは周りを見渡し、大勢の人に驚いて起き上がる。「な、何なの?!」
シンディ「すみません、私すごく驚いちゃって」
「失礼しました」スンチャンはタイミングよくカナリカーノを差し出した。「これでも飲んでください」
シンディ「私、朝はアイス飲まないんです、すみません」
全員「………。」
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ジュンモ(インタビュー)「徹底してましたね。ホントにビックリした感じだったし。これは前シーズンもやった作戦なんだけど、全然予想してなかったみたいだ。とりあえず作戦的には成功なんだけど、笑える感じじゃないな」
シンディのマネージャー(インタビュー)「芝居をやらせるべきかも…うちのシンディは」
インタビュア「なぜです?シンディさん、今日なにか演技なさってたんですか?」
シンディのマネージャー「そういうわけじゃなくて」
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いよいよ出掛ける時間だ。
「それじゃ綺麗すぎる。大雑把なイメージなのに」
「そんな安っぽいの履けるわけないでしょ」
マネージャーが選ぶ靴にもうるさくダメ出しをする。
「これは?」最後に出した靴を彼女が見つめていると、玄関が開いた。
スンチャンだ。
スンチャン「皆さん下でお待ちになってるので、お連れするようにって」
「えぇ、分かりました」シンディは片方の靴に足を入れ、ふと動きを止めた。
シンディ「(マネージャーに)私が行ってる間、ここを掃除してて。ううん、消毒してよ。専門業者を呼んで」
マネ「あぁ」
シンディ「何なの?この臭い、ホント」
スンチャン「あ… これ、僕の臭いじゃなくって… リュックに今、イカナゴが入ってるんですけど、漏れちゃって…」
「分かりました」手で臭いを払いながら、シンディは外へ出た。
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次々に出演者たちを乗せた車が到着する。
サンダラ・パク(2NE1)、キム・ミンジェ、キム・ジス、ミヌ(Boy Friend)、カン・スンユン(WINNER)、そしてシンディだ。
スタッフ、出演者が揃ったところで、テホCPが挨拶をし、局長が出演者たちと握手をかわす。
「一泊二日!!!」さぁ、撮影の始まりだ。
撮影の合間、キム・ジスがサンダラ・パク(以下、ダラと書きます)に話しかけた。「私、シンディの実物初めて見ました」
ダラがシンディを遠巻きに眺め、小さく溜息をつく。
ダラ「あの子、何でこの番組やるんだか」
ジス「私は新人なので別に何とも。シンディと一緒にいれば私も格が上がるかなぁって」
ダラ「ちょっと、しっかりしなよ。あんたも私も、ヘタしたらあの子に食われちゃう」
ジス「それじゃ、どうしたらいいんですか?」
ダラ「あの子にリアクションしたらダメ。可笑しくても我慢して。あんたは私が喋った時だけ笑うの」
ジス「えぇ、先輩。先輩も私にリアクションしてくれますよね?」
ダラ「うん、私たち二人で結束すれば、シンディは全部カットさせちゃうことだって出来るんだから」
ジス「えぇ、先輩」
ダラ「それから、あんまり先輩先輩言わないでよね。私が年食ってるみたいじゃない」
ジス「えぇ、先輩」
ダラ「(ジロリ)」
そのとき…
「先輩!」ニコニコして走ってきたのは、シンディだ。
「あはは♪」シンディは愛らしく笑って、頭を下げた。「こんにちは。会えて嬉しいです、先輩」
ダラ「…えぇ」
シンディ「あら、気楽に話してください。先輩のほうがずっと年上なんですから」
ダラ「…。」
シンディ「ホント、タメ口でお願いします、先輩♪」
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ダラがひどくイライラした様子でスンユンのところへやってくる。
#男の子たちの顔と名前が覚えられそうにない。ずっと服着替えないでね(焦
スンユン「あれ?先輩。いつ出発するんです?」
ダラ「先輩って言わないでってば!」
スンユン「それじゃ何て言うんすか?先輩なのに」
ダラ「ダラって言ってよ」
「分かったよ」スンユンが面倒くさそうに言う。
ダラ「あんたさ、私と同盟結ばない?今日、男から選ぶんなら、あんたは私を選ぶの」
スンユン「じゃ、女が選ぶんなら、俺を選ぶわけ?」
ダラ「うん」
スンユン「OK」
+-+-+-+
ミヌがコーヒーを2つ持ち、ジスのところへやって来ると、彼女に一つ差し出した。
ジス「私、新人だから認知度が低くて。私とカップルになってもいいんですか?」
ミヌ「僕、ホントに恋愛したくて出たんです」
ミヌは彼女のそばに腰を下ろすと、スルッと近くへ体を滑らせた。
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キム・ミンジェが目をつけたのは、意外なところだ。
「ひょっとして」彼は荷物の準備をしているミンジョンに声を掛けた。「もともと芸能人志望だったんじゃないですか?」
ミンジェ「ルックスが只者じゃないけど」
#なんてソフトボイスなんだ(笑
ミンジョン「あはっ♪よく作家っぽくないとは言われます」
ミンジェ「(ニッコリ)僕のこと、よろしくお願いしますね、お姉さん♥」
ミンジュン「えっと… はい♥」
ミンジェ「あの… 今日って、男が選ぶんですか?女が選ぶんですか?」
+-+-+-+
「今日は男性が選びます」進行係のジュンモが、出演者たちに告げる。
ジュンモ「ここで選ばれずに脱落した方たちは、そこにいる新人PDと一緒に」
ジュンモが指をさす。「手を上げて」
横でマネージャーたちに混じっていたスンチャンが手を上げた。
ジュンモ「新人PDと一緒にベースキャンプとは別の脱落地へ移動することになります。そこで一晩過ごして、明日の朝ベースキャンプへ来てくださればOKです」
スンチャンは不安そうに進行を見つめる。
ジュンモ「男性の皆さん、気持ちはもう決まりましたね?女性メンバーの皆さんは前へ出て来てください。さぁ、気持ちが決まったなら、出発!」
#え?最初に決めちゃうの?
男性出演者が女性の後ろへ移動する。
ジュンモ「それでは女性メンバーの皆さんは、1、2、3で振り返ってください」
振り返ったシンディが見たのは、誰もいない空間だ。
そう、彼女はたった一人、誰にも選ばれなかった。
#「脱落組は新人PDと」って時点で、シンディは落ちるの確定だよねぇ^^
一瞬苦い顔をすると、シンディは明るく笑った。「あはははっ、ホントにいない…」
「私、顔真っ赤でしょ」彼女は長い髪で顔を隠す。「誰もいない…」
シンディのマネージャーが電話を取り出した。
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「あの、代表」静かにデスクに向かうピョン代表のところへ、キム室長がやって来た。
キム室長「いずれお耳に入るでしょうから、先にご報告いたしますが…。今、一泊二日の現場でシンディが落ちたそうです」
「何ですって?!」ピョン代表が驚いてメガネを外す。
ピョン代表「どこから落ちたの?怪我は酷いの?!」
室長「いえ、そうではなくって、脱落です。一人振り落とされたってことですよ」
ピョン代表「どうして落とされるのよ!あそこでうちのシンディが一番売れてるのに、どうして落ちるの?!私が落とされるのどれだけ嫌いか知ってるでしょ!!!」
室長「女性メンバーの人気投票をしたんですが、シンディは一票も入らなくて」
ピョン代表「!!!」
「何てこと!!!」ピョン代表が目を剥いた。
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「大丈夫か?」マネージャーがシンディの顔を覗く。
シンディ「むしろ良かったわ。脱落して苦境に立って、困った顔も見せたし、顔も赤くなったし。超人間的で可愛いでしょ」
「バラエティなんだから、面白くなくっちゃ」シンディはどこまでも余裕を見せる。
マネ「君が大丈夫ならまぁ…」
シンディ「私はどうせあの子たちと組むつもりないし」
マネ「じゃ、誰と?」
「傘、あいつよ」シンディは何の躊躇いもなく、遠くで準備をするスンチャンを指さした。
シンディ「今、私のところに走ってこさせようか?」
マネ「え?」
シンディは車のドアを開くと、中から傘を出して開く。
KBSの傘だ!
彼女はスンチャンの方をひと睨みし、傘をさしたままクルリと回転した。
「!」スンチャンが彼女を見て、一直線に走ってくる。
シンディ「ふっ、見なさいよ。ああいう単純な子なの。全部顔に出ちゃう」
#走ってくるスンチャンの顔が笑けて笑けて何度もリピ
シンディ「むしろああいう子と組んだほうが面白いことが起きるのよ。芸能人とカップルになるより遥かに意外性もあるし」
マネ「?」
シンディ「私はトップスターなのに、すごく気さくに見えるでしょ」
マネ「そうかな?だけど、あの新人PDが君のこと好きにならなきゃダメだろ?」
#このマネさん、絶妙にちょっと面白いよねー♪
「ふはははっ」シンディが呆れたように低い笑い声を上げる。
シンディ「あのさ、私がその気にさえなれば、一泊二日の間に私に夢中にさせることだって出来るわよ」
マネ「…。」
シンディ「なぜって?あの子は…簡単だから」
そう言って、彼女は嬉しそうに走ってくるスンチャンを眺める。
スンチャン「あ、傘… 持っていらっしゃったんですね」
「ふふっ♪」シンディは最高の笑顔を彼に向け、傘をクルクルと回した。
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「こうやってPDさんと二人で行くのもすごく楽しそう♪」助手席でシンディが言った。
運転席ではスンチャンがハンドルを握り、後ろでカメラマンが一人、カメラを向けている。
スンチャン「あ、えぇ、まぁ」
シンディ「私の歌で何かご存知ですか?」
スンチャン「すみません、よく…」
シンディ「…。まぁ、そんなこともありますよね。。ラジオはあんまり聴かれないんですね」
スンチャン「これから探して聴いてみます」
シンディ「私のドラマはご覧になりました?」
スンチャン「これから探して…」
「あははっ」シンディが呆れたように笑う。「テレビもあんまりご覧にならないんだ…」
シンディ「…。」
スンチャン「…。」
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シンディ(カメラに)「ご存じなくても仕方ないですよ。私、今日はいろいろと屈辱的な目に遭いますね。あははっ、いえいえ、寂しい思いなんて。ただ、これから自惚れずにもっと頑張らなきゃ…そう思って」
カメラマンが頷きながらカメラを下ろした。
シンディ「まだ遠いんですか?他のチームは今何してるんですか?」
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さて、こちらは残りの全員が参加している本隊。
ゲームを行うテニスコートで皆が忙しく準備に追われる中、何やら場違いな人間が向こうから近づいてきた。
ミンジョン「あれ誰?」
ジュンモ「?」
ピョン代表だ。
ジュンモ「全く…。何だよ、あの女」
イリョン「撮影原本を見せないって言ったから、直接現場に来たんじゃないですか?」
ジュンモ「こっちに来させるな。俺は返事もしないからな」
立ち上がると、イリョンは満面の笑みを浮かべ、ピョン代表の方へ向かった。
「あの、代表?」ピョン代表はイリョンなどに目もくれず、ついでにジュンモにも目もくれず、あっという間に彼らの前を通り過ぎた。
ジヨン「最初から私たちのところへ来る気はなかったのね」
ピョン代表が乗り込んだのは、出演者が控えるテントだ。
ピョン代表「ちょっとあんた!何でうちのシンディを選ばなかったのよ!!!」
いきなり怒鳴られ、スンユンが驚いて立ち上がった。「どなたですか?」
ピョン代表「訊いてるのよ?!答えなさいってば!何でうちのシンディを選ばなかったのよ!言ってみなさい、どこが気に入らなかったの?」
彼女はふと残りの二人の女性に視線を移す。「この子たち?大したことないじゃない」
ピョン代表「(スンユンに)あんた、取引したのね?そうなの?」
スンユン「(逃亡)」
ピョン代表「あんたどこ?事務所はどこだっってば?!」
スンユン「YGです」
ピョン代表「YG?ヤン・ヒョンソクの?ヤン社長が言ったの?選ぶなって?」
スンユンはうんざりしてまた逃げようとした。
ピョン代表「逃げなさんなって!あんたは誰を選んだのよ?」
スンユン「サンダラ先輩ですよ」
ピョン代表「サンダラ?」
ピョン代表はクルッとダラを振り返る。「あんた事務所はどこよ?」
ダラ「…YGです」
ピョン代表「またYG?ヤン社長、とんだイカサマね!同じ事務所同士組んだわけね?ヤン社長がそうしろって?」
「あんた!」ピョン代表がまた突然標的を変える。「あんたはどこ?うちと契約する?」
「???」ミンジェがキョトンとしてピョン代表を見た。「僕ですか?」
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「撮影現場までやって来て一体何をなさってるんですか!」ピョン代表を出演者たちから離し、ジュンモが問いただした。
ピョン代表「ラPD、私とこじれてるからって、こんな形で憂さ晴らしちゃダメよ。うちの子、赤っ恥じゃないの!0票だなんて。シンディをこんな目に遭わせるつもりで連れて来たの?」
ジュンモ「わざとなわけないでしょう!0票だったんだから仕方ないじゃないですか」
ピョン代表「何が仕方ないのよ!もう一度投票させるのよ!脱落する場面は全部カットにして。うちの子を呼んで撮り直しなさい」
ジュンモ「…。」
ピョン代表「私が男の子たちをこっぴどく叱っておいたから、もうそんな真似は出来ないはずよ」
ジュンモ「バカなこと言わないでください」
ピョン代表「うちのシンディ、どこにいるのよ?!」
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カメラマン一人を連れ、スンチャンとシンディは山道をのんびり歩いていた。
シンディ「私たちこのままずっと山歩きですか?」
スンチャン「まだあと3km歩かなきゃいけないんです。着いたら夕飯を賭けて幸運不運ゲームがあると思います」
シンディ「いや、だけど、こんなふうにずっと黙々と歩いてても面白くないと思うけど…」
シンディが立ち止まる。「私たち、じゃんけんして荷物持ちしません?」
スンチャン「え?」
「私、チョキ出しますから」ニヤリとし、シンディはすぐに腕を振り上げる。「出さなきゃ負けよ~、じゃんけんぽん!」
宣言通りチョキを出したシンディは、スンチャンのグーの手に顔を曇らせた。「…。」
スンチャンのリュックを肩から下げ、自分の大きな荷物を手にぶら下げ、シンディが歩き出す。
スンチャン「やっぱり僕が持ちますから」
シンディ「いいんですよ。勝負は勝負だから」
「だけど… 女の子とこんな真剣にじゃんけんするとは」シンディが思わず笑う。
その瞬間、木の根っ子につまずき、シンディが悲鳴を上げた。「きゃっ!」
スンチャンがよろけた彼女を咄嗟に抱きとめる。
スンチャン「靴紐が解けてますね」
荷物を持っているシンディの代わりに、スンチャンは黙って膝をつき、彼女の靴紐を結んでやる。
晴れてきた森の中に、爽やかな風が吹いた。
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「シンディにやられたな」ミューバン班の空気は完全に停滞していた。
男性スタッフ「俺たちホントに1位不在でいくのか?」
タジョン「ですよね。PDさんが強く出ちゃったばっかりに…」
イェジン「…。」
そこへ、イェジンの電話が鳴った。「もしもし?」
声「イェジン、私、ジュンモの母親よ」
イェジン「あぁ、おばさん!」
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カフェへやってくると、イェジンは二人分のドリンクをテーブルへ運んだ。
イェジン「グループフルーツのジュースどうぞ」
ジュンモ母「えぇ、ありがとう」
ジュンモの母は憂鬱そうにため息をつく。
イェジン「どうなさったんですか?」
ジュンモ母「イェジン、正直に言ってちょうだい。うちのジュンモ、彼女がいるんでしょ」
イェジン「え?」
ジュンモ母「そりゃあの年齢で彼女がいるのはいいことよ。あの子も結婚しなきゃいけないから。だけど、うちに堂々と連れて来られない子みたい」
イェジン「どうしてです?」
ジュンモ母「いやね、あの子、1,2ヶ月前から私に絶対汝矣島に来るなって言うのよ。要る物があったら、自分が盤浦に行くからって」
イェジン「あぁ…」
ジュンモ母「ずいぶん久しぶりだと思って、私さっきジュンモの家に寄ってみたの。そしたら、玄関の暗証番号が変わってるのよ!何年も0000だったのに」
もちろん全て知っていることだ。イェジンは静かにうんうんと頷いた。
ジュンモ母「変だと思わない?」
イェジン「まぁ…変えたんでしょう?簡単すぎる暗証番号は危ないから」
ジュンモ母「それは大した問題じゃないのよ。少し前に、ジュンモのカード明細が盤浦の家に送られてきたんだけど、あの子最近変なところに出入りしてるみたい」
イェジン「?」
ジュンモ母「カード明細に”ソンビンジャン”ばかり10何回も書いてあるのよ」
イェジン「…。」
ジュンモ母「あら… 私、あなたにこんなことまで話しちゃって」
イェジンは思わずふふっと笑った。
イェジン「おばさん、ソンビンジャンっていうのは、すぐそこにある中華料理屋の名前ですよ。ジュンモが好きなんです」
ジュンモ母「そうなの?そうなのね?」
ジュンモの母はホッとして、半分自分に呆れたように笑った。
ジュンモ母「ねぇ、ジュンモに女の子を紹介してやってよ。周りに誰かいないの?」
イェジン「そうですね…。周りの友だちはみんな結婚してるから」
ジュンモ母「友だちはちょっとね。ジュンモが嫌がると思うわ、同い年じゃ」
イェジンはなんとか笑顔を保って大きく頷く。
ジュンモ母「後輩はいないの?後輩は。20代の」
イェジン「…。」
+-+-+-+
「さすがだな。おばさんの実力は相変わらずだ」イェジンの弟、イェジュンが言った。
このヤサグレ姉弟は、二人並んでコンビニでカップラーメンだ。
#この二人を見て、かつて「ロングバケーション」で二人並んでパチンコ打ってた、山口智子&竹野内豊姉弟を思い出した♪
弟「人の腹ん中煮えくり返すことにかけちゃ、プロだよ、プロ」
イェジン「また抜き打ちで家にいらっしゃったりしないかな。不安だわ」
「姉さん」弟がイェジンの肩に腕を回した。
弟「オレは未来の医者で、姉さんは一応専門職なのに、俺たち何てザマなんだろうな」
「専門職なら不動産取られたりしないわよ」イェジンが弟の腕を払いのける。
イェジン「はぁ、あのときお母さんがおばさんに家を渡しさえしなかったら、私たち二人ずっと優雅に暮らせたはずなのに」
弟「この前言ったろ。ジュンモ兄と結婚して俺たちの家も取り返せって」
イェジン「うるさい」
弟「何でだよ?おばさんに母さんの復讐しないきゃ」
イェジンはカップラーメンの蓋を開き、中をつまらないそうにかき混ぜる。
弟「二人は友だちだって、あんなに固く信じていらっしゃるんだから、不意打ち食らわせてやるんだよ」
イェジン「ラーメンでも食らいなさい!!」
弟「そりゃな、20年以上友だち設定で付き合ってきたんだから、簡単じゃないだろうさ」
イェジン「(溜息)」
弟「けどさ、女はどうだか知らないけど、男が女を親友として長くそばに置いてるってこと…」
弟はそこでラーメンに箸を伸ばした。
イェジン「そばに置くのが?何よ?」
弟「気持ちがあるってことだ。ある程度はな」
イェジン「…。」
弟「全くその気のない女とは友だちにもならないって」
イェジン「この間も思ったんだけどさ、あんた、何様のつもりでアドバイスするわけ?」
「何も分かってないくせに」箸てペシッと弟の頭を叩き、彼女はチッと舌打ちをした。
イェジン「…。」
+-+-+-+
夜が静かに更けていく。
イェジンは、ジュンモが開けてくれた牛乳瓶の蓋とメモを見つめて頬をゆるめ…
忙しい撮影現場で、ジュンモは眠気覚ましのコーヒーをすすった…。
+-+-+-+
「こっちじゃないですか?」落ちこぼれチームはまだ山の中を彷徨っていた。
「これはこっち向けだから」スンチャンが地図を見て、前を指差す。「こっちで合ってるみたいですけど」
肩にのしかかるスンチャンのリュックを背負い直し、シンディは前を睨んだ。
シンディ「それで、あとどれくらい行かなきゃいけないんですか?」
スンチャン「もうあと少しで着くはずです、多分」
「ふぅ」シンディが憂鬱そうに口を尖らせる。
それでも彼女は番組のために、何とか明るい表情を作ってみせた。
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【04 リアルバラエティの理解
設定は時として毒になる】
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「もう9時になるのに、早く着かなきゃ困るんじゃないですか?」シンディが言った。
シンディ「電話してみてくださいよ」
スンチャンは携帯を取り出すと、あちこちにかざした。「アンテナが立たなくて」
「バッテリー替えます」ちょうどそのとき、後ろを付いてきていたカメラマンが撮影を止め、作業を始めた。
「一体何してるんですか?」突然シンディの口調が変わる。
スンチャン「?」
シンディ「一日中、何も食べずにこうやって山道を迷わせて。天気もどんよりしてるし、不安でたまらないんだけど」
スンチャン「あ、荷物は僕が持ちます。そうじゃなくてもさっきから持とうと…」
スンチャンが伸ばした手を、シンディは頑なに避ける。
シンディ「ジャンケンで私が一日持つことに決まったのに、PDさんが荷物持ってるところが映ったら変じゃないですか!」
「私が叩かれたらPDさん責任取ってくれるんですか?」シンディはうんざりして、吐き捨てるように言った。
スンチャン「…。」
そこへ、雨が降りだした。
二人は茫然と天を見上げる。
シンディ「はぁ… どうしよう」
ガックリと下を向くシンディを、スンチャンは困ったように見つめた。
一歩、彼女に近づくと…
大きな手を傘のように彼女の頭の上にかざす。
シンディ「…?」
もう一歩… スンチャンは彼女に近づいた。
♪♪♪少しずつ近づいて
そっと声を掛ける
私たちどうかな?
もしお似合いなら
恥ずかしいけど私の手を取ってくれる?
私も君みたいに甘い想像しようかな♪♪♪
シンディ「…。」
スンチャンはもう片方の手をシンディの肩へと伸ばし、
後ろのリュックから傘を引き抜くと、パッと二人の上に広げた。
彼らを繋いだ、あの傘を…。
+-+-+-+
【エピローグ】
車の中。
シンディは手鏡の指紋を懸命に擦った。
シンディ「?」
ふと鏡の中に小さな人影を見つける。
駐車場をキョロキョロしながら近づいてくるのは、スンチャンだ。
「…。」手鏡を微妙に動かし、シンディは彼の姿を追う。
彼が車に近づいてくると、彼女は嬉しそうに笑みをこぼした。
ノックして、彼が待っている姿を、シンディは中からゆっくり堪能する。
+-+-+-+
ここでエンディングです。
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