韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

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プロデューサー3話あらすじ&日本語訳 vo.1

   

チャ・テヒョン、コン・ヒョジン、キム・スヒョン、IU出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサ」3話、パート1です。

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スタジオでバラエティ番組”アンニョンハセヨ”の収録が進んでいた。

【誰にも言えない悩みをお助けします】

「今度の悩みは”会社に行きたくない”というものなんですが」MCシン・ドンヨプが手元のカードを読む。

シン・ドンヨプ「なぜ行きたくないのか、悩み主をお呼びしてお話を伺ってみましょう」

「ご登場ください!」大きな拍手とともに、滑り台の上のカーテンが開き、一人の青年が出てくる。
はにかんだ様子のその青年は… ペク・スンチャンだ!

1841

#滑り台に座るときの膝の折り曲げ具合が最高に可愛す(笑

出演者イ・ヨンジャ「わぁ~、イケメン!」

滑り台を滑り落ち、ヨタヨタしているスンチャンに出演者キム・テギュンが手を伸ばすと、ヨンジャが駆けて来る。「私がやるわ!」
「男をみたら急に浮かれるんだから」他の出演者が突っ込んだ。
スンチャンはMCの隣に腰を下ろした。

MC「前にも会社に行くのが嫌だって、我々にお便りをくださるケースはかなりあったんですよ。

”平凡な悩み?”テレビに映るスンチャンの姿に、テロップが表示される。

MC「今回特別なのは、この悩み主がKBS芸能局に入社したばかりの新入りPDだってことなんですよね」
スンチャン「はい、そうです」
出演者チョン・チャンウ「どうして嫌なんです?」
テギュン「もう嫌になったのか」
スンチャン「僕はその…大学生の頃に好きだった先輩がいたんですけど、その先輩も芸能局のPDなんです」
出演者「わぁ!」
MC「KBSの?」
スンチャン「はい。その方に会いたい一心で放送局にはいったんですけど」
チャンウ「カッコイイねぇ」
ヨンジャ「最近こんな純情な男の人いないわよ♥♥♥」
テギュン「超純情派だな」
MC「それで、何が問題なんです?」
スンチャン「だけど、入社してみたら、その方はもう付き合ってる人が…社内恋愛で…」
ヨンジャ「あらま、何てこと…」
MC「だけど、若いんだし、他の人を探せばいいじゃないですか。よりによって芸能局のPDじゃなくてもね」
スンチャン「…。」
MC「教養やらドラマの方のPDにも目を向けてね。芸能局の女性PDたちは気が強いんですよ」

”恋愛の先輩の心からのアドバイス”というテロップが出る。

※シン・ドンヨプさんは、MBCのPDと結婚しています。

スンチャン「だけど、本当に問題なのは、その男性PDがまた他の女性PDと怪しい関係だってことなんです」

「怪しいってどういうことです?」出演者たちに”興味津々”とテロップが重なった。

スンチャン「偶然見たんですけど、会社が終わってから… 同じ家に」
全員「!」
MC「うちの番組には手に負えないよ!」
テギュン「”美女ハンティング”みたいところじゃないと」

美女ハンティング =JTBCで放送中の大人のトークバラエティー。同じくシン・ドンヨプがMCを努める。

MC「同じ家に…!」
スンチャン「先輩に言ったら傷つくだろうし、黙っているのも腹立たしいし…」

#話すうちにだんだん口が尖ってくるスンチャン(笑

スンチャン「どうしたらいいのか分からなくて、会社に行くのが嫌になってきたっていう、そんな状況で…」
MC「この悩みの当事者たちを一同に集めて、話を伺うことにしましょう!」
スンチャン「…えっ?!」
MC「この番組では、まず悩み主が出て来て、次に当事者たちが集まって、それぞれの立場の話を聞いてみるんですよ」
スンチャン「………。」

「どこにいらっしゃいます?」MCがスタジオを見渡した。「手を上げてください」
観覧席にいた2人が不機嫌そうに手を上げる。ジュンモとイェジンだ。

ヨンジャ「あの方たちね」
スンチャン「!!!」

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※ジュンモとイェジンに「さっきからずっと見てた」というテロップ

MC「ようこそ!では、お二人はペク・スンチャンさんにぜひ言いたいことがあるそうですが」

「えぇ」ジュンモがマイクを取った。

ジュンモ「(スンチャンを睨み)お前、俺の前に現れるなって言ったろ」
イェジン「(ジュンモに)言ったでしょ。あの子、ぶっ殺しちまいなって」
スンチャン「!!!!!」

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と、そこでスンチャンはハッと飛び起きた。「!!!!!」
デスクに突っ伏して、いつの間にか眠っていたのだ。
PCの画面の中では、”アンニョンハセヨ”の動画が流れている。

#面白かった。もうちょっと見たかったよねー、この番組

彼はPCの画面を恨めしそうに見つめた。
「お兄ちゃん!」そこへ部屋へ入ってきたのは、妹のユビンだ。
彼女は綺麗なプレゼントの箱を差し出した。

ユビン「明日、放送局に行くとき、ベンベンオッパに渡して」
スンチャン「?」
ユビン「もうすぐ誕生日なんだから」
スンチャン「お前のオッパは…俺だけど」
ユビン「もう、今そういう話じゃないでしょ!明日”オッパ”はKBSでスケジュールがあるから、これ♪」
スンチャン「ユビン…」
ユビン「なぁに?」

「オッパはな、会社に行きたくないんだ」スンチャンは泣きそうな顔で再び机に突っ伏した。

※ベンベン=GOT7のメンバー

+-+-+-+

翌朝。

イェジンは玄関前の牛乳袋を覗き、辺りをキョロキョロした。「ジュンモ、あんたが牛乳取ったの?」
「いや」家の中からジュンモの声が聴こえる。

イェジン「あれ?もう届いてる時間なんだけどな。牛乳泥棒かな?」

イェジンが中へ入ると、廊下の角から誰かがそっと顔を覗かせた。
それは、ペク・スンチャン。

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手には牛乳瓶を二つ握り、何やらぶつぶつ言いながら彼は外へ出て来た。「牛乳が2本あるし、それも昨日今日じゃないみたいだし…」

スンチャン(インタビュー)「あの… 僕、興奮して、いらないこと喋りすぎたかなぁって。前のヘジュ先輩の話もだし、こういうの全部、個人的な領域だし、カットしてもらえたら…」

「何期生だったっけ?」記者が言う。

スンチャン「…4、42期です」
記者「俺は34期だ。先輩だぞ」
スンチャン「…。」
記者「番組はお遊びか?」
スンチャン「…いいえ」
記者「嫌なら自分で撮って編集しろよ」

「すみません」スンチャンはペコリと頭を下げた。

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スンチャンが鞄をぶら下げてエントランスを出てくる。
少しオドオドした彼に、記者が「出勤されるんですね」といつものように声を掛けた。

スンチャン「は、はい」
記者「今日はどんな仕事をするのかご存じですか?」
スンチャン「あ、えっと… 昨日先輩たちにお聞きしたところでは、新シーズンのためにセッティングをしなきゃいけないって。どんなコンセプトで行くか決めて、一番大事なのは新メンバーをキャスティングすることだって聞きました。渉外担当の作家さんが言ってたんですけど、うちの番組は前シーズン打ち切りになってしまって、次の放送まで一週しかないから、みんなやりたがらないだろうって」
記者「それじゃ、どうするんです?」
スンチャン「こういう状況では、キジを捕まえようと時間だけ無駄にしたうえに全部ダメになる。鶏を捕まえたほうがいい”って」
記者「キジの代わりに鶏?」

#ここも放送できないね^^;

スンチャン「…はい。じゃ、僕は鶏を捕まえに行きます」

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「最近牛乳泥棒がうろついてるって聞いたけど、ホントみたい」ダイニングでイェジンがボヤいた。
ジュンモが開けられなかったジャムの瓶の蓋を、彼女は一瞬で開け、彼に差し出す。

ジュンモ「何だか逆だな」
イェジン「何が?」
ジュンモ「普通女の人は(ジャムを指し)こういうのは苦手だろ?釘も打てないし、蛍光灯も替えられない」
イェジン「?」
ジュンモ「だから、やってくれって男を呼ぶんだ。”オッパ~、これちょっとお願い♥” とか言っちゃって」

そう言って、ジュンモは楽しそうにパンにジャムを塗る。

イェジン「(笑)ヘジュがそう言うの?」
ジュンモ「何であいつの話が出るんだよ?」
イェジン「男を落とす方法もいろいろよね。あ~んして”食べさせて”とか言うわけ?」
ジュンモ「何言ってんだよ」
イェジン「確かに、あの子はKBSイチの恋愛上手よね。入社するなり、アナウンサー局のユン・ジュウォンだか、あの子と付き合って。その後すぐドラマ局のキムなんとかと…」
ジュンモ「なぁ、お前、何であいつに攻撃的なんだ?花の独身なのに恋愛しておかしいか?出来ないお前が変なんだ」
イェジン「出来ない?誰が?私はね、やらないのよ、忙しいから」

~~~~

イェジンが失恋するたび、呼び出されて泣き言に付き合ってやってるのは、ジュンモ自身だ。

「ジュンモ~!ヘソンオッパが別れようって言うの~!」
「ヒチョル一筋だったのにーっ!あいつ浮気したよーーっ!」

酔っ払った彼女をおぶって帰ることもある。

イェジン「私って飽きられるタイプなのかなぁ」
ジュンモ「飽きるもんか。飽きたら俺だって25年も付き合ってやるかよ」
イェジン「飽きられるタイプなんだよーーっ。だから3ヶ月持たないんだーーっ(泣」

~~~~

「それで?」イェジンが懸命に平静を保つ。

イェジン「私は瓶をポンと開けるし、釘もガンガン打つし、蛍光灯もマクバイガーみたいにチャチャッと替えて。だから、恋愛出来ないってわけ?」
ジュンモ「そんなこと言ってないだろ。俺はな、お前がよく知りもしないで無実の子を悪く言うから」
イェジン「その無実な子に惑わされて、口では違う違うなんて言いながら別れようとも言えずに、ズルズル引きずってるのはあんたよ」
ジュンモ「…。」
イェジン「あんたさ、そのうちハッと気がついたら結婚式場にいるかもよ」
ジュンモ「おい、俺の将来は自分で何とかするから、お前こそちゃんとやれよ。契約満期と新しいアパートの入居日も合わせられないで、他人の家に居候してるくせに」
イェジン「…。」

ジュンモは立ち上がった。「人の心配してる間に引越し先の壁紙はどうするか、ベランダはどうするか、そういうのを考えろよな」

ジュンモ「人の私生活に干渉してないで」
イェジン「何?他人?」

玄関の閉まる音が響いた。

イェジン「…。」

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「何で落ちないんです?」レシートの束を手に、ホンスンは事務局の女帝ヤンミに訴えた。

ホンスン「全部仕事で使ったのに」
ヤンミ「住んでいる住所地で使ったものや、休日に使ったものはカード処理不可です。キムPDは木洞にお住まいでしょ?」
ホンスン「それをどうして…」
ヤンミ「このレシートは全部木洞で使ったものです」
ホンスン「それじゃ木洞で仕事しちゃダメってことですか?PDの仕事ってのは、家の近くで渉外したり、作家とミーティングしたりすることもあるんだから」

ヤンミが彼を見上げる。「局長が指摘なさったことですから」
「…。」ホンスンがガッカリしてレシートを見つめる。

ホンスン「1枚だけ処理してもらえませんか?これ、58,000ウォンのを1枚だけ」
ヤンミ「…。」
ホンスン「3枚とも処理してくれとは言いませんから。この一番額の大きいのを」
ヤンミ「…。」
ホンスン「残りの14,500ウォンと9,200ウォンのは諦めるから」
ヤンミ「…。」
ホンスン「分かりました。じゃ、こっちにしてください。14,500ウォンの」

ヤンミはPCのモニターを見たまま、口を開いた。「置いて行って」
ホンスンが背を向けると、彼女はレシートを拾い上げた。「これ、スンデの店だわ」

ホンスン「え?」
ヤンミ「(レシートを見て)スンデにトッポッキ、チョンゴルですってね。キンパで済むわけないわ」
ホンスン「…。」

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「ラPD!」ジュンモを追いかけてきたのは、カン記者だ。
嬉しそうなカン記者の様子に、ジュンモは眉をひそめた。

カン記者「この間、打ち切りになるとか言っちゃって」
ジュンモ「いいって、そういうことで」
カン記者「良かったじゃないか。メンバーだけ入れ替えりゃいいんだから」

「どれどれ?」カン記者はジュンモの持っているファイルを覗き込んだ。「新メンバーは誰?」

ジュンモ「まだ決まってませんから」
カン記者「シン・ドンヨプだろ、ユ・ヒヨルと」

#名MC結集ってことですね。それも面白いかも

ジュンモ「誰がそんなこと」
カン記者「図星だな!書くぞ」

「ご自由に」ジュンモが立ち止まる。

カン記者「違うのか?」
ジュンモ「自信があるなら書けばいいんですよ。業界事情通がどうこうって、よく書いてるでしょ?」
カン記者「断られたんだな」
ジュンモ「何言ってんだ」
カン記者「つまり、オファーはしたがシン・ドンヨプとユ・ヒヨルは断ったと。そう書けばいいか?」
ジュンモ「まだ蓋も開ける前から邪魔するんですか?いい加減にしてくださいよ!」
カン記者「俺だって今日の分の仕事はしなきゃいけないんだから。誰なのか教えてくれてもいいじゃないか!」
ジュンモ「待ってろって。調整中だから」
カン記者「撮影に一週間しか使えないのに、いつまで待ってって?」

「今日だ」ジュンモは歩き出した。

カン記者「ホントか!今日じゅうに連絡くれるんだな?俺だけに」
ジュンモ「…。」
カン記者「連絡くれなかったら、シン・ドンヨプに断られたって書くからな!ホントだぞ!」

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会議室のテーブルに、ジュンモは数名のプロフィールを放り投げた。

※カン記者が言ってた、まさにシン・ドンヨプやユ・ヒヨルですね

ジュンモ「言ってみろ。どうして俺たちはことごとく断られたのか」
渉外担当ハンナ「それは…」

~~~~

ユ・ヒヨル「もちろん僕が出れば視聴率は上がるでしょうね。だけど、僕にとっては誰とやるかが大事なんですよ。ジョンシン先輩?彼は僕に対して妙なライバル意識があってね。ドンヨプ先輩?」
シン・ドンヨプ「いいね。実は僕もアウトドアバラエティをやるべき時かなぁって思ってはいたから。その代わりヒョンムも頼むよ。あいつもKBSに復帰しなきゃ」
チョン・ヒョンム「僕、今番組7本持ってるんです。一泊二日って日程自体無理なんですよ。…出演料はどれくらいなんです?」
シン・ドンヨプ「出演料が合わないって?それなら僕も出来ません。この話はなかったことに」
ユ・ヒヨル「ドンヨプ先輩はやらないって?じゃあ、僕も無理だな」
ユン・ジョンシン「ヒヨルは出来ないって?残念だな。じゃあ、俺と一緒にうちのチョ・ジョンチを出してよ。俺を慕ってるからね」
チョ・ジョンチ「先輩がそう言ってたんですか?先輩、勘違いしてるんだ。僕は外してください」
ユン・ジョンシン「ジョンチを外してどうするんだよ。あいつだってもう認知度はあるんだ。それなら俺はやらないよ」

#わー惜しい!ヒョンムさんさえOKだったら成立したのに。
韓国の人たちは超楽しめるんだろうね、こういうところ。

~~~~

ハンナ「この人がOKならあの人はNG、あのひとがOKならこの人はNGだって」
ジュンモ「そこをやるように仕向けるのが渉外ってヤツだろ」

一番端でスンチャンがじーっとジュンモを見つめる。

ジュンモ「全員OKなら渉外なんて必要ないだろ。これはな、恋愛みたいなものだ。押すだけが能じゃない、適度な駆け引きが大事なんだ」
ジヨン「それならPDがなさればいいですね。恋愛がお上手だから」
ジュンモ「(ヤケクソ)あぁ、やるさ!」

スンチャンの目がジロリと厳しくなる。「…。」

ジュンモ「やるしかないだろ。チームの非常事態なのに」

ジュンモ「お前、何でそんなに人のことじっと見てるんだ?」
スンチャン「!… な、何でもありません」

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ジュンモ「そうだ、まずお前から言ってみろ」
スンチャン「…え?」
ジュンモ「芸能局のPDを目指したんなら、何かあるはずだろ。PDになったらこれがやりたい、そうやって密かに隠し持ってるアイテム的なのが」
イリョン「やれやれ、先輩。無茶を要求しちゃダメですよ、新入りに」
ジュンモ「それならお前が何か言え」
イリョン「さっき言ったの、おかしいか?どうでもいいゲームを真剣にやるっての」
ジュンモ「どうでもいいことを言うな!」

「実は…」急にスンチャンが口を開く。

全員「?」
スンチャン「僕、ここしばらく我が国のバラエティの歴史に目を通しているんですけど」
ジュンモ「何?」
イリョン「(ジュンモに)先輩、こいつ司馬遷だよ。芸能の歴史に精通してる。三国志を書く勢いだぞ」

ほら、続けて、とでも言うように、イリョンがスンチャンに合図した。
「はい」スンチャンがにわかに活気づく。

スンチャン「興行っていうのは一種のシーケンシャル市場を形づくっているんです」
ジュンモ「何市場?」
スンチャン「つまり重機みたいなものです。一度知れ渡ったフォーマットが力を失って、もう一度弾みがつく一定の期間」
全員「(ポカーン)」
スンチャン「例えば、一時期ペット番組がすべてのチャンネルを制したことがあって…」
ジュンモ「それで何をどうしようって言うんだよ。動物王国にしようって?」
スンチャン「違います。統計上、今はその…恋愛バラエティのコンセプトはどうかと」

その瞬間、みんながうんざりしたようにため息をついた。

ハンナ「斬新さがないんじゃない?」

スンチャンはすかさずタブレットのグラフを見せる。

スンチャン「これをご覧いただくと、1995年度には”愛のスタジオ”が人気で、また7年後の2002年には”山荘合コン”が大ヒットしました。それから、さらに7年後の2009年には”私たち結婚しました”が続いたんです」

「わぁ!鳥肌立っちゃう!」ミンジョンが身を乗り出した。「ノストラダムスみたい!」

ジヨン「何がノストラダムスなんだか」
スンチャン「それで今年、恋愛コンセプトの番組を始めれば、来年2016年には…」
全員「…。」
スンチャン「大ヒット…するんじゃないかと、そう…」
ジュンモ「お前、ソウル大を出たのか?」
スンチャン「…はい」
ジュンモ「そうか、分かった」
スンチャン「…え?」
ジュンモ「分かったっつってんだ!」
スンチャン「…。」

ジュンモは慌ただしく資料を片付け始める。「俺は局長と会議があるから、みんなでどうにかしてみろ、な?」

+-+-+-+

「末っ子、へこたれるなよ」イリョンがやって来て、スンチャンの肩を叩く。

スンチャン「…。」
イリョン「テープを再利用しなきゃならないんだ。廊下の突き当りにあるから、海南編だけ全部消して持って来てくれ」

+-+-+-+

ゴミ袋をぶら下げ、イェジンが回収場所へやって来たところを、スンチャンの母フナムが目ざとく呼び止めた。「お嬢さん!」

スン母「卵の殻は飲食ゴミに捨てちゃダメなんだけど…」
イェジン「え?どうしてですか?」
スン母「飲食ゴミはね、家畜の餌を作るのに使うんです。だから、食べられないものは飲食ゴミじゃないんですよ」

スンチャンの母は穏やかに微笑む。「教職生活が長かったから、こういうことを見過ごせなくて」

イェジン「えぇ、分かりました(ゴミをそのまま捨てようとする)」
スン母「捨てちゃ駄目よ!」
イェジン「次から捨てませんから」

言うことを聞かないイェジンに、スンチャンの母は呆れた表情を浮かべる。「女の子がゴミひとつまともに捨てられないなんて」

イェジン「え?じゃあ、男の人はゴミひとつまともに捨てられなくてもいいんですか?」
スン母「え?」
イェジン「教職生活が長かったっておっしゃるから、お訊きしたんですよ。気になって」
スン母「お嬢さん、ひょっとして皮肉を…」

そのとき、スンチャンの父ポソンがやって来て、妻を呼んだ。「君」
「修理屋に行くんですか?」スンチャンの母が背を向けた瞬間、イェジンはゴミ袋をさっと回収箱へ捨て、そそくさと歩き出した。

スン母「あら、何てこと!」

+-+-+-+

「どうして近所で揉め事を起こすんだ?」黙っていられない妻を、スンチャンの父はつい責める。

スン母「大人なんだから、そのくらいいいじゃありませんか」
スン父「私は今後、汝矣島を基盤に公薦を貰わなきゃならないんだ。それなのに君が進んで近所の住民と揉め事を起こしてどうするんだ?」
スン母「…。」
スン父「まぁ、私が区長の頃から、君は内助が出来なかったがね」
スン母「何が区長よ。たった2ヶ月、代理で臨時区長をやっただけで」
スン父「何を?!君がそうやって私を邪険にするから、子どもたちに立場がないじゃないか」
スン母「あらまぁ、邪険に?言っていいことと悪いことがあるわ。正直、今まであなたをフォローするために、人事考課の管理もまともに出来ないで、他の人はみんなやってる校長にも教頭にもなれずに、割のいい教員の職まで辞めたのに!」
スン父「君が辞めたのは、カリキュラムがしょっちゅう変わって、ついていけなかったからだろ!」
スン母「ついていけないわけないでしょ!私、若い先生たちより頭の回転は速いわよ。お祈りだってヘブライ語でやってるくらいなのに!」

+-+-+-+

車を走らせながら、イェジンは桜を見て歩くカップルの姿に悪態をついた。「お忙しいことね」

イェジン「だから車が混雑するのよ。汝矣島の桜は全部根こそぎ引っこ抜かなきゃ」

~~~~

2009年 春

「ジュンモ、お花見に行こうよ」イェジンはジュンモに訴えた。

イェジン「明日雨なんだって。雨降ったら全部散っちゃうでしょ」

ジュンモはそれどころではない。
テープが積み上がったデスクで、一心不乱に作業を続ける。「無理だ。編集しないと」

ジュンモ「来年行こう」
イェジン「もう…」

「来年だ、来年。毎年咲くんだから」ジュンモは毎年繰り返す。「今年の桜はあんまり綺麗じゃない」

2013年 春

ジュンモ「去年見に行かなかったか?見てなかったっけ?見た気がするんだけど」
イェジン「…。」

そして、2014年 春

ジュンモ「酒飲みに行こうぜ!」
イェジン「?!」
ジュンモ「カラオケで”桜エンディング”歌ってやる!」

※桜エンディング=Busker Buskerの曲
ちなみにこの曲、去年の春、職場のBGMでしょっちゅう流れてて、歌詞が「もこみち~♪」って聴こえるよね、って同僚と笑ったことが^

~~~~

ハンドルを握りながら、イェジンは寂しげにカップルを眺めた。

イェジン「…。」

1838

+-+-+-+

芸能局の廊下を歩いてきたイェジンは、ふと立ち止まった。
隅っこに座り込んでいたスンチャンは、ビデオテープに印字されているタイトルを、一つ一つ熱心に修正ペンで消している最中だ。

1839

#周りに置いてある小道具が楽しいね。何の番組のか私は全くわからないけど。

イェジン「あんた何やってんの?」
スンチャン「あ、はい、テープを再利用しなきゃいけないって」
イェジン「それで?」
スンチャン「海南編だけ消せって言われて、今…。すぐ終わります」

「ふーん」イェジンが小さく笑みを浮かべる。「海南編だけ消せばいいのね」

イェジン「手伝おっか?」

「いえ!」スンチャンが慌てて立ち上がった。「ぼ、僕の仕事ですから」

イェジン「手伝ってあげたほうが良さそうだけど」
スンチャン「いいえ!」

イェジンはスンチャンの手からさっとビデオテープを奪い取ると、そばにあった機械に差し込んだ。
テープイレイザー(※磁気でテープの内容を消す機械)だ。

スンチャン「?」

差し込んだビデオテープはあっという間に出てくる。

イェジン「これでテープの内容を消せってことよ。表面のタイトルを消すんじゃないの」
スンチャン「…。」
イェジン「分からなかったら訊きなさい」
スンチャン「…はい」
イェジン「分かってても訊くの」
スンチャン「はい」

「修正ペンを使うのは上手ね」イェジンがテープを見てニヤリと笑う。「キレイだわ」
「先輩」スンチャンが深刻な様子で視線を上げた。

1840

スンチャン「すみませんが、このことは秘密に…」
イェジン「…。」
スンチャン「特にラ・ジュンモ先輩には…」
イェジン「さぁ(笑)こんな可笑しいこと黙っていられるかしら」

「お願いします」スンチャンが頭を下げる。

イェジン「それならこうしましょ。あんたに渡す修理費80万ウォンのことだけど」
スンチャン「83万ウォンですけど」

「そうね」イェジンは苦笑いを浮かべた。

イェジン「その83万ウォン、分割払いにして」
スンチャン「分割ですか?」

イェジンは頷いた。「お金がないからじゃないわ」

イェジン「あるのよ、あるんだけど、投資先が多くてね。流動資産があまりないのよ」

「だから」イェジンはポケットから出した紙幣を数えた。「とりあえず、これ。今日は3万ウォン」

スンチャン「…。」
イェジン「貰ってよ。悪く思わないで」

「ありがとうございます」仕方なく、スンチャンは3万ウォンを受け取り、頭を下げた。

イェジン「感謝してる?それじゃ、お菓子でも買って持って来なさいよ」

#はぁ~?

スンチャン「はい。何々買ってきましょうか」
イェジン「今それを見ようとしてたのよ。何々買って来るかなって」
スンチャン「?」
イェジン「それがまさにPDの勘であり、構成力なんだから」
スンチャン「…。」
イェジン「ただのお使いだと思ったでしょ?トレーニングさせてるのよ」

イェジンはクルリと背を向けた。

スンチャン「…。」

#先輩から受け取ったものを、両手で大事に持ってる立ち姿がもう…♪

+-+-+-+

「なんで子どもにそこまでさせるんだ?」テホCPは電話でいつになく神経を尖らせていた。

テホCP(電話)「自発学習能力を育てるのに塾に行かせるなんて」

電話の向こうの声に、テホCPはぎゅっと目を閉じる。「分かった」

テホCP「来月からにしろよ。ボーナスが出るだろ。おい、何でもう買ったんだよ?!ボーナスは君のものか?何で勝手に…」

そこへ誰かが入ってきたので、テホCPは唐突に通話を打ち切った。
ジュンモが殺気立った空気を察知する。「どうした?」

テホCP「お前は子ども作るなよ。教育費がどうにもならん。俺はな、子どもが学校へ入ってからスーツの一着も買えずにいるんだ」
ジュンモ「それで、放通委だって毎日俺に行かせるんじゃないか。スーツがなくて」
テホCP「冗談だと思ってんのか?本当なんだから」

「英語に、中国語に」テホCPは指を折って数え始める。「数学に、何かのスポーツ」

ジュンモ「アイドルの練習生やらせろよ。最近はプロダクションでそういうの全部教えてくれるぞ」
テホCP「そうしようか、ホントに」
ジュンモ「何の話だよ、さっさと行こう。局長が呼んでる」
テホCP「アイテムは決まったのか?」
ジュンモ「あいつらに何か出せって言ったら、恋愛バラエティにしようって」
テホCP「やれやれ、そんな古代のアイテムを」
ジュンモ「…。」
テホCP「”山荘合コン”でもやるつもりか?」

+-+-+-+

「それで、渉外はうまく行ったのか?」局長が尋ねた。

ジュンモ「まずアイテムを決めて、それに合わせてセッティングしないといけないので」
局長「それじゃ、アイテムは決まったのか?」

「慎重にするべきだと思うんですよ」ジュンモが懸命に余裕を見せる。

ジュンモ「アイディアはたくさんあるんですが、選りすぐってみたら…」
局長「何々出たんだ?」
ジュンモ「…。」
テホCP「…。」
ジュンモ「まずは、どうでもいいゲームを真剣にやるっていう…」
局長「何言ってるんだ?」
ジュンモ「それをやろうと言ってるじゃなくて、そういう意見もあったってことですよ」
局長「(頷く)」
ジュンモ「他には、アウトドアじゃなくて市街地で、例えば会社みたいなところで…」

「お前」局長の静かな声が、ジュンモの言葉を遮る。「もう忘れたのか?」

局長「”透明人間”。あぁ、私はあまりの恥ずかしさに忘れられん」
ジュンモ「…。」

透明人間=芸能人が会社を訪ねるバラエティ番組

局長「それで全部か?お前たち一体どうするつもりなんだ?」

「恋愛バラエティのアイディアも一応出たんですが」ジュンモが俯いたまま小声でつぶやく。

局長「あぁ、そりゃいいな、恋愛バラエティ!」
ジュンモ「!」
テホCP「!」

「そらみろ、俺がそう言ったろ!」すかさずテホCPが身を乗り出す。

ジュンモ「?!」
テホCP「それを最初にお話しするべきだったんだ」
ジュンモ「…。」

テホCPは一気に水を得た魚だ。「以前あった”山荘合コン” 、実に良かったじゃないですか」

局長「あれは私がやったんだ。大ヒットしたろ」
ジュンモ「…。」
局長「(ジュンモに)アイドルたちのキャスティングは心配するな。総責任者の俺が表に立ってやる。どこからにする?CUBE?YG?SM?」

+-+-+-+

まだやっと25分地点ですが、早めに区切って3つに分けますね。

 - プロデューサー

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