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夜警日誌あらすじ&日本語訳16話vol.2

   

チョン・イル、チョン・ユンホ(東方神起ユノ/ユンホ)出演、「夜警日誌」16話の後半です。 あらすじの中で表情や心の動きも拾いながら、台詞も詳細に翻訳していきますね。

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宮中で激しい頭痛に苦しみ始めたリンを、ムソクは屋敷まで送り届けた。

布団に横になる頃には、幸いリンも随分落ち着いていた。
リンの様子を、ムソクは枕元で見守る。

リン「私は大丈夫だから、もう戻れ」
ムソク「本当に大丈夫でいらっしゃいますか?」
リン「戻ってサダムの動きをよく監視するのだ」
ムソク「…それでは、ご自愛ください」

リンは頷き、目を閉じた。
立ち上がったムソクは、ふと鬼針盤が反応しているのに気づく。

ムソク「?」

ムソクは視線を小さく動かし、注意深く空間を見つめた。

ムソク「私には見えないが…」

「???」反対側の枕元に並んで座り込んでいた守護霊3人衆は、驚いて顔を上げた。

ムソク「大君のそばを守っている3人の鬼神がいると聞きました」

3人衆はゆっくりと立ち上がる。
何も見えないまま、ムソクは3人衆がいるあたりを見つめた。

ムソク「大君をよろしく頼みます」

そう言ってムソクが端正に頭を下げると、3人衆もつられたようにペコリとお辞儀をした。

ムソクが出て行くと、ソン内官はリンの姿を見下ろして溜息をつく。

ソン内官「大君様はどうしてこうお体が弱いのかしら…」
左相(霊)「大君様が休めるように、我々も出よう」

3人はそっとリンの部屋を後にした。

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ムソクは宿の地下室へ来ていた。
街の中にいたトハも一緒だ。
ムソクは今日の出来事をサンホンに報告する。

ムソク「これでサダムの意図がはっきりしたように思います。追善を口実に都に怨霊を呼び集めたのです」
サンホン「大君はどうなんです?」
ムソク「安静になさっていれば大丈夫でしょう」

「…。」サンホンはじっと考えこんだ。

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一人で眠っていたリンは、また急に顔を歪めた。
しばらく苦しそうに呻き声を上げると、ハッと両目を開く。

リン「!」

その目は獲物を狙っているかのように鋭かった。

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どうにも心配で、トハはリンの屋敷へ駆けつけた。
屋敷の庭にぼんやり立っていたのは3人衆だ。

トハ「大君は?本当に大丈夫?」
ソン内官「もともと逞しい方だから…大丈夫だと思うよ」

「リンが頭痛に苦しむようになったのは、あの夜からだ」ランイが呟く。

トハ「あの夜?」
ランイ「抑鬼が来ていた日」
左相(霊)「そういえばそうだな」
トハ「!」

トハと3人衆はすぐにリンの様子を見に向かう。
「あれ?」扉を開けた彼らが目にしたのは、空っぽになった寝床だった。

ソン内官「どこにいらっしゃったのかな?たった今までここに…」

彼らの不安は一気に高まった。

+-+-+-+

領相は梅蘭房にサダムを訪ねていた。

領相「追善祭ではどのような”からくり”を使ったのだ?」
サダム「からくりとは!本物の怨霊たちでしたが」
領相「怨霊を天へ送るなどと、そのような戯言を信じろと言うのか!」
サダム「いつかは信じることになるでしょう」

そこへヨンウォルが誰かを伴って入って来た。「お客様がおいでです」
彼女の後に姿を現したのは… リンだ。
「!」サダムと同席しているところへ現れたリンに、領相は驚いて顔をこわばらせた。

サダム「私が大君をお呼びしました」
領相「!…そなたが?」
サダム「領相大監に内密にお話があるとおっしゃいましたので」
領相「…。」

「それではお二人でお話しください」サダムは二人を残し、部屋を出た。

領相「私にお話とはなんでしょうか」

リンは懐から何かを取り出す。
血書だ!
彼は領相を睨んだまま、その血書を卓上に叩きつけた。

領相「!!!」
リン「…。」
領相「これは…」
リン「大監が我が母上を殺したと記された血書です」
領相「大君!それは事実ではありません!」
リン「そうでしょうね」
領相「?」
リン「私はこの血書の内容を信じてはいません。これは領相と私を仲違いさせるための出鱈目だと考えます」
領相「…大君?」
リン「大監がこれまで私を守ってきたことはよく知っています。しかし、兄上が本来私のものであった王位を奪おうとしたとき、それを阻止することは出来ませんでしたね」
領相「…。」
リン「ですからお願いしたいのです」
領相「何をでしょう?」
リン「奪われた王位を取り戻すつもりです」
領相「大君!!!」
リン「私が王位を取り戻す力となってください!そうすれば領相は我が国の王室を救った忠臣として、永遠に記録されることでしょう」

「それに」リンが間髪入れずに畳み掛ける。

リン「私がスリョン嬢と婚礼を挙げれば…」
領相「!」
リン「領相は王の舅となり、富と権力を享受することになります」
領相「…。」

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領相と別れたリンは、梅蘭房の二棟をつなぐ橋の上を渡ろうとしたところでサダムと出会った。

リン「?」

サダムは黙ってリンの頭上を見上げる。
リンの頭から噴き出すように、黒い邪気がうごめいているのを確かめると、サダムは満足気に微笑んだ。

サダム「話はうまくまとまりましたか?」
リン「勿論」

「気をつけてお帰りください」サダムが立ち去ろうとしたところで、リンが話を続けた。

リン「そなたが夜警師たちを目の上のこぶのように思っているのは分かっている」
サダム「…。」
リン「そなたが殿下ではなく私の配下になるなら…」
サダム「…。」
リン「私もそなたの力になろう。よく考えてみることだ」

去っていくリンを振り返り、サダムは小さくほくそ笑む。

+-+-+-+

トハ「具合の悪いお体で一体どこへ行ってしまわれたのかな?」

行方の分からないリンを案じ、トハとムソクは街の中をあてもなく歩いていた。
「ひょっとして…」ムソクが立ち止まる。

トハ「心当たりでもお有りですか?」

「…。」ムソクは慎重に考えを巡らせると、何も言わず足早に歩き出した。

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下男に聞いて門を出てきたスリョンは、彼女を待っている人影に緊張を募らせた。
リンだ…。

「大君…」背後で聞こえたスリョンの声に、リンは密かに口角を上げる。
そして、静かに振り返ると、スリョンに柔らかく微笑みかけた。

スリョン「!」
リン「スリョン嬢とすっかり疎遠になっていたようだ」
スリョン「…。」
リン「これまで私のためにあらゆる苦労を耐えてきたこと…よく分かっている」

そう言ってリンはスリョンのそばへ近づいた。
「…。」スリョンはただ黙って彼を見つめる。

リン「今後スリョン嬢の気持ちを傷つけるようなことはないだろう」

疑心暗鬼だったスリョンはようやく息をついた。「とうとう…」

スリョン「私の気持ちをわかってくださったのですか?」
リン「これから大きな志を成し遂げるため、スリョン嬢が私の力となってほしい」
スリョン「どのような理由であろうと関係ありません。大君の心さえ手に入れることさえ出来るなら、どんなことでも耐えられます」

リンはスリョンの手首を掴むと、自分の方へ引き寄せる。
そして、もう片方の手でそっと彼女を包み込んだ。

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#トハのときも思ったけど、抱き寄せる動きがすごく綺麗。

感激するスリョンを胸に抱くリンに、笑顔はなかった。

 

+-+-+-+

「!!!」急いでやって来たムソクとトハは、目の前の光景に愕然とした。
リンが… スリョンと抱き合っていたのだ。

トハ「…。」

リンの肩越しに、スリョンとトハの視線がぶつかる。
スリョンは見せつけるように、リンの背中に手を這わせた。

トハはたまらずくるりと背を向ける。
「…。」目の前で傷ついている女性に掛けるべき言葉は… ムソクは持ち合わせていなかった。

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#この瞬間のムソクの顔がとってもいい^^突然のことで自分自身もショックだし、咄嗟に何も言えずにトハを見つめることしか出来ないよね。
それにしても、何でここがわかったんだろう。スリョンではなく、領相の家だから?

とぼとぼと歩き出したトハの足は、すぐに駆け足に変わった。
一刻も早く二人から離れたかったのだ。

ムソク「…。」

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橋の下まで走ってくると、トハは川の水で顔を洗った。
カッとなって火照った頬が、冷たい水で冷やされていく。

#トハちん、メイクが取れないよう、ちゃんとほっぺだけに水を掛けております

川辺でしゃがみこむトハの後ろ姿を、ムソクは静かに見守った。

ムソク「…。」

#ここでムソクの冠の紐が風で揺れていたり、トンボか何かが前をすっと横切るのが、涼しさやゆっくり流れる時間を感じさせて好きです。
水の音も^^こういうところを今後も綺麗に撮ってほしいな。

ムソクは石段を降り、トハの隣に立つ。

ムソク「思いを断ち切らなければ、傷が増えるばかりだ」
トハ「…。」

トハは立ち上がり、頬を拭う。「私も… 分かっています」

ムソク「…。」
トハ「姉が見つかったら、私は白頭山に帰って巫女になる身です。男の人を近づけちゃいけないのに…」
ムソク「!」
トハ「それなのに… 心が言うことを聞かないんです」
ムソク「…。それが誰であろうと、他の誰かのせいで傷ついたり、心を痛めたりすることがなければいいと…そう思う」

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ムソクは小さな刺繍の入った手ぬぐいを、そっとトハに差し出した。
トハが両手でそれを受け取ると、ムソクは彼女を一人にし、黙って背を向ける。

トハ「…。」

ムソクが去っていく後ろ姿を、トハは目で追った。
彼の控えめな優しさが、今の彼女にはとても有り難かった。

+-+-+-+

呑気に屋敷の前まで帰ってきたリンの前に立ち塞がったのは、ムソクだった。

ムソク「大君の心は一体どこへ向かっているのですか」
リン「何のことだ?」
ムソク「もうおやめください」

「何だって?」リンが思わず笑う。

ムソク「大君を慕う人たちを傷つけるのは、おやめになるようにと言っているのです」
リン「君が口を出すことではない」

「…。」ムソクがさらに厳しい表情でリンに近づく。

ムソク「あの娘のことは責任を持つと、そうおっしゃいました。それに守りたいともおっしゃいました」
リン「…。」
ムソク「それなのに、むしろ傷つけたのです」

リンは片方の口角を上げ、ふっと笑った。

リン「実に感動的だ」
ムソク「…。」
リン「そのように実直な君が、なぜ殿下への忠誠を捨て、夜警師になったのか」
ムソク「!」
リン「ははは、私の恋愛問題ばかり責めていないで、君を誰よりも信頼する殿下を裏切る、そんな臣下にならぬようにすべきでは?」
ムソク「…。」

427

絶句するムソクを残し、リンは屋敷へと戻って行った。

+-+-+-+

「どうしてこんなに遅かったんですかぁ」部屋へ戻ってくると、ソン内官が思わず愚痴をこぼす。

ソン内官「待っていたんですよ、大君様」
左相(霊)「具合の悪い御方が、どちらへいらしていたんです?」
ランイ「大丈夫?どこも悪くない?」

じっと背を向けていたリンは、振り返ると同時に、3人衆を冷ややかに見た。

リン「お前たちはなぜ我が家から出て行かないのだ?」
3人衆「?」
リン「一体私に何の怨みがあってここに居座るのだ?!」

怖い顔で迫ってくるリンを前に、3人衆はジリジリと後ずさりをする。

リン「私を安心させておいて、復讐でもするつもりか?」
ソン内官「…大君様!」
左相(霊)「なぜそのような酷いお言葉を!」
ランイ「私たちはあんたを護るためにいるんだよ」

「出て行け!」リンは有無を言わさず一喝する。

3人衆「!」
リン「明日の朝、目覚めた時にまだ私の前にいたら…」

リンは窓辺の棚へと近づく。
四寅斬邪剣を手に取ると、一気に刀を抜き、3人衆へと向けた。

3人衆「!!!」
リン「お前たち全員、天に送ってやる。よいな!」
3人衆「大君様!」

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3人衆はすっかり衝撃を受け、リンの部屋を後にした。

左相「大君様は一体どうなさったんだ?」

「お心変わりしたみたい!」ソン内官が嘆き声を上げる。

ランイ「何か変だよ」

「?」ランイの言葉に、左相とソン内官は揃ってリンの部屋を振り返った。

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すっかり夜が更けていた。

リンは小さな赤い帯を食い入るように見つめた。
それは、父である先代王が白頭山に向かった時に持っていた、母の物だ。
ずっとそれを持っていたトハから、彼は少し前に受け取ったのだった。

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リン「…。」

リンの耳に、どこからか声が聞こえてくる。

「気の狂った王が中殿を殺した」
「中殿は別の男と姦通したのだ」
「気の狂った王が中殿を殺した」
「中殿は別の男と姦通したのだ」「姦通を…!」

リン「!」

リンは剣に手を掛ける。
ゆっくりとそれを抜くと、鈍く光る刃に目を走らせる。

+-+-+-+

宿の地下室へ下りてきたサンホンは、妙な殺気を感じ、部屋の奥を振り返った。

サンホン「?」

背を向けているのはリンだ。
サンホンは安堵し、息をついた。「大君」

リンは黙ってこちらを振り返る。

サンホン「どうなさったのですか?」

「!」下を向いていたリンが、刺すような視線でサンホンを見た。

リン「お前は我が母上と姦通し、父上を狂気に追い込んだ」
サンホン「!…大君?」

その瞬間、雄叫びを上げたリンは、手に持っていた刀でサンホンに斬りかかる。
大きく振りかぶった刀を避けて反対側へ回り込むと、再び襲いかかってきた刀を、サンホンは咄嗟に手に取った木棒で受けた。

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サンホン「!」
リン「!」
サンホン「大君!」

ぐいぐいと後ろの柱まで刀で押され、懸命にそれを押し返しながら、サンホンはリンに呼び掛ける。「大君!」
その瞬間、胸に痛みが走り、サンホンは思わず片手で胸を押さえた。「あっ!」
あっという間に木棒を払われると、サンホンは危ういところでリンの攻撃を避け、階段下へ回った。

+-+-+-+

サンホンは階段を上がり、宿の外まで逃げる。
執拗に追いかけてくるリンの刀を、サンホンは両手で受け止めた。

#真剣白刃取りやん!

サンホン「!!!」

無我夢中でリンの刀を押し返すうち、サンホンの頭の中にあの記憶が鮮やかに蘇る。
狂気に包まれ、自分に刀を向けた先代王だ。
今、目の前にいるリンは、まさに先代王の姿と同じだった。

サンホン「大君、お気を確かに!!!」
リン「お前の… 息の根を止めてやる!!!」

リンの刀をサンホンは避け続けた。胸は依然として疼く。
彼は痛みに耐えられず、胸を押さえて呻き声をあげた。

今度こそ… リンが思い切り斬りかかる。
と、そこへひらりと飛び込み、サンホンの代わりに阻んだのは… ムソクだった。

一緒に駆けつけたトハがサンホンに駆け寄る。

ムソク「大君、なぜこんなことを?」
リン「退け。私の前に立ち塞がる者は許さぬ!!!」
ムソク「!!!」

今度は相手をムソクに替え、一進一退の攻防となる。
二人の息遣いと刀のぶつかる音が響いた。

トハ「大君はどうしてあんなことに?!」
サンホン「鬼気に包まれていらっしゃるのだ」
トハ「!!!」

「護符を使うのです!」ムソクにサンホンの声が飛んだ。

ムソク「!」

一瞬気を取られた隙に襲いかかったリンを後ろへかわすと、ムソクは腰につけた護符を思い切り撒いた。

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リン「!!!」
ムソク「鬼気よ、出てくるがよい。鬼出!!!」

叫び声と共に、ムソクは降り注ぐ護符めがけて刀を振る。

護符が舞い上がり、リンの周りをぐるぐると渦巻く。
リンがもがき苦しむと、彼の中から黒い邪気が見え隠れした。

リン「!!!」

しばらく苦しんだ末、リンは力尽きたようにその場に倒れる。

トハ「大君!」

3人が一斉に駆け寄ると、サンホンが首筋に手を当て、脈を確かめた。

サンホン「!!!」
トハ「大君!!!」

+-+-+-+

3人はトハの部屋へリンを運んだ。

トハ「どういうことですか?目覚めないなんて」

意識のないリンを、3人はじっと見つめる。

サンホン「抑鬼の仕業なら、正気を取り戻すのは容易じゃない」
ムソク「!」
サンホン「先代王に取り憑いた鬼気が、まさにこの抑鬼だった。幻聴と幻覚を通して狂気を引き起こし、最後には周りの人々もろとも破滅させる」
トハ「治癒しなければ!鬼気を大君の体から追い出すのです。何か方法があるはず。大君を治癒する方法を教えてください!」

+-+-+-+

サンホンはリンの上半身を裸にさせ、うつ伏せに寝かせると、筆をとり、背中に除霊のための文様を描いた。

#くすぐったい!くすぐったいってば!

文様を描き終えると、周辺に鍼を打つ。
その間も胸の痛みは容赦なくサンホンを襲った。

~~~~

誰もいない霧深い宮廷で、リンは刀を手に彷徨い歩いていた。

リン「!」

ふと気配を感じて振り返ると、リンは霧の向こうに目を凝らす。
ゆっくりと姿を現したのは、抑鬼であった。

リン「私の体から出て行け」
抑鬼「お前の肉体はすでに私のものだ」

リンと抑鬼の戦いが始まった。
リンの攻撃を、抑鬼は涼しい顔でかわす。
何度も挑んだ末、リンは一瞬の隙に抑鬼の背中に護符を貼り付けた。

抑鬼「!」

抑鬼が立ち尽くした瞬間、リンが四寅斬邪剣をふるう。
煙のように抑鬼が消え、地面に残された護符が灰になった。

リン「?」

次の瞬間、背後に現れた抑鬼がリンの首を締める。
しぶとい霊だ。

抑鬼「お前は私から逃れられぬ。怨恨と怒りで狂っていくであろう」
リン「うっ!」
抑鬼「まるでお前の父親のように!」

~~~~

布団の上で、リンは苦しそうに顔を歪めた。

サンホン「抑鬼になかなか勝てずにいるのだ」
ムソク「ならばどうすれば?!先代王のように、このまま大君も狂気に支配されてしまうのですか?!」
トハ「駄目です!絶対に方法があるはず!」

「たった一つ」サンホンの低い声が響く。「最後に残った方法がある」

トハ「それは何ですか?」

+-+-+-+

リンの屋敷へと、彼らはリンを運んだ。
どういうわけかサンホンとムソク、そして3人衆が、灯りのついたリンの部屋を外で見守っている。

ソン内官「やっぱりこうしてはいられません。私が大君様のそばで見守ります」
左相(霊)「誰も入っては駄目だと言ったであろう!」
ソン内官「だけどぉ!」

「今はトハを信じるしかない」部屋をじっと見つめたまま、サンホンが淡々と言った。

ランイ「リン、頑張って!」

「…。」ムソクもまた、祈るような表情で部屋の灯りを見つめる。

+-+-+-+

リンは布団に横たわっていた。
枕元に跪いたトハは、意を決して脇に用意した箱の蓋を開ける。

千年花だ!
それは先代王を狂わせたときと同じ、黒く変質したままだった。

サンホン(声)「大君を救えるのは千年花だけだ」

#緊迫したところすみませんが、千年花の在処はどなたがご存じだったので?

トハは両手を合わせると、ただひたすら祈った。

サンホン(声)「しかし、先王が持ち帰った千年花は、邪悪な気で汚れてしまった。千年花を浄化させることができるのは、マゴ族の巫女だけだ」

全身全霊で祈るトハの顔を、大粒の汗がつたう。
小さく呻き声を上げたリンから、黒い邪気が立ちのぼった。

トハ「!」

突然の眩しさにうっすら目を開けたトハの目に飛び込んだのは、千年花が放つまばゆい光だ。
トハは千年花に手をかざし、懸命に気を送った。

白い光は虹色へと、より鮮やかに変化する。
千年花は元通り、いきいきとした色彩を取り戻していた。

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疲労困憊したトハは、リンに近づき、まだ意識の戻らない彼の顔を覗いた。

トハ「良かった。本当に良かった…」

「…。」トハはそのままぐったりとリンの上に倒れ、気を失った。

リン「?」

432

リンは静かに目を開けた。
目に入ったのは、いつもと変わらぬ自分の部屋の天井だ。

リン「…トハ?」

リンは自分の膝の上で気を失っているトハに気づき、驚いて起き上がる。

リン「トハ!しっかりするんだ!」
トハ「?」

肩を抱き起こされ、トハは我に返った。
彼女の目に入ったのは… 心配そうに自分を覗きこむリンだ。

トハ「!」
リン「!」

トハを見つめる大君の眼差しは、彼女のよく知っている眼差しだった。「大君!」
そっと… 確かめるように、彼女はリンの頬に触れる。

リン「お前が… 私を助けてくれたのだな」
トハ「!」
リン「ありがとう」

リンはトハを抱きしめた。
大切なものを慈しむように、強く。

433

そして、彼女の頬を手のひらで優しく包み込むと… 熱く口づける。

千年花の鮮やかな光が、美しく二人を染めた。

+-+-+-+

ここでエンディングです。

今回驚いたのは、なんといっても「ムソクたん、一人で鬼出!!!」なわけですが…
サンホン兄は是非とも、トハの前にムソクが半分はリンを救ったことを、リンに説明してやってくださいまし。

それにしても、先代王のときは夜警師数人で陣形を作り、気の狂った王を「鬼出!!!」したものを、新人ムソクが一人でやっちゃうとは!
先輩たちも真っ青でございます。

まぁいろいろと他にも煙に巻かれてるような気がしないでもないですが、おそらく考えても答えは用意されていないと思いますので(笑)やめましょう。
今週、話も進んで概ね面白かったですね。
イル君の狂気の演技も良かったし、美しいアクションも堪能できて嬉しかったです。

リンが正常でないとき、そうとは知らずに接した領相とスリョンが今後どう出るのか楽しみ♪

今週もお楽しみいただきありがとうございました!コメント、SNSやブログなどでのご紹介、感謝します。

追記:意識不明のリンがようやく目覚めた時、トハが彼の膝の上で倒れていて、目覚めたリンが「あれ?」ってなるシーン、「この場面、どこかで見たことある!」ってずっと悶々としてたんだけど…
今思い出した!パタリロだ!
人を謎のパワーで治療できる青年が、実は自分の命を削ってたってやつ。
懐かしいわぁ(シミジミ

 - 夜警日誌 ,

Comment

  1. ドロシー より:

    いつも日本語訳をありがとうございます。

    ムソク様、かっこいいですね^^
    それにしても、小さいときから一途にリンを想っていたスリョンちゃんが
    いろいろとリンに振り回されっぱなしで、しかも報われない恋なのが可哀そうです(泣)

  2. たんぽぽ より:

    お久しぶりです(たぶん…)

    まあ、いろいろ突っ込みどころはありますが、続く話のフラグということで…

    このドラマ見てると、大妃といいスリョン嬢といい、女は馬鹿だと言われてるような気が最初からずっとしてて、なんだか悲しくなる時があります。いつか、大逆転してくれる事を祈ります。

    パタリロですと!?
    どの話か覚えてなくて、申し訳ありませんが、わたしもパタリロ、オンタイムで読んでました!!
    このドラマから、パタリロを思い出せるyujinaさんはすごい!!

    オンタイムで韓ドラ見るのは、花男、神クシーズン4、に続いて3作目です。イル君に呼ばれて(お嬢様をよろしくで惹かれたので)見始めましたが、24話予定であっという間に16話。
    いっぱいフラグが残ってて、間に合うのか?って心配もしつつ、yujinaさんを頼りに視聴してます。これからも楽しみにしてます。ツイッターもたまに覗かせてもらってます。
    あっちもこっちもよろしくお願いします。

  3. Snow より:

    トライアングルからお邪魔させてもらってました。
    セリフの日本語訳&あらすじ、ありがとうございます。
    わかりやすくて、かなり助かっています。

    ハングルがほとんどわからないまま見てて、ランイちゃんが誰なのか、
    すごく気になってました。日本語訳読ませてもらって、なんとなく正体が
    わかりました。リンの元にずっといることに納得しました。

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