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夜警日誌あらすじ&日本語訳17話vol.1

   

チョン・ユンホ(東方神起ユノ/ユンホ)、チョン・イル出演、「夜警日誌」17話前半、ドラマのあらすじを掴みながら、セリフも丁寧に日本語に翻訳していきますね。

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「皆に心配を掛け申し訳ありません」宿の地下室へ集まると、リンはまず詫びた。

サンホン「油断すれば鬼気に侵入される可能性は皆にあります」
ムソク「夜警師である大君さえ鬼気に囚われるなら、何としてでもサダムを殿下のそばから離さなければ」
リン「全てを正すためには、サダムを排除しなければなりません」

「サダムのそばに近づくことさえ難しいんです」リンの言葉を受け、トハが指摘する。

リン「サダムは私がまだ鬼気に囚われていると思っているはず。私にいい考えがあります」

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サンホンが鋭く目を見開く。
リンは黙ってサンホンに頷いてみせた。

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塔の工事現場を視察するリンの元へ、さっそくサダムがやってきた。

リン「私と共にする決心はついたか」
サダム「…。大君の言葉を信じていいものかどうか」

リンは思わず笑う。

リン「夜警隊の棟梁を捕らえてやろう。ならば信じるか」
サダム「!」
リン「今夜、その男を昭格署へ連れて行く」

「…。」サダムがリンの間近で目を見開き、眼力を送る。
「うっ!」リンは呻き声を上げ、頭を押さえた。「急に頭が…」
その反応に、サダムは安堵したように微笑んだ。

サダム「大丈夫でいらっしゃいますか、大君媽媽」
リン「…大丈夫だ。今夜、昭格署で会おう」

リンが去った途端、隣でずっと黙っていたホジョが口を開く。「大君の言うことは信じられるのですか?」

サダム「案ずるな。抑鬼の気に囚われている」

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とりあえずはうまく騙せたものの、計画の実行には周到な準備が必要だった。
夜警師たちは再び地下室へ集まる。

ムソク「問題なのは抑鬼です。退治するには四方を塞がなければならない… そう言ったではないですか」

そう言って、ムソクは立っているサンホンを見上げる。

「私が表に出るべき時のようです」サンホンが静かに言った。

トハ「駄目です。鬼神と戦ってはいけません!」
サンホン「…。」

サンホンが何か言おうとした時、サゴンが現れる。「私がやりますよ、私が」

サンホン「君が?」
サゴン「えぇ。私も仲間に入れてください、兄貴。往年の夜警師の実力をもう一度発揮してみますよ。デカい武器を準備してね」
サンホン「…有り難い」

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サゴンの決心に、夜警師の面々にも笑顔がこぼれた。

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夜。

祠堂にいるサダムの背後で扉が開く。
姿を見せたリンは、目隠しをして両手を縛られた男を連れていた。サンホンだ。

サダムがゆっくりと振り返る。

サダム「この男を連れて来るのは容易くなかったでしょうに」
リン「薬のせいで自分がどこにいるのかも分かっていない」
サダム「こちらへ引き渡してください」
リン「この男をどうするつもりだ?」
サダム「強い気を持った男です。その気を私が手に入れるのもいいでしょう」

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リンはチラリとサンホンを見ると、冷たく背中を押した。
サンホンが目の前にやってくると、サダムは注意深く見つめ、目隠しを一気に外す。

サンホン「…。」

サンホンの目は虚ろであり、サダムを前にしてもほとんど反応を見せなかった。
サダムはさっそく手のひらを差し出し、サンホンの顔の前にかざす。
そして、その手が肩に置かれると、サンホンの目が鋭く光った。

サンホン「その汚い手をどけろ」
サダム「!」

一瞬で手首の縄を外すと、サンホンはサダムの手を払いのける。
それと同時にリンが刀を突きつけた。

サダム「大君…」
リン「…。」
サダム「私を騙したな!」
リン「私が抑鬼などに操られ、傀儡になると信じていたなら、実に愚かなことだ」

サダムは直ちに両手を広げ、術を念じた。
サンホンが胸を押さえ、苦痛に顔を歪める。

#ちょっとリンリン!何のために刀向けてんの!

リン「?」

リンが驚いてサンホンを見た隙に、サダムはリンの刀を払いのけ、外へと駆け出す。

リン「大丈夫ですか!」
サンホン「…大丈夫です。早くあやつを追ってください!」

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リンが追ってくると、サダムは逃げるのをやめ、振り返った。
そこへ、他の夜警師たちがリンに合流する。

サダムが再び両手を広げ、手のひらに気を溜めながら呪文を唱える。
リンたちの後ろから、たちまち白い煙がもうもうと湧き起こった。

夜警隊「?!」

白い煙の中から姿を現したのは、抑鬼だ。
夜警師たちはただちに抑鬼を取り囲み、四方でそれぞれの持った護符を地面に貼る。

抑鬼「!」

そして、武器を前に構え、息を合わせて気を送った。

抑鬼「!!!」

強力な気に捕われ、抑鬼は身動きが取れなくなった。

リン「今だ!」

全員がそれぞれの武器で、地面の護符を抑鬼へと弾き飛ばす。
護符が抑鬼の胸に貼り付いた。

トハが捕鬼縄で抑鬼の手首を捕らえると同時に、飛びかかったムソクが剣を振り下ろす。
抑鬼は… 一瞬にして黒く飛び散り、消えた。

「先輩は隊長のことをお願いします」リンはサンホンのことをサゴンに頼み、あとの三人で逃げたサダムを追う。

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「ホジョ!どこにいる!」慌てて逃げてきたサダムは、ホジョの姿を探した。
あてもなく走るサダムの前に立ち塞がったのは… ムソクだ。

サダム「!」
ムソク「…。」

来た道を戻ろうとしたサダムの前に、今度はリンとトハが現れる。
彼らはサダムの前後を塞いだのだ。
リンは静かに刀を向けた。

サダム「そんなもので私を殺せるとでも?」
リン「さぁ。やってみれば分かるだろう」

リンが僅かに視線を動かす。

サダム「?!」

サダムの背後で、ムソクが護符を撒くと、同時にくないを放った。
護符がくないと共にサダムへと向かう。
サダムは身を翻して避ける。

サダム「!」

その中の一つがサダムの右肩をとらえる。
直ちにサダムの動きを封じる気を送るが、サダムは自らの強力な気でそれを封じ込めた。
彼は何事もなかったように肩のくないと護符を外す。

サダム「こんなものが通じるのは鬼神だけですよ」
ムソク「!」

彼の指先で護符が燃え上がり、一瞬で消える。

今度はトハが捕鬼縄を投げつけた。
サダムは冷静に縄の先を掴み、逆にトハに邪気を送る。
「はっ!」サダムへと引き寄せられるトハを、リンが危ういところで抱き止めた。
その瞬間、サダムはリンの背中に気をぶつける。

リン「!」

そこへ飛びかかったムソクを、サダムは術で放った火の粉で弾き飛ばした。
飛ばされた衝撃で落としてしまったムソクの剣を、サダムはすかさず手に入れる。

全員「!!!」

サダムはムソクの武器を手に、ゆっくりとムソクに迫った。
「駄目!」駆け寄ったトハを制すると、サダムはトハの首を邪気で締めあげた。

トハ「!!!」

もがき苦しみながら、トハは夢中で首をおさえる。
と、そのとき、トハが手につけていた鈴輪が白く光を放った。

サダム「!!!」

サダムがふらふらとよろめくと、途端に術が解けた。
それならとムソクから奪った剣を振り上げたところへ、すかさずムソクが止めに入る。
うまく剣を奪って後ろに回りこむと、ムソクは剣でサダムを羽交い締めにした。(←ここのアクションが面白くて何度か見た。刀回すところ、綺麗だねー)

倒れていたリンが自らの剣を握る。

ムソク「今です!心臓を突いてください!」

#そんな!ムソクまで突いちゃうじゃん!

リンはまっしぐらに駆け寄ると、迷わずサダムの胸に四寅斬邪剣を突き刺した。

サダム「うっ!!!」

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その胸を刀に貫かれたまま、サダムは天を仰ぐ。
獣のような雄叫びと共に、サダムの体が干からびたように黒く変質していく。

サダムは変わり果てた姿で… その場に倒れた。

リン「!」
トハ「!」
ムソク「!」

その光景に衝撃を受けながらも、彼らはようやく息をついた。

リン「サダムを退治した。… これで終わったのだ」

リンとトハは顔を見合わせ、頷いた。
そこへ現れたのはサンホンだ。「まだ終わったわけではありません」

全員「?」

彼らの前へやって来たサンホンは、まだ胸を押えていた。

サンホン「確実に消滅させなければ」
リン「…。」
サンホン「12年前、白頭山でも再び生き返ったことがあるのです」
トハ「!」

彼らは薪を台状に組み、サダムの死体をその上に寝かせると、薪に火をつけた。
サダムの死体が火に包まれるのを、彼らは全員で静かに見守る。

火の中で、サダムは突然叫び声を上げ、起き上がる。「!!!」
ムソクがくないを投じ、サダムの額に命中させると、サダムは再び火の中へ沈んでいった。

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地下室へ戻った彼らが囲んでいたのは、護符だらけになったサダムの杖だ。

ムソク「これをどうするのですか?」
サゴン「気持ちの上じゃ、このまま焼いてしまいたいところだけど。割っちまいましょうか?…と思ったけど、怨霊たちが中に入ってるし。全く…これほど厄介なものはないよ」
サンホン「杖は封印し、中に込められた怨霊たちは百中の日に供養するのがいいだろう」

皆は無言で頷くと共に、安堵の息をついた。

※百中(または百衆)=陰暦の7月15日。この日に先祖を供養をするしきたりがありました。

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宿の人々が集まり、ようやくサダム退治の祝宴となった。
「皆さん大きな功を成し遂げたから、お酒はただですよ!」オンメが笑顔で酒を持ってくる。

チャン氏「いやぁ、今日はめでたいな!」

オンメがサンホンに酒を注ぐと、リンがムソクに声を掛ける。「君も一杯やれよ」

ムソク「大蛇の石像がなくなるまで、安心は出来ません」
リン「棒杭でも煮て食ったのか?何と頑固な…」

仕方なくリンは差し出した椀を隣のトハの椀にカチンと合わせると、酒をすすった。
「大君もどうぞ!」チャン氏に誘われ、リンとトハは中央に出て踊り始める。

「サダムをあれほどあっけなく退治したのが、気に掛かるのです」ムソクは隣のサンホンに漏らした。

サンホン「火で焼いたから、もう二度と生き返ることは出来ないでしょう」

サンホンの言葉にも、ムソクはどこか不安な様子で口をつぐんだ。

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サダムが燃え尽きた跡はすっかり黒くなり、火はほとんど見えなくなっているものの、煙がまだ上がっていた。

そこへやって来たのはホジョだ。
彼は刀の先で、燃えかすを突く。
その中から、ムソクが放った”くない”を拾い上げると、無表情でそれを見つめた。

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翌日。

妓生たちをはべらせ酒に興じているキサン君の元へ、リンがやって来た。

キサン君「なぜ宮廷に?」
リン「折り入って殿下に申し上げることがあります」

「…。」キサン君は手に持った酒を一気に流しこむ。「何だ?申してみよ」

リン「私は… 昨夜サダムを殺しました」
キサン君「何と?!サダムを?!」
リン「サダムは単なる道流ではありません。殿下を欺き、朝鮮を潰そうとした龍神族の首長だったのです」
キサン君「!」
リン「それゆえ、サダムを殺しました」

キサン君は狐につままれたように呆然とリンを見上げていたかと思うと、突然大声で笑い出した。

キサン君「お前、冗談を言っているのか?それとも気でも狂ったか?」
リン「…なぜそんなことを仰るのですか?」

渡り廊下の向こうから一人の男が現れる。
サダムではないか!!!

リン「!!!!!」

茫然とするリンに、サダムはまるで昨夜のことなど無かったかのように視線を移す。

サダム「月光大君がおいででしたか」
リン「…なぜ!!!」

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キサン君の元を離れたリンは、直ちにサダムを追った。

リン「お前は昨夜確かに死んだ。私の四寅剣でお前の心臓を刺し、死体を火で焼いたのだ!」

「夢でもご覧になったのでしょう」サダムがとぼけた様子で言う。

リン「言え。どうやって生き返った?」

詰め寄るリンの真剣な顔を楽しむように、サダムはゆっくり眺める。

サダム「なぜ大君に騙されて差し上げたか、まだお分かりになりませんか?」
リン「何?騙されてやったと?」
サダム「夜警師たちの力を試してみたのです」
リン「!」
サダム「私は永生不死の身。人の力では誰も私を殺せはしません」

サダムはムソクのくないを出すと、脅すようにリンの首筋に当てた。

リン「!!!」
サダム「無駄な抵抗はやめて、私が差し出した手をお取りください。そうすれば、領相は大君の元へ戻るでしょう」
リン「邪悪な言葉で私を惑わせようとするな!必ずやお前とあの凶悪な大蛇を朝鮮の地から追い出してやる」
サダム「そういうご決心なら、せいぜい上手くおやりください。しかし… 絶対に後悔なさいますよ」

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サダムは鋭い目でリンを睨み、その場を後にする。
サダムに手渡された”くない”を見つめ、リンは悔しさと怒りを募らせた。

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地下室へ入ってくると、リンは夜警師たちが囲んでいる卓上に”くない”を乱暴に置いた。

リン「サダムが生きていました」
サンホン「!」
サゴン「何ですって?!目の前で燃えるのを見たじゃないですか」
リン「欺かれたのは我々だったのです」

ムソクがくないを手に取り、頷いた。「あやつの額に刺した私の物に間違いありません」

トハ「一体どうなっているんですか?」
サンホン「こんなこともあろうかと思って燃やしたのに… どうして?」
サゴン「人間じゃないってことじゃないですか」
リン「永生不死の身だと、そう言っていました」
サンホン「永生不死の存在など、この世に決してありません」
リン「…。」
サンホン「何かの術法を使ったのでしょう」

サンホンが目を細め、考えを巡らせた。「遁甲の術のような…」

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どこからか連れて来た女(死体?)を台の上に寝かせ、サダムは白い布を被せた。
そして、彼が愛用する”獣の尾”から発せられる黒い気を入念に浴びせる。

しばらくした後、サダムは女の顔に掛けた布をめくった。
女が目を覚まし、起き上がると、サダムは女の顔を凝視した。
どこかで見たことのある顔に変わっている。トハだ!

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その見事な出来栄えに、サダムは高らかに笑った。

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サンホンの話は続く。

サンホン「遁甲の術とは、300年物の九尾狐の尾から引き出される鬼気を使った術法です」
ムソク「遁甲の術などと… 本当にそんな術法があるのですか?」
サンホン「邪悪な術士たちの間で伝えられた、秘術中の秘術です」
サゴン「つまり、我々が殺したのはサダムが遁甲の術で作り出した偽物だってことですか?!」

サンホンは落ち着かない様子で頷いた。「まだ推測に過ぎません」

サンホン「もう少し調べる必要があります」

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「黄金10万両です」梅蘭房主ヨンウォルは美しい封筒をサダムに差し出す。

ヨンウォル「ご満足ですか?」

封筒の中を確かめると、「黄金壱拾萬両」と記された目録が入っている。
サダムは渋い表情で封筒を卓上に戻した。

サダム「まだ足りません。蒼天塔の完成が近づけば、より多くの財物が必要になるでしょう」
ヨンウォル「今のところはこれが精一杯です」
サダム「蒼天塔が完成すれば、房主が提供した財物は十倍百倍にもなって戻ってくるのです」
ヨンウォル「!」
サダム「そうなれば、朝鮮の物産は梅蘭房のものとなるでしょう」
ヨンウォル「もっと工面するように言ってみます」

サダムは満足気に微笑んだ。

そこへやって来たのは領相パク・スジョンだ。
「お二人でお話を」領相に席を譲り、ヨンウォルは部屋を出た。

「そなたはなぜ私を欺いたのだ?」領相は椅子に腰を下ろすこともなくサダムを睨む。

サダム「大監、まずはお座りを」
領相「そなたの言葉を信じ、私は月光大君と手を組むことにしたのだ。それなのに、大君はあっという間に手のひらを返した!」
サダム「鬼神を信じぬ領相と、鬼神の見える大君が、互いに相容れることはないでしょう」
領相「何だと?」

サダムが力強く立ち上がる。

サダム「鬼神の見える者が王位につくのです。領相が本当に大志を成し遂げたいなら、互いに相容れぬ大君をも引き入れなければなりません!」
領相「!」

サダムの圧倒的な態度に、領相は口をつぐんだ。

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守護霊の二人、ソン内官と左相(霊)は随分不安な様子で辺りを見回しながら歩いていた。
彼らがいるのは梅蘭房の中だ。

ソン内官「何だかぞっとしますねぇ。ところで、どうしてここに来ようなんて言ったんです?」

「…。」左相(霊)は梅蘭房を見渡した。

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#何だか今日の太っちょ宰相、いつもより可愛くないです?

左相「ここにはサダムがいるそうじゃないか。何を企んでいるのか、突き止めて大君に知らせるんだ」

「あれ?」左相が目にしたのは、領相パク・スジョンの姿だ。

左相「あいつ!ほら!」
ソン内官「?」
左相「パク・スジョン!!!」

「よくも私を殺したな!」左相はパク・スジョンに駆け寄った。
「やぁ!」思い切り飛び掛かるが、パク・スジョンの体を虚しくすり抜けるだけだ。
彼は悔しさに震えた。

ソン内官「おやめなさいよ。そんなことしたって疲れるだけです」

「生意気な奴め」領相パク・スジョンは呟いた。
勿論サダムのことだ。

領相「目に見えぬ鬼神などで私を愚弄するとは。鬼神などがどこにいると言うのだ」

「鬼神が居ないって?こやつめ、私が鬼神だ!」左相(霊)が叫び、領相に両手を伸ばすと、その頬を摘んだ。

領相「?!」

「?」霊である左相の指先は、確かに領相パク・スジョンの頬をつねった。
左相は驚いて指先を見つめ、領相は不思議そうに頬を触った。

領相の部下「どうなさったのですか?」
領相「何でもない」

「行こう」領相は歩き出した。

左相(霊)「パク・スジョン!」
領相「?」

領相は妙な気配を感じ、足を止めると、左相たちがいる方を振り返る。

左相(霊)「お前は罪もない人々を害し、略奪や悪行を犯したのだ!必ずや地獄に落ちて苦しむことになるであろう!」

「肝に銘じておけ」左相の声にならぬ声が聞こえたのか聞こえないのか、領相パク・スジョンは首をかしげ、大きく咳払いをすると、その場を去った。

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リンの部屋で、千年花は依然としてきらびやかな光を放っていた。

リン「再び咲く日が来るとは夢にも思わなかった」

千年花を見つめるリンの前にいたのはトハだ。
リンの隣でランイも見守っていた。

トハ「この花に込められた鬼気が、本当に全て浄化されたのかどうか…自信がありません」
リン「…。」
トハ「もしかしたら大君の眩暈はそのせいじゃないかって、心配でもあるんです」
ランイ「うん。そうかもしれないよ」

「心配するな」リンは笑ってみせた。「私はずば抜けて頑丈ではないか」

リン「消えたお姉さんを見つけたら、父上を狂気に包んだ女が誰なのか、それも分かるはずだ」

そこへ外から下男の呼ぶ声がする。「スリョンお嬢様がお見えです」

「?!」リンとトハは顔を見合わせた。

+-+-+-+

心躍らせてリンを待っていたスリョンは、リンが姿を見せると顔を輝かせた。
彼に会うのは、あの抱擁以来なのだ。
スリョンの笑顔を前に、リンはどこか居心地が悪そうに目を逸らした。

リン「どうしたのです?スリョン嬢」
スリョン「お体が弱っていらっしゃるようなので、強壮薬をお持ちしました」

スリョンは両手に抱えた包みに視線を落とす。

スリョン「お薬は真心が大事ですから、私が煎じて差し上げますね」

「スリョン嬢?」リンは訳が分からず、まばたきをした。「なぜそんなことを?」

スリョン「え?力になってほしいと… 私に仰ったのではなかったのですか?」
リン「私がそんなことを?」

思いがけないリンの態度に、スリョンは言葉を失った。「憶えていらっしゃらないのですか?」
「…。」リンは記憶をたぐり寄せる。鬼気に囚われていても、スリョンを抱きしめたことは容易に思い出せた。「!」

リン「あぁ… すまない」
スリョン「!」
リン「この間、私がスリョン嬢に何を言ったとしても、それは本心ではなかった」

441

「…。」スリョンは思わず俯く。「なぜ… 私の心を弄ばれるのですか」

リン「…。」
スリョン「なぜこれほど… 私を苦しめるのですか」
リン「スリョン嬢がもっと傷つく前に、真実を話しているのです。どうかお許しを」

そっと様子を見に出てきたトハは、間が悪く顔を上げたスリョンと目が合ってしまった。

トハ「!」

スリョンは気力を振り絞り、持って来た薬の包みを差し出した。「適時に煎じてお飲みください」
「またお目に掛かります」スリョンは静かに頭を下げ、リンに背を向けた。

+-+-+-+

リンの屋敷を出たスリョンは、茫然と門の前の階段を下りた。
どこまでも惨めだった。
階段を下り切ったところで、彼女はふらふらとその場に座り込む。

下女「お嬢様!」

そこへやって来たのはムソクだ。
「大君…」地面に座り込んだまま咽び泣くスリョンに、ムソクは事情を察した。

ムソク「…。」

+-+-+-+

「大監」夜、領相の元へ部下がやって来る。

部下「ご命令のとおり、人を忍び込ませておきました」

領相は部下に近づくと、声を低くする。「誰にも気づかれぬように実行するのだ」

領相「ほんの僅かな失敗もあってはならぬ」
部下「はい、大監」

部下は直ちに次の行動に移る。

領相「主上は度を越された。過去の事で私の弱みにつけこもうとなさるなら、私とて警告ぐらいしてやらねば」

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。

「遁甲の術だったのかも」で終わりなんですかね。
きっとそうなんでしょうね。
いつから偽物だったのか、教えてくれませんかねぇ。

トハやムソクは夜警師だと知られていなかったんだから、それを上手く何かの作戦に役立てて欲しかった。

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