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トライアングル22話あらすじ&日本語訳vol.1

   

ジェジュン(JYJ)、イ・ボムス、イム・シワン(ZE:A )主演、「トライアングル」22話、セリフの日本語訳を交えつつ、あらすじを追っていきます。

+-+-+-+

ヤンハは心ここにあらずで窓の向こうを眺めていた。

356

~~~~

「互いに犠牲になるのが父と息子の関係だ。会長のためなら、俺は何だってやる」
「やめろ!お前が行っちゃダメだ!」

彼を止めるヨンダルは、とても悲しい目をしていた。
それっきり黙りこんだかと思うと、立ち去ろうとしたヤンハを呼び止める。

「お前が養子に入る前の名前は… チャン・ドンウだ」
「俺の本名は… チャン・ドンチョル」
「!」

頭の中で二つの名前が繋がるまで、少し時間が掛かった。
ヤンハは驚いて振り返る。
真剣な目で、ヨンダルはもう一度口を開いた。

「お前が…!チャン・ドンチョルの弟、チャン・ドンウなんだ」
「お前が俺の弟… チャン・ドンウ」

~~~~

ヤンハ「…。」

+-+-+-+

弟に真実を告げても、一向に心は晴れなかった。
晴れるはずもない。
それでドンウが救われるわけではないのだ。

「前にユン・ヤンハさんが自分の過去を話してくれたことがあったんです」

ジョンヒの話が蘇る。

「小さいころに養子になったんですって。温かい愛情を与えてくれる人なんて一人もいないまま育てられて、深刻な鬱病とパニック障害にまで掛かったみたい」
「お金持ちだからって必ずしも幸せなわけじゃない… ユン・ヤンハさんの話を聞いて初めてそう感じました」
「ヨンダルさんが戦うには、不憫で気の毒な人なんです」

355

ヨンダル「…。」

ドンウが過ごしてきた淋しい人生と、今、それでも父親のために犠牲になろうとする子の心。
どうしようもないジレンマに、ヨンダルは深く椅子に身を沈めた。

+-+-+-+

ヤンハに呼ばれ、部屋へやって来たのはキム専務だった。
「坊ちゃま。どうなさったのですか?」入ってくると、キム専務はいつものように微笑みかける。

ヤンハ「遅くにすみません」

ヤンハはキム専務に席を勧めた。

ヤンハ「僕の養子手続きはキム専務がなさったと聞きました」
専務「…。」
ヤンハ「僕がいた孤児院はどこなんですか?僕の実の両親はどんな方々だったのか、聞かせてもらえますか?」
専務「突然なぜそんな話を?」
ヤンハ「考えてみたら… 養子入りについて誰も僕に話してくれなかったので」
専務「…。」
ヤンハ「思春期の頃にあれだけ混乱したからと言っても、もう知っておくべきだと思うんです」
専務「養子入りのことは、もう過ぎたことです。坊ちゃまは会長のたった一人のご子息なんです」

ヤンハ「養子に入る前の僕の名前は… チャン・ドンウでしょう」
専務「!」

357

ヤンハは淡々とした口調のまま、とうとうその名前を口にした。
動揺したキム専務の眉間にピクピクと皺が寄る。

ヤンハ「父はチャン・ジョングク。兄が二人いて、上の兄はチャン・ドンス、下の兄はチャン・ドンチョル」

「これは事実なんですか?」ヤンハが微かに顔を歪ませた。

専務「坊ちゃま!」
ヤンハ「おっしゃってください!」
専務「私は存じません」

「失礼します」逃げるようにキム専務は席を立つ。

ヤンハ「キム専務!」
専務「…。」
ヤンハ「避けても真実は隠せません」

「おっしゃってください」ヤンハの目は切実だった。

ヤンハ「チャン・ドンスとチャン・ドンチョルは… 僕の兄なんですか?」
専務「…。はい、その通りです」

ここまで避けてきたキム専務の答えは、実にシンプルだった。

ヤンハ「!!! それなら僕の実の父親は… 父の命令でコ・ボクテが殺した… チャン・ジョングクだと言うんですか?」

358

彼の目から涙がこぼれ落ち、その言葉にも涙が混じる。

専務「…。」
ヤンハ「どうしてそんなことが…?どうして?どうして自分が殺した男の息子を育てたり出来るんですか!!!」
専務「会長はご存知ありませんでした」
ヤンハ「!!!」
専務「全て私のしたことです。私が… 坊ちゃまくらいは裕福な家で幸せに育ててやりたくて… そうしたのです」
ヤンハ「一体何の権利で僕の人生を決めたりなさったんですか!!!」

涙に濡れたヤンハの顔が苦痛に歪んだ。

専務「私の過ちです。どうぞお許しください、坊ちゃま」
ヤンハ「…。」

+-+-+-+

カジノ前の廊下で待っているジェリーとジュノの元へ、ジャンスが戻ってくる。

ジェリー「ヨンダル兄に会ったか?」
ジャンス「あぁ。今日の出勤は難しいだろうな」
ジュノ「会社には何て言いましょうか」
ジャンス「まぁ、風邪を引いたから何日か休むって言っとけよ」
ジュノ「はい」
ジェリー「ヨンダル兄、どうなんだ?」
ジャンス「えらく辛そうだ。俺たちにしてやれることがあるわけじゃないし。そばで励ましてやらなきゃな」
ジェリー「…。」

+-+-+-+

出勤してきたジョンヒはジャンスに呼び止められた。

ジャンス「ちょうど電話しようと思ってたんだ」
ジョンヒ「どうして?」
ジャンス「ちょっと話せるかな?」

「うん、大丈夫」ジョンヒは時計を見て微笑んだ。

ジャンス「最近ヨンダルに会ったか?」
ジョンヒ「うん、何日か前に山登りしたけど。どうして?ヨンダルさんに何かあったの?」

「あぁ」ジャンスが顔を曇らせた。

ジャンス「ヨンダル、今すごく辛いんだ」
ジョンヒ「!… どうしたの?」
ジャンス「俺の口から言うのはちょっと…。お前が会ってみてくれよ」
ジョンヒ「「…。」

+-+-+-+

ヨンダルはスーツ姿ではいるものの、公園のベンチでぼんやりしていた。

#リストラになったのを家族に言えないお父さんみたい(悲

そこへジョンヒがやって来ると、ヨンダルは驚いて身を起こした。
ジョンヒは彼の隣に腰を下ろす。

ヨンダル「どうしたんです?」
ジョンヒ「さっきジャンスさんに会ったんです。ヨンダルさんがすごく辛そうだから、一度会ってみろって」
ヨンダル「あいつ、余計なことを…。大したことじゃないから、気にしなくていいんですよ」
ジョンヒ「私には秘密ですか?そうじゃないなら話してください。どうしたんです?」

# ヒ ミ ツ で す ( キ ッ パ リ

ヨンダル「生き別れになった兄と弟がいるって、前に言ったでしょう」

「お兄さんは見つかりましたよね」ジョンヒは頷いた。

ヨンダル「えぇ。… 少し前に、弟も見つかったんです」

「良かったですね!」何も知らないジョンヒは、一瞬顔を輝かせる。

ジョンヒ「お兄さんと弟さんが見つかったのに、どうして辛いんですか?」
ヨンダル「ユン・ヤンハが… 俺の弟だったんです」
ジョンヒ「……。えっ?!」
ヨンダル「俺の手でユン・ヤンハを拘束に追い込みました。自分の弟を… 拘束させたんです」

「…。」驚きのあまり、ジョンヒは言葉を失った。

+-+-+-+

ユン会長の部屋にピルサンとキム専務が集まっていた。

ユン会長「これ以上ホ・ヨンダルを放っては置けん」
ピルサン「アン・チャンボン氏の資金のために仕方のない選択ではないですか」
ユン会長「私の拘束を企むヤツだったんだ」
ピルサン「…。」
ユン会長「資金のために、そんなヤツを見過ごすわけにはいかない」

「何かいい方法はないか?」ユン会長がピルサンに尋ねる。

ピルサン「アン・チャンボン氏がいなくなれば、あの男を置く理由はありません」
キム専務「…。」
ピルサン「あの男とアン・チャンボン氏の関係を断ち切る方法を考えてみましょう」
ユン会長「時間を掛けないで早急にやるんだ」
ピルサン「はい、会長」

「検察からまだ連絡はないのか?」ユン会長が今度はキム専務に尋ねた。

キム専務「はい、会長。ヤンハ坊ちゃまに取り調べを受けさせるのは、もう一度考え直していただけませんか?」
ユン会長「ヤンハが受けなければ、私が受けることになる。他に選択肢はないから、それ以上言うな」
キム専務「…。」

+-+-+-+

「兄さん」カフェに入って来たヨンダルは、一人で待っていたドンスに声を掛ける。
彼はドンスの向かいに腰を下ろした。

「…。」二人共すぐには言葉が出ない。ドンスが重苦しい溜息を漏らした。

ドンス「これからどうする?」
ヨンダル「分からない。何をどうすりゃいいのか…」
ドンス「…。」
ヨンダル「考えれば考えるほど頭が混乱するし、何一つ整理出来ないんだ」
ドンス「混乱することはない。シンプルに考えればいいんだ」
ヨンダル「?」
ドンス「まずは、何としてもドンウが拘束されるのを阻止しなきゃならない。ドンウがこんな形で拘束されれば、生涯お前に悔いが残る」
ヨンダル「…。」
ドンス「俺だってそうだ…」
ヨンダル「今更なかったことには出来ないよ」
ドンス「いや、どっちみち人間のすることだ。全く無理なわけはない」

「アン・チャンボン先生に相談してみろ」ドンスの言葉に、ヨンダルはハッと表情を変える。

ドンス「何か方法があるはずだ」
ヨンダル「…。」

359

+-+-+-+

川の畔で、シネはヤンハに会っていた。

「ドンチョルさんに会ったわね?」シネの問いに、ヤンハは頷いた。

ヤンハ「はい」
シネ「ドンチョルさんがあなたに何て言ったか分からないけど、私、あなたがユン会長の代わりに取り調べを受けるのは、おかしいと思うわ」
ヤンハ「それならどうすべきですか?」
シネ「…。」
ヤンハ「僕はあの人たちとの縁が切れてから20年以上経つんです。それなのに今さら、僕が彼らの弟だからって、それを理由に育ててくれた父を捨てろと言うんですか?」
シネ「私はあなた自身を守りなさいと言ってるの」
ヤンハ「あの人たちには、今さら僕に兄と呼ばせる権利も資格もありません。僕にとってチャン・ドンスとホ・ヨンダルは、僕と父を傷つけようとする人たち、ただそれだけです」
シネ「ヤンハ…」
ヤンハ「僕にそんな話をするなら、これ以上連絡して来ないでください」

少しでも油断すれば溢れ出しそうな感情を、ヤンハは辛うじて抑えていた。
一方的に話を打ち切ると、ヤンハは背を向ける。

シネ「…。」

#残念だなぁ。キム専務に事実を聞いて、「実の父を殺した人に育てられたのか」とショックを受けた後、このシーンではやっぱりまた二人の兄を敵対視する元の彼に戻ってる。心を鬼にして貫くことにしたんだろうと思うけど、この間の葛藤や心の動きが何も描かれていないね。

+-+-+-+

アン・チャンボン氏はあの時と同じ、緑豊かな公園のベンチでのんびりとヨンダルを待っていた。
やって来たヨンダルは、アン・チャンボン氏の隣に腰を下ろす。

#刑務所時代から、アン・チャンボン氏とは並んで同じ方向を眺める安定の位置関係。
落ち着くね^^

チャンボン「じきに検察の捜査が始まるな」
ヨンダル「先生。今さらこんなことを申し上げるのは面目ないのですが、検察の捜査をやめさせる方法はありませんか?」
チャンボン「一体どういうことだ?」
ヨンダル「標的だったユン会長は上手く逃れ、ユン・ヤンハが取り調べを受けることになりそうです」
チャンボン「それは私も聞いた」
ヨンダル「ユン・ヤンハは… 僕が小さい頃に生き別れた弟だったんです」
チャンボン「…。君の実の弟だってことか?」
ヨンダル「えぇ。自分の手で弟を拘束に追い込んでしまいました」
チャンボン「なんと… そんなことが本当にあるとは。ユン・ヤンハ君も知っているのか?」
ヨンダル「僕が話したんですが、そう簡単には認めようとしません」
チャンボン「君もそうだろうが、ユン・ヤンハ君もえらく混乱しているだろうに」

360

チャンボン「すでに捜査は始まっているから容易くはいかないだろうが、一度当たってみよう」

ヨンダルは黙ってチャンボンに頭を下げた。

+-+-+-+

ジャンスはジェリーと共にミン社長の元を訪れる。
ミン社長も今回のことには随分心を痛めていた。

#この面々はいつも口伝えで聞くシーンもなく、いつの間にか知ってんだよね^^;

ミン社長「数十年前に生き別れた弟なのに、仇敵として一本橋でぶつかり合うなんて…」
マンボン「あぁ、頭が痛いな」

※원수는 외나무다리에서 만난다(仇敵は一本橋で出会う)
二通りの意味があります。
”避けたい相手と避けようのない場所で出会ってしまうこと”、または”人の恨みを買うと、いつか必ず災いとなって返ってくる”
ミン社長の場合は前者の意味で使っていますね。

ジャンス「自分はヨンダルに出会ってもう10年以上になります。二人で大概のことはやりましたけど、今みたいに辛そうなのは初めて見ました」
ミン社長「そりゃそうよ。私だって考えただけで胸が詰まるのに、ホ理事はどれほどか」

「私がホ理事のために何か出来ることはないかしら」ミン社長が言った。

ジャンス「実はそのために来たんです。ミン社長がカン・サンテの面会に行って、口を閉じるよう仕向けていただけませんか?」
ミン社長「口を閉じるって、どういうこと?」
ジェリー「ヨンダル兄の手で弟を拘束させるわけにはいきませんから」
ミン社長「…。」
ジャンス「後でどうなったとしても、それだけは阻止しなきゃいけないと思うんです」

「姐さん、これは是非ともやるべきでしょう」マンボンも口を添えた。

ミン社長「…。」

検察に引き渡しておいて、今さら口を閉じさせることなど出来るのか。
ミン社長は重苦しい表情で溜息をついた。

+-+-+-+

休憩時間、ジョンヒは屋上のベンチで考え込んでいた。

「ユン・ヤンハが僕の弟だったんです」
「僕の手で弟を拘束に追い込んでしまいました」

ヨンダルの苦しみは思ったより遥かに重かった。
果たして自分にできる事があるのか、ジョンヒは途方に暮れた。

「何か良くないことでもあった?」そこへやって来たヒョンミは、心配そうにジョンヒの顔を覗き込む。

ヒョンミ「顔が暗いわ」
ジョンヒ「…何でもない」
ヒョンミ「会社が一体どうなるのか、空気を読むのに頭が痛くてたまらないわ」
ジョンヒ「どうして?」
ヒョンミ「ユン・ヤンハ、拘束されるかもしれないって」
ジョンヒ「…。」
ヒョンミ「何よ、あんた知ってたの?」
ジョンヒ「…聞いたわ」
ヒョンミ「仕組んだのがホ・ヨンダルだっていうのも?」

ジョンヒは頷いた。

ヒョンミ「同じ会社内でどうしてこんなことが起きるの?どうして二人して仇敵みたいに啀み合ってるわけ?」

「そうよね」ジョンヒが呟く。

ジョンヒ「絶対に… 絶対そうなっちゃいけない関係なのに」
ヒョンミ「とにかく、上の人たちがすごく殺伐としてるのよ。さっきマネージャー会議に行ったけど、息が詰まって死ぬかと思ったわ」
ジョンヒ「…。」

「!」ヒョンミは急にハッとして、ジョンヒの腕を叩いた。

ジョンヒ「?」

ヒョンミの視線の先を振り返ると、向こうからヤンハの歩いてくるのが見える。
角を曲がってくると、ヤンハは二人に気づき、驚いて立ち止まった。

ヤンハ「…。」
ジョンヒ「…。」

「…。」しばらく悲しげに彼女を見つめると、ヤンハは何事も無かったように二人の前を通り過ぎる。

+-+-+-+

ピルサンの執務室を、ペ主任とファランが訪れていた。

ピルサン「スタッフたちが動揺しないよう、格別に気を遣う必要があります」
ペ主任「ところで、ユン・ヤンハ代表が拘束されるのは確かなんですか?」
ピルサン「どうでしょう。拘束されるかどうかは分かりませんが、検察の取り調べは避けられそうにありませんね」
二人「…。」
ピルサン「私の知る限り、ペ主任はユン・ヤンハの側についているそうですが」
ペ主任「!」
ピルサン「まさに、つく側を間違えたということですね」
ペ主任「そ、それは誤解なさっているかと」

ピルサンは笑う。

ピルサン「冗談ですよ。そんなに慌てなくても」
ペ主任「…。」
ファラン「この事態を起こしたのはホ・ヨンダルだと噂があるんですが、それが事実なら大きな問題ではないですか?」
ピルサン「…。」
ファラン「会社を潰すような人が理事の座についているなんて」
ピルサン「口止めを指示したのは、まさにそのためです。全部根拠のないデマですから、むやみに噂しないでください」
ファラン「はい」
ペ主任「…。」

+-+-+-+

ピルサンとのミーティングを終えたファランたちの足取りは重かった。

ファラン「本当にデマなんですか?」
ペ主任「いや、事実だ。それなのに誰も何も言えずに口止めされるとは」
ファラン「それにしても… 本部長の言う通り、ペ主任もホント運が悪いですねぇ」
ペ主任「全くだ…。何でこう空振りばかりなのか、嫌気がさすよ」

+-+-+-+

オフィスにヤンハが入って来ると、皆緊張を走らせた。

スジョン「大丈夫?」

「もちろん」ヤンハはそう言って小さく微笑む。

ヤンハ「僕は大丈夫ですから、皆さん仕事をなさってください」
皆「…。」

#やっぱり皆一度ずつ映さなきゃダメなんだろうね(笑

ヤンハはピルサンのいる本部長室へ顔を出した。

ピルサン「本社へ行ったと思ったが」
ヤンハ「出頭すればしばらく出て来られないかもしれない。身の回りの整理はしていかないと」

二人は応接ソファに腰を下ろした。

「父を頼みます」ヤンハはピルサンをじっと見ると、まずはそう頼んだ。

ピルサン「メンタルの強い方だ。心配することはない」
ヤンハ「正直、僕が心配なのは父ではなくあなたです」
ピルサン「俺か?」
ヤンハ「僕のいない間、変な気を起こさないでください」
ピルサン「どういう意味だ?」
ヤンハ「あなたが良からぬことを考えているのは分かってます。後継者になるなんて到底かなわない妄想だから、諦めろと警告してるんですよ」
ピルサン「一体何を言ってるんだ?」
ヤンハ「冗談なのになぜムキになるんです?ひょっとして図星ですか?」

「ヤンハ!」ピルサンの目が鋭くなる。

ピルサン「もし本気でそんなことを思っているのなら、まず警戒するのはホ・ヨンダルですよ。僕よりもホ・ヨンダルの一発の方が効きそうですから」

+-+-+-+

コ・ボクテ側でも来るべき捜査に備えていた。

コ・ボクテ「強制捜査が入るかもしれない。まずい書類は急いで処分しろ」
スチャン「もう作業に入っていますので、ご心配なく」
コ・ボクテ「それから、ホ・ヨンダルだが… あいつを懲らしめておかなければ」
スチャン「…。」
コ・ボクテ「あいつの事を考えるだけで頭に血が昇ってどうしようもないわ!!!」
スチャン「どこまでやりましょうか」

コ・ボクテは拳で机をドンと叩く。

コ・ボクテ「検察の取り調べまで受けようという状況で、出来ないことなどあるか」

「承知いたしました」スチャンは表情一つ変えずに頭を下げる。

+-+-+-+

ヤンハはペ主任と共にオフィスを出てきた。

ヤンハ「ペ主任には本当に申し訳ありません。代表理事の座を守れれば、秘書室長をしていただくのに」
ペ主任「今、私の心配をしている場合ですか。私はどうなっても構いません」

ヤンハは足を止め、ペ主任に向き直る。

ヤンハ「僕のいない間、ホ・ヨンダルもそうですが、ヒョン・ピルサン本部長に気をつけてください」

「どういうことかお分かりですね?」ヤンハの言葉に、ペ主任は頷いた。

そこへふいに見知らぬ男が声を掛ける。「ユン・ヤンハさんですね?」
検察がやって来たのだ。

検察官「我々とご同行願います」

「思ったより早かったですね」来るべき時が来た。ヤンハは言葉の上ではとても落ち着いているように見えた。

ヤンハは検察官たちと共に歩き出した。
「ユン・ヤンハ!」角を曲がろうとしたところで、ちょうどそこへ通り掛かった人物が彼を呼び止める。
ヨンダルだ。

ヤンハ「!」
ヨンダル「…。」

「少し話す時間をください」ヤンハが検察官に頼むと、手短にするように言い、検察官はそばを離れた。

ヤンハ「…。」
ヨンダル「…。」
ヤンハ「チャン・ドンチョルさんとの関係が事実だとしても、俺にとっては父との関係のほうが大事だ」
ヨンダル「…。」
ヤンハ「あんたが俺と父にしたことは、絶対に許せない」
ヨンダル「馬鹿なこと言うなよ。お前の”父親”が俺たちの父さんに何をやったか… 分からないで言ってるのか?」
ヤンハ「…。」
ヨンダル「お前の父親はユン・テジュンじゃない。チャン・ジョングクだ。ユン・テジュンが殺したチャン・ジョングクなんだ!」

「!」少し離れたところにいたペ主任はハッとしてヨンダルを見た。

ヤンハ「俺には関係ない名前だ。記憶のどこにもない人たちなんだ!」
ヨンダル「…ドンウ!」
ヤンハ「俺の名前はユン・ヤンハだ。そんな風に呼ぶな」
ヨンダル「…。」
ヤンハ「…。」

361

ヤンハはヨンダルから冷たく顔を背ける。
「行きましょう」彼は検察官の先に立って歩き出した。

ヨンダル「ドンウ!」

訴えるように呼びかけるその声に、それ以上何の反応も示すことなく、ヤンハの背中が遠ざかって行く。

ヨンダル「チャン・ドンウ!!!」

362

+-+-+-+

ドンウはあっさり行ってしまった。
ヨンダルの心にはぽっかりと大きな穴があき、そこには悲しみと自責の念だけが残った。

363

「俺には関係のない名前だ」

本当の父の名も、自分の名も関係ない。弟は冷たい表情でそう言い切ったのだ。

ヨンダル「…。」

2度までも弟を守ることが出来なかった。
「ドンウ!!!」彼は可哀想な弟を想い、泣いた。

+-+-+-+

ユン会長はいつもと変わらず会長室で執務にあたっていた。
そこへ慌てた様子でキム専務が入ってくる。

キム専務「会長、ヤンハ坊ちゃまが検察に連行されたそうです」
ユン会長「?… どういうことだ?キム弁護士は自主出頭になると言ってたじゃないか」
キム専務「テジョンカジノに検察官がやって来て、連れて行ったようです」
ユン会長「どうなっているのか、キム弁護士にすぐ調べるよう言ってくれ」
キム専務「はい」
ユン会長「午後のスケジュールは予定通り進めるから、何か起きたら直接報告するように」
キム専務「承知いたしました」
ユン会長「…。」

+-+-+-+

ドンスが厳しい表情で歩いてくる。
彼は次の予定へ向かうため、歩いてきたユン会長の前に立ちはだかった。

ユン会長「久しぶりだな」
ドンス「お話があります」
ユン会長「予定があって忙しいんだが」
ドンス「ユン・ヤンハが検察に連行されました。それより急ぐ仕事があると言うんですか?」
ユン会長「うちの息子の問題だ。君の関わることじゃない」

「そうはいきません!」立ち去ろうとしたユン会長はドンスの言葉に立ち止まる。

ドンス「僕の弟です。僕にとって何よりも大切なことなんです!!!」

ドンスの叫び声がロビーに響き渡った。

ユン会長「ヤンハと君の縁など、私には何の意味もない。しかも、ヤンハが連行された理由は何だ?チャン・ドンウ、ホ・ヨンダル、君たちのやったことだ。それほど切実なら、君たちが解決すればいい」
ドンス「!」

全く動揺を見せることもなく、静かにそう言い聞かせると、ユン会長は呆然とするドンスの前を立ち去った。

ドンス「…。」

+-+-+-+

「難しいお願いなのは承知ですが、ハン検事にご配慮いただきたいんです」シネも知り合いの検事に連絡を取り、手を尽くしていた。

電話を切ったところへ、ドンスが戻ってくる。

シネ「会ってきた?」

「…。」ドンスは苦々しく頷いた。

シネ「何て?」
ドンス「ドンウがどうなろうと気にもしないで、予定通り仕事をこなしてる」
シネ「…。」
ドンス「俺たちがやったことだから、自分たちで解決しろってな。俺たち兄弟同士で揉めるのを楽しんでいるようだ」
シネ「そんなのってないわ!」
ドンス「俺はシネのアドバイス通り、ドンウをユン会長の息子として認めようとした。ドンウの将来のためにもその方がいいと思ったんだ」

「だが、それは間違いだった」ドンスは溜息混じりに漏らす。

ドンス「ユン・テジュンの元にいたら、ドンウまでモンスターになってしまう」
シネ「それは後のこととして、今はヤンハを一刻も早く出してやることが先よ。ドンチョルさんは何をしてるの?」
ドンス「アン・チャンボン氏を頼って、打つ手を探っているはずだ」
シネ「…。」

沈黙が広がる。二人は思わず溜息をついた。

+-+-+-+

「俺の名前はユン・ヤンハだ!」

夜になっても、ヤンハの言葉はヨンダルの心の中を渦巻いたまま、一向に消えることはなかった。
ヨンダルは執務室で悶々とした時間を過ごす。

そこへ、ジュノがやって来た。

ヨンダル「分かったか?」
ジュノ「はい、会長は今日のスケジュールを全て予定通りこなされたそうです」
ヨンダル「チョンジン建設の方は?」
ジュノ「コ・ボクテ会長はまだ検察に向かってはいません」

「ご苦労だったな」ヨンダルの言葉に、ジュノが下がると、そこへジャンスたちが入れ替わりに入ってくる。
どこか明るい彼らは、急いで駆けつけた様子だった。

ジャンス「ミン社長が特別にカン・サンテと面会して来たらしい」
ヨンダル「どうなった?」
ジャンス「うまく話がついたそうだ。ミン社長がズバッとベットして、カン・サンテが口を閉じる線でケリがついたらしい」
ヨンダル「…。」
ジェリー「ミン社長は一度味方につけば、とことんバックアップしてくれるよな」
ジャンス「お礼の電話でもしとけよ」

ヨンダルは電話を取り出すと、ジャンスとジェリーは嬉しそうに顔を見合わせる。
「えぇ、僕です」電話が通じると、ヨンダルは初めて笑みをこぼした。

ヨンダル(電話)「ジャンスから聞きました。お気遣いくださってありがとうございます」
ミン社長(電話)「何を言ってるの。私たちの間でお礼だなんて水くさいわ」

「ところで…」ミン社長が続ける。

ミン社長「それより、ホ理事が知っておかなきゃならないことがあるわ」
ヨンダル「えぇ。何ですか?」
ミン社長「コ・ボクテのヤツ、ホ理事の始末をつけるよう指示したらしいわ」
ヨンダル「…。」
ミン社長「また何を企んでいるかは分からないけど、気をつけないとダメよ」
ヨンダル「えぇ、そうします」

+-+-+-+

「あいつら、どう出ると思う?」電話を切ると、ミン社長はそばにいるヒョンタクに尋ねた。

ヒョンタク「コ・ボクテの配下には気性の激しいヤツらが大勢います。そいつらを集めて、ヨンダルを急襲させるかもしれません」
マンボン「コ・ボクテに言われれば何だってやるヤツらです。気を抜けませんよ、姐さん」
ミン社長「…。」

「それなら、こちらも集合を掛けるのよ」ミン社長が声を低くする。
マンボンがゆっくりと頷いた。

ミン社長「コ・ボクテのヤツがそう出るなら、私たちも迎え打たなければね」

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。

翻訳の中でも書いたとおり、ヤンハの気持ちの動きがわからず、ひたすらヨンダルの悲しみが心にずっしり残った30分でした。

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