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トライアングル21話あらすじ&日本語訳vol.2

   

ジェジュン、イ・ボムス、イム・シワン、ペク・チニ出演「トライアングル」21話の後半に進みます。

+-+-+-+

ディーラーの控室に入ってきたジョンヒは、チョンジャの姿を探した。

ジョンヒ「先輩」
チョンジャ「?」
ジョンヒ「口に気をつけてもらえますか?」
チョンジャ「口に気をつけろって、私が何かしたわけ?」
ジョンヒ「私が解雇になったのを街中吹いて回って、うちの祖母の耳にまで入れる必要あるんですか?」

「ちょっと」離れて座っていたチョンジャの仲間が割って入る。

ミニョン「事実をそのまま言っただけでしょ?何騒いでんのよ」
ソンジュ「クビになったのにせっせと出てくるの、恥ずかしくないの?」
ジョンヒ「!」
ソンジュ「ホント気分悪いだけど」

「あんたたちは黙ってて」チョンジャが立ち上がった。

チョンジャ「あんたのお祖母さんまで伝わるとは思ってなかったわ。それは私が悪かった」
ジョンヒ「…?」

チョンジャの思いがけない態度に、他のディーラーたちが顔を見合わせる。
そこへ、ファランが呼んでいると、ジョンヒに知らせが入った。

+-+-+-+

ジョンヒが控室を出ると、ファランはいつもの休憩スペースで待っていた。

ファラン「あなた、もう聞いた?」
ジョンヒ「何をですか?」
ファラン「ユン・ヤンハ本部長、代表理事になったわ」
ジョンヒ「え?!」
ファラン「あなた、本当にラッキーね。あなたに夢中の人が代表理事になるなんて」
ジョンヒ「…。」
ファラン「2階のロビーで待ってるそうよ。行ってみなさい」

#何でいちいちファランを通して呼び出すのかね。
「ちょっと◯◯さん呼んで来て」って、女子か(笑

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ジョンヒが向かうと、ヤンハは誰も居ないロビーで一人静かに立っていた。

ヤンハ「僕のせいで辛い時間を過ごさせて本当にすみません」
ジョンヒ「…。」
ヤンハ「ジョンヒさんに下った人事処分は取り消されますから」
ジョンヒ「代表理事になられるって聞きました。おめでとうございます」
ヤンハ「…。ジョンヒさんへの感情は全て忘れるつもりです。だから、もう僕のせいで辛い思いをすることはないでしょう」
ジョンヒ「…。」
ヤンハ「でも、ホ・ヨンダルへの僕の感情はおさまりそうにありません」
ジョンヒ「!」
ヤンハ「もしそのせいでジョンヒさんが辛い状況に陥ったら… それは僕にもどうにもなりません」

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あくまでも感情のこもらない淡々とした口調で、ヤンハはそう言うと、ジョンヒの反応を待たずにその場を立ち去った。

ジョンヒ「…。」

+-+-+-+

ヨンダルは遅くまで執務室で資料をめくっていた。
ふいに着信音が静寂を破る。

ヨンダルは資料から顔を上げ、携帯電話に手を伸ばした。

ジョンヒ(メール)「私、明日お休みなんですけど、ホ・ヨンダルさんは明日も忙しいんですよね…?こうしてるうちにヨンダルさんの顔を忘れちゃいそう」

ヨンダル「…。」

347

#この顔が美しすぎて、ちょっとどうにかなりそうだったデスよ

ふとヨンダルの顔がほころぶ。

+-+-+-+

ロッカールームで帰り支度をしているジョンヒの携帯が鳴った。

ヨンダル(メール)「本当に忙しいけど、ジョンヒさんのために時間作ります。遅くなったけど、まぁ明日はデートでもしましょう」

+-+-+-+

翌日。

二人は山へ来ていた。
霧が掛かり、一段と緑が濃い山の中を、二人は手を繋いで歩く。

川の上に掛かった眺めのいい橋の真ん中で、二人は足を止めた。

ジョンヒ「ホ・ヨンダルさん」
ヨンダル「?」
ジョンヒ「私、ヨンダルさんに話したいことがあるんです」
ヨンダル「何ですか?」

「ユン・ヤンハさんのことなんです」ジョンヒは穏やかに口を開いた。

ヨンダル「…。」
ジョンヒ「私がこんなこと言ったらヨンダルさんがどう思うか分からないけど、私、ヨンダルさんにはユン・ヤンハさんと衝突してほしくないんです。向こうから喧嘩を仕掛けてきても、ヨンダルさんが避けるなり無視するなりすればいいでしょう?」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「前に、ユン・ヤンハさんが私に自分の過去の話をしたことがあるんです。ただ我儘で無礼な金持ち息子だと思ってたけど… 彼なりに深い傷があるんです」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「小さいころに養子になったんですって。温かい愛情を与えてくれる人なんて一人もいないまま育てられて、深刻な鬱病とパニック障害にまで掛かったみたい」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「おかしなものですよね。お金持ちだからって必ずしも幸せなわけじゃない… ユン・ヤンハさんの話を聞いて初めてそう感じました」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「ヨンダルさんが戦うには、不憫で気の毒な人なんです」
ヨンダル「…。」

「余計な話をしちゃって、気を悪くしてませんよね?」ずっと黙っているヨンダルの顔を、ジョンヒが心配そうに覗きこむ。

350

ヨンダル「いいえ。ジョンヒさんの言いたいこと、全部分かります。けど、無視して避けたからといって、消えるものじゃないんです」
ジョンヒ「…。」
ヨンダル「俺たちの悪縁… すごく根が深いんですよ」

ヨンダルはそう言って、じっと川の流れを見つめた。

+-+-+-+

マンガンはモニターを見てニヤリと笑った。

マンガン「チャンマダム、2番テーブル見てみな」
マダム「?」

マダムがモニターに向かって目を細める。

マダム「あれ、ミン社長じゃないの?」
マンガン「ミン社長、この間の大勝負ですっかりハマったらしい」
マダム「…。」
マンガン「上手く行けば、ミン社長からたっぷり搾り取れるぞ」
マダム「やったわね。最近金払いのいい客がいなくて頭が痛かったけど、ミン社長が遊んでくれればお金になりそうだわ」

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二人は顔を見合わせ、ほくそ笑んだ。

+-+-+-+

バカラのテーブルで、ミン社長は浮かない顔をしていた。
そこへヤン社長がやって来て、後ろで様子をうかがう。

ヤン社長「ミン社長もハマったようだな。どうです?調子は」
ミン社長「はぁ、全くギャンブルは謎ね」

「あの日は本当に上手く行ったのに」ミン社長は苦笑いする。

ヤン社長「私が言うのも何ですがね、同業のよしみで一言だけ言っておこう。ミン社長もよくご存知だろうけど、私らのように金貸しをしている人間は皆ゲームにハマるんですよ。一度ハマっちまうとやめるのは難しい」

ミン社長は黙って頷く。

ヤン社長「適度にしなさいよ」

そこへ一人の男性客が入ってくる。
その男は入り口でカジノ場内を見渡し、顔を輝かせた。

「!」ふと後ろを振り返ったヤン社長がその男に目を留めた。

ヤン社長「ミン社長、あいつ、もしかしてカン・サンテじゃないか?」

「?!」カン・サンテという名前を聞くなり、ミン社長は驚いて振り返る。
男に気づくと、ミン社長はつかつかと歩み寄った。

ミン社長「ちょっとカン・サンテ!よく来たわね」

ミン社長は驚く男の胸ぐらを掴む。

ミン社長「あんたね!私への借金を踏み倒して無事でいられると思ってるの?!」
サンテ「ミン社長!やめてくれよ!誤解だ。誤解だってば」

+-+-+-+

ヨンダルの執務室にジュノがやって来た。

ジュノ「代表理事の就任式が明後日行われるそうで」
ヨンダル「…。」
ジュノ「理事に参加の可否を知らせて欲しいそうです」

「ジュノ、お前ならどうする?」ヨンダルは資料に視線を戻す。
「僕なら腹が立っていけそうにありません」ジュノは露骨に顔を歪め、口を尖らせる。

ヨンダル「俺もお前と同じ心境だが、どうしようもない」

「参加すると伝えてくれ」ヨンダルは淡々と言った。

ジュノ「はい。それから、ミン社長がカジノの出入口にいらっしゃってます」
ヨンダル「?」
ジュノ「急用で理事に会いたいそうですが」

+-+-+-+

カジノの出入口から続く廊下で、ミン社長とマンボンがヨンダルを待っていた。

ヨンダル「どうしたんです?」
ミン社長「昔ここのVIP客で、私の借金を踏み倒した男をやっと捕まえたんだけど、そいつが誰かテジョンカジノの幹部に会わせてくれれば、金は今すぐ返せるって大口叩くのよ」
マンボン「俺はそいつのハッタリだと思うが、ひょっとするかもしれないからな」
ミン社長「ホ理事、一度会ってみる?」
ヨンダル「何者なんです?」
ミン社長「政界へのロビー活動を代行しているブローカーだって聞いたわ。一時は相当なお金を転がしていたの。だから私だって10億も貸したのよ」

「会ってみます」ヨンダルは頷いた。

+-+-+-+

ヨンダルがミン社長と一緒に待っていると、マンボンがサンテを連れてやって来た。

マンボン「この人はテジョンカジノの理事だ。話があるならするといい」

「理事がこんなガキなわけがあるか?」サンテはヨンダルをジロジロ見て、横柄な言葉を吐く。

サンテ「確かなのか?」
ミン社長「私が騙してるっていうワケ?!あんたがそう出るなら今すぐムショ送りにするわよ!」

サンテは不敵に笑った。

352

ヨンダル「私はテジョンカジノ経営管理理事ホ・ヨンダルです。ご用件をお話しください」
サンテ「俺はな、カン・サンテだ。俺が金を欲しがってると、ユン・テジュン会長に伝えろ。そうすれば答えを聞けるはずだ」
ヨンダル「どういうことなのか詳しくおっしゃってください。それでは会長にお伝えできません」
サンテ「俺が口を割れば、ユン・テジュン会長は今すぐ拘束だ」
ヨンダル「!」

サンテは懐から手帳を取り出す。

サンテ「この手帳に、俺があの男に代わってロビー活動をした政治家たちのリストが全部残ってる。それに俺はユン会長と結託して、このカジノでロビー活動資金や政治資金の洗浄までやったんだ」

「何を言ってるか分かるか?」サンテの言葉に、ヨンダルは思わず笑みをこぼす。
ヨンダルは思わぬ駒を手に入れたのだ。

#ミョンジェが退散したら、また新しいオッサンか…。まさかと思うことをキッチリやって来るね。
ユン会長のロビー活動なんて、とっくの昔にシネと広域隊の刑事たちが調べてたのに。

+-+-+-+

「ユン会長に伝えるの?」事務所へ戻ると、ミン社長は慎重にヨンダルに尋ねた。

ヨンダル「いいえ。あの人、上手く利用すれば事が楽に進みそうです」
ミン社長「どういうこと?」
ヨンダル「ユン会長への復讐、思ったより早くなるってことですよ」
ミン社長「…。」

+-+-+-+

「カン・サンテだと?!」ジャンスは妙に大声を上げた。

ジャンス「俺、よく知ってるぞ。うちの親父の使いで何回か金を運んだからな」

「あいつ、街中の金貸しの金を全部かき集めて、フィリピンに逃げたんだ」ジャンスが顔をしかめる。

ジェリー「その人をどう利用するんだ?」
ヨンダル「ユン会長を拘束させる」
ジャンス「えぇっ?!ユン会長がそう簡単に拘束されるか?検察との繋がりは尋常じゃないはずだぞ」
ヨンダル「検察との繋がりなら、アン・チャンボン先生だって相当なものだ。もうアン・チャンボン先生と話はつけてある」

#あっちのおっさんにこっちのおっさん。おっさんたちを転がすねぇ

ヨンダル「検察の捜査が始まって世論が騒げば、ユン会長だって耐えるのは難しいだろう。そうなればコ・ボクテも一緒に処理できる」
ジェリー「?」
ジャンス「どうやってコ・ボクテを?」
ヨンダル「ユン会長はコ・ボクテにカン・サンテの処理を指示したことがある。それをコ・ボクテが取り逃がしたんだ。カン・サンテがコ・ボクテの裏金の洗浄までやったことがあったからな」
ジェリー「いやぁ、こりゃ一挙両得じゃないか」

ジャンスが頷く。
じっと前を見据えるヨンダルの目が鋭くなった。

+-+-+-+

ペ主任がファランと歩いているところへ、ジュノがやって来た。

ジュノ「ひょっとして、カン・サンテっていう人を覚えていらっしゃいますか?」
ペ主任「知ってるぞ。どうした?」
ファラン「VIPルームで派手にゲームをしていたお客様じゃありません?」
ペ主任「あぁ。カン・サンテのお陰でうちのカジノも危機に陥るところだった。でも、ある日突然消えたから無事で済んだんだ」
ファラン「どうして危機に?」
ペ主任「あの人が検察に捕まったら、裏金やロビー関連で厄介なことになるところだった」

「急にどうしたんだ?」ペ主任がジュノに尋ねた。

ジュノ「舎北に現れたって噂があるんです」
ペ主任「確かなのか?」
ジュノ「はい。見た人もいます」
ペ主任「…。」

考えこむペ主任の様子を、ジュノはちらちらと窺った。

+-+-+-+

ジュノがヨンダルの執務室へ戻った。

ジャンス「ペ主任にふってみたか?」
ジュノ「えぇ。えらく驚いてましたよ」
ヨンダル「それでいい。そうすればユン・ヤンハを通じて、すぐにユン会長に伝わるだろう」
ジェリー「兄貴、黙っておいて不意打ち掛ければいいだろ。何でわざわざ知らせてやるんだ?」
ヨンダル「一発で終わらせたら、つまらないだろ。俺はユン会長のお陰で数十年苦労してきたんだ。検察に捕まるのを待つ時間だけでも苦しんでもらわないとな」
ジャンス「そうだよ。いやぁ、さすがヨンダルだ。一発で殴り倒すより、殴られる前に目をつぶって待ってるこの時間、もっとビビるもんな!」

ジュノが思わず笑う。

ヨンダル「(ジュノに)ユン・ヤンハの動きを監視して、随時報告してくれ」

+-+-+-+

マンボンに付き添われ、ヒョンタクが恐る恐るミン社長の元へやって来た。

ヒョンタク「姐さん」
ミン社長「…。」

「跪け」マンボンに言われ、ヒョンタクは床に跪いた。

ヒョンタク「申し訳ありませんでした、姐さん。自分も助かるためにどうしようもなくやったんです」

「一度だけ!一度だけお許しください!」ヒョンタクは目を見開いてミン社長に訴える。

ミン社長「叩きのめしてやりたいところだけど、うちのチョリョンさんの田舎の後輩だから、私が堪えるわ」
ヒョンタク「ありがとうございます、姐さん!二度と姐さんを裏切ったりしません!
マンボン「お前、コ・ボクテとまだ繋がりがあるだろ」
ヒョンタク「はい」
ミン社長「それなら、今から私が言うことをよく聞いて、そのまま伝えなさい。今度またバカな真似をしたら、私の手で殺してやるわ」
ヒョンタク「肝に銘じます、姐さん!何でも命じてください!」

+-+-+-+

「何だと?!」コ・ボクテが大声を上げた。

コ・ボクテ「カン・サンテだって?」
スチャン「はい。もうすぐ検察の捜査を受けることになりそうです」
コ・ボクテ「ただでさえ頭が痛いのに、あいつが下手に喋ったら俺もユン会長も窮地に陥るぞ!」
スチャン「予め手を打とうとしたんですが、難しそうです」
コ・ボクテ「今すぐヒョン室長に連絡しろ」
スチャン「…。」
コ・ボクテ「いやいや、ヒョン・ピルサンじゃない。ユン会長に直接会わねばな」

+-+-+-+

「ドンチョル!」カジノの屋上にドンスがやって来る。

ドンス「どうした?」
ヨンダル「兄さん。ユン会長とコ・ボクテ、ケリをつけられそうだ」
ドンス「どういうことだ?」
ヨンダル「二人共拘束されて、検察の取り調べを受けることになる」
ドンス「拘束?なぜ?」
ヨンダル「ユン・テジュンとコ・ボクテの裏金を洗浄して、政界へのロビー活動を代行した人を、俺が検察に引き渡す」
ドンス「それ、誰なんだ?」
ヨンダル「カン・サンテって言うんだけど、兄さんも知ってるか?」

「カン・サンテ…」ドンスはフッと笑った。

ドンス「俺もそいつを捜査したことがある。舎北じゅうの私債業者から金を借りて、フィリピンに逃げたヤツだ。けど、何でそいつを知ってるんだ?」
ヨンダル「舎北に舞い戻って、自分の足で俺の懐へ入ってきた」
ドンス「?!」
ヨンダル「兄さん、今回のことさえ上手く行けば、兄さんの言う通りユン・ヤンハにはもう手を出さないつもりだ。だから、あまり心配しないでくれ」

「そうだな」ドンスの顔が和らぐ。

ドンス「ドンウをこれ以上苦しめるのだけはよそう」

「それでいい」ドンスは頷いた。

+-+-+-+

ユン会長の部屋を訪れたコ・ボクテはいつになく深刻な様子だ。

コ・ボクテ「カン・サンテのヤツが口を開けば、会長も私も打つ手はありません」
ユン会長「…。」
コ・ボクテ「何か方法はないんですか?」
ユン会長「それをなぜ私に訊く?君がさっさとあいつの口を塞いでおけば、こんなことにはならなかった!」
コ・ボクテ「私が収拾しようとしたときには、すでに姿をくらました後でした。どうしようもないことで私を責めないでください!私にそのような態度をされては本当に淋しいですよ、会長!」

「黙れ!!!」ユン会長が声を荒げる。

コ・ボクテ「…。」
ユン会長「偉そうに、君が一体何をしたと言うんだ?私はただでさえ足元の火消しで頭が痛い。君がすべきことは、君が解決しろ」
コ・ボクテ「怖いのはカン・サンテの口だけだとお思いですか?会長には私の口も恐れていただかなくては」
ユン会長「私を脅迫するのか?」
コ・ボクテ「えぇ。私ももう破れかぶれですよ!」
ユン会長「出て行け。今すぐ私の前から消えろ」

二人の男は一歩も譲らず、睨み合った。

+-+-++-+

一人になったユン会長は深く考えに耽っていた。
そこへ、呼び出されたヤンハがやって来る。

ユン会長「カン・サンテの件はこちらで避けようもあるが、検察の捜査は避けられそうにない」
ヤンハ「僕もそう思います」

「そこでだ」ユン会長がまっすぐヤンハを見る。

ユン会長「今回の検察の捜査はお前に行ってほしい」
ヤンハ「…え?」
ユン会長「お前はテジョンカジノの代表理事だ。お前が先頭に立って収拾してもらわなければ」
ヤンハ「!」

衝撃的な内容とは裏腹に、ユン会長の声はどこまでも低く静かだ。

ユン会長「私が行こうかと悩んだが、そうなれば永宗島の事業は目前で駄目になる。私の言いたいことが分かるか?」

「えぇ」ヤンハは素直に頷いた。

ユン会長「万が一お前が拘束されたとしても、出来るだけ早く出て来られるよう、私が手を尽くそう」
ヤンハ「…。」
ユン会長「お前がテジョンカジノを救うんだ」
ヤンハ「分かりました。僕がやります」

物分かりのいい息子に、ユン会長は頷いた。

ヤンハ「…。」

353

+-+-+-+

会長室を出たヤンハはシネとの約束のバーへ向かった。
店に入ってきたヤンハを、シネが笑顔で迎える。

シネ「おめでとう。就任式は済んだの?」
ヤンハ「いえ。出来そうにないですね」
シネ「どうして?」
ヤンハ「検察の捜査を受けなきゃならないんですよ」
シネ「どういうこと?あなたがどうして?」
ヤンハ「テジョンカジノで問題が起きて…。代表理事の僕が責任を取らなきゃいけないんです」
シネ「そんなのってないわ!就任式もしていないのに、責任なんて!」
ヤンハ「だからって、父を出頭させるわけにもいかないでしょう?代わりに僕が行かなきゃ」

「だけど!」納得出来ないシネに、ヤンハは思わず笑った。

ヤンハ「事業をしていたら、誰だって一度や二度は検察の捜査を受けます。これも経験だから、心配しないでください」
シネ「…。」

+-+-+-+

このまま放っておくわけにはいかない。
シネは自宅へ戻ると、すぐにドンスたちを呼び出した。

「どうしたんだ?」ドンスとヨンダルは揃って駆けつける。
二人を前に座らせると、シネはさっそく本題に入った。

シネ「ドンスさん、ユン会長が検察の捜査を受けるように仕向けたの?」
ドンス「いや?」
ヨンダル「僕がやったんです。ユン会長もコ・ボクテも、今度は逃げられません」

「これでケリがつきますよ」ヨンダルは自信ありげにシネを見た。

シネ「それはドンチョルさんの判断ミスよ。ユン会長は拘束されないわ」
ヨンダル「?」
シネ「ユン会長の代わりにユン・ヤンハ… いいえ、チャン・ドンウが拘束されるの」
ドンス「どういうことだ?!」
ヨンダル「?!」
シネ「ユン会長は検察側と取引したみたい。ヤンハが捜査を受けるようにね。大企業の会長は問題が起きると、みんなこうやって処理するのよ。チャン・ドンウ、拘束されることになるわ」
ヨンダル「…。」
ドンス「ダメだ。阻止しないと。何としてでもドンウが拘束されるのを阻止するんだ!」

「…。」ヨンダルはじっと考え込んだ。

+-+-+-+

コ・ボクテの待つ会長室へピルサンがやって来る。

コ・ボクテ「どうなった?」
ピルサン「ユン会長の代わりにヤンハが出頭することになったようです」

「狡猾な老いぼれめ」コ・ボクテが唸り声を上げる。

コ・ボクテ「結局そうやって逃れるんだな」
ピルサン「…。」
コ・ボクテ「ユン・ヤンハのヤツ、素直に従うのか?」
ピルサン「ヤンハの立場からすれば、今ユン会長の言うことに従うことで、後継者の座を保証されると考えるはずです」
スチャン「それではコ会長はどうなるんです?こちらも誰か代わりを立てることは出来ないんですか?」

コ・ボクテの視線が鋭くピルサンを刺す。
しかし、ピルサンは溜息をつき、首を横に振るだけだ。
彼の反応に、スチャンも溜息をついた。

コ・ボクテ「!」

#誰も「じゃあ私が」って言わないのね。お気の毒に。

+-+-+-+

「車を待たせておいてくれ」ユン会長はその後も会長室に残り、電話で段取りに余念がない。
そこへキム専務がやって来た。

ユン会長「分かったか?」
キム専務「はい。会長の予想通り、カン・サンテを検察に引き渡したのはホ・ヨンダルでした」

ユン会長はフッと笑った。

ユン会長「私の代わりにヤンハが拘束されたと知ったら、どんな心地がするだろうな。あいつら、実の弟を拘束させる羽目になるんだ」
キム専務「…。」

+-+-+-+

一人になったヨンダルは、ぼんやりと夜道を歩いていた。
どんなに後悔しても取り返しがつかない。
天を仰いでは溜息が漏れた。

「この会社はユン・テジュン会長のもので、僕はたった一人の息子ですから」
「父と息子の関係がそんなに簡単に壊れると思ったなら、勘違いですよ」

堂々としたヤンハの言葉が頭の中を巡る。

ヨンダル「…。」

父の仇どころか大切な弟を拘置所送りにしてしまうとは…。
彼は立ち止まり、頭を抱えた。

+-+-+-+

ヤンハはなかなか酔えない酒を一人飲み続けていた。

カウンターの上で携帯が唸り出す。
画面にはホ・ヨンダルと記されていた。

ヤンハ「…。」

彼は画面を見ると、鳴っている電話を放置する。

空になったグラスを酒で満たすと、もう一度電話が音を立てた。
今度はメールだ。

ヨンダル(メール)「どこにいる?会わなきゃいけないんだ」

+-+-+-+

じっと待っているヨンダルの電話に返事が届く。

ヤンハ(メール)「俺も… お前に会って殺してやりたい心境だが、今日会うつもりはない。勝利に酔って偉ぶるお前のザマは見たくないからな」

+-+-+-+

再びヤンハの携帯が鳴り始めた。
どうやらヨンダルはヤンハが応えるまで鳴らすつもりだ…。

ヤンハは画面をしばらく横目で見ると、仕方なく電話を取った。

ヤンハ(電話)「認めるさ」
ヨンダル(電話)「?」
ヤンハ「お前の完全勝利だ」
ヨンダル「…。」
ヤンハ「けどな、これで終わったと思うなよ」

「どこだ?どこにいるのか早く言え」ヨンダルはやっとのことでそれだけ口にした。

ヤンハ「?」

+-+-+-+

ヨンダルが誰もいない公園で待っていると、ヤンハがやって来るのが見えた。

ヨンダル「…。」
ヤンハ「…。」

ヤンハはヨンダルの姿に気づくと、足を止め、怪訝な表情を浮かべる。
顔を引き締めると、彼はヨンダルの前へやって来た。

ヤンハ「俺に会いたがる理由は?」
ヨンダル「本当にお前がユン会長の代わりに拘束されるのか?」
ヤンハ「拘束されるか、それとも取り調べだけで終わるか、それはまだ誰にも分からないことだ」
ヨンダル「罰を受けるのは父親だろ。何でお前が身代わりになるんだ?」

「俺の言ったこと、もう忘れたのか?」ヤンハが痛々しい笑みを浮かべた。

ヤンハ「それが父と息子の関係だ」
ヨンダル「お前、養子じゃないか。利用されてるんだ、情けないヤツ!」
ヤンハ「この世に息子を利用する父親などいない。お前には死んでも分からないだろうがな」

「…。」ヨンダルは言葉を失い、思わず下を向いた。

ヤンハ「お互いのために犠牲になるのが父と息子の関係だ。俺は会長のためなら何だって出来る」

「やめろ!」ヨンダルは下を向いたまま声を上げる。
そして、ゆっくりと視線を上げ、ヤンハを見た。

ヤンハ「…。」
ヨンダル「お前が行っちゃダメだ」
ヤンハ「…。一体何でそんなこと言うんだ?お前が望んだことじゃなかったのか?お前の思い通りになったのに、今更何ふざけたこと言ってんだよ?!」

「…。」ヨンダルは黙ってヤンハを見つめた。

ヤンハ「…。お寒い男だな」

何も言わないヨンダルに呆れて、ヤンハは半ば仕方なくその場を立ち去ろうとした。

ヨンダル「ユン・ヤンハ!」

「?」ヤンハはヨンダルの背中越しに立ち止まる。

ヨンダル「お前が養子に入る前の名前は… チャン・ドンウだ」
ヤンハ「…。」
ヨンダル「俺の本名は… チャン・ドンチョル」
ヤンハ「……。」

「!」ヤンハが振り返る。
そして、ヨンダルも彼の方へと向き直った。

ヨンダル「お前はな… チャン・ドンチョルの弟、チャン・ドンウだ」
ヤンハ「…。」
ヨンダル「お前は俺の弟、チャン・ドンウなんだ…」
ヤンハ「………。」

思いもよらないヨンダルの言葉に、ヤンハはただ雷に打たれたように茫然と立ち尽くした。

354

+-+-+-+

ここでエンディングです。

楽しみにしていた兄弟関係の発覚については、本当にガッカリの連続だったけど、どうしようもなくなってヨンダルが言ったっていう、今回の展開はイイ。
弟を奪われて一番苦しんだヨンダル自身が告げるのが、ドラマチックだし、自然だし、ベストだったんじゃないでしょうか。
っていうか、どれもこれも全て口伝えですね、このドラマ^^;

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