トライアングル7話あらすじ&日本語訳vol.2
ジェジュン、イ・ボムス、イム・シワン、ペク‥チニ出演「トライアングル」7話の後半に進みます。
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ディーラー研修生たちがズラリと整列し、入室する教官を迎えた。
毎朝の風景だ。
「気をつけ、敬礼」の掛け声で、一斉に頭を下げる。
教官「皆揃ってますか?」
研修生「ユン・ヤンハさんが来ていません」
ジョンヒがそっと周囲を見渡した。
教官「(隣のスタッフに)事前に連絡はありました?」
スタッフ「いいえ」
ジョンヒは昨日見かけたヤンハの様子がやはり気になっていた。
何かに大きなショックを受けたように、フラフラと歩いていた後ろ姿が。
不在のヤンハはそのままに、レッスンが始まった。
教官「これまでブラックジャックの基本動作とオプションを学びました…」
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そのころ、テジョングループの上層部会議には、ユン会長と共にヤンハが顔を見せた。
中央に座ったユン会長の隣に、ピルサンとヤンハが立つ。
ユン会長は「紹介を」とピルサンに促した。
ピルサン「このたび新しく赴任したカジノ事業本部長を紹介します」
参加者の中には、マーケティング部に所属するスジョンの姿もある。
ユン会長「挨拶しなさい」
ヤンハが一歩前に進み出ると、深く頭を下げた。
ヤンハ「ユン・ヤンハです。よろしくお願いいたします」
場内から温かい拍手が湧いた。
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ビッグニュースはすぐにカジノで働く女子たちの中を駆け巡った。
女性ディーラー研修生たちが集まる休憩室に、メンバーが飛び込んでくる。
1「ユン・ヤンハいるでしょ?ユン・ヤンハ」
2「イケメン研修生でしょ?」
1「あの人、カジノ事業本部長らしいわよ」
一同「えぇっ?!」
1「もっと驚きなのはね、会長の息子なんだって!」
全員が息を呑んだ。
3「会長の息子でカジノ事業本部長なのに、何でディーラー研修受けてたわけ?」
「全部理由があるのよ~」そばでPCに向かっていたヒョンミがニヤリとして振り返った。
一同「???」
ヒョンミは立ち上がり、彼女たちの前で腕を組んだ。
3「何?」
ヒョンミ「私たちディーラーの中にシンデレラがいるんだから」
3「シンデレラ?」
4「誰なんですか?」
ヒョンミ「気になる?」
一同「(うんうん)」
全員が身を乗り出した。
ヒョンミはたっぷりと間を置くと、ようやく口を開く。
ヒョンミ「あんたたちじゃないから、ひょっとして…なんて思うんじゃないわよ」
一同「…。」
ヒョンミがヒラリと背を向け、楽しそうに去っていく。
3「あんたたち、ユン・ヤンハは私が目をつけてんの。手ぇ出すんじゃないわよ」
一同「…。」
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昨夜、ドンスの前で一瞬のうちに捻り潰されたワンゴンの若者たちは、キツイお仕置きの刑に遭っていた。
全員整列して、片っ端から尻を思い切り叩かれる。
一周りしたところで、ジャンスの怒りはさらに募っていた。
ヨンダル「血も沸き立つ狼じゃなかったのか?」
ジャンス「あのときはホントそうだったんだけど。こいつらずっと犬の餌ばっか食ってたから、犬コロになっちまったらしい」
「起立!」ヨンダルの声に、全員が立ち上がる。
ヨンダル「ジェリー」
ジェリー「…はい」
ヨンダル「こいつら連れて、また山に登らないとな」
ジェリー「また?!」
重苦しい空気が流れた。
ヨンダル「あと半月、地獄の訓練を続けるんだ」
ジェリー「兄貴ぃ~」
ジャンス「何だ?!さっさと失せろ!!!」
ジャンスが木刀を振りかざすと、彼らは一斉に走りだした。
二人になると、待ちきれずにジャンスが尋ねる。
ジャンス「どうなったんだ?」
ヨンダル「俺がやらなくても、チャン・ドンスが何とかしてくれるってさ。俺はコ・ボクテ兄貴に忠誠を示していればいい」
ジャンス「ってことは、情報屋のお前を、スパイとしてコ・ボクテに送り込むってことか?」
ヨンダル「そういうことだな」
ジャンス「それじゃ、お前の正体は何なんだ?」
ヨンダル「…。」
ジャンス「チャン・ドンス側なのか?コ・ボクテ側なのか?」
「俺か?」ヨンダルはゆったりと後ろにもたれかかった。
ヨンダル「俺はひたすらホ・ヨンダル側だ」
#(´・∀・`)ヘー
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舎北から戻ったドンスが、広域捜査隊の隊長室のドアを開けた。
ドンス「お呼びですか?」
隊長「あぁ」
彼を前に、隊長の表情は重い。
ドンス「どうぞおっしゃってください」
隊長「少し前に本庁から連絡があった。3ヶ月停職処分が下ったんだ」
ドンス「!」
隊長「俺が何とか頼んでみる、そう言ったが、これまでのお前の評価がもともと良くなくてな」
ドンス「…。」
隊長「とにかく済まなかった。力になれなくて」
ドンス「先輩がなぜ謝るんです?全部俺のしたことなのに」
隊長はやるせない溜息をついた。
ドンス「停職になるなら、いっそのこと辞職します」
隊長「ドンス!」
ドンス「…。」
ドンスの目は決意で強く見開かれた。
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スパイはヨンダルだけではない。
ピルサンもまた、正体の分からない人物だ。
ピルサンはコ・ボクテの元を訪ねていた。
ピルサン「コ会長が戦争を仕掛けてくると予想なさっています」
コ・ボクテ「あの男、昔から頭だけはヤケによく回る。迂闊にぶつかれば勝ち目はない」
ピルサン「本当に戦争を?」
コ・ボクテ「やるしかない。ヒョン室長の協力さえあれば、決して勝算のない戦いじゃないぞ」
ピルサン「…。」
そこへコ・ボクテの側近が入ってくる。
側近「会長、チャン・ドンスの話、お聞きになりましたか?」
コ・ボクテ「何だ?」
側近「停職3ヶ月の処分だそうですが、本人自ら辞職するそうです」
コ・ボクテ「辞職だと?」
側近「はい」
ピルサン「…。」
ピルサンがじっと考えを巡らせるそばで、コ・ボクテの高らかな笑い声が響き渡った。
コ・ボクテ「あいつ、ようやく目が覚めたようだな。長年の重荷が全部なくなった気分だ」
側近「あの…それで申し上げるんですが、ホ・ヨンダルのことで」
コ・ボクテ「あいつが何だ?」
側近「せっかくチャン・ドンスの辞職まで決まったんですから、ホ・ヨンダルをチャン・ドンスに使ってしまうことはないと思いますが。またの機会にお使いになっては?」
「その通り」コ・ボクテはまだ上機嫌だ。
コ・ボクテ「お前の言うとおりだ」
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シネは執務室で考え込んでいた。
そこへ入ってきたのは父のジョンマンだ。
彼は神妙な顔つきで俯いていた。
シネ「お聞きになりました?」
ジョンマン「…あぁ」
シネ「連絡してみたんだけど、ずっと携帯の電源を切ってるんです。一体どうして急に辞職なんて」
「私の過ちだ」ジョンマンは溜息のように吐き出した。
ジョンマン「全て私のせいだ」
シネ「?」
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料理屋のテーブルで、広域捜査隊の面々は代わる代わる溜息をついていた。
皆の様子を落ち着いて眺めていたドンスが口を開く。
ドンス「何だ、この空気は?誰か死んだか?」
ジン「死んだも同然です。結局、コ・ボクテのヤツにやられたんじゃないですか」
小さく溜息をつくと、ドンスはグラスに手を伸ばした。
ドンス「皆、グラスを持て」
皆がそれに無言で従う。
ドンス「気持ちは分かるが、まずは俺を気持ちよく行かせてくれ。な?」
「さぁ、飲もう」ドンスの合図に、部下たちが俯いたままグラスを合わせる。
タク刑事はどうにも飲む気になれず、グラスを放り出した。
タク刑事「何で酒が喉を通るんです?」
ドンス「…。」
タク刑事「班…、いや、兄貴。突然そんな決心をした理由、一体何なんですか?」
ドンス「俺は刑事生活の半分以上、頭がおかしいと陰口まで叩かれながらコ・ボクテに追いすがった。疲れたんだ。もう休みたい」
淡々と話すと、ドンスは自分のグラスに酒を注ぎ足した。
イ刑事「コ・ボクテは諦めたんですか?」
ドンス「…いや。あいつのことは絶対に諦められない」
ミン刑事「刑事でもダメだったのに、民間人になってどうなさるつもりなんですか」
ドンスはそれには答えず、酒を口に運ぶ。
まっすぐに一点を見つめたまま。
ジンが何も言わず、静かにドンスを見つめた。
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一人になったドンスは川の畔で夜風にあたっていた。
そこへ電話が鳴る。
しばらく考えると、いつものように電話に出た。
ドンス(電話)「あぁ、俺だ」
相手はシネだ。
シネ(電話)「どこなの?今から会いましょう」
ドンス「いや、今日は一人でいたいんだ」
シネ「お父さんに全部聞いたのよ」
ドンス「違うんだ。辞職したのはお父さんのせいじゃない。気にするな」
「俺から連絡するから」そう言ってドンスはあっさり電話を切った。
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ドンスは考えに耽る。
~~ある日、クク刑事と話したときのこと~~
クク刑事「お父さんの名前は”チャン・ジョングク”ですよね?」
ドンス「はい」
クク刑事「当時ドンジン炭座の労組委員長をしていらしゃった」
ドンス「えぇ、そうです」
「これですが」クク刑事が資料を差し出した。
『ドンジン炭座 死亡事故 調査報告書 旌善警察署 捜査課』と表紙に記されている。
クク刑事「お父さんが亡くなった時の事件記録なんですが、今見ると怪しい点が1つや2つじゃないんですよ」
表紙をめくると『概要』の部分に次のように書いてある。
『第一通報者クク・ヒョンス(31歳/男)が罷業に関する相談のためドンジン炭座に到着したとき、死亡者チャン・ジョングク(43歳/男)が約束の時間に現れず、ドンジン炭座の内部を探し回った。消えているはずの坑道内部の灯りが点いたままになっているのを不審に思った通報者が近くに寄ってみると、岩盤の山を発見。落盤事故を直感した通報者が岩盤の中から死亡者を探しだしたが、すでに息を引き取っていた。通報者は死亡者発見後、直ちに電話を通じ、舎北警察署へ通報し、現場は死亡当時のそのままに保存していた。』
※上記は映っている資料から私が読み取ったもので、台詞で表現されたものではありません
クク刑事「お父さんは炭鉱内の落盤事故で亡くなったとありますが、その当時はストライキ中で作業もしていなかったのに、どうして坑道に入られたのか、全く調査されてないんです」
ドンス「…。」
クク刑事「随分昔のことですから、再調査してもたいして変わらないでしょうが、とにかくこりゃ問題の多い事件ですよ」
~~~~
「お若いの!」ジョンヒの祖母が鍋を抱え、ヨンダルを呼んだ。
部屋の前で呼んでみるが、返事がない。
祖母「昨夜は帰ってたみたいだけど?もう出掛けたのかね」
気になって扉を開けてみると、そこにいるヨンダルを見つけた。
彼は布団に横になり、苦しそうに顔を歪めている。
祖母は彼の額に手を当て、熱があるのに驚いた。
祖母「ちょっと、お若いの」
ヨンダル「…大丈夫です」
祖母「おやまぁ、大丈夫なわけない」
祖母が慌てて部屋を出ると、そこへ出掛けるジョンヒと出くわした。
祖母「ちょっと、薬局に行ってきておくれ」
ジョンヒ「どうして?」
祖母「この部屋の人が風邪を引いたみたいでね、体がえらく熱いんだよ」
ジョンヒ「薬局がお店開けてくれるかしら」
祖母「早く行ってきておくれって」
「うん」ジョンヒが走りだした。
+-+-+-+
祖母はヨンダルの額に冷たいタオルを当てた。
そこへ扉が開き、薬を手にジョンヒが戻ってくる。
「薬を飲みなさい」そう言われ、ヨンダルは体を起こすと、ジョンヒに小さく頭を下げた。
ヨンダル「ありがとうございます」
ジョンヒ「私、出勤しなきゃいけないから、もう行きますね」
ヨンダル「…はい」
ジョンヒが部屋を出て行く。
ヨンダルは薬のカプセルを取り出すと、祖母が差し出した水と一緒に流し込んだ。
祖母「具合の悪い時にひとりぼっちなのは一番辛いことだよ。家族はいないのかい?」
ヨンダル「はい」
祖母「…。この家に一緒に暮らすことになったのも、縁といえば縁だ。家族だと思いなさい」
ヨンダル「…。」
祖母「具合の悪い時にはそう言うんだよ」
ヨンダルはうんうんと頷き、微笑んだ。
ヨンダル「…はい。分かりました」
「豆もやし汁を持って来てあげるよ」祖母はそう言ってニッコリと笑うと、部屋を出て行った。
ヨンダル「…。」
一人になったヨンダルは、長い間そこに座っていた。
じっとしているうちに、ひとりでに目から涙が溢れた。
これまで生きてきた中で、一度も流したことのない涙だった。
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出勤したジョンヒにヒョンミが声を掛けた。
ヒョンミ「ユン・ヤンハがカジノ事業本部長になったの、知ってる?」
「うん」ジョンヒが微笑む。
ヒョンミ「あんたには前もって話してくれたの?」
ジョンヒ「そんな仲じゃないってば」
そこへ、ヒョンミがジョンヒの腕を引く。
ヒョンミ「来るよ、来る!」
振り返ると、向こうからヤンハが歩いてくるのが見える。
二人が頭を下げると、ヤンハは一瞥すらせずに二人の脇を通り過ぎた。
ヒョンミ「何?あの冷たい感じ」
ジョンヒ「…。」
ヒョンミ「どうしちゃったの?」
ジョンヒは何も答えず、歩き出した。
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ミン社長の元へヨンダルがやって来た。
ミン社長「いらっしゃい。座って」
彼女は現れたヨンダルの不調に一目で気づく。
ミン社長「随分顔色が悪いわね」
ヨンダル「風邪を引きまして」
ミン社長「大丈夫なの?」
ヨンダル「はい。何かご用ですか?」
ミン社長「コ会長が会いたいそうよ」
ヨンダル「舎北でですか?」
ミン社長「いいえ、ソウルよ。今すぐ行ってみなさい」
「はい」ヨンダルは立ち上がると、ミン社長が彼を見上げる。
ミン社長「その格好で行くつもり?スーツはないの?」
ヨンダル「ないですけど」
ミン社長「そんな格好で会長に会うなんて礼儀に適ってないわ」
ミン社長も立ち上がる。
ミン社長「私もソウルに用事があるの。一緒に行きましょ」
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高級紳士服店の鏡の前で、ヨンダルはスーツ姿の自分を見つめた。
「いい服を着るとまた素敵になったわね」後ろでミン社長が満足気に微笑む。
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コ・ボクテが会長室でのんびりパターを打っていると、扉が開き、スラリとした若者が入ってくる。
ヨンダルだ。
コ・ボクテ「おぉ!ヨンダル!見違えたなぁ」
ヨンダルが小さく頭を下げた。
コ・ボクテ「いいじゃないか。様になってるぞ」
コ・ボクテを真ん中に、彼の側近とヨンダルが向き合って腰を下ろす。
コ・ボクテ「やはりお前は私にとって福の神らしい」
「ははは」コ・ボクテは上機嫌に何度も笑う。
コ・ボクテ「お前が俺側についたら、チャン・ドンスのヤツ、辞職しやがった」
ヨンダル「え?」
ヨンダルの頭のなかにドンスとのやりとりが蘇る。
「お前がコ・ボクテの信頼を得られれば、俺にとっても好都合だ」
「いや、いっそのことコ・ボクテ側につけ」
「そうなれば班長さんを俺の手にかけなきゃならない」「心配ない。お前の負担にならないようにするから」」
あのときは全く分からなかった言葉が、今、まずはここに繋がった。
側近「もうチャン・ドンスをヤらなくてもいいぞ」
ヨンダル「それなら何をすれば?」
側近「舎北でお前が会長のために働けるなら、その能力を見せればいい」
ヨンダル「…。」
静かに考えるヨンダルを、コ・ボクテは辛抱強く待った。
ヨンダル「はい。最善を尽くします」
「おぉ、そうかそうか」コ・ボクテはまたもや満足気に笑った。
コ・ボクテ「お前は本当に福の神だ」
そこへ秘書から内線が入る。
テジョングループのユン・ヤンハが訪ねてきたと言うのだ。
側近「何の用件か確かめますか?」
コ・ボクテ「いや、構わん」
「入るように言え」コ・ボクテは秘書に答え、「君は帰っていいぞ」とヨンダルに告げた。
立ち上がり、部屋を出ようとしたヨンダルは、ちょうどそこへ入ってきたヤンハと目を合わせた。
ヨンダル「…。」
ヤンハ「…。」
ヤンハは奥にいるコ・ボクテをヨンダルの肩越しに一瞥し、ヨンダルと見比べた。
しばし沈黙が流れると、小さく咳払いをし、ヤンハは何も言わずにヨンダルの脇を通り過ぎる。
ヨンダルは訳のわからぬまま外へ出た。
受付の前までぼんやり歩いてくると、そこで立ち止まる。
ヨンダル「あいつ、何でここに?」
+-+-+-+
コ・ボクテの前には、ヨンダルに代わってヤンハが座っていた。
コ・ボクテ「連絡もなしにどうした?」
ヤンハ「このたびテジョンカジノ事業本部長に就任しました。ご挨拶をと思いまして」
コ・ボクテ「あぁ、そうか!はははっ、こりゃめでたいな」
ヤンハ「…。」
コ・ボクテ「ユン会長は思い切った決断をされたな」
ヤンハ「それから、警告もしておこうと」
コ・ボクテの目が鋭くなる。
コ・ボクテ「警告?」
ヤンハ「我々テジョングループの複合リゾート、そしてカジノを狙っておいでだと聞きました。おやめください。会長が欲を出せば出すほど、大怪我をなさいますよ。今後、テジョンカジノと永宗島複合リゾート事業は僕が守ります」
コ・ボクテが吹き出す。
コ・ボクテ「何だ?君は今、私に宣戦布告してるのか?」
ヤンハ「それはふさわしい表現じゃありませんね」
ヤンハは冷ややかな目で軽く室内に視線を泳がす。
ヤンハ「(嘲笑)チョンジン建設は、テジョングループから宣戦布告するような相手じゃないでしょう」
コ・ボクテ「生意気なヤツめ…。いつまで続くか見ものだな」
ヤンハ「…。」
+-+-+-+
「おい」ロビーへ降りて来たヤンハは、誰かに呼び止められて振り返る。
ヨンダルだ。
ヨンダル「ここに何のご用で?」
ヤンハ「そちらは?」
ヨンダル「あぁ。知らなかったか?俺はここチョンジン建設コ会長の配下だ。俺はコ会長のために働いてる」
ヨンダルは誇らしく語った。
ヤンハ「コ会長は僕の敵です。彼相手に戦争を始めたので。彼の側にいれば僕の手で傷つくかもしれません。ご注意を」
ヨンダル「(笑)自分の心配でもなさったほうがいい」
ヤンハはヨンダルを見つめたまま、ゆっくりと口角を上げると、背を向けた。
ヨンダル「おい、ホールデムの勝負は?!」
ゆっくりと去っていくヤンハの背中を、ヨンダルは見つめた。
ヨンダル「…。」
+-+-+-+
ユン会長の元を訪れたのは、ドンスだった。
彼が部屋へ入ってくると、ユン会長は立ち上がり、歓迎する。
「ユン・テジュンです」ユン会長が差し出した手を、ドンスは握り返した。
席を勧めると、ユン会長は寛いだ様子で口を開いた。
ユン会長「ファン・シネ博士からあなたの話を随分聞きましたよ」
ドンス「どんな用件で私をお呼びになったんです?」
ユン会長「チャン・ドンスさんとチョンジン建設コ・ボクテ会長の関係、よく知っています」
ドンス「…。」
ユン会長「二人は長年の間、悪縁で結ばれている。それに、チャン・ドンスさんほどコ・ボクテ会長に詳しい人は稀だということもね」
ドンス「…。」
ユン会長「コ・ボクテと一戦交えなければならない状況にあるんです」
ドンス「!」
ユン会長「私に力を貸してもらいたい」
ドンス「…。」
+-+-+-+
ホテルの柱の影で、ヨンダルは遠慮がちに向こうを覗いた。
#「もう来るかな?」by ヨン ↑ここイイよね♪
しばらくウロウロしていると、エレベーターが到着し、ジョンヒが降りてくる。
彼が柱から姿をあらわすと、ジョンヒはすぐに気づいた。
「あっ!ホ・ヨンダルさん!」彼女が笑顔で近づいてくる。
彼も小さく微笑み、頭を下げた。ジョンヒはヨンダルのスーツ姿に目を輝かせる。
ジョンヒ「わぁ!誰かと思いましたよ!」
ヨンダル「いや、そこまでじゃ^^;」
「そうだ」ヨンダルは話を切り出した。
ヨンダル「朝、薬を持って来てくれたのがすごく嬉しくて」
ヨンダルは持って来た小さな紙袋を両手で差し出した。
#かわええーー
ジョンヒ「そんな…。貰っていいのか分からないわ」
ヨンダル「大したものじゃないんですよ」
「ありがとう」ジョンヒは袋を受け取り、ニッコリ微笑んだ。
ジョンヒ「ホ・ヨンダルさん、スーツめちゃくちゃ似合いますね」
ヨンダル「(照れ)生まれて初めて仕立てたんです」
ジョンヒ「(ニコニコ)」
ヨンダル「◯◯洋品って知ってます?そこで仕立てたんですよ」
ジョンヒ「へぇ」
笑顔で話す二人の向こう側に、静かに立っている人影があった。
ヤンハだ。
彼は目の前の二人を、ただ茫然と見つめた。
ヤンハ「…。」
+-+-+-+
ヤンハは向こうからやって来たチーム長を呼び止めた。
ヤンハ「うちの職員の中で舎北出身なのは誰です?」
チーム長「大勢いますよ。(後ろにいる職員を振り返り)彼らも舎北出身です」
チーム長は後ろの二人を呼んだ。
スジョンの部下の二人だ。
ヤンハ「ひょっとして、ホ・ヨンダルという人を知ってますか?」
二人は顔を見合わせる。
ヤンハ「話してください」
ユナ「舎北に住んでいてホ・ヨンダルを知らない人はあまりいないと思います」
ヤンハ「なぜです?」
ジノ「悪い噂が出回ってるんです。ゴロツキだと」
チーム長「ホ・ヨンダルの名前は舎北の人間でなくても皆知っているほどです。チンピラの中でも一番タチが悪い。ひどい言い方をすればクズです」
ヤンハ「…。」
チーム長「それがどうかなさいましたか?」
「いいえ」ヤンハは職員たちを仕事に戻らせた。
ヤンハ「…。」
+-+-+-+
ホ・ヨンダルが次にスーツ姿を披露しにやって来たのは、ジャンスの父が営むボス担保貸しだ。
ジャンス「おお!」
社長「こいつぁ驚いた」
ヨンダル「どうだ?イケてるか?」
社長「こいつめ!こりゃまた最高のヤサ男だな」
ヨンダル「(嬉)」
社長「いっそツバメ(※年下の情夫)でもやったらどうだ?”奥様、ツバメ一羽飼いませんか”ってな」
ヨンダル「俺がツバメになりゃ、この街の姉さん方は熱狂しますよ」
ジャンス親子は愉しげに笑った。
ジャンス「なぁ、ツバメの格好でどこ行った来たんだ?」
ヨンダル「あぁ、ソウルだ」
ジャンス「ソウルに何で?」
ヨンダルは後ろにもたれかかって余裕を見せる。
ヨンダル「コ・ボクテ兄貴に会ってきた」
社長「おい、お前が何でコ・ボクテに?」
ヨンダル「ジャンス、俺がコ・ボクテ兄貴とどういう関係なのか説明して差し上げろ」
「…。」ジャンス親子は顔を見合わせた。(#この瞬間吹き出した
ジャンス「(ヨンダルに)言っても無駄だ。どうせ信じやしない」
「こいつ!」ジャンスが父親に叩かれる、いつもの光景を前に、ヨンダルの電話が鳴った。
ヨンダル(電話)「はい、もしもし」
電話の向こうにいたのは、ヤンハだった。
ヤンハ(電話)「ユン・ヤンハです」
ヨンダル「ユン・ヤンハって誰だよ」
ヤンハ「今日チョンジン建設で会ったでしょう」
「あぁ」ヨンダルが身を乗り出した。
ヨンダル「何の用です?」
ヤンハ「ホールデムで一勝負しましょう」
ヨンダル「OK!どこでやる?賭け金はいくらあればいい?」
「そうしよう」電話の様子を、ジャンス親子がワクワクして見守る。
ヨンダル「せっかくやるんだ。デカく賭けようぜ」
+-+-+-+
チャンマダムの賭博場にキム女史が入ってきた。
マダム「お姉、ホ・ヨンダルが来るって」
キム女史「ヨンダルがどうして?」
マンガン「今日はうちでデカイ勝負があるぞ♪」
マダム「あたし、今日は他のお客を全部断ることにしたわ♪」
キム女史「ヨンダル、お金なんかないはずだけど。どうやって大きな賭け金を?」
マダム「あの魔女、ミン社長がスポンサーだって」
キム女史「ミン社長?!」
マダム「そうさ!ミン社長とホ・ヨンダルがボロボロになるのが見られるわよ」
キム女史「…。」
+-+-+-+
部屋に帰り、鏡の前に座ると、ジョンヒはヨンダルからもらった紙袋に手を伸ばした。
中から箱を取り出し、蓋をあけると、キラキラと輝く可憐なネックレスが現れる。
彼女は幸せそうに顔を輝かせた。
箱からネックレスを取り出すと、彼女は鏡に向かって首元に当ててみる。
そこへ、携帯が鳴った。
ジョンヒ「?」
画面にはチャンマダムと表示されている。
ジョンヒ(電話)「はい」
マダム(電話)「今どこ?」
ジョンヒ「家です」
マダム「ちょっと来ない?」
ジョンヒ「私がどうして?もう行く必要ないはずですけど」
マダム「少しでいいのよ。待ってるからすぐ来なさい」
マダムはさっと電話を切る。
ジョンヒ「…。」
+-+-+-+
マンガンが扉を開けると、ジョンヒが立っていた。
マンガン「いらっしゃい」
マンガンに歓迎され、ジョンヒが中へ入る。
マンガン「チャンマダムが待ってるよ」
ジョンヒはマダムの前で淡々と頭を下げた、
ジョンヒ「何のご用ですか?」
マダム「あんた今日、ホールデムのテーブルでディーラーやってよ」
ジョンヒ「それはもう出来ないってお断りしたじゃないですか。私、カジノの正職ディーラーなんです」
「あたしも知ってるけどさ」マダムの語気が強まる。
マダム「あんたを呼んでくれっていう人がいるのよ」
ジョンヒ「誰なんですか?」
マダムがジョンヒの背後に視線を移す。
「僕です」ふいに聞こえた声に、ジョンヒは驚いて振り返った。
ヤンハだ。
ジョンヒ「!」
後ろで、大人たちが成り行きを静かに見守る。
ジョンヒ「ユン・ヤンハさん」
ヤンハ「僕のリクエストなんです。今日のことについては何の責任も問いません。だから、オ・ジョンヒさんがやってください」
ジョンヒ「…。」
じっと見ていたキム女史がチャンマダムの腕を引き、彼らのそばを離れた。
キム女史「あの人、実力はどうなの?」
マダム「私が見てきた中で、ホールデムの実力では最高よ」
キム女史「ヨンダルより上手いの?」
マダムは思わず笑った。
マダム「ヨンダルなんかお呼びじゃないわよ」
キム女史「…。」
キム女史はまっすぐヤンハの元へ向かった。
彼女に呼ばれ、ヨンハが振り返る。
キム女史「スポンサーになりましょうか?お金が必要なら言ってくださいな」
#もー 見てられないからやめれって!
ヤンハは気の乗らない様子で頭を下げた。
ヤンハ「結構です」
そこへ扉の開く音が響き、「選手入場!」マンガンが景気良く掛け声を上げた。
一同が音の方に注目する。
ヤンハ「…。」
ヤンハの鋭い視線の向こうに…
ヨンダルが現れた。
ジョンヒ「!」
待っていた彼らの前に、ヨンダル、ミン社長、ジャンス、ジェリー、ヒョンタクが並ぶ。
向き合った彼らの間に、無言の緊張が走った。
+-+-+-+
「さぁ!これからゲームを始めます」マンガンが調子よく盛り上げる。
マンガン「buy in(※最初に持ち込む金額)5000万ウォン、no limitのホールデム!small blindは100万, big blindは200万(※賭け金についてのルールを指定)」
テーブルを取り囲み、皆が見守る。
ヤンハとヨンダル、二人が両端に座り、真正面に向き合った。
ゲームの始まりだ。
ジョンヒがカードを切る。
ジェリー「(ヒソヒソ)ノーリミットって何だ?」
ジャンス「(ヒソヒソ)こいつ!情けないな。いくらでも賭けていいってことだ。一度に5000万つぎ込んだっていい」
ジェリー「5!5000!マジかよ!」
マンガン「さぁ、始めよう」
ジョンヒがヤンハから順にカードを配る。
2枚の持ち札を前に、二人の腹の探りあいが始まる。
ヤンハ「…。」
ヨンダル「…。」
ヨンダルは…
配られたカードには手も触れず、目の前に積まれたチップを両手で掴むと、全部まとめて前に差し出した。
ヨンダル「オールイン」
※オールイン=自分の持っている全てを賭けること
ヤンハ「…。」
「何だ?狂ってますよ!カードも見ないでオールインなんて!」ヒョンタクがざわめいた。
「黙って見てなさい」ミン社長の落ち着いた叱咤が飛ぶ。
ジャンス「おい、ヨンダル、お前どうしたんだ?5000万だぞ。カード見なきゃダメだろ!」
「見ることなんかない」ヨンダルはヤンハから視線をはずさずに言い捨てた。
ヤンハ「無謀すぎるんじゃ?」
ヨンダル「無謀だろうがなんだろうが、全部俺の勝手だ」
ヤンハ「…。」
ヤンハは自分の持ち札に手を伸ばし、そっと自分の方へ返して確かめると…そのまま戻した。
ヨンダル「?」
ヤンハ「カードを確かめて賭け直してくださいよ」
ヨンダル「…。」
ヤンハが呆れて天を仰いだ。
ヤンハ「こんな無謀なゲームで勝っても面白くないじゃないですか」
ヨンダル「コールならコール(※続行)、フォールドならフォールド(※降りる)すりゃいい。ツベコベ言うんじゃねー。ビビってんならやめちまえ」
ヤンハ「…。」
全員が押し黙ってヤンハの選択を待った。
ヤンハ「コール」
ヤンハは自分の前のチップに手を掛けると、彼もまた一枚残らず前に差し出した。
※先にベットしたヨンダルが全額を賭けたので、ヤンハが勝負を続ける場合は、”コール”して同額を賭ける必要があります。
ヨンダル「…。」
ヤンハ「…。」
+-+-+-+
ここでエンディングです。
さぁ、ざざっと感想を述べますよ!
1.ヤンハがいきなり会社に参加した理由がやっぱり分からん。前半で父親と話して急に変わった時は何か考えがあるんだろうと思ったけど、さっぱりわからなくなった。精神を病むほど毛嫌いしてたのにね
2・ジャンスの言うことはいつだって正しい(ただし、言うだけ)
3.ドンスが刑事の枠から外れ、自由な行動が出来るようになったので、ここはすごく期待が高まった!
4.ドンスの目がどんどん大きくなってる気がする!
5.今回も取ってつけたように熱を出すヨンダル。前回の海辺デート同様、なぜ話の流れからここだけポコっと外れてるのか…。ジョンヒに対してシャイなヨンダルはすごく素敵なのに、ストーリーも人格も繋がらない
6.それでも、いい男が弱ってる姿はイイ!充血した目がたまらん
7.ヤンハの「~ダァ!」っつう独特の語尾の発音がすっかり癖になってる
8.ユナさんとジノさんはいつ見てもぎこちなくて仕方ない
9.ドンスを消せと命じられた件は、ドンスが辞職して終わった。そりゃホッとしたけど、「後は舎北で会長のために働ける能力を見せろ」って、最初のデッカイ課題があっさり片付いた後に、アバウト過ぎないか?
これまでずっと”成り行き”で何とかなってきたヨンダル。
ホールダム対決も、ヤンハにとってはジョンヒを巡っての密かな意地があるものの、ヨンダル側にはリベンジ以外に特に具体的な意味がないのが、実は気になるところです(笑)それでも、大勝負に出たことをキッカケに、そろそろ変化が見えるといいなぁと思います。
ではでは、今回もお付き合いありがとうございました。
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