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トライアングル19話あらすじ&日本語訳vol.2

   

ジェジュン、イ・ボムス、イム・シワン、ペク‥チニ出演「トライアングル」19話の後半に進みます。

+-+-+-+

チョンジャとソンジュが並んでディーラー控室へ入ってくると、仲間のウニョンの前に座った。

チョンジャ「あんた昨夜、一般ラウンジでイカサマしてたのを捕まえたんですって?」
ウニョン「えぇ!カードをすり替えてたんですよ」
チョンジャ「よくやったわ。さっきマネージャーに会ったんだけど、ご褒美が出るって」
ウニョン「本当に?!」
ソンジュ「そうよ。マネージャーが探してたわ。早く行ってみなよ」

ウニョンが大喜びで控室を出て行くと、チョンジャが急に鼻をくんくん鳴らし始める。
「…。」彼女は怖い顔で立ち上がった。

チョンジャ「これ何の匂い?!」

近くのソファに座っていたジョンヒの同期たちがビクリとする。

チョンジャ「あんたたち、ダラダラしてないで掃除しなさいよ!掃除!換気して!」

「はい」新人たちがぞろぞろと立ち上がった。
「さっさと動きなさいよね!」チョンジャは腕組みをし、部屋の中央に仁王立ちだ。

チョンジャ「説教しなきゃ分からないんだから、全く!」

そこへヒョンミがやって来た。
皆の様子を見ると、ヒョンミはチョンジャの前に向き直る。

ヒョンミ「みんな掃除してるのに、あんたたち何してるの?」
チョンジャ&ソンジュ「…。」
ヒョンミ「一緒に掃除しなさい」
チョンジャ「(嘲笑)あんた何様?」

チョンジャの態度に、ヒョンミは余裕たっぷりに微笑んだ。

ヒョンミ「私ですか?今日からフロアマネージャーの発令を受けたカン・ヒョンミといいます」

「よろしくお願いしますね」ヒョンミが控室全体に声を掛ける。

チョンジャ「何ですって?あんたがフロアマネージャー?!」
ヒョンミ「信じられないなら自分の目で確かめてきたら?」
チョンジャ「…。」
ヒョンミ「チョンジャ、あんた覚悟しなきゃね。今日から私がしっかり懲らしめてやるから」

チョンジャたちはそれっきり黙ってしまった。
新人ディーラーたちは密かに笑い合うと、再び掃除を始める。

+-+-+-+

「Good Morning、ホ理事」一足先に出社したヨンダルが資料をチェックしていると、ジャンス、ジェリー、ジュノが揃って入ってきた。

ヨンダル「どうなった?」
ジェリー「理事の指示通り、ハン・ミョンジェをバッチリ焦らしておきましたよ」
ヨンダル「やり過ぎるなよ。私設カジノが木っ端微塵になる」
ジャンス「手抜かりないですよ」
ヨンダル「ハン・ミョンジェからVIPの申請があったらOK出してくれ」
ジュノ「でも、最近VIPの審査が厳しくなったんです」
ヨンダル「その人は暴力団員だが、クラブやルームサロン、酒類の流通までやってる事業家だ。十分資格はあるから、許可して問題ない」

「はい、分かりました」ジュノが頷いた。

#大丈夫だって。チンピラのヨンダルがVIPルームに入れるくらいなんだから

ヨンダル「ハン・ミョンジェがカッとなったら、それを見計らってうちのカジノに連れて来るんだ」
ジャンス「OK!」

+-+-+-+

ミョンジェは私設カジノでまだバカラを続けていた。

厳しい表情でPLAYERのカードを開く。
「申し訳ありません。BANKER, Win」BANKERのカードを開くと、ディーラーは淡々と告げた。
「もう1回」随分負けがこんでいる。ミョンジェは勝負から身を引くタイミングをすでに逃していた。
「さっさとしろ!」ミョンジェが声を荒げる。

そっと様子を窺っていたチャンマダムがマンガンをつついた。

マダム「もうやめた方がいいんじゃない?怖くてもう見てられないわ」
マンガン「まだまだ息がある。もう少し待つんだ」

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マンボンはヨンダルの言葉が気になっていた。

マンボン「血を見なくてもハン・ミョンジェをジ・エンドに出来るってヨンダルが言いましたよね」
ミン社長「ヨンダル、他は全部いいんだけど、虚勢を張るところがあるの」
マンボン「…。」
ミン社長「大口叩いてたけど、一体どうやるって言うのよ」
マンボン「それでも、どこか信じられる部分があると思いませんか?」

そこへミン社長の電話が鳴る。

ミン社長(電話)「あぁ、ホ理事。どうしたの?」

「うん、うん」話を聞いているうちに、ミン社長の顔がどんどん明るくなっていく。

ミン社長(電話)「何ですって?!」
マンボン「?」
ミン社長(電話)「分かった。今すぐマンボンに行かせるわ!」

電話を切ると、ミン社長は嬉しそうに指を鳴らした。

ミン社長「ヨンダルはただ大口叩いたわけじゃなかったわ。うまく行けば、本当に血を見ることなくハン・ミョンジェをジ・エンドに出来るかも」
マンボン「どういうことです?」

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マンボンがやって来たのは私設カジノだ。
彼が入ってくると、すぐにチャンマダムとマンガンが駆け寄った。

マンボン「ハン・ミョンジェがゲームしてるらしいが」
マダム「えぇ。あそこ…3番テーブルですよ」

マンボンはミョンジェの様子を窺う。

マンボン「どうなってる?」
マダム「うちが… 5億ほど勝ってます」
マンガン「あの、実はそれ、ホ・ヨンダルが…」

「分かってる」マンボンは頷き、二人を安心させると、ミョンジェの背後に近づいた。
ミョンジェがチップをPLAYERにベットすると、マンボンが後ろから口を挟む。

マンボン「兄貴、カードの読み方をご存じないんですね。俺が見るに、PLAYERじゃなくてBANKERなんだけどな」

突然割り込んできた男に、ディーラーの顔が引きつった。

ミョンジェ「死にたくなきゃ失せろ」

コクリと頷き、マンボンは後ろに下がる。
ゲームが再開された。

ディーラー「BANKER, 9」

ミョンジェは苛立ってPLAYERのカードをズタズタに裂いた。

ディーラー「!!!」
マンボン「はぁ、俺の言うこと聞きゃ良かったのに」

「!!!」ミョンジェが立ち上がり、マンボンを睨みつける。
椅子の音が響き、店じゅうが凍りついた。

ミョンジェ「お前、死にたいか?」
マンボン「人の目もあるのに恥ずかしいじゃないですか、兄貴」
ミョンジェ「…。」

「何見てんだ!」ミョンジェの声に、周りの客たちは慌てて目を逸らす。
「もっとチップ買ってこい」ミョンジェは側近に声を掛けた。

側近「金は… 全てなくなりました」
ミョンジェ「取りに行ってこい」
側近「兄貴、ここは釜山じゃありません。金のアテはないんです。もうおやめください」
ミョンジェ「釜山じゃないって…?」

ミョンジェはテーブルに両手をつくと、ディーラーを睨んだ。

ミョンジェ「このテーブル、他の客を断って待ってるんだぞ」
ディーラー「…。」

「行くぞ」ミョンジェは店を出て行った。

#それにしても、このおっさん暇だよね

マダム「寝た子を起こしちゃったんじゃないの?」
マンガン「怖くて見てられないよ」
マンボン「心配することはない。ハン・ミョンジェ、肩書は全国クラスのボスだが、ここで騒ぎを起こしたと噂になったら、それで終わりだ」
マダム「…。」

+-+-+-+

職場のソファで、ジョンヒはじっと写真を見つめていた。
幼いころの無邪気な笑顔に、見ている彼女にも自然に笑みが溢れる。

そこへ通りかかったジュノは、彼女が熱心に見ている写真を覗きこんだ。

ジュノ「誰?」
ジョンヒ「え?あぁ^^ 私が小さい時の写真」
ジュノ「横にいるのは?」
ジョンヒ「うーん。よく覚えてないんだけど、私の初恋なんだって」

「おままごとで旦那さんだったの」ジョンヒが嬉しそうに写真へと視線を戻した。

ジュノ「ままごとは俺とだってしてたぞ」
ジョンヒ「?」
ジュノ「俺がお前の初恋だと思ってたのに」

「あんた」ジョンヒがジュノを睨む。

ジョンヒ「もう大人だから私が許すと思っちゃって!」

「早く行きなよ」ジョンヒに言われ、ジュノは笑ってその場を立ち去った。
一人になると、ジョンヒは再び写真の中の二人に思いを馳せる。

+-+-+-+

ヨンダルもまた、デスクで写真を見つめていた。
幸せそうな姿に、彼もひとりでに笑顔になる。

そこへ電話が鳴り、彼は写真をデスクの上に置いて懐を探った。

ヨンダル(電話)「はい。いえ、大丈夫です。えぇ、今すぐ出ます」

ヨンダルはそのまま席を立った。

+-+-+-+

「ジョンヒ」ジェリーが歩いてくると、まだそこに座っているジョンヒに声を掛けた。
彼はジョンヒの隣にさっと腰を下ろす。

ジョンヒ(手元にあった缶コーヒーを手に取り)コーヒー飲む?」
ジェリー「いや、いいよ」

ジェリーは慎重に口を開く。

ジェリー「お前、最近ヨンダル兄とはどうなんだ?」
ジョンヒ「いきなりどうしたの?」
ジェリー「いや、別に」
ジョンヒ「…。その話、これ以上したくないな」
ジェリー「お前が拉致された時、ヨンダル兄はお前のこと突き放したろ。あれはヨンダル兄の本心じゃない」
ジョンヒ「…。」
ジェリー「お前を助けるためだ」
ジョンヒ「それどういうこと?」
ジェリー「ヨンダル兄がお前と電話で話してる時、俺、隣にいたんだ。お前とヨンダル兄の仲をあいつらが知ったら、助けだすのが難しくなる。それでお前に冷たくしたんだ」
ジョンヒ「!」
ジェリー「だから、ヨンダル兄を誤解すんな」
ジョンヒ「…。」

「じゃあな」ジェリーは立ち上がる。

ジェリー「ヨンダル兄には俺が話したって言うなよ」

313

+-+-+-+

ジュノがヨンダルの部屋へやって来ると、そこはもぬけの殻だった。
彼は持って来たファイルをデスクの上に置いて、ふと足を止めた。

ジュノ「?」

デスクの上に置いたままになっていた、一枚の写真。
彼は何となく気になり、写真を手に取った。

ジュノ「!」

さっき、ジョンヒが「自分と初恋の人だ」と言っていた写真。
ここに映っているのはどう見ても同じ子どもたちだ。

ジュノはそっと写真を戻し、部屋を後にした。

+-+-+-+

男が店に入ってくると、待っていたドンスが立ち上がる。
以前、シネの父親が探し当てた、ドンスの父と同僚だった男だ。

ドンス「お元気でいらっしゃいましたか?」
男「あぁ」

ドンスは彼に席を勧めた。

男「どういうわけでまた連絡してきたんだい?」
ドンス「お訊きしたいことがありまして」
男「何だ?」
ドンス「キム・ジンスさんをご存知でしょう?」
男「ドンジン炭座のキム・ジンス?」
ドンス「えぇ。今テジョングループのユン会長の元で専務として働いています」
男「知るも知らないも。キム・ジンスは君の父親とすごく親しかった」
ドンス「!…親しかったんですか?キム・ジンスさんはユン会長の忠僕だと思っていたんですが」
男「あぁ、まぁそれは、彼がユン会長に能力を認められたんだな。俺たち鉱夫たちともすごく仲が良かったんだ」
ドンス「…。」
男「特に君の父さん、チャン・ジョングクとは兄弟のように親しくしてたよ」
ドンス「!」

意外な証言に、ドンスは考え込んだ。

+-+-+-+

一方、シネは久しぶりにヤンハに会っていた。

ヤンハ「ヒョン室長と別れて、顔が明るくなりましたね」

「みんなにそう言われるの」シネは笑う。

シネ「きまり悪いわ」
ヤンハ「そんなことないですよ」
シネ「あなた、好きな女性とはうまく行ってるの?」
ヤンハ「ずっと僕一人で気を揉んでたけど、最近やっと少し近づけたみたいです」
シネ「それは良かったわ」
ヤンハ「僕に話があるんじゃないんですか?」
シネ「えぇ。ちょっと訊きたいことがあって」
ヤンハ「何です?」

シネは慎重に切り出した。

シネ「あなた、どこでどうやって養子になったのか聞いたことある?」

「どうしていきなりそんな話を?」ヤンハは戸惑いを隠せない。

シネ「あなたには突然に聞こえるだろうけど、最近私、論文を書いてるの。あなたのケースを論文に加えたいのよ」
ヤンハ「…。」
シネ「あなたとユン会長の関係、私がカウンセリングをした中でも特別だったから」

314

「…。」ヤンハは少し思い巡らせ、口を開いた。

ヤンハ「僕が養子だと初めて知った時、どこでどうやって養子になったか調べようとしたんです。でも、誰も教えてくれる人はいませんでした」
シネ「ユン会長に直接訊いてみた?」
ヤンハ「えぇ。そんなことは知る必要もない過去だって、たった一言で切り捨てられました」
シネ「…。」

+-+-+-+

シネと別れ、本社へ顔を出すと、ヤンハはエスカレーターを上がったところでキム専務を見かける。

ヤンハ「キム専務」
キム専務「本社にご用ですか?」
ヤンハ「ミョンワンソンの人たちとミーティングがあるんです」
キム専務「そうですか」

「行きましょう」ヤンハは並んで廊下を歩き出した。

ヤンハ「キム専務」
キム専務「はい、坊っちゃん」
ヤンハ「坊っちゃんていうの、もうやめてください」
キム専務「とんでもない」

二人は微笑む。

ヤンハ「キム専務は僕がどこでどう養子になったのかご存じですか?」

「突然なぜそんなことを?」キム専務が立ち止まった。

ヤンハ「ちょっと気になっただけです」
キム専務「申し訳ありません。私はよく知りませんので」
ヤンハ「…。」
キム専務「ひょっとして最近ファン・シネ博士にお会いになりましたか?」
ヤンハ「どうして分かるんです?今会ってきたんですが」
キム専務「何でもありません。今も続けてカウンセリングを受けていらっしゃるか気になりまして」
ヤンハ「カウンセリングを受けてからはかなり経ちます。最近は薬も飲んでいません」
キム専務「そうですか。それは良かった」

再び歩き出したキム専務の表情は硬い。
話しかけることを許さない、そんな空気にヤンハは心に引っ掛かるものを感じ、戸惑った。

+-+-+-+

夜のテジョンカジノ。

通用口に黒い車が入ってくると、男が一人降り立った。

キム専務だ。

「キム専務」そこへ後ろから呼びかけられ、キム専務は振り返る。
ドンスだった。

キム専務「ここに何のご用です?」
ドンス「少しお話があります」
キム専務「私にはあなたと話すことはありません」

キム専務が背を向けようとする。

ドンス「父と兄弟のように仲が良かったと聞いて来たんです」
キム専務「!」
ドンス「少しお時間をください」
キム専務「…。」
ドンス「ぜひお訊きしたいことがあります。ユン・ヤンハを養子に迎えたのはキム専務ですね?」
キム専務「…。」
ドンス「ユン・ヤンハは… 僕の弟のチャン・ドンウですか?」
キム専務「!」

キム専務は重い表情で息を吐き出した。

+-+-+-+

「君の言う通り、ジョングクと私は実の兄弟のように仲が良かった」人の来ない公園に場所を移し、キム専務は話し始めた。

キム専務「だが、ジョングクは労組に、私は会長の下で仕える立場になってから、私たちの関係がすれ違い始めたんだ」
ドンス「…。」
キム専務「ジョングクが起こしたストライキが長期化して、ユン会長とジョングクの摩擦が極限に達した。ジョングクが死んで、私はそれがユン会長のやったことだと気づいたんだ」
ドンス「…。」

315

キム専務「孤児院を訪ねた時、ドンス、君の姿はなく、幼いドンチョルがドンウの面倒を見ていた。両親ともに失い、ただただ泣いている幼な子を見ているうちに思った。罪滅ぼしをするには、死んだジョングクの子どもをユン会長の手で育てさせることだと。それで、私がチャン・ドンウをユン・ヤンハとして養子に迎えた」
ドンス「どこが罪滅ぼしなんです?!なぜ父を殺した仇に弟を育てさせようなどと!!!なぜそんな愚かなことを考えたんですか!!!」
キム専務「孤児院で不幸に暮らすよりは、会長の息子として大事に育てられた方が100倍マシだと思った。今でもその考えは変わらない。君たちが現れるまで、ユン・ヤンハの人生には何の問題もなかった」
ドンス「…。」
キム専務「君たちが本当に弟を思うなら、今からでも会長に向けた刀を収めなさい。会長はチャン・ドンウを育てた父親だ。ユン・ヤンハの父親なんだ」
ドンス「…。」

+-+-+-+

ドンスの足取りは虚ろだった。

~~~~

父を殺したのがユン会長とコ・ボクテの仕業であることを知っていると、そうユン会長本人に告げた時、ユン会長は言った。
「人を殺しておいて、私がどうやってこれまで生きていられたのか」と。
「この国には法がある」そう声を荒げるユン会長に、ドンスは言い返した。

ドンス「僕があなたを破滅させます。何の役にも立たない法の代わりに!!!」
ユン会長「…。」
ドンス「あなたが倒れるのを、自分の目でしかと見届けます」

「これが最後の警告です」その後、ヤンハが釘をさしてきた。

ヤンハ「今からでもやめれば、無かったことにしましょう。掘り返したところで傷が残るだけです」
ドンス「こいつ!何でそう傲慢なんだ?!」
ヤンハ「…。」
ドンス「お前の父親とコ・ボクテは世間に揉まれて善悪の区別がつかなくなったとしても、まだ若いお前がそれじゃダメだ!」
ヤンハ「名誉を守るのに年齢なんて関係ないでしょう!」
ドンス「何だと?」
ヤンハ「なぜそう純情なんです?」

316

「黙れ!」たまらず、彼はヤンハを殴ったのだ。

ドンス「名誉だと?お前たちに守るべき名誉などどこにある?金だろ。お前らがどうしても守りたいのは汚れた金じゃないか」
ヤンハ「金が名誉であり、金が自尊心であり、金が全てなんですよ!その年になってそんなことも知らないから、純情だと言ってるんです!」
ドンス「金しか知らない気の毒なヤツ、よく聞け!お前の父親に伝えろ。俺の要求通りにしなければ、そのときテジョングループは終わりだとな」

~~~

ドンスはどうしようもなく、思い切り叫び声を上げた。
真っ赤になった目から涙がこぼれ落ちる。

317

大切な弟を育てたのは、心から憎んだ仇だった。
父親の仇を討つことが、弟を苦しめることになろうとは夢にも思わなかったのだ。

+-+-+-+

テジョンカジノはいつもと変わらぬ朝を迎えていた。

「ホ・ヨンダルさん」廊下を歩いてきたヨンダルは、角を曲がったところを呼び止められ、立ち止まる。

ヨンダル「?」

ジョンヒだった。

ヨンダル「…。」

ヨンダルは黙って目を逸らし、何事も無かったように歩き出す。

ジョンヒ「待って」
ヨンダル「…。」

背中越しにジョンヒが近づいてくるのがわかる。
彼はゆっくり振り返った。

ジョンヒ「少し話せませんか?」
ヨンダル「どんな話か知らないけど、会議があるんです」
ジョンヒ「今時間がないなら、仕事が終わった後でも…」
ヨンダル「僕がジョンヒさんに言ったこと、もう忘れたんですか」

ヨンダルはジョンヒと目を合わせず、淡々と言った。

ヨンダル「これ以上話すこともないと思いますが」
ジョンヒ「…。」

ヨンダルは再び歩き出そうと背を向けた。

ジョンヒ「私に言ったこと…」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「ホ・ヨンダルさんの本心じゃないわ」
ヨンダル「!」
ジョンヒ「私をわざと突き放そうとしてるって、全部分かってます」(←視聴者総ツッコミ

318

ヨンダル「…。」
ジョンヒ「もうそんなことしないで。お願いです…」
ヨンダル「…。」

319

#前髪下ろしてると、子どもの頃の面影も感じられてイイね^^

彼は背を向けたまま、今度こそ歩き出した。
今振り返って、涙で潤んだ顔を彼女に見せるわけにはいかない。
最後までジョンヒを守るためには、まだ振り返ることは出来なかった。

+-+-+-+

ジャンスは後輩を一人、カジノへ連れて来る。
私債業者への斡旋が得意な後輩だ。

ジャンス「ジェリーが相手を選ぶから、うちの親父のところへ引き渡してくれ。うまく出来るよな」
後輩「ご心配なく、兄貴!確実にやります」
ジャンス「作戦開始」

ジェリーはカジノの敷地内をうろつくミョンジェを見つける。

ジェリー「あの人だ」

後輩はさっそくニコニコしてミョンジェに声を掛けた。

後輩「ひょっとして担保貸しをお探しで?」
ミョンジェの側近「いくらまでいける?」
後輩「いくらでもOKですよ」
ミョンジェ「そうか?」
後輩「もちろんですとも」

「どうぞどうぞ」後輩に案内されるまま、ミョンジェは歩き出した。

「OK!」その様子を見届けると、ジェリーはその場を離れる。

+-+-+-+

見晴らしのいい部屋でヤン社長が待っていると、そこへ案内されたミョンジェが現れた。

ヤン社長「金がご入用で?」
ミョンジェ「えぇ」
ミョンジェの側近「10億出せますか?」
ヤン社長「担保さえ確かなら20億だって出せますよ。利子は一週間で天引き10%、ご存知ですな?」
ミョンジェ「…。」
ミョンジェの側近「詐欺師じゃないか。一週間で天引き利子10%だって?」

ヤン社長はひるまない。

ヤン社長「カジノ専門の金貸しは初めてらしいがね、私を詐欺師だというなら取引は出来ないよ」

「行くぞ」ヤン社長はセカンドバッグを掴み、立ち上がる。
「分かった」ミョンジェが口を開く。

ミョンジェ「分かったから、貸してくれ」
側近「兄貴!」
ミョンジェ「(側近に)黙ってさっさと取引を済ませろ。金が入ったら、私設カジノは引き払って、テジョンカジノのVIPルームを予約するんだ」
側近「…。」
ミョンジェ「どうせならデカくやってやる」

ヤン社長は笑みを浮かべ、大きく頷いた。

+-+-+-+

「行ってきましたよ!」ヤン社長がミン社長の事務所へ戻った。

#すっかり仲間ですねぇ^^

ミン社長「どうなりました?」
ヤン社長「金を貸してくれってね」
ミン社長「担保は押さえました?」
ヤン社長「昨日今日商売やってるわけじゃないんだ。当たり前だろう。いやぁ、それにしてもあの旦那、意外と金持ちだな。釜山にビルもあるし」
マンボン「そのビルにナイトクラブ、ルームサロン、中華レストラン。全部あの旦那のものですよ」

ミン社長が顔を輝かせた。

ミン社長「ご苦労でしたねぇ、ヤン社長!」
ヤン社長「いえいえ。何か私にも実入りがあるんですかね?」
ミン社長「もちろんですよ。ご心配なく」

+-+-+-+

ヨンダルは一人、執務室で考えに耽っていた。
そこへファランがやって来る。

ファラン「お呼びですか?」

「えぇ」ヨンダルはファランに席をすすめる。

ヨンダル「マネージャーはこれまでにテーブルでヤクザ者の相手を随分して来られたんでしょう?」
ファラン「もちろん。テジョンカジノがオープンして以来、あらゆるヤクザ者が来ましたから。マナーの酷い暴力団員まで」
ヨンダル「もうすぐしたら、マネージャーが見てきた暴力団員の中でも、一番気性の荒いボスがやって来ます」
ファラン「…。」
ヨンダル「ベテランのディーラーたちと一緒に担当してください」
ファラン「え?」

そこへノックの音が響き、ジュノが入ってきた。

ジュノ「理事、ハン・ミョンジェさんがVIP会員の申請をして来ました」
ヨンダル「資格条件を持ちだして、軽く怒らせるんだ」
ジュノ「はい」

表情を引き締めると、ジュノは部屋を後にする。

+-+-+-+

ヨンダルが外へ出てくると、ミン社長とマンボンが待っていた。

ヨンダル「これからハン・ミョンジェがVIPルームへ入ります。そうしたら、ミン社長と兄貴も一緒にお入りください」

「?」ミン社長とマンボンが顔を見合わせる。

ミン社長「私たちが?」
ヨンダル「えぇ。拳の代わりにゲームで勝負を仕掛けるんです。ハン・ミョンジェがベットしたら、反対側にベットするだけでOKですよ」
ミン社長「俺たちが勝つようにしてくれるのか?」
ヨンダル「いいえ。どっちが勝つかは運です。けど、ゲームは運じゃない。どうベットするか、それで決まるんです。ハン・ミョンジェは血が昇っているから、最高額をベットするでしょう。そうしたらミン社長は反対側に最小額をベットするんです」
ミン社長「分かったわ。どういうことか」

マンボンも横で腕組みをして頷く。
勝負への緊張が一気に高まった。

320

+-+-+-+

「大変です!」ヤンハの元へペ主任がやって来た。

ヤンハ「?」
ペ主任「ハンチャングループ側から、我々と結んだ契約を全て破棄すると連絡が入りました」
ヤンハ「え?」

そこへヤンハの携帯が鳴る。

ヤンハ(電話)「僕です」

「お前、仕事の処理も出来んのか!!!」電話の向こうでユン会長の怒鳴り声が響く。

ヤンハ「何のことですか?」
ユン会長「ソン会長をカンカンに怒らせるとは、お前ユジンに何をした?!これまでの苦労が全部台無しだ!!!」
ヤンハ「!」

+-+-+-+

「おい!」ロビーを歩いてきたヨンダルは、声に気付き、足を止めた。
背後で彼を睨んでいたヤンハは、一直線に近づいてくると、いきなり彼の胸ぐらを掴む。

ヤンハ「お前、一体何をやった?ユジン相手に何を企てたんだ?」

「お前がやったことをそのまま返しただけだ」ヨンダルは実に落ち着いていた。

ヤンハ「!」
ヨンダル「いや、違うな。ちょっと利子を付けておいたから、理解してくれよ」
ヤンハ「…。」
ヨンダル「…。」

321

二人の視線が再び激しくぶつかった。

ちょうどそこへやって来たドンスは、目の前で弟たちが睨み合っている姿に気づいた。

ドンス「!!!」

「ドンチョル!」ドンスはいたたまれずに声を掛ける。
「?」二人がドンスを振り返った。

火花を散らしていた二つの視線は、さらに三つに増え、不穏な空気が広がった。

322

+-+-+-+

ここでエンディングです。

ミョンジェとの戦いと、ミョンワンソングループの件の報復。
二つの作戦が同時に進行するのはいいですね。
ミョンワンソンの方は、何をしたのかさっぱり分かりませんが(笑)このくらい複雑な方がいい。

ただ、ミョンジェを私設カジノですっからかんにして、担保で金を貸し、テジョンカジノのVIPルームへ来させるっていう作戦、暴力よりはいいけど、かなりムリがありません?
ヨンダルの思った通りに、ミョンジェがテジョンカジノに場所を移してVIP申請して来るなんて。
だいたいミョンジェはヨンダルの始末をしに来たのに、何カモにされてんだか。

それでも、今回の戦いはミン社長やマンボンも絡んでいて面白そう。
次回に期待です。

また、3兄弟絡みではこれまでガッカリしてばかりでしたが、キム専務の話はなかなか聞き応えがありました。
彼が養子に引き取ったというのは、納得できる話です。
ただ、以前ドンスがテジョングループの理事になったとき、ヤンハに言われてキム専務がドンスの調査をしたことがありましたが、あのときに「あれ?」って思えるような小さな伏線を何か入れてくれれば良かったなぁと。

と、二話延長も正式に決まったところで、これまで登場して「あれってどうなった?」「しばらく触れられてないよね」ってなことを、今思いつく限り挙げておきましょう。

1.協力すれば永宗島リゾートでうまい汁を吸わせてやるとコ・ボクテに言われ、ニヤけていたキム議員。
2.テジョングループの会長室に忍び込み、金庫からドンスが盗みだした情報。また、シネが広域捜査隊と共に調べたテジョングループの悪行。
3.ト・ギチャン殺人事件の犯人。
4.50億をヨンダルたちが掘り返した後、現場に来ていた謎の人物(足だけ映ってた人)
5.ドンスの憤怒調節障害
6.ワンゴン派(これはどうでもいいが)
7.ジョンヒのラスベガス旅行(結局”いいえ結構です”で終わりっぽい)
8.テジョンカジノ被害者の会の訴訟
9.(以降、思い出したら追記します。まだあったら教えてくださいね)

ダラダラと長くなるのは嫌だし、これ以上新しい人を増やさないでほしいけど、いろいろな事情が絡み合って、より面白くなるといいですね。
文句ばかりいいながらも、私は応援します^^

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