トライアングル12話あらすじ&日本語訳vol.2
ジェジュン、イ・ボムス、イム・シワン、ペク‥チニ出演「トライアングル」12話の後半に進みます。
+-+-+-+
ジャンスとジェリーに焼き肉を振舞っていたヤン社長は、ヨンダルが入ってくると、つい愚痴を漏らした。
ヤン社長「お前のせいでうちのジャンスがムショ行きになったんだから、二度とお前には会うまいと思っていたがな、(溜息)情ってヤツは分からん…」
「申し訳ありません」ヨンダルは頭を下げた。
ジャンス「親父、息子の出所の時に来なかったくせに、何でヨンダルにそんなこと!」
ヤン社長「(ジャンスに)こいつ!分かってないな」
「座りな」席を勧められ、ヨンダルは空いている椅子に腰を下ろした。
ヤン社長「(酒瓶を手に取り)さぁ、俺の酒だ」
「ご苦労だったな」ヤン社長はヨンダルのグラスに酒を注ぎながら、そう言った。
ヨンダル「ありがとうございます」
ジャンス「ほら、乾杯しようぜ!”俺たちの自由を祝して!”」
4人は笑顔でグラスを合わせた。
グイッと酒を飲み干すと、ジャンスが待ちきれずに口を開く。
ジャンス「(ヨンダルに)親父に聞いたんだけど、俺たちのいない間に舎北はめちゃくちゃ変わったってさ」
ヨンダル「?」
ヤン社長「まずはな、ヨンダルとワケありだった例のキム・オッキョンが舎北で大儲けだ」
ヨンダル「…。」
ジェリー「カジノの予約ルームの上客たちはもちろん、私設カジノのお客たちまでみんな、キム女史としか取引してないってさ」
ジャンス「とてつもない金が流れてるらしい」
ヨンダル「ゴールドのミン社長は?」
ヤン社長「ミン社長は完全に落ち目だ。聞くところによると、コ・ボクテ会長に思い切り不意打ちを食らったってな」
ヨンダル「…。」
ジャンス「(ヨンダルに)で、お前どうするんだ?ジョンヒの家に戻るのか?」
ヨンダル「どのツラさげて戻れんだよ」
「…。」ヨンダルは黙り込んだ。
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ジョンヒの家へ続く坂を上がるヨンダルの足取りは重かった。
門の前に辿り着くと、中へ入ることも出来ず、門をただじっと見つめる。
ヨンダル「…。」
長い間そこに佇むと、彼は寂しげにまた坂を降りていった。
+-+-+-+
しばらくして、ヨンダルが下っていった坂をジョンヒが上がってくる。
庭を進むと、彼女は灯りが消えたまま静まり返っている離れの部屋を見つめた。
ジョンヒ「…。」
+-+-+-+
ヤンハの執務室にジョンヒがやって来る。
入ってきた彼女の顔を見ると、ヤンハは嬉しそうに微笑んだ。
ジョンヒ「私を探してらしたって」
「いらっしゃい」ヤンハは立ち上がると、ソファーを勧めた。
ヤンハ「カジノ大会に出るそうですね」
ジョンヒ「はい」
ヤンハ「実際にゲームしたことは?」
ジョンヒ「ありません。外国に行ったことがなくて、やる機会がなかったんです。ワークショップの模擬カジノで優勝した経験が全てです」
「行きましょう!」ヤンハがいきなり笑顔で立ち上がる。
ジョンヒ「どこに?」
ヤンハ「実地訓練です。実際にお金を賭けてゲームをしなければ実力は伸びません。自分のお金でもないチップを使っても意味ないですよ」
ジョンヒ「ディーラーはここでのゲームを禁止されてるのに、どこでやれと言うんですか?」
「ジョンヒさんも知ってるじゃないですか」ヤンハがニヤリと笑う。
ジョンヒ「…!私設カジノですか?!」
+-+-+-+
ヤンハと一緒にホテルを出てきたジョンヒは、やはり気が進まなかった。
ジョンヒ「いくら実戦経験が大事でも、私設カジノにまで行くのはちょっと…」
ヤンハ「ディーラーをやっていて、ゲームをしてみたいと思ったことないんですか?」
ジョンヒ「まぁ…ありますね」
ヤンハ「それならいいじゃないですか。問題が起きたら僕が責任を取りますから」
ジョンヒ「本当に責任取ってくださるんですか?」
ヤンハ「心配しないで。今回優勝したら、ボーナスでラスベガスに行かせてあげますよ」
ジョンヒ「ホントですか?!」
ヤンハ「もちろん!」
「ホントです」ヤンハが笑うと、ジョンヒもようやくその気になって笑顔を見せる。
彼らの向こうに、二人の様子を見ているヨンダルの姿があった。
ヨンダル「…。」
彼の前で、二人は同じ車に乗り込み、姿を消す。
ヨンダルの頭の中には、獄中で聞いたドンスの話が渦巻いていた。
「お前をムショ送りにしたのもユン・ヤンハだ」
「コ・ボクテと手を組んでお前を追いやった」
+-+-+-+
私設カジノへ入ってきたヤンハに、チャンマダムは驚いて声を掛けた。
マダム「本部長さん!どうしてこちらに?」
ヤンハ「ゲームをしに来たんです」
キム女史「本部長さんが?」
ヤンハ「いえ。オ・ジョンヒさんですよ」
ジョンヒは気まずそうに頭を下げた。
マダム「…あぁ^^;」
+-+-+-+
バカラのテーブルにつくと、ヤンハはジョンヒにレクチャーを始める。
ヤンハ「(チップをつまみ)このチップ一枚が10万ウォン、(重ねて)これで200万ウォンです。ジョンヒさんが勝てば、全部ジョンヒさんのお金になりますよ」
ジョンヒ「元金はお返しします」
ヤンハ「まぁ、お好きなように」
二人は笑った。
ヤンハ「ブラックジャックの場合はゲームをする人がどう判断し、運用するかで勝敗が決まります。でも、バカラに方法はありません。PLAYERかBANKERか、どちらか一つを選択し、結果は運で決まる」
ジョンヒ「…。」
ヤンハ「バカラの勝敗を握っているのは、結局どうベットするか。勝った時の儲けは大きく、負けた時の損失は小さくなるように」
ジョンヒが頷く。
「ベットしてみて」ヤンハに促され、ジョンヒはチップに手を伸ばした。
後ろで様子を見ているマダムたちは怪訝な表情だ。
マダム「あの二人、どういう関係?」
キム女史「さぁね」
マダム「あの子、ヨンダルの彼女だと思ってたけど、完全に女狐ね」
カードをめくり、ジョンヒが顔を輝かせる。
ヤンハ「Naturalだ」
ジョンヒ「わぁ♥」
ヤンハ「ラスベガス、行けそうだな」
ジョンヒ「やった♪」
嬉しそうなジョンヒの横顔を、ヤンハは満足そうに見つめた。
+-+-+-+
ヨンダルは行くあてもなく、ただひとりぼっちで時間を過ごしていた。
「私、ホ・ヨンダルさんが本当に恥のない人生を送るのを、もう少し見守ります。だから、私に悪いなんて思わないで、元気で暮らしてください」
ジョンヒの言葉が繰り返し頭に浮かんだ。
+-+-+-+
ヨンダルたちに続き、ドンスも刑務所の扉をくぐる。
晴れて自由になったのだ。
「ドンスさん!」シネの声に、彼は振り返る。
視線の向こうで、彼女が明るく笑っていた。
ドンス「何で来たんだよ」
シネ「どこへ行くのか監視にね」
ドンスが小さく笑う。
シネはそっと彼を抱きしめた。
ドンスも彼女に応え、強く抱き寄せる。
シネ「もう後戻りしないよね?」
ドンス「あぁ。二度と後悔は繰り返さない」
+-+-+-+
夜。
シネが眠るベッドの脇で、ドンスは窓の外を見つめていた。
#あら♥
~~刑務所にて~~
彼は刑務所にいる間も、着々と準備を進めていた。
夜、皆が寝静まった雑居房で、ドンスはヨンダルの前にカードの束を出す。
ヨンダル「何です?」
ドンス「お前が知っているカジノのゲーム、全部教えてくれ」
ヨンダル「出たらギャンブルでもするつもりですか?」
ドンス「そうじゃない。カジノ相手に戦うのに、これまであまりに無知だった」
ヨンダル「…。」
ドンス「カジノに関することは全て覚えたいんだ。ゲームはもちろん、どう運営されているのか、どんな人たちが働いているのか、全部だ」
ヨンダルは頷く。
ヨンダル「それなら俺、完璧に教えられますよ」
~~~~
ドンス「…。」
ドンスは後ろで眠っているシネを振り返り、決意を新たにした。
「眠らないの?」窓に向き直ると、シネの声がする。
振り返ると、シネがこちらを見ていた。
ドンス「あぁ。眠れないんだ」
ドンスがベッドの端に腰を下ろすと、シネが起き上がった。
シネ「いろいろ考え過ぎよ。一度に全部やろうとしないで。ゆっくり緻密に、確実にするべきだわ」
「この間みたいにやられないように」シネが本音を漏らす。
「そうだな」ドンスは頷き、彼女を振り返った。
+-+-+-+
ホテルのロビーへ向かうスローブを、スジョンがスタッフたちと歩いていた。
スジョン「カジノのVIP会員たちにメールしましたか?」
ユナ「はい。リゾート全体とゴルフコースを利用できるとご案内しました」
他職員「知人が代わりに使っていいか問い合わせが来てます」
スジョン「リゾートはいいけど、ゴルフ場はご本人がいないとダメだって答えてください」
「おーい!」彼らの背後で、何やら呼ぶ声が聞こえる。
スタッフたち「?」
ジャンス「オ・ジュノ!」
ジャンスとジェリーが二人で手招きをしていた。
ジュノは困った様子で硬直する。
スジョン「誰ですか?」
ジュノ「あぁ、近所の先輩たちです」
ジュノはスジョンたちと別れ、ジャンスの方へ向かった。
ジャンス「おぉ~、女3人の中に男一人か。羨ましいな。元気か?」
ジュノ「(ニコニコ)はい」
ジェリー「おい、先輩がムショで苦労してるってのに、一度も面会に来ないとはな」
ジュノ「すみません」
ジャンス「そうだよ!謝ってもらわなきゃな。だから、謝罪の意味で頼みを一つ聞いてくれるか?」
ジュノ「何ですか?」
ジャンスは周囲をうかがい、声を潜めた
ジャンス「カジノのVIP会員名簿を手に入れてくれ」
ジュノ「外部持ち出し禁止なんですけど」
ジャンス「駄目だって分かってるから、兄貴が丁重に頼んでるんだろうが」
ジュノ「…。」
ジェリー「なぁ、ご近所同士なのに、そんな頼みも聞いてくれないのかよ」
ジュノ「…。」
ジェリー「俺たちと今後会わずに暮らせるのか?」
ジュノ「…。」
向こうから歩いてきたペ主任は3人の姿に気づき、立ち止まった。
二人を相手に、ジュノが困っている様子が見て取れる。
ペ主任「…。」
+-+-+-+
ミン社長の事務所は今日も暇だった。
ソファで新聞を広げ、ヒョンタクが大きなあくびを放つ。
そこへ、入ってきたのはヨンダルだ。
ヨンダル「お元気でしたか?」
「ヨンダル!」ヒョンタクが目を丸くする。
「まぁ!」席を立ったミン社長が歓声を上げて駆け寄った。
#二人の反応が嬉しいね^^
ミン社長「いつ出てきたの?!」
ヒョンタク「お前!」
「何日か経ちましたよ」ヨンダルが微笑む。
ミン社長「どうしてすぐ連絡しなかったのよーー!」
3人はソファで顔をつき合わせた。
ヨンダル「随分苦しいと聞きました」
ミン社長「コ・ボクテのヤツにやられたのよ。あんたをムショ送りにしたのもコ・ボクテだって知ってる?」
ヨンダル「えぇ」
ミン社長「言ったでしょ?あいつを信じるなって」
ヨンダル「…。」
ミン社長「あんたも私も、こうしてやられっぱなしじゃいられないわ」
ヨンダル「報復しますよ」
ミン社長&ヒョンタク「!」
ヨンダル「必ずやります」
ミン社長「…。」
ヨンダル「それで、ミン社長に頼みがあるんですが」
「何?」ミン社長が身を乗り出す。
ヨンダル「社長が取引した中で、テジョンカジノで100億以上損したお客さん、たくさんいますよね?」
ミン社長「大勢いるわ。数十人になるはずよ」
ヨンダル「その人たちのリストをいただけますか?」
ヒョンタク「そいつをどうするんだ?」
「そのうち分かります」ヨンダルは落ち着いていた。
+-+-+-+
ユン会長の部屋にピルサン、キム常務、ヤンハが顔を揃えていた。
ユン会長「アメリカのアンダーソングループとの契約、日取りは決まったのか?」
ピルサン「はい。6月27日です」
ユン会長「契約当日までテジョングループの株価をしっかり管理するように」
キム常務「大きな変動の懸念はありません」
ユン会長「決して失敗してはならない契約だ。ミスのないようにな」
ヤンハ「はい。ご心配なく」
+-+-+-+
テジョングループの状況は、速やかにコ・ボクテに伝えられる。
側近「テジョングループで、永宗島複合リゾート事業の資金調達のため、テジョンカジノ株の売却を進めているようです」
コ・ボクテ「株の売却?」
「相手は?」コ・ボクテの目が光る。
側近「アンダーソングループと言いまして、ラスベガスのカジノグループです」
コ・ボクテ「資金に切羽詰まっているのは確かなようだな」
側近「はい」
コ・ボクテ「アンダーソングループがテジョンカジノ株を保有すれば、株価が高騰するぞ」
「金をかき集めろ!テジョンカジノ株につぎ込むんだ!」コ・ボクテの指示が飛んだ。
+-+-+-+
玄関のチャイムの音が響く。
「いらっしゃい」扉が開くと、シネが出迎えた。
訪ねてきたのはヨンダルだ。
ドンス「来たか」
ドンスはがリビングで声を掛ける。
ヨンダル「はい、班長さん」
ドンスはヨンダルが持って来た封筒を開けた。
ヨンダル「VIP会員名簿と、VIPルームで100億以上失った人のリストです」
彼はドンスとシネのいるソファから離れ、向かい側の棚に腰を下ろした。
ドンス「よし。手に入れるのは大変だったろうに、ご苦労だったな」
ヨンダル「そのくらい大したことじゃありませんよ」
シネ「この名簿をどうするの?」
ドンス「今テジョングループは永宗島複合リゾート事業に必要な資金を調達するために、カジノの持ち株を売却しようとしてる」
ヨンダル「…。」
ドンス「この名簿があれば、株売却を阻止できる」
シネ「どうやって?」
ドンス「まずはこの名簿を元に、テジョンカジノで100億以上失った人たちを説得する。カジノを相手に集団訴訟を起こさせるんだ。そうなれば株価は暴落し、持ち株の売却計画は潰れる」
シネ「訴訟なんか出来るかしら」
黙って聞いていたヨンダルが立ち上がった。
ヨンダル「ムショ暮らしの間に、弁護士が一人入ってきたんです。聞いてみたら訴訟は可能だと言ってました」
シネ「そうなんですか」
彼は二人に近づくと、開いていた椅子に腰を下ろす。
ドンス「…。」
ヨンダル「カジノのVIPルームのベット限度額は一人あたり1000万ウォンです。でも、ゲームで数十億失った人に取っちゃ1000万ウォンは少なすぎる。そんなベット額じゃ失った金を取り戻すのは難しいでしょう。それで大勝負をするお客は、人を雇ってVIPルームに入るんです」
シネ「?」
ヨンダル「そういう人たちを”兵隊”って呼ぶんですが、自分もやったことがあるんですよ」
経験を元にヨンダルが説明する。
VIPルームの客が大きく儲けられるよう、いわゆる”サクラ”を用意するのだ。
ヨンダル「一つのテーブル6人までゲームできるから、本人の他に5人の兵隊を雇って臨むんです。そうすれば全部で6000万ウォンまでベットできる」
シネ「それなら一人6000万ウォンもベットできることになりますね」
ドンス「そうだ。カジノはそれを知っていながら黙認してる。法的には一人1000万ウォンの損失で済むところを、カジノが黙認したおかげで6000万ウォンの損失になる。それを理由に訴訟を起こすんだ」
シネ「どういうことかは分かったわ。だけど、お金を失った人たちが訴訟を起こそうとするかしら?訴訟を起こせば世間に知られることになるし、それは嫌がるはずよ」
ドンス「数十億、数百億を失った人たちが、その金を取り戻せるんだ。うまく説得すればいける。見てろよ」
ヨンダルが黙って頷いた。
+-+-+-+
レストランの個室に男性が入ってくると、待っていたドンスとヨンダルが立ち上がった。
ドンス「先程ご連絡さし上げましたチャン・ドンスです」
ヨンダル「ホ・ヨンダルです」
男性「どういうご用件で?」
「とりあえずお座りください」ドンスは笑顔で席を勧めた。
ドンス「この2年間、テジョンカジノで大金を失われましたよね」
「何だ?あなた方は」男性はにわかに警戒を強め、立ち上がる。
男性「そんなことはない!」
部屋を出て行くとする男性を、ヨンダルがさっと引き止めた。
ヨンダル「落ち着いて、我々の話を聞いてください」
男性は肩に触れたヨンダルの手を払いのける。
そこへドンスが立ち上がった。
ドンス「社長が失われた大金を、我々が取り戻して差し上げますよ」
男性「?」
男性がドンスを振り返る。
男性「どうやって?どんな手で金を取り戻そうと言うんです?」
ドンス「社長の同意さえいただければ、カジノを相手に訴訟を起こします」
男性「訴訟したからってカジノが金を返すわけがない」
「話にならん」男性が再び背を向けようとすると、ヨンダルが自信ありげに微笑む。
ヨンダル「十分取り返せますよ」
+-+-+-+
ドンスとヨンダルが外へ出てくる。
ヨンダル「あとどれくらい説得します?」
ドンス「株価を狂わせようと思ったら、最低でも10名は確保しないとな」
+-+-+-+
二人は他の客たちにも連絡を取り、説得に当たる。
最初は頑なに拒んでいた彼らも、二人の説得に次々と訴訟者名簿に署名する。
準備は着々と進んでいた。
+-+-+-+
ヤンハの執務室にやって来たペ主任は浮かない表情だった。
ペ主任「大変なことになりました」
ヤンハ「どうしました?」
ペ主任「VIPルームで大金を失った人たちが、カジノを相手に集団訴訟を準備しているようです」
ヤンハ「訴訟?どういうことです?一体何を根拠に?!」
ペ主任「”兵隊”をご存知ですよね。うちのカジノが”兵隊”を黙認したために、6倍の損失を被ったと言うんです」
ヤンハが立ち上がる。
ヤンハ「そんなこと話になりますか」
ペ主任「結果がどうなろうと、訴訟を準備しているのは確かです」
ヤンハ「…。」
そこへ、ヤンハのデスクの電話が鳴る。
ヤンハは静かに電話を取った。
ユン会長の大声が受話器の向こうから飛んでくる。
ユン会長(電話)「訴訟の話、聞いたか?」
ヤンハ(電話)「はい。今聞きました」
ユン会長「すでにニュースが広がって、株価が乱れてる。今すぐ来い!」
「…。」受話器を置き、ヤンハは大きく息をついた。
+-+-+-+
コ・ボクテ陣営も慌ただしくなった。
会長室に側近が駆け込んでくる。
側近「会長」
コ・ボクテ「どうなった?」
側近「確認しましたが、確かに集団訴訟を準備しているようです」
コ・ボクテ「…。株価がもう3日下がり続けてる。数十億が泡と消えた。(側近に)そんな情報も掴めないで何をしていた!!!」
「申し訳ありません」側近が顔を歪める。
怒りが頂点に達したコ・ボクテは、デスクの上の物を思い切りぶちまけ、手にしたゴルフクラブで手当たり次第に叩き壊した。
+-+-+-+
ユン会長の部屋にピルサン、キム常務、ヤンハが集まる。
ユン会長「アンダーソングループとの契約はどうなった?」
会長の問いにピルサンが重い口を開く。
ピルサン「成立は難しそうです」
キム常務「契約を進めるためには、株の売却価格を大幅に下げなければならないでしょう」
ユン会長「それは駄目だ!」
ヤンハ「資金を確保できなければ、永宗島事業まで打撃を受けます」
「…。」ユン会長は天を仰いだ。
沈黙が広がる。
ユン会長「私債を当たってくれ」
ヤンハ「!それはいけません」
ユン会長「10年も準備してきた事業だ!諦めろと言うのか!」
ヤンハ「…。」
ヤンハが話題の方向をかえる。
ヤンハ「カジノのお客様が訴訟を起こすのは必ずや理由があります。誰かが先導しなければ有り得ないことです」
ユン会長「…。」
「それが誰だか突き止めてください」ヤンハがピルサンに視線を向ける。
ピルサン「…。」
+-+-+-+
ドンスたちはひとまず互いの労をねぎらった。
ヨンダルとシネ、3人が集まり、グラスを傾ける。
ドンス「ご苦労だったな」
ピルサン「いいえ。班長さんも」
グラスを置き、シネが口を開いた。
シネ「資金調達のための契約がダメになって、ユン会長は私債を当たっているみたいよ」
ドンス「私債?」
シネ「えぇ。アン・チャンボンって言って…」
ヨンダルがハッとする。
シネ「明洞だけじゃなくて汝矣島の証券業者たちにまで手を広げてる人なんだけど、どうにかその人に会おうとしてるみたい」
ヨンダルが身を乗り出した。
ヨンダル「今、アン・チャンボンって仰ったんですか?」
シネ「えぇ、アン・チャンボン。とんでもない財産を持ってるらしいけど、罰金を払いたくないからって、刑務所に入って代わりに体で払うくらい頑固な人みたい」
ヨンダル「…。」
ヨンダルの頭の中に、チャンボンの言葉が蘇る。
チャンボン「君の人生で重要な勝負の瞬間が来たら、私が勝利の切り札になってやろう。そのときが来れば会いに来なさい」
ヨンダルに希望の光が差した。
+-+-+-+
高級料理店の個室で、ユン会長とヤンハは誰かを待っていた。
入り口を入ってきたのは、杖をついたアン・チャンボンだ。
彼がテーブルの前までやって来ると、ユン会長とヤンハは丁重に頭を下げる。
ユン会長「お時間をいただき感謝いたします。ユン・テジュンと申します。こっちは息子です」
ヤンハ「ユン・ヤンハです」
チャンボン「アン・チャンボンです」
チャンボンが席につくのを待ち、二人も腰を下ろす。
チャンボン「ところで、何の用です?」
ユン会長「我々テジョングループを救っていただきたいのです」
余裕の見えるチャンボンを、ヤンハは注意深く見つめた。
+-+-+-+
ピョンスくんは学校からの帰り道に姉に捕まった。
ジョンヒ「あんた!中間テストの結果、何で持って来ないのよ!」
ピョンス「まだ貰ってないんだって!」
ジョンヒ「今度またビリだったらタダじゃ済まないからね」
ピョンス「ビリじゃなかったらどーすんだよ」
ジョンヒ「5位まで上がったらスマホ買ってあげる」
ピョンス「約束だよ」
ジョンヒ「うん」
「あ、そうだ」ピョンスがふと思い出す。
ピョンス「さっきあのお兄さんを見かけたけど」
ジョンヒ「誰?」
ピョンス「チンピラだよ、ホ・ヨンダル」
ジョンヒ「え?どこで?!」
「あっちへ行ったよ」ピョンスが今来た方を指さす。
ジョンヒは駈け出した。
#ピョンスくんも反対してるなら言わなくていいのに、スマホの件で嬉しくなっちゃったのか…。この辺が子どもでホッとするねぇ^^
道をまっすぐ突き当りまで走ると、ジョンヒはそこで立ち止まり、息を弾ませた。
ヨンダルの姿は見えない。
ふと、脇道を振り返ったところで、ジョンヒの視線が止まる。
そこにヨンダルの後ろ姿が見えた。
周囲の景色を眺めながら、ヨンダルはゆっくり向こうへ歩いていた。
ジョンヒ「ホ・ヨンダルさん!」
ヨンダルの足が止まる。
彼は静かに振り返った。
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「…。」
二人の間に言葉はなかった。
+-+-+-+
「突き止めたぞ」ピルサンが静かに話を切り出す。
ヤンハ「?」
ピルサン「VIP顧客の集団訴訟を先導してる人間をな」
ヤンハ「誰なんです?」
ピルサン「チャン・ドンス」
ヤンハ「えっ?!」
ピルサン「…。」
そこへペ主任がやって来る。
ペ主任「本部長、今、VIP予約ルームにチャン・ドンス氏が来ています」
ヤンハ「?!」
ヤンハはすぐさま立ち上がり、デスクに戻ると、防犯カメラの映像につないだ。
PCの画面の中には、一人、優雅にゲームを楽しんでいるドンスの姿が見えた。
+-+-+-+
ヤンハは居ても立ってもいられず、VIPの予約ルームに踏み込んだ。
入り口で立ち尽くしているヤンハを、ディーラーたちが不思議そうに見上げる。
ドンスは彼に笑いかけた。
ドンス「お久しぶりです、ユン・ヤンハさん」
ヤンハ「…。」
ドンス「ユン・ヤンハさんのお陰で、純情で愚かな自分の人生、しっかり反省して出てきましたよ」
ヤンハ「!」
+-+-+-+
ここでエンディングです。
序盤からずっとどっちつかずで共感しづらかったヨンダルですが、ようやく素直に応援出来るようになり、ドンスとどう動いていくのか楽しみになってきました。
ミン社長やチャンボン、シネなど、協力者の存在も嬉しいです。
ヤンハはまだこれからぶっ壊れそうですね。彼もホント不幸だ…。
一旦ドン底へに堕ちて、同じラインに立ってから、そこで3兄弟に何か進展があるといいな。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ブログにいただくコメント、Twitterでのリプライなど、感謝しています。
全くお返事が出来ずにいますが、本当に大きな励みになってます!
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Comment
何時も読ませて頂いています。
韓国語を日本人にも違和感なく、訳していらっしゃって気持ちよく読めます。
(ヨンダルの美しさに共感して頂いているところも嬉しい♪)
翻訳本は苦手なのですが、今話題の村岡花子さんの訳した本は大好きでした。最近の方では土屋京子さんの訳はとてもお上手で、作家が日本人かと錯覚してしまうほどです。
訳者によって、読者は先に読み進めるかどうかが、決まります。
これからも、読ませていただきます♡