韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

プロデューサー9話あらすじ&日本語訳 vo.3

   

キム・スヒョン、IU、コン・ヒョジン、チャ・テヒョン、出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサー」9話、終盤です。

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「兄貴」昼食を食べながら、ホンスンが切り出した。「今日、コ・ヤンミが来てなかったんだ」

テホCP「具合が悪いらしい」
ホンスン「鋼であやとりしそうな女が、具合が悪いって何だよ?仮病じゃないのか?」
テホCP「そう言えば俺が入社して初めてだな。あの女が休むなんて」
ホンスン「…。」

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ホンスンは再び事務局へやって来た。
「あの… A4用紙をちょっと」ヤンミの代わりに出勤したという女性に、彼は声を掛ける。

「あ、はい」彼女はクルリと振り返り、笑顔で後ろを指さした。「お持ちください」
「?」ホンスンは拍子抜けしたように彼女の指す方を見る。「えぇ、ありがとうございます」

続いてやって来た一泊チームのミンジョンも、あっさり紙を貰えて大喜びだ。
今がチャンスだとばかり、4包み抱えてさっさと駆けて行った。

ホンスン「(女性に)あのちょっと!」
女性「はい?」
ホンスン「こんなふうにホイホイあげていいんですか?」
女性「欲しいんでしょう?」
ホンスン「それでも、くれと言われたからってどんどんあげてるのをコ・ヤンミさんが知ったら、ビックリ仰天しますよ」
女性「…。」
ホンスン「この人コ・ヤンミ知らないのか?あの人、いつ来るんです?」

女性は眉をひそめた。「私が知るわけないじゃないですか」

ホンスン「…。」

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今日もピッチピチのセクシーフェロモンを振りまきつつ廊下をやって来たタジョンは、イェジンの姿を見かけるとペコッと頭を下げて通り過ぎた。

イェジン「…。」

彼女はミューバン班のデスクへやって来ると、女性スタッフに声をかける。「ねぇ」

イェジン「あんた、タジョンより先輩でしょ?」
スタッフ「はい」
イェジン「いやさぁ、PDが作家の服装をどうのこうのいうのも何だから、あんたからちょっと言ってやってよ」
スタッフ「…。」
イェジン「あの格好、ちょっと問題あるんじゃない?ときどきあの子を見ると、寒くないのかって思うんだよね」
スタッフ「何度も言ってるんですよ」
イェジン「何て?」
スタッフ「そんな格好で寒くないのかって言ったら、自分は体が熱いから大丈夫だって」

二人は呆れて笑い合う。

イェジン「ふぅん、体が熱いってね。ところで、その体の熱い子は一体どこ行ったの?」
スタッフ「あぁ、新しく印刷したポスターが仕上がったみたいで、取りに行ったんです」
イェジン「それ何箱あるの?タジョン一人で運べるわけないわ」

「ご心配なく」スタッフが笑った。

しばらくすると…

書類一枚持って廊下を闊歩するタジョンの後を、ダンボールを抱えた男たちが何人も、せっせとついて来た。

#タジョン嬢、このBGM似合いすぎ

スタッフ「(イェジンに)運動会以来、すごい人気なんです。雑用をタジョンにやらせたら、あの人たちが来て全部やってくれるんですよ」
イェジン「好き好んでやってるの?みんな人ん家の大事な息子なのに、あんなことさせて。私は変だと思うな」
スタッフ「ところでPDさん、引越し先のインテリアとか、やることが多いって心配なさってましたけど、どうなりました?」
イェジン「うん、全部やってくれる人がいてね」

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仲良く1つずつ荷物を抱え、イェジンとスンチャンが階段を上がってくると、男性が近くのドアから出て来て声を掛けた。「ちょっと」

イェジン「はい?」
男性「先に入居した者なんですがね」
イェジン「あぁ、はい。もう入居なさったんですね。私は来週なんです」
男性「さっきからサッシの工事をする音がうるさくて。昼間、明るいときにやってくださいよ」

「すみません」スンチャンがすぐに頭を下げる。「おじさんが今しか時間がなくて」

スンチャン「すぐ終わらせます」
男性「ダメですよ。明日にしてください、明日に」
スンチャン「あの…」
男性「新婚夫婦みたいだけど、人にはマナーってもんがないと」

スンチャンが密かに喜びを噛みしめる。

イェジン「え?私たちそんなんじゃないんですよ」

「わかりました!」スンチャンが明るく答える。「日程を調整し直しますので♪」

イェジン「?」

男性が再びドアの向こうへ消えた。

イェジン「ホント… 誤解にも程があるわ。あんたと私のどこが…」

自分の家の方へ向かうイェジンに、スンチャンが続く。「何て誤解だよ♪」

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スンチャンの母はソファから起き上がれずにいた。

姉「さっきは大丈夫って言ってたのに、またどうしたのよ」
母「ダメよ。向かいのクズがうちのスンチャンに夢中になって、たぶらかしてるんだわ」
姉「もう!そんなことないってば」

「私がいけなかったのよ!」母親がガバっと起き上がる。「あそこまで立派な息子を産まなくてもよかったのに」

母「胎中祈祷をやりすぎたんだわ。スンチャンを見なさいよ、一目見ただけでも上品さが溢れてて…」

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上品さ溢れる息子は、”向かいのクズ”のためにせっせと働いている真っ最中。
軍手にバケツ、雑巾に洗剤。装いはバッチリだ。

スンチャン「先輩!掃除は室外機が除外だっていうから、僕、拭いておきました!」

「ふはは♪」可愛い新妻のためなら、掃除くらい何のそのだ。

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「頭の良さならなおさらよ!」スンチャンの母は顔を輝かせる。

母「あの子、すごくスマートで勉強熱心だから」

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「しっかり覚えてください」スンチャンは真剣な顔でイェジンに語る。「こんがらがっちゃダメですよ」

スンチャン「黄色い雑巾がお風呂用。この特殊材質は湿気と埃を綺麗に除去してくれますから。青いのが床用。白木を傷つけないし、少しワックス成分が添加してあります。(ピンクの雑巾を指し)それからこれは家具用。(次々と)シンクの布巾。ベランダの窓ガラス用。それからこれはソファ拭き」
イェジン「あんたこんなのよく覚えられたね!ホント凄いよ!ペク・スンチャン!」

「むふっ♥」新妻に大絶賛され、彼はデレデレと床にへたり込んだ。

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母の賞賛も続く。

母「あの子、どこまでも食い下がる根性があるから、そのうち大統領になるって、近所じゅうで言われてたのよね」

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「ちょっと、もうそれくらいでいいって」イェジンが呆れて声を掛ける。
「いいえ!」どこまでも食い下がる根性で、スンチャンは懸命にゴミを踏み潰した。「まだ小さくなりますから!」

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さて、掃除も一段落し、スンチャンたちは出前のジャージャー麺を囲んだ。
ラップをしたままグルグルと器を回し、縁を箸で一周押さえると、スンチャンはラップを剥がし、イェジンに差し出す。

イェジン「わぁ、ホントにしっかり混ざってる!」

スンチャンはひたすら嬉しそうにニコニコと笑った。

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「だから、女の子たちが好きになるのよ!」母も結論にたどり着く。

母「うちの子は全くその気がないのに。今だにひたすらお母さんだけのために…」
姉「何言ってんだか。ソファの場所を変えてくれって、一ヶ月も前からお母さんが何度も言ってるのに、忙しいからってちっともやってくれないじゃない」
母「もういいわよ。そんな力仕事はお父さんかヨンチャンにさせればいいわ。スンチャンはそんなこと出来ないわよ」

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リビングの真ん中で二人がジャージャー麺を食べているところへ、玄関の鍵を開ける音が聴こえた。「あれ?」

イェジン「見学時間はもう終わったんじゃないの?」
スンチャン「はい、終わりましたけど」

玄関の扉が開き、誰かが入ってきたようだ。

スンチャン「暗証番号知ってる人はいないはずなのに」

入ってきたのは…ジュンモだ。

イェジン「あ、ラ・ジュンモ!」

立ち上がろうとしたスンチャンを、ジュンモが制した。「何してんだ?二人で」

イェジン「小部屋に荷物を運んで、室外機を掃除したり、いろいろ…」

ジュンモがキョロキョロと家の中を見回す。

スンチャン「まだソファもないし、散らかってて。(隣を指し)こちらにお座りください」

「どっこいしょ」ジュンモはスンチャンの指した方ではなく、イェジンの隣に腰を下ろした。
「ほら」ジュンモがこっそり持って来たものを差し出す。ラケット型の蚊取りネットだ。

イェジン「わぁ、これ一番要るのよね!私、すごく蚊に刺されるのよ」
スンチャン「…。」
イェジン「何人もいるのに私ばかり刺されるんだから」

「あは♪」イェジンが嬉しそうにジュンモに笑い掛けた。

スンチャン「ところで、どうして暗証番号ご存知だったんですか?イェジン先輩は僕にしか教えてないって…」
イェジン「(ジュンモに)私、教えたんだっけ?」
ジュンモ「教えてもらわなくてもわかるって。お前か俺の誕生日だろ。俺の誕生日だったぞ。0520」
スンチャン「あぁ、0520はジュンモ先輩の誕生日…?」

「うん」イェジンが頷いた。

イェジン「(ジュンモに)何か食べなよ」
ジュンモ「食ってきた」

「いい家だな」ジュンモは再び家を見渡す。

イェジン「いいでしょ」
ジュンモ「天井もちょっと高いみたいだし」

二人の何気ない会話は、スンチャンを俄に寂しくさせた。

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翌日。

ホンスンは、皆がA4紙の包みを抱え、どこかへ向かうのを見かけた。
「どこ行くんだ?」ミンジョンを呼び止める。

ミンジョン「コ・ヤンミ先輩がカムバックしたんです。持っていった紙を全部返せって大騒ぎなんですよ」

浮かない顔で歩いて行くミンジョンを見送り、ホンスンは思わず笑みをこぼした。「何?あの女が来てるって?」

ホンスン「はぁ、やれやれ。面倒なことになったぞ♪」

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続々と紙を返しにくるスタッフたちの真ん中で、ヤンミは苛立っていた。「数日でこんなに無くなるなんて」

ヤンミ「さっさと積みあげなさい!」

そわそわとやって来たホンスンを、ヤンミが呼びとめる。「キム・ホンスンPD」

ヤンミ「紙、いくつ持って行きました?」
ホンスン「ひとつ」
ヤンミ「???」
ホンスン「ホントにひとつ」

“Oh my god!”ヤンミが頭を抱える。

ホンスン「?」
ヤンミ「さっさと持って来てください」
ホンスン「僕はひとつだけなんだけど」
ヤンミ「!」
ホンスン「…。」
ヤンミ「ガッカリですわ」

「はい!」ホンスンは駈け出した。

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副調整室ではイェジンが檄を飛ばしていた。

イェジン「タジョンあんた、しっかりしなさいよ。携帯ばかり見てないで!今日は大きいステージなんだから!」

周囲のスタッフにつぎつぎと声を掛け、番組の準備を進める。
席に腰を下ろすと、彼女はマイクに向かった。「ペク・スンチャンPD」

「はい♪」ステージにいるスンチャンは、余裕のベルベットボイスとスマイルで答えた。

イェジン(マイク)「下手の出入口が開いてないか、確認してください。そこから光が入ってきてるみたいだから」
スンチャン(マイク)「あ、はい、先輩」

「準備できてるわね」進行表を確かめると、イェジンはふたたびカフを上げる。

イェジン(マイク)「ペク・スンチャンPD、シンディのスタンバイが出来たら教えてください」

「確認します」スンチャンがマイクに向かって答え、ステージを離れた。

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楽屋のドアがノックされた。
入ってきたスンチャンが頭を下げると、鏡の前で目を閉じているシンディの代わりに、マネージャーが立ち上がる。

マネ「PDさん!PDさんがどうしてここに?」
スンチャン「僕、今週欠放になったので、上半期スペシャルの方に来てるんです」

「シンディ、傘PDだ」マネージャーがそう言って、慌てて口をつぐんだ。

スンチャン「…。」
マネ「あ… ペク・スンチャンがいらっしゃったよ」

シンディが静かに目を開いた。「スタンバイですか?」

スンチャン「2チーム後です」

「メイク直してください」シンディがポツリとマネージャーに言う。

スンチャン「…。」

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廊下を勇ましく進軍してくるのは、ピョン代表率いる”ジニのプロモーションチーム”だ。

彼らはゾロゾロとシンディの楽屋へ入ってきた。

ピョン代表「あぁ、いたのね、シンディ」

「…。」シンディは頑なに鏡を見つめている。
ピョン代表の目がスンチャンに移った。

ピョン代表「新人PDさん、どこにでもいるのね」

彼女は後ろのジニを振り返る。「ジニ、ご挨拶なさい。芸能局の新人PD、ペク・スンチャンPDよ」

ジニ「(ペコリ)初めまして、新人歌手のジニです。よろしくお願いいたします!」

警戒しながら、スンチャンが頭を下げる。

ピョン代表「第2のシンディとして、私が育ててる子なんですよ。これから末永くよろしくお願いしますね、PDさん」
スンチャン「…はい」

背後で容赦なく繰り広げられる会話に、シンディが悲しげに目を伏せた。「…。」

ピョン代表「ジニ、シンディお姉さんの隣に座りなさい」

「座らないで」シンディが言う。
「…。」皆の張り詰めた視線が、彼女に集まった。

ピョン代表「シンディ」
シンディ「私、この楽屋を一人で使いたいんです。後から来た新人は他の楽屋を探してください」

「ちょうど別の部屋がひとつありますが」スンチャンがすかさず声を掛ける。

ピョン代表「あなた、どうしたのよ」
シンディ「代表こそなぜこんなことを?忘れたんですか?ここ数年、誰かと一緒に楽屋を使ったことあります?」
ピョン代表「ジニは他人なの?第2のシンディなのよ。あなたの分身みたいな子なの」

#これはひどい…

シンディ「昔のユナ先輩みたいに…?」
ピョン代表「!!!」

絶句するピョン代表を、シンディはまっすぐ見上げる。

シンディ「私はユナの分身だったけど… 第2のユナだったけど、もうユナはいない。シンディしかいないわ」

2007

シンディの瞳に、ジワジワと涙が滲んだ。
ジニがシクシクと泣き出すと、シンディが彼女を振り返る。「出て行って」

シンディ「私はあんたなんか知らない。第2のシンディだなんて言って回らないで」
ピョン代表「勘違いしてるみたいね。シンディって名前はあなたのものじゃないのよ」
シンディ「…。」
ピョン代表「私が第2のあなたを作ろうと、第3のあなたを作ろうと、あなたに何の権利もないわ!なぜって?あなたは作られたイメージに過ぎないから。あなたを作ったのは私よ!」

「…。」じっと下を向いていたスンチャンの目が、ピョン代表に向かう。
視線が動いたことで、ピョン代表はハッと我に返った。「新人PDさん、まだいらっしゃったのね」

スンチャン「はい、楽屋の調節をさせていただく必要があると思ったので」

シンディがぎゅっと唇を噛み締めた。

スンチャン「雰囲気もよくありませんし、代表もここでは落ち着かないでしょうから、僕が他の場所へご案内します」

「…。」ピョン代表はしばらくじっとシンディの横顔を見つめる。「ジニ、出ましょ」

皆が出て行くと、シンディはふうっと椅子に身を沈めた。「…。」

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スンチャンはピョン軍団を引き連れ、ある部屋の前へやって来た。

スンチャン「こちらです。ここは数人で使えるくらい広くて…」

スンチャンがドアをノックする。
ドアのプレートには…【芸人部屋】!

扉を開き、スンチャンは中に声を掛けた。「相部屋お願い出来ますか?」

男性「ちょっと狭いので」

扉が大きく開き、ジニが顔を見せた途端、彼らは大歓声を上げて立ち上がった。「おおおっ!!!」

スンチャン「お入りください♪」
ピョン代表「(絶句)」

#スンチャンの仕返しがどんどん冴えてくるねぇ。ピョン代表相手に一泡吹かせるなんて

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イェジンがステージ前に移動し、スタッフたちを集めて指示を出していた。

その後方では、スンチャンがシンディを連れて、ステージへ上がってくる。

反対側からピョン代表がやって来た。
「PDさん、代表がいらしてます」キム室長がイェジンに声を掛けた。

イェジン「あぁ、またお会いしましたね。こんにちは」
ピョン代表「えぇ、今日は大事な日なので、自らやって来ましたわ」
イェジン「はい。シンディは今日トリですね。有力な1位候補なんですよ」

ステージの上で、スンチャンとシンディが居心地悪そうに彼らのやり取りを眺めている。

イェジン「一つのアルバムでダンスチューン1曲、バラード1曲、どっちも1位になるなんて!」

「本当に凄いよ、シンディ」ピョン代表を前に、彼女はステージのシンディを振り返る。
シンディが彼女に答え、小さく微笑んだ。

ピョン代表「ジニ、ご挨拶なさい。ミュージックバンクのPDさんよ。タク・イェジンPD」
ジニ「(ペコリ)初めまして、PDさん。新人歌手のジニです」
シンディ「えぇ、可愛いわね」

キム室長がすかさず周囲にお弁当を配り始める。

イェジン「あぁ、ありがとうございます。(ジニに)頑張ってくださいね。シンディお姉さんみたいになるためには、ホントに一生懸命やらなきゃ」
ジニ「はい、ありがとうございます!」
ピョン代表「うちのジニ、綺麗に撮ってくださいな、PDさん。テレビ局3社の音楽番組、カットを比べればわかるんですよ。これはどこのPD、あれはどこのPDってね」
イェジン「へぇ、おわかりになるんですね」
ピョン代表「見ればわかりますわ。ステージのクオリティはここで差がつくってね」
イェジン「どんな差です?」
ピョン代表「PDの真心、心の持ち方」
イェジン「(頷く)」
ピョン代表「このPDが歌手に真心があるかないか、心を注いでいるかどうか」

ピョン代表「心を注いで演出したステージは確実に違う。私にはそれが見えるわ」
イェジン「(頷く)画面の中に心が見える…?」
ピョン代表「だから、うちのジニをよろしくお願いしますよ。デビューステージなんだから、特別な意味があるでしょう?今後もずっと資料として何度も見ることになるステージなんだから」
イェジン「えぇ、承知しました、ピョン代表」

ピョン代表が満足気に微笑む。
「ですけど」イェジンの話は続いた。

イェジン「今日、私にとって一番大きくて、一番大事なステージは… つまり私の真心を注ぐステージは、第2のシンディーじゃなくて、シンディその人なんです」

#ねーさん男前やーーーっ(涙)
後からシンディにフォロー入れるのは誰でもできるけど、この場でキッパリ言ってやれるなんて。
「星君」のソンイ然り、やっぱり女性をカッコよく描いてくれるドラマは清々しいね。

シンディ「!」
イェジン「今日、シンディは今回のアルバムで最後のステージですから」

「シンディ、頑張ろうね!」イェジンは明るくシンディに声を掛ける。
暗い顔をしていたシンディが、ニッコリと微笑み返した。

2008

#あまりのカッコ良さに泣けた。シンディも泣いてないのに

笑顔を繕いながらも、ピョン代表は顔をひきつらせる。
イェジンはシンディの悔しさをちゃんとわかっていたのだ。
先輩の勇姿に、スンチャンは惚れぼれと魅入った。

2009

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イェジンは副調整室に戻っていた。

イェジン「時間は?」
スタッフ「ちょっとオーバーしてます。1分くらい」
イェジン「始めよう。最後のリハも終わったわね。(マイクに)MCスタンバイ!」

「コメント、スタート!」彼女のキューが飛んだ。

ステージ上には、MCを務めるパク・ボゴムの隣に、K.willとシンディが並んでいる。

ポゴム(MC)「2015年6月2週、生放送でお送りするミュージックバンク、あとはKチャート1位の発表を残すのみです」

「1位発表の後、シンディにコメントもらえるように、手で合図してくださいね」イェジンが指示を出す。

スタッフ「シンディのコメントはいつも”ありがとうございます”だけですよ」

「まぁそうだけど」イェジンが笑う。

イェジン「あの子、100回1位になったって泣かないわよ」

隣でベテラン音声スタッフが一緒に笑った。

ポゴム(MC)「K.willとシンディ、今週の1位は果たしてどちらが手に入れるのか、点数をオープンしてください!」

画面には、K.willとシンディ、二人の顔がフレームつきで並び、彼らの下に各部門別の点数が順に出る。

ポゴム(MC)「デジタル音源点数、視聴者投票数、放送回数、CD売上。合計すると今日の主人公は…?」
7532対4554。圧倒的なシンディの勝利だ。

ポゴム(MC)「おめでとうございます!シンディさんの”心(曲目)”が今週の1位を獲得しました!」

「ワンカット!」イェジンがカメラをスイッチし、隣の音声スタッフに声を掛けた。「歌の準備を」

マイクを握ったシンディに、カメラがぐーっと近づいていく。

シンディ「ありがとうございます」

「さぁ、ここで…」シンディの様子を見ながら、イェジンが曲のスタートのタイミングを計った。

シンディ「今日、この賞は…」
イェジン「?!」

シンディがまだ話し続けたので、イェジンは驚いて時計を覗く。

シンディ「私にとってすごくいろいろな意味があるんです。感謝してる人がすごくたくさんいて… 今日この場を通して、その方たちに私の気持ちを伝えたいと思います」

「あの子どうしちゃったの?」イェジンが慌ててキョロキョロする。

イェジン(マイク)「シンディに時間がないって伝えてないの?」

シンディ「まずはPink4のお姉さんたち、ありがとうございます。それから…ごめんなさい。一度も言えなかったけど、私、お姉さんたちのこと、大好きでした」

ステージ上で不器用に話すシンディを、スンチャンはフロアで静かに見守っていた。
「終わらせなきゃ、放送切れちゃうわ」彼のヘッドフォンにイェジンの声が届く。

シンディ「遠くで見守ってくださっているお父さん、お母さん。会いたいです。そして、愛してるって…そう伝えたいです。それから…」

イェジンが本格的に焦りだした。「あの子、小学校の先生にまでお礼を言い出す勢いよ!(マイクに)終わらせなさいよ!」

シンディ「ミュージックバンクのタク・イェジンPD」
イェジン「(マイクに)あ、ちょっと待って」
シンディ「私… 失礼なことたくさんしちゃったけど、口ではブツブツ文句言いながらも、陰で面倒をみてくださって」

2010

画面に見入るイェジンの顔に笑みが溢れる。

シンディ「本当にありがとうございました」
イェジン「あの子ったら…。自分でわかってるのね、失礼なことしたって」

「ふふっ」彼女は嬉しそうに笑った。

#隣のミキサーさんが何ともいい味を出してるんだよねぇ^^

シンディ「それから一泊二日のラ・ジュンモPD」
イェジン「ちょ、ちょっと!一泊二日まで?!(マイクに)終わりよ、終わり!」

「ちょっと、ペク・スンチャン!」耳に入ってくるイェジンの声に、スンチャンはステージに向かって控えめに「×」と合図を出した。
同時に腕時計を指し、時間がなくなったことを告げる。

シンディ「…。」

いつの間にか他の出演者たちはすべて退出し、ステージにはシンディ一人が残っていた。

シンディ「最後に…」
スンチャン「?」
シンディ「最後に… 私が雨の中一人ぼっちで立っていたとき、傘になってくれたあの方に…」
スンチャン「…。」
シンディ「ありがとうございます。お陰で本当に温かかったって…」

「そうお伝えしたいです」シンディはまっすぐスンチャンを見つめ、そう言った。

2012

音楽が流れてくる。
穏やかに、シンディは歌い始めた。


あなたを見たら
私は熱い吐息を漏らす
辛いのはあなたのせいでしょうね

気づいてくださらなくていいんです
会いに来てくださらなくても

だけど 消えずにいる小さな光が
ここにキラキラと生きています

+-+–+

芸能局のフロアを歩いてきたジュンモは、ふとテレビの前で足を止める。
画面の中でシンディが歌っていた。

テホCP「なぁ、シンディこれから大丈夫かな?ピョン代表がまた世代交代を始めたって噂だ」
シンディ「…。」
テホCP「一泊二日、またメンバー入れ替えなきゃいけなくなるんじゃないか?」

+-+-+-+

デスクで一人、ジュンモはユナからもらったCDを見つめていた。
そこには小さな字でぎっしりメッセージがしたためてある。

『ラ・ジュンモPD、お誕生日おめでとうございます!
永遠に私の味方になってくださるって言ったこと、信じますね。
ありがとうございます!
2010.5.20 ユナより』

2013

+-+-+-+

※ここで、とてつもなく衝撃的な場面を挟み…

+-+-+-+

『09 欠放の理解
見慣れたものと新しいものの競争だ』

+-+-+-+

車での帰り道、スンチャンはふと目に止まった場所で車を停めた。
そこには一面の白い花が光り輝いている。

2014


この気持ちだけはキラキラと生きています
永遠に 永遠に

しばらく佇むと、彼は駈け出した。

+-+–+

帰り道をあるくジュンモもまた、どこか力の宿った眼差しで足を早めた。「…。」

+-+–+

イェジンの電話が鳴った。「もしもし、うん、帰ってる途中」

イェジン(電話)「ここ?アパートの脇道があるでしょ?その辺だよ」

「うん」電話を切った途端、ジュンモが横からさっと彼女に近づいた。「おい」

イェジン「あぁ、会社から?」
ジュンモ「うん、今、誰から電話だったんだ?」
イェジン「ペク・スンチャン。どこにいるのかって」
ジュンモ「…。」

イェジンが先に歩き出す。

イェジン「あんた、欠放で何日か休みなのに、こんな遅くまで会社で何してんのよ?」
ジュンモ「試験番組の試写を見てきた。スターウォーズってな」
イェジン「あぁ、あれ?あんたの時間に入るってやつ?どうだった?」
ジュンモ「よかった。強いな。新鮮だし」
イェジン「あぁ、そうなの…。大変だね」
ジュンモ「そうかな。ちょっと不安か?やっぱり」
イェジン「とにかく一泊二日は長いし、正直、前のシーズンに比べて状況は良くないわね。強くて新鮮なのが入ってきたら、やっぱり不安よ」

「だよな」ジュンモは前を向いたまま、ポツリと言う。

イェジン「うん」

#「一泊二日とスターウォーズ」、「ジュンモとスンチャン」、おまけに「シンディとジニ」まで、「見慣れたものと、新しく新鮮なもの」として、それぞれが別々にず~っと対比してますよね。作りがうまい。

イェジン「テホ先輩か局長をなんとか説得して、欠放を防ぐべきだったのよ。あんたたちまだスタートしたばかりなのに、無駄に比較されて」
ジュンモ「そうだな。お前の言うとおりだ」
イェジン「…。」
ジュンモ「欠放は誰かにとっちゃ絶好のチャンスで、俺にとっちゃピンチだ」

「?」イェジンがジュンモの横顔を覗く。「そんな深刻にならなくても」

イェジン「その試験番組、そんなに面白かったの?」

ジュンモが立ち止まり、ふぅっと息をつく。
彼は静かに彼女を振り返った。「イェジン」

イェジン「ん?」
ジュンモ「お前のアパート、モデルルームにして内装費用も掛かってないんだろ」
イェジン「何いきなり?うん、そうね」
ジュンモ「あそこ、貸しに出そう」
イェジン「え?何で?何で貸しに出すの?」
ジュンモ「お前に…あそこに住んでほしくないんだ」
イェジン「?…どうして?」
ジュンモ「わかんないのか?」
イェジン「…。」
ジュンモ「このまま… うちにいてくれ」

「お前が行ってしまうのは… 嫌だ」心から漏れだすようにジュンモが呟く。

2015

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息をハァハァと切らしながら、スンチャンはそこでじっと二人を見つめていた。
手に、一輪の光る花を持って。

2016

スンチャン「…。」

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【エピローグ】

麗しきペク・スンチャン少年は、たびたび見かける”あのお姉さん”に憧れていた。

ある日、お姉さんが引っ越しの荷物を抱え、暗い顔で外へ出てくる。
彼女がパラリと何かを落としたのを見て、さっと車の陰からスンチャン少年が駆け寄った。

拾い上げたのは… 一枚の女の子の絵だ。

スンチャン少年「お姉さん、これ、落としましたよ」

振り返ると、イェジンは優しく微笑んだ。
「いい子ね」そう言って、イェジンは彼の頭をくしゃくしゃと撫でる。

イェジンお姉さん「あんたにあげる」

2017

その絵は彼の大切な宝物となり、今でも宝箱に収まっている。
新しく加わった写真と共に…。

2018

+-+-+-+

この後、とても楽しいNG集で、スンチャンと一緒に「トゥルリルレルリル」と言いながら幸せに終了です♪

どの角度からも、喜びにも切なさにもすべて共感できる、なんだか温かい気持ちでいっぱいになった9話でした。

 - プロデューサー