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SPY(スパイ:JYJジェジュン主演)最終話あらすじ&日本語訳vol.2

   

JYJキム・ジェジュン、ユ・オソン出演、「SPY」16話。いよいよ後半です。

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病院へ搬送されたヘリムは、ストレッチャーに乗せられ、廊下を進んでいた。
朦朧とする意識の中、彼女は懸命に手を伸ばす。
「!」付き添って歩くユンジンが、彼女の手を取り、しっかりと握った。

「今ではなく… 別の方法であなたに会えればよかったのに…」
「私もです… お母さん」

手術室の前へ来ると、ユンジンはそこで看護師に止められる。
完全に無力だ。彼女は汗だくでベンチに座り込んだ。「…。」
と、その直後、数人の男に囲まれ、彼女はハッとして顔を上げた。「!」

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ようやく港近くへ辿り着いたものの、キチョルもまた限界に達していた。
腹に受けた傷から容赦なく血が流れ出す。
「最後まで楽にはいかないな」キチョルは執念でハンドルを握った。

ぐるりとカーブを回ったところで、彼の車は停めてあった重機のショベルに突っ込んだ。
懸命にバックしようとするが、タイヤはキキーッと悲鳴を上げて空回りする。

キチョル「そうだな… 後戻りするには遅すぎる」

「あともう少しだ。お前なら出来る」キチョルはバッグを掴み、外へ出ると、力を振り絞って歩き出した。
ふらふらとしばらく歩くと、彼は力なくその場にへたり込む。
どこかで船の汽笛が聴こえた。

キチョル「…。」

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目の前の海を見つめる彼の目は、泣いているようにも笑っているようにも見えた。

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港へ向かいながら、ソヌは再びウナに連絡を取った。

ソヌ(電話)「ジョンアプ号に連絡して、密航者たちを乗せるなと言ってくれ。出港する前に海警隊が捕まえるからって。乗っていたら今すぐ追い出すように言うんだ」

港へと続くカーブを曲がると、ソヌはそこで車を停めた。
黒いバンが停まっていたのだ。
車に誰もいないのを見ると、彼は悔しさに思わず窓を拳で叩いた。
まだ近くにいるに違いない。
彼は銃を構え、前へと進む。

ふたたび近くで汽笛が鳴った。

ソヌ「!」

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彼の目に入ったのは…
船をつなぎとめるビットのすぐ隣で力尽きている男の姿だった。

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ソヌは急いで倒れているキチョルの元へ向かう。
もう銃を構えている必要がないのは一目瞭然だった。

ソヌ「…。」

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真っ赤に血に染まったキチョルの手には、小さな紙切れが一枚。
写真の中でヘリム、いや、キム・ソンへが幸せそうに笑っていた。
海からの優しい風で、写真はハラリと彼の手からこぼれ落ちる。

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「…。」ソヌは電話を取り出した。「先輩、ハードディスクを見つけました」

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次長が部屋から出てきた。

次長「事件報告の準備は出来てるだろうな」
秘書「はい。いらっしゃって大丈夫です」

そこへヒョンテが静かに現れた。

次長「何だ?また約束を伸ばしてくれって?」
ヒョンテ「…。」
次長「報告会が終わってから話そう」
ヒョンテ「キム・ソヌがブツを確保したそうです」
次長「!」
ヒョンテ「そのまま捨て置けとでも言いましょうか?」

「…。」次長は後ろに控えている秘書を振り返った。「報告会は中止にしろ」

次長「ブツは今どこだ?」

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「承知しました」ウソクを連行中の職員にもただちに連絡が入った。
職員は電話を切ると。運転手に命じる。「引き返せ」

ウソク「どういうことですか?どこへ行くんです?」
職員「全て中止だそうです。家族のいる場所へお送りするようにと」

「…。」ウソクはぎゅっと目を閉じた。

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血まみれのまま、ソヌは黒い鞄を下げ、病院へとやってきた。
廊下の先で待っていたヒョンテが立ち上がり、安堵の息をつく。
彼に鞄を手渡すと、ソヌは力の抜けたように身を屈めた。

ヒョンテ「本当にご苦労だった」

ヒョンテはソヌの腕をポンポンと叩く。「お母さん、今手術中だ」

ヒョンテ「大きな手術だし簡単じゃないらしいが… うまくいくと信じよう」
ソヌ「ありがとうございます、先輩」
ヒョンテ「お父さんとヨンソにもこっちへ来るように話しておいた」
ソヌ「…。」
ヒョンテ「それでお前、肩は大丈夫なのか?お前も早く治療してもらえ」
ソヌ「母の手術が終わってから」

「それで、ユンジンは?」ソヌは周囲を見回した。

ヒョンテ「誰?イ・ユンジン?知らないが、あの子もここにいたのか?」

「…。」ソヌはすぐに微笑む。「いいえ、僕が勘違いしてたみたいです」

奥の手術室はまだ固く扉が閉ざされていた。

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ソヌは誰もいなくなった手術室の廊下で、一人待っていた。
「お兄ちゃん」そこへ妹の声が聴こえる。
廊下の向こうから、父と共にやって来たヨンソが、兄に駆け寄った。「お兄ちゃんも怪我したの?!」

ヨンソ「ひどい怪我!」

ソヌの肩に目を移し、ヨンソが悲しげに顔を歪める。

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#普段の無邪気で小生意気なキャラがあるからこそ、今ヨンソがめちゃくちゃ可愛い妹&娘に見えます^^

「…。」ソヌは何も言わず、妹を優しく抱き寄せた。

ウソク「ソヌ」

父の声に、ソヌが顔を上げる。「父さん…」

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3人は言葉もなく、ただお互いを強く抱きしめた。

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次長の車の隣に一台の車が停まると、ヒョンテ一人を下ろし、走り去った。
黒い鞄を抱え、ヒョンテは居心地が悪そうに次長の車に近づく。

「遅かったじゃないか」窓を開け、次長が眉間にしわを寄せた。

ヒョンテ「これを抱えて逃げるわけでもないのに、監視のヤツらと一緒に来いだなんて…」

「それか?」次長の目がヒョンテの持つ鞄に釘付けになる。「渡せ」
ヒョンテは素直に鞄を差し出した。

次長「これから何をすべきか分かってるよな」
ヒョンテ「えぇ」
次長「なら、もう行け」
ヒョンテ「あの、バスに乗れるところまで連れて行っ…」

「出発しろ」次長は容赦なく車の窓を閉め、走り去った。

ヒョンテ「…。」

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ソヌは人が行き来するたびに手術室の扉を振り返った。
母が出てくる気配は一向にない。

ソヌ「…。」

目の前のテレビがニュースを伝え始める。

アナウンサー(テレビ)「今日午前、殺人事件の容疑者が警察の追跡の末、仁川港近くで銃撃を受けて死亡しました。事件当時容疑者は凶器を振り回し、頑として抵抗したため、警察はやむを得ず銃を使用したと明らかにしました」

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ヒョンテもまた、作成中の報告書を前に、ぼんやりとニュースを眺めていた。

『報告書
閲覧権限:一級秘密取扱認可者
提出者:国家情報院対来た情報分析班 分析官 キム・ヒョンテ

題目:ファン・ギチョルの死。殺人容疑車検挙作戦に変更

概要:
1.ファンギチョルは身分不詳の不法在留者であり、金融業者である高麗キャピタルにて同僚を殺害した後、逃走していたところ、警察の銃撃を受け死亡。管轄警察署の協力を得て、上記の内容にてマスコミに発表し、秘密維持が必要な事項は全て廃棄。
2.病院にて死体が発見されたファン・ギチョルの部下たちは全員、秘密裏に焼却処理。
3.作戦中、我々側の犠牲者は…』

#つまり、キチョルたちの内輪もめという形で、都合よく終わらせようとしているということですね。

そこへ画面の隅に小さな通知が上がった。

『公示
ソン・ジュンヒョク主任、キム・ヘソン、パク・ジョンハン、キム・コンゴン、イ・ジンソン、イ・ミナン、ホン・ゴニ要員、作戦中殉職』

彼は無表情でそれを見つめ、おにぎりを頬張る。
「喉に詰まりますよ」やってきたウナがそっと飲み物を差し出した。「これでも飲みながらどうぞ」

ヒョンテ「…。」

ウナはヒョンテの肩に手を置き、何も語らずにその場を離れた。
振り返ったヒョンテの目に入ったのは、主を失ったジュンヒョクの部屋だ。

「ハードディスクを手に入れるのを手伝ってくれないか!」必死で訴えるジュンヒョクの姿が、彼の頭から離れずにいた。

「あれさえ手に入れれば俺たち人生一花咲かせられるんだ!」
「お前、いつまでも犬小屋みたいなところでおにぎり食ってるわけにはいかないだろ!」

ヒョンテはもう一つおにぎりを口に放り込み、虚しさを噛み締めた。「あぁ、美味い!」

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「キム議員」次長は車の中でさっそく議員に連絡を取った。
彼の膝の上では、ノートPCが例のハードディスクを読み込んでいる。

次長(電話)「あのときお話した物ですがね、手に入れましたよ。えぇ、真偽も確認して、今お持ちするところです」

彼はいつになく上機嫌だ。「いえいえ、身分確認なんて何も要りませんよ」

次長(電話)「誰か信用に足りる人をマカオへ送って、必要な時に引き出してお使いになればいいんです。いいんですよ、議員。何もかも国のためにやっていることですから」

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手術室の廊下に設置されているテレビには、右半分に手術中の患者名が表示されている。
患者パク・ヘリムの名前は、ずっとそこに記されたままだった。

「!」ソヌが立ち上がり、手術室を振り返る。
医師が中から出てきたのだ。「パク・ヘリムさんの保護者の方ですか?」
ウソクとヨンソも緊張した面持ちで立ち上がった。
彼らは3人しっかりと手をつなぎ、医師に向き合う。

「…。」

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一年後

カフェでランチをとるソヌの前に座っているのは、ウナだった。

ウナ「ちょっと見栄っ張りだけど、話は合うみたい。向こうも脈ありって感じだったのよ」

ソヌは黙って彼女の話を聞きながら食事を続けた。

ウナ「だけど、まだ次のお誘いがないの。なんでだろ… 私、そんなに魅力ないかな」

ぼやくウナに、ソヌは思わず笑う。「きっと君には嘘がつけなかったんだな」

ソヌ「焦るなって。君の魅力のわかる人がすぐ現れるから」
ウナ「ホント?気づくかな?」

身を乗り出したウナに笑いかけると、そこでソヌの携帯が鳴った。「あ、もう戻らないと」
彼は立ち上がる。

ウナ「もう?」
ソヌ「ごめん。忙しくさ。ときどきこうやってランチしよう」
ウナ「うん、じゃあ明日ね」

「ごめんな」手を振るウナに背を向け、ソヌは風のように去って行った。

ウナ「マスター、ここワインもありますよね」

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昼が過ぎ、夕方になり、そして夜になった。
広いオフィスに大勢いた職員は、いつの間にかソヌを残し、誰もいなくなる。

「ソヌさん、帰らないんですか?」通りかかった職員に声を掛けられ、ソヌはハッとして顔を上げる。

ソヌ「あぁ… 中国のバイヤーと約束があるんですが、少し遅れるらしくて。先にお帰りください」

その後、中国から来たバイヤーの接待を一人でこなし、代理運転に車を任せると、彼はようやく帰宅の途についた。

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忙しく、充実しつつも、彼はどこか日常に疲れていた。
車を一旦降りた彼は、歩道橋の上に腰を下ろす。

彼の視線の先にあるのは、ユンジンの住んでいたアパートだ。

ソヌ「…。」

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心にぽっかり穴が開いたようで、暗くそびえるそのアパートは、彼を一層寂しくさせた。

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朝。
ヨンソが慌てた様子で部屋から飛び出してくる。「送迎バスに乗り遅れちゃった!起こしてって言ったのに!」

「キム・ヨンソ」ソヌがキッチンでミキサーを回し、飲み物を差し出す。「これ飲んで行きな」

ヘリムがいつも自分に作ってくれていたジュースだ。
その不気味な色に、ヨンソはゾッとしてコップを見つめた。「吐いたヤツじゃないの?」

ソヌ「解毒ジュースだ。最近便秘なんだろ」
ヨンソ「…。」
ソヌ「一日じゅう座ってるからだ」

「お父さんのお喋り!」ヨンソがリビングの父を睨みつけた。

ソヌ「飲まなきゃお弁当はなしだぞ。ツベコベ言わずにぐっと飲み干せ」
ヨンソ「お母さんより酷いんだから」

ヨンソが素直にジュースを飲むと、ソヌは別の飲み物を手に取る。

ヨンソ「何よ、お兄ちゃんは飲まないの?」
ソヌ「酒を飲んだ次の日はこれがいいんだ。お前も大人になったら、自分の飲みたいものをたっぷり飲みな」

「チッ」ヨンソは兄を睨み、玄関へ向かった。

ソヌ「頑張って来いよ、浪人!あ、今日遅れるなよ」
ヨンソ「浪人って言わないでってば!」

ヨンソが出かけると、ソヌは用意した料理を食卓へ運んだ。「父さん、食事を」

「うむ」目の前の資料と睨めっこをしたまま生返事をする父に、ソヌは溜息をつく。「父さん」

ソヌ「家には仕事を持ち帰らないことにしたんでしょう?」
ウソク「これだけやってからな」

「年を取ると、ちっとも頭が回らなくない」ウソクはそう言って笑った。

ソヌ「父さん」
ウソク「分かった」

「分かったよ」ウソクはようやく顔を上げ、ノートPCを閉じた。「こいつ、嫁以上だな」

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扉を開けると、ソヌは部屋を見渡した。

ソヌ「母さん、食事だよ」

顔を上げたのは… ヘリムだ。

ヘリム「無理しなくてもいいのに。私は構わないんだから」
ソヌ「そんなことないよ。簡単にわかめスープだけ用意したんだ。本当の誕生祝いはまた後で」
ヘリム「…。」

ヘリムはせっせと衣類の整理を続けていた。

ソヌ「もうこんなに引っ越しの荷造りを…。後で業者を呼びなって」
ヘリム「私の物だもの。自分でやった方が気が楽なの」

「ところで」ヘリムが手を止める。「昨日はどうして遅かったの?」

ソヌ「あ…。昨日は中国のバイヤーたちと会ったんだけど、みんな酒好きで」

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ヘリムが明るく笑う。「お酒は適度にして、早く帰って来なさい。体に毒よ」
そこへウソクが入ってきた。「君が理解しないと」

ウソク「ソヌはもう公務員じゃないんだから。なかなかそうはいかないよ」
ソヌ「父さんの言うとおりだ」

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ウナは店で健康食品を物色していた。「何が何だか分からないな…」
「おすすめはありますか?」彼女は諦めて店員に尋ねる。「体にすごくいい物」

店員「贈られるお相手はどのくらいのご年齢ですか?」
ウナ「50代の主婦で、去年、銃に…」
店員「?」
ウナ「あ… 銃に撃たれたくらいの大怪我をなさって」

「キム・ソヌへの夢は捨てろ」ふいにヒョンテが店に現れた。

ウナ「わっ、ビックリした!先輩」
ヒョンテ「先輩って何だよ。オッパ、いや、主任だ。情報分析班主任オッパ」

「押し付けがましいんだから」ウナは楽しそうに笑った。

ウナ「先輩もソヌの家に行くんですか?新しい業務のことで忙しいって言ってたのに」
ヒョンテ「ソヌとは縁があるんだから、一緒に飯を食う時間くらいあるに決まってるだろ」

「ここで一番良いものをください」ヒョンテは店員に告げた。「一番良くて… 安いのを」
ウナが思わず吹き出した。

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ヒョンテとウナがやって来ると、ソヌたちは全員揃って彼らを迎えた。

ウソク「いらっしゃい。久し振りだね」
ウナ「そうですね、お父さん」

「あ、お母さん、お誕生日おめでとうございます」ウナがプレゼントを差し出すと、ヒョンテもすかさず手を添える。「僕の分も入ってます」

ヘリム「まぁこんなものを!ありがとうございます。お腹が空いたでしょう?中へどうぞ」

皆が奥へ向かうと、ヒョンテが黙ってソヌを引き止めた。

ソヌ「?」

ヒョンテはソヌの手に、持って来た手土産の袋を握らせる。「お前に」

ソヌ「僕に?」
ヒョンテ「あぁ。お前にだ。お前一人で飲めよ」

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一年振りに、ヒョンテたちを招いての食事が始まっていた。
ここにはいない人もいるものの、一年前と違い、食卓は和やかでリラックスした雰囲気に包まれていた。
ソヌがキッチンから料理を運んでくる。

ヨンソ「これ、全部お兄ちゃんが作ったんですよ」
ウナ「ホントに?何でも出来るのね」
ソヌ「召し上がってください」
ヒョンテ「そうだ、お母さん、引っ越しなさるそうですね。どちらへ?」
ウソク「えぇ、京畿道の外れに。前に見ておいた家があるんですよ」

そう言って、ウソクは妻に微笑みかける。

ウソク「(ヒョンテに)遊びに来てください」
ヘリム「まだ先ですよ。娘の受験が終わってから」

ヒョンテは頷き、穏やかに食事をするソヌをチラリと見た。

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ソヌとヨンソは、ヒョンテたちを見送りに外へ出てきた。
すっかり姉妹のように打ち解けたウナとヨンソは、腕を組んで先を歩く。

「来てくださってありがとうございます」ソヌはヒョンテを振り返った。

ヒョンテ「なぁ、退屈じゃないか?平凡なのは」
ソヌ「平凡が一番ですから」
ヒョンテ「気楽には見えるがな、死んでるみたいでさ。生きてるんじゃなくて」

「…。」ソヌが立ち止まり、ヒョンテを見る。

ヒョンテ「あ、そうだ。さっき渡したヤツ、忘れずにちゃんと飲めよ。食後30分だ」
ソヌ「そんな紅参ありますか?」
ヒョンテ「まだ飲んでないじゃないか。飲んでから言えよ。特別なものなんだからな」

「じゃあな」ヒョンテが歩き出す。

ソヌは笑顔でヒョンテの背中を見送った。

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誰もいなくなったダイニングで、ソヌはヒョンテの土産を開け、思わず笑った。「先輩ってば」
ヒョンテの柄にも合わない、綺羅びやかな紅参商品の贈り物だ。
錠剤を出し、ひょいと口の中へ放り込む。

何気なく説明書を手に取ると、そこに白い紙が挟まっているのが見えた。

ソヌ「?」

それは小さな封筒だ。
俄に緊張し、彼は封筒を開けた。

『去年、俺たち側で抱き込んで、北に二重スパイとして派遣された要員がいるんだが…
去年のハードディスク事件に関連して、お前に会いたいらしい。
接触場所は教えるが、行くかどうかはお前が決めることだ。
ヒョンテ』

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小さな紙に記されたメッセージに、ソヌは顔をほころばせた。

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ソヌは橋の上で行き交う人々を眺めていた。
腕時計を覗き、彼はもう一度ヒョンテからの手紙を開く。
その手紙を、彼はぎゅっと握りしめた。「…。」

「ソヌさん!」

そのとき不意に聞こえた声に、彼は振り返った。「!」

向こうに立っていたのは… ユンジンだ。
明るいピンクのコートを羽織り、髪に綺麗なウェーブのかかった彼女は、以前より随分華やかに見える。
彼女はソヌに近づいてくると、まっすぐ彼を見つめた。

ユンジン「ソヌさんに助けてもらうことがあるの」
ソヌ「…。」

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ソヌの目に力が宿る。
まるで待ち望んでいたかのように、彼はユンジンに微笑んでみせた。

+-+-+-+ SPY 完 +-+-+-+

ここで終了です。

最後の再会シーン、「会いたかった♥ハグ」みたいなありふれた感じじゃなくて新鮮ですね。
ちょっとアーノルド・シュワルツェネッガー&ジェイミー・リー・カーティス主演の映画「トゥルー・ライズ」のエンディングみたいです(笑)どなたか覚えていらっしゃいます?

今はとにかく、大切な人たちや、ソヌを助けた仲間たちが皆無事でホッとしました。
ただキチョルが力尽きるシーンは、もう少し彼の演技をゆっくり堪能したかった気がします。
物足りないくらいのあっさりした描き方で、むしろ後々まで心に残るのかもしれませんが。

まだドラマ全体を振り返る余裕がないのですが、久し振りに面白く、そして心の通ったドラマが訳せて幸せでした。
ドラマの根底には脈々と愛が流れていて、緊迫した展開でも常にどこか満たされた気持ちでいられた気がします。

聞き取りづらいセリフが多く、これまで訳した中にも間違いが残っていることと思いますが、どうぞお許しいただけると幸いです。
長らくに渡る翻訳に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
お楽しみいただけましたか?^^

ps. 次長に天罰が下るところは見たかったですねぇ

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