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SPY(スパイ:JYJジェジュン主演)7話あらすじ&日本語訳vol.2

      2015/02/03

JYJキム・ジェジュン、ユ・オソン出演、「SPY」7話。後半に進みます。

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「そうだ!」ウソクがソヌを呼び止める。「お前の職場の主任、明日夕食に招くことになった」

ソヌ「?!」
ウソク「部署の人たちの中にも来る人がいるだろうから、そのつもりでいてくれ」
ソヌ「うちに?母さん、そういうの嫌がるじゃないですか」

「ははは」黙って微笑むヘリムの隣で、ウソクが笑い声をあげる。「母さんがそうしようって言うんだ」

ヘリム「あなたが怪我したとき、主任さんに助けてもらったでしょう?」
ソヌ「…。」
ヘリム「一緒に働いてる人たちにも会いたいし。私もこれからはいろんな人に会おうと思うの」
ソヌ「主任が来るって?どういう用事なのか、詳しく話してないんですか?」

「前みたいなご馳走が食べられるね」部屋から出てきたヨンソは、小さく折りたたんだ紙をそっと父親に差し出した。
「ははは」緊張が解けたせいか、ウソクは妙に上機嫌だ。

ウソク「何だ?これは」
ヨンソ「知らなくてもいいから、ここにちょこっとサインだけ」

ヘリムがめざとくその紙を引ったくる。
広げてみて、彼女はハッと息を呑んだ。「キム・ヨンソ!なんて成績なの?!」

ヨンソ「ただの民間の模試よ。お母さんが私のこと構ってくれないからでしょ」

「それで?明日会社の人たちが来るの?」ヨンソが話題を戻す。

ヘリム「英語の補習、明日からだったわよね。今日すぐに申し込みなさい」
ヨンソ「やだ。私も明日はお兄ちゃんの会社の人たちに会うんだもん」
ソヌ「お前がうちの会社の人に会ってどうするんだ?」
ヨンソ「人脈もスペックだって知らないの?」
ヘリム「そのスペックは大学へ行って伸ばしなさい」
ヨンソ「…。」
ウソク「(ニコニコ)」
ヘリム「あなたの分は残しておくから、帰ってから食べなさい」

母の心境の変化が気に掛かり、ソヌはそっと彼女を見つめた。「…。」

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ユンジンは地下鉄の中にいた。
メールの着信音が鳴り、彼女はポケットから携帯を取り出す。

ソヌからだ。

『大丈夫?大丈夫なら、点だけ打ってくれ』

そこへ今度は電話が鳴る。発信番号は非表示に設定されていた。「!!!」
ユンジンは素早く電車の中を見渡す。
立ち上がり、彼女は車内を移動しながら電話を受けた。

キチョル(電話)「今日はなぜ出勤しなかった?」
ユンジン(電話)「体調が悪くて有休を取りました。病院に行くところです」
キチョル「ふむ、最近無理したからか。体を大事にしないとな。まだまだ君とやることがある」
ユンジン「…。」
キチョル「ちょっと会いたいんだが。どこの病院だ?」

ユンジンは隣の車両まで移動して、ドアに向かって立つと、そっと周りを窺う。
座っていた女性が立ち上がり、一つ離れたドアの前に立った。キチョルの手下だ!

電車が駅に止まり、ユンジンが降りると、手下の女もぶらりと降りる。
ふと前を見ると… ユンジンの姿がないではないか。

女「!!!」

ユンジンは降りると見せかけ、電車の中に残っていた。
女が慌てて電車に戻ったとき、ドアが閉まり、電車が動き出す。
入れ替わりに電車を降りたユンジンは、涼しい顔でホームを進んだ。

+-+-+-+

「やっぱり科学ってのはいいもんだな」画面を覗き込み、ヒョンテが言う。

二台並んだPCモニターのうち、一台には北朝鮮軍人の画像リストが並び、もう一台には防犯カメラが捉えたチョ・スヨン殺害犯の画像と、北朝鮮軍人の画像が一枚ずつ照合されている。
プログラムが自動的に人間の顔を認識し、チョ・スヨン殺害犯の顔とどれくらい一致するか判定していた。

ヒョンテ「全部勝手にやってくれるんだから」

ソヌはヒョンテと並び、プログラムが動く様子をじっと見つめる。

ソヌ「それでもまだ人間のやることはたくさんあります。50%から60%一致するときはそのまま通過してしまうんですけど、むしろそういうときに本物が多いんです」

プログラムが順にフォーカスする軍人の顔を、ソヌは一人ひとり真剣にチェックした。

072

ソヌ「人間の目でもう一度確認する必要があります」
ヒョンテ「よく言うぜ。俺に教えてるのか?」
ソヌ「…。」
ヒョンテ「なぁ、俺らの時はな、何日も一日中資料映像を睨んで…」

ソヌはポケットから携帯を出してみた。
何の通知も表示されていない画面に、ソヌの目が翳る。「…。」

ヒョンテ「隠れてる部分を探して… おい、お前な、先輩が話してる時は集中しろ」
ソヌ「…はい」

「集中します」ソヌは身を起こし、ヒョンテに向き直った。

ヒョンテ「俺らの時はな、お前が…」

そのとき、向こうから聴こえてきた足音に、ソヌの視線が動く。
ジュンヒョクが足早に入ってきた。

ヒョンテ「おはようございます。資料を調べてました」

「あぁ、続けてくれ」足を止めることもなく、ジュンヒョクは二人の前を通り過ぎると、奥の扉から出てきたスタッフにアタッシュケースを渡した。
以前、パスワードの解析を試みていたエンジニアだ。
エンジニアはそれを受け取ると、すぐ奥の部屋へ引っ込む。
「…。」ヒョンテは何となく気になり、黙って見つめた。

「他に用事があって寄られたんですね」引き返してきたジュンヒョクに、ヒョンテが声を掛ける。

ジュンヒョク「あぁ、ちょっとあってな。お前、明日の晩はどうしてる?」
ヒョンテ「特にありませんが」
ジュンヒョク「そうか。明日の晩、ソヌさんの家に招待されて、うちの班のメンバーで食事することにしたんだ」

ヒョンテがチラリと横目でソヌを見る。

ジュンヒョク「参加するかどうか、決まったら俺に言ってくれ」
ヒョンテ「初耳なんですが」
ジュンヒョク「俺も初めて言ったんだ。とにかくあまり負担に思わずに、時間の合う者だけ行けばいいから、そのつもりで」
ヒョンテ「はい」

+-+-+-+

ソヌはジュンヒョクの後を追いかけ、声を掛けた。「あの… 大丈夫でしょうか?」
「何が?」ジュンヒョクが歩きながら言う。

ソヌ「うちの家族は僕が何をしてるか知らないので」
ジュンヒョク「まだ家族に秘密にしてるのか?スパイだな、完璧なスパイだ」
ソヌ「それが原則ですし、母が知ったら嫌がるような気がして」
ジュンヒョク「国家情報院だからどうだっていうんだ?この機会に話すといい」
ソヌ「…。」
ジュンヒョク「冗談だって。みんなプロなんだし、家族を騙すくらい簡単なことだ。完璧に企画財政部の公務員になってやるから、心配するな」

「いいな」有無を言わさず、ジュンヒョクは廊下の角を曲がっていった。

ソヌ「…。」

+-+-+-+

ヒョンテは奥の部屋の様子を、ブラインド越しにそっと窺っていた。
中からエンジニアが出てくると、すかさず呼び止める。

ヒョンテ「ソン主任、何持って来たんだ?」
エンジニア「分かりませんよ。見ちゃダメです」

「壊すわけじゃあるまいし」ヒョンテは無理やり中へ入ろうとする。
「見ちゃダメなんですから!出てください」ヒョンテを押し戻し、エンジニアは扉を閉めた。

ヒョンテ「オーバーだな。何なんだ?」
エンジニア「極秘です、極秘」
ヒョンテ「(笑)極秘で通用すると思ってるのか?同じ職場内で水くさいな」
エンジン「本当に極秘なんですから。中に何が入ってるのか、僕だって知らないんです。見たくてもパスワードに引っ掛かって見られないんですよ」

「はぁ、俺だって見たいよ」そうボヤキながら、エンジニアはその場を離れた。

ヒョンテ「…。」

奥の部屋のドアには自動的にロックが掛かっている。
ヒョンテはもう一度、ブラインドの隙間から微かに見える画面を覗いた。

#入り口のドアを開けたらすぐ見えるところにモニター画面があるのが、そもそもセキュリティーに問題ありだと思うね

+-+-+-+

キャップを目深にかぶり直し、ユンジンは地下鉄の上りエスカレーターをに乗った。
そこへ電話が入る。

『発信番号表示制限』

キチョルだ!
彼女はそのまま携帯をポケットに戻す。

そのとき、エスカレーターが上がった先に、男が一人、姿を現した。
こちらを静かに見ているその男は… キチョルの部下だ。

ユンジン「!!!」

ユンジンは手すりをジャンプして乗り越え、下りのエスカレーターに飛び移る。
彼女が全速力でエスカレーターを駆け下りるのを、キチョルの部下の男は追いかけることもなく、見下ろした。

来た道を足早に戻ると、今度は別の男が彼女の前に立ちふさがる。「!!!」
万事休す。彼女はそれ以上抵抗もできず、男に連れられて再びエスカレーターを上り、待っていた黒いバンに乗り込んだ。

シートに座るやいなや、彼女は携帯を取り出す。
ソヌに心配を掛けるわけにはいかない。
彼女は、今度は迷わず一文字だけ点を打ち、送信ボタンを押した。

+-+-+-+

廊下で小さな着信音が鳴る。「?」
ソヌが開いた携帯の画面には、たった一文字「 . 」とユンジンからのメールが表示されている。
彼女から反応があったことに顔をほころばせ、彼は折り返し電話を掛けてみる。

073

呼び出し音が何度も鳴るばかりで、彼女が出ることはなかった。

なにかあったんだろうか?
本当に一文字しか帰って来なかったことに、むしろ彼の不安は増した。

+-+-+-+

ユンジンを乗せた黒いバンは、人気のない空き地の真ん中で止まった。
そこでユンジンを下ろすと、鳴り続ける彼女の携帯を取り上げた男が、呆れたようにぼやく。「全く、しつこい野郎だ…」

両脇を抱えられて少し歩くと、前方に男が一人、立っているのが見える。
キチョルだ。
彼女を逃した部下の女も、そばで俯いていた。

キチョル「ソンエに似た娘を選んだら、やることまでそっくりだ」
ユンジン「選択肢はこれしかなかったんです。後悔しません」
キチョル「お前と家族をどうするか考えてみた。焼き殺そうか、それともボロボロにして収容所送りにしてやろうか…。一度背を向けた女、無理やり気持ちを変えさせようとしても無駄だからな」

そう呟くキチョルはどこか寂しそうにも見える。

ユンジン「家族は無理です。みんな避難させたから。私を焼き殺そうと、刺し殺そうと、好きにしてください」

ユンジンはそう言い捨て、キチョルに背を向けた。

キチョル「そんなわけないだろう」
ユンジン「!」
キチョル「この世に死ぬより楽なことなどあるか」
ユンジン「…。」

「行け」キチョルの言葉で、ユンジンはそのまま歩き出す。

そのときだ。
彼女の背後で電話が鳴り始めた。

ユンジン「!」

キチョルがポケットから携帯を取り出す。
「何してる?行かないのか?」鳴り続ける電話を持ったまま、キチョルは立ち止まったユンジンの背中に言った。「後悔しないんだろう?」
「!」振り返ったユンジンの目に入ったのは、キチョルが手に持っている黒い携帯電話–家族との唯一の連絡手段だった。
ユンジンは思わず戻ると、キチョルが差し出した電話を取った。「…もしもし」

「ユンジン、ユンジンなの?」電話の向こうから元気そうな母の声が聴こえる。

ユンジン(電話)「お母さん… お母さん、大丈夫?怪我してないよね?」

心を乱すユンジンを見つめ、キチョルは微かに笑みを浮かべた。

ユンジン母(電話)「たった今着いたんだ。アパートだよ、アパート!あんたのお陰で早く来られたよ。あとはユンジン、あんたさえそばにいれば他には何もいらないよ」

「うん」そう頷いて、ユンジンは大粒の涙を流し、キチョルを見上げる。「もうすぐそうなるわ」

ユンジン(電話)「私のことは心配しないで。また連絡するね」

074

そんな日はもう来ないかもしれない。
きっと来ないだろう…。
ユンジンは恐る恐る電話を切った。

キチョル「いつでも電話して来い。家族同然でやって来たんだから、安否くらい知ってないとな」
ユンジン「望みは…何ですか?」

キチョルは大きな手のひらで、いきなり彼女の首を鷲掴みにする。「!」

キチョル「絶対的な忠誠。選択したのはお前だ」
ユンジン「…。」

黙って目を閉じた彼女の目から、もう一度涙がこぼれ落ちた。

+-+-+-+

すでに暗くなっていた。
ソヌはまだ写真の照合を続けている。

「?」ふと、彼は整列した軍人たちのひとりに目をとめる。
防犯カメラの男と比較した結果、プログラムは一致度を52%と判定した。

ソヌ「…。」

「おーい」隣のブースにいたウナが、帰り支度を済ませてソヌに呼びかけた。「帰らないの?」

ソヌ「もう少し見てから」
ウナ「ホント熱心ね。国家情報院の鑑だわ」

そこへソヌの携帯にメールが入った。「!」
すかさず開いてみると、デリバリーのポイントキャンペーンのダイレクトメールだった。

ソヌ「…。」

後ろでウナが笑う。「彼女と上手く行ってないんだ♪」

ソヌ「そんなんじゃない」
ウナ「嘘♪ 当ててみようか。(別れようって言われた?いなくなっちゃった?)んでしょ。あんたは必死ですがりついたんだけど、すぐ振られちゃいそうな雰囲気だなぁ」
ソヌ「…。」
ウナ「ふふ♪ 図星ね。この世に女はたくさんいるって。お酒でも付き合ってあげよっか?」

そのとき、ソヌの電話が鳴る。
ユンジンだ!
彼は努めていつもどおりに電話を取った。「もしもし」

ソヌ(電話)「あぁユンジン、うん?それならいいんだ」

「お疲れ」ウナは小さく声を掛け、気を利かせてブースを出て行った。

ソヌ(電話)「さっき電話したんだけど… あぁ、そうだったのか。良かった。実はすごく心配してたんだ。気分はどう?」

PC画面の中では、顔判別プログラムが黙々と働いている。

ソヌ(電話)「それなら一緒に食事しよう。行きつけの店があるんだけど、予約しておくから」

画面の右側に表示されている北朝鮮の式典画像の中から、女性の姿がフォーカスされる。
すると、左側に表示されている防犯カメラの画像が、別の物に切り替わった。
それは…
車の脇に立っているヘリムではないか!
顔が判別され、左右の人物が線で結ばれた。

075

ソヌ(電話)「あぁ、分かった」

ソヌは画面を見ないまま、上着を掴み、ブースを出る。
誰もいなくなったブースの中で、プログラムはまだ動き続けた。

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ヘリムとウソクは着々と準備を進めていた。
「すごく簡単なんだ」ウソクはテーブルの上に四角いプレートを置き、その上にスマートフォンを乗せた。

ウソク「携帯電話をこの上に置くだけでいい」

そうしておいて、彼はノートPCを操作し始める。
すぐにプログラムが動き出した。

『写真 OK
連絡帳 OK
音声メモ OK
メモ OK
音楽 OK
動画 OK』

あっという間にプログレスバーが進み、スマートフォンの中身の読み込みが完了する。
キーを叩くと、プログラムのインストールが始まった。
同時にスマートフォンの画面にも、プログラムインストールの表示が出る。

ウソク「そんなには掛からない。3分くらいかな」

ヘリムが頷く。
彼女はスマートフォンに手を伸ばし、少しプレートから浮かせてみる。
途端に、インストールが中断されてしまった。「あっ!」
スマートフォンを戻すと、インストールが再開される。

ヘリム「動かしちゃダメなのね」
ウソク「そうだな。こう見えても複雑な機器だからね」
ヘリム「3分ほど動かしちゃいけないと…」
ウソク「ソン主任をダイニングに引き付けておくのはどうだい?」
ヘリム「携帯を置いたままにする保証はないでしょう?万が一置いたままにしたとしても、位置が合わなかったら?」
ウソク「…。」

そこへヘリムの携帯にメールが入る。
届いたのは、ヒョンテとウナに関する情報だ。

『キム・ヒョンテ
1972年6月23日生まれ
学歴:
ヨンフン高等学校卒
ヨンイン大学警護学科中退
トングク大学警察行政学科博士
その他の経歴:
国家情報院 対共捜査チーム勤務
…』

間髪入れず家の電話が鳴る。
「客のプロフィールだ」キチョルが言った。

キチョル(電話)「平凡に見えても、諜報員としてやって来たヤツらだ。気をつけろ」
ヘリム(電話)「構うなと言ったはずよ。あなたは口を出さないで」

ヘリムは天井のライトをチラリと見上げる。
シェードの上で盗聴器が赤く点滅していた。

電話を切ると、それでもヘリムはキチョルの送ってきた情報をチェックする。

『ノ・ウナ
1988年10月11日生まれ
学歴:
パンポ高等学校卒
ジョージタウン大学国際政治学科博士
ジョージタウン大学心理学科博士
その他の経歴:
一級犯罪心理士資格取得
警察庁科学捜査センター 犯罪分析係インターン
国家情報院情報分析チーム在職』

ヘリム「バレないためには、あなたとソン主任が二人きりでいないとダメね。ソヌを入れたら3人…私一人で3人もカバーできないわ」
ウソク「どうしようか」
ヘリム「私たち側にあと一人いればいいんだけど。他の人たちの注意を逸らしてくれる人が…」

「ただいま!」そこへヨンソが上機嫌で帰ってきた。「あれ?二人揃ってどうしたの?」

ヨンソ「今日は喧嘩してないんだね」

ヨンソは楽しそうに二人の前を通りかかる。「お腹ペコペコ。今日は何か食べさせてくれるよね?」

ヘリムとウソクは黙って顔を見合わせた。「…。」

ヘリム「ねぇヨンソ、明日の晩は塾に行かずに一緒に食事にしましょ」
ヨンソ「ホント?!何で急に気が変わったの?」
ヘリム「人脈もスペックなんでしょう?」
ヨンソ「だから言ったでしょ。やっと話が通じるようになった」
ヘリム「会社の人の中で、留学したことのあるお嬢さんがいるらしいわ。勉強法をしっかり伝授してもらいなさい。いいわね?」
ヨンソ「初めて会う人に勉強法なんて訊けないよ!」
ヘリム「嫌なら塾に行きなさい」

「やっぱりお母さんってば」ヨンソが面白くなさそうに部屋へ戻るのを、ヘリムは鋭い目で追った。「…。」

+-+-+-+

ソヌはようやく会えたユンジンと、彼の知っている店に来ていた。
いつもどおりのソヌの前で、ユンジンは思い詰めた表情でじっと座っていた。

ソヌ「どう?この味は口に合う?」

ソヌの声に、ユンジンはハッと我に返る。「あぁ、うん」

ユンジン「美味しい」

彼がフォークで突き刺したのは、ピクルスだ。

ソヌ「ここのピクルスはイケるんだ。帰るときにどうやって作るのか訊いてみなきゃな」
ユンジン「…。」
ソヌ「将来俺たちが店を出したら、俺がピクルス作るからさ」
ユンジン「…。」

戻ってくるつもりではなかった。
彼の元を永遠に去る覚悟だったのだ。
楽しそうに夢を語る彼を前に、彼女はなかなか言葉が見つからなかった。

「…。」じっと黙っているユンジンに、ソヌもとうとう顔を曇らせる。

ソヌ「母さんに会ったんだろ」
ユンジン「!」

「違うよ」ユンジンは驚いて首を横に振った。

ソヌ「母さんは何て?どんな話をしたんだ?」
ユンジン「違うってば。ホントよ」
ソヌ「イ・ユンジン、俺は騙されない」
ユンジン「…。」
ソヌ「ごめん。母さんが何を言ったかわからないけど、代わりに謝るよ」
ユンジン「…。」
ソヌ「俺、母さんことよく分かってるつもりでいた。けど、そうじゃなかったみたいだ」

「これからは俺が守る」ソヌは彼女の手を握る。

ソヌ「これ以上、家族の理解はいらない」

「ソヌさん…」ユンジンはさっとその手を引っ込めた。

ソヌ「…。」
ユンジン「家族… 」
ソヌ「?」
ユンジン「家族をそんなふうに思っちゃダメよ」
ソヌ「イ・ユンジン」
ユンジン「愛と家族、どちらか一つだけ選ぶなら、私は100回でも1000回でも家族を選ぶわ」
ソヌ「…。」
ユンジン「私の言ってること、ソヌさんも分かってくれるよね?」
ソヌ「…。それなら家族のいない人は?そんな人には愛しかないじゃないか」
ユンジン「…。」

ソヌは彼女が引っ込めた手をもう一度掴んだ。「これからは俺が君を守るから」

ソヌ「いや、これからは俺が君の家族になる」
ユンジン「!」
ソヌ「そうすりゃ悩まなくて済むだろ?」

076

+-+-+-+

ソヌの車がユンジンのアパート近くで止まる。

#前にイイと書いた、この「전기위험(電気危険)」のロケーションは、ユンジンの家のすぐ近くだったんですね。

「じゃあね、気をつけて帰って」ユンジンがシートベルトを外す。
「ユンジン」降りようとする彼女を、ソヌは引き止めた。

ソヌ「明日の晩、うちに来ない?」
ユンジン「!」
ソヌ「会社の人たちが来ることになったんだ。みんなが集まる席で、正式に紹介したい」

驚く彼女を、ソヌはまっすぐに見つめる。「結婚する人だって」

ユンジン「!」

+-+-+-+

家に帰ってきたユンジンは、長い間そこに立ち尽くした。
嬉しいはずの彼の愛が、どうしようもなく辛い。
一体どうすればいいのか、彼女にはもう分からなかった。
彼女は自分の運命を呪い…声を上げて泣いた。

+-+-+-+

家の前へ帰ってきたソヌは、どこか物憂げだった。
車を降りたところでメールが入る。

『明日、行くね』

ユンジンからだ。
彼の顔がパッと輝いた。

「ありがとう、ユンジン」彼は即座にそう返し、明るい顔で歩き出す。

+-+-+-+

誰もいなくなったブースの中で、顔判別プログラムが黙々と動き続けている。
プログラムは、ある判別結果を赤字で主張していた。

それは、チョ・スヨン殺害犯と、北朝鮮の軍人の一人だ。

077

『解析の結果、顔の中で一致するパーツは…92%
MATCH 92% 』

そして、もう一度ヘリムと女性軍人の画像に切り替わる。
『 MATCH 53% 』

+-+-+-+

ここでエンディングです。

ユンジンは何らかの条件と引き換えに戻ってきたはずですが、その辺がハッキリしなくて不安ですね。
その他のことも、まだプロセスの途中なのでなんとも言えません。
続きを見なきゃ!続きを!

コンピューターの画面が映ることが多いですが、よく作りこんであって楽しいです。(※GPS探査機の画面を除く:笑)
顔判別プログラムはあんな角度で92%判定が出せるのかと、かな~り疑問ですが。

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