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SPY(スパイ:JYJジェジュン主演)7話あらすじ&日本語訳vol.2

   

JYJキム・ジェジュン、ユ・オソン出演、「SPY」7話。後半に進みます。

+-+-+-+-

「そうだ!」ウソクがソヌを呼び止める。「お前の職場の主任、明日夕食に招くことになった」

ソヌ「?!」
ウソク「部署の人たちの中にも来る人がいるだろうから、そのつもりでいてくれ」
ソヌ「うちに?母さん、そういうの嫌がるじゃないですか」

「ははは」黙って微笑むヘリムの隣で、ウソクが笑い声をあげる。「母さんがそうしようって言うんだ」

ヘリム「あなたが怪我したとき、主任さんに助けてもらったでしょう?」
ソヌ「…。」
ヘリム「一緒に働いてる人たちにも会いたいし。私もこれからはいろんな人に会おうと思うの」
ソヌ「主任が来るって?どういう用事なのか、詳しく話してないんですか?」

「前みたいなご馳走が食べられるね」部屋から出てきたヨンソは、小さく折りたたんだ紙をそっと父親に差し出した。
「ははは」緊張が解けたせいか、ウソクは妙に上機嫌だ。

ウソク「何だ?これは」
ヨンソ「知らなくてもいいから、ここにちょこっとサインだけ」

ヘリムがめざとくその紙を引ったくる。
広げてみて、彼女はハッと息を呑んだ。「キム・ヨンソ!なんて成績なの?!」

ヨンソ「ただの民間の模試よ。お母さんが私のこと構ってくれないからでしょ」

「それで?明日会社の人たちが来るの?」ヨンソが話題を戻す。

ヘリム「英語の補習、明日からだったわよね。今日すぐに申し込みなさい」
ヨンソ「やだ。私も明日はお兄ちゃんの会社の人たちに会うんだもん」
ソヌ「お前がうちの会社の人に会ってどうするんだ?」
ヨンソ「人脈もスペックだって知らないの?」
ヘリム「そのスペックは大学へ行って伸ばしなさい」
ヨンソ「…。」
ウソク「(ニコニコ)」
ヘリム「あなたの分は残しておくから、帰ってから食べなさい」

母の心境の変化が気に掛かり、ソヌはそっと彼女を見つめた。「…。」

+-+-+-+

ユンジンは地下鉄の中にいた。
メールの着信音が鳴り、彼女はポケットから携帯を取り出す。

ソヌからだ。

『大丈夫?大丈夫なら、点だけ打ってくれ』

そこへ今度は電話が鳴る。発信番号は非表示に設定されていた。「!!!」
ユンジンは素早く電車の中を見渡す。
立ち上がり、彼女は車内を移動しながら電話を受けた。

キチョル(電話)「今日はなぜ出勤しなかった?」
ユンジン(電話)「体調が悪くて有休を取りました。病院に行くところです」
キチョル「ふむ、最近無理したからか。体を大事にしないとな。まだまだ君とやることがある」
ユンジン「…。」
キチョル「ちょっと会いたいんだが。どこの病院だ?」

ユンジンは隣の車両まで移動して、ドアに向かって立つと、そっと周りを窺う。
座っていた女性が立ち上がり、一つ離れたドアの前に立った。キチョルの手下だ!

電車が駅に止まり、ユンジンが降りると、手下の女もぶらりと降りる。
ふと前を見ると… ユンジンの姿がないではないか。

女「!!!」

ユンジンは降りると見せかけ、電車の中に残っていた。
女が慌てて電車に戻ったとき、ドアが閉まり、電車が動き出す。
入れ替わりに電車を降りたユンジンは、涼しい顔でホームを進んだ。

+-+-+-+

「やっぱり科学ってのはいいもんだな」画面を覗き込み、ヒョンテが言う。

二台並んだPCモニターのうち、一台には北朝鮮軍人の画像リストが並び、もう一台には防犯カメラが捉えたチョ・スヨン殺害犯の画像と、北朝鮮軍人の画像が一枚ずつ照合されている。
プログラムが自動的に人間の顔を認識し、チョ・スヨン殺害犯の顔とどれくらい一致するか判定していた。

ヒョンテ「全部勝手にやってくれるんだから」

ソヌはヒョンテと並び、プログラムが動く様子をじっと見つめる。

ソヌ「それでもまだ人間のやることはたくさんあります。50%から60%一致するときはそのまま通過してしまうんですけど、むしろそういうときに本物が多いんです」

プログラムが順にフォーカスする軍人の顔を、ソヌは一人ひとり真剣にチェックした。

072

ソヌ「人間の目でもう一度確認する必要があります」
ヒョンテ「よく言うぜ。俺に教えてるのか?」
ソヌ「…。」
ヒョンテ「なぁ、俺らの時はな、何日も一日中資料映像を睨んで…」

ソヌはポケットから携帯を出してみた。
何の通知も表示されていない画面に、ソヌの目が翳る。「…。」

ヒョンテ「隠れてる部分を探して… おい、お前な、先輩が話してる時は集中しろ」
ソヌ「…はい」

「集中します」ソヌは身を起こし、ヒョンテに向き直った。

ヒョンテ「俺らの時はな、お前が…」

そのとき、向こうから聴こえてきた足音に、ソヌの視線が動く。
ジュンヒョクが足早に入ってきた。

ヒョンテ「おはようございます。資料を調べてました」

「あぁ、続けてくれ」足を止めることもなく、ジュンヒョクは二人の前を通り過ぎると、奥の扉から出てきたスタッフにアタッシュケースを渡した。
以前、パスワードの解析を試みていたエンジニアだ。
エンジニアはそれを受け取ると、すぐ奥の部屋へ引っ込む。
「…。」ヒョンテは何となく気になり、黙って見つめた。

「他に用事があって寄られたんですね」引き返してきたジュンヒョクに、ヒョンテが声を掛ける。

ジュンヒョク「あぁ、ちょっとあってな。お前、明日の晩はどうしてる?」
ヒョンテ「特にありませんが」
ジュンヒョク「そうか。明日の晩、ソヌさんの家に招待されて、うちの班のメンバーで食事することにしたんだ」

ヒョンテがチラリと横目でソヌを見る。

ジュンヒョク「参加するかどうか、決まったら俺に言ってくれ」
ヒョンテ「初耳なんですが」
ジュンヒョク「俺も初めて言ったんだ。とにかくあまり負担に思わずに、時間の合う者だけ行けばいいから、そのつもりで」
ヒョンテ「はい」

+-+-+-+

ソヌはジュンヒョクの後を追いかけ、声を掛けた。「あの… 大丈夫でしょうか?」
「何が?」ジュンヒョクが歩きながら言う。

ソヌ「うちの家族は僕が何をしてるか知らないので」
ジュンヒョク「まだ家族に秘密にしてるのか?スパイだな、完璧なスパイだ」
ソヌ「それが原則ですし、母が知ったら嫌がるような気がして」
ジュンヒョク「国家情報院だからどうだっていうんだ?この機会に話すといい」
ソヌ「…。」
ジュンヒョク「冗談だって。みんなプロなんだし、家族を騙すくらい簡単なことだ。完璧に企画財政部の公務員になってやるから、心配するな」

「いいな」有無を言わさず、ジュンヒョクは廊下の角を曲がっていった。

ソヌ「…。」

+-+-+-+

ヒョンテは奥の部屋の様子を、ブラインド越しにそっと窺っていた。
中からエンジニアが出てくると、すかさず呼び止める。

ヒョンテ「ソン主任、何持って来たんだ?」
エンジニア「分かりませんよ。見ちゃダメです」

「壊すわけじゃあるまいし」ヒョンテは無理やり中へ入ろうとする。
「見ちゃダメなんですから!出てください」ヒョンテを押し戻し、エンジニアは扉を閉めた。

ヒョンテ「オーバーだな。何なんだ?」
エンジニア「極秘です、極秘」
ヒョンテ「(笑)極秘で通用すると思ってるのか?同じ職場内で水くさいな」
エンジン「本当に極秘なんですから。中に何が入ってるのか、僕だって知らないんです。見たくてもパスワードに引っ掛かって見られないんですよ」

「はぁ、俺だって見たいよ」そうボヤキながら、エンジニアはその場を離れた。

ヒョンテ「…。」

奥の部屋のドアには自動的にロックが掛かっている。
ヒョンテはもう一度、ブラインドの隙間から微かに見える画面を覗いた。

#入り口のドアを開けたらすぐ見えるところにモニター画面があるのが、そもそもセキュリティーに問題ありだと思うね

+-+-+-+

キャップを目深にかぶり直し、ユンジンは地下鉄の上りエスカレーターをに乗った。
そこへ電話が入る。

『発信番号表示制限』

キチョルだ!
彼女はそのまま携帯をポケットに戻す。

そのとき、エスカレーターが上がった先に、男が一人、姿を現した。
こちらを静かに見ているその男は… キチョルの部下だ。

ユンジン「!!!」

ユンジンは手すりをジャンプして乗り越え、下りのエスカレーターに飛び移る。
彼女が全速力でエスカレーターを駆け下りるのを、キチョルの部下の男は追いかけることもなく、見下ろした。

来た道を足早に戻ると、今度は別の男が彼女の前に立ちふさがる。「!!!」
万事休す。彼女はそれ以上抵抗もできず、男に連れられて再びエスカレーターを上り、待っていた黒いバンに乗り込んだ。

シートに座るやいなや、彼女は携帯を取り出す。
ソヌに心配を掛けるわけにはいかない。
彼女は、今度は迷わず一文字だけ点を打ち、送信ボタンを押した。

+-+-+-+

廊下で小さな着信音が鳴る。「?」
ソヌが開いた携帯の画面には、たった一文字「 . 」とユンジンからのメールが表示されている。
彼女から反応があったことに顔をほころばせ、彼は折り返し電話を掛けてみる。

073

呼び出し音が何度も鳴るばかりで、彼女が出ることはなかった。

なにかあったんだろうか?
本当に一文字しか帰って来なかったことに、むしろ彼の不安は増した。

+-+-+-+

ユンジンを乗せた黒いバンは、人気のない空き地の真ん中で止まった。
そこでユンジンを下ろすと、鳴り続ける彼女の携帯を取り上げた男が、呆れたようにぼやく。「全く、しつこい野郎だ…」

両脇を抱えられて少し歩くと、前方に男が一人、立っているのが見える。
キチョルだ。
彼女を逃した部下の女も、そばで俯いていた。

キチョル「ソンエに似た娘を選んだら、やることまでそっくりだ」
ユンジン「選択肢はこれしかなかったんです。後悔しません」
キチョル「お前と家族をどうするか考えてみた。焼き殺そうか、それともボロボロにして収容所送りにしてやろうか…。一度背を向けた女、無理やり気持ちを変えさせようとしても無駄だからな」

そう呟くキチョルはどこか寂しそうにも見える。

ユンジン「家族は無理です。みんな避難させたから。私を焼き殺そうと、刺し殺そうと、好きにしてください」

ユンジンはそう言い捨て、キチョルに背を向けた。

キチョル「そんなわけないだろう」
ユンジン「!」
キチョル「この世に死ぬより楽なことなどあるか」
ユンジン「…。」

「行け」キチョルの言葉で、ユンジンはそのまま歩き出す。

そのときだ。
彼女の背後で電話が鳴り始めた。

ユンジン「!」

キチョルがポケットから携帯を取り出す。
「何してる?行かないのか?」鳴り続ける電話を持ったまま、キチョルは立ち止まったユンジンの背中に言った。「後悔しないんだろう?」
「!」振り返ったユンジンの目に入ったのは、キチョルが手に持っている黒い携帯電話–家族との唯一の連絡手段だった。
ユンジンは思わず戻ると、キチョルが差し出した電話を取った。「…もしもし」

「ユンジン、ユンジンなの?」電話の向こうから元気そうな母の声が聴こえる。

ユンジン(電話)「お母さん… お母さん、大丈夫?怪我してないよね?」

心を乱すユンジンを見つめ、キチョルは微かに笑みを浮かべた。

ユンジン母(電話)「たった今着いたんだ。アパートだよ、アパート!あんたのお陰で早く来られたよ。あとはユンジン、あんたさえそばにいれば他には何もいらないよ」

「うん」そう頷いて、ユンジンは大粒の涙を流し、キチョルを見上げる。「もうすぐそうなるわ」

ユンジン(電話)「私のことは心配しないで。また連絡するね」

074

そんな日はもう来ないかもしれない。
きっと来ないだろう…。
ユンジンは恐る恐る電話を切った。

キチョル「いつでも電話して来い。家族同然でやって来たんだから、安否くらい知ってないとな」
ユンジン「望みは…何ですか?」

キチョルは大きな手のひらで、いきなり彼女の首を鷲掴みにする。「!」

キチョル「絶対的な忠誠。選択したのはお前だ」
ユンジン「…。」

黙って目を閉じた彼女の目から、もう一度涙がこぼれ落ちた。

+-+-+-+

すでに暗くなっていた。
ソヌはまだ写真の照合を続けている。

「?」ふと、彼は整列した軍人たちのひとりに目をとめる。
防犯カメラの男と比較した結果、プログラムは一致度を52%と判定した。

ソヌ「…。」

「おーい」隣のブースにいたウナが、帰り支度を済ませてソヌに呼びかけた。「帰らないの?」

ソヌ「もう少し見てから」
ウナ「ホント熱心ね。国家情報院の鑑だわ」

そこへソヌの携帯にメールが入った。「!」
すかさず開いてみると、デリバリーのポイントキャンペーンのダイレクトメールだった。

ソヌ「…。」

後ろでウナが笑う。「彼女と上手く行ってないんだ♪」

ソヌ「そんなんじゃない」
ウナ「嘘♪ 当ててみようか。(別れようって言われた?いなくなっちゃった?)んでしょ。あんたは必死ですがりついたんだけど、すぐ振られちゃいそうな雰囲気だなぁ」
ソヌ「…。」
ウナ「ふふ♪ 図星ね。この世に女はたくさんいるって。お酒でも付き合ってあげよっか?」

そのとき、ソヌの電話が鳴る。
ユンジンだ!
彼は努めていつもどおりに電話を取った。「もしもし」

ソヌ(電話)「あぁユンジン、うん?それならいいんだ」

「お疲れ」ウナは小さく声を掛け、気を利かせてブースを出て行った。

ソヌ(電話)「さっき電話したんだけど… あぁ、そうだったのか。良かった。実はすごく心配してたんだ。気分はどう?」

PC画面の中では、顔判別プログラムが黙々と働いている。

ソヌ(電話)「それなら一緒に食事しよう。行きつけの店があるんだけど、予約しておくから」

画面の右側に表示されている北朝鮮の式典画像の中から、女性の姿がフォーカスされる。
すると、左側に表示されている防犯カメラの画像が、別の物に切り替わった。
それは…
車の脇に立っているヘリムではないか!
顔が判別され、左右の人物が線で結ばれた。

075

ソヌ(電話)「あぁ、分かった」

ソヌは画面を見ないまま、上着を掴み、ブースを出る。
誰もいなくなったブースの中で、プログラムはまだ動き続けた。

+-+-+-+

ヘリムとウソクは着々と準備を進めていた。
「すごく簡単なんだ」ウソクはテーブルの上に四角いプレートを置き、その上にスマートフォンを乗せた。

ウソク「携帯電話をこの上に置くだけでいい」

そうしておいて、彼はノートPCを操作し始める。
すぐにプログラムが動き出した。

『写真 OK
連絡帳 OK
音声メモ OK
メモ OK
音楽 OK
動画 OK』

あっという間にプログレスバーが進み、スマートフォンの中身の読み込みが完了する。
キーを叩くと、プログラムのインストールが始まった。
同時にスマートフォンの画面にも、プログラムインストールの表示が出る。

ウソク「そんなには掛からない。3分くらいかな」

ヘリムが頷く。
彼女はスマートフォンに手を伸ばし、少しプレートから浮かせてみる。
途端に、インストールが中断されてしまった。「あっ!」
スマートフォンを戻すと、インストールが再開される。

ヘリム「動かしちゃダメなのね」
ウソク「そうだな。こう見えても複雑な機器だからね」
ヘリム「3分ほど動かしちゃいけないと…」
ウソク「ソン主任をダイニングに引き付けておくのはどうだい?」
ヘリム「携帯を置いたままにする保証はないでしょう?万が一置いたままにしたとしても、位置が合わなかったら?」
ウソク「…。」

そこへヘリムの携帯にメールが入る。
届いたのは、ヒョンテとウナに関する情報だ。

『キム・ヒョンテ
1972年6月23日生まれ
学歴:
ヨンフン高等学校卒
ヨンイン大学警護学科中退
トングク大学警察行政学科博士
その他の経歴:
国家情報院 対共捜査チーム勤務
…』

間髪入れず家の電話が鳴る。
「客のプロフィールだ」キチョルが言った。

キチョル(電話)「平凡に見えても、諜報員としてやって来たヤツらだ。気をつけろ」
ヘリム(電話)「構うなと言ったはずよ。あなたは口を出さないで」

ヘリムは天井のライトをチラリと見上げる。
シェードの上で盗聴器が赤く点滅していた。

電話を切ると、それでもヘリムはキチョルの送ってきた情報をチェックする。

『ノ・ウナ
1988年10月11日生まれ
学歴:
パンポ高等学校卒
ジョージタウン大学国際政治学科博士
ジョージタウン大学心理学科博士
その他の経歴:
一級犯罪心理士資格取得
警察庁科学捜査センター 犯罪分析係インターン
国家情報院情報分析チーム在職』

ヘリム「バレないためには、あなたとソン主任が二人きりでいないとダメね。ソヌを入れたら3人…私一人で3人もカバーできないわ」
ウソク「どうしようか」
ヘリム「私たち側にあと一人いればいいんだけど。他の人たちの注意を逸らしてくれる人が…」

「ただいま!」そこへヨンソが上機嫌で帰ってきた。「あれ?二人揃ってどうしたの?」

ヨンソ「今日は喧嘩してないんだね」

ヨンソは楽しそうに二人の前を通りかかる。「お腹ペコペコ。今日は何か食べさせてくれるよね?」

ヘリムとウソクは黙って顔を見合わせた。「…。」

ヘリム「ねぇヨンソ、明日の晩は塾に行かずに一緒に食事にしましょ」
ヨンソ「ホント?!何で急に気が変わったの?」
ヘリム「人脈もスペックなんでしょう?」
ヨンソ「だから言ったでしょ。やっと話が通じるようになった」
ヘリム「会社の人の中で、留学したことのあるお嬢さんがいるらしいわ。勉強法をしっかり伝授してもらいなさい。いいわね?」
ヨンソ「初めて会う人に勉強法なんて訊けないよ!」
ヘリム「嫌なら塾に行きなさい」

「やっぱりお母さんってば」ヨンソが面白くなさそうに部屋へ戻るのを、ヘリムは鋭い目で追った。「…。」

+-+-+-+

ソヌはようやく会えたユンジンと、彼の知っている店に来ていた。
いつもどおりのソヌの前で、ユンジンは思い詰めた表情でじっと座っていた。

ソヌ「どう?この味は口に合う?」

ソヌの声に、ユンジンはハッと我に返る。「あぁ、うん」

ユンジン「美味しい」

彼がフォークで突き刺したのは、ピクルスだ。

ソヌ「ここのピクルスはイケるんだ。帰るときにどうやって作るのか訊いてみなきゃな」
ユンジン「…。」
ソヌ「将来俺たちが店を出したら、俺がピクルス作るからさ」
ユンジン「…。」

戻ってくるつもりではなかった。
彼の元を永遠に去る覚悟だったのだ。
楽しそうに夢を語る彼を前に、彼女はなかなか言葉が見つからなかった。

「…。」じっと黙っているユンジンに、ソヌもとうとう顔を曇らせる。

ソヌ「母さんに会ったんだろ」
ユンジン「!」

「違うよ」ユンジンは驚いて首を横に振った。

ソヌ「母さんは何て?どんな話をしたんだ?」
ユンジン「違うってば。ホントよ」
ソヌ「イ・ユンジン、俺は騙されない」
ユンジン「…。」
ソヌ「ごめん。母さんが何を言ったかわからないけど、代わりに謝るよ」
ユンジン「…。」
ソヌ「俺、母さんことよく分かってるつもりでいた。けど、そうじゃなかったみたいだ」

「これからは俺が守る」ソヌは彼女の手を握る。

ソヌ「これ以上、家族の理解はいらない」

「ソヌさん…」ユンジンはさっとその手を引っ込めた。

ソヌ「…。」
ユンジン「家族… 」
ソヌ「?」
ユンジン「家族をそんなふうに思っちゃダメよ」
ソヌ「イ・ユンジン」
ユンジン「愛と家族、どちらか一つだけ選ぶなら、私は100回でも1000回でも家族を選ぶわ」
ソヌ「…。」
ユンジン「私の言ってること、ソヌさんも分かってくれるよね?」
ソヌ「…。それなら家族のいない人は?そんな人には愛しかないじゃないか」
ユンジン「…。」

ソヌは彼女が引っ込めた手をもう一度掴んだ。「これからは俺が君を守るから」

ソヌ「いや、これからは俺が君の家族になる」
ユンジン「!」
ソヌ「そうすりゃ悩まなくて済むだろ?」

076

+-+-+-+

ソヌの車がユンジンのアパート近くで止まる。

#前にイイと書いた、この「전기위험(電気危険)」のロケーションは、ユンジンの家のすぐ近くだったんですね。

「じゃあね、気をつけて帰って」ユンジンがシートベルトを外す。
「ユンジン」降りようとする彼女を、ソヌは引き止めた。

ソヌ「明日の晩、うちに来ない?」
ユンジン「!」
ソヌ「会社の人たちが来ることになったんだ。みんなが集まる席で、正式に紹介したい」

驚く彼女を、ソヌはまっすぐに見つめる。「結婚する人だって」

ユンジン「!」

+-+-+-+

家に帰ってきたユンジンは、長い間そこに立ち尽くした。
嬉しいはずの彼の愛が、どうしようもなく辛い。
一体どうすればいいのか、彼女にはもう分からなかった。
彼女は自分の運命を呪い…声を上げて泣いた。

+-+-+-+

家の前へ帰ってきたソヌは、どこか物憂げだった。
車を降りたところでメールが入る。

『明日、行くね』

ユンジンからだ。
彼の顔がパッと輝いた。

「ありがとう、ユンジン」彼は即座にそう返し、明るい顔で歩き出す。

+-+-+-+

誰もいなくなったブースの中で、顔判別プログラムが黙々と動き続けている。
プログラムは、ある判別結果を赤字で主張していた。

それは、チョ・スヨン殺害犯と、北朝鮮の軍人の一人だ。

077

『解析の結果、顔の中で一致するパーツは…92%
MATCH 92% 』

そして、もう一度ヘリムと女性軍人の画像に切り替わる。
『 MATCH 53% 』

+-+-+-+

ここでエンディングです。

ユンジンは何らかの条件と引き換えに戻ってきたはずですが、その辺がハッキリしなくて不安ですね。
その他のことも、まだプロセスの途中なのでなんとも言えません。
続きを見なきゃ!続きを!

コンピューターの画面が映ることが多いですが、よく作りこんであって楽しいです。(※GPS探査機の画面を除く:笑)
顔判別プログラムはあんな角度で92%判定が出せるのかと、かな~り疑問ですが。

 - SPY ,

Comment

  1. mami より:

    いつもありがとうございます。
    毎週リアルタイムで見ているのですが(韓国語がわからないので画像を見ている…です)こうやってセリフだけでなく状況をふくめてあらすじの説明していただけて本当にありがたいです。ツイッター上で「点・、」の話題が上がってた時意味が解らなかったのですが、今日知ることが出来て嬉しかったです(^_^;) ありがとうございました。
    これからもよろしくお願いします。

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