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主君の太陽12話あらすじ&日本語訳 vol.2

      2013/09/15

ソ・ジソブ、コン・ヒョジン、ソ・イングク、キム・ユリ出演「主君の太陽」12話後半です。

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さっそくスタート

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本日顧客センターを訪ねてきたのはチュ君の叔母だ。

叔母「チュンウォンの傷を治療するためにそばにいるのかしら?」
テ嬢「…。」
叔母「その必要はないわ。チュンウォンはとても順調に生きてきましたから」
テ嬢「文字を読めずにいるでしょう?」
叔母「本当に弱点を掴んだのね。いいでしょう。テ・ゴンシルさんは何をしてあげられるの?死んだヒジュを呼び出すことでも出来るのかしら?」
テ嬢「呼び出したら…傷を癒せるでしょうか?」
叔母「(溜め息)パンシル、あなたに優しく話していたら会話にならないわね。簡単に言うわ、チュンウォンを放っておいて。これまでうまく封じ込めてちゃんと生きてきたの。もうすぐ時効が来て忘れていくわ」
テ嬢「…。」
叔母「あなたが付きまとって無駄にヒジュのことを思い出させれば、逆に苦しめることになる。だから、離れてちょうだい」
テ嬢「叔母様。私がヒジュさんの話をもちだしたら… それは残酷ですか?」
叔母「ようやく話が通じたわね。そうよ。残酷だからやめなさい」

叔母が出て行くと、テ嬢は深く考えに耽った。

+-+-+-+

絵本と睨み合っていたチュ君は、イライラして本を放り投げた。

チュ君「何でこんなに文字が多いんだ?喉がカラカラだ」

冷蔵庫から水を出し、ぐいっと一飲みした彼は、そこにあるビールの缶に気づき、ハッとした。

チュ君「今日もカンチーム長はビールを飲んだのかな?」

+-+-+-+

次の瞬間、チュ君は缶ビールを抱えてテ嬢の家の前に立っていた。(爆笑

テ嬢「一体どうしたんですか?」
チュ君「(ビールを掲げてニッコリ)ビールを預けに来た」

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呆気にとられるテ嬢を押しのけ、部屋の中へ入るチュ君。

テ嬢「何でここに置くんですか?!」
チュ君「うちの冷蔵庫には余裕がない」
テ嬢「そんなのってないわ!社長の冷蔵庫はうちの家ほど大きいのに、どうして余裕がないんですか?」
チュ君「ないんだ。うちへ見に来るか?自分のサイダー持ってうちへ来るといい」
テ嬢「いいですよ!うちのみみっちい冷蔵庫に入れる場所なんてないですからね!持って帰ってください」
チュ君「余裕は作れば生まれるものだ」

チュ君は冷蔵庫を開けると、そこに入れてあるカン・ウのビールを全部外へ出し、代わりに自分のビールを収めた。

チュ君「ほらな。こうすれば場所が出来たろ。ところで、ビールが一つ減ってるな。一本飲んだのか?」
テ嬢「(ドキッ)どうしてそれを?!たった今飲んだんだけど…」
チュ君「(ジロリ)」
テ嬢「カン・ウさんの友だちの警察官が、今日昼間行った場所で事故があったかどうか調べてくれるって…。それで飲んだんです」
チュ君「それをどうしてカンチーム長に頼むんだ!さっき俺に話せばいいだろ!」
テ嬢「…残酷だって言ったでしょう?」
チュ君「…。」
テ嬢「そう思うのも無理ないわ。私が我慢します」
チュ君「ヒジュの件はお前が我慢することはない」
テ嬢「私を通してヒジュさんに会ったことがあったでしょう?そのときヒジュさん、どんなこと言ってたんですか?すごく酷い話だったんですか?」
チュ君「…。」

「騙したんじゃないの」
「前のあんたに戻ってほしい」

ヒジュはそう言って、彼の頬に触れた。

「愛してる…」

#いいシーンなのに、↑このときの前髪は良かったのに…と思ってしまう。

チュ君「あぁ。すごく酷い話だった」
テ嬢「…。」
チュ君「騙したんじゃない、前の自分に戻れって。…愛してるって」
テ嬢「そう言ったのなら、何か間違いがあったんじゃないですか?あ、カン・ウさんがヒジュさんのことで不審な点が見つかったって言ってたんです。それ、聞きました?」
チュ君「知りたくないからそのままにしてある」
テ嬢「それも怖いんですか?」
チュ君「(頷く)あぁ。それなら、お前が代わりに耐えてみるか?」
テ嬢「…。」
チュ君「考えてみれば、お前が俺のそばにいるために耐えるべき一番大きなことでもあるな」

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チュ君は彼女に1歩近づいた。

チュ君「二人でいるときにヒジュが現れたら、お前にはあいつが見える。俺を愛してると言った幽霊を見れば、お前は気を悪くするだろう」
テ嬢「…。」
チュ君「見ても、決して俺には言うな。知らずに触れば消えて、追い払ったようでお前はさらに気分が悪いだろう」
テ嬢「…。」
チュ君「それでも、俺とお前とあいつ、3人一緒にいるよりはマシだ」
テ嬢「…。」
チュ君「耐えられるか?出来ないだろ。耐えられないものには関わるな」

彼女の前を離れようとした彼の腕を、テ嬢が咄嗟に掴んだ。

#あれ?テ嬢の方から掴んだのって、すごく久しぶりな気がする。前は触りまくってたのに…。

チュ君「…。」
テ嬢「関わります。私の一番得意なことだから」
チュ君「…。」
テ嬢「そのままにしないで調べましょう。15年も文字が読めないでいるのに」
チュ君「…。」
テ嬢「もう文字を読まなきゃいけない頃じゃないですか?怖いからって避けてるのは…恥ずかしいことだわ」
チュ君「離せ。帰るから」

それでも彼女は腕を離さず、彼を向き直らせた。

テ嬢「…。」
チュ君「恥ずかしいから離すんだ」

彼はその手をすり抜け、俯いたまま部屋を出て行く。
テ嬢は深く溜め息をついた。

+-+-+-+

「まだ1冊も読めてない… 恥ずかしいことに」

自宅に戻ったチュ君は呆然と部屋の真ん中に立ち尽くした。

チュ君「(本を指さし)一旦始めたことだから、最後まで見届けてやる。オオカミはどこまで耐えるのか、ヤギはどこまで身の程知らずなのか」

チュ君はふたたび絵本をめくった。
ゆっくりと更けていく長い夜を、彼はオオカミとヤギと共に過ごした。

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+-+-+-+

見守り役を続けているカン・ウが、チュ君父に報告の電話を入れる。

カン・ウ「チュ・ジュンウォン社長はまだチャ・ヒジュについて訊ねては来られません。えぇ、お待ちしています」

そこへハンジュが駆け込んでくる。

ハンジュ「チーム長、テ・イリョンさんが入院したって記事、見ましたか?」
カン・ウ「見ました。辛い頃でしょうね」

カン・ウはさほど興味のない様子で保安室を後にした。

+-+-+-+

「本当に辛いのかな?」

カン・ウがいつになくイリョンのことを考えながら歩いていると、前から近づいてくる目立つ女性に目が止まり、ホッとしたようにクスリと笑った。
イリョンだ。

イリョン「カン・ウ、あんたひどいんじゃないの?」
カン・ウ「何が?」
イリョン「あたしが入院したって記事、見たはずだけど?何でお見舞いの品持って病院に来ないのよ?」
カン・ウ「そういうのを”キープ”だって言ってたんじゃないのか?」
イリョン「見舞いの品なんかで、あたしがあんたみたいなサラリーマンに釣られる小さな魚に見える?あたしは太平洋でも有名な黒ひげクジラ級なんだから!」
カン・ウ「あぁ。確かに黒ひげクジラだ。お前のお陰で、中国にいる友だちが新聞で見たって連絡くれた」
イリョン「あんた!!!黒ひげクジラを育てるほど野望があるわけじゃないよね?」
カン・ウ「あぁ。クジラは手に負えないな」
イリョン「(しゅん…)イルカだったら?」
カン・ウ「イワシほど小さくなったとしても、お前を釣り上げるつもりはない」
イリョン「…。」

去ろうとするカン・ウの背中に、イリョンはまた叫んだ。

イリョン「誰があんたのためにイワシまで落ちぶれるのよ!!!頭おかしいの?!」

カン・ウは元気なイリョンの声に、笑ってそのまま歩き出した。
寂しそうに彼の背中を見送るイリョン。

保安室へ戻ってきたカン・ウは、CCTVが捉えた映像に驚いて目を留めた。
そこには、彼と別れたその場で、まだ身動きもできずに泣いているイリョンの姿があったのだ。

1644

保安室へキム室長がやって来る。

キム室長「主君がチャ・ヒジュ嬢のことを報告しろと」

+-+-+-+

社長室へやって来たカン・ウの前に、チュ君は父親から受け取った封筒を放り投げた。

チュ君「カンチーム長から説明を受けるよう父に言われた。説明してみろ」
カン・ウ「随分早くお呼びになりましたね」
チュ君「父が指示したのはここまでだろう?もう出て行くのか?」
カン・ウ「出て行きません」
チュ君「大統領官邸を守っても余るほどの能力で、ショッピングモールを最後まで守り通すと?」
カン・ウ「…。」
チュ君「アパートを手に入れたそうだな。コシテルに残っている理由は何だ?」
カン・ウ「社長がチャ・ヒジュさんの件を片付け、これ以上テ・ゴンシルさんを必要としなくなるまで待つつもりです」
チュ君「…。」

二人の間に張り詰めた沈黙が流れる。

1645
チュ君「ここ(封筒)に何が入ってる?説明しろ」

カン・ウは封筒の中身を出し、一番上の写真をデスクの上に置いた。

カン・ウ「会長が偶然見つけた写真です」
チュ君「!」

写真を手に取り、食い入るように見つめるチュ君。

チュ君「チャ・ヒジュ…?」
カン・ウ「チャ・ヒジュが生きていて、今でも社長の近くにいると、会長はお考えでした」
チュ君「ヒジュは死んだ。同じ顔のこの女は何だ?」
カン・ウ「写真の中のその女は、アガサ・クリスティーの熱心なファンだそうです」
チュ君「!」

チュ君は写真と一緒に渡された絵葉書をめくった。

カン・ウ「その葉書にあるニックネームもウォーグレイヴという小説の登場人物の名前です」
チュ君「ウォーブレイヴ… 忘れられない名前だ」

チュ君「そして誰もいなくなった…。俺が最後に読んだ小説の登場人物だ」

#ウォーグレヴ=「そして誰もいなくなった」に登場する元判事。物語の中で重要な役割を担う。
上のチュ君の台詞は、思う所あって少しだけ変えています。→別記事で補足しています

チュ君「ヒジュは孤児だった。双子の妹でもいたのか?」
カン・ウ「…。」
チュ君「そしてこれが…守りたいという共犯なのか?」

+-+-+-+

謎の女がヒジュの納骨堂を訪れていた。

~~15年前

ヒジュが爆死したそのとき、警察たちがいる後ろの物陰で、こっそり見守っている人物の姿。
「ヒジュ!!!」
チュンウォンの叫び声が響く中、顔を黒いフードで隠したその若い女は、手に持った袋から宝石を取り出した。

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ヒジュの遺影の前で、女は15年前と同じように、宝石を握りしめた。

+-+-+-+

その後、程なくしてヒジュに会いに来たのはチュ君だ。

チュ君「死んだのは…どっちなんだ?」

拉致された自分に「申し訳ないことになったわね」と冷たく言い放ったヒジュと、
自分がそれまでよく知っていた明るく奔放なヒジュの間で、彼は再び混乱していた。

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チュ君「お前が守りたいその人を… 俺は探さなければ」

納骨堂を出てくるチュ君の姿を、女はじっと見つめていた。
続いて出て来たキム室長が女に気づいて首を傾げると、女は何の反応も見せずに自分の車に乗り込む。
彼らの車が走り去ると、女は呟いた。

女「チュ・ジュンウォン。チャ・ヒジュに会いに来たの?ありがたいことね」

+-+-+-+

テ嬢はまだウジン事件の真相を突き止められずにいた。

テ嬢「あんたがどこにいるのかわかれば、お母さんに知らせてあげられるのに…」

顧客センターの隅でうずくまったまま、ウジンはまだ怯えていた。
そこへ、ドアをノックする音が聞こえる。
チュ君がそこに立っていた。

チュ君「失踪した子ども、(部屋の奥を指し)まだそこにいるのか?」
テ嬢「…はい。何も言わないんです」
チュ君「お前の世界に引っ張ってこられて、お前が見たり聞いたりした話を聞いたけど、正直俺は何一つ見えないし、何一つ聴こえない」
テ嬢「…。」
チュ君「俺はただひたすらお前の話を聞いて、お前だけを見てるんだ…」

淡々と話すチュ君に、テ嬢は何も言わず頷いた。

チュ君「そうやって必死でお前を見ているうちに、完全に惑わされたらしい。俺は」

そう言って彼が穏やかに微笑むと、テ嬢は俯いた。

テ嬢「そうですね…。全部私のせいですね」
チュ君「(厳しい顔になる)あぁ。全てお前のせいだ」
テ嬢「…。」
チュ君「ヒジュのことをもう一度調べられるのも、全部お前のせいだ」
テ嬢「…。」
チュ君「テ・ゴンシル。俺はヒジュに会ってきた」
テ嬢「!…頑張りましたね」
チュ君「俺は本だって見てる」
テ嬢「文字、読めるようになったんですか?」
チュ君「まだだ。スピードが遅すぎる。とにかくずっと眺めてみてはいるんだ」
テ嬢「どんな本なんですか?」
チュ君「あるんだ。ものすごくレベルの高い本がな。6冊連作を読んでるうちに脳が割れそうだ」
テ嬢「すごくいい本なんですね。最後まで読んでください」
チュ君「そうだな。最後まで読み通したら、そのときは…」
テ嬢「…。(ワクワク)」
チュ君「恥ずかしないレベルまで上がりそうだ」
テ嬢「…。」
チュ君「会議があって出掛けるんだ。この子の母親に会って、二人で一緒に話そう」
テ嬢「一緒にやろうって言ってくれてありがとうございます、社長」

彼女に笑いかけ、彼は部屋を出て行った。

+-+-+-+

チュ君は午後の計画を立てていた。

チュ君「(キム室長に)今日のセジンとの会議は一人で行きます。キム室長はヒジュの育った保育施設へ行ってきてください」
キム室長「なぜです?」

チュ君はテーブルの上からヒジュ似の女性の写真を取り上げた。

チュ君「ヒジュが双子だったのか調べてほしいんです」
キム室長「!」
チュ君「詳しいことは会議に行ってからお話します」

さっそく出掛けるチュ君の背中に、キム室長は小さな声で「承知しました」と答えた。

キム室長「…お気づきになったようだな。それでヒジュの納骨堂へ出掛けたのか?」

キム室長は写真を見つめる。

キム室長「それならこの娘は… ハンナなのか?」

+-+-+-+

叔母は謎の女を留守中のチュ君の家へ入れた。
さっそくテーブルの上に置いてある絵本の山に気づく叔母。

叔母「これは?」
家政婦「社長の物なんですが、触らないように言われまして」
叔母「チュンウォンの?童話の本のようだけど?」

叔母が本に手をのばすと、女が口を開いた。

女「本は…まだ読めないんじゃないんですか?」
叔母「!」

テーブルに向かって俯いていた叔母が、ゆっくりと顔を上げる。

叔母「うちの甥が難読症なのを、なぜ知っているの?」
女「…。」

沈黙の後、女は余裕の微笑みを浮かべる。

女「副社長がこの間ワインを飲みながら話していらっしゃった気がしますけど」
叔母「(ぶつぶつと夫に愚痴を言う)ハンナさん、口は堅いわね?」

ハンナと呼ばれたその女は頷いた。

ハンナ「えぇ」

叔母は気を取り直して絵本を手に取る。

叔母「絵が気に入ったのかしら?これは何?嵐の夜に?」
ハンナ「面白い本をお読みなんですね」
叔母「この本を知っているの?」
ハンナ「とても有名な童話の本なんです。オオカミとヤギがお互い好きになって、一緒に暮らす話です」
叔母「オオカミとヤギがどうやって一緒に?!」
ハンナ「そうですよね。絶対にあってはならない者同士が好きになると、より好きな者が死ぬんです。より好きなのは…オオカミなんですよ」

+-+-+-+

テ嬢はまだウジンの前にしゃがみこんでいた。

テ嬢「お姉ちゃんの好きな人はね、長い間苦しんできたんだって。ウジンのお母さんがそうならないといいんだけど」
ウジン「…。」
テ嬢「ウジンがどこにいるのか教えて。ね?」

ウジンは顔を上げた。

ウジン「真っ暗なところだよ」

テ嬢は優しくウジンの頭を撫でる。

テ嬢「お姉ちゃんと一緒に行こう」

二人は立ち上がった。

+-+-+-+

ウジンがテ嬢を連れて来たのは、見知らぬガレージだった。
誰かが来たのに気付いた男が、そっとスパナを手に取り、テ嬢の元へやって来る。

男「あのときのお嬢さんだね?」
テ嬢「!」
男「ここに何の用です?」
テ嬢「…。」
男「何か探しに来たんですか?」
テ嬢「えぇ。ちょっと探しものが」
男「車もなしに、カーセンターへ何を探しに来たんです?」
テ嬢「あ…その…何でもないんです」

テ嬢が出ていこうとすると、男が彼女を呼び止めた。
スパナをその辺の台に起き、続ける男。

男「来たついでだ。僕もお嬢さんに聞きたいことがあるんです」
テ嬢「…。」
男「帰らないで待っててください」

彼はテ嬢を残し、外へ出て行った。
振り返ると、ウジンはそこに停めてある白い車の後ろで、トランクを指さしていた。
急いでそこへ駆け寄るテ嬢。
彼女はそこで電話を取り出す。

一旦外へ出た男は、ポケットに入れてある軍手を両手にはめた。

+-+-+-+

駐車場へやってきたところで、チュ君の電話が鳴った。

チュ君(電話)「テ・ゴンシル。どうした?」
テ嬢(電話)「社長!私、ウジンについて来たんですけど…」
チュ君「ウジン?…死んだ子どもか」
テ嬢「子どものいる場所、見つけたみたいです」

そこへ入り口に人影が見える。
男が戻ってきたのだ。
男はゆっくりとガレージの扉を閉めた。

テ嬢「だけどここは…。キャッ!」

テ嬢は男が戻ってきたのに気付き、慌てて車の影に隠れた。

チュ君「テ・ゴンシル!今どこにいる?」

扉に鍵のかけられる音がした。

男「お嬢さん、そこにいるんですか?」
テ嬢「!」

つながったままの携帯を通じ、その声がチュ君の耳に伝わった。

チュ君「テ・ゴンシル!テ・ゴンシル!!!」

テ嬢の携帯から、チュ君の呼ぶ声が漏れ聞こえる。
男が音のする方へゆっくり近づいてきた。
テ嬢は電話を切ると、急いでチュ君にメールを打ち始めた。

テ嬢(メール)「ウジンを見つけました。金浦ウンソンカーセンターにいます。そこの主人がウジンを殺したみたいです。ウジンはその人の車のトランクにいます」

男「一人で来たところをみると、まだ誰にも言ってないようだな」

メールを打ち終わったときには、男はテ嬢の真後ろに来ていた。
送信ボタンを押し、テ嬢がゆっくりと振り返る。
逃げ出そうとすると、男はテ嬢に飛びかかった。

+-+-+-+

電話が切れると、チュ君はもう一度テ嬢にかけ直した。
電話に彼女が出ることはなく、留守番電話のメッセージに切り替わる。
不安で震える手を、彼は握りしめた。

そこへメールの着信音が鳴った。
ゆらゆらと揺れる画面の文字に、チュ君は必死で目を凝らす。
どうしても読めず、彼は目を閉じて手を合わせた。

チュ君「お前は絶対に読まなきゃならない!絶対に読むんだ!お前は読める!読んでやる!!!」

彼は固く閉じていた目を開いた。

チュ君「テ・ゴンシル… どこにいる?」

1648

携帯の画面を覆っていたその手を、彼はゆっくりと離した。
ゆらゆらと揺れていた文字は、少しずつ雲が晴れていくように、1つずつ浮かび上がる。

チュ君「金浦…ウンソン…カーセンター!!!」

たったそれだけの文字だ。
彼は顔を上げた。

+-+-+-+

気を失っていたテ嬢が目をさますと、彼女は車の中で腕を縛られていた。
包丁を持った男が、それを突きつける。

テ嬢「!!!」
男「貯水池にこの前大雨が降ったから、あそこは水位が高くなってる。お前は犯人で、子どもを殺した自責の念に駆られて自殺するために飛び込むんだ」
テ嬢「…ウジンのことが見えなかったんでしょう?」
男「?」
テ嬢「ウジンを轢いて泣いてたじゃないですか。どうしてそのきすぐに病院へ行かなかったんですか?」
男「そんなことお前がどうして?み、見たのか?見たのか!!!」
テ嬢「…ウジンが話してくれたんです」
男「…頭がおかしいのか」
テ嬢「死んだらそれで終わりだと思ってるでしょ」
男「…。」
テ嬢「今でもあなたのこと見てるわ」
男「…。」
テ嬢「あなたが殺したその瞬間のまま、あなたのことを見ているの。今でも見ているわ、あなたの目の前で!!!」

男は前を向くと、驚いて目を見張った。

男「わっ!!!!」

男が目を伏せた瞬間に彼女はそばにあった洗剤のスプレーを掴み、無我夢中でそれを男の目に噴きかけた。
ドアを開けると、そこから転がり出る。
出入口に辿り着いたものの、そこは鍵がかかっていて開けることができない。
目の痛みに唸りながら、男が背後に迫ってきた。
長細いドライバーを手に取り、テ嬢を追う。

テ嬢はあっという間に追い詰められた。

「テ・ゴンシル!!!テ・ゴンシル!!!」

開かない扉の向こうで、チュ君の呼ぶ声が聞こえた。

テ嬢「社長!!!」

通用口の前までテ嬢を追い詰めた男が、ドライバーをテ嬢に突き立てたその瞬間…

チュ君が彼女に覆いかぶさった。

「!!!!!」

男が逃げ出すと、チュ君はゆっくりと体を起こす。

テ嬢「社長…!」
チュ君「気をつけろって言ったろ」
テ嬢「…。」
チュ君「怪我してるじゃないか」
テ嬢「大丈夫です。警察には通報しましたか?」
チュ君「あぁ。大丈夫なら……良かった」

1649

そのまま彼は彼女の胸元に倒れこんだ。

テ嬢「?」

彼の背中をゆっくりと降りた彼女の手に、硬いものが触れる。
そこに触れた手を恐る恐る上げてみる。指が血で真っ赤に染まっていた。

テ嬢「!!!!!」

彼女の肩に身を預け、彼はみるみるうちに力を失っていく。
彼女はにわかに襲った恐怖と悲しみでどうすることも出来ず、泣きじゃくった。

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事前にチュ君から通報を受けた警察が、すぐに駆けつけた。

彼が手術室へと消え、手術中の赤い文字が灯った。

+-+-+-+

【メイはそれが終わりだとは知らず、いつまでもガブを呼び続けました~『さようなら ガブ』 】

叔母は本を閉じた。

叔母「この子たちは結局一緒に暮らせずに、本当により好きだった方だけが死ぬのね…。どうしてなの…?」

+-+-+-+

1650

テ嬢は病院の床に座り込み、お守りのように持っていた太陽のネックレスを取り出した。
その手を祈るように頭に乗せ、じっと俯く。

そこへ誰かがゆっくりと彼女に近づいた。
その穏やかな足音は、彼女の目の前で止まる。

テ嬢「?」

そこには彼女を静かに見下ろすチュ君がいた。

テ嬢「!!!」

言葉が出ず、彼を見つめたまま立ち上がるテ嬢。

チュ君「本当だな。お前、太陽のように光り輝いてる」
テ嬢「…ダメよ!」
チュ君「俺は…死んだのか?」
テ嬢「!!!」
チュ君「本当に無念だが…それでも俺の恋人には俺が見えるから…伝えてから逝ける」

1651

涙で顔をぐしゃぐしゃにした彼女の頬に、そっと彼は手を触れた。

チュ君「テ・ゴンシル…」
テ嬢「…。」
チュ君「愛してる」

優しく微笑むと、彼は光に包まれ…

 

…消えて行った

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ここでエンディングです。

 - 主君の太陽 ,