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主君の太陽7話あらすじ&日本語訳 vol.2

   

ソ・ジソブ、コン・ヒョジン、ソ・イングク出演「主君の太陽」7話。
詳細に訳しつつ、軽いシーンはささっと流しつつ、後半進めていきます。

1535

ぷにゅ~ん

では、早速

重役会議の会場にずらりと並ぶ幹部たち。
チュ君はその中央に腰をおろし、テ嬢もまた後ろの空いた席に腰掛けた。

会議室が暗くなり、担当者によるプレゼンテーションが始まった。
テ嬢の視線の先は、前方のスライドではなく、それを見つめるチュ君の横顔だ。

副社長はテ嬢の熱い視線を目で追い、ほくそ笑んだ。

会議の席をゆっくり見渡し、テ嬢の視線は一番端に座っている幽霊にたどり着く。

テ嬢「!!!」

テ嬢の様子がおかしいのに、すぐ気づくチュ君。
彼は平静を保ったまま、しばらく慎重に彼女の様子を見守った。

1530

#ここでちょっとためらっている手を映す演出がいちいちけしからん

そして、素早く立ち上がると、会議の席をぐるりと回り、さりげなくテ嬢の肩に触れた。

瞬時に消えていく幽霊…

一同「???」

チュ君「続けて」

何事もなかったように説明が再開された。

#嬉しそうに笑った副社長がごっつ可愛かったんですけど^^;

+-+-+-+

テ嬢「さっきはありがとうございます。社長」

社長室に戻るとテ嬢が声を掛けた。

チュ君「お互い必要なことをすることにしたろ。…退屈だったから頭が痛い」
テ嬢「会議の内容、別にまとめてキム室長にお渡ししておきます」

頷き、下がるように合図するチュ君。
会釈したテ嬢は、窓辺に光るものを指さした。

望遠鏡だ。

テ嬢「あれ、一度だけ見てもいいですか?社長」

そう言い、彼の返事も待たずに覗きこむ。

テ嬢「?何が見えるのかな?」

焦点が定まらず、望遠鏡をあちこち動かすテ嬢。
チュ君がやって来て、後ろから誘導する。

チュ君「こっち側は競合会社」
テ嬢「(じーっ)」
チュ君「あっち側はキングダムにやって来る車」
テ嬢「お~っ。あっ!(望遠鏡を動かす)」
チュ君「それからこっちは出て行く車」
テ嬢「全部見えるわ!」
チュ君「…。」
テ嬢「?」

彼は彼女を少しどかせると、自分が望遠鏡を覗きこむ。

チュ君「俺の属し、従えている世界、キングダムだ」
テ嬢「…。」
チュ君「俺は、ここをもっと完璧にすることだけで忙しい」

1532

すぐ間近にある彼の顔を見上げたテ嬢は、慌てて彼から離れた。

チュ君「どうした?また何か見えたか?」
テ嬢「(照)…いえ。さっきの会議室の髪の長いオバケ思い出して」
チュ君「…。」
テ嬢「声上げそうになっちゃったけど、社長のお陰で会議も無事終わりました」
チュ君「テ・ゴンシル。お前は静かに無事終わったろうな。レーダーをあげていたら防空壕が来たんだから。お前な、俺が社長だってこと無視したのと同じくらい、徹底的に無視してることがもうひとつある」
テ嬢「社長だってこと無視してませんよ」
チュ君「いや、してるな。お前はこの防空壕の性別が男だってこと、徹底的に無視してる」
テ嬢「それは…」
チュ君「防空壕が男だと考えたら、手だけ握って寝ようなんて大胆なことは言えない。まぁ、コンクリートくらいに思ってるんだろう」
テ嬢「…。」
チュ君「とにかく、さっきの会議室はちっとも静かなんかじゃなかった。テ・ゴンシル、お前のいる世界はいつだってずっとウルサイままだ」
テ嬢「とりあえず自分のために良かれと思ってやったことが、社長の立場を悪くするなんて、思いもしませんでした」
チュ君「まぁ、それはお前をここに設置することにしたときに、俺が上手くやろうと決めたことだ。俺がなんとかする」
テ嬢「…。」
チュ君「(時計をチラリ)キッズモールのイベントの時間だ。行くぞ」

さっさと歩き出すチュ君。

テ嬢「はい…。(独り言)コンクリートだと思おう!コンクリート!」

+-+-+-+

~社長室の外~

テ嬢「社長」
チュ君「?」
テ嬢「社長のこと、本当にコンクリートだと思うのは申し訳ないです」
チュ君「…。」
テ嬢「社長はね、(壁をスリスリ)最高級の大理石です、大理石」
チュ君「それは褒めてるつもりか?」
テ嬢「すごく高貴に思ってるってことですよ」
チュ君「大理石…」

一言つぶやき、ゆっくりと彼女の元へ戻った彼は、乱暴に壁に手をつき、彼女に詰め寄った。

テ嬢「!!!」
チュ君「これはただの大理石じゃない。これは世界で一番高い大理石だ」

1539

#チュ君よ、こんな王道萌えシチュエーションで大理石の価値を真顔で訴えるなー。あほー

テ嬢「…。」
チュ君「お前がただの女なら決して手に入れることの出来ない…」
テ嬢「(頷く)」
チュ君「特別なレーダーのために、俺が提供してやってるんだ。きっかり!指の幅分だけな」

それだけ言って歩き出すチュ君。

テ嬢「まだ強調してる。指の幅分だなんて…」

+-+-+-+

カン・ウは、チュ君とテ嬢が連れ立ってこちらへ歩いてくる姿を、ずっと先から見ていた。
表情がひとりでに硬くなる。
そこへやって来たのはイリョン。

イリョン「仕事中ね。監視の」
カン・ウ「(大きく息をつく)監視じゃなくて、嫉妬中だけど?」
イリョン「ん?」
カン・ウ「気のある女性が他の男と出掛けるところを見たら嫉妬するだろ」
イリョン「好きだって嘘ついたんでしょ?」
カン・ウ「今も嘘だとは言ってないけど?」
イリョン「?」
カン・ウ「それにしても、お前、何で頻繁に俺の前に現れるんだ?俺のこと監視してるのか?そうでなきゃ…」
イリョン「そうでなきゃ?何よ?」
カン・ウ「…。」
イリョン「何?あんたのこと好きでつけ回してるって?何で?あたしはトップスターよ。トップセレブレティ!サラリーマンの分際でっ!」
カン・ウ「トップスターなら何度も会うのは難しいはずじゃないのか?」
イリョン「…。」
カン・ウ「何度も会うから近所のお嬢さんみたいだ」
イリョン「(笑)そのご近所ってどこよ?あたしが近所のお嬢さんなら、近所のおじさんはウォンビンで、近所のおばあさんはコ・ドゥシム?」

カン・ウは突然、覗きこむように彼女に顔を近づけた。

カン・ウ「トップスター、テ・イリョンさん。近くで見てみたらTVで見たほうが綺麗だから、頻繁に出てくるな」
イリョン「それ… 実物はたいしたことないってこと?」
カン・ウ「そうなるかな?」

軽く言い放ち、カン・ウは彼女の前を立ち去った。

イリョン「あぁー、あいつ、混乱させるわ。綺麗だってこと?大したことないってこと?テ・ゴンシルのこと監視してるの?嫉妬してるの?(こめかみを押さえ)はぁ、あたし、頭使うとレンズがずれちゃうのに」

+-+-+-+

子供向けのイベント会場。
来場者の様子をチュ君は笑顔で見守っていた。

テ嬢「社長、子どもがお好きみたいですね」
チュ君「子ども一人につき、開く財布がいくつだと思う?母親、父親、二人の祖父に二人の祖母、最低6つ」
テ嬢「(キョロキョロ)」
チュ君「そこへ未婚の叔父や叔母まで加えたら消費力は凄まじいことになる」
テ嬢「うちのコシテルには、財布は母親たった一人しかいないから、捨ててある人形を拾ってきて遊んでる子たちもいるんです」
チュ君「気になるなら、テ・ゴンシルも財布を開いて、おもちゃの一つでも買うといい」
テ嬢「他所へ行って買います」
チュ君「…今のは憎まれ口か?」

歩き出すテ嬢。

テ嬢「(独り言)人形、捨てることも出来ないし、どうしよう」

+-+-+-+

誰もいない顧客管理センターで人形の目が光る。
ショッピングモール内で母親とはぐれた子どもが、3人の子ども霊に誘われ、ここまでやって来た。

人形(声)「やぁ!友だちになろうよ!僕たちのこと連れて行って。お前、俺たちと一緒だ」

子どもは言われるまま、人形を持ちだした。

+-+-+-+

ショッピングモールを歩いていたテ嬢は(注:チュ君もおとなしくついて来てる)人形を持って歩いている子どもをすぐに見つけた。

テ嬢「あれ?あの人形だわ」
チュ君「人形?」
テ嬢「あそこ、黄色いTシャツ着てる子が持ってる人形です」
チュ君「?」
テ嬢「私が持ってきた人形でしょう?」
チュ君「…。」
テ嬢「危ないわ」

子どもはせっかちな母親に手を引かれ、あっという間に姿を消してしまった。
保安室でCCTVを確認するテ嬢。

カン・ウ「母親が会員だから住所は分かりましたけど、その人形、そんなに大事なんですか?」
テ嬢「えぇ。絶対見つけなきゃいけないんです」
カン・ウ「(時計を見て)もうすぐ交替だから、終わったら僕と一緒に行きましょう」
テ嬢「急いでるんです。すぐ行かなきゃ」
カン・ウ「今日はキム室長の代わりにチュ社長のそばで働いてるんじゃないんですか?」
テ嬢「…。」
カン・ウ「人形を探しに出掛けてしまっていいんですか?」
テ嬢「私のすること、社長は理解してくれますから。行ってきますね」

出て行く彼女の後ろ姿に、カン・ウの鋭い視線が飛んだ。

カン・ウ「勤務時間内におもちゃを探しに行くのを理解してくれると?チュ社長が?」

+-+-+-+

テ嬢がまず向かったのは社長室だ。(ホッ

テ嬢「あの人形のせいでコシテルの子がすごく具合が悪くなったんです」
チュ君「人形のせいなのは確かなのか?」
テ嬢「確かです!持って行った子も具合が悪くなってるはず!」
チュ君「…。」
テ嬢「…。」

とりあえず、該当の会員宅に電話をすることになった模様。

テ嬢「もしかして、お宅のお子さんが今日キングダムから人形を持ち帰りませんでしたか?」
母親「人形?なぜです?」
テ嬢「いえ、特別なことじゃないんですけど、人形にちょっと問題があって、私が持ち帰ろうとしていたんです」
母親「そんなもの持ち帰っていませんよ。うちの子がキングダムでカバンを失くしたんですけど、それを見つけてくださいな」

電話は向こうから来られてしまった。

テ嬢「持って帰ったのに、どうして嘘つくのかな?子どもが人形を隠しているのかしら?」
チュ君「もういい。キングダムに問題が起きるんじゃなければここで終わりだ」
テ嬢「住所書いてきたんですけど、一緒に行ってもらっちゃダメですか?」
チュ君「テ・ゴンシル。お前には(腕を指し)お前にこの分だけ提供してやると言ったろ。俺を引っぱり込もうとするな」
テ嬢「…。」

+-+-+-+

人形を手に風呂場に潜んでいた男の子は、やって来た母親に何度も傘で叩かれる。

母親「自分がなにをやらかしたか分かってるの?」
男の子「お母さん、ごめんなさい!!!!!」

響く男の子の泣き声。
じっと横たわっている人形の目から涙が零れ落ちた。

+-+-+-+

顧客管理センターでテ嬢はじっと考えていた。
そこへ扉が開き、入ってきたのはカン・ウだ。

カン・ウ「人形、見つからなかったんですか?」
テ嬢「…えぇ」
カン・ウ「その子、カバンを失くしたって言ってましたよね?」

彼は手に持ってきたカバンを掲げてみせる。

カン・ウ「今日届いた紛失物なんだけど、これ、その子のじゃないですか?」

カバンの真ん中には、笑っているそのこの写真が差し込んであった。

テ嬢「そうだわ。チャンミンっていうのね」
カン・ウ「終わったら一緒に行きましょう」
テ嬢「…。」
カン・ウ「人形はもっと可愛いのを僕が買ってあげてもいいですか?」

どう答えていいか分からず、とりあえず微笑むテ嬢。

カン・ウ「また後で」
テ嬢「ありがとうございます」

彼が部屋を出て行く。

テ嬢「カバンが見つかったって言ったら、人形も返してくれるよね?」

カバンの中からお絵かき帳を出し、軽い気持ちでめくってみるテ嬢。
1枚めくるごとに、彼女の顔は曇っていった。

+-+-+-+

向かい側で話す叔母の話を、チュ君はぼんやりと聞いていた。

叔母「良さそうな画家がいて絵を何点か買ってみようと思うんだけど、あなたも一緒に買う?」
チュ君「…。誰ですって?」
叔母「ペク・ファンスルと言ってね、今年の初め、世界的な権威のあるターナー賞を受賞した画家よ」
チュ君「…。」

チュ君は今朝のテ嬢の話をすぐさま思い出した。

チュ君「その人のことか?」
叔母「値も跳ね上がりそうだし、今買っておいたほうがいいでしょう?」
チュ君「(呟く)知らずにいたら、こんないい投資を絶対にためらったりしないのにな…」
叔母「どうして?しないの?」
チュ君「もう少し考えてみます」

+-+-+-+

顧客管理センターの前にやって来たチュ君は彼なりに決意を固めていた。

チュ君「(独り言)その画家の名前がペク・ファンスル画伯だとしても、俺は買うぞ!後味が悪いから確認するだけだ!テ・ゴンシル!」

意気揚々と扉を開くと、部屋の中は空っぽだ。

チュ君「どこ行ったんだ?」

きょろきょろと部屋を見渡すと、デスクの上に子どものカバンが置いてあるのに気づく。

チュ君「何だ?あの子のか?」

彼もまた、彼のカバンからお絵かき帳を取り出した。
表紙をめくると、そこには暗闇の中で泣いている男の子が描かれている。

チュ君「…。」

もう一枚。
そこには、傘で男の子を叩いている女性と、泣いている男の子が描かれていた。

+-+-+-+

男の子の家にやって来たテ嬢は、母親がゴミを出しに出ているすきに、家の中へ入った。

傘置きに立ててある傘が目に入る。

風呂場で人形を見つけると、彼女は子どもの霊を呼び出した。

テ嬢「チャンミンは?チャンミンはどこ?」

子どもたちは黙って指を差した。
その先には… 紐でくくって開かないようになっている扉。

テ嬢「…。」

+-+-+-+

チュ君は言葉を失ったまま、もう一枚紙をめくった。

そこいは… 暗い棚の中に閉じ込められて泣いている男の子の姿があった。

チュ君「!!!」

+-+-+-+

テ嬢が扉を開けると、そこにぐったりしているチャンミンの姿を見つけた。
チャンミンを連れて病院へ行こうとしたところへ、母親が帰ってくる。
悪いことをしたから罰を与えていたんだと主張する母親。
彼女は母親を突き飛ばし、チャンミンを抱き上げて連れ出した。

廊下を歩き出すと、向こうからチュ君がやってくる。

チュ君「!」
テ嬢「…。」

彼は、彼女に抱かれてぐったりしているチャンミンに悲しげに視線を落とした。

テ嬢「…。」

次の瞬間、彼は彼女の手から子どもを受け取り、自分が抱えて歩き出した。

テ嬢「社長!」
チュ君「…。」
テ嬢「すぐ病院に行かないと!」
チュ君「分かってる」

+-+-+-+

病院でチャンミンが治療を受けるのを、二人は無言で見守った。
彼の肩や背中から痛々しい傷が次々とあらわれる。

+-+-+-+

二人は病院の庭に来ていた。

テ嬢はチャンミンの家から取り返してきた人形を大切に抱えている。

テ嬢「子どもたちの最期にそばにいてくれたのは、大人たちじゃなく、この人形だったそうです。誰も助けてくれず… 誰も抱いてくれなかったって…。 誰も悲しんではくれなかったって…。それで同じ悲しみを持つ子たちが、この人形に集まって友だちになったそうです。ごめんね…。誰も抱きしめてあげられなくてごめん…」
チュ君「…。」

いつの間にか、可愛い3人の子どもたちがテ嬢の前に並んでいた。
笑ってテ嬢に手を振ると、彼らは静かに空へ消えていく。
彼女の視線を追い、チュ君もぎこちなく空を見上げた。

+-+-+-+

一方、カン・ウはテ嬢にあげる人形を物色していた。
ピンクの人形は、グリーンのドリーのガールフレンドで、名前がコンシルだと聞き、顔を輝かせる。

カン・ウ「お前ら、お似合いだな」

さっそく片手にペアで持ち(←この持ち方が何気に良い)、顧客管理センターをノックするが、彼女の姿はなかった。

#顧客の多い部屋だねー。

カン・ウ「(ぬいぐるみのコンシルに)コンシルどこ行ったんだ?テ・ゴンシルがいないから、恐竜のコンシルがここで留守番だ。ドリーは保安室な」

デスクにコンシル人形を置き、ふと何か思いついたように笑顔になるカン・ウ。
筆記用具を探そうとしたのか、デスクの引き出しを開けた彼は…

カン・ウ「?」

あーーーそれはーーーダメーーー!
テ嬢がキム室長から受け取った、宝石やヒジュの写真の入った封筒を見つけてしまう。

手に取ったものの… すでにテ嬢に関しては任務を打ち切っている彼は、思い直したように微笑み、封筒を元に戻し、その上にコンシル人形を置いた。

+-+-+-+

緊急治療室へと戻ってきたチュ君とテ嬢。

テ嬢「人形を燃やしたけど、子どもは大丈夫かしら?」
チュ君「頭の先から爪の先まで検査させてる」

そこへ、刑事がやって来て二人に声をかけた。
二人は、暴行と誘拐の容疑で、逆に通報されたのだ。

テ嬢「えぇっ?!」
チュ君「…。」

黙って彼女を刑事の方へ押し出すチュ君…。

+-+-+-+

チュ君を食事に誘おうと、社長室にやって来た叔母とイリョンは、慌てて出て来たキム室長の様子から、チュ君に何かあったことを察する。

+-+-+-+

チュ君とテ嬢は、大人しく隣り合わせで留置場に収容されていた。

テ嬢「社長。いらっしゃいますか?」
チュ君「…。」
テ嬢「社長。大丈夫なんですよね?」
チュ君「静かにしろ」

1533

#牢屋の中で一人静かに腕組みして目を閉じているジソの姿、史劇か何かで観たいねぇ。流血と死ぬのはナシで。

チュ君「お前について俺がどこまで来たのか、これからどこまで行くことになるのか考えているところだ」

彼の口から深い溜息が漏れる。

チュ君「…。」
テ嬢「だけど社長、あまり心配しないでください。私、何回かここに来たんですけど、大したことないですよ」
チュ君「…。」
テ嬢「ここで出前とってくれるソルロンタン、すっごく美味しいんです。もしお腹が空いてたら聞いてみましょうか?」
チュ君「テ嬢!僕はお腹は空いていません!!!」
テ嬢「…。」
チュ君「頼むから静かにしてください!!!」
テ嬢「…。」

テ嬢が言われたとおり静かになると、チュ君の顔が少し緩んだ。

+-+-+-+

病院へやって来たチャンミンの母親に対する対処に当たったのは、治療にあたった医師たちを従えた頼もしいキム室長だった。

秘書「キングダムで児童虐待申告義務者である児童心理士があなたを児童虐待であると通報しました」
母親「児童審議士?それは誰なの?」
秘書「(身分証を出し)私です」

身分証には「児童心理相談士1級」の文字。

秘書「そして、キングダムの弁護士は我が社長と職員が虐待にあっている児童を救出する過程で起きた騒動が故意の暴行でなかったことを主張します」
母親「キングダムの弁護士?」
秘書「(身分証を出し)私です」
母親「…。」
秘書「お宅の息子さんは、あなたが警察の聴取を受ける間、治療を受け、児童保護専門機関に預けられます」
母親「自分の子を好きにするのに、あんたに何の関係があるのさ!それにね!子どもを育ててりゃ叩くことだってあるのよ!!!」

その母親のおでこをパシンとキム室長の手のひらが叩き、鈍い音が響いた。
唖然として動けなくなったところを、母親は連行されていく。

秘書「(医師に)子どもの治療費と保護費は全てキングダムで負担します。虐待の痕を精密に調べてください」

+-+-+-+

カン・ウはまたイリョンから彼らの消息を聞かされていた。

カン・ウ「チュ社長が警察にいるって?なぜ?」
イリョン「あたしもわかんない。チュ社長みたいな人がなんでそんなとこにいるのかな?」
カン・ウ「…。」

黙りこむカン・ウに、イリョンが咳払いを一つ。

イリョン「あんたがやってることの手助けになるかと思って、教えてあげたのよ。一緒に行ってみる?」

そんな彼女を無視し、言ってしまうイリョン。

イリョン「ちょっと!」

+-+-+-+

秘書の迅速な対応により、チュ君は早々に牢屋から解放された。

秘書「私とキングダムの顧問弁護士たちが残って処理します」
チュ君「(頷く)」
秘書「お帰りください」

テ嬢が牢屋から手をのばす。

テ嬢「私は?社長!」
チュ君「…。」
テ嬢「私は連れてってくださらないんですか?!」
チュ君「…。」
テ嬢「(ダンボールの中で震えている猫のような目)」
チュ君「…。」
テ嬢「社長が怒るかと思って言えなかったんだけど、横におばさんが一人いるんです」
チュ君「(テ嬢が指した方をジロリ)」
テ嬢「怖ぃ…」

彼が控えめに近づくと、テ嬢が夢中で彼の手を掴んだ。

テ嬢「!!!」
チュ君「…。」

するりと彼女の手から抜けた彼は、彼女を置いて立ち去る。

テ嬢「社長~!」

+-+-+-+

結局、一緒に外へ出て来た二人。

#え?まだ昼?時間の流れどーなってんの?

チュ君「…。」
テ嬢「社長、ごめんなさい。本当にすみませんでした」
チュ君「謝ることはない。よくやった、テ・ゴンシル」

1534

彼女と視線を向けることなく淡々と話すチュ君を見上げるテ嬢。

テ嬢「…よくやったって言ってくれてありがとうございます!」

初めて彼女を振り返ったチュ君は目を見張った。

チュ君「怪我してるな」
テ嬢「あぁ、これ、さっきおばさんと闘った時にぶつけたみたい」

彼女の顎をガシっとわしづかみにし、自分の方を向かせて、チュ君は傷に見入った。

チュ君「あの母親、こっぴどく叱ってやらなきゃな」
テ嬢「(ニコッ)」
チュ君「自分の子どもをあんなふうにしておいて、他人の子までこんなに」
テ嬢「^^」
チュ君「テ嬢、病院に行くぞ」

歩き出したチュ君を、テ嬢は黙って追いかけた。

そこに…

入れ違いで中へ入ろうとしたカン・ウが、二人の姿を見つけて立ち止まる。

カン・ウ「!」

+-+-+-+

カン・ウの足が向かったのは、顧客センター。
引き出しに潜ませたぬいぐるみを出すと、その下にある封筒を手に取った。
今度は迷わず中から写真を取り出す。

カン・ウ「チャ・ヒジュ!」

1536

彼の頭のなかを、テ嬢の言葉が駆け巡った。「(社長は)私を信じて、すごく大事な仕事をくださったんです」

カン・ウ「…。」

+-+-+-+

テ嬢はチュ君と病院に来ていた。

テ嬢「私はできるだけ病院に行かずに済まそうとして…。どんなに具合が悪くてもただ耐えて我慢してたんですけど、社長と病院に来てすごく嬉しい!」
チュ君「テ・ゴンシル嬢のおかげで留置場見物も出来て、僕も実に嬉しいですね。けど、どうしてこう火照るんでしょうかね」
テ嬢「そうですか?(カバンから扇子を)それじゃ、これで扇ぎますか?(パタパタパタパタ)」
チュ君「ペアで貰ったやつだな」
テ嬢「あぁ、ペアにされるの嫌だって言ってましたよね…」

彼女が扇子を持った手を引っ込める。
すると、チュ君はその手ごと掴むように扇子を奪った。

1537

チュ君「(自ら扇ぐ)はぁ…」
テ嬢「少しは涼しいでしょ」

突然、「あっ!」と声を上げ、彼女が頭を押さえると、チュ君は慌てて彼女の手を握った。

チュ君「(心配)」
テ嬢「(顔を上げ、ニヤリ)社長、ここはテ・ゴンシルゾーンじゃないでしょ?」
チュ君「もうケチの付いた体だ。いいから使え」
テ嬢「私ね、オバケのせいで声上げたんじゃないんですよね」
チュ君「?」
テ嬢「さっきすごく強くぶつけられたからなんです」
チュ君「…。」
テ嬢「握ってなくていいですよ」

握った手を押し返されるチュ君。シュン…。

チュ君「ズキズキ痛むのに、幽霊見たら余計にズキズキするだろ。予防のために握ってろ」
テ嬢「…。」
チュ君「今日はよくやったから。褒美だ」
テ嬢「…。」
チュ君「(手をヒラヒラ)高いぞ」
テ嬢「(笑顔)さっき留置場にいたときは、もう二度と触れられそうにないと思ったのに…」
チュ君「…。」
テ嬢「握れとかよくやったとか言われると、かえって…何か変だわ!」

困って背を向けるテ嬢。

#何やってんの、このカップル

彼は黙って彼女の肩に手を置き、振り向かせると…

チュ君「初めてこの世に狂った太陽(テ嬢)が昇ったとき、どうにかして追い払おうと思ってた」
テ嬢「…。」
チュ君「けれど、我に返ってみたら俺がお前の陰気な世界に引きずり込まれていた。もうこれ以上行くまいともがいても」
テ嬢「…。」
チュ君「今日、留置場で悟った」
テ嬢「?」
チュ君「すでに、俺は…」
テ嬢「…。」
チュ君「…行くところまで行ったな」
テ嬢「…。」
チュ君「お前、俺のそばに来たいと言ったろ。祝福しよう。成功だ」
テ嬢「…。」
チュ君「キム室長が来てるはずだ。行こう」

「行こう」チュ君はいつもより優しく言い、彼女の肩に手を置いた。

テ嬢「社長」
チュ君「?」
テ嬢「さっきからね、レーダーがずっと変なものを捉えてるんです」

彼は落ち着いて手を差し出した。

チュ君「だから握ってろ」
テ嬢「…。」

彼女の手は、差し出した彼の手をすり抜け、静かに彼の頬に触れた。

1538

テ嬢「…。」
チュ君「…。」
テ嬢「社長は… 私がこうして触れても何ともないでしょう?」
チュ君「…。」
テ嬢「そうでしょう?」
チュ君「お前、俺が本当に大理石で出来た防空壕だと思ってるのか?」
テ嬢「?」

彼は頬に触れる彼女の手を掴み、自分の胸に強く押し付けた。

チュ君「そんなわけないだろ」
テ嬢「!」

+-+-+-+

ここでエンディング。

ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
死ぬぅーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こうやって、特にト書きも多めに入れながら書いてるとね、うまいこと淡々と作業することも出来るんですよ。
ひたすら見えてることと聞こえることを描写すればいいんだから。
このエンディング、私、悶え死にそうになって、わざわざ「淡々モード」のスイッチ入れちゃいましたよ。
だって死にそうなんだもぉーーーーーーーーーん
ちょっともどかしさを混ぜる匙加減が絶妙じゃありません?

この二人、チュ君もテ嬢も、二人がお互いなくてはならない存在になっていくのが、この奇異な状況にあって、心情はすごく自然に描かれているのがすごい!

いやぁ…。

いやぁ……。

今、朝6時なわけですが、激萌え状態でカーっと朝になっちゃってどーしましょーね。
バリバリに張り切って仕事してきましょーかね。

ではでは!画像ちょこっと入れて、とりあえず公開します。
今回もありがとうございました!

 - 主君の太陽 ,

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