トライアングル18話あらすじ&日本語訳vol.1
ジェジュン(JYJ)、イ・ボムス、イム・シワン(ZE:A )主演、「トライアングル」18話、セリフの日本語訳を交えつつ、あらすじを追っていきます。
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一体誰が…?
目の前でジョンヒが連れ去られるのを目撃したヤンハは、ひとまず戻ってきたオフィスで考え込んでいた。
そこへペ主任が入ってくる。
ヤンハ「分かりましたか?」
ペ主任「お聞きした車両ナンバー、偽物のようです」
ヤンハ「!」
ペ主任「警察に通報した方がいいんじゃないですか?」
ヤンハ「いいえ。それは駄目です」
ペ主任「?!」
ヤンハ「…。」
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コ・ボクテの電話が鳴った。
コ・ボクテ(電話)「こんな時間にどうした?」
電話の相手はヤンハだ。
ヤンハ(電話)「ひょっとしてホ・ヨンダルの周辺人物を拉致しませんでしたか?」
コ・ボクテ「何のことだ?それは」
ヤンハ「そうならすぐ解放してください。そんな風に扱っていい人ではありません。僕にとっても大事な人なんです」
コ・ボクテ「いきなり何を言ってるんだ?俺が人さらいだと?!」
ヤンハ「…。」
コ・ボクテ「そんなことはしていない。もう切るぞ」
電話を切った途端、コ・ボクテの目が鋭くなる。
訪ねて来たピルサンの話を思い出したのだ。
~~~~
ピルサン「ユン・ヤンハが本部長の座を追われました」
コ・ボクテ「何だって?」
ピルサン「今回の人事は尋常ではありません。もしかすると、ヤンハを後継者として認めないという意志表示とも取れます」
コ・ボクテ「いつ養子の縁を切られるかわからないとは聞いたが… ユン・テジュン、全く血も涙もないな」
ピルサン「コ会長や私に絶好のチャンスが来るかもしれない。そういうことです」
~~~~
楽しみな展望にコ・ボクテは一人、笑みを漏らした。
そこへスチャンが入ってくる。
スチャン「お呼びですか?」
コ・ボクテ「あぁ。ハン・ミョンジェが誰か拉致したようだが、何か聞いてるか?」
スチャン「いいえ。聞いていませんが」
コ・ボクテ「誰なのかすぐ調べろ」
「あの、会長」スチャンは顔を曇らせる。
スチャン「私の考えですが、関わらないほうがよろしいかと」
コ・ボクテ「どういうことだ?あの男がもし下手打ったりしたら、後始末が大変だろう」
スチャン「ハン・ミョンジェなりの仕事のやり方があります。信じて任せた方がいいでしょう」
「分かった」コ・ボクテは頷いた。
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ジョンヒは縛られた手足を窮屈そうに動かした。
暗い工場の中、一人で椅子に座らされ、周りに人の姿はない。
ジョンヒ「誰かいませんか?!」
「助けてください!誰か助けてください!誰かいませんか?!」ジョンヒの声だけが静かな建物の中に響く。
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ジョンヒを連れ去った男たちがミョンジェのいる店に現れた。
男「終わりました」
「ご苦労だった」ミョンジェが頷く。
男「ホ・ヨンダルに連絡するべきでは?」
ミョンジェ「いや。放っておけ。焦らせば仕事が楽になるからな」
+-+-+-+
ヨンダルたちも、ジャンス失踪の件でまだ執務室にいた。
顔を突き合わせたまま、何も出来ずにいるところへ、ジェリーの電話が鳴る。
ジェリー(電話)「…兄貴!」
ヨンダル「!」
ジェリー「行方不明になったって聞いたぞ。大丈夫か?」
ジャンス(電話)「ヨンダルはそばにいるか?替わってくれ」
「ジャンス兄貴だ」ジェリーがヨンダルに電話を渡した。
ヨンダル(電話)「何があった?ミョンワンソンの会長、何でユン・ヤンハが連れて来たんだ?!」
ジャンス「それが… ユン・ヤンハがハンチャングループを使ってミョンワンソンの会長を横取りしたんだ」
ヨンダル「…。お前は大丈夫なのか?」
ジャンス「マフィアのヤツらに拉致されて、今解放されたんだ。解放はされたけど… 怖くてどうにかなりそうだ。あいつら、また何するか分かんねーし」
ヨンダル「…。」
ジャンス「仕事も台無しになっちまったし、お前に何て謝ったらいいか…」
ヨンダル「とりあえずお前が無事帰って来るのが第一だ。何も気にしないで、早く帰国しろ」
ジャンス「あぁ、分かった」
電話を切ると、ヨンダルはジュノに尋ねる。
ヨンダル「ハンチャングループとミョンワンソンは何か関係があるのか?」
ジュノ「えぇ。ラッキーカジノの中国人客は、全てミョンワンソンを通した客なんです」
ヨンダル「…。俺たち、ユン・ヤンハに出し抜かれたんだ」
ジェリー「畜生。毒蛇みたいなヤツだ。あんなに準備したのに、何で横取りなんか!」
ヨンダル「…。」
そこに入ってきたのは、当のヤンハ本人だった。
目の前にやって来るなり、ヨンダルは彼の襟元を乱暴に掴む。
ヨンダル「汚いやり方しやがって!」
ヤンハ「…。」
ヨンダル「ヤン・ジャンスが無事に帰国できなかったら、ぶっ殺してやる」
厳しい目で見つめていたヤンハは、自分の襟を掴んでいたヨンダルの手を振り払った。
ヤンハ「今お前が心配すべきなのはヤン・ジャンスじゃない。ジョンヒさんだ」
ヨンダル「?」
ヤンハ「ジョンヒさんが拉致された」
ヨンダル「何だって?誰が…誰がジョンヒさんを拉致したんだ?!」
ヤンハ「それをなぜ俺に?お前のせいで拉致されたのは間違いないのに、何で俺に訊くんだ?」
ヨンダル「…。」
ヨンダルはマンボンの言葉を思い出す。
「これまでのハン・ミョンジェのやり方からすると、ヨンダル、お前に一番近い人にまず手を出すだろうな」
ヨンダル「…。」
ヤンハ「お前の住む世界はクズだらけだ。だからジョンヒさんがやられた」
ヨンダル「…。」
ヤンハ「お前が探し出せ。今すぐジョンヒさんを見つけろ!」
何も言えないヨンダルを睨みつけると、ヤンハは出て行った。
「誰か心当たりはないのか?どうすりゃいいんだ?」途方に暮れるジェリーのそばで、ヨンダルはじっと考えこむ。
念のためジョンヒに電話を掛けてみるが、電源が切れているというアナウンスが流れるばかりだ。
ヨンダルの疑念が確信へと変わった。
+-+-+-+
「もう梅雨に入ったのかねぇ」蒸し暑さに苛立ち、ジョンヒの祖母はしきりに団扇でバタバタさせた。
ゲームで遊んでいたピョンスは、部屋の隅にあった除湿機の水受けを確かめる。
ピョンス「たくさん取れてる!」
祖母「何だい?それ」
ピョンス「お祖母ちゃんにって、離れのお兄さんがくれたんじゃないか」
ピョンスは水受けの水を洗面器に移し、また除湿機にセットすると、スイッチを入れた。
ピョンス「しばらく待ってれば大丈夫だよ」
祖母「ヨンダル君のお陰で贅沢が出来るねぇ。出世したってのは本当みたいだ」
「ジョンヒ!」そこへジェリーが訪ねてくる。
ジェリー「こんばんは」
祖母「ジェリーじゃないか。遅くにどうしたんだい?」
ジェリー「ジョンヒにちょっと話があって」
祖母「まだ帰ってないけど?」
ジェリー「…。」
祖母「ピョンス、ジョンヒに電話してみなさい」
ピョンスが電話をしようとスマートフォンを持ち替えたところで、ジェリーが止めた。
ジェリー「電話に出ないから来てみたんですよ」
祖母「電話に出ないのかい?」
ジェリー「はい」
祖母「何かあったんじゃないのかい?」
「そんなはずないですよ。会社に電話してみますね」ジェリーは心配する祖母に笑顔を見せた。
ジェリーは立ち上がり、部屋の隅で電話を掛ける。
ジェリー(電話)「あぁ、俺だけど。ジョンヒって今日夜勤か?あぁ、そうか!分かった分かった」
ジェリーは明るく電話を切ると、祖母の元へ戻る。
ジェリー「急にシフト変更があって、今夜勤だそうです」
「あぁ」祖母はようやく笑顔を見せた。
ジェリー「だから心配なさらないでくださいね」
祖母「あぁ、そうだね」
「これ飲みなさい」祖母はジェリーにジュースを差し出し、手に持った団扇で彼を扇いだ。
ジュースを飲みながら、ジェリーは密かに顔を曇らせる。
+-+-+-+
「何だって?」ドンスのもとに連絡が入る。
ドンス(電話)「誰が拉致したんだ?」
「ハン・ミョンジェのようです」電話の向こうでヨンダルが答えた。
ドンス「!… よく聞けよ。辛いだろうが絶対に興奮しちゃ駄目だ。あいつの狙いは、お前が感情を抑えられずにいきり立つことだ」
ヨンダル「…。」
ドンス「お前が興奮したら拉致された人を助けるのも難しくなるし、あいつのペースに巻き込まれることになる」
ヨンダル「えぇ、分かりました」
ドンス「俺が状況を探ってみるから、とりあえず待ってろ」
「どういうこと?」電話を切るなり、そばにいたシネが待ちきれずに声を掛ける。
シネ「拉致って?!」
ドンス「オ・ジョンヒと言って、ドンチョルの好きな女性がいるんだが、ハン・ミョンジェってヤツに拉致された」
シネ「!」
ドンスはすぐに誰かに電話を掛ける。
タク刑事だ。
ドンス「釜山のハン・ミョンジェって知ってるよな。すぐに行方を掴むんだ。急いでくれ」
+-+-+-+
タク刑事はジンとミン刑事を別室へ呼んだ。
タク刑事「今すぐハン・ミョンジェの所在を把握してほしい」
ジン「ハン・ミョンジェですか?釜山のオルト派のボスですよね。突然どうして?」
タク刑事「コ・ボクテと手を組んだようだ。すぐ調べてくれ」
ミン刑事「分かりました」
+-+-+-+
ヨンダルはミン社長の元へ来ていた。
マンボン「拉致されたのは誰なんです?」
ミン社長「ヨンダルの恋人よ」
マンボン「恋人ですか!」
「ほらな。俺が言ったろ」マンボンが黙りこんでいるヨンダルに追い打ちをかける。
マンボン「お前の一番近い人に手を出すってな!」
「どこに連れて行かれたのか、心当たりはないですか?」ヨンダルはマンボンには答えず、ミン社長に尋ねる。
ミン社長「それがわかったところで、下手に出ればオ・ジョンヒがもっと危なくなるわ」
ヨンダル「あいつに直談判します。あいつの言う通りにしてやればいいじゃないですか!」
マンボン「お前は知らないから言えるんだ。弱みを見せれば見せるほど、強く出るヤツだぞ」
ヨンダル「どうしようもないでしょう!何も出来ないままじっと待ってろって言うんですか?!」
ミン社長「気持ちは分かるけど、落ち着いて対策を考えましょう」
「…。」ヨンダルはそれでもじっとしていられず、立ち上がると事務所を出た。
ミン社長「ねぇ、急所を掴むのに時間を掛けてないで、この際思い切って攻め込もうかしら」
マンボン「駄目ですよ!そりゃ」
抑えて抑えて…とマンボンが手で制する。
ミン社長「分かったわ…」
+-+-+-+
ヨンダルは執務室へと戻る長い廊下で立ち止まった。
「いっそのこと私が嫌いで…私が憎くて捨てるんだって言うなら、心を鬼にして忘れるわ」
「だけど、危険な戦いに身を投じる人を、放っておけと言うんですか?」
ジョンヒの訴えが頭から離れない。
ヨンダル「…。」
葛藤を振り払うように、彼は再び歩き出した。
+-+-+-+
ヤンハもまた、誰もいないオフィスでぼんやりと時間を過ごしていた。
「その戦い…やめるわけにいかないんですか?」
「僕が途方に暮れていれば、ジョンヒさんは同情でもするんですか?もう泣きついたりしませんから、僕のことは放っておいてください」
今すぐ助け出せとヨンダルを責めたものの、ジョンヒを助けられるのはヨンダルであり、自分ではない。
ただ一人、こうして悶々としているのがもどかしく、絶望は深まるばかりだった。
+-+-+-+
翌朝、ディーラーの控室でいつもどおり朝礼が始まっていた。
ファラン「次はVIPの予約ルーム。コン・ミソン、カン・ウンビ、オ・ジョンヒ」
ミソン「ジョンヒさん、来ていないんですけど」
ファラン「連絡もなかったの?」
ミソン「…はい」
「電話してみて」ファランがファイルをバタンと閉じた。
ミソン「電源が入ってないんです」
ファラン「分かったわ。キム・ミソン、あなたが代わりに行ってちょうだい。オ・ジョンヒが来たら、私のところへ来るように言って」
「はぁ、全く!」ファランが出て行くと、怖い表情でチョンジャが立ち上がる。
チョンジャ「しばらく黙って見てたら、あんたたち随分調子に乗ってるわね」
新人たち「…。」
チョンジャ「コン・ミソン!」
ミソン「はい」
チョンジャ「仕事が終わったら全員集合させなさい!」
ミソン「…はい」
+-+-+-+
偶然通りかかったペ主任をファランが呼び止めた。
ファラン「オ・ジョンヒが無断欠勤したので、キム・ミソンを代わりにVIPルームに入れました」
ペ主任「それでいい」
ファラン「ジョンヒ、誠実な子だと思ってたのに、知れば知るほど問題児だわ」
ペ主任「…。」
ファラン「ホ・ヨンダルとユン・ヤンハの間で、三角関係のヒロイン気取りよ」
ペ主任「…。」
ペ主任はそっと周囲を窺い、声を潜めた。
ペ主任「他に口外するなよ。オ・ジョンヒ、拉致されてる」
ファラン「?」
ペ主任「深刻な状況だ」
ファラン「えぇ?!」
+-+-+-+
誰もいないことを慎重に確認すると、ファランは電話を取り出す。
ヤンハに代わり、本部長室にいるピルサンの電話が鳴った。
ピルサン(電話)「あぁ、どうした?」
ファラン(電話)「オ・ジョンヒが拉致されたそうですよ」
ピルサン「何?!どういうことだ?」
ファラン「詳しいことは私も分かりませんけど、トラブルが起きたのは間違いないですよ」
「あぁ、分かった」ピルサンは電話を切ると、素早く考えを巡らせ、すぐさま誰かに電話を掛ける。
#誰に電話を掛けて、何を言うのか。毎回わかるドラマ
ピルサン(電話)「テジョンカジノのディーラーに何かしましたか?」
コ・ボクテ(電話)「君まで知っているということは、かなり知れ渡っているらしいな。ホ・ヨンダルの恋人だから利用しているようだ」
ピルサン「上手くやれば兎を2匹、一度に捕まえられますよ」
コ・ボクテ「どういう意味だ?」
ピルサン「オ・ジョンヒというディーラーは、ホ・ヨンダルの恋人だというだけでなく、ユン・ヤンハも夢中になっている女性です」
コ・ボクテ「そうか?そりゃ面白いな」
#ジョンヒがヨンダルの恋人だなんて、ピルサンが当たり前のように知ってるとか、そもそも急に出てきた(この時点ではおそらくヒョンタクを通じて)ミョンジェにバレてるとか、そういうの都合良すぎて萎えるなぁ。ヨンダルはジョンヒに迷惑を掛けたくないから、ずっと誰にも知られないようにしてたはず。ヨンダルの気持ちまで壊されてる。
+-+-+-+
屋上で待っているヨンダルの元へ、ヤンハがやって来る。
ヨンダル「お前の言う通りだ。ジョンヒさんは俺のせいで拉致された」
ヤンハ「…。」
ヨンダル「けど、ジョンヒさんを苦しめたのはお前にも責任がある」
ヤンハ「何言ってんだ」
ヨンダル「ジョンヒさんを拉致したのはコ・ボクテだ」
ヤンハ「…。」
ヨンダル「コ・ボクテと組んでるお前には阻止することだって出来た」
ヤンハ「馬鹿なこと言うな。コ・ボクテに確認したが、あいつは何も知らない」
「鵜呑みにするのか?」ヨンダルが嘲笑する。
ヤンハ「!」
ヨンダル「コ・ボクテのヤツが自らやったことじゃない。今、コ・ボクテと手を組んでるハン・ミョンジェって暴力団のボスの仕業だ」
ヤンハ「…。」
ヨンダル「お前が俺にどんな感情を持っていようと、今後どんな戦いになろうと、そんなものはジョンヒさんに何の関係もない」
ヤンハ「…。」
ヨンダル「だから、今回のことだけはお互いの感情抜きにして、ジョンヒさんを助けることだけ考えよう」
ヤンハ「…。ハン・ミョンジェってヤツ、コ・ボクテと手を組んでるのは確かなのか?」
ヨンダル「信じられないなら直接訊いてみるんだな」
ヨンダルが去って行くと、ヤンハはその場に立ったままじっと考えを巡らせた。
+-+-+-+
人気のない駐車場に車が入ってくると、待っているドンスの前で止まった。
「分かったか?」降りて来たタク刑事にドンスが尋ねる。
タク刑事「はい。ハン・ミョンジェ、最近ソウルに来てコ・ボクテと手を組んだのは確かです」
ドンス「組織の人間も一緒にソウルに来てるはずだが」
タク刑事「新沙洞に潜伏しているようですね」
ドンス「どこに監禁してるのか心当たりは?」
タク刑事「一箇所あります。こちらで踏み込んでみますか」
ドンス「いや、お前たちが踏み込んで収拾がつかなければ、問題が複雑になるだけだ。どこなのか場所だけ言ってくれ」
タク刑事「班長一人じゃ危険です!」
ドンス「わかってる。一人じゃ行かないから心配するな」
+-+-+-+
「ジュノ!」階段を駆け下りてきたジャンスがジュノを呼び止める。
ジュノ「先輩、大丈夫ですか?」
ジャンス「はぁ、死ぬかと思ったぞ。ヨンダルは?」
ジュノ「ジェリー先輩とソウルに行ってます」
ジャンス「何でソウルに?」
ジュノ「ジョンヒが…拉致されたんです」
ジャンス「何だと?!どんなヤツらに?」
ジュノ「ハン・ミョンジェっていう暴力団だって。知ってますか?」
ジャンス「!!!ハン・ミョンジェってあっちの業界でも残忍だって有名なヤツなのに!」
「どうしよう!」ジャンスは途方に暮れた。
+-+-+-+
ヨンダルの待っているカフェにシネが現れた。
ヨンダル「ご心配お掛けしてすみません」
シネ「いいんです。今一番辛いのはドンチョルさんでしょう」
ヨンダル「…ジョンヒさん、無事でしょうか」
シネ「金銭目的の拉致じゃないから、無事でいるはずです」
ヨンダル「…。」
シネ「ハン・ミョンジェっていう人、直接会ったことはありますか?」
ヨンダル「えぇ」
シネ「何か言ってました?」
ヨンダル「今僕が計画してること、全てやめろっって」
シネ「まだ向こうから何も連絡はないんですね?」
ヨンダル「…えぇ」
「今から私の言うことをよく聞いて対応してください」シネが身を乗り出した。
シネ「こういう場合、心理戦に入ると余計に難しくなるわ」
ヨンダル「…。」
+-+-+-+
相変わらずジョンヒは工場の真ん中でポツンと放置されていた。
#ジョンヒのお手洗いが心配なのは私だけじゃないよね。
そこへ、手下を伴い、ミョンジェが現れる。
彼の隣には…ヒョンタクがいた。
「あなたたち誰ですか?」ジョンヒが震えた声を上げる。
ジョンヒ「どうして私にこんなことするんですか?!」
ミョンジェ「恋人のせいで災難だな。恨むなら恋人を恨むんだ」
ジョンヒ「!」
「この娘の携帯はどこだ?」ミョンジェの問いに、部下が懐から電話を差し出す。
ミョンジェは携帯を受け取ると、電源を入れた。
+-+-+-+
ヨンダルが路肩で待っていた車に戻ってくると、運転席にいたジェリーが起き上がった。
ヨンダル「舎北に帰るぞ」
ジェリー「それじゃ、ジョンヒは?何もしないで黙って帰るのか?」
「…。」ヨンダルは何も言わず、じっと前方の一点を見つめる。
ジェリー「何もしないわけにいかないだろ!」
ヨンダル「じっとしてるのが俺に出来る唯一の手段だ」
「頭がどうにかなりそうだ」ヨンダルが吐き出すように呟いた。
ジェリー「…。」
そこへヨンダルの電話が鳴った。
画面には…ジョンヒの文字。
ヨンダル「ジョンヒだ」
ジェリー「え?!」
電話が鳴り続ける。
ヨンダルはシネの話を反芻した。
~~~~
シネ「ドンチョルさんが弱みを見せれば、向こうはより多くを求めてくるわ。だから、絶対に弱みを見せないで」
ヨンダル「俺のせいであんな目に遭ってるんです。ジョンヒさんさえ助けられるなら、あいつの要求は何でも聞くつもりです」
シネ「いいえ、絶対に駄目。そうすれば、ジョンヒさんを助けるのが余計に難しくなるわ」
~~~~
ヨンダル「…。」
彼の指が応答ボタンの上で躊躇う。
ジェリー「何してんだよ!早く取れって!」
ヨンダルは覚悟を決めて電話に出た。
ヨンダル(電話)「もしもし」
「ヨンダルさん!」電話の向こうで、ジョンヒの声が聴こえる。
ミョンジェの差し出した携帯に向かって、ジョンヒが夢中で訴えていた。
ジョンヒ(電話)「私です!ジョンヒです!」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「どうして返事がないの?ヨンダルさん!」
「えぇ。何の用です?」ヨンダルは淡々と答える。
ジョンヒ「私… 私、今、知らない人たちに捕まってるんです!」
聴こえてくるジョンヒの震えた声に、ヨンダルはじっと耐えていた。
ジョンヒ「ヨ、ヨンダルさん!」
電話を引き上げると、ミョンジェが話し始める。
ミョンジェ(電話)「おい、ホ・ヨンダル。俺はハン・ミョンジェだ」
ヨンダル「!」
ミョンジェ「お前、自分の恋人に何が起きてるのか、まだ察しがつかないのか?」
ヨンダル「何言ってんだ?俺には恋人なんかいない」
「!」ヨンダルの声にジョンヒが凍りつく。
そばで聞いているヒョンタクも顔を引きつらせた。
ミョンジェ「何てヤツだ。完全にクズだな。そんな卑怯な態度でいいのか?」
ヨンダル「…。」
ミョンジェ「お前がそう出るなら、恋人が傷つくことになるぞ」
ヨンダル「俺とは… 俺とは何の関係もない女だ。だから、お前の好きにしろ」
「!」ジョンヒが絶句すると、ミョンジェの合図で部下が彼女に近づく。
ジョンヒ「何するんですか?!来ないで!」
部下がジョンヒの髪を思わせぶりに撫で上げた。
「来ないで!あぁ!!!」電話の向こうから聴こえてくるジョンヒの叫び声に、ヨンダルが顔を歪める。
悔しさに耐え切れず、彼は思わず車のドアを叩いた。
「ヨンダルさん!助けて、ヨンダルさん!!!」ジョンヒの叫び声はそれでもまだ彼の耳に聴こえてくる。
彼は感情を押し殺し、再び電話を耳に当てた。
ミョンジェ「ホ・ヨンダル、これでも何の関係もないか?」
ヨンダル「この程度の脅しが俺に通用すると思ってるなら、お前の勘違いだ。お前がどうしようと、その女とは何の関係もない」
「ヨンダルさん!どうして?!そんなこと言わないで!」ジョンヒの叫びが涙声に変わっていく。
ヨンダルは溢れてくる涙を拭った。
ヨンダル「おい、オ・ジョンヒ」
ジョンヒ「!」
ヨンダル「お前、何グズグズ言ってんだ?まだ俺のこと、お前を追い回してたチンピラだと思ってんのか?」
ジョンヒ「…。」
ヨンダル「俺はテジョンカジノ経営管理理事だ。お前みたいなディーラーごときに足元をすくわれるホ・ヨンダルじゃない」
ジョンヒ「…。」
ヨンダル「俺を煩わせるな」
ヨンダルの言葉に、さすがのミョンジェも首を傾げる。
ヨンダル「おい、ハン・ミョンジェ。お前、無駄骨を折ったな。忙しからもう切るぞ」
ジョンヒ「!!!待って!待って、ヨンダルさん!!!」
ジョンヒの前で、無情にも電話は切れた。
鎮まり帰った場内に、ジョンヒの泣き叫ぶ声が響く。
+-+-+-+
自分から電話を切っておいて、ヨンダルはやり場のない怒りと必死で戦っていた。
ジェリー「兄貴…!」
どうにも我慢できず、外へ出たヨンダルは、車の屋根を叩き、叫び声を上げる。
ジョンヒを守るための嘘がこれほどまでに自分を苦しめようとは、思ってもみないことだった。
それでも、彼は最後まで耐え切ったのだ。
+-+-+-+
「ヒョンタク、一体こりゃどういうことだ?」ミョンジェの静かな声が響く。
ミョンジェ「俺に恥をかかせたな」
ヒョンタク「兄貴!違いますよ!二人が恋人なのは確かなんです!」
「間違いないですって!」ヒョンタクが訴える中、ジョンヒはただ下を向いて子どものように泣きじゃくる。
ミョンジェ「あいつ… 本当にクズだな。(ジョンヒに)おい、何であんなクズを恋人だなんて言ってるんだ?」
ひたすらしゃくりあげるだけで、ジョンヒは何も答えを持っていなかった。
部下「この女、どうしましょうか」
ミョンジェ「とりあえず様子をみよう」
+-+-+-+
一旦区切ります。
あんた今まで一体ヨンダルの何を見てきたんだとジョンヒに言いたい。
怖いのはわかる。わかるけど、先輩に食って掛かるほど根性のあるヒロインなら、ミョンジェの目的を察して「そんな男知らない」くらいの啖呵を切れば、皆きっと認めるよ。
これで解放された後、ヨンダルに冷たく当たったりした日にゃあんた!(以下略
もうちょっとヒロインに共感できるようにしてほしい。
この前半はヨンダルの苦しみが全てでしたね…。
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