トライアングル9話あらすじ&日本語訳vol.1
ジェジュン(JYJ)、イ・ボムス、イム・シワン(ZE:A )主演、「トライアングル」9話、セリフの日本語訳を交えつつ、あらすじを追っていきますね。
+-+-+-+
退勤しようとホテルの出口へ向かっているところへ、ジョンヒの携帯が鳴った。
発信者の名前を見て、彼女は少し嬉しそうに電話に出る。
ジョンヒ(電話)「もしもし」
「ホ・ヨンダルです」電話の向こうでヨンダルの声が聴こえる。
ジョンヒ「えぇ。どうしたんですか?」
ヨンダル「あの… ちょっと出て来られませんか?」
ジョンヒ「何かあったんですか?」
「いや…」ヨンダルは照れたように口ごもる。
ヨンダル「ぜひ話したいことがあって」
ジョンヒ「あぁ… どこに行けばいいですか?」
+-+-+-+
ジョンヒがホテルの外へ出てくると、停めた車の脇で待っているヨンダルの姿を見つけた。
白い清潔なシャツに、すっきりと髪を整えた彼は、どこかいつもと違って見える。
「ホ・ヨンダルさん!」彼女が呼びかけると、彼は黙って助手席のドアを開けた。
ジョンヒ「これは?」
ヨンダル「ジョンヒさんを乗せようと思って一台選んで来たんですよ。乗ってください」
ジョンヒ「(困って)えっと…」
ヨンダル「乗ってくださいよ」
ジョンヒ「はい^^」
#ジョンヒが乗る間、車のドアにもたれてるのが超イイよね♪
車のエンジンが掛かり、ヨンダルがゆっくりとハンドルを切る。
そこへ、ちょうどチョンジャやヒョンミが仕事を終えて外へ出てきた。
ソンジュ「あの子、何?」
ヒョンミ「(唖然)」
チョンジャ「オ・ジョンヒと乗ってた人、ホ・ヨンダルじゃないの?!」
ソンジュ「ですよねー。あのチンピラ」
チョンジャ「いくら相手がいないからって、あんなクズと付き合ってんの?」
ヒョンミ「あんたたち、誤解しちゃダメよ。あの二人、付き合ってるんじゃないから」
チョンジャ「付き合ってるんじゃないなら、あんなふうに二人で出掛けちゃ余計変じゃない?」
ヒョンミ「…。」
+-+-+-+
二人を乗せ、車は爽快に走っていた。
ジョンヒ「ホ・ヨンダルさんって凄いんですね。こんな車も持ってるなんて」
ヨンダル「実はジャンスに借りたんですよ。お客さんが担保貸しに預けたのを」
ジョンヒ「(驚く)お客さんの預けた車、こんなふうに乗り回していいんですか?」
ヨンダル「車を担保に金を借りて行くのは、カジノで大負けした人たちだから、後から訪ねてくることはほとんどないんですよ。この車も中古車ディーラーに渡る予定なんです」
ジョンヒ「あぁ」
そこへジョンヒの携帯にメールが入る。
ヒョンミからだ。
ヒョンミ(メール)「あんた何なの?今ホ・ヨンダルと一緒にいるところ、チョンジャとソンジュに見られたわ。明日には噂が広がってるわよ」
ジョンヒは即座に返事を打つ。
ジョンヒ(メール)「許されない相手ってわけでもないのに、何大騒ぎしてんの?見られたって関係ないわ」
「ところで」ジョンヒが口を開く。
ジョンヒ「どこに行くんですか?」
ヨンダル「ジョンヒさんに一度ご馳走したかったんだけど、この街じゃどこへ行っても顔がさすから、雰囲気のいいレストランを予約したんです。いいですよね?」
ヨンダルがチラリと彼女を振り返ると、ジョンヒは黙って微笑んだ。
+-+-+-+
レストランの席へ案内されると、そのロマンチックな雰囲気にジョンヒは顔を輝かせた。
ヨンダル「どうです?」
ジョンヒ「いいですね。だけど、ホ・ヨンダルさんはかっこ良くキメてるのに、(自分の服を触り)私はこんな格好で」
ヨンダルはそっと周りを見回して笑う。
ヨンダル「俺の目には、この中でジョンヒさんが一番綺麗に見えるけどな」
ジョンヒ「(笑う)そういうこと言うってことは、ホ・ヨンダルさん、なかなかのやり手ね」
ヨンダル「それ、褒め言葉ですよね?」
ジョンヒ「ふふっ、まぁ好きなように^^」
ヨンダルは手を上げて店員を呼んだ。
メニューを受け取ると、広げてジョンヒに向ける。
ヨンダル「何を召し上がリます?」
ジョンヒ「私、よく分からなくて。ホ・ヨンダルさんが注文してください」
ヨンダルはメニューをクルリと回し、自分の方へ向ける。
「えーと」ほんの少しメニューをめくると、彼はすぐに顔を上げた。
ヨンダル「(店員に)スペシャルコースで」
+-+-+-+
食事が進み、デザートの皿が二人の前に運ばれた。
ジョンヒ「私、洋食ってトンカツしか食べたことなかったけど、このお店、すごく美味しいですね。ホントにスペシャルって感じ」
ヨンダル「ジョンヒさんのお望みなら、ときどき来てもいいんですよ」
ジョンヒ「いえいえ^^ところで、ホ・ヨンダルさん、何かいいことあったんですか?さっき会った時から、ずっと気分がいいみたい」
ヨンダル「えぇ、いいことがあったんです」
ジョンヒ「何ですか?」
ヨンダル「まだジョンヒさんに自慢できるほどじゃなくて。自慢できるようになったら、その時話しますね」
#二人の”前のめり具合”がビミョーでいい感じ♪
ジョンヒが頷く。
「それより…」そうヨンダルが切り出した。
ヨンダル「お礼を言いたかったんです」
ジョンヒ「何の…ことですか?」
ヨンダルは少し緊張したように肩をすくめる。
ヨンダル「俺がどんなヤツなのか、皆が俺のことどう思ってて、どう言ってるか…ジョンヒさんもよく知ってるはずです。それなのに、普通に接してくれるから」
ジョンヒが黙って俯き、微かに微笑んだ。
ヨンダル「ジョンヒさんと知り合って、俺、生まれて初めて自分の生きザマを恥ずかしいって思ったんです」
ジョンヒ「…。」
ヨンダル「正直、とことんバカやって生きてきたけど、恥ってやつが何だか知らずにいました」
ジョンヒ「…。」
ヨンダル「けど、ジョンヒさんに会って… ジョンヒさんのこと考えると、何もかも恥ずかしくなったんです」
ジョンヒ「…。」
ヨンダル「俺の気持ち、ジョンヒさんが理解してくれるなら、今度こそ本当に… 本当に恥ずかしくない生き方をしてみるつもりです」
話し終わると照れくさそうに俯き、落ち着かないヨンダルを、ジョンヒは穏やかに見つめた。
#恥ずかしくない生き方をしたい人が、昼間盛大に詐欺をやって来たところだっていうのは、突っ込まない方がいいんですよね?
+-+-+-+
楽しく甘酸っぱい時間はあっという間に過ぎ、二人は家の前まで帰ってきた。
ヨンダルの部屋の前まで来ると、ジョンヒが振り返る。
ジョンヒ「今日はご馳走様でした」
#ジョンヒが振り返った瞬間のこの表情、見下ろす目が優しくて、すごくドキッとしたんですけど♥
レストランのシーンより、私はこっちの方が自然で好き。
ヨンダル「時間を作ってくれてありがとうございました」
「おやすみなさい」背を向けたジョンヒは、ふと立ち止まった。
ジョンヒ「あの…」
ヨンダル「?」
ジョンヒ「私、ホ・ヨンダルさんに比べて優れてることなんて一つもありません。学生の頃は勉強の出来ない問題児だったし、地元出身者の優遇制度でどうにかこうにか就職したんです」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「両親もいないし、祖母と弟たちを養わなきゃいけない苦しい状況で」
「だから」ジョンヒが真っ直ぐに視線を向ける。
ジョンヒ「私に対して恥ずかしいなんて思わないでください」
ヨンダルは黙って頷いた。
母屋へ戻っていくジョンヒの後ろ姿を見送り、彼は澄んだ夜空を見上げる。
何も感じられない
何も思い出せない
淋しいのはイヤなのに 俺はひとりぼっち
どうしても イヤなのに
死ぬより辛い過去だろうか
考えたくもない姿だろうか
それがどんなことだろうと 今は生きている
息をしている理由が知りたいんだ
空よ 覚えていてくれ
泣いている 俺の姿と共に
”とても辛かった 会いたかった”
そう伝えられなかった
我儘な俺だけど
+-+-+-+
レストランの個室で、ドンスはこの間の話を反芻していた。
「俺たちの間でジョングクが落盤事故で死んだと思ってやる人は誰もいなかった」
そこへ、ドアが開き、「すみませんね」とユン会長が入ってくる。
ユン会長「お待ちになったでしょう?」
ドンス「いいえ。私も今来たところです」
向かいの席に腰を下ろすと、ユン会長は早速本題に入った。
ユン会長「どうです?この間の提案、考えてみましたか?」
ドンス「はい。会長の力になれるなら、やってみようと思います」
ユン会長「ありがたい。チャン・ドンスさんが協力してくれれば、大きな力になるでしょう」
ドンス「…。」
ユン会長「チャン・ドンスさんには最高の地位を用意しましょう」
ドンス「いいえ。地位なんて気にしません。お気遣いは無用です」
ユン会長「いやいや。戦場へ送り出す腕利きに下手な待遇をするわけにはいきませんからな」
ドンスが具体的な話に移る。
ドンス「コ・ボクテ会長とはどういう関係なんです?」
ユン会長「何と言うか… あの男と関わったこと自体が、私の恥ずべき過去ですよ」
ドンス「…。」
ユン会長「ここで詳しくは話せないがね、悪縁とでも言っておこう」
微笑むユン会長に、父の仕事仲間の言葉が重なる。
「ドンジン炭座の社長ユン・テジュン、あいつの仕業だと信じてた」
「ユン・テジュンはコ・ボクテっていうゴロツキを使って、ジョングクを殺したってね」
そこへ見知らぬ若者が入ってきた。
ヤンハだ。
ユン会長はヤンハにドンスを紹介する。
ユン会長「こちらは私が話したチャン・ドンスさん。それから、こっちは私の息子です」
ユン会長の脇に立ったヤンハに、ドンスは立ち上がり、小さく頭を下げる。
ヤンハ「ユン・ヤンハです」
ドンス「チャン・ドンスです」
二人はテーブル越しに固く握手を交わした。
#やっと来ましたねー、この瞬間。この二人がどういう関係になるのか、あまり読めない部分なので楽しみです。かなりの腹の探り合いになりそうですが…。
~~この会合に先立ち~~
ドンスはヤンハについて事前にシネと話していた。
シネ「ユン会長にはユン・ヤンハという一人息子がいるわ。テジュングループを譲り受ける後継者よ」
ドンス「あぁ。俺も調べてみたけど、ユン会長の年齢を考えると、息子が若すぎるんじゃないか?」
シネ「ユン・ヤンハは養子に入った息子よ」
ドンス「…。」
~~~~
ヤンハがユン会長の隣に座り、話が再開された。
ユン会長「コ・ボクテとの戦いはヤンハが担当することになります。チャン・ドンスさんに助けていただきたい」
ヤンハ「よろしくお願いいたします」
ヤンハが礼儀正しく頭を下げる。
+-+-+-+
ヨンダルがミン社長の事務所を訪ねていた。
ミン社長「あなたが私設カジノを手に入れたってコ会長に話したら、今すぐ会おうって」
ヨンダル「はい、すぐ行ってきます」
立ち上がろうとしたヨンダルをミン社長が呼び止める。
ミン社長「ヨンダル、コ会長があなたをどう思ってるか分かる?」
ヨンダル「俺を認めるって言ってましたよね」
ミン社長「認める…?」
そう言ってミン社長は鼻で笑う。
ミン社長「チャン・ドンスを捕まえる猟犬として認めたのよ」
ドンス「…。」
ミン社長「狩りが終わったら捨てるか食うかするだけ」
一緒に聞いていたジャンスが狼狽える。
「…。」ヨンダルがもう一度深くソファにもたれかかった。
ヨンダル「なぜそれを俺に話すんです?」
ミン社長「今回のあなたの仕事ぶりを見てるとね、コ会長に利用されて捨てられるには惜しいと思ったのよ」
ヨンダル「…。」
ミン社長「もし私と組むなら、私はあなたのことを捨てたりしないわ」
「よく考えなさい」ミン社長が念を押した。
+-+-+-+
「ミン社長の言うことが本当なら、いっそのことミン社長と組んだほうがいいんじゃないか?」
外へ出てくると、ジャンスが堪らずに切り出した。
ヨンダル「いや」
ジャンス「何で?!」
ヨンダル「住む世界が違う。コ・ボクテ会長が俺を猟犬だと思ってるなら、考えを変えさせるんだ」
「本当に認められるように」ヨンダルの目が鋭くなる。
再び歩き出したヨンダルに、ジャンスが黙って従った。
+-+-+-+
ユン会長たちと別れたドンスが下へ降りて来たところへ、シネから電話が入る。
ドンス(電話)「あぁ、シネ。今出るところだ」
彼は階段を降りる途中で立ち止まった。
ドンス(電話)「そうか?構わないさ。先に行って待ってるから」
+-+-+-+
ドンスは待ち合わせの場所に着くと、シネが来るのを待っていた。
後方から黒い車がハイスピードで走ってくると、ドンスが立っている交差点の角を囲むように止まった。
ドンス「!」
ドアが開き、いつもの屈強軍団がぞろぞろと降りてくる。
ドンス「何だ?お前ら」
男「コ・ボクテ会長がお呼びだ。おとなしく来い」
ドンス「ほざいてないで、会いたいならそっちから来いと言え」
「車に乗せろ」男が周りに合図すると、彼らがドンスを取り囲む。
ドンスの拳がいきなり彼らを襲った。
鮮やかなドンスの立ち回りの前に、バタバタと倒れていく男たち。
しかし、僅かな隙をつかれ、地面に転がった彼は、あっという間に彼らに囲まれ、一斉に踏みつけられる。
そのとき、向こうから歩いてきたシネは驚いて立ち止まった。
シネ「ドンスさん!!!」
思わず駆け寄るも、彼女の目の前でドンスが乗せられた車は走り去ってしまった。
+-+-+-+
コ・ボクテの病室にノックの音が響く。
側近に伴われれ、ヨンダルが入ってきた。
「よく来た」コ・ボクテは立ち上がり、そばのソファに移動すると、彼にも席を勧めた。
コ・ボクテ「ミン社長に聞いたぞ。デカい仕事をやったらしいな」
ヨンダル「はい。手に入れた私設カジノはかなりの現金が出入りします。会長のお役に立つでしょう」
コ・ボクテ「(笑)そうだな。お前の言うとおり、大いに使えそうだ」
ヨンダル「…。」
コ・ボクテ「お前、カジノを相手に詐欺賭博をやったそうだな」
ヨンダル「…はい」
コ・ボクテ「お前、知れば知るほど大した器だ」
笑うコ・ボクテに、ヨンダルは注意深く俯いた。
コ・ボクテ「お前、テジュングループを相手に詐欺賭博をやってみろ」
ヨンダル「!!!…いや、それは」
コ・ボクテ「どうした?」
ヨンダル「正規のカジノは人目があります。保安システムも厳しいので、同じ方法では難しいと思います」
コ・ボクテ「おい、難しいことをやってこそ、本当の才能だろ」
ヨンダル「…。」
「俺のために、かっこ良くキメてみろ」コ・ボクテはヨンダルに凄みを利かせた。
圧倒的なコ・ボクテの圧力を前に、ヨンダルは黙って頷くしかない。
そこへ側近の電話に連絡が入った。
側近「会長、チャン・ドンスを捕らえたそうです」
ヨンダル「!」
コ・ボクテ「そうか!」
「行くぞ」傷だらけのギブス姿のままコ・ボクテが立ち上がる。
側近「私が処理しておきます」
コ・ボクテ「俺のこのザマを見て言ってるのか?早く準備をしろ」
側近「はい」
コ・ボクテはヨンダルの背中をポンと叩く。
コ・ボクテ「ヨンダル、お前も一緒に行くぞ」
支度に向かったコ・ボクテの背後で、ヨンダルの緊張が一気に高まった。
+-+-+-+
ソウル広域捜査隊のメンバーは、ドンスの行方捜索にやっきになっていた。
人ひとり見つけるのに手間取り、彼らの焦りが募る。
シネが到着した。
シネ「どうなりました?」
タク刑事「おっしゃった車両ナンバーを元に、CCTVを追跡中です」
そこへ連絡が入る。
追跡中の車が空港の方面へ抜けたのが確認されたとのこと。
シネ「金浦や空港の近くにチョンジン建設の関連会社がないか調べてみてください」
タク刑事「はい」
ただちに全員が動き出した。
+-+-+-+
倉庫の大きな扉がゆっくりと上がる。
コ・ボクテが白いスーツに身を包み、ヨンダルを伴って中へ入ってきた。
#ヨンダルだけシャッターにぶつからないように屈んでて、ちょっと萌えちゃうね♪
一斉に頭を下げた男たちの中央に、ドンスが倒れていた。
ヨンダル「…。」
「立たせろ」側近が声を掛けると、周りの男たちがドンスの脇を掴み、抱え上げる。
ボロボロになったドンスを上目遣いに見つめるヨンダルの目は実に複雑だ。
コ・ボクテ「おい、チャン・ドンス」
ドンス「…。」
コ・ボクテ「辞めたなら大人しくしていればいいものを、何のために自ら犬死にするようなマネを?」
ドンス「…。」
コ・ボクテ「法で無理なら拳でケリをつけるって?そうとも。俺とお前の仲で、もはや法なぞ何の意味もないわ。俺も拳でケリをつけてやる」
「ヨンダル」コ・ボクテが振り返る。
ヨンダル「はい」
コ・ボクテ「こいつにやられた分、拳でケリをつけたいんだが、見ての通りこのザマだ」
ヨンダルは思わず俯く。
コ・ボクテ「お前は俺の手足同然だ。お前がやれ」
ヨンダル「え?」
ヨンダルは狼狽し、視線を激しく泳がせる。
ドンスが顔を上げ、ヨンダルを見た。
コ・ボクテ「何をしてる?やれと言ってるんだ」
じっと見つめるヨンダルに向かって、ドンスが黙って頷いた。
ふっと小さく息を吐き出すと、彼はゆっくりドンスに近づき… 微かに首を横に振った。
ドンスはもう一度力強く頷く。大丈夫だと。
迷っているヨンダルに向かって、ドンスはまた大きく頷いた。
「…。」ヨンダルの瞳が鋭くなると、彼はドンスに一発、拳を振り下ろした。
ドンスの上体が撓(しな)る。
そこへすかさず、もう一発。
もう一発。
殴るほどに、ヨンダルの顔は悲しく、苦痛で歪んだ。
静まり返った場内にただヨンダルの拳の音だけが何度も響く。
腹部を続けざまに殴られ、ドンスはとうとう地面に崩れ落ちた。
ヨンダル「…。」
「それくらいでいいだろう」後ろで静かにコ・ボクテの声がした。
側近「どう処理すれば?」
コ・ボクテが目を細めてドンスの姿を眺める。
コ・ボクテ「消せ」
「!」ヨンダルが思わずコ・ボクテを振り返った。
コ・ボクテはそのまま倉庫を後にする。
ヨンダルの目の前で、ドンスは身動きできないまま地面に横たわっていた。
今すぐ駆け寄って声を掛けたい。それでも、周りにいる男たちのことを考えると、それは絶対に出来なかった。
ヨンダルはどうしようもないジレンマに苦しんだ。
+-+-+-+
警察の車両が倉庫の前に急停車する。
降りて来た刑事たちが一斉に中へ踏み込んだ。
飛びかかってきた男たちに刑事が応戦するなか、シネは夢中でドンスを探し当てる。
シネ「ドンスさん!」
ドンスの意識は朦朧としていた。
シネ「ドンスさん!しっかりして!!!」
#ここでシネが一番鮮やかな回し蹴りを決めてたら画期的だったのにね♪
+-+-+-+
知らせを受けたシネの父ジョンマンと広域捜査隊の隊長が、すぐに病院へ駆けつける。
病室の前の廊下に刑事たちが揃っていた。
隊長「ドンスはどうなった?」
タク刑事「たった今意識が戻りました」
ジョンマンと隊長は病室へ飛び込んだ。
シネに付き添われ、ドンスはベッドの上に横たわっている。
ジョンマン「ドンス…」
ドンス「…。」
ジョンマン「誰の仕業なんだ?」
「コ・ボクテです」シネが呟いた。
ジョンマン「何だって?!あの野郎、今すぐ捕まえてやる!!!」
「いや、やめてください」ドンスが辛うじて口を開く。
シネ「やめろって… こんな目に遭ったのにどうして?ドンスさんを殺そうとしたの!明らかな殺人教唆よ」
ドンス「俺から仕掛けたんだ。コ・ボクテのヤツに… 俺が先に手を出した。その代償を受けたんだ」
ジョンマン「…。」
隊長「おい、そうは言っても、こんな目に遭ったのに放っておけるわけがないだろ」
ドンス「今、捕まえたところですぐに出てきます。それで終わらせるわけにはいきません」
シネ「…。」
ドンス「俺の手であいつを破滅させられないなら、手を出さないほうがマシです。俺が自分でケリをつけるまで、手を出さないでください」
ジョンマンも隊長も、やり場のない怒りに押し黙った。
+-+-+-+
夜が更けていった。
眠っているドンスのそばをシネが見守っている。
そこへ、扉が開き、ジンが入ってきた。
ジン「あの… 私が班長を看てます。少し休んでください」
シネ「いいえ。私は大丈夫ですから、帰ってお休みください」
「…。」シネに押され、ジンはそれ以上何も言えずに病室を出た。
それに続き、すぐに病室を誰かがノックする。
そっと入ってきたのは、ヨンダルだった。
シネ「ここにどうして?」
ヨンダル「班長さんの具合は?」
ヨンダルの声に、ドンスが穏やかに目を開けた。
ドンス「お前、いつ来たんだ?」
ヨンダル「今です」
ドンス「(シネに)ちょっと外してくれるか?」
「ええ」シネが病室を出て行くと、ヨンダルはドンスと二人残された。
ヨンダル「すみませんでした」
ドンス「謝ることはない。お前がいなくたって、どうせやられたんだ」
ヨンダル「…。」
ドンス「そばへ来て座れ」
ヨンダルはベッド脇の椅子に腰を下ろす。
ドンスは手を伸ばすと、ヨンダルの襟を掴み、ぐいっと引き寄せた。
ヨンダル「!」
ドンス「ヨンダル、心からの頼みだ。どうかコ・ボクテの信頼を得て、あいつの部下になってくれ」
ヨンダル「…。」
ドンス「頼む」
ヨンダル「…。」
襟を掴んでいた手を離すと、ドンスは悲しく息をついた。
ドンス「あいつらに見られるかもしれん。もう行け。俺のことは心配するな」
ヨンダルはドンスのそばを離れるのが躊躇われ、下を向いた。
ドンス「さっさと立て」
ヨンダルは仕方なく立ち上がる。
ヨンダル「お大事になさってください」
返事の代わりに、ドンスは深く溜息をつく。
ドンスの目の前で、ヨンダルの背中が遠ざかっていく。
自分を殴るときのヨンダルの表情を、ドンスは忘れられずにいた。
殴られる自分と同じくらい、いや、それ以上に、ヨンダルは悲しげで、そして苦しそうだったのだ。
ヨンダルが病室のドアを開け、心残りでほんの少し振り返り、ドアを閉める。
ドンスはその姿を、ただじっと見送った。
+-+-+-+
ここで一旦区切ります。
まだお互い知らずにいるものの、兄弟のシーンには惹き込まれるものがありますね。
詐欺は嫌な予感しかしないからサッサと失敗して(笑)、兄弟のシーン増やしてください!
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