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主君の太陽7話あらすじ&日本語訳 vol.1

   

えー。夜中でも誰もが簡単に侵入できるのでお馴染みのキングダム。
そんなアットホームなショッピングモールを舞台にした「主君の太陽」7話です。

時間などと相談し、今回はハングルなしの日本語訳のみで進みますね。
いろいろやり方がバラバラですみません^^;

1529

 隅っことチュ君

~前回、兵士が立てこもった店~

眠っているテ嬢の手にそっと自分の手を重ねるチュ君。
いったん資料に視線を移したものの、もう一度テ嬢の方へ顔を近づけてみる。
ゆっくり…。ゆっくり…。

チュ君「!(ハッとして顔を離す)」

重ねた手を離した彼は、思い切り彼女の手のひらを叩いた。

テ嬢「ヒャッ!」
チュ君「起きろ。車が来る」
テ嬢「(伸びをして)社長の隣で眠ったら、すんごく甘い眠りだったな♥」
チュ君「(ソファーを指し)ここによだれ垂らして寝てたぞ。お前が買うといい」
テ嬢「(ゴシゴシ)拭けばいいでしょう~」
チュ君「…。」
テ嬢「よく寝た~。(チュ君に擦り寄り)もうちょっとだけ眠れたらいいのに~」
チュ君「約束があるって言ってたが、まぁ好きにしろ」
テ嬢「(飛び起きる)はっ!約束!そうだった…。カン・ウさん」

二人はようやく出口へ向かって歩き出した。

~外~

テ嬢「(書類を差し出し)社長、これ、サインした確認書のコピーですって」
チュ君「(そっぽ向いて受け取る)」
テ嬢「それから、これもくれたんです」

テ嬢は、店主から手渡された包みを開いた。
そこに入っていたのは二つの扇子。

テ嬢「1つずつお持ちくださいって」
チュ君「…。」
テ嬢「あの家具屋さんでお客さんに記念として渡しているんですって。1つずつ分けましょう」
チュ君「これを何故?俺がお前とペアで持たなきゃならないんだ?」
テ嬢「…。」
チュ君「俺はお前とペアになりたくはない」
テ嬢「(パタパタ)すんごい涼しいのに’(パタパタ)」
チュ君「どけろ」
テ嬢「えぇ、分かりました」
チュ君「消えもせずに、何でそこに立ってる?」
テ嬢「私も車に乗せてくれるんじゃ?」
チュ君「今日はえらく疲れたんだ。お前に付き合わされて撃たれるところだった」
テ嬢「…すみません」
チュ君「お前が見ている世界にあまり深入りすると危険だ。これ以上進むべきじゃなさそうだな。(間に線を引く仕草)お前と俺の間で明確に線引をした方がよさそうだ」
テ嬢「そうやって線を引くのは、消えろってことですか?」
チュ君「お互いの役割に対してのみ忠実でいよう。これからはここ(手首)からここ(肘)までがテ・ゴンシルゾーンだ。防空壕が必要なときは、何も言わなくても(指で腕をツン)タッチだけしろ。俺に必要なチャ・ヒジュを見たとき、そのときだけ話しかけろ。
テ嬢「…。」
チュ君「…。」
テ嬢「私は社長とあれこれ話すのが気楽で好きだったなのに」
チュ君「俺は嫌だ。ちゃんと守れ」
テ嬢「…。」

言い切ったものの、沈んでしまったテ嬢にちょっと気が引けて、小さく顔を歪ませるチュ君。
腕を差し出し…

チュ君「テ・ゴンシルゾーンは黙って差し出してやる。その代わり、他の場所はダメだ。腕には目も耳も口もない。だから、見たり聞いたり話したり、そんなことをむやみに俺に期待するな」
テ嬢「社長はオバケを怖がらないから私も話しちゃうんですよ~(チュ君の腕をガシッ)」
チュ君「そうだな。幽霊は怖くない。テ・ゴンシル、お前が怖い」
テ嬢「…。」

テ嬢は彼の腕を掴んだ手を引っ込めた。

そのとき、秘書の運転する車が彼らの前に滑り込んだ。
チュ君は黙って乗り込み、さっさとドアを閉める。

秘書「テ嬢は?一緒に行かないんですか」
チュ君「約束があるそうです。行きましょう」
秘書「はい」

+-+-+-+

一人残されたテ嬢はとりあえず歩き始めた。

テ嬢「(独り言)確かに、私のせいで撃たれるところだったのに、危ないと思うのも無理ないよ」
声「テ・ゴンシル!」
テ嬢「?」

彼女に声を掛けたのはイリョンだった。
いつのまにかそこはミュージカル公演会場前。

イリョン「ミュージカル観に来たの?」
テ嬢「…うん。あんたも?」
イリョン「うーん、あたしはすんごく面白いものを見て帰るとこ」
テ嬢「…そっか。じゃあね」

歩き出そうとして足を止めたテ嬢。

テ嬢「あのね、イリョン。あたしのこと無視するだろうと思ってたのに、声掛けてくれてすごく嬉しかった」
イリョン「…。」
テ嬢「気をつけてね。小さなテ嬢(太陽)」
イリョン「うん。頑張って、大きなテ嬢(太陽」

去っていくテ嬢を、イリョンは見送り、小さく笑った。

イリョン「大きな太陽はちーっとも気付かずにいるようね」

カン・ウ「俺は依頼人の指示通り、チュ・ジュンウォン社長に接近する人たちを監視してる。テ・ゴンシルさんもその中の一人だった」
イリョン「調査するためにあの子と親しい振りしてたのね?」
カン・ウ「チュ・ジュンウォン社長の身辺保護のためにしてることだ。今後、立ち入ったり妨害するな」
イリョン「妨害しないわ。あんた、ミュージカルはコンシルと見るんでしょ?任務頑張って」

テ嬢はドアのガラスでボサボサ頭を繕い中。
彼女の後ろ姿をイリョンが冷たく見守る。

イリョン「あの子、デートだと思って来てるわ。可哀想に、大きな太陽」

+-+-+-+

会場のロビーに入ると、そこで待っているカン・ウの姿があった。

テ嬢「カン・ウさん!遅れちゃって怒ってますか?もう始まる時間みたいだけど、このまま入りますか?」
カン・ウ「僕たち、見るのはやめにしましょう」
テ嬢「どうして?」
カン・ウ「面白くないらしいですから」
テ嬢「面白いって聞いたけど…」
カン・ウ「面白くないって。今、現実でもないのに演じているのは見たくないんです。違うのにしましょう」
テ嬢「実は私も暗いところはあまり…。それならどうします?」
カン・ウ「あなたのやりたいことにしましょう。何も聞かずに、そのままついて行きますから」

戸惑いながら、それでも笑って頷くテ嬢。

+-+-+-+

自宅に戻り、飲み物を用意するチュ君。
先ほどの書類を見た秘書が声を掛けた。

秘書「サインなさったんですね。内容は確認されたんですか?」
チュ君「えぇ。テ・ゴンシルが読んでくれました」
秘書「難読のこと、話されたんですか?」
チュ君「…えぇ」

微笑みを浮かべる秘書。

チュ君「これ以上はテ・ゴンシルに巻き込まれるまい。撃たれるところだったから、きつく注意しておいた」
秘書「随分驚かれたでしょうに、清心元一粒で大丈夫ですか?」
チュ君「これで十分ですよ」

グラスに飲み物を注ぐチュ君。

チュ君「あぁ、テ・ゴンシルのところにもそれ(書類)のコピーがありますから、何か問題がありそうだったら今すぐ連絡してください」
秘書「明日にしましょう。今、劇場でデート中なんでしょう?野暮な電話するわけにいきませんから」
チュ君「…。」
秘書「そのミュージカル、キングダムの秋の文化イベントに招致する公演なんですが、とても面白いそうですよ」
チュ君「(笑)マトモに座って見ていられるはずがない。何かが飛び出してきて怖くて逃げるか、可哀想だからって追いかけて出て来るか、二つのうちどちらかですよ」
秘書「そうじゃないでしょう。何か問題があれば社長に電話があるはずです。静かだと言うことは、上手くいってるんですよ」
チュ君「…。」

鳴らない電話に視線を落とすチュ君。

チュ君「…。」
秘書「全く。テ嬢もあんまりですよ。チュ君は驚いて清心元を飲んでるというのに、一人でデートとは(咳き込む)」
チュ君「(ジロリ)…。」
秘書「まぁ…、社長が驚いたからって、自分のデートを取り消すわけにもいきませんよね」

盛大に咳き込む秘書。

チュ君「具合でも悪いんですか?」
秘書「あぁ、年のせいか夏風邪を引くようになりましてね」
チュ君「主治医に連絡しておきますから、今すぐ病院に向かってください」
秘書「…。」
チュ君「キム室長は決して病気になってはダメです」
秘書「私の代わりが現れるまで病気になるわけにはいきませんよ」

清心元の苦さに顔を歪めるチュ君。

+-+-+-+

チュ君はベッドの上でマグロになっていた。

チュ君「清心元も飲んだから、寝なければ」

一瞬閉じた目をすぐに大きく見開く。

チュ君「誰かさんは苦い清心元を飲んでも眠れないのに…」

鳴らない電話を引っ掴む。

1524

チュ君「誰かさんは無事にラブラブのようだな」

+-+-+-+

カン・ウとテ嬢は漢江のほとりに来ていた。

カン・ウ「行きたい場所が特にないって言うからここに来たけど、いいですか?」
テ嬢「漢江ですね…。(ビクビク)私、昔お姉ちゃんと焼き鳥食べに来たら、引きずり込まれそうになって以来なんです(オドオド)」
カン・ウ「どこで?溺れそうになったんですか?」
テ嬢「えぇ。カン・ウさん、あまり近くに行くのはやめましょう」
カン・ウ「(頷く)それなら、(向こうを指差し)噴水ショーをやってるから、あっちに行ってみましょうか?」
テ嬢「そうしましょ!」

さっさと歩き出したテ嬢に笑ってついて行くカン・ウ。

漢江のほとりから急いで離れようとしたものの、目の前に突然現れたランナーのオバケ。
テ嬢は反対側へ行こうと提案。なりゆきで二人は自転車に乗ることに。

カン・ウの漕ぐ自転車の後ろに乗るテ嬢。
後ろをついてくるオバケに、テ嬢は気が気でない。

自転車を降り、再び歩き出した二人だが…。

カン・ウ「久しぶりに自転車に乗ったら楽しかったな。また乗りに来ましょうか?」
テ嬢「(走ってついてくるオバケに)嫌だって言ってるのにどうしてそんなにしつこいの?おじさん!」
カン・ウ「?」
テ嬢「!」
カン・ウ「あ…。嫌なら…いいんです」
テ嬢「あっ…カン・ウさん、そうじゃなくってね、私、暑いのが嫌いでね、ここ、すごく暑くて~」
カン・ウ「何か飲みますか?」
テ嬢「えぇ。(指差し)あそこに自販機があるんだけど…」
カン・ウ「(指差した方を見る)」
テ嬢「買ってくださると…」
カン・ウ「(ニッコリ笑って頷く)待っててくださいね」

一人になると、テ嬢はオバケと話し始めた。
どうも、もう一度ゴールテープを切りたいらしい。
拾ったテープを通りすがりの人に渡して頼み込み、ゴールを作ると、オバケは華麗にゴールした。

はぁ…お疲れさん ^^;

オバケもいなくなったことだし、カン・ウの元へ駆け寄るテ嬢。

テ嬢「カン・ウさん!」
カン・ウ「待ってればいいのに、どうしたんですか?」
テ嬢「申し訳なくって」
カン・ウ「(ニッコリ)それなら、これ,噴水ショーに行って飲みましょうか?」
テ嬢「…。」
カン・ウ「行きましょう(歩き出す)」
テ嬢「あー、水霊めちゃくちゃ怖いのに!お願いだから出ないで、出ないで~!」

+-+-+-+

すっかり疲れ果てて帰ってきたテ嬢。

テ嬢「はぁ。水霊ホントに怖かった。(部屋を見渡し)ついて来てないよね?」

バッグから携帯を出すと、さっきのチュ君の言葉を思い出す。「幽霊は怖くない。お前が怖い…」

テ嬢「…。」

箱から二つの扇子を取り出すと、彼女はそれをじっと見つめた。

テ嬢「私に付き合わされてオバケに悩まされるのは怖いよね…」

そのとき彼女の電話が鳴り始めた。
画面には「社長」の文字。

テ嬢「もしもし、社長!」
チュ君「…。」(←ソファーでクッション抱えてる。いつまで眠れないんだ)
テ嬢「私もオバケがついてくるのが怖くて電話しようかやめようか考えて…」
チュ君「(彼女の話を遮り)とりあえず。用件があって電話した」
テ嬢「?」
チュ君「今日お前が見たミュージカルを秋のイベントに招致する予定なんだが、レベルがどうだったか報告しろ」
テ嬢「それ、見られなかったんです」
チュ君「(ニヤリ)見られなかった?」

1527
テ嬢「えぇ、風に当たりに漢江に行ったんです」
チュ君「そうなのか?」
テ嬢「けど、そこでずっとランナーのオバケがついて来て、なんともないフリをするのがすごく大変だったんです」
チュ君「そりゃそうだろう」
テ嬢「それにね、噴水ショーを見に行ったんですどね、噴水で水霊が浮いたり沈んだり浮いたり沈んだりして、どんなに怖かったか!」
チュ君「(ニヤニヤ)」
テ嬢「それでね、オバケがついてくるんじゃないかと思って、社長に電話しようかと思ってたんですけど、こうやってグッドタイミングで電話が^^」
チュ君「(めちゃくちゃ嬉しい)」
テ嬢「ホントにありがとうございます」
チュ君「(声は冷淡)礼を言ってもらうために電話したんじゃない」
テ嬢「(幸せ)…。」
チュ君「それからお前、そういう話を俺にするなと言ったろ」
テ嬢「(それでも幸せ)…。」
チュ君「ミュージカルを見なかったんならもうイイ。消えろ、いや、切るぞ」

電話を切り、もう一度ニヤニヤ微笑むチュ君。

チュ君「テ・ゴンシルにも苦い清心元が必要だな。(ホッとして欠伸)はぁ、眠い」

テ嬢も穏やかな笑顔になっていた。

テ嬢「防空壕と電話しただけでも、怖いのが消えちゃった」

ぬいぐるみの腕を取り、その腕を撫でる…。

テ嬢「テ・ゴンシルゾーンがあるの。他のところは触っちゃダメだって。狭すぎるよね?」

+-+-+-+

公演で人形を拾ってきた兄弟。
案の定、何体も子どもの霊を連れて帰っていた。

#腕が出た瞬間、心臓止まるかと思ったよー ねぇー

晩ごはんを食べたがらない弟スンジュンを心配し、帰りの遅い母親の代わりに、兄スンモはテ嬢を呼びに行く。
部屋へ行き、座っているスンジュンに触れると、妙に冷たい。
テ嬢が薬を取りに出て行くと、周りを取り囲んだ霊が姿を表した。

霊「具合が悪くても、お前んちの母ちゃん来ないだろ?」
霊「ホントに友だちだな」
スンジュン「…。」

テ嬢が管理室で薬を探していると、大慌てで母親が帰ってくる。
「ごめんね」とスンジュンを抱きしめると、ホッとしたスンジュンとスンモが泣きだした。

霊「あいつはダメだな」
霊「母ちゃんが抱っこしてるもん」
霊「あの子は友だちになれないね」

そこへテ嬢がやって来て子どもの霊に怒鳴りつける。

テ嬢「あんたたちね!!!」
霊「!!!」
テ嬢「スンジュンに意地悪したの、あんたたちでしょ!」
霊「隠れろ~!」

スンモたちの部屋へと追いかけてくると、そこに霊の姿はない。
部屋を見渡したテ嬢は、奥に不審な人形があるのを見つける。

テ嬢「あんたたち、ここに隠れたの?」
人形「(目が光る)」
テ嬢「キャッ!」

+-+-+-+

翌朝。
社長室前へとやって来たチュ君の前に、テ嬢が走り出た。

テ嬢「社長!」
チュ君「?」
テ嬢「私、これ見つけたんですけど」

広げた袋の中には、スンモたちの部屋で見つけた人形。

チュ君「何だ?」
テ嬢「ここに変な子たちがいるんです。それでね」

「シッ!」と彼女の口元に人差し指を立てたチュ君は、黙って自分の腕を差した。

テ嬢「いえ、怖くて言ってるんじゃなくてね」
チュ君「それならもう行け」
テ嬢「社長、これね」
チュ君「テ・ゴンシルゾーンに”それで”の後に続く会話はない。消えろ」
テ嬢「…。」

チュ君の後について社長室に入ってきたテ嬢は、人形の入った袋を部屋の隅に置いた。

チュ君「テ・ゴンシル!」
テ嬢「?」
チュ君「何やってるんだ?それをなぜここに?」
テ嬢「これ、ちょっと危険な感じがするから預けようと思ったんですけど…」
チュ君「危険なものをなぜここに預ける?俺に危険な目に遭えと?」
テ嬢「社長はこういうの全然怖がらないでしょう?」
チュ君「…。」
テ嬢「ここにね、子どものオバケが3人も隠れてるんです」
チュ君「テ・ゴンシル。俺は昨日撃たれそうになったんだ。こういうときはだな、ビタミン剤でも買ってきて、”社長、昨夜はよく眠れましたか?””眠る前に清心元をお召し上がりになればよろしかったのに”とまではいかなくても!…幽霊3匹連れて来るのはナシだろ」
テ嬢「(嬉しそうに微笑む)そうしてもいいんですか?」
チュ君「?」
テ嬢「私、心配しても良かったんですか?」
チュ君「…。」
テ嬢「私、社長は心配されたり慰められるのは嫌なんだと思って、そういうこと言えなかったのに…。ふふっ、言ってもいいんですか?」
チュ君「まぁ、言ってみろ。耳の穴は開いてるから、いちおう聞こえるだろう」
テ嬢「社長♥」
チュ君「…。」
テ嬢「よく眠れましたか?♥」
チュ君「…。」
テ嬢「昨日すごくビックリなさったでしょう?♥」

思わずニヤリとし、慌てて表情を繕うチュ君。
彼女はバッグから薬剤の瓶を取り出した。

テ嬢「これ、オバケを見たときに飲むと効くから、いつも持ち歩いてるんです。社長もひとつどうぞ」
チュ君「(瓶をつまみ上げ)これ、医薬庁の許可を得てるのか?」
テ嬢「薬局で売ってるんです。これからは社長にもお分けしますから」
チュ君「これからも、引き続き、ずっと、一緒に驚こうって?」
テ嬢「いつも一人でビックリしてたけど、社長がそばにいてくださるから、この薬は減らしてもよさそう♥」
チュ君「…。(まんざらでもない)」
テ嬢「それからね、この人形はキングダムで一番安全な社長が預かってください」
チュ君「危険で怖ろしいものは保安室で守るべきだが?あそこにいるカンキャンディーに預けるべきなんじゃないか?」

#前回、悩んだ末に漢字を採用して「カン飴玉」としましたが、やっぱ変なので変えます^^;

迷いもなく首を横に振るテ嬢。

テ嬢「カン・ウさんには出来ませんよ。こういうのホントに嫌がるのに。ビックリさせちゃったら大変」
チュ君「(ノーブルな微笑み)驚いたら、(瓶を返し)これを飲ませて、(人形を指し)それを持って、(手をヒラヒラ)消えろ」

テ嬢は床に置いた人形の袋を持ち、逆に薬剤の瓶を床に置いて、社長室を後にした。

+-+-+-+

秘書室ではキム室長とテ嬢がにこやかに話していた。

秘書「テ・ゴンシルゾーンを決められたんですか?」
テ嬢「えぇ、でも、すごく狭いんです」
秘書「ははは。きっと広がりますよ」

秘書はデスクの上から封筒を取り上げ、彼女に渡した。

秘書「前に私に頼んでいたものですよ」
テ嬢「はい」

さっそく封筒を開けたテ嬢。
中に入っていたのは豪華な宝石の写真だ。

テ嬢「社長があんなに探してるのはこれなんですね。…たしかに100億に見えます」

その写真をめくると、若い女性の写真が顔を出した。

テ嬢「!」
秘書「チャ・ヒジュさんです」
テ嬢「生前はもっと美人だったんですね。綺麗だなぁ」

+-+-+-+

その頃、チュ君は床にポツンと置かれた薬の瓶と向き合っていた。

チュ君「何だ?置いて行ったのか。テ・ゴンシルが甘くてラブラブなのに、俺は何で苦いんだ?」

瓶から薬を一粒つまみ、口に放り込む。
苦さに顔を歪ませるチュ君。

チュ君「苦い!苦すぎる!!!」

+-+-+-+

顧客管理センターに持ち帰った人形。
なぜ良い子たちを苦しめるのか、人形相手に思いっきり問い詰めているところを、入ってきたカン・ウに見られてしまう。

カン・ウ「テ・ゴンシルさん?」
テ嬢「!!!」
カン・ウ「…。」
テ嬢「…。」
カン・ウ「人形と何してるんです」
テ嬢「…。」
カン・ウ「ひょっとして今、人形と話してたんですか?」
テ嬢「…。」
カン・ウ「全部分かってます。何回か見ましたから」
テ嬢「全部見たんですか?」

カン・ウは持っていたコーヒーカップをテーブルに置いた。

カン・ウ「ゴミ箱に話しかけたり、壁に掛けてある絵にも喋ってるでしょう?」
テ嬢「それ、全部見たんですか?」
カン・ウ「高校の同級生にもそういうヤツがいたんです。そいつ、自分の鉛筆にも名前つけて話しかけてたんだけど…。今、どこにいると思います?」
テ嬢「…精神病院?」
カン・ウ「(笑)NASAにいますよ」
テ嬢「?」
カン・ウ「アンドロメダに行く宇宙船を作るんだって言ってたんですが、本当に作ってるんです。テ・ゴンシルさんも想像力が豊富なのかもしれませんね」

1526

ホッとして微笑むテ嬢。

テ嬢「そうですよね。想像力…」

ふっと笑い、カン・ウはコーヒーを彼女に差し出した。

カン・ウ「コーヒー飲みましょう」

#完璧。完璧以外に何を言えと?この気遣いには心持って行かれますよねー。これが想像力じゃないとしても。

テ嬢はさっそく苦笑まじりにコーヒーに話しかけた。

テ嬢「ねぇコーヒー、あんた真っ黒ね!」
カン・ウ「(笑)よく話して、ブラックが好きでなかったらクリーム入れてくださいね」
テ嬢「ありがとうございます」

カン・ウは微笑んで背を向けると、外していたイヤーモニターを耳に戻し、部屋を出て行った。

+-+-+-+

~キングダムの休憩室~

カン・ウが怖がるからと、オバケが見えることをどうしても言えないテ嬢。
姉を前に溜め息を付いていると、警備員のハンジュがやって来て、また彼女をワッと驚かせた。
「ギャッ!」と悲鳴を上げて、一目散に逃げるテ嬢。

ハンジュ「テ・ゴンシルさん、なんであんなに驚くんですか?!」
姉「だからオバケみたいに脅かすなって言ったでしょ!」
ハンジュ「僕はオバケですか?」

ふいに、テ嬢が逃げる拍子に叩いてしまったハンジュの鼻から血が…。
手元のティッシュでささっと拭き、ごまかす姉だが…。

ハンジュ「これ鼻血でしょ!」
姉「違いますよ」
ハンジュ「これ、鼻血みたいな感じだけど!テ・ゴンシルさんに叩かれて鼻血が出たんなら、暴力事件ですよ!暴力事件!大変だぁ」
姉「違いますって~。(またハンジュの鼻から血が)あっ、(ティッシュで押さえ)鼻水だわ!フンって噛んでみて、フンって!」
ハンジュ「鼻水って感じじゃないけど」
姉「(コッソリ)また暴力沙汰で警察に連れて行かれてたまるもんですか」

+-+-+-+

驚いて逃げてきたテ嬢が辿り着いたのは、社長室の前だ。
彼女が溜め息をついているところに、出て来た社長と秘書が通りかかった。

チュ君「…。」
秘書「なぜ行ってご覧にならないんです?」
チュ君「キム室長が見ても、僕が行って、”どうした?”と声を掛けるのが当然ですか?」
秘書「あっ… テ嬢がああしてるときは、いつでもいらっしゃるじゃないですか」
チュ君「いつでも行って、行き過ぎて… もう行きません」

社長室に入っていくチュ君。

+-+-+-+

チュ君のデスクの前で、秘書は書類を読み上げていた。
読みながら、また咳こむ秘書。

チュ君「具合がよくなければもう一度病院へ行ってください」
秘書「いいえ。今日、必ずお見せしなければならない書類と…(コンコン!)」

激しく咳き込んだ秘書が苦痛で体を丸めた。

チュ君「(立ち上がり)キム室長!大丈夫ですか」
秘書「主君、今日一日だけ代わりの人を呼んではいけませんか?」
チュ君「誰です?」

直ちに目の前に現れたのはテ嬢だ。
彼女は彼の前で余裕の笑みを浮かべた。

1528

テ嬢「私、秘書として働いた経験もあるんです」
チュ君「…。」
テ嬢「でもね、そのとき、社長の横には頭に斧が刺さったおじさんが…何度も出て来て辞めることになっちゃって…」
チュ君「斧?どこぞの暴力団事務所か?」
テ嬢「いいえ。小さいけどちゃんとした金融会社でした」
チュ君「会社の名前は?」
テ嬢「セラ金融です」
チュ君「セラ金融…。去年そこの社長は殺人教唆容疑で捕まったろ」
テ嬢「そうなんですか!」
チュ君「幽霊は見ても、ニュースや新聞、そういうのは見ないのか?」
テ嬢「ニュースとか新聞に出て来るもの全部真実じゃないといけないでしょう?でも、オバケを見てみると、そういうのって全部真実じゃないんですよね」
チュ君「…。」
テ嬢「世界的な賞を取ったって新聞に出てた画家がいるんですけど、その画家は死んだ友だちが描いた絵をくすねたんですって。その画家が誰かって言うとね、社長」

声を潜め、彼に近づくテ嬢。
彼は長い人差し指で口元を制止した。

チュ君「言うな」
テ嬢「…。」
チュ君「(おでこをツン)一人でやってろ」
テ嬢「…。」
チュ君「俺はただ”我が国にも大きな賞をとるほど立派な画家がいるんだな” それで終わりにしたい。真実であろうがなかろうが。そこに持ってる新聞でも読め」
テ嬢「はい。真実かどうかはわかりませんが」

テ嬢は手に持っていた新聞を声を出して読み始めた。

テ嬢「キングダムで子どものための夏のイベントが消費者たちの好評を得ている、だそうですね」
チュ君「それは事実だ。いいな。続けろ」

+-+-+-+

キム室長の代理をテ嬢が務めていることは、すぐ副社長の耳に入った。
テ嬢がチュ君の弱点になるだろうとほくそ笑む副社長。

アン代理「叔母様が反対なされば、お父様も反対なさるのでは?」
副社長「チュ君が一番憎んでいるのは自分の父親のはずだ。事実かどうかはわからんが、前にあの女の子が死んだのは、チュ社長の父親のせいだって噂があった」

一方。チュ君の叔母の話はこうだ。

叔母「あのとき、兄が身代金を払わなかったから、ヒジュっていう子が死んだと話があったの。話にもならない戯言だけど」
イリョン「そりゃそうですわ。まさか、息子が死ぬかもしれないのに、身代金を出さないわけがないもの」
叔母「チュンウォンがそう考えてくれればいいんだけど」
イリョン「?」
叔母「兄が外国に発ったのは、そのとき無くなった宝石を見つけ出して、誤解を解こうとしてるんじゃないかと思うわ」
イリョン「…。」
叔母「まぁ、そうなのかどうかは分からないけれど」

またまた一方。スペインではチュ君の父親がゴージャスレディーとワインを嗜んでいた。

レディ「どうして息子さんを監視しているの?」
チュ君父「あの子が犯人を見たようなんだが、絶対に見ていないと言うんだ」
レディ「…。」
チュ君父「それが本当なのかどうか、わからないんだ」
レディ「犯人が息子さんのそばに現れるのを恐れているの?」
チュ君父「ふーむ」

+-+-+-+

~保安室~

カン・ウが見守るモニターには、二人で歩くチュ君とテ嬢の姿が映っていた。

ハンジュ「キム室長の具合が悪くて秘書の席が空いた途端に、テ・ゴンシルさんがピタッと横につきましたね。そういう関係に違いない」
カン・ウ「本当かどうか分からない話を、むやみに言いふらさないでください
ハンジュ「チーム長。ミステリーサークルより謎めいたタックサークル(目の下のクマ)のテ嬢から早く手を引くことです。(肩をトントン)気の毒に」

+-+-+-+

チュ君はテ嬢を伴い、キングダム内を移動していた。

チュ君「重役会議の間、よく聞いて資料を整理するんだ」
テ嬢「会議資料を整理したら、もう一度お読みしましょうか?」
チュ君「いらん。(自分の頭を指し)全部入ってる。読まずに済まそうと思ったら、集中して一度に頭に入れなきゃならないからな」
テ嬢「一日中ついて回ってみたら、社長ってすごくお忙しいんですね」
チュ君「社長社長と言いながら、俺がここの社長だって認識、ほとんどないだろ?」
テ嬢「社長室で毎日望遠鏡ばかりご覧になってるから、暇なんだと思ってました」
チュ君「…。」
テ嬢「やることも多いのに、毎日何をあんなに覗いていらっしゃるんですか?」
チュ君「お前の見てる世界の話ばかりだったのに、俺が見ている世界が今になって気になるのか?」
テ嬢「…。」
チュ君「一度見てみろ」

チュ君は先に立って歩き出した。

+-+-+-+

前半で区切りますねー。
こうでもしないと、「記事の途中で一旦やめる」ってことが出来ない子なんで^^;

 - 主君の太陽 ,

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