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主君の太陽11話あらすじ&日本語訳 vol.2

   

ソ・ジソブ、コン・ヒョジン、ソ・イングク、キム・ユリ主演、「主君の太陽」11話後半です。

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テ嬢の部屋着は「Jesus save me」

さっそく~

+-+-+-+

チュ君はテ嬢を助手席に乗せ、意気揚々と清平へ向かっていた。

チュ君「ジャイアントモールの社長、会議の間じゅう、うわの空だった。おかげで車両進入路はうちに有利な方向になりそうだ」
テ嬢「お父さんに裏切られたショックが大きいんだわ」
チュ君「子どもの頃から鍛えていれば知らん顔していられるのにな」
テ嬢「社長もあまりお父さんのこと好きじゃないんですか?」
チュ君「…お互いあまり好きじゃない」
テ嬢「…。」
チュ君「それより、その別荘、勝手に入っていいのか?無断家宅侵入でまた留置場に入るのはゴメンだ」
テ嬢「行ってくれって言われたんだから、行けば会長が待っていらっしゃると思います。案内してくれるでしょう」

+-+-+-+

緑が青々と生い茂る中に、ひっそりとその別荘は現れた。
テ嬢たちが入って行くと、奥の部屋の椅子に静かに座っている会長の姿があった。

テ嬢「あそこにいらっしゃいます」
チュ君「(頭を下げ)少しの間失礼します」

会長と話し、頷くテ嬢。

テ嬢「カメラに入ってる女性の写真を削除してほしいって」

そのテーブルにはいろいろな物が置いてある。
そこからチュ君がカメラを手に取ると、テ嬢が慌てて取り上げた。

チュ君「?」
テ嬢「誰にも見られないようにしてくれって」
チュ君「いらん。俺だって見たくない。さっさと消して出よう」
テ嬢「えぇ」

テ嬢はカメラの電源を入れると顔をほころばせた。

テ嬢「これ、ご自分で撮られたんですか?」

そこには鳥や花の写真が次々と現れる。
そのとき、「部屋はそのままにしてありますよ」と人の声がした。

チュ君&テ嬢「!!!」

管理人に案内され、ジャイアントモールのイ社長が部屋へとやってくる。

イ社長「ここの物は僕が整理します。全て燃やしますから焼却場に火の用意をしておいてください」
管理人「はい」

管理人が玄関へ戻っていくと、イ社長は部屋のドアを開けようとするが、中から閉まっているようで開けることができない。
中からチュ君が鍵をかけ、ドアノブを押さえていたのだ。

イ社長はドアの脇にあったコンソールテーブルの引き出しから鍵束を見つけ、1つずつ順に鍵穴にさす。

チュ君「出口もないし隠れる場所もないぞ」
テ嬢「(カメラを見て)早く消さなきゃ!」

カメラを持つ手をチュ君が押さえた。

チュ君「今はダメだ。もしバレたとき、これがあれば俺たちが来た理由を説明できるだろ」
テ嬢「息子に見られないようにしてくれって頼まれたんですから!」
チュ君「息子に見せてこそ、俺たちはここを出られるんだ」
テ嬢「…。」

イ社長の手元の鍵が残り1本になったとき、彼の電話が鳴った。

イ社長「はい」
チュ君「キングダムのチュ・ジュンウォンです」
イ社長「チュ・ジュンウォン社長」
チュ君「今日合意したショッピングモールの進入経路、一方的にこちらに有利すぎたんじゃないかと思ってお電話しました」

部屋の中で話すチュ君の眉間に深いシワが刻まれる。

イ社長「実は私も会議の後、失敗したと思っていたんです。そちらからお電話くださってありがとうございます」
チュ君「(怖い顔)それではそちらの立場を考慮して、もう一度協議することにしましょう。今すぐキングダムまでお越しください」
イ社長「あぁ。今、清平にいるんですが」
チュ君「(もっと怖い顔)今すぐお越しください。私が心変わりする前に、今すぐです」
イ社長「…。えぇ、そうしましょう。今すぐ向かいます」

電話を切ったイ社長が、廊下を遠ざかっていく声が聞えると、チュ君はガックリと頭を垂れた。

テ嬢「行きましたよ」
チュ君「当然だ。俺が今どれだけ譲歩したか想像もつかないだろ」
テ嬢「(部屋の奥をチラリ)会長、感謝していらっしゃるみたいです」
チュ君「(立ち上がり)貸せ。俺が消すから」
テ嬢「誰にも見せちゃ駄目だって言ったでしょう?」
チュ君「なら早くしろ。俺だって見たくない」

テ嬢はもう一度カメラの電源を入れた。

チュ君「それにしても、会長は女を隠すことが大事で、自分の息子のことは全く考えてないようだな」
テ嬢「…。」
チュ君「実業家が重要な決定を逃すほど魂を奪われたのに、女を隠すより息子に対して”すまなかった、面目ない”…そういう言葉を伝えてくれとお前に頼むべきじゃないのか?」

イ会長が悲しそうにかすかに目を伏せた。
チュ君が棚においてある女性物の靴を乱暴につつく。

チュ君「こんなふうに終わるんなら、最初から明かして鍛えておくべきだったんだ」
イ会長「…。」
チュ君「徹底的に隠しておいて、息子に巨大な爆弾を残して逝ったな」

カメラに残された写真を確認していたテ嬢は、ある写真を見てハッとした。

テ嬢「この女性みたいですね」

1618

彼女は驚いてイ会長を見つめる。
イ会長もまた、目を丸く見開いて彼女を見た。

テ嬢「…。この方だったんですか?」
イ会長「…。」
チュ君「早く消して帰るぞ」
テ嬢「会長が…社長にだけお見せしろって」
チュ君「いらんと言え」
テ嬢「でも…。息子さんが女性の写真を見たら、どんな気持ちになるか知りたいそうなんです。見て考えてくれないかって」
チュ君「俺に?」
テ嬢「(頷く)」
チュ君「(笑)俺は父親に鍛えられてるから、女の年齢、人種関係なく特にショックは受けないがな」

そう言って、テ嬢の差し出したカメラを受け取る。
画面を見ると、彼の目つきが変わった。

チュ君「!」

+-+-+-+

キングダムへ向かう車の中で、イ社長の電話が鳴った。

イ社長「チュ・ジュンウォン社長、今向かっているところですよ」
チュ君「戻ってください。今、あなたの清平の別荘、お父さんが亡くなった部屋にいます」

+-+-+-+

別荘へ戻ってきたイ社長を、チュ君とテ嬢は整列して迎えた。

イ社長「あなた方がなぜここに?」
二人「…。」
イ社長(テ嬢に)違うと言っていたのに…あんただったのか?」
テ嬢「…。」
イ社長「父さんの女はあんたか?!」
テ嬢「…。」
チュ君「しっかりしろ!」
イ社長「?」
チュ君「(テ嬢を指し)こいつは俺の。あんたの父親が隠してた女はこっちだ」

そう言って一枚の白い紙を出すと、目の前のテーブルの上に置いた。

イ社長「この写真で私を脅迫するつもりですか?」
チュ君「それなら、ジャイアントモールをうちのキングダムの隣からなくしてください。オープンを取りやめに出来ますか?」
イ社長「父が何を残そうと、それは父の問題です」
チュ君「…。」
イ社長「ショックは受けるでしょうが、そのために揺れたり駄目になったりすることは決してありません。私が父を憎むことはあっても、他人に後ろ指をさされるよようなことは絶対に許さないつもりです」
チュ君「それなら…(写真に視線を落とし)見るんだ」
イ社長「…。」

チュ君は隣にある誰も座っていない椅子に声を掛けた。

チュ君「会長」
イ社長「?」
チュ君「あなたが息子を守るよりも、息子にあなたを守らせるほうがマシでしょう」

テ嬢がテーブルの上の写真を手に取り、イ社長に差し出した。

テ嬢「この世でたった一枚…残った写真です」
イ社長「…。」
テ嬢「お父さんが生涯隠して、胸に抱いて生きた女性です」

イ社長は二人の真意を探るように順に見比べ、写真を受け取った。
写真を裏返すと…。

イ社長「…………。」

#何たる結末^^;;;;;

どう反応していいか分からず、キョロキョロと視線を動かすイ会長。
写真の中にいたのは、綺麗に化粧をし、ウィッグを付けて女装したイ会長、その人だった。

テ嬢「生涯、誰にも見せられなかった女性だそうです。守るべきものが多すぎて、永遠に隠すしかなかったって…。お父さんから感じた香りは、その方の香りだったんです」

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テ嬢「亡くなる前、最後にたった1枚だけ、その方の肖像写真を撮りたかったそうです」
イ社長「…。」
テ嬢「一人で葬儀を執り行うつもりでいらっしゃったんですけど、急に倒れてしまって…。息子さんが知ったらショックを受けるだろうと…隠したがっていらっしゃったんです」
イ社長「…。」

イ社長は何も言わず、長い間その”女性”の写真を見つめた。

イ社長「父が守ってきたものを、これからも守らなければ」

彼は父の見守る前で、ライターを取り出し、写真に火をつけた。
炎の中に消えていく写真に、会長の目が穏やかになる。

1620

#いや、それわざわざ印刷したやつだから。データはカメラの中だから。

イ社長「気の毒な女性の葬儀は…息子がおこないます」

息子の顔をしばし優しい目で見つめると、イ会長は安心して煙のように姿を消した。

+-+-+-+

後日。
チュ君はキングダムにいた。

チュ君「父が明日出国するそうです。それでも僕に会うつもりはないと?」
キム室長「主君が来るのを待っておられるようです」
チュ君「宝石の行方について弁明しに来ないのは、本当に父が取り返し、持っているからでしょうか」
キム室長「もしかしたら、何かを隠して息子を守りたいのかもしれないでしょう?」
チュ君「(ジロリ)」
キム室長「カンチーム長がテ・ゴンシルさんのことをお父さんに話したそうです」
チュ君「…。」
キム室長「デタラメな話に主君が騙されているんじゃないかと、気にしておられるようですよ。主君が行って説明しないと、カンチーム長を通してテ嬢をお呼びになるかもしれませんよ」
チュ君「…。」

二人が話していると、大きな花束を抱えてエントランスを入ってくるジャイアントモールのイ社長の姿が見えた。

チュ君「何でまた来たんだ?車両進入の件は協議し直さないことになったのに」
キム室長「花束を持っているってことは、主君に会いに来たわけじゃないようですが?」
チュ君「(ジロリ!)」
キム室長「テ嬢の温かい心を一度感じたなら、その後も訪ねてくることもありえるでしょうな」
チュ君「…。」
キム室長「ジャイアントモール社長の花束は本当に大きいですねぇ~。ははっ」
チュ君「…全く暇なんだな。配達させればいいものを」
キム室長「直接渡せばもっと喜ぶでしょう。それに確実に渡したかどうか自分の目で確認できます」
チュ君「(ジローーーリ)」
キム室長「…。」

+-+-+-+

チュ君はゴミ箱おじさんのベンチの前に、怖い顔で立っていた。

チュ君「渡したのか渡していないのか、ハッキリさせてくれ」

動かないゴミ箱を睨みつけると、チュ君はベンチの反対側に腰掛けた。
どことなく緊張し、膝を揃えるチュ君。

チュ君「持って行ったのなら、ゴミ箱の蓋をペン!回してください」

ゴミ箱の蓋が豪快に回った。

チュ君「!」

1621

チュ君の顔がパッと明るくなる。

チュ君「渡せたんだな。…それならいい」

それならいいと言っておいて、もう一度隣の空席を振り返る。

チュ君「喜んでたか?」

ゴミ箱の蓋の揺れが静まっていく。

チュ君「そうでもなかったみたいだな」

その瞬間、ゴミの箱の蓋がもう一度勢いよく回った。

チュ君「そんなに喜んでたのか?…直接渡したら、喜ぶのを見られたのにな。(首を小さく横に振る)俺はそんなことやらないことにしたんだ。…やるもんか」

彼は長い間そこにじっと座っていた。

+-+-+-+

イ社長の対応はキム室長がおこなっていた。

キム室長「テ嬢は社長にとって特別な人なんです」
イ社長「テ嬢がキングダムにいなければならない理由があるんですか?」
キム室長「(ニッコリ)えぇ。わが主君の太陽ですから」
イ社長「…。」
キム室長「私がありがたくお預かりして、お渡しします」

イ社長も穏やかに微笑む。

イ社長「残念ですね」

花束をキム室長に渡すと、イ社長は思い出したように「あ…」と声を上げた。

イ社長「チュ・ジュンウォン社長にお伝えください。望遠鏡は僕も持っていると」
キム室長「…。」

クスリと笑うと、イ社長は去って行った。

+-+-+-+

「これ、召し上がって」

顧客センターで毎日催されるティータイムは日に日にリクエストが増え、豪華になっていた。
本日は美味しそうなマカロンがテーブルに並び、4人分のコーヒーが用意されていた。
見えない顧客たちを迎え、テ嬢が一人で接待する。

「えぇ。広報部のキム代理とパク次長が?あぁ、それで喧嘩したんですね~。(笑顔)私が誤解を解いて差し上げればいいんですね?」
「え?駐車場のキムおじさんが失くした物?どこですか?あぁ、駐車場?あのショッピングカートの後ろですか?分かりました。私が見つけてお渡ししますね」
「(突然隣に現れる幽霊に)きゃっ!急にそんな近くに寄らないでくださいよ!そんなことなさるなら社長呼びますよ。社長に触ったらどうなるか(幽霊たちを指差し)皆さんご存知ですよね?!」

+-+-+-+

叔母夫婦の前に何度か顔を見せた謎の女性。
彼女がキングダムに現れた。
叔母が彼女に気づくと、彼女はニッコリ微笑んで頭を下げる。

叔母「買い物にいらしたのね」
女性「はい、奥様もですか?」
叔母「甥がここの社長で、夫が副社長なんです」
女性「あぁ、そうなんですね」
叔母「…結婚なさっていないわね?」(←駄目ー!そんなこと聞いたら!
女性「はい。仕事ばかりで」
叔母「そうなのね。いつかうちで一緒に食事をしましょう。甥と同じマンションに住んでいるの」
女性「はい、ありがとうございます」

礼儀正しく頭を下げて去っていく女性に、叔母は優しい視線を送った。

叔母「悪くないわ。名前を聞いてなかったわね」

しばらく歩いたところで女性が立ち止まる。
彼女の横をチュ君が通りすぎた。

女性「(呟く)久しぶりね。チュ・ジュンウォン」

+-+-+-+

チュ君父はもう一度あの写真を見つめると、絵葉書の束と一緒にそれを封筒に収めた。
そこへチュ君がやって来ると、ぶっきらぼうに「来ましたよ」と声を掛ける。

父「来ないと思ったがな」
チュ君「父さんからどんな答えを聞こうと、首を縦に振らない自信がありますから」

チュ君は父の向かいに腰を下ろすと、長い足を組んだ。

父「私の答えの前に、お前が先に話すんだ」
チュ君「そうしましょう。ヒジュが犯人だったんです」
父「…。」
チュ君「僕はあいつに完璧に騙され、母さんのネックレスのことも僕があいつに話したんです」
父「私は確かにネックレスを身代金として出した」
チュ君「…。」
父「身代金を受け取りに来たヒジュを私は信じた。まずはお前を救わなければならんから、バカみたいに差し出したんだ」
チュ君「親子揃って、完璧にヒジュに騙されたんですね」
父「…。」
チュ君「もうすぐ時効になりますから、あの出来事は僕の人生の中で完全に終わります」

それだけ言って立ち上がると、父が彼を呼び止めた。

父「チュンウォン!」
チュ君「…。」
父「まだあの事件のために字を読めずにいるんだろう」
チュ君「…。」
父「そんな状態で終わりにできるのか?」
チュ君「読まないんです。ですが、読みたいものが一つ出来ました」
父「私がここへ来たのは、お前に見せたいものがあるからだ」

父は封筒を差し出した。

父「これを見ればまた動揺するかもしれないが、耐えられるか?」

チュ君はその封筒を見つめ、視線を父に移した。

チュ君「ヒジュに関する物ですか?」
父「あぁ。お前が見たくないのならカン・ウに預けて、見張っておくように言おう」

父はチュ君の意志に任せ、封筒をテーブルの上に置いた。

父「見るかどうかはお前が決めろ。見ることになれば、説明はカン・ウから聞くんだ。…もう行け」

チュ君は封筒を拾い上げる。

チュ君「父さん。身代金のことをハッキリ話してくれなかったのは、ひょっとして僕が苦しむだろうと、父さんが背負い込んだんですか?」
父「信じたいように信じろ」
チュ君「…。」
父「お前もしかして、私のことを一度も疑ったことはなかったのか?」
チュ君「父さんも信じたいように信じてください。お元気で」

最後まで淡々と話し、父子は別れた。
息子が出て行くと、父は満足気に笑顔を見せる。

#いやぁ、思いがけずいいシーンだった。
前回チュ君が父の言葉を思い出して「あれも完璧に騙されたのかも」と呟いたセリフと繋がりましたね。

+-+-+-+

社長室に戻ったチュ君は、父に渡された封筒を見つめていた。
「チャ・ヒジュ…」中身を取り出そうとして、やはりためらって封を閉じる。

彼はそれをデスクの上の箱に収めた。
そこへやって来たキム室長が、本の束を豪快に机の上に置く。

チュ君「ビックリした!」
キム室長「主君がおっしゃっていた絵本です」

それは1冊ではなく、何冊も重なっている。

チュ君「こんなにたくさんあるんですか?1冊じゃないのか」
キム室長「たくさんあります。文字だってものすごく多いですよ」
チュ君「6冊もあるのか」
キム室長「読んで差し上げましょうか?」
チュ君「結構です!」(←なぜか爆笑

「自分で読みますから」と頑なに拒み、チュ君はメガネを掛けた。

一番上の本を手に取ると表紙をじっと睨む。
小刻みに震える文字と、彼は闘った。

チュ君「あらし…の?よる…に」
キム室長「偶然ですねぇ。テ嬢に初めて会った夜もそうでした」
チュ君「…。」

キム室長は嬉しそうに笑った。

+-+-+-+

顧客センターの次のお客はカン・ウだ。

カン・ウ「死んだチャ・ヒジュさんが犯人だってことは、テ・ゴンシルさんも知っていたんでしょう?」
テ嬢「あ…それは…」
カン・ウ「今日、チュ・ジュンウォン社長がお父さんに会って、全部話したそうです」
テ嬢「そう言ってました?」
カン・ウ「死んだチャ・ヒジュさんを見たのに、犯人については聞き出せなかったんですか?」
テ嬢「見たのは確かなんですけど、役に立つことは何も言ってくれなかったんです」
カン・ウ「チュ・ジュンウォン社長はこの事件を全て解決するまでテ・ゴンシルさんを手放さないでしょう?」
テ嬢「んー、そうかもしれませんね」
カン・ウ「犯人を見つけて初めて終わるんですね」
テ嬢「私に出来るなら、全部解決して終わらせたいわ」
カン・ウ「…。」
テ嬢「それなら…もうカン・ウさんはキングダムにいる理由がなくなったんですか?」
カン・ウ「いいえ。僕はここに残ります。終わりを見ないと、新しいスタートをきれませんから」
テ嬢「…。」
カン・ウ「あぁ、引っ越しはするかもしれませんね」
テ嬢「カン・ウさん、コシテルから出るんですか?」
カン・ウ「…やめましょうか?」(←キャッ♥

1622
テ嬢「…。」
カン・ウ「行くなって引き止めなきゃいけないんじゃ…ないですか?」
テ嬢「…。(目をパチパチ)」
カン・ウ「コシテルの総務なんですから^^」
テ嬢「あぁ…。部屋、出ないでくださいよぅ…」
カン・ウ「あぁ、アパートもう決めちゃったんだけど…。総務に留められたら仕方ないな」
テ嬢「(微笑)」
カン・ウ「出て行きませんよ」

穏やかに笑い合うと、カン・ウは部屋を出て行った。

テ嬢「アパートがあるって私に自慢したのかな?」(←アホーーー

+-+-+-+

保安室へ戻ると、カン・ウは話題の的になっていた。
「検索一位ですよ」と見せられたその画面には、インターネット検索1位の欄に「テ・イリョン 彼氏」とある。
その関連語が1~3位を独占していた。

ハンジュ「スーパースター カン・ウ♪」
カン・ウ「はぁ…。最悪だ」
ハンジュ「実物より写真のほうがいいけど、一位になったんだからサングラスでも買いに行きましょうか?」

+-+-+-+

「この人は私の恋人じゃありません」

イリョンは記者の前でカン・ウのことを否定した。
記者は、この男性がキングダムの保安チーム長であり、イリョンが最近しきりにキングダムに出入りしていることを把握していた。

記者1「適当に認めれば、美談にまとめますから」
イリョン「私が最近付き合っているのは、キングダムの人に間違いはありません」
記者たち「…。」
イリョン「でも、この人じゃないわ」

1623

この写真、どこで買えます?かっこええー♥

隣でマネージャーが爆弾が弾けるのをビクビクして待っていた。

イリョン「社長のチュ・ジュンウォンです」
マネージャー「!!!」
記者2「キングダムの社長ですか?」
記者1「本当ですか?」

黙ってそっぽを向いた彼女は、密かに片方の口角を上げた。

+-+-+-+

明日、チュ君に関する記事が出るという知らせが副社長に入った。
確認もせずに記事を出せば訴えると主張する副社長。

テ・イリョンとのスキャンダル記事が出ると聞き、「何ですって?」と叔母は顔をしかめた。

「恋人がいらっしゃるんですか?」

彼らの前に座っていた謎の女が疑問を投げかけた。
さっそく3人で食事の席を設けていたのだ。

叔母「違うのよ。私も同席して何度か食事をしたのだけれど、相手が芸能人だからネタにされたんだわ。話にもならない」
副社長「何が何でも否定するんでしょう?」
叔母「ちょっと待って。ひとまずチュンウォンと話してから決めましょう」
副社長「チュ社長にはテ・ゴンシルがいるじゃないか。テ・イリョンと同級生なのに、ありえないよ」

テ・ゴンシルという名前に、女性の目が鋭くなる。

叔母「それを口実に、チュンウォンがあの子のことをどこまで考えているのか、聞いてみるつもりよ」
女性「恋人はテ・イリョンじゃなくてテ・ゴンシルのようですね」
叔母「あぁ…ごめんなさい。初めて食事の席を設けたのに、家の中のことで騒がしくして」
女性「いいんです。面白いですね」

#すっかり関係が盛り上がってるのに、後から急に出て来て偉そうに引っ掻き回す人って嫌ですわー。
すんごく嫌。この人はヒジュ事件に徹してほしいね。

+-+-+-+

テ嬢が顧客センターを出ようとすると、急いでやって来たチュ君と出くわした。

チュ君「!」
テ嬢「!」
チュ君「テ嬢」(←ここまでの3行、何故かすごく気に入って鬼リピ
テ嬢「?」
チュ君「”私、決めました”の続きはどこだったんだ?」
テ嬢「何ですか?」
チュ君「葬儀に行く前、”社長、決めましたよ”…そこはどこだ?」
テ嬢「どうして?」
チュ君「なぜかと聞くお前のほうが変だ」
テ嬢「…。」
チュ君「そこに行こうっていうのが…何だ?嫌なのか?」
テ嬢「………。」
チュ君「行きたいなら、少しだけ待ってろ」

勝手に喋って、勝手に戻っていくチュ君。

テ嬢「???何?口説いてもなびくなって言ったくせに。待ってればいいのか、待つなっていう意味なのか、どっち?」

しばらくキョトンとした彼女は、ニッコリ笑い、今出て来たばかりの部屋に戻った。

+-+-+-+

社長室に戻ってきたチュ君は、ソファに静かに叔母が座っているのに気づく。
すたすたと歩いて向かいに座ると、彼は手早く話し始めた。

チュ君「覚悟してましたよ。ずっと避けてましたけど、会ったついでですから。時間がないのでキッカリ10分でお願いします。割った壺と破婚、3:7の比率でいいですね?」

黙っていた叔母が静かに口を開く。

叔母「チュンウォン、あなた…テ・イリョンとスキャンダル記事が出るそうよ」
チュ君「…誰です?」
叔母「イリョンさん。20分は必要ね」
チュ君「…。」

+-+-+-+

チュ君を待ちながら、髪を綺麗に束ねたテ嬢は、しまってあった太陽のネックレスを取り出した。

テ嬢「受け取ってないふりしてたのに、今になってつけたら何か望んでるように見えるわ」

#鈍感なくせに、どうしてそういうところは変な気を回すんだろう、君は。

それでも、胸元にネックレスを合わせ、鏡を覗いてみる。

テ嬢「このくらいだけでも、好きだってこと表に出したら駄目かな?」

悩んだ末に、彼女はネックレスを首に掛けた。

+-+-+-+

「まぁ、知ったことじゃないですけど、テ・イリョンはうちのモデルですから、イメージダウンになるのは防がなければ」

チュ君はそれでも手早く片付けようとしていた。

叔母「本当にそれだけ?テ・ゴンシルのためじゃなくて?」
チュ君「…。」
叔母「破婚も日常茶飯事のあなたが… 読みもしない記事を一笑に付すだろうとは思ったけれど、テ・イリョンさんはあの子の同級生なんでしょう?それが気がかりで防ぎたいんじゃないの?」
チュ君「テ・ゴンシルはそんなこと気にしません。そのときにも言いましたが、そんなことで決して僕から離れたりはしませんから」
叔母「私はそれがもっと不思議なのよ!どうして気にしないの?あなたが結婚すると言ったときも、壺ばかり見て他の話をしたのよ」

そっと歩いてきた誰かが、その声に足を止めた。

チュ君「その通りです。別世界に住む子だと思って、そっとしておいてください」
叔母「…。」
チュ君「叔母さんのやり方で、あいつは恐れをなしたりしません」

止まった足が、後退りする。

チュ君「首を縦に振ることもないでしょう」

腕時計をチラリと見た彼は、叔母を置いて立ち上がった。
出口に向かおうとすると、そこに立っているテ嬢に気づき、立ち止まる。

チュ君「…。」
テ嬢「…。」

彼女に気づかない叔母が話を続けた。

叔母「あの子はプライドもないの?あなたをそんなに愛しているわけ?」
チュ君「…。」

テ嬢は気まずそうに胸元のネックレスを手で隠した。
彼はそれから目を逸らさず、叔母に答える。

チュ君「彼女に…プライドはありません」
テ嬢「…。」
チュ君「俺を失ってはいけないハッキリとした理由があるから、プライドを保つ余裕がないんです」
テ嬢「…。」
チュ君「愛していると僕が言っても、その愛に応える余裕もありません。だから…安全です」
テ嬢「…。」

チュ君「そうだよな?」

驚いた叔母が初めて振り返った。

テ嬢「…はい」
チュ君「…。」

叔母「私に10分くれると言ったのは、彼女を連れて出るつもりだったからなの?」
チュ君「…。行こう」
叔母「テ・ゴンシルさん、全部聞いていたんでしょう?それでもチュンウォンを連れて出て行きたい?」
テ嬢「…はい。私、気にしません。そんな余裕がないんです。…行きましょう」

テ嬢は背を向け、社長室を出て行った。

チュ君「…。」
叔母「チュンウォン、今のあなたの顔、安全なようには見えないわ」

チュ君はそれには答えず、彼女の後を追った。

+-+-+-+

社長室を出て、秘書室を通り過ぎる。
廊下に出たところで、彼は彼女の手首を捕まえた。

涙の滲んだ顔で、彼女は俯いたまま振り返った。

テ嬢「社長、私、決めました。次は家に帰ります。疲れました」

涙で声にならないまま再び背を向けようとした彼女を、彼はそれでも引き止めた。
太陽のネックレスを握る彼女の手に力が入る。

テ嬢「帰ります」

彼女は引き止める彼の手をすり抜けた。

チュ君「…。」

+-+-+-+

人気のない廊下を、彼女は裏口へ向かって泣きじゃくりながら歩いた。
歩けば歩くほど感情が溢れて止まらなくなる。

+-+-+-+

書斎の机に重ねた絵本を、彼は眺めた。
ふと、窓ガラスに映る自分の顔を見つめる。

1624

もう一度絵本に視線を戻すと、彼は立ち上がった。

+-+-+-+

自宅の鏡の前で、彼女はネックレスを外した。
無造作に机に落ちたネックレスが小さく音を立てる。
何もなくなった胸元を、彼女は確かめるように撫でた。

テ嬢「見せるんじゃなかった」

+-+-+-+

テ嬢の部屋の前へやって来たチュ君は、ドアを叩いた。

チュ君「テ・ゴンシル。いるのは分かってるから、早く出て来い」

怖い顔で武装したテ嬢がドアを開けると、そのまま彼の前を通り過ぎ、背を向けて立ち止まった。

チュ君「耐えられると言ったくせに何故泣く?」

テ嬢は振り返ると、冷たい表情で彼を見た。

テ嬢「あんた、誰?」
チュ君「?」
テ嬢「あぁ、あんたが例の薄情なチュ・ジュンウォン?」
チュ君「チュ・ジュンウォン?お前、どうした?」
テ嬢「何しに来た?(自分を指し)この子がそんなに容易く見えるか?」
チュ君「?」
テ嬢「あんた、何でそんなに自分勝手なんだ?このろくでなし!」
チュ君「お前、今誰か入ってるのか?テ・ゴンシルじゃないのか?」
テ嬢「あぁ、この野郎」
チュ君「!」
テ嬢「この子を弄んだんだろ。この子が言ってた。あんたと遊ぶとケチくさいってな」
チュ君「…。」
テ嬢「だから大人しく体だけ貸して、たぶらかそうなんて思わずに消えな」

1625

チュ君が普段やるとおりに手でヒラヒラと振り払い、部屋に入ろうとすると、その腕をチュ君が捕まえた。

テ嬢「消えなってば!!!」
チュ君「そちらは消えないのか?俺が掴んだのに」
テ嬢「!!!…出てすぐに戻ったんだ。お前に幽霊のことが分かんのかよ!」
チュ君「幽霊のことは分からないが、追い払ってやったことはたくさんある」
テ嬢「追い払ってやったせいで、この子は何も出来ずにものすごく辛いって」
チュ君「…。」
テ嬢「めちゃくちゃ辛いって。この最低男」
チュ君「…分かったから。テ・ゴンシルと話そう」
テ嬢「…。あんたとは話すことないってさ。帰りな」

部屋に戻ろうとする彼女の背中に、彼はその場に立ったまま続けた。

チュ君「お前…」
テ嬢「…。」
チュ君「クルミ割り夫人がどうやって消えたのか知らないだろ?」
テ嬢「それが何?一発殴ったのか?」

テ嬢が振り返る。

チュ君「よく見ろ。戻ってくるんだ」

腕を掴むと、彼は一瞬のうちに彼女を引き寄せ、口づけた。

テ嬢「!!!」

この前はためらっていた手も、今度は彼女の背中を強く抱きしめる、
彼の胸元でつっかえていた彼女の手に次第に力が入り、
握り締めると同時に彼女は目を閉じた。

1626

 

+-+-+-+

はぁーーーーーーーーーーーーーー(溜息

今となっては、女装する必要があったのかどうか、私にはちっともわかりません。
そんなものは今や遠い昔のお話でございます。えぇ、えぇ。

これ、訳していた私はだいぶ得してるかも。
잘 보고(よく見て)の時点で、ハッキリ覚えていたクルミ夫人のときのセリフが鮮やかに蘇りますので。えぇ、えぇ。
そこで「く、来るーーー!」と一気に心拍数が上がり、思わず一旦停止して休憩いたしました。

クルミ夫人のときもそうですが、相手をよく見て、どこまでも落ち着いてキメるところが、チュ君の主君たる所以であります。えぇ、えぇ。
その余裕、ぶった切ってやりたいわぁー

ではでは、語って発散するのも勿体ないので(爆)このへんで。
今回も最後までお付き合いくださってありがとうございました。

あ、そうそう。どんどん可愛くなっていくテ嬢を見ているのも、とても楽しいです。
ときどきハッとするほど綺麗ですよね^^
それとそれと!(しつこい
最初の登場時は敵なのかと思ったカン・ウが、実はチュ君を守るために父の依頼を受けていたということで、
それがバレて退場するどころか、父とチュ君のパイプ役になり、テ嬢も含めて皆を見守る役回りになったのが嬉しいですねー。
それは、立場的にそうなっただけではなく、彼の真っ直ぐで優しい性格のおかげでもありますが^^

 - 主君の太陽 ,

Comment

  1. marin より:

    こんにちは♥marinです。

    12話を終えて・・・ボ~ッとしながら明菜ちゃんの歌声に耳を傾けています。

    確かユジナさんも明菜派だったように記憶しています。

    絵本「あらしのよるに」明菜ちゃんがバラードを切々と・・・

    途中で感極まって涙声になったりしています。

    中森明菜 バラードソング絵本『あらしのよるに』
    http://www.youtube.com/watch?v=Lnw99mM-EYs&list=PLA75BE6A3FE4E934C

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