韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

プロデューサー最終話あらすじ&日本語訳 vo.2

   

キム・スヒョン、IU、コン・ヒョジン、チャ・テヒョン、出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサー」12話、中盤です。

+-+-+-+

「取材で撮影したものって、原本を保管してますよね?」イェジンが担当の職員に尋ねた。

#この最初の一言で、俄然この記事も盛り上がって行きます!(笑)

職員「保管してはいますが、いつのものですか?」
イェジン「7、8年になるみたいですけど」
職員「その頃のはデジタル化されてないから、テープを見て一つ一つ探していただかないと。 あぁ、インデックスはされてるはずです」

※インデックス=放送日、撮影日などを分類しておくこと

イェジン「えぇ。Pinky4が出てるんです。芸能街中継とか歌謡特集で」

+-+-+-+

テーブルの上にどっさり積まれたテープを、イェジンは手に取った。
「あと1時間で帰りますけど」職員が困ったように言う。

イェジン「すぐ見ますから」

イェジンが選んだビデオテープを、職員が一つ一つバーコードで読み取る。「たくさんありますねぇ」
貸出を受けたテープを抱え、彼女は編集ブースへやって来た。

どんどんビデオをセットし、早回しで目を光らせる。
ちっとも目的の場面が見つからず、さすがの彼女も披露が募っていた。
ここで止めるわけにはいかない。彼女は気力を振り絞り、次のテープをセットした。

+-+-+-+

縁側のジュンモとスンチャンに、シンディが加わっていた。
夜も更け、スンチャンは大きなあくびをする。
昨夜は寝起きドッキリで寝ておらず、その前は朝5時まで歩いたのだ。

シンディ「後でトイレどうしよう。怖いな」

3人は暗がりにあるトイレを遠巻きに眺めた。

ジュンモ「確かに。田舎で撮影してると幽霊だらけだ」
スンチャン「え?!嘘言わないでください」
ジュンモ「何そんなビックリしてんだよ?ホントによく見るんだ。お前もそのうち見るぞ。悪夢にもうなされるしな」
スンチャン「…。」
ジュンモ「去年、俺が… あの山、名前なんだっけな?まぁとにかく、海抜数百メートルの山の中でテント張ったんだけど、夢に変な女が出て来たんだ。髪がすごく長くて、白い服を着ててな」

「…。」シンディも吸い寄せられるように身を乗り出す。

スンチャン「もう!やめてくださいよ」
ジュンモ「聞けって」
シンディ「そうよ、面白いのに」
スンチャン「…。」
ジュンモ「その女、人だったのか幽霊だったのかと思いながら、朝になって撮影監督と話してたんだ。そうしたら、その人も夢を見たらしい。その女の」
シンディ「はっ!」

スンチャンは耐え切れず、指で耳をぎゅっと押さえ、音が入ってこないようにしきりに顎を動かした。

ジュンモ「二人で話を擦り合わせてみたら、鼻にホクロがあるところまで、見た目も服も一緒なんだ」

「わぁ!!!」突然、ジュンモがスンチャンに向かって大声を出した。

スンチャン「!!!」

驚いたスンチャンの真顔に、二人が笑う。

ジュンモ「まだ先にしようと思ってたけど、すぐやらなきゃな、納涼特集」
シンディ「わぁ!面白そう」
スンチャン「それ、夏にやらなきゃいけないんじゃないんですか?」
ジュンモ「夏にはどうなるかわからないから、思いついたら早めにやらないと」
シンディ「…。」

「すぐ行かなきゃな」ジュンモは自分に言い聞かせるように繰り返した。

ニコニコしていたシンディの笑顔が、すっと消える。「…私のせいでしょう?」

ジュンモ「…。」
シンディ「打ち切り話が出たの」

シンディの横顔をチラリと見ると、ジュンモはすぐに前へ向き直る。「そんなの出てから随分経つさ」

シンディ「私のこと責任もつために、こんな決心なさったんだって、わかってます」
ジュンモ「…。」
シンディ「迷惑が掛かるってわかってたのに… ついてきちゃったんですよね、私」
ジュンモ「シンディ」
シンディ「え?」
ジュンモ「有名税って言葉があるだろ。それも一種の税金みたいなもんだ。金銭的な部分だけじゃなく、感情的な部分で」
シンディ「…。」
ジュンモ「自分が何でこんな目に遭わなきゃいけないのか、不便なことや悔しいことや…そういうことも自然に受け入れることが出来なきゃならない。これは払わなきゃいけない税金なんだ、そうやってな。そうすれば本人も楽だから」

「自分がそんな目に遭ってみてくださいよ」シンディがつい文句を言う。

シンディ「簡単なことじゃないわ」

ジュンモはニッコリ笑った。「確かにそうだな」

#この台詞を実際にすごく人気のある彼らが演じてるのが、何ともシミジミする。

ジュンモ「この間ユナを見かけた」
シンディ「!…ユナ先輩を?」
ジュンモ「うん」

「どうしてるんですか?」シンディは恐る恐る尋ねる。

ジュンモ「めちゃくちゃ元気にしてた」
シンディ「?」
ジュンモ「花屋をやってたぞ、花屋。フロリストだ」

驚きと安堵が入り混じり、シンディは「あぁ」と息を漏らした。「そうなんだ…」
嬉しそうな彼女の横顔に、ジュンモも微笑む。

シンディ「私もそのうちやることがなくなったら、やろうかな。花屋!」
ジュンモ「(ニコニコ)」
シンディ「違う違う、私はね、引っ越しの荷造りサービスみたいなのをやらなきゃ。私、家の整理整頓が超得意だから、レビューの星だっていっぱい貰えますよ」

「そうだな」ジュンモが満面の笑みを浮かべた。「ピッタリだ!」

眠気に勝てず、とうとう力尽きたスンチャンが、ジュンモの肩にもたれかかる。

ジュンモ「何だこいつ」

「…。」スンチャンの無防備な寝顔を、シンディは穏やかに見つめる。

ジュンモ「男のこんなザマは嫌なんだ、俺は」

ジュンモが指先でチョン!とスンチャンの頭を押しのけると、その頭はブンと弧を描き、シンディの肩に乗っかった。

シンディ「!」

ジュンモ「はぁ、こいつは全く。出演者がまだ部屋に戻ってもいないのに」
シンディ「…………。」
ジュンモ「PDのくせに先に寝やがって」
シンディ「…………。」
ジュンモ「シンディ、部屋に戻れよ。早く寝ないと、もう遅いぞ」

「…いえ」スンチャンの顔があるためにジュンモの方が向けず、シンディは微かに首を横に震わせた。

シンディ「風が気持ちいいし、もう少し…こうしてます 」
ジュンモ「そうか?」
シンディ「…はい。あと… もう少しだけ」

2079

#もうシンディのガチガチ具合が可愛くて可愛くて耐えられんっす

ジュンモ「あぁ、犬がえらく泣いてやがるなぁ」

+-+-+-+

ジュンモがいなくなり、シンディは同じ体勢のまま、ただただ星空を眺めた。
「?」うっすらと目を開けたスンチャンは、ぼんやりと顔を上げ、辺りをキョロキョロと見渡す。「あ…」

シンディ「…。」

シンディはスンチャンの顔が見られず、じっと前を見つめ続けた。

スンチャン「…すみません」
シンディ「何よ… 30分以上も寝てたって、わかってます?」
スンチャン「…起こしてくだされば」
シンディ「まぁ、ぐっすり寝てたし… 起こしたくなかったし」
スンチャン「?」

「PDさんが誰のこと好きなのか、知ってます」シンディは前を向いたまま、淡々と言った。

スンチャン「…。」
シンディ「祝福まではしたくないけど、邪魔するつもりもないし。だけど、私のこんな気持ち、PDさんに偽りたくないんです」
スンチャン「…。」

少し考えてから、スンチャンは口を開いた。「片思いって、一人で家を建てたり潰したり、すごく疲れることだって…」

シンディ「私の心配してくれてるんですか?」
スンチャン「?」
シンディ「一人で建てたり潰したりするなってことでしょ?無駄な苦労するなって?」
スンチャン「いや、というよりは… 」
シンディ「私が片思いだからって見下してるんですか?」
スンチャン「いいえ!違いますよ、そんなはずないです!どうしてシンディさんのことを…。僕は光栄なんです。光栄だし、좋은데(=嬉しいけど)」
シンディ「좋다고?(=好きだって?)」

※좋다には「良い」「好き」「嬉しい」などいろいろな意味があり、スンチャンは「嬉しい」という意味で言ったのですが、シンディは「好き」と受け取っています。

スンチャン「いえ、좋다っていうのは、そういう意味の좋다じゃなくて」
シンディ「嫌なんですか?じゃあ」
スンチャン「いえ、いえ!嫌だなんて尚更ちがいます!誰かが僕のこと好きになってくれるのを、嫌なはずが…」
シンディ「わぁ」
スンチャン「?」
シンディ「誰に好きだって言われても嬉しいの?」

#シンディ、完全にスンチャンをからかって遊ぶ味を覚えるの巻

スンチャン「いいえっ!違います、ホントにそんなんじゃないんです!」

シンディがふっと笑った。

スンチャン「?」
シンディ「ただ… 覚えててくれればいいんです」
スンチャン「…。」
シンディ「イップシンディたちのヒロイン。一時は国民の妖精」

「今は国民の妖怪になっちゃったけど」そうボソッと付け足す。

シンディ「とにかくね、自尊心を取られたらただの屍、一人で家を建てるどころか、どんな家を持って来られたって興味もなかったシンディが、ホットック一袋ぽっちの心も許してくれないPDさんのこと… すごく好きなんです」
スンチャン「…。」
シンディ「私、遠く離れたところで、一人家を建てたり潰したり、一生懸命やってるでしょうから、もし、ふと思い出したら… どんな家を建ててるのか、一戸建てなのかマンションなのか気になったら、振り返ってほしいって、そういう話」
スンチャン「…。」
シンディ「はぁ、これだから私って乞食みたい。すがってるわけじゃないから、誤解しないでください」
スンチャン「はい… 勿論です」

「ありがとうございます」スンチャンは丁寧にそう言った。

シンディ「…。」
スンチャン「…。」

二人が振り返り、無言でじっと視線を合わせる。

シンディ「私を乞食シンディにしたこと、申し訳ないって言ってたでしょ?」
スンチャン「はい。その件は本意じゃなくて…」
シンディ「罪滅ぼしさせてあげるって言ったでしょ?」
スンチャン「?」

再び二人の視線がぶつかった。

シンディ「私、ソウルに戻ったら、一人で乗り越えなきゃいけないことがすごくたくさんあるわ。誰も私の手を取ってくれないかもしれないし」
スンチャン「…。」

シンディはそっと手を差し出した。

スンチャン「?」
シンディ「一度だけ、手を握ってくれませんか?」

「PDさんの手、温かいから」シンディは頑なに前を向いたまま、そうポツリと言う。

「…。」ゆっくりとスンチャンの手が近づくと、小さな彼女の手を上から包み込むように、そっと握った。

2080

#あーもうダメ 溶ける

2081

+-+-+-+

翌朝は晴れ渡っていた。
彼女がその後どうなったのか気にしていた人がどれくらいるだろうか、イェジンはまだ編集室でくすぶっていたのだ。

イェジン「あぁ、ツイてない!あんな話聞いちゃったばっかりに!」

まるで無意識になった流れ作業のように、次のビデオテープをセットする。
映像がはじまった途端、イェジンはハッと目を見開き、再生を等倍速に切り替えた。「!」

画面の中にPinky4の4人が並んでいたのだ。
彼女はヘッドフォンをつけ、ボリュームを上げた。

泣いているシンディに、周りのメンバーが困った表情を見せている。

2082

+-+-+-+

イェジンはデスクにぐったりと突っ伏した。
タジョンがやって来て声を掛ける。「おはようございます」

#最近タジョンが出てくると、無意識で姿勢を正す私(笑

イェジン「あ、あぁ、来たのね」

イェジンは酷く疲れた様子で首を回した。

タジョン「…。」
イェジン「何?どうしたの?」
タジョン「PDさん、徹夜なさったんですか?」
イェジン「え?どうしてわかったの?」
タジョン「服が昨日と同じ」
イェジン「あ、そうね。うん、ちょっと仕事があって」

タジョンは何も言わず、微かに笑みを浮かべると、ぷいっと背を向けた。

イェジン「ちょっと!あんた何ニヤッとしてんの?」
タジョン「悩んでいらっしゃったけど、いいことがあったみたいですね」
イェジン「違うわよ!」
タジョン「…。」
イェジン「違うってば!あんたが思ってるようなことじゃないわよ」
タジョン「それじゃあ?」

「これ見てよ」イェジンは箱に詰まったビデオテープを指した。「私、編集室で徹夜したんだから」

タジョン「あぁ。服は着替えないほうがいいですよ」
イェジン「どうして?」
タジョン「なんとなく… すごくホットに見えますから」

「そう?」イェジンは一人で盛り上がる。「私生活が複雑そうってこと?」

#タジョンは奇跡のキャラだ(笑)よくもまぁこんな不思議ちゃんを魅力的に仕上げたね

+-+-+-+

田舎で一晩を過ごした一泊二日の出演者たちは、思い思いにおばあさんとの別れのときを過ごした。

おばあさんと言葉をかわし、抱き合うシンディを、カメラが捉える。
「車に乗るところまで、遠くからずっと追ってください」スンチャンがカメラマンに言った。「いい表情してますから」

2083

+-+-+-+

ソウルへ戻ったスンチャンは、さっそく編集にとりかかっていた。

そこへジュンモやイリョン、ヒョングンが揃ってやって来る。「ペク・スンチャン」

スンチャン「?」
ジュンモ「イ・ミョンジャさんはソン・へ先生のファンだって言ってたよな?」

シンディがお世話になったおばあさん、イ・ミョンジャさんが唯一知っている芸能人が、ソン・へ氏だ。

スンチャン「はい」
ジュンモ「それなら、編集で入れるから、先生のビデオメッセージ貰って来いよ」
スンチャン「ビデオメッセージですか?」
ジュンモ「イ・ミョンジャさんに送るビデオメッセージ。エンディングに入れたら良さそうだ。鍾路に先生の事務所がある。電話しておくから、今から行って来い。カメラマンを手配してな」

「あ…」スンチャンは編集中の画面をチラリと振り返る。「今ですか?」

ジュンモ「うん、今すぐ」
スンチャン「はい、わかりました」

スンチャンが出て行くのを、先輩たちは楽しそうに見送った。

イリョン「あいつ、無事帰って来れるかな」
ジュンモ「なわけねーだろ」

皆が不気味な笑い声を上げる。

ジュンモ「挨拶しなきゃな。芸能局の新人なんだから、歓迎会をやってもらわないと」

+-+-+-+

「では、キュー!」テーブルの向こうに座っているソン・へ氏に、スンチャンは合図を送った。

#スヒョンくんとソン・へ氏と言えば、KBS全国のど自慢ですね~♪

ソン・へ「ミョンジャさん、聞いてくださいよ。いやね、僕のファンだって言うから察しはつくけれども、ずいぶんお目が高い」

「あ、ところで」ソン・へ氏がスンチャンに言う。「何歳だって?」

スンチャン「78歳でいらっしゃいます」
ソン・へ「78?」

「いいねぇ」ソン・へ氏がポンとテーブルを打つ。「いい頃合いだ」

ソン・へ「勢いの出る頃ですよ。はははっ!ミョンジャさん、そうでしょう?楽しくお暮らしくださいよ。いやね、これまで生きてきてご存知でしょうけど、近頃は月日が流れるのがどんなに早いか。まばたきをしてるうちに、もう10年もささっと過ぎていくんですから」

実に味のあるソン・へ氏の話に、スンチャンは時には笑いながら、楽しく聴き入った。

ソン・へ「私たちの人生は一度きりです。ただただ楽しんでください。あははははっ。そのうちそちらへ行きますからね、それまでお元気で。私が訪ねて行くから、お会いしましょう。私、これでもなかなか悪くない人間なんですよ。約束ですからね」

#見てるうちに私も勝手にニコニコ笑顔になってる。すごいおじさんだね^^

「はいっ!」ソン・へ氏はカメラに向かって手を振り、そこでピタッと停止した。

スンチャン「?…先生、何をなさってるんですか?」
ソン・へ「え?まぁ、編集点(※編集しやすくするためのポイント)を作ってあげたんじゃないか。私はこういうのを…」

そう言って、ソン・へ氏はスンチャンを見た。「あれ?待てよ、君は新入社員かい?」

スンチャン「はい、そうです、先生」
ソン・へ「あぁあぁ、そうか、うん。新入社員か。あははははっ」

「こいつはやるのかい?」ソン・へ氏はクイッと酒を飲む仕草をして見せた。

スンチャン「あ、僕はあまり飲めません」

「よし」ソン・へ氏はまたポンとテーブルを叩く。「私も今日はあまり飲むまいと決めたんだがね、一杯だけやろうと思うんだ。どうだい?」

+-+-+-+

あっという間にテーブルには焼酎の瓶がズラリと並んでいた。
スンチャンは完全に座った目で、上半身をふらふらと揺らしている。

スンチャン「兄貴!へ兄貴!」
へ兄貴「お?」
スンチャン「僕はホントに…」
へ兄貴「やれやれ」

スンチャンがコップを差し出すと、親切なへ兄貴が乾杯してやる。

スンチャン「うちの番組がなくなるのは嫌なんです!7年も無事に続いてた番組が、僕が入った途端どうして終わるんですか?兄貴!」
へ兄貴「お前、7年って言ったか?」
スンチャン「…。」
へ兄貴「こいつは全く。俺は35年だぞ、35年!」
スンチャン「35年…」
へ兄貴「たったの7年で何を…」
スンチャン「あぁ、へ兄貴!」
へ兄貴「何がへ兄貴だ」
スンチャン「へ兄貴、ヘ兄貴最高っす!」
ヘ兄貴「ははは、こいつは」
スンチャン「はぁ、35年か」

+-+-+-+

ソン・へ氏(インタビュー)「今でも人は私を見りゃ言いますよ。これだけ長いことやってるから、目を閉じてても出来るってね。私が”全国”って言ったら、観客たちは”のど自慢!って、歓声をあげる。そうすると、私は胸がバクバク高鳴るんですよ。大きい声が出てるかどうか、そういうことも考えながらね。こんなに大変なことをなぜやってるか?楽しいから!楽しいから35年もやって来たんだ」

「それをわからなきゃダメだ」完全にノビているスンチャンの横で、ソン・へ氏はピンピンして語った。
「?」スンチャンが不意に起き上がる。「あ、へ兄貴、愛してます♪」

ソン・へ氏「はははははっ」

+-+-+-+

ジニを引き連れ、ピョン代表がシンディのマンションへやって来た。
リビングのソファで構えているシンディを見るなり、ピョン代表が微笑む。「焼けた?」

ピョン代表「常に紫外線に気をつけなさい」
シンディ「ありがとうございます。心配してくださって。次の撮影から気をつけます」
ピョン代表「次の撮影?シンディはいつもポジティブね」

「あなたも先輩を見て学びなさい」ピョン代表はジニに言い、シンディの隣に腰を下ろした。
ジニがその隣に腰掛ける。
キム室長がさっとやって来て、テレビのスイッチを入れた。

ピョン代表「シンディ、この一週間、会社としてはとんでもない損害だったわ。株価もだいぶ落ちたし。それでも私たち、あなたをカバーしようと本当に力を尽くしたのよ」
シンディ「…。」
ピョン代表「あなたの過ちを、どうして事務所が公式に謝罪しなきゃならないのかわからないけど、そうやって乗り越えることにしたの」
シンディ「…。」
ピョン代表「あなたはしばらく自粛すればいいわ。ジニ、あなたもよく見てなさい」

ピョン代表はテレビを見つめ、腕を組んだ。

テレビ番組が始まる。

キャスター「この一週間、一番大きな話題でした。トップ歌手シンディさんの話題です。自身の背景と両親について、嘘で飾り立てて活動していた、その事実が明らかになりました。ガッカリなさったファンの方も多いでしょう」

2084

「…。」シンディについての報道を当事者たちが黙って見つめる、実に異様な光景だ。

キャスター「私たちはシンディさんの公式立場を発表した、所属事務所代表のインタビューをお届けしようと思っていたのですが、放送直前に他のニュースが入ってきました」

「?!」余裕を構えていたピョン代表が、ソファから飛び起き、ボリュームを上げた。

キャスター「論点はこれです。誇張されたシンディの生い立ちは、シンディの嘘なのか、所属事務所の演出なのか?けれども、たとえ事務所が演出をしていたところで、シンディがそれを黙認したことに、裏切られたと思う人も多いでしょう。ところが、私たちが単独で入手した映像をご覧いただけば、違う真実に出会えるはずです」

キャスティング「シンディが新人の頃にインタビューに答えた原本です。ご覧ください」

テレビに流れ始めたのは、イェジンが夜を徹して探しだした、あの映像だ。

シンディ(映像)「両親は春川からソウルまで私に会いに来る途中、交通事故に遭って…」

「何なのこれ!!!」ピョン代表が叫ぶ。「どうしてこんなものが!!!」
取り乱すピョン代表の周りで、皆が静かに映像に見入った。

画面の中で泣いているシンディのところへ、ピョン代表が駆け寄ってくると、カメラに声を掛ける。「ちょっと待ってください!」

ピョン代表(映像)「(シンディに)それは言うなって言ったでしょ!その話はしちゃダメだって言ったでわよね?”アメリカにいらっしゃいます、私の家はアメリカにあるんです。お母さんとお父さんはそこにいらっしゃいます”それが難しい?!あなたIQいくつなの?」

キム室長が密かに笑みを漏らす。

ピョン代表(映像)「PDさん、ここはカットしてくださいな。この子まだ子どもで…。カットよ、やり直してくださいな。OK?」

「キ、キム室長!」ピョン代表が立ち上がる。「局長に電話しなさい!」

ピョン代表「訴えてやる!!!!!」

~~~~

昼間、シンディはイェジンに会っていた。

イェジン「芸能街中継の先輩に話して、今テープを渡したわ」
シンディ「どうやって見つけたんですか?」
イェジン「うちの先輩カメラマンが、前に自分が撮ったんだって話してたの。それで」
シンディ「放送もされてない原本を、どうやって…?」
イェジン「私、PDなのよ、すぐ見つけたわ」

2085

イェジンは苦労した素振りなど微塵も見せず、微笑んだ。

シンディ「…。」
イェジン「すぐ良くなるはず。この数時間だって心穏やかにいてほしいと思って、それで話したの。ピョン代表には、清掃業者を大急ぎで探すように、そう伝えてね」

~~~~

シンディ「…。」

+-+-+-+

ほどなく… ピョンエンタのビルの壁は、ピョン代表を罵倒する落書きで一杯になった。

+-+-+-+

「いやぁ」ジュンモは映像を見て感嘆の声を上げた。

ジュンモ「どうやって見つけたんだ?」
イェジン「(溜息)私を見てよ。徹夜して目の下のクマがくっきりなんだから」

「はぁ」気だるそうなイェジンを、ジュンモは黙って見た。

イェジン「あんた神経尖らせてたでしょ」
ジュンモ「…。」
イェジン「どんな事情なのか話してくれなかったけど、ピョン代表のこととなるとすごくナーバスでさ。だから、シンディのことも気にしてるだろうって、私もわかってたのよ。あんた、それで一泊の撮影にもシンディを無理やり連れて行ったんじゃないの?」

「あぁ」ジュンモは頷いた。

ジュンモ「うちの番組もシンディとセットで叩かれるところだったけど、お前がこいつを見つけてくれたお陰で助かった」
イェジン「ありがたいでしょ」
ジュンモ「あぁ、めちゃくちゃありがたいよ、イェバル」

ニッコリ笑ったジュンモに、イェジンもホッとして笑う。「ホント疲れちゃった」

ジュンモ「うちに泊まっていけよ、今日は」
イェジン「!!!」

イェジンがビックリして身を乗り出す。「声が大きいわよ!」

イェジン「聞こえちゃうわ」

ジュンモはチラリと周りを窺い、声を潜めた。「泊まっていけって」

イェジン「いいってば!」
ジュンモ「?」
イェジン「自分の家があるんだから」
ジュンモ「疲れてるだろ。高速道路運転して帰るのだって危ないし。それにな、お前の弟は2日に1回泊まっていくぞ」
イェジン「あいつ全く…」

そこへイリョンたちがやって来た。「スンチャンが帰って来ないんだ」

ジュンモ「?」
ヒョングン「電話も繋がりませんよ」
ジュンモ「ほっとけ。そのうち帰って来るだろ」

「俺のこと探してんのか?」突然声が聴こえる。

イェジン「?」
ジュンモ「?」
イリョン「?」
ヒョングン「?」

皆が振り返った先に立っていたのは、変わり果てたスンチャンだ。

スンチャン「俺のこと探してんのかって!」
ジュンモ「あぁ、探してたさ」
イェジン「誰が飲ませたの?」
ジュンモ「ソン・へ先生のインタビュー取って来たんだ」
イェジン「あぁ、”歓迎会”ね」
ジュンモ「あぁ」

スンチャンはその手にしっかりビデオテープを握りしめている。

2088

スンチャン「ラ・ジュンバリ!」
ジュンモ「…。いいさ、好きにしろ」
スンチャン「ホントだな。好きにするぞ!好きにするから!」
ジュンモ「しろって」

スンチャンは両手を広げ、イェジンに迫ってくる。「センパ~イ♥」
と、ジュンモがさっと足を引っ掛け、危ういところでスンチャンはズデン!と床に引っくり返った。
床に転がったビデオテープを、イリョンがすかさず回収する。

イェジン「わっ、スンチャン!」
スンチャン「ラ・ジュンモめ!!!」

スンチャンはヨロヨロと立ち上がった。

スンチャン「お前ら、ラ・ジュンモの秘密知りたくないか?」
イリョン&ヒョングン「?」
ジュンモ「おい!」
スンチャン「ラ・ジュンバルにはな、隠し妻が…」
皆「!」

「あっ、スンチャン」イェジンがさっと行って、スンチャンの口を押さえる。「酔っ払っちゃって」

スンチャン「隠し…!」

後ろからジュンモが加わった。「こいつインタビューちゃんとやったのか心配だな」

そこへ廊下の向こうからテホCPがやって来た。

スンチャン「あ、テホだ」
テホCP「???」
スンチャン「♪」
テホCP「俺のこと言ってるのか?」

「お~、よしよしテホ♪」スンチャンは近づいていってテホCPの頭を撫で、愉快に肩を組んだ。

2086

テホCP「(ゲラゲラ)凄い酒癖だな」
ジュンモ&イェジン「…。」
スンチャン「俺、今日はお前らの前で重大発表をするぞ」
ジュンモ&イェジン「!」
スンチャン「まさに我らが隠し妻は…」

揃ってやって来たジュンモとイェジンがスンチャンを捕まえ、あっという間に連行した。

#端から見たら、みるからに怪しいよねぇ、ジュンモたちの素早い反応(笑)
そして、こんなときにゲラゲラ笑ってくれるテホCPは、つくづくいいキャラだよね^^

+-+-+-+

「先輩、ダメです」帰り道をフラフラ行ったり来たりしながら、スンチャンは言った。

スンチャン「先輩、まっすぐ歩かなきゃ。そんなフラフラしてたら…」

「こう?」イェジンがスンチャンに合わせてジグザグに歩いてやる。「これでいい?」

スンチャン「はい、それでいいです!」
イェジン「(ニコニコ)」
スンチャン「それなら転びませんよ♪」
ジュンモ「はっ、こいつホントに!いやぁ、一人で見てるのが勿体ないな」
スンチャン「先輩♪ スンチャンは2次会に行きたいですぅ♥」

#はっ Σ(゚Д゚)

イェジン「はっ!」
ジュンモ「…。」
スンチャン「活けタコ食べたいですぅ♥」

「2次会行こう~!」スンチャンは元気いっぱいで駈け出した。

イェジン「わっ、あの子誰かの真似してるんだよね?」
ジュンモ「うっすら思い出したか?」
イェジン「話には聞いてたけど、この目で見るのは初めてだから。…酷いわ」

向こうからおおはしゃぎのスンチャンが戻ってくる。

イェジン「わわっ、来るわよ!」

戻ってきたスンチャンは、手をブンブン動かして踊りだした。

イェジン「ど、どうしよう」

ジュンモは慣れた様子で、いつも誰かさんにしてあげるように、一緒に踊ってやる。

イェジン「何よそれ!!!」
ジュンモ「お前がいつもやるんだってば」
イェジン「私が?!」
スンチャン「スンチャンは!スンチャンは砂肝食べたいですぅ♥」

さんざんはしゃいで、スンチャンはふっと静かになった。
「砂肝!」そう言って、いきなりブチューっとジュンもの唇を奪う。「!!!」

ジュンモ「こらーーーーっ!!!!!」

※ジュンモの分厚い唇が砂肝に見えたのか?

+-+-+-+

平和な朝が来た。
ソファのの上で目覚めたスンチャンは、のんびりと起き上がり、冷蔵庫から飲み物を出す。
間違えてはいけない、ここはジュンモの家だ。

玄関が開き、イェジンの弟、イェジンが入ってきた。

弟「あれ?兄貴も来てたんですね」

スンチャンは水を飲みながら頭を下げた。「水、お飲みになります?」

弟「いえ、大丈夫です」

そこへ酷く疲れた様子で部屋から出て来たのはジュンモだ。
「先輩、おはようございます」スンチャンがペコリと頭を下げた。

ジュンモ「…。」
スンチャン「(キョトン)」
ジュンモ「はぁ…」

ジュンモが洗面所へ向かうと、入れ替わりにイェジンが向かいの部屋から出てくる。

スンチャン「あれ?先輩もここに泊まったんですか?」
イェジン「うん。昨日遅くなったからね」
スンチャン「…。」
イェジン「あんた、昨日のこと覚えてる?」
スンチャン「…?」
イェジン「ううん、精神衛生上、思い出さない方が楽だと思うわ。無理に思い出そうとしないで」
スンチャン「あぁ… そうですか?思い出さないほうが楽ですか?」
イェジン「(ニッコリ)」

そこへ洗面所からジュンモが出てくると、ジロリとスンチャンを睨みつけた。
「…。」唇を押さえ、どんよりと溜息をつく。「はぁ」

2089

#後ろでニコニコしてるイェジンがいいよね^^
考えてみたら、”酔っ払ってチューしといて覚えてない”件について、スンチャンはイェジンのかたきを討ったのかもよ(笑

不機嫌なオーラに包まれて部屋へ戻っていくジュンモを、スンチャンは不思議そうに目で追った。

イェジン「知ろうとしちゃダメよ」

そう言っておいて、彼女は弟に詰め寄り、蹴り飛ばす。「あんたね、ここはまだあんたの家?」
「自分だって!」弟はそそくさと部屋へ逃げ込んだ。

「あ、そうだ!」イェジンがスンチャンを振り返る。「まだ知らないでしょ」

イェジン「シンディのこと、無事解決したわ」
スンチャン「?」

+-+-+-+

車の中で、ピョン代表はネットニュースを見つめていた。

「シンディ 汚名を脱ぎ捨てたシンデレラ」
「真実が明かそうとしていた少女シンディに、ネット民が泣く」
「ピョンエンタを脱退した芸能人が明かすピョン・ミスク代表の実体」

ピョン代表「…。」

+-+-+-+

落書きまみれの事務所ビルの入り口で、ピョン代表は愕然と立ち止まった。

そこへやって来たのがシンディだ。「こういうの綺麗に消してくれる清掃業者、紹介しましょうか?」

ピョン代表が振り返ると、シンディは余裕たっぷりに腕を組んだ。

シンディ「この間の嘘つき騒動のとき、私の車を何度も綺麗にしてくれたところがあるんです。私の名前を出せば、値引きしてくれるわ」
ピョン代表「…。食事に行きましょう、シンディ」

+-+-+-+

高級料理店の個室で、ピョン代表は封筒を差し出した。

ピョン代表「契約解除の書類よ。残りの期間あなたに手出しはしない、その証明。口だけじゃ信じないだろうから」
シンディ「…。」
ピョン代表「あなたのために最後にしてやれるのが、契約解除だなんて。これまでの年月、何て無駄なことをしてきたのかしらね」

シンディは封筒を手に取り、脇に置こうとする。

ピョン代表「ハンコを押してもらわないと」
シンディ「…。」

シンディはバッグから印鑑を出し、蓋を開けた。
書類に押印しようとしたところを、ピョン代表がさっと止める。「シンディ」

ピョン代表「次から書類にハンコを押すときは、先に内容を見なさい。間違いがないかどうか。すぐハンコを押しちゃダメよ」
シンディ「…。」
ピョン代表「いいわね?」

ピョン代表の教えに、シンディは思わず唇を噛み締めた。「…わかりました」
彼女は書類をめくり始める。

ピョン代表「勘違いしないで。私は人目や噂が怖くて契約解除するんじゃないわ。それくらいの非難を恐れて屈服するような人間じゃないの」
シンディ「わかってます」
ピョン代表「この10年間、私の喜びはあなただった。あなたが脚光を浴びるのが嬉しくて、ライバルになりそうな連中は、芽のうちに刈り取ったわ。あなたを傷つけようとする人がいれば、どこまでも追いかけて行って全部踏みつけた」
シンディ「…。」
ピョン代表「あなたに背を向けられるまで、本当に娘だと思っていたの」

「それは本当よ」ピョン代表はそう付け加えた。

シンディ「…わかってます」
ピョン代表「!」

シンディは静かに書類を置いた。「方法は間違っていたけど、お母さんは本当に私を愛してたって」

ピョン代表「…。」
シンディ「それがわかってないからじゃないの。わかってるからお母さんの元を離れるんです。お母さんも… 捨てられるんじゃないかって、恐れたりしないで」
ピョン代表「…。」
シンディ「人を不公平な契約で縛りつけておくには限界があるわ。人はそんなもので誰かのそばに残ったりはしません。お母さんが簡単に変わりはしないのもわかってます。だけど、お母さんがそれだけ身を尽くしているのに、どうして人は離れていったのか、一度だけ、たったの一度だけでも考えてみてほしいんです」
ピョン代表「…。」
シンディ「私は… お母さんみたいに生きたくなくて離れるの」

2090

「…。」沈黙の後、ピョン代表はようやく口を開いた。「料理が冷めるわ」

ピョン代表「食べましょう」

二人は無言で料理に手を伸ばした。

+-+-+-+

ここで区切ります。

きっと今回は酔っぱらい姿しか記憶に残らないだろう、ってほどの強烈なインパクトでしたが、ここで区切ってみると、やっぱりシンディエピはいい!
正義が悪を討つ、なんて単純な図式で終わらない、こういうところが韓ドラの好きな部分でもあります^^
それにしてもIUちゃんの演技は本当に好きだわ♪ちっちも大げさじゃないのに、手に取るように感情が心に伝わるね。

 - プロデューサー