韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

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プロデューサー9話あらすじ&日本語訳 vo.1

   

チャ・テヒョン、コン・ヒョジン、キム・スヒョン、IU出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサ」9話、パート1です。

「来るまで待ってます」シンディからの電話はそこでプツリと切れた。

降りしきる雨を見つめ、スンチャンは考えに考える。「…。」

1987

+-+-+-+

雨の中、道端に座り込んでいたシンディは、そばに誰かの気配を感じ、顔を上げた。「?」

+-+-+-+

フードカウンターでポップコーンを買ったイェジンは、誰か知った顔を見つけたようだ。

彼女の前には…
「先輩」スンチャンが立っていた。「携帯が切れてたから」

イェジン「うん。さっき気づいたよ。まだそんなに遅れてないから、早く入ろう」

歩き出したイェジンをスンチャンが止める。「あ、あの先輩、すみませんけど…」

イェジン「うん、何?」(←イェジンどんどん優しくなるよね
スンチャン「映画、見られそうにないんです」

「…。」イェジンは呆れたように小さく溜息をついた。「この子何言ってんだろ」

+-+-+-+

「そりゃそうよね」助手席で、イェジンは自虐的な笑い声を上げる。「私の運勢って全く」

イェジン「暇人じゃあるまいし、映画見ようなんて。ねぇ、あんただって男なんだよ。男と映画みるからって、ポップコーンまで買ってさ」

そう言って、彼女は膝の上に抱えたポップコーンを口に放り込んだ。

イェジン「スピード上げてよ。シンディ待ってるんでしょ」
スンチャン「雨が降ってるから…」
イェジン「私の言いたいのはそれよ!あの子さ、一体どんな話があって雨の中待ってるわけ?ピョン代表とやり合って、また飛び出してきたんじゃないの?」
スンチャン「…。」
イェジン「あの子、短気なのが心配だわ。ホント心配」

「…。」何も知らないイェジンの隣で、スンチャンは口をつぐんだ。

と、そのとき、ふいに信号が赤になり、彼は急ブレーキを掛ける。
タイヤがキィっと甲高い音を立て、イェジンが衝撃で前のめりになった。
その瞬間、スンチャンが腕を伸ばし彼女の体をまるごと支える。「!!!」

1988

「…。」イェジンの視線が彼女を庇うスンチャンの逞しい腕に移る。
彼を振り返ったイェジンは、目が合うと先に視線を逸らした。

1990

スンチャン「大丈夫ですか?」
イェジン「…うん、大丈夫」

「もういいよ」イェジンは彼女を支えているスンチャンの手を、軽くポンと叩く。
「あ、すみません」彼は腕を引っ込め、そう言った。
「ううん」そう答え、イェジンは窓の外へ視線を移す。「何でこんなに混んでるのかな」

+-+-+-+

シンディの前に立っていたジュンモは、彼女に傘を差し掛けた。
手には薬の袋を無造作にぶら下げている。

ジュンモ「まさかと思ったけど…シンディだよな?」

シンディは気まずそうに小さく笑みを浮かべる。

ジュンモ「ここで何してんだよ?雨なのに」
シンディ「…。」
ジュンモ「誰か待ってるのか?」
シンディ「ペク・スンチャンPDです。話があって」

「…。」ジュンモは彼女に手を差し伸べた。「入ってよう。な?」

シンディ「…。」
ジュンモ「スンチャンに電話して、うちへ来させるから。このままじゃ風邪引いちまう」

「…。」ジュンモが伸ばした手をじっと見つめると、彼女はその手を取り、立ち上がった。

+-+-+-+

「お茶はどこ行ったかな?」ジュンモがキッチンの棚をキョロキョロと見渡す。「コーヒーじゃなくて、温かいお茶が良いと思うんだけど」
シンディが下の方を指さす。「シンク台の一番右の3番目、ココアとコーヒー豆の下です」
「?」ジュンモが言われたとおりシンク下の扉を開けると、3段棚の一番下にお茶の箱が並んでいた。

ジュンモ「ちょっとだけ待ってな。温かいの淹れてやるから」

+-+-+-+

ジュンモが差し出したお茶に、シンディは両手を伸ばした。「ありがとうございます」

ジュンモ「事務所は知ってるのか?ここに来てるって」

シンディは俯き、黙って首を横に振った。

ジュンモ「どうした?帰ってからピョン代表と何かあったのか?」
シンディ「PDさんから見ても、私って演技してるみたいですか?」
ジュンモ「?」
シンディ「…真実まで」
ジュンモ「どういうこと?」

「ある人に言われたんです」シンディの目が遠くを見つめる。「真実まで演技してるみたいだって」

ジュンモ「…。」
シンディ「私もよくわからなくて。本当にそうだって気もするし」
ジュンモ「…。」
シンディ「10年後の私がどうなってるか、PDさんはそういうの全部予想がつくでしょう?」
ジュンモ「!」
シンディ「私は… ダメ。ちっともわからない」

1993

「10年後の自分の姿… わからないんです」懐かしい声が、ジュンモの頭に鮮やかに甦る。

~~~~

5年前。

「10年後どころか、5年後、1年後だってわからないわ」ジュンモの横で、彼女は言った。

1992

女の子「もがけばもがくほど、沼にはまっていく感じ」
ジュンモ「君がやりたくないならやるなよ」
女の子「?」
ジュンモ「君はこれまで十分やって来た。最近どこかにちょっとぶつかっただけでも怪我するだろ。食べてないからだ。食べられず、眠れもせずに、酷使されてるから」
女の子「やりたくないからって、やらなかったらどうなるの?ピョン代表が黙ってるはずないわ」
ジュンモ「事務所を出りゃいいんだ」
女の子「私もそうしたいわ。PDさん、私のこと…責任もってくれますか?」
ジュンモ「俺が責任もってやる!」
女の子「…本当に?」
ジュンモ「俺はPDだぞ。PDが味方なのに何が心配なんだ?俺の番組に何が何でも君をキャスティングするから。君に能力がないわけじゃないんだし、スターなのに何を怖がることがある?」

~~~~

「…。」じっと考え込んでいるジュンモを、シンディが覗き込んだ。「PDさん?」

ジュンモ「え?」

シンディが彼の腕を指さした。赤い擦り傷があったのだ。「怪我なさったんですか?」

ジュンモ「あぁ、これ。さっきサッカーやってて」
シンディ「それで薬を買っていらっしゃったんですね」

「見せてください」シンディが言った。

+-+-+-+

ジュンモの怪我を消毒するシンディは真剣そのものだ。

ジュンモ「こんなのどこで覚えたんだ?」
シンディ「海外とか地方でライブをやるとき、どこか怪我しても病院に行く時間がなくて。このくらいは自分でやるんです。痛くて困るのは自分なんだし」

そのとき、玄関が開き、イェジンとスンチャンが入ってくるのが見えた。

ジュンモ「あ、帰って来たか。どうした?何で一緒なんだよ?」

二人で一緒に入ってきた彼らを、シンディも黙って見つめた。

イェジン「スンチャンと映画見ようと思って、それで待ち合わせてたの」

「…。」シンディがそっと目を伏せる。

イェジン「シンディがここで待ってるって、ジュンモ、あんたがスンチャンにメールしたでしょ?」

#あーあーあー みんな集まっちゃってベラベラと…。

ジュンモ「(シンディをチラリ)あぁ… 送った」

「終わりました」シンディが静かに手当ての完了を告げた。

ジュンモ「ありがとう」
イェジン「あんた怪我したの?」
ジュンモ「あぁ、何でもない」

「…。」シンディは視線を逸らしたままスンチャンを窺い、スンチャンもまた黙って彼女を見つめる。「…。」
シンディの電話が鳴った。「あぁ、マネージャーさん」

シンディ(電話)「テレビ局だよね?私今、タク・イェジンPDさんの家。うん、もうすぐ出るから。早く来て」

「何よ?もう行くって?」イェジンが言う。「スンチャン、この子と話があるんじゃなかったの?」

シンディ「…。」
スンチャン「…。」

沈黙と気まずい空気が場を包む。

シンディ「たいしたことじゃなくて…。この間PDさんにちょっと悪いことしちゃったから」

「?」ジュンモとイェジンが、じっと黙っているスンチャンを揃って振り返った。

シンディ「謝らなきゃと思って。同じ番組のPDとキャストなんだから。これからどれだけ顔を合わせるかわからないけど、ギスギスしそうな気がして」
スンチャン「…。」

「あのときはごめんなさい」シンディはスンチャンに微笑んだ。

スンチャン「…シンディさん」
シンディ「話は終わったから、帰ります」

スンチャンが何か言い出すのを避けるように、シンディはさっと立ち上がった。

イェジン「ちょっと待って、シンディ」

イェジンはキッチンへ向かい、棚を開けた。「この間好きだって言ってたの、持って行って」
紙袋を取り出すと、シンディに差し出す。「ほら」

シンディ「えぇ…」

シンディが小さく頭を下げ、目の前を通り過ぎるのを、スンチャンは何も言えずにやり過ごす。
スンチャンだけではない。誰も声を掛けるなと、シンディの背中がそれを拒絶していた。

シンディが玄関を開け、一人外へ出て行く。

イェジン「(ジュンモに)ねぇ、シンディ他に何かあったみたい。そう思わない?」
スンチャン「…。」
ジュンモ「まぁ、表情が冴えなかったのは確かだけど」
スンチャン「…。」
ジュンモ「(スンチャンに)何やってんだよ!行って来い。迎えの車がくるまでの間だけでもいてやれって」

「…はい」スンチャンの様子が気にかかり、イェジンとジュンモは彼をじっと目で追った。

スンチャン「あ、先輩。今日映画観られなかったのは…」
イェジン「いいのいいの、大丈夫だってば」
スンチャン「いえ、僕は残念です」

「…。」沈黙が流れる中、スンチャンは玄関を出た。

+-+-+-+

「あんたも感じたでしょ」イェジンが神妙な顔で言う。

ジュンモ「…。」
イェジン「ペク・スンチャン、あの子、よっぽど映画が好きなんだろうね」

#ガクッ リアルにずっこけるわ

ジュンモ「…。」

部屋へ戻るイェジンを眺めながら、ジュンモが呟いた。「そんな意味なわけないだろ。全く…マヌケなヤツ」

+-+-+-+

スンチャンが駆けて来ると、シンディは元の場所で、静かに立っていた。
彼はシンディの隣に並ぶと、手持ち無沙汰に手を前で組む。「あの…」

スンチャン「この間僕がお話したことを気になさっているなら、すみませんでした」

「いいんです」じっと前を向いたまま、シンディが言う。

シンディ「私ってもともとそんな子ですから」
スンチャン「もともと…どんな人なんですか?」
シンディ「見せかけだけの超ワガママ。みんなそうやって私を叩くでしょ?叩かれるだけの根拠があるってことですよ」
スンチャン「どこかで聞いたことなんですけど… 他人が陰で自分でけなす言葉は、毒の塗られた矢のようなものだって」
シンディ「…。」
スンチャン「それでも、幸いなことに、陰に隠れて言った言葉には力がないから、その矢も胸を貫くことはできないって」
シンディ「…。」
スンチャン「一番愚かな行為は、地面に落ちた矢を拾い上げて、自分の胸を突き刺すことです」
シンディ「…。」
スンチャン「刺される必要もなかった矢に刺されて、傷つかなくてよかったのに傷ついて…。シンディさんはそうじゃなければいいなぁと思います」

「…。」彼の横顔をそっと窺い、シンディは何も言わず前へ向き直った。

シンディ「どんな映画観に行ったんですか?」
スンチャン「…え?」
シンディ「タク・イェジンPDと」

「あ」スンチャンは困ったように鼻の脇をこする。「それは…イェジン先輩がチケットを買ったから、どんな映画だったのか、僕もよく…」

スンチャン「どうせ観られなかったし」

「つまり、どんな映画だろうと構わなかった…」シンディが前を向いたまま微笑む。

スンチャン「?」
シンディ「要するに、映画を観に行ったんじゃなくて、イェジンPDに会いに行ったってことね」

「…。」スンチャンはドギマギして、彼女から目を逸らした。
そんなスンチャンの横顔をシンディは穏やかに見つめる。「いいなぁ」

シンディ「わかりやすくて」
スンチャン「?」
シンディ「隠そうとしても、そうやって表に出ちゃう”真実”があって」
スンチャン「…。」
シンディ「私はいくら頑張っても表に出ないもの…」
スンチャン「…。」

1995

そこへ向こうから車の音が聴こえてくる。
シンディの迎えの車がやって来て、彼らの前に停まった。

「行きますね」そう明るく言うと、シンディは車から駆け出してきたマネージャーの傘の下に入った。

スンチャン「…。」

+-+-+-+

「ねぇ」イェジンが窓辺に佇むジュンモに呼びかける。

イェジン「あんたさ、雨が降ってるからってムードに浸ってる場合じゃないよ。ちょっと来て」

彼女はソファで何やら書類を広げていた。
「何だよ」彼はイェジンの隣に腰を下ろす。

イェジン「よく見なさいよね。あんた管理費を払うのがいつも遅れるでしょ。延滞金が勿体ないし、私今月はスペシャルに予め払っておいたんだからね。来月から自動引落しの申請しなよ」

「わかった」ジュンモが面倒くさそうに頬杖をつく。

イェジン「わかったわかったって、返事だけじゃダメよ。それにね、ガス代も一緒」

「それからあれ」イェジンがベランダの方を指さす。「夏が来るまでにあの網戸も直さなきゃ」

ジュンモ「?」
イェジン「さっきエレベーターで見たけど、こういうの共同購入出来るから。ちゃんと確認して、申し込むのよ。いいわね?」

「?」矢継ぎ早に言い聞かせるイェジンを、ジュンモが黙って見た。

イェジン「それに、冷凍庫の肉も結構経ってるよ。あんたあれ、一ヶ月以内に食べなきゃ」
ジュンモ「お前、何なんだ?」
イェジン「え?だって私、もうすぐ新しいアパートに移るでしょ」
ジュンモ「…。」
イェジン「あと3週くらい?」

ぼんやりしているジュンモに、イェジンは思わず笑う。「4ヶ月なんて先だと思ってたら、あっという間だね」

ジュンモ「…。」
イェジン「…とにかく、これまで私のせいで苦労かけたね」
ジュンモ「明日引っ越すわけじゃあるまいし。今から何言ってんだよ」
イェジン「それでも前もって準備しとかなきゃ」
ジュンモ「おい、3週なんてまだまだずっと先だろ」

イェジンは愉しげに笑う。「そうだね、ずっと先だよね」

ジュンモ「…。」

+-+-+-+

2週間が過ぎた。

「なんだって?!」ジュンモが思わず飲み物を吹き出しそうになる。「欠放?」
彼の前で気まずそうに立っているのは、テホCPだ。

※欠放=「番組の放送が休みになること」。スポーツ中継や特別番組などで、番組の放送が飛ぶことを指す。

会議室には一泊二日のスタッフ全員が集まっていた。

ジュンモ「新シーズンに入ってまだ何回も放送してないってのに!」
テホCP「欠放というより、代替編成っていうか」
ジュンモ「同じことだろ!俺たちのを潰して、新番組を試すってことじゃないか!」
テホCP「今月中に試験放映しなきゃいけないって言うんだから。スポンサーの問題があるらしい」
ジュンモ「担当部長は誰なんだよ?」
テホCP「俺」
ジュンモ「全く!!!」

+-+-+-+

テホCP(インタビュー)「連中、ちょっと敏感になってますよ。あれも一種の自責の念ですかね。視聴率が伸びない連中には、何を言うのも難しいですよ。何か言えば”何で俺にだけ!””俺がダメだからか?”ってね」

「俺がダメだからか?」「視聴率が伸びないからって舐められてるのか?」テホCPの言うとおり、ジュンモはひたすら毒づいていた。

ジュンモ(インタビュー)「順調な番組、”スーパーマンが帰ってきた”とか、そういうところは絶対させないんだから、欠放なんか」

怒りが収まらず、彼は憮然と舌を打つ。

スンチャン(インタビュー)「欠放ということは…ちょっと休めるんでしょうか?僕、入社してから一度も休めなくって」

スンチャンは嬉しそうに鼻をひくつかせる。

イリョン(インタビュー)「僕は子どもが二人いるから、家より会社にいるほうが落ち着くんですよ。他の会社だと、旦那が遊んでるか遊んでないか奥さんにはわからないけど、僕は騙しようがないでしょ?全国民が欠放だって知ってるんだから」

ジヨン(インタビュー)「欠放なら遊べていいなって、そう誤解されますけど、作家の場合は欠放になると原稿料も入らないんですよ。放送作家の宿命みたいなものですね。時間があればお金はなし、お金があれば時間はない」

ジュンモ(インタビュー)「欠放。まぁ、いいように考えりゃ俺たちの価値を証明できるチャンスかもしれませんよ。長寿番組は、慣れてしまって価値がわからなくなるから。人だろうが番組だろうが、なくなって初めて、その有り難みがわかるんです」

+-+-+-+

すっかり足の怪我も癒えたシンディは、マネージャーを従え、事務所の廊下を闊歩する。
ちょうど向こうからやって来たのはピョン代表だ。「あらシンディ、いいところで会ったわ」

ピョン代表「ちょうど会いたいと思ってたのよ。ジニ、知ってるわよね?」

ピョン代表は隣にいる女の子を振り返る。「今回のオーディションで優勝した子よ」

シンディ「テレビ観ないから」

シンディを見るジニの目は希望に満ちていた。

ピョン代表「限りない可能性を秘めてる子だから、うちの事務所に迎え入れたわ」
シンディ「…。」
ピョン代表「ジニ、挨拶なさい。シンディお姉さん、知ってわよね?」

「初めまして、先輩」ジニが元気に挨拶する。

シンディ「…。」

+-+-+-+

「今週、一泊二日は欠放なんですってね」ピョン代表が言った。

シンディ「…。」
ピョン代表「時間もたっぷりあるし、これをやりましょ」

ピョン代表は手元のスケジュール表をシンディに差し出す。

シンディ「2日間に一体いくつあるの?!」
ピョン代表「何よ?あなた芸能番組好きなんでしょ?公衆波3社でまずまずなのを全部おさえておいたわ、お母さんが」
シンディ「…。ひょっとして、さっきのあの子と一緒に出るんですか?」
ピョン代表「うん」

※いわゆる”バーター”ですね。単独では出られない新人などを、同じ事務所の売れている人と一緒に抱き合わせで出演させること。

ピョン代表「ジニは歌だけは上手いけど、まだテレビの経験がないでしょ?あなたが一緒に出て、お姉さんとして教えてあげて」
シンディ「あの子のために私にこんな番組出ろって言うんですか?!」

「えぇ、そうよ」ピョン代表はシラッと肯定する。

シンディ「こんなことなさるなら、私、契約更新のときに良からぬ気を起こすかも」
ピョン代表「良からぬ気?」
シンディ「…。」

ピョン代表は余裕の笑みを浮かべる。「それがいいわ。大事なことなんだから、あれこれ考えてみないと」

シンディ「!」
ピョン代表「ところで、その契約更新ってあなた一人でやるの?私だって考えてみないとね、あれこれと」

1996

+-+-+-+

ジュンモはすっかり暇を持て余していた。
ソファに寝っ転がってテレビを眺めているところへ、荷物をぶら下げたイェジンとスンチャンが入ってくる。

ジュンモ「ん?そりゃ何だ?」
イェジン「カーテン。スンチャンが貰ってきたの。ねぇ、ジュンモ、これあんたの部屋にピッタリよ。これに替えよう」
ジュンモ「貰ってきたって、どこから?」
イェジン「ちょっと!スンチャンこの子さ、ホント芸術的よ」

イェジンが言う後ろで、スンチャンがニコニコしている。

イェジン「私が移る部屋あるでしょ?それをスンチャンがモデルルームにしたから、内装さくっと済んじゃったの」

「いくらだったって?」イェジンがスンチャンを振り返る。

スンチャン「壁紙は無料です」
イェジン「(ジュンモに)あらま♪ 無料だって、無料」
スンチャン「カーテンなんかはリビングは50%、寝室は30%、小部屋のブラインドは10%、それだけ負担なされば大丈夫です」

スンチャンが得意げに説明する。
「凄いでしょ」イェジンがジュンモを小突く。

スンチャン「床は白木で100%合意をとってあります。それから、玄関前には大理石を敷かないように言っておきました。大きな部屋じゃないですし、雰囲気に合いませんから」
イェジン「(ジュンモに)ほらね!完璧よ、この子」
ジュンモ「(スンチャンに)おい、お前、仕事もそんなふうにやれよ。欠放だからって時間が有り余ってんだな」

「あ、えっと」勢いに乗ったスンチャンは、イェジンの向かいに膝を突き合わせるように腰を掛けた。(←何やってんの:笑

スンチャン「明日、照明を付けることになってるんですけど」
イェジン「うん」
スンチャン「(小声で)僕、無料の方向で交渉してますので」
イェジン「もうこの子ったら!私、照明じゃなくてあんたを取り付けたいよ、スンチャン!」
スンチャン「(嬉嬉嬉嬉嬉)」

1997

「ホントに賢いんだから!」イェジンがスンチャンの頭を撫でるのを、ジュンモは憮然と見つめた。

イェジン「ねぇ、あんたのことトンマだなんて言ったの誰?全員連れて来なさい!口を縫い閉じてやるんだから!」
ジュンモ「まぁ、安くなったんなら良かったな。入居はいつだって?一週間前には行って掃除しないと」

「イェジンと時間合わせて、俺が行ってやるよ」そういうジュンモを指さし、イェジンは可笑しくてたまらないといった顔だ。

イェジン「ちょっと、掃除?!何言ってんのよ、うちのお利口さんが…」

~~~~

経緯はこうだ。

「あの、入居者の方ですか」スンチャンは内覧中の中年女性に声を掛ける。

女性「えぇ。あなたも?」
スンチャン「あ、僕は友人がここに入居を。ところで、入居前の掃除、どうなさるご予定です?」
女性「掃除?」
スンチャン「僕もチラシを見て知ったんですけど」

そう言ってスンチャンは手に持ったチラシを差し出した。

スンチャン「何人か集まって共同購入すれば、掃除料金を安くしてくれるそうなんです。人が多ければ多いほど、値引率も高くなるそうですよ」

「ご一緒なさいます?」爽やかに微笑むスンチャン青年に、女性は顔を輝かせた。「あら、そうしようかしら」
女性はさっそく周りの仲間たちを呼び寄せる。たちまち何人もの女性がチラシを囲んだ。

~~~~

イェジンは豪快に手を叩いて笑う。「スンチャンがおばさんたちを10人集めたのよ!」

イェジン「私、それで掃除もタダになっちゃった♪ 消毒もね」
スンチャン「ジュンギくんのお母さん(←最初に声を掛けた人かと)がたくさん集めてくださったから」
イェジン「もうホントに…(ジュンモに)ちょっと、この子見た?ジュンギのお母さ…ううん、近所のおばさんたちともう仲良くなってんだから。スンチャン、撮影で一般人に交渉するとき、すごく上手くやると思うよ、うん!」
スンチャン「母が階段の世話役とか婦人会長だとか、そういうのを受け持ってて」
イェジン「(うんうんうん)」
スンチャン「家にお友だちがよくいらっしゃるし、僕は基本、おば様たちに物怖じしない方なんです」

「…。」ジュンモは何も言えず、唇を尖らせる。

イェジン「私、自分の荷物さえ何とかすれば良さそう。荷造りの業者呼んだほうがいいかな?」
ジュンモ「そりゃそうだろ、それが一番ラクだ」

「僕、ちょっと見たんですけど」スンチャンが立ち上がる。

スンチャン「先輩の荷物、そんなに多くありません。だから、コンテナにある物は配送屋に運んでもらって、ここにある荷物は今日からでも少しずつ運んだらどうですか?」
ジュンモ「………。」
スンチャン「小部屋はドアに鍵を掛けてあるから、そこに荷物を積んでおいて」
イェジン「うん、そうだね!遥かに安くなりそう。ジュンモ、ちょっと手伝ってくれる?」
ジュンモ「俺はいい。お前ら二人で大いにやれよ」

「どこまでやるつもりだよ」ブツブツぼやきながらジュンモは腰を上げる。

ジュンモ「引越し業者の人たちも稼がなきゃならないだろうに」

歩きながらスリッパを脱ぎ飛ばし、ジュンモはそのまま玄関を出て行った。

スンチャン「荷造りするの、お手伝いします。先輩!」

「うん、ペク・スンチャン!」イェジンはパンと手を叩き、立ち上がった。

+-+-+-+

ここで区切ります。
スンチャンと一緒にいるのがどんどん楽しくなっているのが見えるイェジン。
どう動くんでしょうねぇ。

冒頭、スンチャンはどうするかなって、数日前に予想してたんですけど…

※「自分へシンディへ」→「自分はシンディへ」の間違い。

「そんな器用なことはできない」と却下した3だった。思ってたのとだいぶ違って、だいぶ不器用な状況になっちゃったけど、実直な彼の人柄がでてましたよね。

 - プロデューサー

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