韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

プロデューサー7話あらすじ&日本語訳 vo.3

   

キム・スヒョン、IU、コン・ヒョジン、チャ・テヒョン、出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサー」7話、終盤です。

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「ミン記者と連絡はついたわね?」ピョン代表が言う。

キム室長「はい。単独インタビューの準備中です」

「書き留めて」ピョン代表に言われ、キム室長は急いで手帳を開いた。

ピョン代表「シンディは某所で休養中。所属事務所の徹底した保護のもと、ショックを受けた心身を鎮めているところ。理由は具体的に明らかにできないが、心理的なショックが大きかった模様。あぁ、最後にこれを入れて頂戴。一方、シンディは先日、ある放送局のスペシャルショー収録で、舞台の上から…」

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さっそく上がっている記事を、イェジンはミューバン班の面々と眺めていた。
スタッフが記事を読み上げる。「担当女性PDである、T某PDのミスにより負傷し、入院したのだ」

イェジン「どうしてここで突然その話が出るの?ねぇ」
男性スタッフ「たいてい ”一方” の後に、ホントに言いたいことを言うでしょ?」
イェジン「これって、そのPDと何かあってシンディがショックを受けたって、そういうニュアンスじゃないですか?わざと怪我させたとか、そういう」
イェジン「だよね?そう感じるのは私だけじゃないよね?」

「えぇ」一人だけ自分のデスクに向かっているタジョンが答えた。

タジョン「みんなそう思ってるみたいですよ」
イェジン「え?」
タジョン「シンディのファンクラブで投票が始まってるんです」
イェジン「何の投票?」
タジョン「シンディの事故はPDが故意に起こしたか、そうでないか」

タジョンがタブレットの画面を見せる。

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#タジョン嬢、だんだん可愛くなってない?^^

「!!!」イェジンは思わず身を乗り出してタブレットを覗き込むと、愕然と椅子に腰を下ろした。

イェジン「故意なわけないでしょ。何言ってんだか」
タジョン「今のところ”故意だ”が85%で、圧倒的に優勢です。さっきまで60%だったのに、状況が悪くなってますね」

イェジンは頭を抱え、大きく溜息をついた。

イェジン「そのさ、T某PDってのが私ってわかるかな?ねぇ?」
男性スタッフ「地上波3局の音楽PDの中で、T某PDが何人いるでしょうね」
イェジン「…だね」
女性スタッフ「(うんうん)」
イェジン「私一人だろうね」

呆れてイェジンは笑うしかない。「私はシンディを助けたのに!」

イェジン「助けようとして自分も怪我したし!それに、私が今どんなことしてるか知ってたら、私のこと英雄だって祭りあげてもいいくらいなんだから!」
タジョン「…何をしてるんですか?」
イェジン「!」
タジョン「…。」

「もう知らない!」イェジンは机を叩き、立ち上がった。

イェジン「私、叩かれるのなんて、ちっとも怖くないんだから!モニターの向こうに隠れて、口だけベラベラ喋るヤツら!」

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イェジンは車の前で絶句していた。
フロントガラスにデカデカと落書きされていたのだ。『タク・イェジン アウト!』
毒々しい赤い文字に、彼女は重苦しい溜息をつく。

イェジン(インタビュー)「口だけのヤツらだなんて言ったのは、発言を早まったって認めますよ。だから行動で示したんですね、みんな」

「すごい勢いだわ」イェジンは皮肉に笑った。
彼女の後ろで、サイドミラーのカバーがハラリと落ちる。「?」

イェジン(インタビュー)「もう撮らなくていいでしょ、ね」

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イェジンはジュンモとテホCPはと共に、局長室へ来ていた。

局長「こんなことになるなんて」
テホCP「ですよね」

#だからぁテホCPのパーマ気合入りすぎだってば

テホCP「イェジン、PDが出演者を押して入院させたのも初めてだがな、こうして記事になってクレームがたくさん来るのも初めてだ」

「私、ホント無念です!」イェジンが訴える。

ジュンモ「報道訂正の訴訟を起こすなり、メディア仲裁委員会に上げるなりすべきだって。一体何やってるんですか?!」
テホCP「けど、ちょっと曖昧だろ?記事の上じゃ、今回の事態がうちの責任だ、そう書いてあるわけでもないし」
ジュンモ「同じだろ!まさにそういうニュアンスなのに」
局長「ニュアンスだけでどうやって訴訟するんだ?”そうだったのかもしれない”その程度なのに」

ジュンモの頭に、ピョン代表の言葉が不意に甦った。「そうだったのかもしれない、そんな憶測、噂、囁き、根拠のないデマ。それを阻止する方法はないわ」
「!!!」ジュンモはハッと気がついた。「ピョン代表は、自分に飛んできた矢をイェジンに方向転換させたんだ!」

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イェジンがカフェから出てくると、いつもたむろしているアーティストのマネージャーたちが、彼女に挨拶してはひそかに笑った。

#この人たちいつも何やってんの

「大丈夫ですか?」そう声を掛けておいて、小声で「大丈夫じゃないさ」と笑う。
彼らの前にイェジンは向き直った「そうよ、私よ。T某PD」

そこへ、向こうから数人で歩いてきた人たちが不思議そうに彼女を見る。
スンチャンと同期たちだ。「タク・イェジン先輩じゃないのか?」

#なんだか青い集団。いいねぇ♪

イェジン「私ホント大丈夫だってば!車だけちょっとやられちゃった♪はははははっ」

「大丈夫だから」最後にマネージャーたちを睨み、彼女はクルリと背を向ける。
スンチャンは急いで彼女を追いかけた。「先輩」

イェジン「あぁ…」
スンチャン「大丈夫ですか?」
イェジン「何がよ?」
スンチャン「記事のことでいろいろ言われて…。車も誰かが傷つけたって」
イェジン「ホントに…シンディのファンってすごくパワフル。あんたもこの前見たでしょ?アスリートみたいなファンクラブの会員たち」

「ああいう子たちなら仕方ないわ」彼女は歩き出して、また立ち止まる。「だけど大丈夫だから」

イェジン「どうせこんなデマって、ワッと騒ぎになって、違うって思ったらすぐおさまるのよ。何てことないって」

そこへイェジンの携帯にメールが立て続けに届いた。「何よ、いきなり?」

「あんたそれでもPD?」
「殺人未遂だ!シンディに謝れ」
「夜道に気をつけな」
「タクPDの命日にふさわしい天気だな」
「暴力PD タクPD消えろ」
「お前も同じ目に遭わなきゃわからないんだろ」

あっという間にズラズラと暴言が並ぶ。「はぁ、どこまで恨まれてるんだか」

イェジン「ピョン代表のマスコミプレイ、大成功ね。私のこと好き勝手に利用して」
スンチャン「電話番号、どうしてわかったんでしょうか」
イェジン「知らないよ、そんなの」

「あぁ、あれだ」スンチャンが声を上げる。

スンチャン「車のガラスのところに貼り付けてた電話番号!」
イェジン「あっ、ホントにあれを見てわかったのかな?」
スンチャン「とにかくそれを剥がして、当分の間は気をつけたほうが。どこで誰が飛びかかってくるかわかりませんから」

イェジンは思わずキョロキョロと辺りを見回す。「そんな!」
「もういいよ、行こう」イェジンが歩き出すと、スンチャンも彼女について一緒に歩き出した。
横断歩道を渡ろうとすると、向こうからバイクが突っ込んでくる。
「!!!」スンチャンは咄嗟にイェジンの肩を掴み、抱きとめた。

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#スンチャンのスキンシップはスローモーション♪

「!」何事もなかったようにバイクが通り過ぎると、腕の中でイェジンが言う。「あんた、何してんのよ」
「あっ」スンチャンがハッとして離れる。「あのバイク、怪しいですよ」
イェジンは呆れたように笑い、向こうを指さした。「ほら」当のバイクが配達の品を客に渡すのがみえた。「あれが怪しい?」

イェジン「オーバーにしないでよね、ホント!あんたのせいでまた怪我するところだったじゃない」

「行こう」歩き出したイェジンの前を、スンチャンは両手を広げ、庇いながら歩いた。

イェジン「何してんのよ。あんたホント変わってるわ」

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飲み終えたドリンクの容器を捨てるようスンチャンに頼むと、イェジンは彼と離れ、階段を上がり始める。
そこへ、男が下りてきた。「タク・イェジンPD?」

イェジン「えぇ、私ですけど。どなた…?」
男「私のこと、ご存知ありませんか」
イェジン「私あまり…」

ゴミ箱に容器を捨て、階段を振り返ったスンチャンは、見知らぬ男の姿に目を細めた。「?」

男「やれやれ、寂しいな」
イェジン「どなた…でしたっけ」

男をじっと観察するうちに、スンチャンの不安が募る。
彼は階段を駆け上がると、ガッシリとイェジンの肩を抱きかかえ、胸を張った。「どなたなんだ?こちらは」
「何よ、離してよ」イェジンが戸惑って押し返すも、スンチャンは彼女を離さない。「し、知り合いか?」

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「タクPDさん」男は愉しげにイェジンを覗きこんだ。「最近いいことでもあったようですね」
イェジンが不安そうに首を横に振る。

男「ずいぶんお目にかからない間に」
イェジン「???」

「僕、ヨンチョルですよ!」男が声を上げて笑う。「前に4minuteのマネージャーをやってた」
「あぁ、ヨンチョルさん!」イェジンが笑ってヨンチョル氏をパシっと叩く。「何でこんな太っちゃったのよ!」

イェジン「全然わからなかったわ」
ヨンチョル「ところで、こちらの方は?もう、タクPD!さすがやり手ですねぇ」

「?」イェジンとスンチャンが気まずそうに目を合わせた。

スンチャン「いいえ、僕は何でもありません」

「あの… ごゆっくりお話しください」スンチャンがその場を逃げようとしたとき、イェジンが耳をギュッと捕まえた。

#耳を捕まえる人って実際観たことある?(笑

イェジン「ヨンチョルさん、また会いましょ」
ヨンチョル「えぇ、PDさん」

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スンチャンは意気消沈していた。「僕はホントに怪しい人だと思って…」

イェジン「怪しい人ならどうするつもりだったのよ?体だってあんたの2倍はあるのに」
スンチャン「それでも、ああやって行動するのとしないのとじゃ、だいぶ違います」

「それからさぁ」イェジンが立ち止まり、スンチャンの肩に手を伸ばす。「知り合いか?」
スンチャンの真似をし、彼女は呆れたように笑った。「あんたひそかに言葉が馴れ馴れしくなってくね」

スンチャン「あ、それは多少メソッド演技というか、そういう…」

「オーバーはやめてよ!」イェジンが彼の背中をパンと叩く。

イェジン「人が見たら私が恐喝にでも遭ってるのかと思ったでしょうよ。私、そんなふうに見られたくないの」

イェジンが歩き出す。

スンチャン「だけど!車にイタズラしたり、変なメールを送ってきたりするのは、法的にもかなり酷いほうに属する脅迫ですよ。気をつけなきゃダメです、ホントに!」
イェジン「(無視)」
スンチャン「先輩!」

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キャップを被り、マスクをつけ、シンディはゴミ捨て場にゴミを捨てにやってきた。
彼女がゴミを捨てようとしたところへ声を掛けたのが、スンチャンの母親だ。「ちょっと、お嬢さん」

シンディ「?」
スン母「ペットボトルはボトルと蓋を分けて」

シンディが持って来た小さなビニール袋の中身をあけると、中からキッチリ分別されたペットボトルの蓋だけが出て来た。
スンチャンの母が思わず顔を輝かせる。「そうね、そうそう」

次にシンディが出したのはスプレー缶だ。「ちょっと、お嬢さん」

シンディ「?」
スン母「ガス缶はそのまま捨ててはダメよ」
シンディ「穴を開けなきゃダメなんです」
スン母「?」

スンチャンの母が見ると、シンディの持っているスプレー缶には、ちゃんと底に穴が開けてある。

スン母「あぁ、そうよ。こうするの」

次にシンディが取り出した空き缶をスンチャンの母が手に取る。「一つ一つ水で洗ってきたの?」

シンディ「はい」
スン母「どうして?」
シンディ「清潔でしょう?」
スン母「あら、なんてこと!全部ちゃんとわかってるのね。最近のお嬢さんはこういうこと知らないのよ。卵の殻を食料ゴミと一緒に捨てちゃって」
シンディ「信じられない、それは一般ゴミなのに」
スン母「でしょう?!バナナの皮は?」
シンディ「食料」
スン母「栗やピーナッツの殻は?」
シンディ「一般」
スン母「肉や魚の内臓は?」
シンディ「食料」
スン母「完璧ね」

「ねぇ、お嬢さん」スンチャンの母はすっかり彼女がお気に入りだ。「私たちと活動するつもりはないかしら?」

スン母「毎週木曜日の朝、婦人会で分別収集作業をしているんだけど」
シンディ「…。」

スンチャンの母は期待を込めてシンディを覗き込む。

シンディ「やりたい気持ちはあるんですけど…。すみません、私、ここにしばらく泊まってるだけなんです」

テキパキとゴミを分別して捨てると、シンディはペコリと頭を下げ、足を引きずりながら帰っていった。

スン母「あんなしっかりしたお嬢さんが他にいるかしら」

スンチャンの母はシンディが捨てていったペットボトルを手に取る。「ビニールラベルまで全部剥がしてあるわ」
「あら♪」そう言って、スンチャンの母は何やら顔を輝かせる。「あらら♪」

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爽やかな初夏の風が、そよそよとカーテンを揺らす。
シンディはソファで穏やかに眠っていた。

それは、本当に久し振りの心からの休息だ。

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ミンジョンたち、若い女性職員たちがコ・ヤンミの元へ集まっていた。
「鬱陶しいんです!」彼女たちが口々に訴える。

ヤンミ「お偉方と関係がある…?それから?」

「なんだか秘密が多いと思わないか?」
「性格が明るくないだろ、陰鬱としてさ」
「見方によっちゃ不憫だよ。楽しみがないからトナーやA4に執着するんだ」

ホンスンの数々の発言が、すべて彼女たちを通してヤンミの耳に入る。
ヤンミがスクっと立ち上がった。「退いて」

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エレベーターのドアが開き、ホンスンの周りの人々がゾロゾロと下りていく。
「?」誰か後ろにいる気配を感じ、ホンスンは何気なく振り返った。「!」
隅にひっそり佇んでいたのは、ヤンミだ。
驚いた彼の前で、静かにエレベーターのドアが閉まった。

「1階まで?」ヤンミが口を開く。

ホンスン「…えぇ」

ヤンミはゆっくり前に進み出ると、点灯している1階のボタンを押して取り消し、地下2階のボタンを押した。
「1階に行くんですよ!」ホンスンが手を伸ばした瞬間、ヤンミがその腕を掴み、捻り上げる。「あっ!!!」
彼はあっという間に壁に追い込まれ、動きを封じられた。

ヤンミ「”気が狂って暴れる牛は、角を折っても罪にはならぬ”」
ホンスン「何ですか?」
ヤンミ「口に気をつけなさいってこと。ロシアのことわざよ」
ホンスン「…はい」
ヤンミ「キム・ホンスンPD、今度私のことを吹聴して回ったら、本当に角を折るわよ」
ホンスン「…肝に銘じます」

ヤンミはもう片方の手でホンスンの鼻をギュッとつまむ。「ちょっと味見させてあげましょうか?」

ホンスン「いえ!味見しなくてもわかりましたから!」

彼女はようやく手を離し、彼の両肩をポンと叩いた。「しっかりやんなさい」

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予定通りジュンモとスンチャンはロケハンに向かっていた。
ジュンモが運転し、スンチャンが助手席に座る。
後部座席の真ん中で、シンディがワクワクしていた。「タクPDさんは?」

ジュンモ「あぁ、車の修理屋に。車を修理しなきゃいけなくて。終わったらすぐこっちへ来ることになってるんですよ」
シンディ「修理屋?どうして?」
スンチャン「あ、それは…」

「ちょっと…」ジュンモがスンチャンに目配せをする。「手入れする必要があってね」

ジュンモ「今日一日どうしてたんです?退屈じゃありませんでした?」
シンディ「ううん、全然。片付けるものがすごくたくさんあって。分別収集もやったし、昼寝もしたし。あぁ、携帯を切って1日ネットをしなかっただけなのに、それだけですごく気分よかったんです。時間もたくさんできるし」
スンチャン「…。」
ジュンモ「良かった。それでいいんですよ」

「あ、今日お誕生日だって、来るときに聞きました」スンチャンが後ろを振り返る。

スンチャン「おめでとうございます、シンディさん」

シンディは澄ました顔で言う。「それだけ?」

スンチャン「えっと…」
シンディ「私と遊んでくれなきゃ♪ 私、イベント以外でどこかに遊びに行くの、この10年で初めてなんですよ」

「楽しみだな」シンディはつぶやいた。

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龍仁の遊園地には、暗くなってもまだ客が残っていた。
下を向いて待っているシンディの元へ、スンチャンが車椅子を押して走ってくる。「ここに座ってください」

シンディ「私は歩いてもいいんだけど」
ジュンモ「ダメだって。ここはめちゃくちゃ広いんだから、あちこち歩き回って悪化したら大変だ」
シンディ「…。」
ジュンモ「乗って。これに乗って帽子被ってれば皆気づかないから」

シンディを車椅子に乗せると、彼らは歩き出した。

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しばらく進んだところで、ジュンモが立ち止まった。

ジュンモ「俺、ここで広報チーム長に会って、スタッフの宿泊所といくつか調整することがあるから。お前、俺がリストアップしておいた場所へ行って、写真撮ってくれ」

スンチャンが頷く。
「シンディの世話を頼むぞ」ジュンモが小声で付け加えた。

スンチャン「はい、分かりました」

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「イェジンのヤツ、何で来ないんだ?」スンチャンたちと分かれると、ジュンモはイェジンに電話を掛ける。

「あぁ、もうほとんど終わったよ」イェジンは修理屋にいた。「落書きを消すのに時間が掛かって」

イェジン「駐車場に着いたら電話するよ」

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一人遅れ、イェジンは龍仁に向けて車を走らせていた。
ふと、車のフロントガラスに貼り付けたステッカーに目がとまる。
何かの際に連絡が取れるよう、彼女の電話番号が書いてあるのだ。

「電話番号はどうしてわかったんでしょう?」スンチャンの言葉が甦る。「あ、車の窓ガラスに貼ってある電話番号!」

彼女は思い出してふっと笑った。
「オーバーなんだから」そう言いながら、彼女はステッカーを剥がした。

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「ホントなんだから!」ホンスンは夕食をとりながら、ヤンミに押さえられた腕の痛みをテホCPに訴える。

ホンスン「まるでコマみたいに俺のことグルグル回して、腕をぎゅっとへし折ってさ!」
テホCP「お前な、自分の筋肉に恥ずかしくないのか?」

#仕方ないよ。接待筋なんだから。

ホンスンはイライラしてグラスを口に運ぶ。「ほらほら、手が震えてるだろ」

テーブルひとつ挟んだ向こうに、男性客が一人。
シンディを逃してしまったマネージャーだ。
「シンディ… どこにいるんだ?」酒をすすり、うわ言のように呟く。

マネ「俺を助けてくれよぉ」

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施設の広報担当者と和やかに話しながら、ジュンモは手早くメッセージを打った。

ジュンモ(LINE)「まだ着いてない?迎えに出るから電話してくれ」

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誰もいないジュンモ宅へ帰ってきたイェジンの弟、イェジュンは、綺麗さっぱり片付いた家の中を不思議そうに見渡した。

弟「何が起きてんだ?」

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ミューバン班、タジョンはデスクで静かにタブレットを見つめていた。
朝からシンディのファンサイトで始まっていた投票は、「事故は故意だ」が90%に増えている。

タジョン「…。」

彼女は「故意ではない」の投票ボタンを押した。

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【07 マスコミプレイの理解
多数決で真実を隠すことはできない】

#今までで一番まともな副題じゃないか

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ピョン代表は一人静かにアルバムをめくっていた。
アルバムの中には、クールにカメラをみつめる今のシンディと、少女の頃の笑顔が並んでいる。

ピョン代表「…。」

ピョン代表は写真のシンディの無垢な笑顔を、じっと見つめた。

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しばらくあちらこちらを見ながら進んできたスンチャンたちは、鮮やかな植物が張り巡らされた緑のトンネルに差し掛かる。
夜は色とりどりのライトで綺麗にライトアップされていた。

シンディはトンネルの入口で中を見上げる。「ここは変わらないな」

シンディ「私、10年前の今日もここへ来たんです」
スンチャン「10年前ということは、13歳だから、ご両親と一緒だったんでしょうね」
シンディ「…。」

車椅子がトンネルの中を進んでいく。

シンディはあの日の光景を思い浮かべた。
楽しそうに両親とはしゃぐ自分の姿が甦る。

シンディ「あの日… 来なきゃ良かったのに」
スンチャン「?… どうしてです?」

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いつの間にか少女の周りに両親の姿はなく、彼女の前に現れたのは、ピョン代表だった。

シンディ「ここで初めてピョン代表に会ったんです。聞いたことあるでしょう?街頭スカウト」
スンチャン「ここへ来たのを後悔してるってことは、今の人生が気に入らないってことですか?」
シンディ「?」
スンチャン「忙しくてプライベートな時間もないし、辛い部分があるのは十分わかりますけど、いい部分も絶対あると思うんです」

シンディが微かに微笑む。「どんな部分?」

シンディ「私の人生、後は下っていくだけです」

「…。」スンチャンが車椅子を押す手を止めた。

シンディ「今日でもう23なんだし。私、これまでひたすら駆け上がってきたんです。だから、あとは下るだけ」
スンチャン「…。」
シンディ「それで、いい部分ってどこだと思います?」

スンチャンは車椅子のタイヤをロックし、彼女の前へまわった。

スンチャン「僕の母は歌手のチョン・ヨンロクさんが好きなんです。今でも”私の愛泣き虫”だとか、”愛を鉛筆で書いてください”だとか、そういう歌を聴いたら胸が震えるって、嬉しそうにしています。昔、恋をしていて楽しかった時代を思い出すって」

シンディはまっすぐに彼を見上げ、じっと話に聞き入る。

スンチャン「一世を風靡したスターっていうのは、もしかしたらその時代の象徴なんじゃないでしょうか?後になって、シンディさんが今みたいな輝きを失ったとしても、人はシンディさんの歌を聴いたら、きっと自分の人生の一番輝いていた時代とシンディさんを思い浮かべて、懐かしむはずです」
シンディ「…。」
スンチャン「それは意味のあることだと思います」

シンディが微笑む。「そうかもしれませんね、本当に」

シンディ「そんなふうに考えたこともありませんでした」

シンディは少し和らいだ表情で辺りに視線を移した。「私のお母さんは映画俳優のチャン・グギョンが好きだったな…」

シンディ「それで、お父さんはチャン・グギョンがCMをやってるチョコレートを100個貢いで、やっとお母さんとつき合えたんですって」
スンチャン「それなら、チャン・グギョンさんが亡くなったとき、お母さんも悲しまれたでしょうね」

「…。」シンディは悲しげに溜息をつき、遠くへ視線を移す。

シンディ「どんなに考えても、やっぱりあの日ここに来るんじゃなかったわ…」
スンチャン「…?」
シンディ「うちの家、春川だったんです。あの日は私の誕生日で、何度もせがんでやっとここへ来たんです。ピョン代表と会った後は、ソウルにある練習室で暮らしました。両親は2週間に1度ソウルへ会いに来て。だけど…」

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同時に両親を失ったシンディは、遺影の前で泣き崩れた。
彼女のそばにいたのはピョン代表だ。

ピョン代表「シンディ、これからは私がお母さんよ。お母さんを信じて、ついてくればいいの」

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シンディ「もし私が… あの日ここに来たいってせがまなかったら…。ここでピョン代表に会わなかったら…。そのせいでお母さんとお父さんと離れて暮らしていなかったら…」

感情を抑え、静かに話すシンディの目から、つぎつぎと涙が流れ落ちる。

シンディ「そのせいであの日あんな事故が起きなかったら…どんなによかったかな」
スンチャン「…。」
シンディ「そうやって何度も何度も考えたからって、どうなるわけじゃないけど、私、この10年毎晩考えてたんです。考えるたびに眠れなくて…」

「…。」スンチャンは車椅子の前にしゃがみ、黙って彼女を見上げた。
「…。」涙で赤くなった目で、シンディもまた彼を見つめる。

そっと手を伸ばすと、長い指先で彼女の涙を拭った。

スンチャン
신디씨 잘못 아니에요.
シンディさんのせいじゃありません。

シンディ
…。

スンチャン
부모님도 그렇게 생각하지 않으실 거고.
ご両親もそう思っていらっしゃるはずですし。

シンディ
…。

スンチャン:
만약에 라는 생각을 이제 그만하기를 바라실 거에요.
오히려 지금까지 혼자 참 잘했고 수고했다 그렇게 생각하실 겁니다.
もしかしたら…なんて考えるのはもうやめて欲しい、そう願っていらっしゃると思います。
むしろ、今まで一人で本当によく頑張った、ご苦労様って、そう思っていらっしゃるはずです。

1951

シンディはまた流れ落ちる涙を拭いもせず、うんうんと頷き、微笑んでみせた。「ありがとう」

シンディ「手を貸してもらえますか?」
スンチャン「?」
シンディ「立ちたいの」

スンチャンの差し出した手に掴まると、シンディは車椅子から立ち上がった。
泣き腫らした赤い目で、それでも彼女はまっすぐに彼を見つめる。「…。」

シンディ:
내 인생에 여기 올 일 다시는 없다고 생각했거든요.
근데 오늘 오기는 잘한 것 같아.
PD님이랑 오기를 잘했어.
이제는 놀이공원 하면 PD님 생각날 것 같아요.
私、人生でもう二度とここへ来ることはないと思ってたんです。
だけど、今日来て良かった。
PDさんと来て良かったです。
これからは、遊園地って聞くとPDさんを思い出すでしょうね。

スンチャン:
아… 제가요?
あぁ…僕をですか?

シンディは小さな声で頷いた。「えぇ」
じっと彼を見つめたまま、ゆっくりと彼女は距離を縮める。
彼の腕に掴まって背伸びをすると、まっすぐチュッと彼に口づけた。

1953

#かかかかかわええーー 高校生か きみら

シンディ:
이제 PD님은 평생 놀이공원 하면 내 생각날 걸요.
これでPDさん、遊園地って聞いたら、一生私のこと思い出すはず。

スンチャン:
!!!

1952

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【エピローグ】

「今、中に入ったよ」遊園地に着くと、イェジンはジュンモに電話を掛けた。

イェジン(電話)「スンチャンはどこ?そう?じゃ、そっちへ行って電話するね」

電話を切ったところで、また電話がなる。「もしもし」

電話「6696の車の持ち主さんですよね?ライトが点いたままですが」
イェジン(電話)「あ!そうですか?えぇ、ありがとうございます」

イェジンはまた外へ出て来たジュンモに電話を掛けた。「車のライトがつけっぱなしだって誰かが」

人気のない駐車場を、イェジンは話しながら歩く。

イェジン「あれ?だけどねジュンモ、私、電話番号剥がしたんだけど。私の番号、どうしてわかったのかな」

イェジンはふいに気配を感じ、後ろを振り返った。「はっ!」
目を見開くと同時に、彼女は携帯を落とす。

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ここでエンディングです。

みなさん演技が自然で、感情が抑えられてて、逆に素直に引きこまれます。
大事なところはゆっくり描いてくれるし、とてもイイです^^

スンチャンが「シンディさんのせいじゃありません」と涙を拭ったところは、突然のだめカンタービレが頭の中に割り込んできちゃって困りました。
「同じ台詞で似たようなシチュエーション、なんだっけ?なんだっけ?」って(笑

 - プロデューサー