韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

プロデューサー7話あらすじ&日本語訳 vo.2

      2015/06/07

キム・スヒョン、IU、コン・ヒョジン、チャ・テヒョン、出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサー」7話、中盤です。

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イェジンたちは洗濯物を囲んでいた。
イェジンがタオルを畳んでテーブルに置くと、シンディがすかさずそのタオルを畳みなおす。

イェジン「何してんの?」
シンディ「角が合ってないみたい」
イェジン「?」

「私がやります」積んであるタオルを、シンディがまとめて掴むと、もう一度畳み始めた。

イェジン「上手いねぇ。こういうこと、やりそうにないのに」
シンディ「整理整頓できてないのは見過ごせなくって」

そのときチャイムが鳴った。
二人は驚いて同時に玄関を振り返る。「!」

イェジン「どなたですか」

「スンチャンです」ドアの向こうで声が聞こえた。
玄関のドアを開け、後ろに誰も居ないのを確かめると、イェジンは彼を招き入れる。

スンチャン「ライム買って来ました」
イェジン「うん」

シンディも立ち上がり、彼を迎えた。

イェジン「もう、家で水飲むのにこんなもの浮かべるなんてね。変わってるわ、全く」

「それじゃ、僕は帰ります」台所へ向かったイェジンに、スンチャンが声を掛ける。
「うん、じゃあね」イェジンが言うと同時に、シンディも口を開いた。「晩ごはん食べて行ってください」

イェジン「?」
シンディ「…。」

「…。」スンチャンが困って二人を見比べる。

イェジン「あ、食べて行く?」

「はい♪」スンチャンは嬉しそうに笑い、玄関のドアを閉めた。「いただけるなら…」

シンディ「(イェジンに)何作ってくださるんです?」
イェジン「…。」
シンディ「私はフェタチーズとレンズ豆だけあればいいですから。あ、キヌアと」
スンチャン「???」
イェジン「何ヌアって?」

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「もうXファイルが出たようです」携帯を覗き、キム室長が言う。

ピョン代表「どんな?」
キム室長「事務所がシンディをコントロール出来ていない、関係がうまく行っていない、再契約は厳しい、財閥2世と海外旅行中だ…」
ピョン代表「どうしてそんな小汚い噂が出るまで、あの子を見つけられずにいるのよ!!!」
キム室長「…。」
ピョン代表「さっさと探し出しなさい。公式日程を消化すれば、スッとおさまるでしょうが!」
キム室長「噂が立たないように内密に探すのにも限界があるんですよ。それにシンディは普段親しくしている人もいませんし、行きそうな場所もありませんから。それよりも問題なのはですね、こんなに連絡がつかなかったことは今までなかったものですから、本当に何かあったんじゃなかろうかと…」
ピョン代表「!」
キム室長「事故に遭ったとか、拉致されたとか!」
ピョン代表「マズいわね」
キム室長「えぇ。やはり警察に通報したほうがいいですよね?」

キム室長が震える手で携帯を握る。

ピョン代表「”シンディが消えました”…そう発表するつもり?!」
キム室長「あ… それじゃ、どうしましょうか」
ピョン代表「…。」

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ジュンモはテホCPたちと食事に出ていた。

テホCP「ピョン代表から何か連絡ないのか?」
ジュンモ「ない」
ホンスン「俺もさっき聞いたけど、シンディが財閥2世と見つめ合いながらパリのどこかのホテルにいるって」
ジュンモ「足を怪我してギブスしてる子が、何でパリなんか」
テホCP「俺も聞いたぞ。シャンゼリゼ通りで見た人がいるってな」
ホンスン「シンディ、ピョン代表のところともうすぐ契約終わるだろ。財閥2世と出会って、もう事務所に振り回されるもんかって、それで海外に雲隠れしたんじゃないのか?」
テホCP「(うんうん)」
ジュンモ「俺が知るわけないだろ」

「もうやめろよ、その話」ジュンモはクイッと酒を飲み干した。
「先輩、今日のコ・ヤンミの服見ました?」飽きもせず、ホンスンが出したのはヤンミの話題だ。

テホCP「コ・ヤンミが何を着て来ようが、俺はそこまで見る余裕ないぞ」
ホンスン「俺、最近毎日チェックしてるんだけど、一度も同じ服を着てないんですよ」
ジュンモ「…。」
ホンスン「しかも、そんじょそこらの店で売ってる服じゃないんだから。全部めちゃくちゃ高いヤツなんだぞ」

「こいつだけ暇すぎるよな」ジュンモが言う。
テホCPが顔をしかめ、頷いた。

ジュンモ「何そんなことまでチェックしてんだよ?」
ホンスン「おい、考えてみろよな。事務局の給料で、どうやってあんな高い服買うんだ?車だって超高いんだ。仕事でも好き勝手に処理してるし、こりゃどこかお偉方と関係があるに違いない」

「こいつ、小説家かよ」ジュンモが呆れ顔で酒をグラスに注ぎ足した。

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帰り道を一人で歩きながら、ジュンモは思わず溜息をついた。
立ち止まると、彼は携帯を取り出し、シンディに電話を掛けてみる。
数回呼び出し音が流れると、「電源が切れています」と定型メッセージに切り替わった。

ジュンモ「…。」

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玄関を開け、家に帰ってきたジュンモは、ふと玄関に並ぶ靴に目を留める。
1,2,3…
3人分の靴が並んでいた。「?」
靴を脱ぎ、家に上がると、彼はもう一度玄関の靴を振り返る。「???」

台所へさしかかり、まず最初に目に入ったのは、冷蔵庫の前にいるスンチャンだ。

ジュンモ「おっと」

スンチャンは冷蔵庫を開け、食材を取り出しているところだった。

ジュンモ「おい、ここはお前ん家かよ?何でお前が飯の支度してんだ?」

「あ、はい…」スンチャンは取り出した食材を抱え、冷蔵庫を閉じた。「それが…」
ちょうどそのとき、部屋からイェジンが出てくる。

ジュンモ「お前、飯の支度も出来ないくらい腕が痛いのか?」
イェジン「いや、それが… 実はね、ジュンモ」
ジュンモ「出前でも取りゃいいだろ。嫌なら俺に何か買って来るように言ってくれりゃいいんだ」

「うちの家は”出会いの広場”かよ?」ジュンモが二人を交互に見る。

ジュンモ「会いたい友だちも呼んで、同窓会もやって、知り合いも全部呼べばいいんだ」

「退けよ」リュックを下ろし、洗面所へ向かったジュンモは、ドアを開けて腰を抜かした。「!!!!!」
シンディがせっせと洗面所の掃除をしていたのだ。

シンディ「こんばんは、PDさん♪」
ジュンモ「シ、シンディ!!!」

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ジュンモはベランダへ出て何とか息を整えた。「ビックリしすぎて、言葉も…」
イェジンが黙って隣で背中をさする。

ジュンモ「…言葉も出ない」

スンチャンとシンディはダイニングに並んで腰掛け、二人の様子を遠巻きに見守っていた。

ジュンモ「だからって後先考えずに連れて来てどーすんだよ?」
イェジン「私だって好き好んで連れて来たわけじゃないんだから。あの子だって可哀相でしょ」
ジュンモ「…。」
イェジン「だって、行くところがないっていうのがホント… 他人事とは思えないし」
ジュンモ「お前が人間として他人の痛みに共感するのはすごくいいことだけどな、何で俺ん家に連れて来ようなんて思うんだよ?なぁ!」

「まぁ、そうだよね」イェジンが溜息をつく。「持ち主なんだから、あんたが決めてよ」

イェジン「ピョン代表に電話して迎えに来させれば、それが一番カンタンね。連れて帰って、あの子をとっちめるなり好きにすりゃいいのよ。そうでしょ?」

「!」ジュンモが思わず振り返る。
シンディとスンチャンが、実に不安そうに彼を見つめていた。

1938

ジュンモ「お前らみんな何なんだよ!クズは俺だけか?!」

ジュンモはすっかり脱力して手すりにもたれかかった。

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「全く…」みなで食卓を囲む頃には、ジュンモは笑うしかなくなっていた。「パリのシャンゼリゼ通りだの、高級ホテルだのにいるって噂になってるのに」

ジュンモ「ここに座ってメシ食ってるとはな。ははは、ここは高級ホテルだったのか」
シンディ「私、ホントはこういうもの食べちゃいけないんです。塩辛いものとか辛いもの。特にこういう汁物は」

そう言って汁物を一匙すすり、シンディはハッと手を止めた。「これ、誰が作ったんですか?」

イェジン「誰って、私よ」
スンチャン「すごく美味しいです」
イェジン「そう?たくさん食べて♪」
スンチャン「はい」

「全く…」ジュンモがまた呆れてボヤく。

シンディ「さっき訊いたら、レンズ豆もないしフェタチーズもキヌアもないって言うから、それで今日は仕方なく食べてるんです。でも、明日は用意していただけるとありがたいんですけど」
ジュンモ「…。」
イェジン「…。」
シンディ「私、ナトリウム摂っちゃダメなんです」
ジュンモ「明日もいるつもりなのか?」

皆が黙りこむ中、シンディはモリモリご飯を食べ続けた。

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イェジンのベッドで、シンディは本を読んでいた。
スンチャンから受け取った、デミアンだ。
そこへノックの音が響き、スンチャンが顔を覗かせる。「僕、帰ります」

シンディ「あ、そうですか」

スンチャンが頭を下げ、ドアを閉めようとすると、シンディが呼び止めた。「あ、PDさん」

スンチャン「?」
シンディ「訊きたいことがあるんです」

「ちょっとだけ」シンディが手招きした。
「えぇ」スンチャンが中へ入ってくる。

「ここ…」シンディが本のページを指さした。

シンディ「下線が引いてあるのはどうしてなんですか?」
スンチャン「あぁそれ… 読んでいて気に入った箇所に」
シンディ「ふぅん。私、どういうことなのか全然わからなくって。難しいわ」

「それは…」スンチャンは無造作にベッドの縁に腰を下ろす。
二人の肩が柔らかく触れ合った。

スンチャン「具体的にどういうところが…?」
シンディ「えーと、例えば… 」

1939

“새는 알을 깨고 나온다. 알은 세계다. 태어나고자 하는 자는 하나의 세계를 깨뜨려야 한다.”
”鳥は卵を割って出てくる。卵は世界だ。生まれようとする者は一つの世界を突き破らなければならない。”

「うーん」スンチャンが少し考えを巡らせる。

スンチャン「これは人間の普遍的な特性ともいえる、軟弱で怠惰で、恐れるものの多い… そんな属性を破ってこそ、また違う世界へ進める…」

一生懸命説明するスンチャンを、彼女は頷きながらじっと見つめる。「…。」

スンチャン「つまり、鳥は人間。卵は人間を取り巻く社会、環境、規律とか、人間関係みたいなもの」
シンディ「…。」
スンチャン「安全だけど、同時に澱んだものを意味してるんです」
シンディ「ふぅん」
スンチャン「人がそういうものを破って外へ出れば、そこで初めて新しい世界を手に入れる、本当の意味での自由を手に入れる、まぁそういう…」

#元の一行より、説明のほうが難しいという(笑)

スンチャン「僕、個人的にこのフレーズは、人間が成長するには痛みと犠牲が伴うって、そう解釈してるんです」
シンディ「痛みと犠牲…」
スンチャン「はい、僕の考えですけど」

「PDさんの考えね」シンディがニッコリ笑った。

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ジュンモとイェジンはと言えば、ソファに並び、無表情でテレビを眺めていた。
ジュンモの電話が鳴る。
「あっ」ジュンモが携帯の画面を見て、小さく声を上げた。

イェジン「何?」
ジュンモ「ピョン代表」

「え?ピョン代表?!」イェジンが思わず両手で口をおさえた。

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ピョン代表は車から降りると、電話の呼出音を聞きながら、目の前の建物を見上げた。

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「もしもし」緊張して電話を取ると、ピョン代表の声が聴こえてきた。「ラPD?」

ピョン代表(電話)「私、ピョンエンタのピョンよ。今ラPDのの家の前なんだけど」
ジュンモ(電話)「家の前?!」

スンチャンは部屋から出て来てソファに、シンディはドアを開けた向こうのベッドに座って耳を澄ませている。
皆がハッと息を呑んだ。「!」

「わかりました」ジュンモが電話を切ると、シンディが部屋から出て来た。「すみません、私、行きます」
ジュンモは彼女の肩に手を置いた。「とりあえずここにいて。俺が言って聞いてくるから」

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ジュンモは、公園のベンチでピョン代表と対峙した。

ジュンモ「どうして家が分かったんです?」
ピョン代表「覚えてない?ラPD。5年前にも一度来たことがあるんだけど」
ジュンモ「あぁ、そうでしたね」
ピョン代表「話は聞いてるでしょう?うちのシンディの」
ジュンモ「えぇ、まぁチラッと」

「…。」ピョン代表は大きな目でじっとジュンモを見上げた。

ピョン代表「ひょっとして、この件についてラPDは何かご存知?」
ジュンモ「僕は… 知りませんよ」
ピョン代表「ラPDは今シンディが出演している番組のPDだから、率直に打ち明けるわ。うちのシンディ、行方知れずなのよ」
ジュンモ「…。」(←超微妙な驚きの表情
ピョン代表「一度もこんなことなかった子なのに、最近なんだか…遅れて思春期が来たのかしら。とにかく手こずってるわ」

看板スターの失跡にも、ピョン代表はどこか物静かだ。

ピョン代表「いなくなってみれば、会社との不仲説だとか、どこかの財閥2世と海外逃亡だとか。Xファイルとか何とか、そんなものが出回ってる」
ジュンモ「まぁ、事実じゃないなら、そこまでのことでしょ?」
ピョン代表「ラPD、私はね、朝刊の1面トップを阻止しようと、かつては新聞社の輪転機の電源コードまで抜いた人間よ。当時も今も、一番恐ろしいのはコレよ」
ジュンモ「…。」
ピョン代表「”莫須有”。そんなことがあったかもしれない、もしかしたら悪いことをしているかも、そんな当て推量。噂、囁き。根拠のないデマ、これに耐えられる人はいないわ」

1940

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ジュンモは茫然と帰り道を歩いた。
「明日の朝になれば、記者からたくさん電話が掛かってくるはずよ」ピョン代表の言葉が頭を巡る。

「ラPD、私と口裏を合わせて頂戴。シンディは休息が必要だから、所属事務所の徹底した保護下で休んでいるとね。周囲に何の問題もない、そう口裏を合わせてほしくて、頼みに来たのよ」

ジュンモは玄関の前で立ち止まる。

ジュンモ「そうしましょう、代表。なぜって… シンディは実際ゆっくり休んでますから」

1941

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「良かった」スンチャンが言う。

スンチャン「全部知っていらっしゃったのかと思って、すごく心配したんです」

隣でイェジンも頷いた。

ジュンモ「俺だって、このおばさん知ってるのか知らないのか… そう思って心配したんだがな」

「はぁ、喉が乾いた」ジュンモはホッとして冷蔵庫を開けた。
「!」そこはいつの間にか、惣菜のパックやフルーツ、野菜、飲み物が完璧に整理されているではないか。「誰が入れたんだ?」

シンディが高々と手を上げる。

ジュンモ「大したもんだ、全く」

ジュンモはいつものビールを取り出す。「ビール飲む人は?」

1942

またシンディが黙って手を上げ、その後ろでイェジンが小さく手を上げる。
つられてスンチャンも手を上げた。

イェジン「(シンディに)ビール飲まないんじゃなかった?」
シンディ「それは… 顔が浮腫んで、次の日のスケジュールに支障が出るから」

「今日は大丈夫です。明日は仕事ないし♪」シンディは楽しそうだ。

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テーブルの上にはビール瓶が並んでいた。

イェジン「いやさぁ、シンディにそんなイメージなかったけど、何でそんなに整理整頓が上手いの?」

「あのね、ジュンモ」イェジンが自慢気に語る。「シンディがさ、キッチンの引き出しのお箸やら全部整理したんだよ」

イェジン「キンパ屋のヤツ、中華屋のヤツ、別々に。すごいと思わない?」
ジュンモ「正直お前、シンディが来て整理整頓してくれて嬉しいだろ」

「当然よ」イェジンが言う。

イェジン「あんた、ピョン代表がシンディを探しに来たもんだから、ひそかに浮かれたでしょ」
ジュンモ「当然だ。お前、シンディを俺ん家に連れて来たことを恩に着せて、シンディに怪我をさせたのを帳消しにするつもりだろ」
イェジン「当然よ」

二人のやりとりを、スンチャンとシンディが黙って見守る。

イェジン「あんた正直、若くて可愛い芸能人が自分ん家に来て嬉しいんでしょ」

「当然だ!」ジュンモが即答した。「嬉しいさ」

スンチャン「あの、何してるんですか?」
イェジン「私たち、お酒飲むときこうやって遊ぶのよ」
ジュンモ「当然だゲーム。昔Xマンでやってた。絶対”当然だ”って答えなきゃいけないんだ」
イェジン「あぁ、シンディは若いから知らなくても仕方ないよ。ね?」

「当然よ」シンディが不意に答える。

イェジン「?何、今の?」
シンディ「…。」
イェジン「やるつもり?」
シンディ「当然よ」
ジュンモ「おぉ~」

「OK、やってみましょ」イェジンが背を伸ばし、パンと手を叩いた。

イェジン「シンディ、あんた、友だちがいなくてここに来たんでしょ」
シンディ「…。」

皆の視線が集まる。

シンディ「当然よ」

イェジンとジュンモがニヤリとした。

シンディ「あんた」
イェジン「?!」
シンディ「お金がなくてここに居候してるんでしょ」
イェジン「…。」

スンチャンがドギマギして彼女を見た。

イェジン「当然よ。あんたさ、この間ジャケット脱いだの、私に一杯食わせるためにわざとやったんでしょ」

シンディが鼻で笑った。「当然よ」
「あーホント!」イェジンがダメージを食らい、頭を抱える。

シンディ「あんた、男とつき合っても3ヶ月持たずにフラれてばかりなんでしょ」

ジュンモが黙ってイェジンの肩を揉んでやる。
スンチャンは楽しくなって、ぎゅっと唇を噛んだ。

イェジン「ちょっと!何でわかったの?」
シンディ「(ニヤリ)」
イェジン「ジュンモ、あんたが話したの?ねぇ!」
ジュンモ「違うって。そんな話する仲じゃないし」

シンディがテーブルのビール瓶を手に取ると、イェジンのグラスに注ぎ足した。

イェジン「ホントにあんたが話したんじゃないの?」
ジュンモ「違うって」
イェジン「じゃあどうしてわかったのよ!」

「ふふっ」スンチャンが吹き出した。

ジュンモ「当然だって言っとけば良かったのに。我慢しなきゃ」

イェジンは「当然ゲーム」に負けた罰として、グラスのビールを飲み干す。
一人ゲラゲラ笑っているスンチャンに、彼女の視線が移った。「あんた笑ってんの?!」

スンチャン「?」
イェジン「あんた、私とやるわよ」
スンチャン「え?」
イェジン「あんた、ソウル大に通ってたときは秀才だって賞賛されたんだろうけど、テレビ局に入ってバカ扱いされて、めちゃくちゃ悔しいでしょ」

「当然」スンチャンがグーを出してポーズを決める。「…です」
シンディが彼を見てニッコリ笑った。

スンチャン「”お前”って言っていいんですか?」
イェジン「ゲームなんだから言いなよ」
ジュンモ「そうしな」
スンチャン「イェジン、お前…」
イェジン「…。」

#ふっと湧き起こる”この発言、初めてじゃない感” 笑

スンチャン「お前が思ってるより遥かに綺麗だってわかってるよな」
ジュンモ「酔ってんのか?」
イェジン「当然よ!」
シンディ「…。」
イェジン「あんたもマヌケっぽく見えるけど、見れば見るほど可愛いってわかってるよね?」

「ふはっ♪」スンチャンが鼻の下を伸ばす。「当然だ」
「何言ってんだか」ジュンモがつまらなそうにビールを飲んだ。

スンチャン「お前、怒るときはもっと魅力的だってわかってるよな」
イェジン「Oh、当然よ!ふははっ」

嬉しそうなスンチャンの横顔を、シンディが寂しそうに見つめる。

イェジン「だからあんたが好きなんだって、知ってるよね?」
スンチャン「当然だ」

1943

「…ジュンモ先輩より?」不意にスンチャンが付け足した。

シンディ「…。」
イェジン「…?」
ジュンモ「…。」

ジュンモの鋭い視線が、スンチャンに突き刺さり、チラリとイェジンに移った。

イェジン「当然よ!」
ジュンモ「!!!」

「おい!こいつとは知り合ったばかりなのに」ジュンモが食って掛かる。「俺より好きだって?」

イェジン「うん」
ジュンモ「…全く」
イェジン「(スンチャンに)あんたも私のこと好きでしょ」

「…当然だ」スンチャンが妙に静かに答えた。

ジュンモ「おい、お前ら出来レースかよ?」
イェジン「何が出来レースよ。わかってないのはあんただけでしょ。後輩たちは私のこと一番好きで、一番尊敬してるんだから。そうでしょ、ペク・スンチャン!」

スンチャンはニコニコして頷く。
こうして皆のお酒はみるみるうちに進んだ。

+-+-+-+

ピョン代表はキム室長と部下数名を連れ、シンディのマンションへやって来た。

ピョン代表「よく調べなさい。何か手がかりになるようなものはないか」
キム室長「はい」

キム室長の指示で部下たちがあちこちに散る。

ピョン代表「キム室長、明日の朝、ファン弁護士に電話して、今回の違約金の件と、証拠書類を確実に始末してもらいなさい。全部取り戻さなきゃいけないお金よ。全部ね」
キム室長「はい、承知しました」

+-+-+-+

「私ね」すっかり座った目でビールを注ぎながら、シンディが言った。

シンディ「13歳でデビューしたでしょ?だから、何かまともにやってみたこともないんです」

4つ並べたグラスに、彼女はチョロチョロと均等に酒を注ぐ。

ジュンモ「やっぱりそうだろうな。ピョン代表のところにいて何ができるってんだ」
シンディ「学校にもまともに行ったことないし、合宿したこともないし、お酒だってちゃんと飲んだこともなくて」
ジュンモ「酒を知らないなんて、人生を知らないのと一緒だぞ」

ビールを注ぎ終わると、シンディはいきなりスプーンで端から順にグラスの底をカン!と突く。
シュワっと泡が上がり、横にいたジュンモが驚いて飛び起きた。「!」

シンディ「何にも知らないんだもん、私。お酒の飲み方もよくわからなくって」

「ほら」シンディが皆にグラスを配った。「一杯ずつどうぞ」

シンディ「きっとどこ行っても飲めない”新世界”ですよ」

皆が恐る恐るグラスに口を近づける。
「私に何がわかるんですか。13歳でデビューして何も知らないんだから」そうボヤき、シンディはごくごくと酒を飲み干した。

シンディ「私ね、13歳でデビューしたんですよ。それで、今10年目なんだけど、これってアイドル年齢で言えば還暦なんだって」
皆「…。」
シンディ「13歳でデビューしたんですよ、13歳、私がね」

イェジンがスンチャンの肩を叩く。「この子、同じことばかり言ってるよ」

イェジン「酒癖悪いよね」
スンチャン「えぇ、そうみたいです」

しばらくして…。

次に熱弁を奮っていたのはイェジンだ。「人ってのはね、何より酒癖が良くなきゃいけないのに」
スンチャンが彼女の目の前でうんうんと頷いている。

イェジン「はぁ、イェジンは酒癖がいいからぁ~♪」
スンチャン「…。」
イェジン「うふふふ♪」

「来たぞ」ジュンモが言う。

イェジン「イェジンは酒癖の悪い人きら~い!」
スンチャン「(ジュンモに)いらっしゃったみたいです、あの方が」

#多重人格か(笑

ジュンモ「おい、さっさと切り上げよう」
イェジン「スンチャーン!イェジンは2次会に行きたいですぅ~」

騒動の中、シンディがどこかへ電話を掛け始める。「114でしょ?」

※114=電話番号案内サービス

シンディ(電話)「お姉さーん♪ 私よ、シンディ♪」

シンディは電話番号案内のお姉さん相手にくだを巻き、イェジンはスンチャン相手に大はしゃぎだ。

シンディ(電話)「お姉さん、私って可哀想。私13歳でデビューしてね、遊園地にさえ行かなかったら…」

二人の男は完全に彼女たちを持て余した。

+-+-+-+

翌朝。

シンディは涼しい顔で朝ごはんを食べていた。
「今日は…」ジュンモが慎重に口を開く。「帰ったほうがいいんじゃないか?」

イェジン「3日休んで行くんだって、この子」
ジュンモ「このままスケジュールに穴開けてたら、ピョン代表が黙ってないと思ってな。どんな手でも使ってくる気がするんだ」

イェジンが頷く。「私もそうしたほうがいいと思うよ」
黙って食べ続けていたシンディが口を開いた。「10年振りに、誕生日に家でご飯を食べてるとしたら?」

ジュンモ「誕生日なのか?」
シンディ「(うんうん)」
ジュンモ「ホント?」

イェジンが携帯で確かめる。「誕生日ね」
ジュンモも覗きこんだ。「ホントだ」

二人は頷き合い、不器用に空気を取り繕う。

イェジン「いい季節に生まれたよねぇ。暑くもなし寒くもなし」

” Congraturation♪ ” イェジンが手を叩き歌い出した。

ジュンモ「わかめスープ作らなきゃ。プゴク作ってどーすんだよ」
イェジン「知らなかったんだもん」
シンディ「(微笑)」
イェジン「シンディ、何食べたい?」
シンディ「?」
イェジン「ジュンモ、今晩私たちでシンディのお誕生日パーティしてあげようよ」
シンディ「!」
ジュンモ「今晩はダメだって。この前ロケハン出来なかったのをやらないと。遊園地」

「遊園地?!」シンディがハッと目を見開く。「どこですか?」

ジュンモ「龍仁」
シンディ「私も連れてってくれませんか?」
ジュンモ「何言ってんだよ?自分が雲隠れ中だって忘れたのか?」
シンディ「行くのは夜なんでしょ?私、行きたい理由があるんです。連れて行ってください」

1944

まっすぐな瞳で訴えるシンディを前に、二人はキョトンと顔を見合わせた。「…。」

ジュンモ「そうか?それならまぁ。そんなまん丸な目で言われちゃどうしようもない」

イェジンがニッコリ微笑み、シンディが嬉しそうに顔を輝かせた。

ジュンモ「(イェジンに)ロケハンも兼ねて、お前も行くか?久し振りに」
イェジン「私は晩に会議があるから。まぁ状況を見て…」

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ここで区切ります。

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