韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

SPY(スパイ:JYJジェジュン主演)2話あらすじ&日本語訳vol.1

   

キム・ジェジュン、ペ・ジョンオク出演。SPY2話です。

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目の前で不気味な笑みを見せるその男… ファン・ギチョルに驚き、ヘリムは夢中で玄関の扉を閉めた。
自動ロックされた玄関扉に、パスワードを打ち込む音がする。
ヘリムはキッチンへ走り、包丁を掴んだ。
それを背中に隠したとき、悠然とキチョルが入ってきた。

ちゃんとスリッパに履き替えると、彼は左手に持っていた手土産の箱をヒョイと掲げてみせる。
「ほら、プレゼント」そう言ってダイニングテーブルに置いた。

キチョル「久しぶりに会うのに、手ぶらじゃ来られないだろ。前の店でケーキを買ってきた。ヨンソの夜食にするといい」
ヘリム「…。」
キチョル「怖がるなよ。幽霊じゃないから」
ヘリム「…。」

「どうした?こいつのせいか?」キチョルは右頬の火傷の痕を指先で擦ってみせる。「お前のせいじゃないか」

ヘリム「よく生きていたわね」
キチョル「そうだな。あの時は自分でも死んだと思った。皮膚がボロボロになって、何回手術を受けたか分かりゃしない」
ヘリム「…。」
キチョル「全部お前のことを思いながら耐えたさ」
ヘリム「今更ここに何の用?」
キチョル「用事があるからだろ。何だ?お客が来たのに、飲み物の一杯も出してくれないのか?」
ヘリム「…。」

まぁいいさとでも言うように頷くと、キチョルはヘリムに背を向け、棚から自分で酒を出す。
キッチンのカウンターへ移動すると、一番右端のキャビネットを開けて、グラスを手に取った。
何度も来ているかのような慣れた様子だ。
キャビネットの扉を閉めると、ヘリムの背後にある包丁立てにチラリと視線をやり、ふっと笑った。
ダイニングテーブルまで戻り、手酌で酒をくいっと煽ると、のんびり家の中を見回した。「いい家だな。写真で見るよりずっといい」

キチョル「確かにな。お前は賢いから、うまくやるだろうと思ってたんだ」

008

キチョルは一人満足そうにまた酒を飲む。

ヘリム「そりゃ一生懸命生きてきたわ。あなたはどうしてたの?」

キチョルの目が一気に鋭くなる。「辛い日々だったさ。お前を信じた末に、爆殺されそうになってこのザマだ。お前の顔を見るのがこんなに難しいとはな」

キチョルは自虐的に笑う。
「ちょっと待てよ」キチョルは何かに目を留めた。「ありゃ何だ?」
彼が近づいたのは、壁際にズラリと並ぶ家族写真だ。

キチョル「この子がヨンソだろ?えらく可愛いな。子どもを二人も産んで。うちのソンエは実に愛国心がある。あぁ、すまん。名前を替えたんだった。祖国もな。名前も替えて、旦那…」

そう言って彼はヘリムを振り返る。「…と夫婦仲は大丈夫なのか?」

ヘリム「とてもいいわ」

キチョルは頷き、写真に向き直る。
彼の目は、写真の中のソヌへと移った。

キチョル「この子がそうだろ。中国で身籠った子だ」
ヘリム「…。」
キチョル「こんなにスラリと育ったのを見ると、あのとき死んだ若いヤツらの血を受け継いだのかもな」

ヘリムが眉をひそめる。

キチョル「お前は知らんだろうがな、この子は俺と深い縁がある」
ヘリム「!」

次の瞬間、ヘリムが隠し持っていた包丁をクルリと握り直し、キチョルに襲いかかった。
キチョルがすばやくその腕を掴むと、ヘリムもすぐに彼の手を払う。
ほんの数秒の間、激しく攻防を繰り返すと、キチョルは彼女の両手をしっかりと捉え、腕を捻り上げて包丁を奪った。

ヘリム「あぁっ!!!」

呻き声を上げるヘリムの前で、キチョルは涼しい顔でそれを包丁立てに戻す。

キチョル「腕が落ちたな。ずっと訓練してなかったと見える」
ヘリム「…。」
キチョル「こんなことはやめよう。お前とやり合うために来たわけじゃない。仕事を一つ任せたいだけだ」
ヘリム「それが何だろうと私はやらないわ!」
キチョル「…。」
ヘリム「今すぐ消えるか、私を殺しなさいよ」
キチョル「自分が断れる立場だと思ってるのか?」
ヘリム「関係ないわ。何もやらないから」
キチョル「相変わらず頑固だな。これまで随分苦労して来たんだろう。俺のせいで人生駄目にしていいのか?」
ヘリム「!」
キチョル「大したことじゃない。品物一つ運ぶだけだ」
ヘリム「そんなこと自分でやればいいでしょ。どうして私にやらせるのよ!」

「ニュース見てないのか?」キチョルはゆっくりと彼女に近づく。

キチョル「見て何となく知ってるはずだが。近頃状況がちょっと複雑でな、うちのヤツらが大勢死んだ。大部分を殺ったのは俺だがな。それで新顔が必要になった。今回、一度きりだ。それが済めば、お前はお前の道を、俺は俺の道を行く。簡単じゃないか」
ヘリム「…。」

黙りこむヘリムに、キチョルはあくまでも穏やかに微笑みかけた。

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ソヌとスヨンの話は続いていた。

ソヌ「あなたの仲間を殺したその男、片方の顔が歪んでいるって言いましたね。ひょっとして、左手の甲にも火傷の痕が?」
スヨン「…はい」
ソヌ「その男の名前は?」
スヨン「分かりません。最近まで中国にいたって、それだけ聞きました」
ソヌ「…。」

ソヌは中国での夜のことを思い巡らせた。

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「そいつは殺すな」そう言って、車の中の自分を覗きこんだその男…。
微かな意識の中でソヌが見たのは、男の左手の甲に残る火傷の痕だ。
「家に帰ってろ。またすぐ会うことになるさ」男はソヌにそう言って、背を向けたのだった。

009

~~~~

スヨン「あなたたちの望みが何であろうと、精一杯協力します」
ソヌ「…。」
スヨン「記者会見をしろと言うならやるし、こっちの情報が欲しいなら話します。その代わり、北にいる家族をここへ連れて来てください。出来るだけ早く!」
ソヌ「焦って動けば、かえって家族が危険になるかもしれません。あちら側でスヨンさんを…」
スヨン「だから!!!」
ソヌ「!」
スヨン「だから、今しかないんです」
ソヌ「…。」
スヨン「逃げた工作員と家族を放っておくと思いますか?今回は運が良くて生き延びたけど、次は逃げ切れないわ。だから、あなた方のところへ来たんです。あなた方が好きで来たんじゃないわ!!!… 切羽詰まってるんです」
ソヌ「…。」
スヨン「少なくともここなら望みはあると思ったから」

「…。」ソヌは天井の隅に設置されているカメラを見上げた。

「まだ彼女がどんな情報を持って来たかわからない。どんな約束も出来んと言え」ジュンヒョクがマイクで指示を出す。
イヤモニターから聞こえた指示に一瞬うつむくと、ソヌは再びスヨンに視線を戻した。

ソヌ「今はチョ・スヨンさんの安全が優先です。家族を救い出すのは簡単なことじゃないし、無理をすればスヨンさんに危害が及ぶかもしれません」

スヨンを深い悲しみが襲う。「一人で生きたって仕方ないわ」

ソヌ「え?」
スヨン「正直私、あなた方が欲しがるような重要な情報は一つも知りません。下っ端だから。やれと言われたことをしてただけ。南にやって来ても、お金を稼いで送ってただけだもの!」

「それでも!」彼女の頬を涙がつたう。

スヨン「… あなたは家族を残して一人で逃げられますか?」
ソヌ「…。」
スヨン「難しいことじゃありません、あなた方に意志さえあれば。お金さえたくさん握らせれば、収容所に閉じ込めた人まで国境の外へ運んでくれる仲買人が大勢いるんです。監督官がいるときは、その人自ら首謀することだってあったわ。だからどうか…!」

話に聴き入っていたヒョンテが突然駈け出した。

ジュンヒョク「おい!おい!キム・ヒョンテ!!!」

取調室の中へ入ると、ヒョンテは興奮した様子でスヨンに話し掛ける。「監督官はどこにいる?」

ヒョンテ「新しく来たヤツが殺したのか?」
スヨン「私は…」
ヒョンテ「まだこの国にいるんだろ?捕まってないんだろ」

割って入ったジュンヒョクがヒョンテを捕まえ、外へ引っ張りだそうとする。

ヒョンテ「何で言わないんだ!!!お前、知ってるんだろ!!!」

叫びながら連れて行かれるヒョンテを、ソヌは呆然と見送った。

ソヌ「…。」

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「このザマになっても、お前が生きていることは誰にも話しちゃいない」キチョルは再び酒を注ぎ足し、そう言った。

キチョル「お前だけでも幸せになればいいと思ってな」
ヘリム「…。」
キチョル「俺に恩を返すべきなんじゃないか?」
ヘリム「あなたに借りなんてないわ」
キチョル「本当にないか?」

ヘリムの頑なな表情に、キチョルは思わず笑った。

キチョル「人をこんなにしておいて、お使い一度でチャラになるなら、願ってもない商売だろ」
ヘリム「…。」
キチョル「言いたくはないが、お前がそう出るなら仕方ない。家族に連絡して、俺が誰なのか言っちまおうかとも思ったが… さて、どうしようか。何がいいだろうな」

キチョルはソファ脇のサイドテーブルに空のグラスを置くと、ヘリムを振り返った。「ソヌ?」

ヘリム「!!!」

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「あいつの話はするなと何度も言ったろ」誰も居ないところまでヒョンテを連れて行くと、ジュンヒョクは小声で諭した。

ジュンヒョク「そいつは死んだ。そうでなきゃどこかの収容所にいるだろう。お前とは何の関係もないんだ。全部終わった問題を、何でやたらと蒸し返すんだ?」

そこへ通りかかったソヌは、人の声に気付き、咄嗟に身を隠す。「?」

ジュンヒョク「言われたことだけやれよ、黙って静かにしてるのがそんなに難しいか?」
ヒョンテ「ジュンヒョク、頼む。一回きりだ。何で俺が気の狂いそうな職場に通っているのか、お前が一番よく分かるだろ」
ジュンヒョク「ダメだ。だから、これ以上言うな」
ヒョンテ「…。」
ジュンヒョク「分かるか?上がお前を切れと言ってるのを、俺が阻止してるんだ。俺を後悔させるな」
ヒョンテ「(嘲笑)」
ジュンヒョク「笑うなよ」
ヒョンテ「(頷く)もう言わない」
ジュンヒョク「”言いません”だ。こういうとこは言葉遣いをちゃんとしろ」
ヒョンテ「…はい。言いません」

そのとき、不意に電話の音が鳴った。「?」
ソヌの電話だ。彼は慌ててポケットから電話を取り出し、ヒョンテたちと反対側に歩き出す。

ソヌ(電話)「もしもし、母さん?… 何で黙ってるんだ?」

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電話の向こうでソヌの声を聞いていたのは、キチョルだ。
彼は何も言わないまま、ヘリムを振り返る。

キチョル「電話に出たぞ。いい声だな」
ヘリム「!」

「やめて!」ヘリムはキチョルの前へ進み出た。「あなたの提案、考えてみるわ」

キチョル「それでいい。ぎゅっと目を瞑って、一度だけだ。お前には守るべきものがたくさんあるじゃないか。皆が幸せになる道を探すべきだ」

そこへキチョルが手に持った電話が鳴り始める。
ソヌが掛け直して来たのだ。
キチョルは電話をヘリムに差し出した。

ヘリム(電話)「あぁ、ソヌ!お母さん、電話をかけ間違えたわ。えぇ。じゃあね」

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家に帰ってきたヨンソは、ちょうど出ようとしていたキチョルと鉢合わせになった。「!」
「…こんにちは」戸惑いながらも、ヨンソは客にペコリと頭を下げる。

キチョル「あぁ、君がヨンソだね」
ヨンソ「?」
キチョル「おじさんに会うのは初めてだろ。昔、お母さんと親しかった叔父さんだ。いやぁ、実に可愛いな。礼儀正しいし」

「ありがとうございます!」褒められたヨンソが思わず笑顔を見せる。
「早く行きなさいよ」たまらずヘリムが後ろで急かした。

「叔父さんが小遣いをやろう」キチョルは懐から財布を出し、札を数枚ヨンソに差し出す。
ヨンソは大喜びでそれを受け取ると、「叔父さん、さようなら!」とキチョルを見送った。

ヨンソがポケットに入れようとした金を、ヘリムは思わず掴み取る。

ヨンソ「お母さん、こんなものまで取り上げないでよ!」
ヘリム「さっさと部屋に入りなさい!」

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「バカな真似をしようなんて考えるなよ」マンションの前に待機している車に向かいながら、キチョルは下までおりてきたヘリムに言った。

キチョル「お前は賢いんだから。こんなことで人生棒に振るなよ」

彼は車に乗り込み、もう一度ヘリムを見据える。

キチョル「よく考えて決めることだ」
ヘリム「…。」

不敵に笑う彼の前で、車の扉が閉まる。
静かに見送りながら、ヘリムは車のナンバーを覚えた。「73보4494…」

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家に戻ると、彼女はまっさきに玄関のパスワードを変更し、そこで深く息をついた。
ヨンソがダイニングでケーキを頬張っている。「これ、叔父さんが買ってきたの?」

ヨンソ「初めて会う叔父さんだよね」
ヘリム「叔父さんじゃないわ」
ヨンソ「じゃあ誰よ?」
ヘリム「昔の知り合いよ。二度と会わない人だから気にしないで、塾に行く準備をしなさい」
ヨンソ「何よ?送ってくれないの?」
ヘリム「今日はバスで行きなさい」

彼女はそのまま寝室を通り抜けると、奥にあるバスルームに飛び込んだ。
棚からタオルを取り出し、奥にあった薬の瓶を掴むと、数粒口の中に放り込んだ。

※彼女が掴んだ瓶は分かりませんが、その隣にある赤いラベルは睡眠誘導剤と書いてあります。
飲んだのは精神安定剤の類ですかねぇ。

薬を水で流し込むと、彼女の頭の中を古い記憶が駆け巡った。

~~~~

「うちのヘリムはやり手だな」アジトでキチョルが眺めているのは、お腹の中の胎児の超音波写真だ。

キチョル「堕ろせ」
ヘリム「あの人の子よ。堕ろせないわ」
キチョル「自分がそんな星の下に生まれたと思ってるのか?」

ヘリムはカッとしてキチョルの頬をぶった。
次の瞬間、彼はヘリムの首根っこを掴み、机の上に組み伏せる。「お前が生き残らなきゃ元も子もないだろ」

~~~~

「お母さん」ヨンソの呼ぶ声に、ヘリムはハッと我に返った。

ヨンソ(声)「明日、塾で授業説明会やるって言ってたけど、来る?」
ヘリム「えぇ、行くわ。行くから、先生に言っておいて。遅れるわ。早く行きなさい!」

「分かった」ヨンソの答えると、ヘリムは鏡に向き直る。「…。」

~~~~

ヘリムはアジトを出ると、足早にそこを離れた。

超音波写真を捻り潰し、ヘリムが残していった鞄をキチョルが開けた瞬間…
中で赤い光が灯るのが見えた。

キチョル「!!!!!」

ヘリムの背後で爆音が響き、赤い炎が上がる。
彼女は振り返ることなく、先を急いだ。

~~~~

話していたジュンヒョクとヒョンテのそばを離れると、ソヌは人気のない通路に立っていた。
そこへジュンヒョクとヒョンテがやって来る。「ここで何してるんだ?トイレに行こうとしてたんじゃないのか?」

ソヌ「あぁ… はい」
ジュンヒョク「行って来いよ。行ったら戻って仕事だ」

ソヌが歩き出そうとすると、ジュンヒョクが「あぁ」と声を上げる。

ジュンヒョク「ソヌさんは今日から分析班所属だから、そのつもりで。先輩の言うことを聞いて、仕事を覚えてくれ」
ソヌ「…。」
ジュンヒョク「わからないことがあるだろうから、(ヒョンテを指し)彼に訊くんだ。OK?」
ソヌ「あの… 僕は現場要員なんですが」

「怪我はもう治りました」ソヌは左手の包帯を外す。「これも格好だけなんです」
「いやいや」ジュンヒョクが宥めるように言う。

ジュンヒョク「ずっと外にいたろ?寒くなかったか?」
ソヌ「…。」
ジュンヒョク「中に入れば温かいし、体もほぐれる」

そう言いながら、ジュンヒョクはソヌが外したギブス帯を親切に戻してやる。

ジュンヒョク「それでこそ出世も出来るってもんだ」

笑ってみせると、ジュンヒョクはソヌの右腕をポンと叩き、歩き出した。

ソヌ「…。」

ソヌは今ジュンヒョクが掛けたばかりのギブス帯を外すと、床に投げ捨てる。
ヒョンテは彼の怒りを静かに眺め、ふっと笑うと、それを拾い上げた。「内勤へようこそ」

ヒョンテ「一緒に報告書でも書こうぜ」

そう言って、ヒョンテはソヌの腹にパンチを見舞う。「何で殴られたと思う?」

ソヌ「知りません。盗み聞きしたからですか」
ヒョンテ「いや。バレたからだ。こいつ!」
ソヌ「!」
ヒョンテ「現場にいたのは自分一人だと思ってるんだろう。昔、お前みたいに行動して、頭に銃弾を受けた。スパイってのはな、(ソヌの胸を指し)ここに従って動くんじゃない。(自分の頭を指し)ここに従って我慢強く情報を掴むんだ」

「決定的な瞬間が訪れるまで…」ヒョンテはどこか独り言のように言う。

ヒョンテ「焦ったらバカを見る。俺みたいにな」

ヒョンテは歩き出した。

ソヌ「ところで、先輩」
ヒョンテ「何だ?」
ソヌ「監督官って何ですか?」
ヒョンテ「お前は知らなくていい」
ソヌ「…。」
ヒョンテ「俺みたいなバカにとって大事な人間なんだから」

ヒョンテは再び背を向ける。

ソヌ「…。」

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ヘリムは家中をひっくり返して調べた。
テーブルの裏、コンセントの中。
いつの間に家の中まで詳細に把握されていたのだろうか…。

すっかり散らかった家の真ん中で、彼女は静かに天井の電気シェードを見上げる。
彼女はすぐにダイニングチェアを引っ張ってきて、調べ始めた。

あった!

ヘリム「!!!」

そこには、下からは見えない位置に、小さな盗聴器が仕掛けられていた。

ヘリム「…。」

そのとき、玄関の向こうでパスワードを押す音が聴こえる。「ピピピピピピ 番号が違います」「ピピピピピピ 番号が違います」
ヘリムは急いで椅子から下り、玄関の覗き窓を覗いた。
夫のウソクだ。

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不思議に思いながら、もう一度ウソクがパスワードを押し始めた途端、中からドアが開き、妻が顔を見せた。

ウソク「鍵が壊れたみたいだ」
ヘリム「違うわ。パスワードを替えたの」

「へぇ」ウソクが中へ入ると、ヘリムはさっと外を確かめ、ドアを閉めた。

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ウソクは中の散々たる様子に、驚いて声を上げた。「ん?どうなってるんだ?何か探してたのか?」

ヘリム「掃除してたの。すぐ片付けるわ」
ウソク「ははは、この家にもともと片付けるものなんかあったか?」

「さぁ、このケーキはどこに置こうかね」妻に言われたとおりに買ってきたケーキを手に、ウソクはふと何かに目を留めた。「何だ?これは」
ヘリムが慌てて突進してきた。

ウソク「ここにもあるな」

「これは食べられないの!」ヘリムはキチョルのおみやげのケーキを、テーブルからさっと取り上げる。

ヘリム「買ってきてくれてありがとう」

彼女はそれを無造作にゴミ箱へ投げ入れた。

ウソク「…?」

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ここで一旦区切ります。

キチョルのキャラがすごくいい。訳していて楽しいです。
凄んだり威勢を張るばかりが悪役じゃない。言葉や表情、一つ一つが面白いです。
この前半部分で撮ったキャプ、キチョルばかり(笑)
彼の今後の言動に期待が高まりますね。

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