韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

夜警日誌あらすじ&日本語訳22話vol.1

   

チョン・ユンホ(東方神起ユノ/ユンホ)、チョン・イル出演、「夜警日誌」22話前半、ドラマのあらすじを掴みながら、セリフも丁寧に日本語に翻訳していきますね。

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リンのためにサンホンが命を投げ打ち、リンはムソクを死界まで迎えに行く。
サダムと領相という敵を前に、彼らの進むべき道はより明確になっていた。

一番の急務は、王だけが持つことを許される「御璽(国璽)」を見つけ出すこと。
先に領相の手に渡ってしまえば、いよいよ国の中枢は領相に握られてしまう。
それだけは阻止しなければならなかった。

リンがじっと見つめていたのは、大妃から授かった指輪だ。
「これを大切に持っていなさい」領相が謀反を起こしたと分かると、大妃は密かにリンを呼び、この指輪を手渡した。
「いつかこれがお前を守ってくれるはずだ」と。

リン「これがなぜ私を守ってくれると…?」

そのとき、突然指輪がまばゆい光を放つ。
その眩しさにリンは思わず目を瞑った。

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しばらく光っていたと思うと、その光はスッと消える。
リンの中に幼いころの記憶が甦った。

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リンが母の中殿と共に大妃殿を訪れたときのことだ。
大妃はこの指輪を母に手渡した。

大妃「代々の王妃が継承している玉指環です。この国璽と対(つい)になっている大事な物ですから、月光が玉座に上がる時まで大切にしまっておいて、次の中殿へ引き継いでください」
中殿「肝に銘じます」

母の手のひらの指輪が光を放つと、大妃の前の箱も同時に光り始める。

リン「御祖母媽媽!光っています!」

「主人を見分けたのだわ!」リンの前で光った国璽に、大妃が感嘆の声を発した。「開けてみなさい」

リンが箱の蓋を開けると、笛が収められている。
迷わず手に取り、息を吹き込むと、笛は美しい音色を発した。

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大妃「国璽は王にだけ許された宝物。雨を降らせ、日照りを解消し、洪水を終わらせ… 王の力となり敵をも遠ざける、王室を守ってくれる宝物なのです」

「よく憶えておきなさい」大妃は中殿に優しく教え諭す。

大妃「その玉指環が国璽のある場所を教えてくれるわ」

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「そうだ!」リンは思い出した。

リン「まさにこの玉指環だった」

リンはしっかりと玉指環を握りしめた。

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「まだ国璽が見つからぬとは!!!」領相は手下を怒鳴りつけていた。

手下「申し訳ありません。宮中を隅々まで探していますが、見当たりません」
領相「間違いなく大妃がどこかに隠しているはずだ。大妃を拷問にかけてでも、必ずや探しだしてやる!!!」

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死の淵から甦ったムソクは、再び修練を始めていた。

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剣を構え、鮮やかに身を翻すものの、力強く刀を突き出した瞬間、腹部を激しい痛みが襲った。
「あっ!」彼は胸を押さえ、手に持った刀を地面に落とした。

その姿を後ろで見ていたのは、サンホンだ。

サンホン「体は以前のようにはなりません」
ムソク「?!」
サンホン「もう副護軍にも鬼神が見えるでしょう」
ムソク「…鬼神が見えると?!」
サンホン「副護軍はあの世の入り口まで行った人間ですから」
ムソク「…。」
サンホン「そして、鬼神に接すれば、傷はさらに深くなるでしょう。私と同じ症状です」
ムソク「ならば、どうすれば?」
サンホン「…。」
ムソク「このまま… 武術を使えなくなるのですか?」
サンホン「当分の間は、傷を治療しながら、用心すべきです」

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「…。」甦ったものの、前のように力を発揮することが出来ないとは…。
ムソクの心の中に歯痒い思いが広がった。

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並んで歩いてきたムソクとサンホンは、守護霊三人衆の前で立ち止まる。
ムソクは彼らに頭を下げた。

ムソク「そなたたちは大君のおそばを守る三人の鬼神の方々ですね」
ソン内官「!」
左相(霊)「我々が見えるのか?」
ソン内官「あら。副護軍も鬼神がお見えになるのですか?」

サンホンが代わりに頷いた。
そこへリンが出てくる。「国璽を探し出せそうです」

「!」ランイの目はリンが手に持っている玉指環に釘付けになる。

ランイ「リン、それ、受け取ったの?大妃媽媽から?」
リン「ランイ、これを知ってるのか?!」
ランイ「あ… 前に一度聞いた気がするから」

「この玉指環は国璽の在処を教えてくれる物なのです」リンはサンホンに説明する。

ムソク「それでどうやって国璽を探すとおっしゃるのですか?」

リンもムソクの疑問に頷いた。「私もそれが分からずに困っているのだ」
「リン」ランイが再び口を開く。

ランイ「それが国璽を探す鍵だとしたら、その中に方法が見つかるはず」
リン「?」

#天気がいいから、昼間の屋外のシーンは見ていてすごく気持ちがいい♪
もっとたくさんあればいいのにね。

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地下室へ戻ると、リンは手に持った玉指環に意識を集中し、じっと目を閉じた。
しばらくすると、頭の中に森の風景が現れる。
森の中をどんどん進んでいくと… 「!!!」

リンはハッとしたように目を開けた。

#えー 手に持って念じれば分かるのー 何それー

サンホン「国璽の在処がわかったのですか?」

リンが黙って頷く。
彼らの間に希望が広がった。

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「これを内密に左相へ届けて」大妃は小さな包みをイ尚宮に託した。

#あれ、私、今まで散々迷って「右相」って書いてますよね。すみません^^;

大妃「決して誰かに見られてはいけないわ」
イ尚宮「はい、大妃媽媽」

イ尚宮と入れ替わりに、スリョンが訪ねてきた。
大妃の前に座ったスリョンは、下を向いたまま、はらはらと涙を流す。

スリョン「媽媽、恐縮のあまり言葉がありません。どうか父の罪をお赦しくださいませ」

「泣くのをやめなさい」顔をそむけたまま、大妃が言った。「あなたには何の罪もないわ」

スリョン「お約束します。月光大君だけは命を掛けてお守りします」

「そうね」大妃の視線が和らぐ。

スリョン「父は国璽を探しまわっています。兵士たちが国璽を見つけるのではないかと… 不安でなりません」
大妃「…心配には及ばないわ。国璽が宮中で見つかるはずがない」

大妃の言葉に、スリョンが密かに考えを巡らせる。

大妃「見つからなければそれでいい」

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「国璽を探してきます」リンはムソクと二人で宿を発とうとしていた。

サンホン「どうかお気をつけて」
リン「朝鮮最高の剣士、副護軍がいるんです。心配ありません」

微笑むリンに、ムソクは複雑な表情を浮かべる。

サンホン「私はトハを探しに昭格署へ行ってきます」
リン「お願いします」

「我々が連れて帰りますから、ご心配なく」左相(霊)がニッコリ笑って手を振る。

ソン内官「サダムのところに行くなんて、今から足がすくみますよぉ」

黙って頭を下げると、ムソクは先に歩き出す。
リンが後に続いた。

ランイ「…。」

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「国璽は大妃の元にあるとおっしゃったではないですか!」領相はキサン君のところへ乗り込み、また声を荒らげていた。

キサン君「そうだ。国璽は御祖母媽媽のところに…」
領相「大妃殿にも宮中のどこにもないのです!!!」
キサン君「…。」

「大胆にも私を欺いたのか!!!」逆上した領相は、刀を抜き、キサン君の前の床に思い切り突き立てる。「!!!」
領相の迫力にすっかり押され、キサン君は怯えて下を向いた。「そ、それは…」

領相「国璽とは一体何です?大妃はどこに隠したのですか!」
キサン君「ただの古い笛だ。前にどこかの寺に収めたと聞いたが、余も詳しくは知らぬ!本当だ、領相。信じてくれ」
領相「寺だと?宮廷の外にあるはずが…」

「!!!」不意に何かに気づいたように、領相が目を丸くする。

キサン君「?」

「待てよ」小さな声で呟くと、領相は踵を返した。

キサン君「…。」

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大殿を出た領相を、手下が迎えた。

領相「国璽の隠し場所が分かった」
手下「それはどこですか?」
領相「前に疫病が広がった時、大妃が療養に出掛けたのだ。国璽はそこだ!」

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昭格署でずっと眠っているトハの様子を、サダムとスリョンが見に来た。

スリョン「思いも叶わないのに、大君のために命を捨てようとするなんて… 愚かだわ」
サダム「国璽はどうなったのです?」
スリョン「宮中にはありません。どうも大妃媽媽が宮廷の外にお出掛けになった時、隠したようです」
サダム「ならば国璽は宮廷の外にあると?」
スリョン「都に疱瘡がはびこったとき、大妃媽媽が療養にお出掛けになったことがありましたね」
サダム「療養と言うと…石光寺のことですか?」

「国璽は間違いなく石光寺に隠してあるはずです」スリョンは自信たっぷりに微笑んだ。

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サダムとスリョンが部屋を出ると、布団に横たわっていたトハはそっと目を開けた。

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トハ「…石光寺」

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最初に石光寺へ辿り着いたのは、リンとムソクだ。
「見つけられそうですか?」庭で辺りを見渡し、ムソクが言った。

リンは玉指環を握りしめ、目を閉じて意識を集中させる。

本堂の前を左に折れ、渡り廊下を横切って、さらに奥へ…。
「あっちだ」リンは目を開けた。

二人は寺の奥にさらに広がる林へ出た。
しばらく進んだところで、彼らは一本の木の前で立ち止まる。

ムソク「何もありません。ここに間違いないのですか?」
リン「確かにこの木だ。この玉指環が何か教えてくれるかもしれない」

リンは手のひらに指輪を乗せ、木に向かって差し出した。
その途端、指輪は白く光り始める。

すると、木のそばにもう一箇所、同時に光っている小岩があるではないか。

リン「そこを掘ってみなければ。あそこに国璽があるに違いない」

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サンホン率いるトハ捜索隊は、建物の陰から慎重に昭格署の様子を窺った。
陰から陰へ。彼らは素早く進む。

昭格署には不思議と人の姿が全く見られなかった。

サンホン「結界が張ってあるかもしれません。足元に気をつけてください」

昭格署の建物を覗くと、ちょうどその隙間からトハが眠っているのが見える。

ソン内官「トハが!あそこにトハがいます!」

扉をいつものようにすり抜けようとしたソン内官は、まるで生きている人間のように扉にぶつかり、弾き飛ばされた。

ソン内官「どういうこと?私、死んで以来こんなことは初めてです!」
サンホン「サダムが鬼神の出入りまで統制しているのです」

サンホンは刀の先で錠を叩き壊した。

「トハ!」サンホンはトハに駆け寄り、彼女を揺する。
目を開けたトハを、サンホンが抱き起こした。「しっかりするんだ」

トハ「大君が危険です。助けないと」
サンホン「早くここを出るんだ。歩けるか?」
トハ「はい。私は大丈夫です」

#前のシーンでサダムたちの話を聞いて「石光寺!」って言ってるのに、その次のシーンでは寝てるとか、そーいうところだよ、君。

急いで出ようとした彼らであったが、ソン内官が床に仕込んであった護符を踏んでしまう。「何?」

サンホン「結界です」

その瞬間、彼らは白い霧に包まれ、暗い森の中にいた。

#知ってるよ。いつものあそこでしょ。夜警師の霊たちがいるところ(平常営業)

「すみません」「気をつけろよ」言い合う守護霊たちの間で、サンホンは遠くをじっと見つめた。
向こうから夜警師の霊たちが近づいていたのだ。

#って言ったそばからさっそく出てくるとは、さすがに思わんかったよ

サンホンは一人、前に出ると、仲間たちを振り返る。「ここは私が引き受けるから、先に行くんだ」
「破結界」サンホンは地面に護符を叩きつけた。

「!!!」トハと二人の守護霊は、次の瞬間、昭格署の庭にいた。

トハ「大君を助けに、石光寺に行かなきゃ!」

トハはふらふらした体で歩き出す。

ソン内官「ちょっとあんた!(左相に)止めてくださいよぉ」
左相(霊)「私が?」

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小岩の下を掘ると、そこには丁寧に布で包まれた物が収まっていた。
包みを解くと、そこに箱が現れる。

リン「この箱、確かに見覚えがある」
ムソク「開けてご覧ください、大君」

中に入っていたのは、やはり笛だ。

ムソク「これが本当に国璽なのですか?」

リンは右手で笛を掴み、目の前に掲げる。

リン「この地の王として、王の元へ下される国璽、萬波息笛に間違いない」

※萬波息笛=国のあらゆる懸念を消してくれる伝説の笛

そのときだ。
「見つけましたな!!!」大きな声が響く。「!!!」
現れたのは領相だ。
無数の兵士たちが周囲を取り囲み、今にも彼らに矢を放とうと弓を構えた。

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ムソクは剣を抜き、領相に向ける。
彼の姿に、領相は目を丸くした。

領相「ムソク!なぜ生きているのだ?!」
ムソク「叔父の謀反を阻止するため、生きて戻りました」
領相「よかろう。何度でも殺してやる」

「大君は猟犬としてはなかなかのものですな」自らは苦労することなく国璽が見つかり、領相はリンに皮肉を飛ばす。

領相「国璽をお渡しください」
リン「持つことが出来るのは王だけだ。なぜ領相が欲しがる?」
領相「王の座は力のある者だけが手に入れるもの!大君がお渡しにならないなら、力づくで手に入れるしかありません」

領相の合図で、周囲の兵士たちが矢を弓につがえる。

ムソク「早く逃げてください、大君」
リン「どうやって君一人で戦うと言うのだ!」

次の瞬間、無数の矢が一斉に放たれた。

飛んでくる矢を、ムソクの剣が次々に弾き飛ばす。
それでも防ぎきれなかった矢がムソクの腕を掠めた。「!!!」
リンは前に出てムソクを庇い、国璽を掲げる。
すると… 国璽が青い光を放ち、彼らの周りに防壁を作った。

領相「?!」

防壁に当たった矢がバラバラと地面に落ちる。
領相をはじめ、兵士たちは皆、そのまばゆさに目を塞いだ。

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その隙に、リンたちは国璽を抱え、走りだす。

領相「?????」

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ひとしきり走ったところで、リンたちの前に次の敵が立ち塞がった。
サダムとホジョだ。

サダム「国璽を私にお渡しください、大君」
リン「お前がなぜ国璽を欲しがる?国璽は王室の物だ。お前には関係ない」
サダム「私にも必要な物なのです」

サダムは手に持った杖を地面に突き立てる。
黒い気が現れ、リンとムソクに襲いかかった。
リンが四寅斬邪剣で振り払うものの、とても追いつかない。
何よりも黒い気を腹部に浴びたムソクが、息もできないほどの痛みに顔を歪めていた。

地面に置かれた国璽の箱を、ホジョはなんなく拾い上げる。

その時…

突然放たれた縄がサダムの杖を捕らえた。
トハだ!
彼女が縄を引き寄せると、サダムの手から離れた杖が転がった。

リン「トハ!」
トハ「大君!早く逃げてください!」

3人は連れ立って逃げ出した。

ホジョ「どうしましょうか」
サダム「放っておけ」

サダムが国璽の箱を開けてみると…
そこには何もなかった。

サダム「月光め!!!」

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道のあるところまで出た3人は帰り道を急いでいた。
負傷したムソクの脇を抱えて歩くリンの後ろを、トハが一人で歩く。
ふらふらとよろめいたトハは、そこで力つき、バタリと倒れた。

リン「トハ!」

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宿から出て来たサンホンは、門の前で待っている守護霊二人と合流した。

#あれ?あれれ???
さっき「部下である夜警師の霊たちと決着をつけるために、わざと自分だけ残ったんだよね?自分も一緒に結界を出ればいいのに、わざと残ったんだよね?」と突っ込むのを保留したんですが…

左相(霊)「大丈夫か?」
サンホン「ダイジョウブです」
ソン内官「隊長さん、大した武芸ですねぇ。結界からもすぐ出て来られるなんて」
サンホン「トハはどこに?」
左相「それが… 大君媽媽を助けるんだって、石光寺に」
サンホン「何ですって?!」

「あ、帰っていらしたわ!」ソン内官が道の向こうを指さした。

サンホン「?」

リンがトハを背負い、その後ろをムソクが腹を押さえて走ってくる。

サンホン「どうなったのですか?」
リン「トハが危険です。助けなければ!」

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宿の部屋へ運ばれ、オンメに手当を受けるトハを、リンたちが揃って見守っていた。

オンメ「生気が弱っていくわ。どうしたらいいのかしら」

「解毒剤です」サンホンが小さな器を差し出す。「今の状態では飲み込めないでしょう」

リン「飲ませなければ」

「このまま死なせるわけにはいきません」リンは意識のないトハを見つめた。

蓋を開けると、そこに入っていたのは丸薬だ。
リンはそれを自らの口に含み、噛み砕いた。
トハの口を少し開けると、リンは口移しで薬を与える。
見守っていたムソクたちが、そっと視線を逸らした。

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ソン内官「♥」

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リンが顔をあげると、息を呑んで見つめていたオンメが深い溜息をつく。(←リアルな溜息

オンメ「大君の愛は本当に深いですねぇ」

オンメは隣にいるサンホンの横顔を視線で捉える。

オンメ「旦那さんの辛い時は、私もあんなふうにして差し上げますね」

サンホンと目が合うと、オンメはふっと笑う。

サンホン「…。」

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執務室で一人、領相はその目で見た国璽のことが頭から離れなくなっていた。

領相「あの国璽の威力、実に見事ではなかったか」

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領相「必ずやあの国璽を手に入れようぞ」

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もう一人、国璽を手に出来ずに帰ってきたサダムは、杖を祠堂の祭壇に戻す。

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ホジョ「国璽がなぜ必要なのですか?王になる者以外には用のない、くだらない物ではないですか」
サダム「龍神を守るため、どうしても必要な物なのだ」

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地下室の卓上に置かれた国璽を、彼らはじっと見つめていた。

左相(霊)「これが国璽ですか?」
ソン内官「ただの古い笛のようですけど」
ムソク「見た目とは違います」
リン「…。」
ムソク「一瞬にして数十の兵士を制圧するのを、自分の目ではっきり見ました」
サンホン「それはまだまともに力を発揮していません。大君は王ではありませんから」
リン「…。」
サンホン「王として使ったなら、数千、いや、数万の兵士を殲滅するほどの神笛です」

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祠堂の祭壇の前に一体の弓が運ばれてくる。

サダムはその前に立つと、蛇杖を思い切り弓に振り下ろす。
その瞬間、青い光と共に、弓が杖を弾き飛ばした。

サダム「!!!」

珍しくサダムが怖気づいたような表情を見せる。

そう、これは神弓。
王だけが持つことを許され、彼らの龍神を貫いた、あの弓であった。
秘蔵庫に忍び込んだサンホンが見つけられなかったのは、やはり彼らが別の場所に移していたからだった。

サダム「この神弓は、龍神を脅かす唯一の武器だ。この神弓を破壊するには…国璽が必要なのだ」

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トハは静かに目を開けた。
枕元には、座ったままコクリコクリとうたた寝をしているリンの姿があった。

ゆっくりと… 彼女はその頬に手を伸ばしてみる。

トハ「…。」

彼女の指先がそっと頬をつたうと、リンは目を覚ました。
「!」トハは驚いて手を引っ込める。

リン「気がついたか。良かった…」
トハ「私のことで… 気を揉んでいらしたのですか」

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リンは穏やかに微笑んだ。「お前が目覚めてくれて… 飛び上がりたい気分だ」
彼はトハの手を取り、確かめるように自分の頬に当てる。

トハ「…何をなさってるんですか?」
リン「さっき私にしようとしたこと… 最後までやっていいぞ」
トハ「!」
リン「気づかないふりをしてやるから」

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リンはおどけたように笑ってみせた。

+-+-+-+

起き上がれるようになったトハは、リンと共に宿の庭に出ていた。

リン「正直言うと… お前が今度こそ助からないかもしれないと…怯えていたんだ」

リンは大きく息をつく。「トハ…」

リン「私がサダムと大蛇を倒す」
トハ「!」
リン「それまでの間、白頭山に避難してはどうだ?」
トハ「…。」
リン「その後で戻ってきて…また共に過ごそう」

優しく諭すリンに、トハは首を横に振る。「それは出来ません」

トハ「逃げて解決することではないんです。大君もよくお分かりではないですか」
リン「トハ…」
トハ「私は大君に借りがあります。姉のために、大君とご両親を悲しい目に遭わせたこと… 全て私が償います」
リン「…。」
トハ「大君のおそばで… どんなに辛い戦いも共に乗り越えます」

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トハの強い意志を前に、リンは黙って彼女の手を握った。

+-+-+-+

「マゴの巫女が目覚めました」宿へ偵察に向かっていたホジョは、昭格署へ帰ってサダムに報告した。

ホジョ「どういたしましょうか」
サダム「龍神が昇天なさるまで、月光大君のそばに置いた方が寧ろ安全であろう。しっかり監視するのだ」

そこへスリョンが訪ねてきた。

スリョン「なぜトハが逃げるのを放っておいたのですか」

サダムの顔が厳しくなる。「それは房主が口を出すことではありません」

スリョン「私と取引をなさったではないですか!」
サダム「恋情に惑わされ、公私の区別も出来ずにここまで訪ねて来るとは!」
スリョン「…。」
サダム「泰平蒼天塔が遅延なく完成するよう、しっかり資金管理なさいませ」
スリョン「まさにその恋情のために、私は梅蘭房主にまでなったのです」

サダムは半ば感心したように溜息をつく。

サダム「人の感情というものは、実に愚かなものですね。恋心のために命まで投げ出す者がいると思えば、房主のように何が何でも相手を手に入れようと躍起になる者もいる」
スリョン「提調に理解してほしいわけではありません。大君さえ手に入るなら、梅蘭房を利用し、いくらでも塔建設資金を捻出しましょう」
サダム「…。」
スリョン「ですが、大君を手に入れられなければ、私の手で塔を潰してやりますわ」

サダムが冷たく笑う。「落ち着くのです、房主」

サダム「塔が無事完成すれば、大君は必ず手に入るでしょう。私がそうして差し上げますよ」
スリョン「…。」

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ここで一旦区切ります。

久しぶりにリンのお茶目な面が見られてホロリとしました^^

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