韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

夜警日誌あらすじ&日本語訳16話vol.1

   

チョン・ユンホ(東方神起ユノ/ユンホ)、チョン・イル出演、「夜警日誌」16話前半、ドラマのあらすじを掴みながら、セリフも丁寧に日本語に翻訳していきますね。

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枕元に跪いた抑鬼は、眠っているリンの顔の上に両手をかざした。
赤黒い気が、リンの中へと入っていく。

しばらく少し苦しげにしていたリンは、はたと目を開ける。
そのままスッと起き上がると、鋭い目で抑鬼を見た。

リン「…。」
抑鬼「…。」

処置を終えたと判断し、抑鬼は来た時と同じように、静かに帰って行く。

その姿を守護霊3人衆は遠巻きに窺った。

左相(霊)「何だ?あの鬼神は?」
ソン内官「あの子、すごく恐ろしいんです!怨霊を悪霊にするんですから」
左相「そうか?そいつが何でここに?」

「!!!」3人衆は顔を見合わせ、リンの部屋を振り返った。「大君様!!!」

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リンのそばへやって来た3人衆は、眠っているリンを覗き込んだ。

ソン内官「大君様、大君様、大丈夫ですか?」
左相(霊)「大君媽媽、起きてください」

「あぁ」リンは煩わしそうに呻き声を上げると、布団の上に起き上がった。「急にどうしたんだ?」

ランイ「本当に大丈夫?」
リン「…何で?どうしたんだ?」

いつもと変わらぬリンだ。
ソン内官は安堵の笑みを浮かべた。

ソン内官「いいえ。何もお変わりなければいいんです。またお休みくださいまし」

大きく欠伸をし、リンが再びゴロンと横になると、3人衆は部屋を出た。

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キサン君「想像してみよ。泰平聖代を象徴する塔が、空に向かってそびえ立つ雄大な姿を」

リンを伴って塔の工事現場へやって来たキサン君は、そう言って豪快に笑った。

キサン君「考えただけでも心が晴れるようだ。塔が完成したら、皆が私を崇めるだろう。そう思わぬか?」

どこまでも上機嫌なキサン君を前に、リンは浮かない表情を隠せない。

リン「私は反対の世論が心配です」
キサン君「領相が賛成したんだのに、誰が反対するのだ?」
リン「莫大な税金と人力を動員したため、民の不満が大きくなっていると聞きました」

キサン君はそれでも余裕で頷いた。「だからお前を呼んだのだ」

リン「!」

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正殿に官僚たちが勢揃いすると、キサン君は宣言した。

キサン君「月光大君を蒼天塔建立の総責任者に任命する!」

「!」リンは領相の右、一番王に近い場所に座っていた。

リン「殿下!」
キサン君「月光よ、聞け。塔の建立に必要な税金聴取と人力動員の権限を与える。従わぬ者たちは反逆者とみなし、一人残らず捕らえるのだ!」
リン「殿下!私になぜこのような重責を与えられるのですか?」
キサン君「塔の建立は余と王室の威厳を高める、国の極めて重要な事業だ。大君であるお前が先頭に立つのは当然のことであろう」
リン「…。」

リンの隣で、領相はこの状況を楽しんでいるようにも見える。

キサン君「領相は朝廷の総力をあげ、月光を助けよ」
領相「御命承りました」

全ての官僚が頭を下げた。

リン「…。」

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「私は心配です」今日も領相に茶を淹れながら、大妃は漏らした。

大妃「塔の建立が失敗すれば、主上は勿論、月光まで…。我が国の王室が危うくなるでしょう」
領相「朝廷は心を一つにし、殿下のご意志を受けるつもりです。ご心配には及びません」

「これは全て… サダムが言い出したようです」大妃の表情が厳しくなる。

領相「…。」
大妃「あやつが現れてから、主上は変わりました。サダムを主上のそばから追い払わなければ」
領相「一介の道流に過ぎません」
大妃「…。」
領相「時を見て、私が処理いたします。主上殿下の寵愛を受けていますので、暫くの間は見て見ぬふりをなさいませ」
大妃「…。」

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「大君が蒼天塔建立の責任者に?」リンの報告に、サンホンは驚いた。

リン「私が大蛇を昇天させる塔の建立責任者になるとは…」
サンホン「大君を表に立たせ、民の反発を鎮めようという殿下の目論見でしょう」
リン「気持ちとしては今すぐサダムを処分し、塔を壊してしまいたいところです」
サンホン「今は我慢なさらなければ。サダムが集めた怨霊たちを往生させたので、暫くは大蛇の封印も解けないはずです」

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宿へ戻ってきたサゴンは、そこでリンと遭遇し、気まずそうに顔を背けた。

リン「考えてご覧になりましたか?」
サゴン「だから、私は嫌ですってば!」

#うん、嫌ならいいってば(視聴者代表

リン「夜警組織を完成させることが出来るのは先輩しかいないのです」
サゴン「私はね、夜警軍で記録をつけていた書生なんですよ。武器を持って鬼神と戦うなんて!そんなこと出来ません。それに、やりたくもないんです」
リン「…。」

「諦めたほうがいいですよ」オンメの声が飛ぶ。

オンメ「この旦那はね、肝っ玉が豆粒みたいに小さいんです。先頭に立つなんてこと出来ませんから」
サゴン「そんな寂しいこと言うなよ」
オンメ「私の言ったこと間違ってますか?!」

「上手いのは口だけなんだから」オンメは口を尖らせて背を向ける。
「誤解だってば!」オンメを追いかけるサゴンに、リンは溜息をついた。

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夜。
トハとムソクはある建物の塀に身を潜めた。

ムソク「ここはサダムが滞在する場所。危険かもしれない」
トハ「心配なんです」
ムソク「…。」
トハ「無事帰ったのかどうか、それだけ確かめますから」

トハの言葉に、ムソクは小さく微笑む。「その強情っぷりには誰も敵わないな」
彼は膝の上で手のひらを組み、トハのために踏み台を作ってやる。
トハがその手に足を掛け、塀を超えた。

そこは梅蘭房だ。

静まり返った梅蘭房の中へ入って来たトハは、建物の奥を見てパッと顔を輝かせた。
ヨンウォルが立っていたのだ。
彼女が無事でいるのを見て、トハはホッと胸を撫で下ろした。

トハが近づくと、ヨンウォルは驚いて振り返った。
宿にいたときと違い、ヨンウォルは髪を綺麗に結い上げ、すっかり元の姿になっている。

ヨンウォル「?!」
トハ「良かった…。ご無事で」
ヨンウォル「あなたがここに何の用?」
トハ「突然いなくなられたので、随分心配したんです」
ヨンウォル「一体何のことかしら」
トハ「?… 私の部屋で一緒に過ごしたこと… 憶えていらっしゃらないんですか?」

ヨンウォルは呆れてさらに目を丸くする「笑わせるんじゃないわよ」

ヨンウォル「何度か会ったからって私を騙すつもり?!」
トハ「!」
ヨンウォル「引きずり出される前に今すぐ出て行きなさい。早く!」
トハ「すごく心配したのに!… 無駄な心配だったみたいですね」
ヨンウォル「!」

悲しげな顔で去っていくトハに、ヨンウォルは首を傾げた。

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帰り道。待っていたムソクと共に、トハは力なく歩いた。

#ムソクが梅蘭房の外で待ってるところをチラッと見たかったね。
首を伸ばして塀の向こうを覗いてみたりして。

トハ「まるで… 別人みたいでした。何日か私の部屋で一緒に暮らしたのに。ずっと前から知っていたみたいに仲が良くなっていたのに」
ムソク「無事でいるのは分かったんですから、これ以上気にしないほうがいい」
トハ「…。」
ムソク「朝鮮の人ではないんだから、我々とは違うでしょう」
トハ「だけど…!」

「もう梅蘭房主には会いに行くな」目の前の柵の向こうからサンホンが現れる。
二人は宿の前まで帰っていたのだ。

サンホン「あの人に近づけば二人とも危険だ」
トハ「それは…どういう意味ですか?」
ムソク「…。」

#「二人とも」というのは、たぶんトハとヨンウォルのことでしょうね。

「それは…」サンホンはどうしても言葉が続かず、微かに唇を震わせる。

サンホン「とにかく気をつけるんだ」

彼はそれだけ言って、二人を残し、出掛けて行った。

トハ「…。」

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向き合う領相とサダムの間には、沈黙が続いていた。
先に口を開いたのは領相だ。

領相「主上と月光、両方を処理する方法が本当にあるのか」
サダム「蒼天塔が完成する日、主上と月光大君は互いに攻撃しあうことになります」
領相「骨肉の争いが起きると…」
サダム「そうなれば朝鮮の王室は崩壊し、大監は大志を実現させることになるでしょう」
領相「主上のことはそなたが操れるとして、月光大君も可能なのか?」

サダムはニヤリと笑う。「そのうちお分かりになりますよ」

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夜が更けると、サダムは祭壇の前で祈祷を始める。
大きく手を広げると、目の前に抑鬼が現れた。

サダムと抑鬼はじっと視線を合わせ、頷き合う。

寝室で眠っているリンの耳に、謎の声が入ってくる。
不快なその声に、リンは顔を歪めた。

「主上がお前の王位を奪ったのだ。
お前の王位を取り戻しに行け!」

リンはハッと目を開ける。
様子が変だ。

~~~~

いつの間にかリンは真夜中の宮中にいた。
刀を手に霧深い宮中を進む。

彼がやって来たのは、今宵も女たちを侍らせ馬鹿騒ぎをするキサン君の元だ。
「こんな夜中にどうした?」御簾の向こうに見えたリンの影に、キサン君が声を掛ける。

姿を現したリンが手にしている刀に、キサン君は目を丸くし、後ずさりをした。

リン「我が王位を取り戻しに来た」
キサン君「何と!お前、気でも狂ったか!」

リンは叫び声を上げ、料理が一杯に並んだ食膳を豪快にひっくり返す。
女たちが一斉に逃げ出した。

狼狽えるキサン君をリンは部屋の一番奥まで追い詰める。

キサン君「余が悪かった!話し合おう!話し合おう、リン!」

リンは怯えるキサン君に刀を向け、ニヤリと笑う。

キサン君「リン!頼むからやめてくれ!リン!」

「やぁ!!!」リンは思い切り刀を振り下ろした。
キサン君は首を真っ赤に血で染め、バッタリと倒れる。

「それで宜しいのです」突然誰かの声がリンを褒め称えた。

リン「?」

現れたのはサダムだ。

リン「!」
サダム「このように不甲斐ない者に王となる資格はありません。

そう言ってサダムは自分の足で倒れているキサン君を踏みつけた。

リン「!」
サダム「我が国の王位は大君のものです!」

サダムが豪快に笑うと、リンは刀を投げ捨てる。「駄目だーーーー!!!」

~~~~

「!!!」リンは布団から飛び起きた。
なんという恐ろしい夢だったのか…。
ブルブル震えている両手をギュッと握り締めると、リンは大きく息を吐きだした。

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「追善祭?」サダムの提案に、キサン君が問い返す。

サダム「宮中は勿論、朝鮮を彷徨う全ての怨霊を往生させるのです。そうすれば、殿下を苦しめる頭痛も治るでしょう」
キサン君「そうか!よし、追善祭を行うぞ!」

#キサン君の気の弱さやお馬鹿さ(失礼)は、もう愛しさすら感じるね

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「突然追善祭だなんて… 変です」宿の地下室で顔を合わせると、トハが言った。

リン「サダムには別の目的があるはずだ」
ムソク「別の目的とは?」
リン「何かあるのは間違いない。追善祭は阻止しなければ」
サンホン「しかし、王の命令となれば阻止する方法はありません」
トハ「間違った命令ならば阻止するべきです」
ムソク「王の命令に背くことは出来ません」

「サダムは追善祭を盾に殿下を騙しているのだ」リンはムソクを説得する。

ムソク「それでも駄目なものは駄目なのです!」

ムソクは憮然として立ち上がり、部屋を後にした。

サンホン「…。」

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宿の庭に出てくると、ムソクはもどかしい思いに溜息をついた。
そこへ、後から出てきたのはサンホンだ。

サンホン「夜警師になったことを後悔しているのですか?」
ムソク「?!」

驚いて振り返ると、ムソクは静かに首を横に振った。

ムソク「イナの霊魂に会ってからは、鬼神に対する考えが変わりました」
サンホン「…。」
ムソク「しかし… 臣下として任務を果たせないことが本当に辛いのです」

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サンホン「夜警軍は誰よりも忠義のある秘密組織でした。私も一時は王に仕える実直な臣下だったのです」
ムソク「…。」
サンホン「サダムの野望を挫き、大蛇を倒すこと… それこそ王と王室、そして朝鮮のため、真の忠心でしょう」

「…。」穏やかに語るサンホンの言葉に、ムソクは素直に耳を傾ける。

サンホン「そうすれば殿下も聖君に戻られるはずです」

ムソクはそれでも気が晴れなかった。

ムソク「私は鬼神を見ることも出来ないのに…。そんな私が、果たして夜警師として任務を果たせるのかどうか」
サンホン「…。」

サンホンは暫し沈黙すると、いきなり刀を抜き、ムソクに突きつける。
「!」背を向けていたにもかかわらず、ムソクは恐るべき反射神経でクルリと向き直り、サンホンの手首を掴んだ。

ムソク「何事ですか」
サンホン「…。」

視線をゆっくり合わせると、サンホンは掴まれた手首を返し、もう一度斬りかかる。
ムソクも剣を抜き、容赦なく襲いかかるサンホンの剣を阻んだ。
二人の剣が、代わる代わる美しい弧を描く。

互いに剣を向け合って止まると、サンホンはムソクを見つめ、目を細めた。

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そして、ゆっくりと剣を下ろす。

サンホン「私の攻撃をここまで阻むほどの腕前なら、夜警師として遜色はありません」

「…。」ムソクはようやくサンホンに向けていた刀を下ろした。

ムソク「しかし、鬼針盤に頼らなければ鬼神に気づくことも出来ないのです」
サンホン「私も最初は鬼神を見ることが出来ませんでした」
ムソク「本当ですか!」
サンホン「鬼神を退治しながら、心の目を開き、鬼針盤がなくても見えるようになったのです」
ムソク「!」
サンホン「だから、あまり心配しないでください」

考えこむムソクを、サンホンは温かく見つめる。

サンホン「副護軍もいつかは、鬼神たちが誰よりも恐れる夜警師となるでしょう」
ムソク「…。」

サンホンは剣を拾い上げ、宿へと戻っていく。
一人残ったムソクの目に力が宿った。

#こういう心の通った激アツなシーンを観たいんだよ、ちょっとぉ!!!
ムソクの悩みの分かるサンホン兄が彼なりの方法で悩みを払拭してくれるのは、とても自然な流れだし、どちらの心にも寄り添える。
前にも言ったけど、ストーリーが動く源は人の心の動きなんだから、心の動きに沿った物語を描いてほしいのです。
このシーン、何度でもリピ出来るね。

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スリョンが贈り物を手に訪れたのは、大妃の元だ。
「本当に久しぶりね」大妃はスリョンの訪問に感激した。

スリョン「明国から入った滋養剤をお持ちしました」
大妃「この老人のためにこのように貴重な薬を持って来てくれるとは、その気持ちが有り難いわ」

スリョンはしおらしく頭を下げる。

大妃「あなたが月光の伴侶になってくれれば、どれほどいいか…」

スリョンの目がわずかに輝く。

スリョン「ふつつか者ですが、王室のお役に立てるなら力を尽くします」

大妃がゆっくりと身を乗り出した。「月光のことを慕っていたの?」
スリョンはまっすぐに大妃を見つめ、恥じらうように頷いた。

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大妃殿を出たところで、スリョンは父パク・スジョンに出会う。
思いがけないところで娘に会ったことで、領相は顔をこわばらせた。

領相「スリョン!お前がなぜ大妃殿から出てきたのだ?」
スリョン「私の将来のことでご相談したのです」
領相「何と?!月光大君は駄目だと言ったであろう!」

一喝する父に、スリョンは余裕たっぷりに微笑む。

スリョン「お父様、私は最後まで月光大君を諦めません」
領相「!!!」

平然と頭を下げ、去っていく娘を、領相は呆然と見送った。

領相「一体どうしたものか…!」

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地下室へやって来たトハの目に入ったのは、不意に頭を押さえ、顔を歪めるリンの姿だ。

トハはぐるりと回り込み、リンに向き合って座った。

トハ「具合が悪いんですか?最近顔色が優れませんね」

「大丈夫だ」リンは無理に笑ってみせる。

リン「ただの軽い頭痛だ」

「!」トハは咄嗟にリンの額に手を当てた。
そして、もう片方の手を自分の額に当てる。

リン「?」
トハ「薬でも飲まれた方がいいんじゃないですか?」

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トハが可愛くて、リンは思わず笑い声を上げた。
額から彼女の手を外すと、両手で大切に包み込む。

リン「お前が心配してくれたから、たった今治った」

「!」トハもまた、もう一方の手をその上に重ねる。

トハ「それなら…安心しました」

二人は穏やかに見つめ合った。

そこへ、知らずに地下へ下りてきたサンホンは、二人の姿にハッと立ち止まる。
彼の表情は複雑だった。

サンホン「…。」

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追善祭の準備が整い、宮中の人間が全て一同に会した。
キサン君やリン、護衛のムソクが見守る中、祭祀は昭格署によって進行される。

昭格署の代表であるサダムが登場すると、リンとムソクは警戒を強めた。

祭壇の前に立つと、サダムは手に持った蛇の杖を両手で掲げ、丁重に供えた。
まじないを記した書を火にくべると、それを合図に太鼓の音が響く。

サダムは両手を大きく広げ、天を仰いだ。

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サダム「天地神明に祈りを捧げます!朝鮮の地、都を彷徨う全ての悪霊の往生をお許しくださいますよう!!!」

サダムが祈祷を唱え始めると、突然空を黒い雲が覆った。
辺りは夜のように暗くなり、人々は錯乱する。

#節までついてるサダムの祈祷が素晴らしすぎるんですが

キサン君「あれは何だ?!」

宮中だけではない、街も一斉に黒い雲が包む。

町人「何だ?あの雲は?」
トハ「違う、これは…雲じゃない。怨恨だわ!!!」
町人「何?怨恨?」

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ハッと振り返ると、トハの隣にいた町人は一瞬のうちに煙のように消え去った。

トハ「!」

一人だけではない、次々に町の人々が消えて行くではないか!

トハ「…。」

空が暗くなるにつれて、ムソクの鬼針盤が激しく反応し始めた。
「鬼気が増大しています」ムソクは小声でリンに告げる。

リン「…。」

サダムは蛇の杖をもう一度手に取ると、雄叫びと共に思い切り地面に突き立てる。「!!!」
その途端、黒い雲は一気に消え去り、空は元通り晴れ渡った。

「雲が消えて行くではないか!」心配そうに見守っていたキサン君が、顔を輝かせる。

キサン君「怨霊たちが本当に天に向かっているのだ!」

「…。」サダムが杖を地面に突き立てたまま動かずにいると、黒い気がどこからともなく次々と飛んできて、杖の先に吸い込まれた。
リンは注意深くその様子を見つめる。「あの杖で怨恨を寄せ集めているのだ」

ムソク「!」

祭祀を終えたサダムに、キサン君は大喜びで手を叩いた。

キサン君「よくやった!これで朝鮮には怨霊がいなくなった!蒼天塔を建て、余の業績を満天に知らしめようぞ!!!」

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追善祭を終え、リンはムソクを伴い宮中を歩いていた。

リン「杖の中に集めた怨霊で、サダムは大蛇を治療するつもりだろう。あの杖を奪わなければ」

そう言った瞬間、刺すような痛みが頭に走る。「うっ!」
頭が割れるように痛い。
立っていられないほどの痛みに、リンは両手で頭を抱えた。

ムソク「?!」

昭格署の祠堂で、サダムが呪いの祈祷を行っていたのだ。

ムソク「どうなさったのですか?」
リン「あっ!」

リンはとうとうその場にうずくまった。

ムソク「大君!大君!大丈夫ですか!」

「…。」ムソクに助け起こされ、リンは僅かに落ち着きを取り戻す。

ムソク「おさまりましたか?」

「?」リンの視界はぼんやりと霞んでいた。

ムソク「これはいけません。一旦帰らなければ」

ムソクはリンを抱えるようにして、先を急いだ。

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ここで一旦区切ります。

結構面白かった!
大変だろうけど、たまには1,2話みたいにスケールの大きいイベントがないとね。
毎回こそこそと狭い地下道に潜り込んでるようじゃ…(笑

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