韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

トライアングル19話あらすじ&日本語訳vol.1

   

ジェジュン(JYJ)、イ・ボムス、イム・シワン(ZE:A )主演、「トライアングル」19話、セリフの日本語訳を交えつつ、あらすじを追っていきます。

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「ドンウが養子に行った先は… ドンジン炭座のユン・テジュンよ」
「ユン・ヤンハが… ドンウなの」

「何だって?」シネの言葉に、ドンウは呆然とした。

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シネはジョンヒの家を訪ねていた。
彼女が門を入ると、ジョンヒの祖母が一人、家の前で洗濯物を干している。

シネ「失礼します。オ・サンチョンさんのお宅ですね?」
祖母「えぇ。そうですけど」
シネ「オ・サンチョンさんはいらっしゃいますか?」

祖母は少し戸惑った表情を見せる。

祖母「オ・サンチョンは息子だけど、亡くなって随分経ちますよ」

「ところで、どなたです?」そう聞かれて、シネはニッコリ微笑んだ。

シネ「私はファン・シネと言って、ソウル警察署所属の警察医です」
祖母「警察がどうして死んだ人を?」
シネ「ひょっとして、チャン・ジョングクという人を覚えておいでですか?」
祖母「…。」
シネ「昔、ドンジン炭座の労働組合長だったんです」

祖母は遠い目をして、記憶を手繰り寄せる。

シネ「息子さん、ドンジン炭座で労働組合の幹部をなさってたと聞いたんですが」

「えぇ」祖母が頷いた。

祖母「チャン・ジョングク、よく知ってますよ」

シネの顔がパッと明るくなった。

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シネを家の中へ案内すると、ジョンヒの祖母は家の奥から箱を持って来た。
「これですよ」箱の中から写真を1枚、取り出してシネに渡す。

301

祖母「娘を連れてるのが息子のオ・サンチョンで、横にいるのがチャン・ジョングクですよ」
シネ「チャン・ジョングクさんが連れている子どもは…」
祖母「それは… 何ていう名前だったかねぇ」
シネ「チャン・ドンチョル?」

「あぁ、そうだ!」祖母が手をパンと鳴らす。

#3兄弟の幼い頃の顔をシネは知りませんが、面影でちゃんとわかったんですね^^

祖母「チャン・ドンチョルだ。チャン・ジョングクには息子が3人いただんだけどね。一番上がチャン・ドンス、二番目がドンチョル、それから赤ん坊だったのが… 名前は思い出せないねぇ」
シネ「チャン・ドンウです」
祖母「あぁ、チャン・ドンウ?まぁるい目でね、可愛らしい顔をしてたよ」

祖母は懐かしさに笑った。

祖母「ところで、うちの息子に何を聞きたかったんです?」
シネ「チャン・ジョングクさん、事故で亡くなりましたよね」
祖母「そうなんですよ。坑道に入ったときに落盤事故でね」
シネ「…。」
祖母「3兄弟の母親は、末っ子を産んですぐ逃げちまってね、父親はあんな死に方をしちまったもんだから、身寄りのない3兄弟は孤児院に引き取られたんだ」
シネ「…。」
祖母「可哀想な子どもたち… 今でも目に浮かぶねぇ。あのころは皆、自分たちが食べていくのも大変な時代でね、助けてやれる人は誰もいなかった。孤児院にやるのは本当に胸が痛かったよ」
シネ「孤児院に行った3兄弟の消息、お聞きになったことはありませんか?」

「ないですねぇ」祖母は俯くと、「あぁ!」と顔を上げる。

祖母「しばらく後にね、ドンジン炭座の主だったユン・テジュン!ユン・テジュンがジョングクのところの末っ子を養子に取ったって噂があったけど」
シネ「!」
祖母「自分の目で見たわけでもないから、本当かどうか…」
シネ「その噂、どこでお聞きになったか覚えておいでですか?」
祖母「…覚えてないねぇ」
シネ「…。」
祖母「はぁ、ドンチョルはどこでどう暮らしてるんだか。気になるねぇ」

302

#「…………。」(お祖母ちゃんが知ってるほど噂になってたって、そんなの反則だよね)

~~~~

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ドンスはシネの自宅へ来ていた。
ジョンヒの祖母からシネが預ってきた写真を、彼は食い入るように見つめる。

ドンス「この方は何ていう名前だって?」
シネ「オ・サンチョンさん。ドンスさんのお父様の下で労組の執行部をなさってたそうよ」
ドンス「顔を見たら思い出した。親父と親しかった人だ」
シネ「その方はじん肺症で亡くなったわ。私、その方のお母さんに会ってきたのよ」
ドンス「?」
シネ「ドンスさんのこと、覚えていらっしゃったわ」
ドンス「…。」
シネ「皆、食べていくのが大変な時代だったからって…3兄弟を孤児院にやったこと、今でも胸を痛めていらっしゃるの」
ドンス「その方が、ドンウはユン・テジュン会長のところに養子に行ったって?」
シネ「自分で見たわけじゃないから事実かどうか分からないけど、当時はそういう噂が広がってたって」
ドンス「それなら、ユン・ヤンハがドンウだと思う理由は何だ?」
シネ「ドンスさんのお母様の言ったこと、当時舎北で広まってた噂、それにユン・テジュン会長がユン・ヤンハを養子に迎えた時期。それを合わせて解釈してみたら、その可能性が高いってことよ」

#「…………。」(やっぱり状況証拠からの推測やん)

ドンス「自分が殺した男の息子を養子に迎えようなんて思うわけないだろ。ユン・テジュンの口から聞かない限り、俺には信じられない」
シネ「ユン会長は知らない可能性だってあるじゃない」
ドンス「!」
シネ「今ユン・テジュンの下で働いてるキム・ジンスっていう専務、ドンジン炭座の頃からユン会長の忠実な部下だったの。私の推測が正しければ、その人が何もかも知っているはずよ」

「会ってみたのか?」シネの推測を信じようとしなかったドンスが、ようやく身を乗り出す。

シネ「えぇ」
ドンス「何て?」
シネ「ヤンハの養子縁組のことを聞いたら、動揺して逃げるように立ち去ったわ」
ドンス「!」
シネ「確かめてみるから、もう少しだけ待ってて」

「…。」ドンスはもう一度古い写真を見つめた。

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「ヒョン室長!」廊下を歩いてきたピルサンは、キム専務に呼び止められた。

キム専務「ヒョン室長、ファン・シネ博士と連絡を取ってますか?」
ピルサン「もう終わった関係です。連絡することなんてありませんよ」
キム専務「ファン博士はチャン・ドンスと親しいんでしょう?」
ピルサン「まぁ、そうでしょう。突然なぜそんなことを?」
キム専務「会長がヤンハ坊っちゃんの精神科カウンセリングを誰に依頼しているのかと仰ったものでね」
ピルサン「ユン・ヤンハに直接お訊きください。それに今後、私にその女の話をするのはご遠慮いただきたいですね」
キム専務「あぁ、すみません」

去っていくピルサンの後ろ姿を、キム専務は硬い表情で見送った。

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屋上で待っているヤンハの元へ、ペ主任がやって来る。

ヤンハ「どうしたんです?」
ペ主任「ホ・ヨンダルがハンチャングループのソン会長令嬢に会っています」
ヤンハ「え?あいつが何でユジンに?」
ペ主任「何が目的なのか、まだ掴めていません」

「…。」ヤンハはニヤリと笑う。

ヤンハ「僕があいつに不意打ちを食らわせたから、仕返しをするつもりでしょうね。何を企んでいるのか、調べてください」

「はい」ペ主任は頭を下げ、職場へ戻っていく。

二人の様子を陰から覗っている人物が一人。
彼は厳しい顔で振り返る。
…ジュノだ。

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「何だと?!」ジャンスが目を丸くして体を起こした。

ジャンス「何で今頃言うんだよ!」

ヨンダルの執務室で、ヨンダル、ジャンスとジェリー、そしてジュノが顔を揃えていた。

ジュノ「疑っていただけで、確信がなかったんです」
ヨンダル「…。」
ジュノ「ずっと監視していたら、怪しいことが1つや2つじゃないんですよ」
ジェリー「ってことは何だ?ペ主任は今までユン・ヤンハのスパイをやってたってことか?」
ジャンス「やっぱり!最初から気に食わなかったんだ。ヨンダル、俺に任せろ。とっ捕まえて全部吐かせてやる」

「いや」ずっと黙っていたヨンダルが静かに口を開く。

ヨンダル「気づいてない振りをして、放っておくんだ」
ジャンス「何で?」
ヨンダル「ペ主任がユン・ヤンハにこっちの情報を漏らしてるのが事実なら、むしろ好都合だ」

「ジュノ、ペ主任とユン・ヤンハの動きを続けて見張ってくれ」ヨンダルはジュノに指示をした。
ヨンダルの意図がわからず、ジャンスは不思議そうに彼を見つめる。

ヨンダル「…。」

+-+-+-+

「明日、お父さんの祭祀だって分かってるかい?」果物を剥きながら祖母が言った。

ジョンヒ「うん。シフトも交代してもらったの。あ!ビョンテは来るって?」
祖母「あの子は試験勉強が忙しくて来られないってさ」
ジョンヒ「いっつも忙しいんだから!私が電話して呼ぶわ」
祖母「駄目だよ。腹くくって勉強するって言うんだから、そっとしておきなさい」
ジョンヒ「…。」

「あ、そうだ」祖母が顔を上げた。

祖母「あんた、チャン・ドンチョルって覚えてるかい?」
ジョンヒ「チャン・ドンチョル?」
祖母「うん」

「ううん」ジョンヒが首を横に振る。

ジョンヒ「誰なの?」
祖母「ほら、うちがドンジン炭座の社宅にいた時、隣に住んでた子だよ」
ジョンヒ「???」
祖母「ほらほら、父親同士が親しくてさ、あんたたち毎日くっついて遊んでたもんだ」

思い出せず、ジョンヒは黙って頭を掻く。
「待ってなさい」そう言って祖母は部屋の隅に置いてあった箱を開けた。

「ほら」写真を取り出し、ジョンヒに見せる。

ジョンヒ「あぁ!この写真見たことある」

303

ジョンヒ「この子がドンチョル?」
祖母「うん」
ジョンヒ「けど、何で覚えてないのかなぁ?」
祖母「あんたまだ小さかったからね。二人で新婚さんの真似しておままごとばかりしてたよ」

後ろでゲームをしていたピョンスが身を乗り出した。

ピョンス「これ、お姉ちゃん?」
ジョンヒ「うん」
ピョンス「超ブサイクじゃん」
ジョンヒ「あんたよりマシよ!ほっぺた真っ赤っ赤でさ、蛙みたいな目だったんだから!」
祖母「ははは」
ジョンヒ「そうでしょ?お祖母ちゃん」
祖母「何言ってんだい。あたしゃこの世でうちのピョンスが一番可愛いと思うね」
ピョンス「(*´∀`*)」

ジョンヒはもう一度写真を手に取った。

ジョンヒ「それで、チャン・ドンチョルはどこに行ったの?」
祖母「お父さんが落盤事故で亡くなってね、孤児院に行ったんだ」
ジョンヒ「…。」
祖母「小さいのに本当にしっかりした子だったんだけどねぇ」

「…。」ジョンヒは思い出せない昔の自分を、写真の中にじっと見つめた。

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コ・ボクテはユン・テジュンの部屋でじっと前を見据えていた。

ユン会長「昔舎北のゴロツキだったコ・ボクテは目つきが違ったな。何でも信じて任せられた。だが、もう野心もなくなったのか、すっかり落ち目だな」
コ・ボクテ「急に何をおっしゃるんです?」
ユン会長「君はもう私の知っているコ・ボクテじゃないって話だ」
コ・ボクテ「…。」
ユン会長「随分前に君に任せたはずだが、チャン・ドンスはピンピンしているし、ホ・ヨンダルはカジノでやりたい放題だ!」
コ・ボクテ「…。」
ユン会長「今も私の口の中で棘のように突き刺さって、心を乱しているんだ。まだ待たなきゃならないのか?」

「自信がないならさっさと降参しろ!」ユン会長が声を荒げる。

コ・ボクテ「…。私が解決します。もう少し猶予をください」
ユン会長「…。」

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「スチャン」廊下で待っていたスチャンは、後ろからコ・ボクテが呼ぶ声に振り返った。

スチャン「はい、会長」
コ・ボクテ「俺の目つき、落ちぶれてるか?」
スチャン「何かあったんですか?」
コ・ボクテ「ユン・テジュンに思い切り馬鹿にされた。チャン・ドンスとホ・ヨンダルのせいで大恥だ!」
スチャン「ハン社長に早く処理するよう催促しました」
コ・ボクテ「全く… この年になってこう侮辱されるとは…!」

咳払いをし、コ・ボクテが歩き出す。
スチャンは電話を取り出した。

スチャン(電話)「これ以上時間の余裕はありません。早く解決出来なければ会長の信頼を失うことになります」

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「えぇ、分かりました」スチャンの電話を受けたミョンジェはチャンマダムの私設カジノにいた。
電話を切ると、彼は釜山にいる手下たちを舎北へ呼び入れるよう、そばにいた部下に指示をする。

ミョンジェの様子をずっと見守っていたマンガンは、浮かない顔で事務所へ戻った。

マンガン「こりゃ尋常じゃない」

「今度は何よ?」ソファで帳簿を見ていたチャンマダムが顔を上げる。
マンガンが防犯モニターを指さした。

マンガン「3番テーブルにいる暴力団のボスのことさ。手下を皆舎北に呼べって指示してた。戦争でも起こそうって雰囲気だ」
マダム「戦争?!」

「あぁ!こいつらうちのカジノで!」マダムがカッとなって帳簿を閉じる。

305

マダム「大騒ぎになるわ」
マンガン「…。」

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ヨンダルは一人、デスクで書類をめくっていた。

#今日は違う資料だよ!今日は違う資料だよ!

そこへノックの音が響く。
ジュノとペ主任が連れ立って入ってきた。
二人にソファを勧めると、ヨンダルが口を開く。

ヨンダル「ペ主任の経歴を見ると、テジョンカジノへ来る前にソウルラッキーカジノにいたとか」
ペ主任「はい」
ヨンダル「それなら、あっちのカジノの人たちのこともご存知でしょうね」
ペ主任「そうですね」
ヨンダル「僕と取引する相手を一人だけ選んでください。金はいくらかかっても結構です」
ペ主任「取引というと… 買収する人を選べということですか?」
ヨンダル「えぇ。今回ユン・ヤンハにやられた件を挽回するために、ラッキーカジノでは中国人VIP顧客をどう管理しているのか、内部情報が必要なんです」
ペ主任「…。調べてみます」
ヨンダル「急ぎですから、最優先でお願いします」

「はい」ペ主任が席を立つと、部屋にはジュノが残った。

ヨンダル「餌を撒いておいたから、ペ主任が本当に俺を裏切ってるかどうか、すぐ確認できるはずだ」

「意図は分かりました」ジュノが厳しい眼差しで頷く。
そこへヨンダルの電話が鳴った。

ヨンダル(電話)「はい」

相手はミン社長だ。

ミン社長(電話)「今カジノの入り口に来てるの。すぐ会いたいんだけど」

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ヨンダルがカジノの出入口に来てみると、ミン社長とマンボンが待っていた。

ヨンダル「どうしたんです?」
ミン社長「大変よ、ホ理事」
マンボン「ハン・ミョンジェが組織の人間を舎北に呼んでる」
ヨンダル「…。」
ミン社長「オ・ジョンヒを拉致したのも無駄に終わったから、今度はホ理事に直接手を出して来そうな気がするのよ」
マンボン「ヨンダル、お前、しばらく舎北を離れた方がいいと思うが」
ミン社長「そうよ。どっちにしろ、私はあいつらと一勝負するつもり。あいつらは私が抑えるから、ホ理事はしばらく避けたほうがいいわ」

ヨンダルは大きく息を吐き出した。

ヨンダル「俺は逃げも隠れもしません。それよりご自分たちの心配をなさってください」
ミン社長「どうするつもりよ?!」
ヨンダル「あいつにやられた分、返してやらないと」
マンボン「…。」(←兄貴!この表情最高っす!
ミン社長「…。」

307

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「どうしましょうか?」ペ主任の問いかけに、ヤンハは余裕の表情を浮かべた。

ヤンハ「あいつの企みはお見通しですよ。望み通りにしてやってください」

「はい」背を向けたペ主任を、ヤンハが呼び止める。

ヤンハ「ソン・ユジンになぜ近づいたのか、まだ分かりませんか?」
ペ主任「えぇ。その話はまだ何も聞いていません」
ヤンハ「…分かりました」

ペ主任が階段を降りて行くと、入れ替わりにジョンヒが上から階段を降りて来た。
気付かずに通りすぎようとしたジョンヒは、ヤンハに呼び止められ、振り返る。

ヤンハ「今晩、時間ありますか?」
ジョンヒ「…。」
ヤンハ「ワンジュでいい公演があるんです。ジョンヒさんと一緒に行こうかと」
ジョンヒ「今日は父の命日なので、早く帰らなきゃいけないんです」
ヤンハ「それならまた今度にしましょう」

ちょうどそこへヨンダルが階段を上がってくる。
ジョンヒの背中越しに、ヤンハとヨンダルの目が合った。

#便利な階段だねぇ…。

ヤンハの視線に気付き、ジョンヒが振り返った。
二人の高さまで上がってきたヨンダルが、そこで足を止める。

ヨンダル「…。」
ジョンヒ「…。」
ヤンハ「…。」

ヨンダルの視線がヤンハからジョンヒへ移ると、ジョンヒはハッと緊張を高めた。

ヨンダル「…。」

そのまま彼は何も言わず、二人の前を通り過ぎ、階段を上がっていく。
ジョンヒは寂しそうにそれを目で追った。

ヤンハ「…。」

ヨンダルの背中は遠ざかり、階段を上がりきって壁の向こうに消える。
顔を曇らせるジョンヒを、ヤンハがそっと見つめた。

308

 

+-+-+-+

乱暴にドアを開け、執務室へ入ったヨンダルは、一直線に窓辺へ向かった。
自分をまっすぐ見つめるジョンヒの目が、脳裏に焼き付いている。
苦しくて、思い切り叫びたい。
それでも、胸の中の燻りが小さくなるまで、黙って耐えるしかなかった。

309

+-+-+-+

ジョンヒもまた、帰り支度をしながらヨンダルの表情を思い出していた。
彼女に気づき、微かに目を狼狽させると、ヨンダルは自分から目を逸らし、階段を上がっていったのだ。

ジョンヒ「…。」

ジョンヒの心は寂しさで一杯だった。

「あら」そこへヒョンミがやって来る。

ヒョンミ「夜のシフトじゃなかった?」
ジョンヒ「今日は祭祀があるからミソンと交代したの」
ヒョンミ「あんた、ユン・ヤンハとデートしたんだって?」
ジョンヒ「違うよ。誰がそんなこと?」
ヒョンミ「この子ったら、バッチリ見た人がいるんだから観念しなよ。ククス屋でユン・ヤンハと二人でいるの、うちの叔母が見たんだからね」

「はぁ」ジョンヒは溜息をつく。

ジョンヒ「何て狭い街なの?うんざりしちゃう。隠し事も出来ないなんて」
ヒョンミ「舎北で隠し事なんてムリだってば」
ジョンヒ「…。」
ヒョンミ「それにしても、ホ・ヨンダルはどうしちゃったわけ?二股なの?♥」
ジョンヒ「そんなんじゃないよ。お世話になったから、お礼にご馳走しただけ」
ヒョンミ「あんた、何でそうモテるのかな。羨ましいよ」

ヒョンミの言葉に笑うと、ジョンヒは職場を後にした。

+-+-+-+

ヨンダルの待つレストランにユジンがやって来た。
ユジンはヨンダルの向かいに座ると、足と腕をさっと組む。

ユジン「ソウルへはよくいらっしゃるんですか?」
ヨンダル「本社に用事がある時だけですが、今日はユジンさんに会うために来たんです」
ユジン「私たち、無駄に時間を引き伸ばさないで、さっさと本題に入りましょう」
ヨンダル「本題ですか?」
ユジン「えぇ。私に近づいた理由があるでしょ?それが何なのか、話してください」
ヨンダル「僕は最底辺の人生を送ってきたから、金持ちのことはよく分かりません。でも、金持ちはただ金持ちってわけじゃないんですね」
ユジン「…。」
ヨンダル「正直、ユジンさんに会うまでは、何も考えてない頭が空っぽの女だろうと思ってました。でも、予想が外れましたね」
ユジン「私もホ・ヨンダルさんに会うまでは、ガラの悪いヤクザ者だろうと思ってたけど、そうじゃなかったわ。面白いですね」

#こっちはちっとも面白くないけどね。

「…。」ヨンダルが身を乗り出す。

ヨンダル「僕がユジンさんに近づいた理由を話しましょう」
ユジン「…。」
ヨンダル「ハンチャングループは国内客用のカジノに関心があると聞いています。僕と取引すれば、ただの願望でなく、現実になるかもしれませんよ」
ユジン「それが現実になるなら、確かにそそられる提案だわ」

310

+-+-+-+

デスクで仕事をしていたヤンハは、メールが届いたのに気付き、携帯を手に取った。

ファン博士(メール)「元気にしてる?時間が出来たら一度連絡してね」

ヤンハはその場で電話を掛ける。

シネ(電話)「久しぶりね」
ヤンハ(電話)「僕との縁は切ったのかと思ってましたよ」
シネ「元気?」
ヤンハ「えぇ。最近あんまり何でも思ったとおりになるから、逆に不安になるほどです。こういう不安にはどんな薬を飲めばいいのか、一度連絡しようと思ってたんです」
シネ「薬なんて…。素直に愉しめばいいのよ」
ヤンハ「(微笑)」
シネ「時間があれば会いたいんだけど」
ヤンハ「明日ソウルへ行きますから、ご連絡しますよ」
シネ「えぇ。じゃあ明日ね」

明るく電話を切ると、シネはそこでじっと考えに耽った。

+-+-+-+

「おぉ!ここだ!」狭い入り口をヨンダルが入ってくると、ドンスが手を上げた。
こじんまりした店の中には、ところ狭しと手書きのメニューが貼られている。
ヨンダルが腰を下ろすと、ドンスは彼のグラスに酒を注いだ。

ヨンダル「酒飲んでいいんですか?」
ドンス「飲まないから具合が悪いんだ。関係ないさ」

二人はカチンとグラスを合わせた。

ドンス「ハン・ミョンジェの方は進展ないのか?」
ヨンダル「釜山の手下を呼び寄せてますよ」
ドンス「何だって?何で言わなかったんだ?今度は堂々とお前に手を出すつもりだろ」
ヨンダル「考えがあるんです。心配しないでください」
ドンス「どんな考えだ?」
ヨンダル「ハン・ミョンジェのヤツに一泡吹かせるんですよ」
ドンス「ハン・ミョンジェはあっちの業界でも一番の荒くれ者だ。お前に太刀打ち出来る相手じゃない。ダメだ」
ヨンダル「もちろん拳じゃダメだ。兄さん、テジョンカジノが出来て以来、たった一つ、世に貢献したことがある」
ドンス「?」
ヨンダル「大韓民国で金を持ってるヤクザ者たち。そいつらの金を掻き集めたことだ。けど、調べてみたら、ハン・ミョンジェはまだ金を持ってる。この機に俺がすっからかんにしてやるんだ」
ドンス「どうやって?」
ヨンダル「先に話しちゃ面白くない。楽しみにしててください」

ドンスは思わず吹き出し、ふと思い出して懐を探る。

ドンス「お前の幼い頃の写真を手に入れたんだ」

「ほら」ドンスは写真を差し出した。
ジョンヒの祖母から借りてきた写真だ。

ドンス「父さんと一緒にいるのがお前だ」
ヨンダル「横にいるのは?」
ドンス「父さんとドンジン炭座に勤めてた方だ」
ヨンダル「…。」
ドンス「あぁ、それからお前と手をつないでる女の子がいるだろ?その女の子とお前、いつも一緒だった。ままごとばかりしてな」

311

写真を見つめるヨンダルの目がみるみるうちに柔らかくなる。

ドンス「覚えてるか?」

「いや、ちっとも」ヨンダルは笑った。

ドンス「そりゃ、小さい頃のことだからな」
ヨンダル「俺は記憶を1つ2つと取り戻してるけど、ドンウだけ見つからなくて気掛かりだ」
ドンス「孤児院の園長が知ってるはずなんだが、痴呆症でな。簡単には行きそうにない」
ヨンダル「ドンウさえ見つけられるなら、何だって出来る。金が必要なら金を作るし、人が必要なら人を集めるさ」

「お前の心情はよくわかる」ドンスは弟の顔を穏やかに見つめる。

ドンス「だが、あまり自分を責めるな。こうなったのは全部…俺のせいだ」
ヨンダル「…。」

312

二人は静かに酒を飲み、ドンウを想った。

+-+-+-+

私設カジノでは、ミョンジェが今夜もバカラに興じていた。
入ってきたジャンスとジェリーが遠くからそっと窺う。

彼らはそのままチャンマダムとマンガンのいる事務所へ向かった。

マンガン「オイオイ!お前らあんまりじゃないか!」
ジェリー「いきなり何だよ?」
マダム「ホ・ヨンダルがヴィラ・スイートに皆を呼び集めて、ご馳走したらしいじゃない」
ジャンス「…。」
マダム「あたしたちのことはなんで呼ばないのさ!」
マンガン「なぁ、お前らが俺たちから持ってった金で、あの家買えるぞ!」

「オーバーだな」ジャンスたちが笑う。

ジャンス「酒飲んで飯食っただけだって」
マダム「とにかく!あたしたちが食べさしてやったのに、その扱いはないでしょ!」
ジャンス「わかったよ。俺がヨンダルによく言って、特別な席を用意するから、もうそれくらいにしろよ」

ジャンスはそう言いながら、モニターの前へ向かう。

ジャンス「マンガン兄、ここのディーラーの中で”ブラック”の出来る子がいるだろ」
マンガン「…ブラックって何だよ」
ジャンス「またぁ、俺たちお互い様じゃないかぁ」
マダム「…。」

「兄貴」ジェリーがマンガンの隣に座る。

ジェリー「ブラックって言ってさ、お客さんを騙す方法があるだろ」
マダム「ちょっと!うちはブラックなんてのは使わないよ」
ジャンス「あぁ、そうだな。使わないのは分かってるけどさ、やり方を知ってる子はいるだろ?」
マンガン「いやまぁ、やり方を知ってる子は… いるさ。それがどうした?」

ジャンスの目が光る。

ジャンス「それなら、きっかり1回だけやるぞ」
マダム「…。誰に?」

「あれだ」ジャンスは後ろのモニターを振り返った。

ジャンス「3番テーブル」

モニターにはミョンジェの姿が映し出されていた。
「!!!」マンガンが飛び上がる。

マンガン「お前ら頭おかしいのか!!!」

マンガン「あの人は全国級暴力団のボスだぞ!」
ジャンス「(ニコニコ)」
マンガン「あの人の前でブラックを使ってバレでもしたら、その場で死んじまうかもしれないぞ!」
ジャンス「話は最後まで聞かなきゃ。こんな難しいことをタダで頼むわけないだろ」
マンガン「…。」
ジャンス「俺たちの言う通りにしてくれたら、ここに上客を送り込んでやるよ」

「…。」マダムはじっとジャンスを見つめた。

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。

前半を簡単に整理すると…

1.シネは「ドンスの父と親しかった同僚の家」を訪ねたけれど、そこがヨンダルと親しいジョンヒの家だとは知らない。同じくドンスも。
2.ヨンダルとジョンヒは小さい頃、ずっと一緒にいるほど仲良しだったけど、なぜかお互い全く覚えていない。
3.ヨンダルはペ主任がスパイだと知り、それを逆手に取ろうとしている。
4.ミョンジェを賭博で詐欺にかけ、身ぐるみ剥いでやろうと企んでいる様子。

ってところでしょうか。

ずっとモヤモヤしているのが何かと言うと、ヨンダルが何を目標にテジョンカジノで一生懸命働いてるのか、それがよく見えないところ。
彼はもともと復讐のためにこの計画を立てたんであり、「テジョンカジノを食っちまう」とドンスに話していましたが、最終的にこの会社をどうしたいのか、それがいまいちハッキリしないので、彼のビジネスをどう見ていいのかも分からない。
その辺がもう少し見えるといいんだけどなぁと思ってます。

今回の収穫はビョンテ君の消息がわかったことですね。
ではでは♪

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