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トライアングル15話あらすじ&日本語訳vol.2

   

ジェジュン、イ・ボムス、イム・シワン、ペク‥チニ出演「トライアングル」15話の後半に進みます。

+-+-+-+

「煩わしい女だ」ミン社長からの電話を切ると、コ・ボクテは携帯電話を乱暴に放り出した。

スチャン「ミン社長ですか?」
コ・ボクテ「あぁ。ムショにいるユ・チョリョン(ミン社長の夫)から伝言があるらしい」
スチャン「それでもユ・チョリョンを慕う人間は沢山います。お会いになったほうがいいでしょう」

+-+-+-+

226

約束の場所でコ・ボクテは一人、時計を覗いていた。

コ・ボクテ「なぜ来ないんだ?」

「おい!誰かいないか?」コ・ボクテがVIPルームの外へ声を掛けると、それを待っていたかのように扉が開いた。

入ってきたのは… ヨンダルだ。

コ・ボクテ「?!」
ヨンダル「…。」
コ・ボクテ「お前、どうした?」
ヨンダル「あんたにハッキリさせておくことがあってね」

コ・ボクテがゆっくりと立ち上がる。

コ・ボクテ「おい、ホ・ヨンダル。その言葉遣いは何だ?」
ヨンダル「罵倒したいのをギリギリ堪えてんだ。黙ってろ」
コ・ボクテ「!こいつ… 死にたいらしな。気でも狂ったか!」

「…。」ヨンダルはじっとコ・ボクテを見据えたまま、一歩ずつ近づく。

コ・ボクテ「ヨンダル、どうしたんだ?」
ヨンダル「あんたの前じゃ、俺はもうホ・ヨンダルじゃない。俺の名前はチャン・ドンチョルだ」
コ・ボクテ「突然何のことだ?」
ヨンダル「あんたが殺したチャン・ジョングク、俺の父さんだ」

「お前が殺そうとしたチャン・ドンスは!… 俺の兄だ」ヨンダルの目が怒りに燃え上がる。

227

コ・ボクテ「何をわけの分からんことを!ヨンダル、お前、何か誤解してるようだが、俺じゃないぞ。本当だ!」
ヨンダル「黙れ!この犬野郎!!!」
コ・ボクテ「…。」
ヨンダル「俺をホ・ヨンダルと呼ぶな!ホ・ヨンダルはお前のようなヤツに認めてもらおうとしたクズだ。お前の前じゃ俺はチャン・ジョングクの息子チャン・ドンチョルだ」」

ヨンダルはコ・ボクテの襟首を掴み、引き寄せた。

ヨンダル「チャン・ドンスの弟、チャン・ドンチョル!!!」

「こいつ!!!」コ・ボクテがテーブルの上のビール瓶を掴み、ヨンダルの頭に叩きつける。
激しい音と共に、ビール瓶は砕け散り、ヨンダルの額から血が流れた。

ヨンダル「…。」

228

ゆっくり顔を上げると、ヨンダルはコ・ボクテに殴りかかる。
肩を掴み、軽々と前に引きずり出すと、倒れたところを思い切り蹴りあげた。

#テーブルの向こうから一瞬で引っ張りだすのが鮮やかすぎる

ヨンダル「立て… 立て!この野郎!」

倒れているコ・ボクテの襟を掴み、もう一度引っ張りあげた。

コ・ボクテ「ヨンダル!俺じゃない!俺じゃない!!!」

訴えるコ・ボクテを殴りつけると、部屋の隅まで吹っ飛んだ。
倒れたところをまだ揺り起こし、さらに何度も殴る。
彼はもう止まらなかった。

そこへタク刑事たちが飛び込んでくると、急いでヨンダルを引き離した。

シネ「ヨンダルさん!」
ヨンダル「俺の手で殺してやる!俺が殺してやる!!!」
シネ「ヨンダルさん、落ち着いて!」

「ミン刑事、早く逮捕しろ」ヨンダルを抑えながらタク刑事が指示を出す。
ミン刑事がコ・ボクテに手錠を掛けた。

コ・ボクテ「何の真似だ!」
シネ「!」

コ・ボクテに歩み寄ったシネは、何も言わずコ・ボクテの頬に一発食らわせた。

シネ「チャン・ドンス殺人教唆罪で緊急逮捕よ」
コ・ボクテ「!」

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ヤン社長がチャンマダムのカジノをうろついていた。
バーカウンターでウィスキーを注文したところで、マンガンが隣に腰を下ろす。
二人の男の視線は、奥のテーブルで楽しそうにしているチャンマダムに向かった。

ヤン社長「なぁ、チャンマダムとよろしくやってる蛸入道は誰だ?」
マンガン「タ…!よそじゃ俺のことも蛸入道って言ってるんですか?」
ヤン社長「そんなわけないだろ。お前は可愛らしいタコ坊主だよ」
マンガン「…。」
ヤン社長「誰なんだよ?」
マンガン「ちょっと見りゃ分かるでしょ。(拳を出して)コレだよ」
ヤン社長「…。」

二人は再びチャンマダムに視線を向ける。
楽しそうに笑い声を上げるマダムの腰にその男、マンボンが手を回し、そばへ抱き寄せる。

「何やってんだ!」ヤン社長は思わず立ち上がり、マダムがいるテーブルにつかつかと歩み寄った。

ヤン社長「なぁ、チャンマダム」
マダム「あぁ、何です?」

229

#何て素晴らしい御体(ウットリ

ヤン社長はバッグの中から小さな箱を出す。

ヤン社長「チャンマダムに頼まれてたものだ。1.5カラットダイヤ」

箱の中からダイヤの指輪が顔を出した。
「これ本物?」マダムは指輪を手に取り、眺める。

ヤン社長「本物だよ。偽物で口説くわけないだろ」

「うわぁ♪ 最高!」マダムが顔を輝かせた。

マダム「いくらするんです?」
ヤン社長「1000万ウォン以上するがね、チャンマダムが優しくしてくれるならタダでもいいよ」

マダムがケラケラと笑う。
そこへ、じっと黙っていたマンボンが手を伸ばし、指輪を指した。

マンボン「その指輪、俺も見てみよう」
ヤン社長「!いや、何でです?」
マンボン「見ようと言ったら見るんだ。うるさいぞ」
マダム「…。」

マンボンの圧力に、ヤン社長は思わず指輪を彼に手渡した。
指輪を受け取り、それをじっと見つめると、マンボンはマダムの手を取り、薬指にはめた。

マンボン「贈り物だ」
マダム「わぁ!本当ですか?!ありがとうございますぅ!」

#何?コント?

ヤン社長「あの…代金を」
マンボン「優しくすればタダでやるんだろ?俺も優しくするから… タダでくださいよ^^」
ヤン社長「何をおっしゃるんです?」
マンボン「ジョークだよ、ジョーク!」

マンボンは満面の笑みでヤン社長を見上げる。

マンボン「ゲームで勝ったら払いますから、ちょっとお待ちくださいよ」
ヤン社長「いや、それは困りますよ」
マンボン「(ジロリ)本当に… 困るか?」
ヤン社長「(ギクリ)…。」

+-+-+-+

モニタールームにいるミン刑事とジンは緊張した様子で取り調べ室を見守っていた。
取り調べ室でコ・ボクテが待っていると、シネとタク刑事が入ってくる。

シネが正面に腰をおろし、タク刑事が立ったままコ・ボクテを見下ろした。

シネ「コ・デチョルを知っていますね」
コ・ボクテ「おい、俺が誰だか知ってるよな。俺はな、警察にも検察にも慣れっこなんだ。お互い知った仲なんだから気楽に行こうぜ」
シネ「…。」
コ・ボクテ「あんたたちが何をやろうと、俺の口はこうだ」

そう言って、コ・ボクテは口にチャックの仕草をして見せる。

シネ「何をやっても本当に口を閉じていられるか、試してみましょう」

「始めましょう」シネの合図に、タク刑事がモニタールームに視線を向ける。

タク刑事「カメラを止めろ」

「…。」溜息をつき、ジンがカメラのスイッチをオフにした。
モニターから一斉に映像が消える。

コ・ボクテ「…。」
シネ「…。」

立っているタク刑事がテーブルに手をつき、コ・ボクテの顔を覗く。

タク刑事「おい、コ・ボクテ。お前が俺たちをバカにしてるのはよく分かってる。完全にカモだったからな」
コ・ボクテ「…。」
タク刑事「だがな、カモがやけくそになるとどうなるか、一度見てもらおう」
コ・ボクテ「好きにやれ。一度や二度のことじゃないだろ」

「好きにやるさ、この犬野郎!」タク刑事の足がコ・ボクテを突き飛ばす。
床に転がり落ちたコ・ボクテをタク刑事は更に蹴り上げる。
シネは無表情のまま身動きもしない。

ガラスの向こうの惨状に、ミン刑事とジンは頭を抱えた。

タク刑事「これで辞職になったとしても絶対に後悔しないぞ!」
コ・ボクテ「…。」
タク刑事「お前が命乞いするまで殴ってやる!殴られたくなけりゃ助けてくれと言ってみろ!」

タク刑事はさらにコ・ボクテを殴り続けた。

シネ「…。」

+-+-+-+

オフィスへやって来たジュノは、誰も居ないのを確かめるとヤンハの部屋へ入った。
デスクの上のノートPCにUSBメモリを差し込むと、USBに保存されていたロック解除プログラムを起動させた。
プログラム用のパスワードを入れると、たちどころにロックが解除される。

230

※表示されているのは『2014経営管理資料』フォルダの中身。

ファイルをまとめて選択し、ドラッグ&ドロップすると、コピー中のプログレスバーが進み始めた。

ジュノ「…。」

「ジュノさん?」ふいに誰かの声がして、ジュノは驚いて顔を上げる。

ジュノ「!」

入ってきたのはユナだった。

ユナ「そこで何してるの?」
ジュノ「あぁ、ファイル保護プログラムをアップグレードするように本部長に言われたんだ」
ユナ「へぇ~、マメね」

簡単に信じたユナは応接ソファのテーブルの花を取り替え始める。
ジュノは再び視線をPCへ戻した。
ファイルのコピーが終わると、直ちに不要なウィンドウを消し、USBフォルダをそっと抜く。
「お疲れ」ジュノはなるべく自然に声を掛け、部屋を出た。

+-+-+-+

人通りのないホテル内の廊下にジュノがやってくる。
「先輩」ジュノは待っていたジェリーにUSBメモリを差し出した。

ジュノ「会社クビになったら、先輩がどうにかしてくれますよね?」
ジェリー「おい、クビになるわけないだろ!お前、来週の月曜日、新しい理事が来るって知らねーのか?」
ジュノ「聞きましたけど?」
ジェリー「その御方がお前の強力な後ろ盾になるから」

「心配すんな」そう言い放つジェリーにジュノは首を傾げる。

ジュノ「誰なんですか?」
ジェリー「後のお楽しみだ」

「お疲れ!」ジェリーは軽くジュノの肩を叩き、明るく去って行った。

+-+-+-+

ジェリーが持ち帰ったUSBメモリはジャンスの手に渡る。

ジャンス「よくやった」

ジャンスは受け取ったUSBメモリをバッグにしまった。

ジェリー「ヨンダル兄貴、連絡ついたのか?」
ジャンス「あぁ」
ジェリー「全く姿が見えないなんて、一体どこにいるんだ?」
ジャンス「ソウル。ヨンダルによくないことが起きたらしい」
ジェリー「何だよ、それ?」
ジャンス「詳しいことは俺にも分からない。俺たちも一度ソウルに行ったほうが良さそうだ」
ジェリー「ソウルに?」

+-+-+-+

「コ・ボクテが殺人教唆罪で緊急逮捕されました」キム専務の報告に、紅茶を飲んでいたユン会長は落ち着いていた。

ユン会長「そうか?誰に対する殺人教唆だ?」
キム専務「チャン・ドンスです」
ユン会長「…。チャン・ドンスはどうなった?」
キム専務「昏睡状態とのことですが、回復は難しいようです」
ユン会長「うむ。分かった。コ・ボクテ側の動きを随時報告しろ」
キム専務「はい」

キム専務が退室すると、ユン会長は少し考え、電話を手に取った。
「俺だ」電話を掛けた相手はヤンハだ。

ヤンハ(電話)「えぇ、父さん」
ユン会長(電話)「今週末、打ち合わせをするからソウルに来なさい。永宗島のことで大事な案件を片付ける」

+-+-+-+

「分かりました」ヤンハが電話を切ると、ノックの音が聞こえる。
ファランが入ってくると、言いづらそうに口を開いた。

ファラン「あの… オ・ジョンヒが出勤しませんでした」
ヤンハ「…。」
ファラン「私の方から連絡してみましょうか?」
ヤンハ「いいえ。構いません」

ヤンハは力なく俯いた。

ファラン「…。」

+-+-+-+

家に向かう坂道で、ジョンヒはヤンハの言葉が頭から離れずにいた。

「思春期に自分が養子だと知ってからは、いつか縁を切られるかもしれないと怯え続けました」
「僕がジョンヒさんを好きになったのは、ジョンヒさんならそんな僕の本心を話せると感じたからです」
「僕にも温かい眼差し… 温かい手を差し伸べてくれる人だと感じたから」

「どうか僕に背を向けないでください」ヤンハは消え入りそうな声でそう言ったのだ。
どうすればいいのか… ジョンヒは混乱していた。

「おぉ、ジョンヒ」そこへジャンスたちがやって来て声を掛ける。

ジョンヒ「何か用?」
ジャンス「ヨンダルの服を持って行こうと思ってな」
ジョンヒ「どうして?」
ジャンス「ソウルにいるんだけど、当分帰って来られそうにないらしい」
ジョンヒ「…。」

+-+-+-+

ヨンダルはミン社長とともにチャンボンに会っていた。
「テジョンカジノに出向くのを延期してほしい」ヨンダルはチャンボンに願い出る。

#律儀にホントに同じ服着てなくてもいいのにねぇ^^;

チャンボン「突然どういうことだ?」
ミン社長「チャン・ドンスに何かあったの?」
ヨンダル「今… 集中治療室にいます」

ミン社長が息を飲んだ。

ミン社長「どうして?何があったの?」
ヨンダル「コ・ボクテの仕業です」
ミン社長「こちらの計画を知られたの?」

「そうじゃないはずです」ヨンダルは静かに首を横に振る。
沈痛な沈黙が広がった。

チャンボン「分かった。延期しよう」

+-+-+-+

病院へ戻ってきたヨンダルはドンスのいる病室へと廊下を歩いていた。

「ヨンダルさん」不意に聞き慣れた声がして、ヨンダルは立ち止まる。

ヨンダル「?」

ジョンヒの声だ。

振り返るとジャンスたちが手を振った。ジョンヒも一緒だった。

ヨンダル「どうしてここに?!」
ジャンス「お前の服を取りに行ったらジョンヒに会ってさ」
ジョンヒ「一体どうしたんですか?ヨンダルさんがどうして病院に?」
ヨンダル「…。」

+-+-+-+

ヨンダルはジョンヒと共に病院の庭に出てきた。

ジョンヒ「集中治療室にいらっしゃる方…どなたなんですか?」
ヨンダル「兄です。俺の実の兄さん」
ジョンヒ「!… お兄さんが見つかったんですか?!」

ヨンダルは小さく頷く。

ヨンダル「けど、兄さんはまだ俺が弟だって知らないんです。知らないまま… もう目覚めないかもしれない」
ジョンヒ「…。」
ヨンダル「俺、もしかしたらジョンヒさんとの約束、守れないかもしれません」
ジョンヒ「!」
ヨンダル「恥ずかしい生き方はしない… ギャンブルに人生を賭けないって、そう言ったこと」
ジョンヒ「…。」
ヨンダル「俺が誰なのか、父さんがどうして亡くなったのか、兄さんがどうしてあんなになってしまったのか知っている以上、ジョンヒさんとの約束… 守る自信がないんです」

「今、何を考えてるんですか?」ジョンヒの不安が募る。

ヨンダル「8歳の時、清涼里駅で物乞いをしてました。世話人にピンはねされ、鞭で打たれて… 飢えてばかりいたけど、それよりずっと辛かったのは、いつも不安だったことでした」
ジョンヒ「…。」
ヨンダル「この世に自分を守ってくれる人が一人もいない… どうしようもない心細さに、いつも怯えてました」
ジョンヒ「…。」
ヨンダル「その不安を忘れようと、だんだんおかしなヤツになっていったんです。チンピラだクズだと言われたって恥だなんて思わない、そんな図々しい男になったのも、不安をかき消そうと足掻いてたからでした」
ジョンヒ「…。」
ヨンダル「そんな不安の底に陥れたのが誰なのか、やっとわかったんです。そいつらのことを考えるだけで、頭がどうにかなりそうだ…」
ジョンヒ「ヨンダルさんの心境は分かりました。だけど… 自分をダメにしてまで過去に拘らないで」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「不安だった過去より、私と共に過ごす未来だけ考えて欲しいんです」
ヨンダル「すみません。俺… あいつらのこと、絶対に許せません」
ジョンヒ「…。」

231

言葉を失うジョンヒに、ヨンダルは背を向けた。
ジョンヒの目から涙が溢れる。
ヨンダルの背中は全てを拒んでいるようで、彼女はそれ以上、彼を追うことは出来なかった。

+-+-+-+

ドンスに付き添うシネは、眠っている彼を見つめていた。
じっと座っていると、コ・ボクテの取り調べの様子が頭に浮かんでくる。

~~~~

「そのくらいでいいでしょう」コ・ボクテを執拗に蹴るタク刑事に、シネは感情のこもらない声を掛けた。
タク刑事は床にうずくまっているコ・ボクテの首根を掴んで立たせると、転がっていた椅子を起こし、乱暴に座らせる。

「コ・デチョルを知っていますね」シネは最初と全く同じ質問を淡々と繰り返した。
コ・ボクテがシネを睨み、バカにしたように笑う。

シネ「まだ取り調べに応じるつもりはないようね」

シネがチラリとタク刑事を見上げると、タク刑事がコ・ボクテの襟首を掴み、締めあげた。
「待ってくれ」コ・ボクテが辛うじて声を出す。

コ・ボクテ「話すからやめろ」

タク刑事が手を離す。シネはコ・ボクテが息を整えるのを、冷たく見つめた。

コ・ボクテ「コ・デチョルは俺の部下だった男だ。だが、それがどうした?!」

シネが身を乗り出した。

シネ「コ・デチョルがチャン・ドンスさんを襲いました。チャン・ドンスさんは現在昏睡状態で、回復は難しいかもしれないわ」
コ・ボクテ「…。」

232

二人の視線がまっすぐぶつかる。

シネ「あなたがやらせたのね」
コ・ボクテ「俺は自分の口で話すような馬鹿じゃない。そんなに訊きたいならコ・デチョル本人を連れて来ればいいだろ」

タク刑事が怒りを抑えるかのように天井を見上げた。

シネ「…。」
コ・ボクテ「だが、断言してやろう。あんたらが血眼になって探しても、コ・デチョルを連れては来られない」

コ・ボクテは不敵に笑った。

~~~~

「ドンスさん、そろそろ起きてよ」絶望で一杯になり、シネは思わず呟く。
その声はドンスに届かず、ただ彼女の目から涙が一筋こぼれ落ちた。

+-+-+-+

今日も元気が有り余っているマンボンがミン社長の事務所を訪ねて来た。

「姐さん!」扉を開け、ミン社長の後ろ姿に声を掛ける。

マンボン「お呼びだそうで」
ミン社長「えぇ。ちょっと座って」

マンボンはソファに腰を下ろした。

ヒョンタク「兄貴、コ・ボクテ会長が殺人教唆容疑で逮捕されましたよ」

「何?!」マンボンが身を乗り出す。

ミン社長「あんたがその気にさえなれば、コ・ボクテの管理下にある組織、この機会に全部手に入れられるわ」
マンボン「…。」

マンボンは飲み物に手を伸ばし、とりあえず気持ちを落ち着かせた。

マンボン「チョリョン兄貴もご存知で?」
ミン社長「うちの旦那に頼まれたのよ。マンボンに伝えてくれってね」

「どう?やってみる?」ミン社長が注意深くマンボンの反応を窺う。

マンボン「コ会長はそんな容易く倒れる人間じゃないけどなぁ」

+-+-+-+

主が不在となったスチャンは、ユン会長の元を訪れていた。

ユン会長「話は何だ?」
スチャン「コ・ボクテ会長から必ず伝えるようにと言われましたので」
ユン会長「何だ?それは」

スチャンは懐から携帯電話を出すと、テーブルに置く。
再生ボタンを押すと、音声が流れ始めた。

「昔、ドンジン炭座の時代、チャン・ジョングクが起こしたストライキは我が人生最大の危機だった。その危機を解決してくれたのは君だったな。今やチャン・ジョングクの息子が更なる危機を生んでいる」
「チャン・ドンスのことですか」
「今回も君に解決してほしい。これ以上は見ておられん」

ユン会長がコ・ボクテに対し、チャン・ドンスの始末を指示したやり取りだった。

ユン会長「これを何故私に聴かせた?」
スチャン「トラブルを収拾してほしいとのことです。そうでなければ、ユン会長も道連れにすると」
ユン会長「コ・ボクテにハッキリ伝えろ。無駄な行為はやめろとな。その程度の危機から一人で抜けられないヤツに何が出来る?私を道連れにしようとすれば、更に深い泥沼にはまるだけだ」
スチャン「…。」

揺るぎない音声証拠を突きつけられ、それでもビクともしないユン会長に、スチャンはあっという間に攻め手を失った。

+-+-+-+

ヤンハを呼び出したユン会長は、いつになく深刻な表情で口を開いた。

ユン会長「お前が気に入っているというのはオ・ジョンヒというディーラーか?」
ヤンハ「それをどうして?」
ユン会長「情けないヤツめ。よりによってそんな娘を…」
ヤンハ「父さんに見下されるような女性ではありません。軽々しくおっしゃらないでください」
ユン会長「それなら私にどうしてほしいんだ?父親は私の使っていた鉱夫だったんだ」
ヤンハ「…。」
ユン会長「大学も出ずにカジノのディーラにさえやっとなれた娘を、私にどう見ろと言うんだ?」
ヤンハ「そんなこと何の関係もないでしょう。僕が好きな女性です。僕に必要な女性なんです。僕にとって、それが一番大事な条件なんです」

ユン会長は静かに溜息をつく。

ユン会長「お前をなぜ我が息子にしたか、私の口からまた言って聞かせなきゃならないのか?」
ヤンハ「…。」
ユン会長「お前は息子である前に、テジョングループを譲り受ける後継者だ。そこに邪魔が入れば容赦なく排除するし、お前が受け入れられないと言うなら、お前を排除するしかない」
ヤンハ「…。」

言い知れない絶望と不安で、ヤンハがゴクリと喉を鳴らした。

233

#何て不憫なヤンハ。せめてジョンヒも彼のことが好きなら、財閥なんか放り出して迷わず二人で逃げるでしょうに…。

そこへ、若い娘を連れた男性が会長室へ入ってきた。
にこやかにユン会長と挨拶を交わし、二人はソファに腰を下ろす。
「ラスベガスで会って以来だから、2年ぶりですね」令嬢はヤンハに笑い掛けた。

+-+-+-+

「機嫌が悪いみたい」会長室を出て歩くヤンハを、先ほどの若い娘が追いかけてからかった。

ヤンハ「あぁ」
娘「どうして?」

ヤンハはうんざりして立ち止まる。

ヤンハ「何で今、君と一緒にいるのか理由が分からなくて」
娘「相変わらず性格が悪いんですね。その理由、私が作ってあげるから心配しないで」
ヤンハ「…。」

「コーヒーでも飲みに行きましょ♪」娘はヤンハを置いて歩き出した。

#私はヤンハに娘をあてがえとは言っていない。ヌナをあてがってくれと言ったはずだ

+-+-+-+

ヤンハとピルサンを従えたユン会長がテジョンカジノの大会議室へ入ってくる。
すでに揃っていた役員たちが一斉に立ち上がり、頭を下げた。

「連絡はあったか?」ユン会長の問いに、キム専務が頷いた。

キム専務「もうじき到着するようです」

ユン会長が腰を下ろすと全員が席についた。

+-+-+-+

秘書を従えて待っているチャンボンの前に、ヨンダルがやって来て頭を下げた。
渋いスーツに身を包み、前髪をスッキリ上げた彼の眼光は鋭い。

チャンボン「準備は出来たか?」
ヨンダル「はい」
チャンボン「では、行こう」

3人は歩き出した。

ホテルのエントランスを向こうから歩いてきたジョンヒは、ヨンダルの姿に気づいて足を止めた。

ジョンヒ「!」

目の前を通り過ぎて行くヨンダルの只ならぬ様子に、声を掛けることも出来ず、彼女は黙って見送る。
何かが始まろうとしていた。

+-+-+-+

ユン会長たちの待つ大会議室は静まり返っていた。

案内係が扉を開け、チャンボンが入ってくるのが見えると、ユン会長が笑顔で立ち上がる。
その後ろに控えるヨンダルの姿にヤンハが気づくまで、ほんの少しの時間も掛からなかった。

ヤンハ「!!!」

目を丸くし、ヤンハが思わず立ち上がる。
静かな空間で、二人の目が激しくぶつかった。

234

+-+-+-+

ここでエンディングです。

テジョンカジノに乗り込むのは延期したんじゃなかったの?とか、もういいです(爆)
迷走もここまで酷いと突っ込むのもアホらしい。

とにかく、ヨンダルのかっこよさったら!!!

今日はもうそれだけでお腹いっぱいなので、とりあえずいいです。
コ・ボクテにさっさと正体を明かしちゃうのも、普通なら何の芸もなくてつまらないけど、ヨンダルなら「ストレートでいい」と許せてしまう。
ヨンダウリに感謝なさい!

 - トライアングル ,

Comment

  1. さい より:

    おもしろい
    緑の字がおもしろいっ

    いつも読ませて頂いています
    本当に感謝しております
    ありがとうございます

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