韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

主君の太陽16話あらすじ&日本語訳 vol.2

   

ソ・ジソブ、コン・ヒョジン、ソ・イングク、キム・ユリ主演、「主君の太陽」16話後半です。

行く行かないの末に、彼女は行ったのか、
行かせる行かせないの末に、彼は行かせたのか、
さぁどっち?!そろそろ決めてちょーだい。

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では、どうぞ。

+-+-+-+

呼ばれてみると、副社長室で待っていたのはチュ君の叔母、一人だった。
テ嬢を向かいに座らせると、叔母は静かに口を開く。

叔母「暫くの間は口を出さないようにするわ。だから、離れるだの何だの、無駄に騒いでうちのチュンウォンの心をかき乱さないでちょうだい」
テ嬢「…。」
叔母「お互い死ぬほど愛し合っているのに、私が間に割り込んで余計に苦しめているようだから、もうそんなことはしないってことよ。甥はとことんまで行かずに目を覚ますだろうと信じてるから」
テ嬢「そんなことなさらないでください」
叔母「?」
テ嬢「切なくなるほど愛し抜く余裕なんてないんです、私」
叔母「…。」

そこへ、ふいにまた現れたウジンの霊が、窓辺に立ってテ嬢を見つめた。
テ嬢は悲しげな目でウジンを見つめ返す。
視線をウジンに向けたまま、テ嬢は言葉をつないだ。

テ嬢「私のこと不吉だっておっしゃいましたよね。…おっしゃるとおりです」
叔母「…。」
テ嬢「社長を死ぬ間際にまで引きずり込んでおいて…まだ見つめているんです、私。もうそんなことはやめなきゃ」
叔母「パンシル、あなた、今まで私がキツく当たったから恨んでいるの?私が悪かったって謝罪でもしないと気が済まないかしら?」
テ嬢「(首を横に振る)いいえ。それは社長をとても愛していらっしゃるからじゃないですか」
叔母「…。」
テ嬢「私の好きな人にとって大切な方なんです。すごく有り難いと思ってます」

叔母はゆっくりと身を乗り出した。

叔母「あなた、私を手玉に取ろうとしてるの?」
テ嬢「いいえ。言葉通りちゃんと去りますから」
叔母「…。」

頭を下げ、立ち上がったテ嬢は、まだそこに立っているウジンを見下ろした。
そのまま背を向けると部屋を出て行く。

叔母「…。」

+-+-+-+

キングダムの入口までやって来たテ嬢を、ジヌが迎えた。

ジヌ「随分、頭が複雑になったようだね」
テ嬢「…えぇ。(溜め息)みんな私のことが理解できないから、ただの高飛車だと思ってるみたい」
ジヌ「…。」
テ嬢「社長みたいな人が私なんかを引き止めたのに、それでも去るっていうから不思議なんでしょうね」
ジヌ「それなら、このまま彼の元に残って、お互いに耐えて耐えて…耐え抜いてみる?」
テ嬢「…。」
ジヌ「彼はその覚悟ができてるみたいだ」

テ嬢は首を横に振り、俯いた。

テ嬢「それはできないわ。私、本当にやっとのことで去る決心をしたんです」
ジヌ「…。」
テ嬢「彼にもう会えなくなると思っただけでも、(胸を押さえ)ここに穴が開くような気がして」
ジヌ「…。」

ジヌはテ嬢のそばにじっと立っているウジンに視線を移した。

ジヌ「この子、君について来たの?」
テ嬢「ウジンっていう子なんですけど、お母さんのことが心配でずっと私について来るんです」
ジヌ「この子の話は聞いてあげないつもり?」
テ嬢「聞きません。この間もこの子について行って、彼は死にかけたんですから。私、二度とそんなことしたくなくて、あなたについて行くことにしたんです」
ジヌ「僕は明日空港で待ってるよ。来るかどうか、それはコンシル、君が決めるんだ」
テ嬢「…。」

テ嬢はじっと彼女を見上げているウジンにもう一度視線を戻す。
そして、逃げ出すように足早にその場を離れた。

彼女を見送り、ジヌはウジンの前に腰を下ろす。

ジヌ「コンシルの悩みの出発点は、ウジン、君だったんだな」
ウジン「…。」
ジヌ「最後の選択も、君のためにすることになりそうだ」

+-+-+-+

病室の扉が開き、ぬぅっと伸びた手が持って来た焼酎を振ってみせる。
続いてひょこっと顔を覗かせたのはカン・ウだ。

カン・ウ「?」

イリョンは奥のベッドでスヤスヤと眠っていた。
「なんだ」と拍子抜けした様子で部屋に入るカン・ウ。

カン・ウ「寝てるな。芝居を打った後は今すぐ差し入れに来いって脅しておいて、ホントに寝てるのか?」

ぐっすり眠っているイリョンの寝顔にふっと笑ったカン・ウは、枕元に置いてあった冊子に気づき、手を伸ばした。
映画のシナリオのようだ。

カン・ウ「かなり有名な監督の作品だったのに、本当に逃してもいいのか…?」

カン・ウはシナリオを置くと、ベッドの端に手をつき、彼女の寝顔を覗きこんだ。

カン・ウ「こんなふうに寝てるってことは、大丈夫なんだろうな」

そのとき、パッと目を開けたイリョンは一瞬のうちに起き上がり、一直線に彼めがけて唇を合わせた。

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チュッと小さな音を立てると、そのまま布団に潜り込む。
「キャハッ♪」布団の中で、彼女は嬉しそうに笑った。

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カン・ウ「何だ?!お前、今俺にテロ起こしたのか?!」
イリョン「(布団に隠れて)♪♪♪」
カン・ウ「奇襲攻撃には驚いたけど、やられる覚悟で来たから腹は立たないな」
イリョン「(隠れたまま)!」
カン・ウ「けどお前、ホントにこの程度でいいのか?」
イリョン「!!」
カン・ウ「黒ひげクジラなんだから、もうちょっと過激にやられる覚悟で来たんだけどな」
イリョン「…。」
カン・ウ「この程度にあっさり終わらせてくれて、ありがとうな」

「何?!」とうとう我慢できず、イリョンが飛び起きた。

イリョン「もっとディープにやられても、ホントに怒らない?」
カン・ウ「(笑顔)あぁ、怒らなかったぞ。世界的な映画も放棄して掴んだチャンスなのに…可哀想にな」

笑顔で出口へ向かうカン・ウをイリョンは慌てて捕まえた。

イリョン「カン・ウ!さっきのは無効!」
カン・ウ「…。」

イリョンはワクワクしながらカン・ウの頬を両手でしっかり固定する。

カン・ウ「…。」
イリョン「もう一回ちゃんとやるから」

踵を上げ、顔を近づけようとした彼女の腕を、カン・ウはさっと払いのけた。

#払いのけ方もちゃんと武闘家式。

カン・ウ「外に記者がいる」
イリョン「…。」
カン・ウ「出て来ちゃだめだぞ^^」

イリョンの両肩を優しく叩くと、カン・ウは病室を出て行った。

イリョン「はぁあーーーっ!勿体ない!ガバっと押し倒すんだった!」

+-+-+-+

テ嬢は家の前へ帰ってくると、そこで立ち止まった。
チュ君が縁台に腰掛け、じっと考え込んでいる。

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その物憂げな表情に、彼女は言葉を失った。
深い溜め息をつくと、彼の前に進み出る。

チュ君「もう一度合意し直そうと整理していたら、すごく無念なことを発見した。考えれば考えるほどあり得ない」
テ嬢「(微笑む)何がですか?」
チュ君「俺とお前、代わる代わる終わりについて話して来ただろ。実は俺たち、まだスタートを切ったこともないのに」

「確かに」というようにテ嬢も頷いた。

チュ君「幽霊のことを除けば、食事をしたことだって、まともに手を握ったことだって一度もない。始まってもいないのに終わりの話をするのは馬鹿げてないか?」
テ嬢「(笑う)馬鹿げてますね」
チュ君「…。」
テ嬢「セクハラで訴えられるほど社長のことをつついたり触ったり掴んだりしたのに、ただ好きで掴んだことって一度もないわ」

チュ君は彼女に手を差し出した。

チュ君「掴んでみろ」
テ嬢「…。」
チュ君「行くの行かないの、そんなものはほっぽって、手を握って食事でもしに行こう」

彼女の手が戸惑うようにじりじりと動く。
ためらいながらも、彼女は彼の手をそっと取った。

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テ嬢「変だわ」
チュ君「?」
テ嬢「幽霊を抜きにしたら、社長の手を初めて握った気がする」
チュ君「ほらみろ。手も握らずに終わらせるのは無念だろ?」
テ嬢「せっかく繋いだんだから、食事の一つでもしましょ。私、着替えてきますね」

家に入ろうとしたテ嬢の手を、チュ君はギュッと握りしめて引き止めた。

チュ君「急いでな」

彼女が笑いかけると、今度は安心して手を離す。

+-+-+-+

彼女がチュ君とやって来たのはうどん屋だった。
二人の前に温かいうどんが運ばれてくる。

テ嬢「私が一番好きなうどん屋さんなんです。この辺ではここが一番美味しいいんですよ。私、うどんが好きで一週間に5回は食べるんですから」
チュ君「テ・ゴンシルがうどんが好きだってことも、今日初めて知ったな」
テ嬢「社長も好きなんですか?」

チュ君は顔をしかめて首を横に振った。

チュ君「俺は熱い水に入ってるこの太い麺が嫌いだ。サッパリして細い冷麺が好きなんだ」
テ嬢「ふーん。社長は冷麺が好きなんだ…」
チュ君「だからって冷麺なら何でも好きだってわけじゃない。唯一通ってる韓食堂のメニューの3番だけだ」
テ嬢「…。」
チュ君「けど、そこの店主のお婆さんが亡くなって、味が変わった。それで冷麺もやめたんだ」
テ嬢「そうなんですか?前から分かってたら、その冷麺屋さんに行ったのに。亡くなったお婆さんがまだいらっしゃったら、どうして味が変わったのか調べられるんじゃないかな」
チュ君「…お前がこのまま去ってしまえば、やめていた冷麺をまた食べる機会も消えるんだ」
テ嬢「…。」
チュ君「…それも無念だ」

#あのー お二人さん。そろそろ「うどんが伸びるよー」という心配の声が日本から一斉に飛びまくってる頃ですよ。

テ嬢「その冷麺屋さん、どこですか?発つ前に一度行ってみます」
チュ君「捨てて行くくせに、気を遣う振りするな」
テ嬢「…。」
チュ君「太い麺がもっと太くなる前に、さっさと食べろ。美味しく食べて、後々うどんを思い出して苦しむようにな」

箸を手に取り、うどんをすするチュ君。
テ嬢はその横顔をじっと見つめた。

+-+-+-+

公園はいつの間にかすっかり秋の色が濃くなっていた。
二人は手をつなぎ、小麦色に輝く自然の中を歩く。

テ嬢「ここにはときどき運動しに来てるんです。前は運動がすごく得意でね、テニスをよくやったんです」
チュ君「俺はテニスの他にも乗馬、ゴルフ、水泳、射撃、みんな得意だ」
テ嬢「へぇ。社長は本が読めなかったから、スポーツを一生懸命やったんでしょうね。私はあまり外に出られなくて、本ばかり読んでたけど」
チュ君「無念だな。お前の読んだ本を薦めてくれて、俺は自分の得意なスポーツを教えてやりながら暮らせるのに」

#無念だらけで笑えてきた…。

チュ君「お前、持ちつ持たれつっていう一番建設的なシステムをぶち壊して行くんだ」
テ嬢「ふふっ、そうですね。私、乗馬もゴルフも全部習いたかったのに」
チュ君「俺は馬も持ってるし、ゴルフ場もプールもテニスコートも全部持ってるぞ。複合レジャータウンの生涯会員権そのものだ」
テ嬢「(感激)馬もいるんですか?!…私、馬のお化け見たことあるんだけど」
チュ君「そんなの乗れないだろ。俺のは利用可能だ」

楽しいのか無念なのかさっぱりわからない会話を繰り返しながら、二人はゆっくりと夕日に向かって歩いた。

川の畔にやってくると、テ嬢は誰も座っていないベンチを指さした。

テ嬢「あそこにね、デート中の恋人を邪魔するおばさんがいるんですよ。あそこに座るでしょ。そしたらみんな別れちゃうの」

そこへカップルがやって来て、まさにそのベンチに座ろうとすると、テ嬢は思わず声を掛けようとした。
せっかくの自分たちの時間を、また幽霊退治に使う訳にはいかない。
チュ君はすかさずテ嬢の手を引っ張った。

テ嬢「放っておいたら別れちゃうじゃないですか!」
チュ君「好きにさせろ。こっちこそ別れそうなのに、他人がうまくいくのを見てられるか」
テ嬢「…。」
チュ君「行くぞ」

彼はテ嬢の手を引き、歩き出した。

+-+-+-+

見晴らしのいい芝生の上で、一組のミュージシャンが演奏を始めた。
優しいギターのアルペジオに爽やかなヴォーカルが寄り添う。
歌に聴き入るテ嬢の肩を抱き、チュ君はそっと彼女の横顔を見つめた。


愛という理由に 白んでいく幾つもの夜
今は遠く 記憶の中に埋もれ
ともに交わしたたくさんの話が胸に残り
今はまた 思い出の微笑みだけが私に残っている

チュ君「テ・ゴンシル…」
テ嬢「…。」
チュ君「…行くな」


私の涙が あなたの後ろ姿いっぱいに満ちたとしても
私はあなたの元を離れられそうにない…

肩をしっかり抱いた彼の手に…
彼女はそっと自分の手を重ねた。
言葉はない。
彼女の目に涙が滲み、零れ落ちた。

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愛という理由に たくさんの日々を紡ぎ
いつかは…

+-+-+-+

カン・ウはキム室長を訪ねていた。

キム室長「テ嬢は自分自身のために発つんだと言ってました。だから主君も、闇雲に行くなと引き止めることは出来ないでしょう」
カン・ウ「僕がテ・ゴンシルさんにしてあげられないことを、チュ・ジュンウォン社長はしてあげられると思ったんです。だから、僕は一歩下がってただ見守っていたんです」
キム室長「(頷く)」
カン・ウ「でも、本当にテ・ゴンシルさんが恐れているのが自分自身だとしたら、チュ・ジュンウォン社長も僕と同じように見守り、待つことしか出来ないでしょうね」
キム室長「主君は一度も他人の決めたことをそのまま受け入れたことのない人です」
カン・ウ「…。」
キム室長「テ嬢が決めたことを理解し、配慮して、受け入れてあげられるかどうか…。それは分かりませんね」

#ひたすら相手の意見に頷き合う二人。お互いチュ君たちのことを思い、心配している同士、信頼感が感じられて、いいですね^^

+-+-+-+

軽口くんにまんまと引っ掛かったテ嬢姉は、昼間から一杯やられずにはいられない。

テ嬢姉「あいつが軽口だとも知らずに…。砂肝も牛モツも一緒に食べに行っちゃった」

もう一杯注ごうとすると、誰かが後ろからやって来てグラスを奪い、代わりに飲み干した。
軽口本人だ。

姉「ちょっと、軽口!これは私の酒よ!あんたのその軽口に入れるために注いだんじゃないんだから!」

軽口は何も言わず、空になったグラスに二杯目を注ぐと、それも一気に飲み干す。

姉「何で黙ってるの?何とか言ってみなさいよ」
軽口「…。」
姉「あんたのその軽口、ベラベラ喋る以外に使いみちないでしょ?ちょっと!」

意を決した軽口は、その口を思い切って彼女の唇に押し当てた。

姉「!!!」
ハンジュ「…。」
姉「ちょっと…。ちょっと…。あんた今、その軽口で何したの?」
ハンジュ「…僕の口はもう、これ以外に申し開きをする方法はありません」

唖然としている彼女の前で、ハンジュはまたグラスに酒を注いだ。

姉「申し開きが……短いわね」
ハンジュ「(嬉)それじゃ、もうちょっと長く申し開きしてみましょうか?」
姉「(咳払い)」
ハンジュ「(ワクワク)」
姉「とりあえず、あんただけシラフじゃ困るから飲みなさい」

頷き、ハンジュは男らしくまた一杯飲み干した。

ハンジュ「(バーテンダーに)もう一本下ろしてください」

どんどんグラスを開けるハンジュを、彼女はじっと見つめた。

#あのー、エロいんですけど、この二人…。

+-+-+-+

チュ君とテ嬢は彼の車に乗っていた。

チュ君「お前のコシテルの屋上、すごく気に入った。お前がどうしてあそこが一番気楽だって言ったのか分かる気がする。座ってビールを飲むのに打ってつけだ」
テ嬢「…。」
チュ君「お前の冷蔵庫いっぱいにビールを入れておいて、一日に一本ずつ飲みたいんだ」
テ嬢「…。」
チュ君「テ・ゴンシル、ビールを何本か買って入れておくか?」
テ嬢「…。」
チュ君「(まだ頑張る)今夜飲む1缶だけでもいいし、好きなだけ買って全部詰め込んだっていい」
テ嬢「んーーー。とりあえず、1パック」
チュ君「…6本!」
テ嬢「(ニッコリ)社長の手を握って私も一杯飲みますね。6本なら今夜中に全部飲むかもしれないし、残ったらまた今度」
チュ君「OK。1パック、何か特別好きな物は…(考え直し)俺が適当に選ぶさ」

チュ君は彼女を助手席に残し、車を降りて行った。

テ嬢「…まぁ、1パックだけ飲んでみよう。このまま行っちゃったら無念すぎるわ」

+-+-+-+

チュ君は一人でやって来たビールのおつかいも愉しげだ。
6本1パックのビールを掴むと、「1パック!6本!」と唱えてみる。

チュ君「これくらいの時間は稼げたな」

#いじらしすぎて茫然…

+-+-+-+

彼が買い物に出ている間、テ嬢はバックミラーの角度を変え、自分の顔を映した。
髪を整え、ふと外を見ると、そこにウジンが立っている。

ウジン「お姉ちゃん、お母さんを助けて」

「嫌よ!」彼女は首を横に振り、顔を覆った。

テ嬢「私、見ないから!」

しばらく待って顔を上げると、今度は運転席にウジンが座っている。

ウジン「お姉ちゃん!助けてください!」
テ嬢「…。」

テ嬢は店の中の様子をそっと覗った。
彼が自分のためにビールを買い、レジでお金を払っているのが見える。

テ嬢「…。」

彼女は苦しそうにもう一度ウジンを振り返った。

テ嬢「私、行かないわ。あっちへ行って。私は行かないってば!」

+-+-+-+

チュ君がビールを抱えて店から出て来た。

#↑ここで耐えられなくなって一旦止め、しばらく頭を抱えました…。はぁ…

車の中に…テ嬢の姿はなかった。

チュ君「どこ行ったんだ?」

あたりをキョロキョロ見回し、彼は電話を手に取る。

+-+-+-+

テ嬢はタクシーを飛ばしていた。
隣に座るウジンをそっと見つめるテ嬢。
手に持った携帯は、チュ君からの着信を告げていた。

+-+-+-+

「何で電話にも出ないんだ?!」

ふいに消えてしまった彼女に、チュ君の焦りは募った。

+-+-+-+

「お嬢さん、電話に出ないんですか?」

運転手が不思議そうに声を掛けると、テ嬢は携帯の電源を切る。
車の中に静寂が戻った。

+-+-+-+

電話が切れると、チュ君の頭の中にカン・ウの言葉が蘇った。

「もしかしたらと思い、鞄の中に発信機を入れておきました」

チュ君「!」

彼はビールを起き、車の中に潜り込むと受信機を探す。
あった!
スイッチを入れると、すぐに地図が映しだされた。

+-+-+-+

「ここで停めてください!」

テ嬢はタクシーを停め、そこに降り立った。
大きな歩道橋の真ん中に、立っている人影が見える。
入院着のまま、ウジンの母親が歩道橋の手すりに手を掛けようとしていた。

テ嬢「!!!」

テ嬢は慌てて駈け出した。

ウジン母「ウジン…。お母さんも一緒に行くね」

彼女の様子を見ながら、テ嬢が急いで階段を駆け上がる。
ウジンの母は目をぎゅっと閉じると、柵を登った。

「駄目ーーー!」

…危ういところで、テ嬢は飛び降りようとする彼女を抱きとめた。

テ嬢「駄目ですよ!!!やめてください!!!」

ようやく彼女を柵から引き離し、地面に倒れ込んだところへ、追って来たチュ君が駆けつけた。
それでも柵に手を伸ばそうとするウジンの母を、テ嬢は辛抱強く抱きしめる。

ウジン母「ウジン!!!」
テ嬢「駄目です!危ないわ!!!」

テ嬢の姿を見つめ、チュ君は小さく溜め息をついた。

テ嬢「大丈夫ですよ…!」

+-+-+-+

病院に戻されたウジンの母は、鎮静剤を打って眠っていた。
ベッドのそばにじっと立っているウジン。
彼の目から涙が零れ落ちる。

テ嬢は二人の様子を病室の入口でじっと見つめていた。
彼女のそばにチュ君がやってくる。

テ嬢「…あそこにウジンがいるんです」
チュ君「…。」
テ嬢「お母さんが危ないって、助けてくれって…私に会いに来たんです」
チュ君「…。」
テ嬢「あの子について行って、あなたがは死にかけたのに…私、またあの子について来たんです」
チュ君「…。」
テ嬢「私が助けたところで、あのお母さんはまた死のうとするかもしれないわ」
チュ君「それはあの人の人生だ。お前がどうやって全部耐えるんだ」
テ嬢「(溜め息)私、このまま見聞きしていたらずっと振り回されるわ。すごく嫌だけど、それが私なんです」
チュ君「…。」
テ嬢「私だって自分に耐えられないのに、あなたにどうやって耐えられるの?」

彼女は手で顔を覆い、涙を流した。

チュ君「…。」

彼は泣いている彼女をそっと抱き寄せる。
彼の腕の中で、彼女は声を上げて泣いた。

+-+-+-+

二人は病室のそばの椅子に並んで座っていた。

チュ君「あの人について行けば、見たくないものを見なくて済むようになるのか?」
テ嬢「分かりません。それでも、どうしてこうなったのか分かるんじゃないかしら」

チュ君はじっと前を見据えたまま、淡々と口を開いた。

チュ君「…お前が出した結論、受け入れてやる」
テ嬢「…。」

二人の目が合った。

チュ君「さぁ、ここで終わりだ」
テ嬢「…。」

彼はしっかり握って膝の上に置いていた彼女の手を、静かに彼女の方へ戻し、離した。
そして潔く立ち上がる。

チュ君「テ・ゴンシル、俺とお前は手を一度握って、食事を一度した仲だ。簡単に忘れられる関係ってことだ」
テ嬢「…。」
チュ君「俺は、お前を…忘れる」
テ嬢「…分かりました。私が憎ければ、たぶらかして行った最低女だと罵ってください」
チュ君「結構だ。手を一度握って、食事を一度しただけの女を罵ったりするもんか」

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テ嬢は今にも泣き出しそうな大きな瞳で、じっと彼を見上げた。

チュ君「じゃあな」

彼は去った。
彼女を残し…。

彼女の目から涙が溢れだした。

+-+-+-+

ひとしきり歩いた人気のない廊下で、彼は足を止める。
途方もない喪失感に体中の力が抜けてしまったように感じられた。

1772

チュ君「最後まで… 愛してるとは絶対言わないんだな…」

ぐったりした体を預けるように壁にもたれかかると、彼は目を押さえた。
涙を拭うと、気持ちを振り切るようにまた歩き出す。
足早に、彼は暗い廊下の向こうへと消えて行った。

:::*:::*:::*:::*:::*:::*:::*:::*:::*:::*:::*:::

柔らかい光が窓から差し込む。

ベッドの上で、チュ君はふっと目を開けた。
窓に向かって目を細めると、彼はもう一度目を閉じる。

チュ君「太陽が消えてから375日。俺は滅亡しなかった」

毎朝、こうやって目が覚めるたびに滅亡していないことを確かめていたのだろうか。
彼は今朝も元気に起き上がると、一日のスタートを切った。

出勤した彼を、キム室長とアン代理が並んで出迎える。

チュ君「準備は出来ていますね?」
キム室長「はい」

さっそく会議が始まった。

チュ君「ジャイアントモールとの年末セール競争でも、必ず勝たねばなりません」
副社長「年末特別企画展を大々的に準備しているところです」
チュ君「今シーズンが終わったら、僕は上海へ行きます。それまでに確実に!ジャイアントモールとの格差を(両手を一杯に広げ)これくらい拡げてください」
副社長「(皆に)どれくらいです?」

皆が一斉に手を広げた。「これくらいです!」

チュ君「もっと大きく!これくらいですよ!!!」

+-+-+-+

副社長室。

叔母「来年からチュンウォンが上海に行ったら、あなたは社長職を任されることになるでしょうね」
副社長「(ご機嫌)あぁ、ドキドキするな」
叔母「上海に出るまでに、何としても結婚させなきゃいけないのに」
副社長「?」
叔母「最近、セジンとのミーティングで、パク・ソヨン嬢とよく会ってるんでしょう?どうなんです?」
副社長「まぁ、お互い金の話に熱中してますね。恋愛の方は望みなしですよ」
叔母「ミーティングが終わったら、あなたが席でも用意なさいよ。出来るでしょ?」
副社長「あぁ、えぇ。分かりましたよ。だけど…僕が見るにはね」
叔母「?」
副社長「チュ社長、待っているようですよ」
叔母「チュンウォンが誰かを待つなんてあり得るの?!」
副社長「…。」
叔母「あの子が望んでみなさい。月まで女性を並ばせてやるわよ!それなのに、パンシル?!あの子が星の王女か何かだとでも言うの?」
副社長「…。」
叔母「どうして待つのよ!」
副社長「いや、まぁ…」
叔母「…。」

+-+-+-+

チュ君は、ゴミ箱おじさんのベンチに腰掛けていた。

チュ君「太陽がまた昇るのを待っているんです。また昇ると希望が持てるように、パン!と1度回してください」

ゴミ箱の蓋がカン!と音を立て、クルリと回った。
ゆらゆらと揺れる蓋を静かに見つめ、チュ君は微笑んだ。

チュ君「ありがとう。おじさんが一度ずつパン!と回してくれるのが…僕の救いになります」

彼は誰もいないベンチの隣を優しくトントンと叩いた。

+-+-+-+

秘書室に少々具合が悪そうにキム室長が戻ってきた。

室長「アン代理、今日のセジンとのミーティング会場、パレスホテルだと知らせたか?」
アン代理「はい。セジン側にも午前中に確認しました」
室長「参ったな。社長の動線に合わせてキングダムホテルを取るべきだった。失敗したな」

そう言ってキム室長が咳き込んだ。

#室長の咳は今回も良いことの兆しですね?♪

アン代理「そのミーティング、私がついて行かなきゃいけないのに、時間が空いたら社長がすごく怒るわ…」
室長「私がしくじったんだから、私からちゃんとお話しておきますよ」
アン代理「…。」
室長「勘違いしちゃったな。はぁ、幽霊にたぶらかされたかな?」

+-+-+-+

「約束の時間より早く到着しすぎたじゃないか」

ミーティング会場に入って来たチュ君は、アン代理に背を向けたまま冷たく言い放った。

アン代理「…。」
チュ君「キム室長がこんな失敗をするはずがないのに、そこまで具合が悪いのか?」

彼は秘書たちを下がらせると、キム室長に電話を掛けた。

チュ君(電話)「キム室長、病院へ行かれましたか?風邪でも大事を取らないと駄目でしょう!何日か休んでください」

1774

話している彼の後ろで、ガラスの扉の向こうを女性が歩いてきて、席に着く。
みたことのある横顔だ。

+-+-+-+

テ嬢は席に着くと、テーブルのワインをグラスに注いだ。
シンプルな黒い服に身を包んだ彼女は、肌に艶があり、とても美しく感じられた。
グラスに注がれるワインの音が心地よく、彼女は寛いだ様子でそれを眺める。

+-+-+-+

言うことを聞かない困った室長に、チュ君の声がだんだん高くなっていた。

チュ君「僕に風邪が伝染るでしょう!主治医を向かわせるから、そこで身動きせずに待っててください。食事は?…お好きな鮪粥を届けさせますから。アイスクリームは駄目ですって!!!切りますよ」

電話を切ると、チュ君は部屋の奥へ消えて行った。

+-+-+-+

テ嬢の座るテーブルに男性が現れ、彼女に声を掛けた。

テ嬢「?」
男性「さっきから見ていたんです。もしよろしければ一緒に一杯いかがです?」
テ嬢「いえ、私、連れがいるので」
男性「ずっとお一人でしたけど?」
テ嬢「…。」

困った様子の彼女はちょうど通りかかった店員に席の変更を頼んだ。

テラス席にやって来た彼女は、気持よさそうに風に吹かれ、夜景を見渡した。

テ嬢「変わって良くなったわ。ソウルの夜景、こんなに綺麗だったかな?」

そこへ、後ろに立っていた人物が声を掛ける。

「そこのお嬢さん、俺と一緒に一杯やるか?」

彼女は溜息をつき、振り返りもせずに口を開いた。

テ嬢「結構です。…行ってください」

「俺の知っている人にそっくりなんだ」

テ嬢「結構だって言ってるんです」

 

…それでもチュ君は、彼女の背中に言葉を続けた。

チュ君「本当に… 俺のこと見ないのか?」
テ嬢「私、連れがいるんです」

チュ君はそっぽを向いている彼女の隣に立った。

チュ君「誰だ?幽霊か?」
テ嬢「?」

#もう言っていいですか?「声ですぐ気付けよ」

テ嬢がゆっくりと振り返る。
二人の目と目が静かに合った。

テ嬢「!」
チュ君「…。やはりテ・ゴンシルだ。俺をたぶらかして行った、最低女」

1773

+-+-+-+

ここでエンディングです。

現在、最終話放送が終わった直後の深夜12時過ぎ。
もう観終わった方も大勢いらっしゃるのにアレですが、私、まだヒジュ事件に納得行ってないんですがー。
女子一人で二人も誘拐して、まんまと成功するとかあり得ん!プン
ハンナの代わりにイギリスへ行って誰にもバレないとかあり得ん!プンプン

 - 主君の太陽 ,