韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

引っ越し作業中です

2weeks(イ・ジュンギ)14話あらすじ&シーン対訳or日本語訳

   

これほど濃い2週間があるだろうかと、自分の今日までの2週間の生活を振り返って激しく落ち込む生活改善啓発ドラマ。
Two Weeks14話です。

さきほど14話を観終わって、随分長い間放心状態になってました。
そのうちの何割かは「さて、自分マトモに訳せるんだろうか」という無力感ですが(笑)

1698

頭の整理をしつつ、頑張ります。
ではでは

+-+-+-+

キムの指示通り、春川に向かいながら、テサンは考えを巡らせていた。

テサン(心の声):
映像電話で俺の行動を縛っているのに、なぜ30分与えたんだ?
車のナンバーまで予め教えるとは。
スジンがいるから闇雲にイネのところへは行けないと知っているのに。
パク検事やイム刑事に電話すると思ってないのか?
俺の連絡先はイネの携帯にもあるはずだし…。

そのとき、「経路を外れました」というナビのアナウンスに焦るテサン。
経路を外れればイネを殺すと言われているのだ。
通話状態のままの携帯に向かって叫ぶが、何の反応もない。

テサン(心の声):
ムン・イルソク、イム・ヒョンジン、ファン・テジュンは何をしてる?
なぜこいつ1人で俺の相手をさせるんだ?

~~ムン・イルソクは側近を集めて立てていた作戦は…

イルソク:
ソ・イネを捕まえて、病院から刑事を追い出す。
パク・チェギョンが連絡を受けて、刑事たちを駆り出す時間を30分作るんだ。
テジュンは(ナムヒョンジュ?)へ行って、先に穴を掘っておけ。
イム室長は俺と第二段階の準備をする。

イム室長:
パク刑事を誘い出す場所は春川にしましょう。

テジュン:
けど、春川まで行くとき、やつが(ナムヒョンジュ)までついて来たらどうします?

イム室長:
映像電話に切り替えて娘の話をすれば、自分から追跡をやめるでしょう。

~~

運転しながらもテサンは葛藤していた。
電話を切ることは出来ないから、誰にも連絡をすることは出来ない。
そして、記憶はスジンのために使え、絶対に来るなと言ったイネ。

「スジン!」

テサンは思い切りハンドルを切った。

+-+-+-+

ずっと話し中のテサンに、自宅を出られないチェギョンは焦りを募らせていた。
ハッと気づいた彼女は、ちょうどオフィステルに来ていた出前持ちに金を握らせ、バイクや服装一式を借り、監視の目を欺いて出発した。

+-+-+-+

ムン・イルソクと一緒に下へ降りるエレベーターに乗っていたスジンは、
お父さんの言葉を思い出していた。

「手術の日に行くよ。それまでは行けないんだ」
「放射線治療のとき、絶対にお母さんと行かなきゃダメだぞ」
「もうこっそり会いに行ったりはしないから」
「26日、そのとき会おうな」

エレベーターが下の階に到着する。
わざとサンダルを一つ下へ落としたスジンは、イルソクがそれを拾いに戻った隙に、開いているエレベーターに駆け込んだ。

イルソク:
!!!

スジン:
お父さんが来るまで待ちますから!

慌てたイルソクは、それでもイム室長の注意を反芻する。

「面会時間、回診時間、警備員の巡回時間を避け、最大で20分を超えてはなりません」

病棟へ戻ってきたスジンは、無菌室に入り、棚の影に隠れた。
すぐにイルソクが追ってくる。

イム室長(声):
長時間外に出ていれば感染する危険が大きくなります。
そのまま生命の危険に繋がります。

イルソクの動きを見ながら、スジンはうまく移動して彼の目を避けた。

イム室長(声)
4階小児科病棟の造血母細胞移植室は6つ。患者は4名です。
6歳から10歳までの子どもたちで、保護者は全員後援説明会に出席させてあります。

スジンはナースセンターの壁際に備え付けてある棚の中に隠れた。
薄型の棚で、小さなスジンが隠れても完全に扉をしめることができない。
スジンはそこでじっと息を潜めた。

無菌室から出て来たイルソクは、棚の扉が少しだけ開いているのに気づく。
彼はゆっくりとそこへ近づいた。

+-+-+-+

病院へ飛び込んできたテサンは、階段を一気に駆け上がった。
4階まで来ると、そこは静まり返っていた。
スタッフが全員眠っているのだ。
彼は移植病棟の扉の前にピンクのサンダルが落ちているのを見つける。

テサン:
スジン!!!

+-+-+-+

「スジン~」

開いた扉の隙間から、覗きこんでいるイルソクの顔が見える。

イルソク:
隠れんぼはもう終わりにしよう。

扉をはさみ、二人の目が会ったそのとき…

「スジン!!!」

テサンの叫び声に、棚を開けようとしたイルソクの手が止まった。
慌てて隠れるイルソク。
無菌室前まで来たものの、テサンは中に入ることができない。
菌を持ち込んでしまうからだ。

テサン:
消毒…!

のんびり消毒している時間はない。
「スジン!!!いないのか?!!」テサンは透明ガラスの扉越しに娘の名前を叫んだ。

スジン:
お父さん?

棚の中からスジンが飛び出し、お父さんの元へ駆け寄った。
扉を開けようとするスジン。

テサン:
開けちゃダメだ!
(時計を見る)今出て来ちゃいけない時間だろ!
早く無菌室に入るんだ。早く!

スジン:
お父さんは?

テサン:
お父さんがお医者の先生を呼んでくるから。
だから、早く入ってろ。
早く!!!

スジンは黙って頷き、無菌室へと入っていった。
娘が戻るのを見送ると、テサンの怒りがこみ上げる。「あの犬野郎!!!」
来た道を戻り、内線電話を見つけて受話器を取ると、逃げて行くムン・イルソクが向こうを横切るのが見えた。
走り出したところにチェギョンが到着する。

チェギョン:
どうしてここに?!
ひょっとしてスジンが…?

テサン:
スジンを頼みます。

テサンは駈け出した。

+-+-+-+

無菌車の運転席で待っているイム室長は、イルソクがなかなかやって来ないことに不安を募らせていた。
そこへ…

車の前をあっという間に横切って行く、逃げるイルソクと追うテサン。

イム室長:
???

#まさかここで笑い転げるとは。

街中に出た二人は、ビルの屋上までやって来た。
乱闘の末、若くて動きの早いテサンが塀のギリギリでイルソクを抑えこむ。

#ムン会長、それなりのお年でしょうに、逃げ足も早いし身軽ですよねー。

テサン:
目を開けろ!
殺しはしないから。

イルソク:
…。

テサン:
自殺に見せかけて今すぐ殺すことだって出来る。
それでも殺しはしない。
なぜだか分かるよな?

イルソク:
お前は人を殺せないやつだからな!

テサン:
人を殺せないんだ。獣まで殺せないと思うか?!

テサンはさらにイルソクを締めあげた。
彼の下でイルソクが呻き声を上げる。

テサン:
オ・ミスク殺害、コ・マンソク殺害教唆、パク・ホシク傷害、拉致教唆その他諸々!!!
30年牢獄で腐らせてやるから、お前は殺さない。

テサンはイルソクから手を離した。
起き上がり、その場に倒れこむイルソク。

イルソク:
お前、今日俺を殺さなかったこと、生涯後悔することになるぞ。
お前みたいなやつは絶対に俺を捕まえられはしない。
それだけの熱気があれば、さっさと足を洗っていれば良かったものを。
俺が理由もなく毒蛇になったと思うか?
忘れたか?俺がどんな奴か。

テサン:
…。

イルソク:
あぁ。お前は娘を選択するだろうと思った。
来年からは娘と一緒にソ・イネの法要をして過ごすんだな。
来年からは今日がソ・イネの命日だ。

テサン:
(笑)お前はな、俺に手は出せても、イネとスジンには絶対に手は出せない。

イルソク:
…。

テサンが立ち去ると、イルソクはガックリとうなだれた。
電話を取り出し、キムに連絡を取る。

キム(電話):
チャン・テサンが車から消えました。

イルソク(電話):
分かってる。
今すぐ写真アトリエに向かって、ソ・イネを連れ出せ。

+-+-+-+

スンウが写真アトリエに辿り着いたとき、辺りはすでに暗くなっていた。
扉の前には屈強な男が二人、そこを守っている。
キムが車で20分前に出掛けたことは、チェギョンから連絡が入っていた。

中に入ろうとすると止めた二人の男に対し、
予約した客だと言い張り、スンウは中には入ろうと粘るが「中には誰もいない!」と男たちはスンウを押し戻した。

スンウ(心の声):
(建物を見上げ)中にはイネしかいないってことだろ?

「出て来いよ!!!」スンウがわざと出した大声は、中にいるイネにも届いた。

イネ:
!!!

「明日お越しを」とはぐらかす男に、とうとうスンウは殴りかかった。
ナイフを取り出した男に、スンウはすかさず拳銃を向ける。
男たちは一目散に逃げ出した。

鍵がかかって開かない扉に、スンウは拳銃の引き金を引いた。

イネ:
(声にならない叫び)きゃーー!

その瞬間、開いた扉から明かりが差し込み、スンウが駆け込んでくる。
口を塞いだテープをはがし、手足を縛っているロープを解くと(←もーじれったい!

スンウ:
괜찮아?
다친 데 없어?
大丈夫か?
どこにも怪我はない?

イネ:
(夢中で頷く)

スンウは震えるイネを抱きしめた。

スンウ:
얼마나 놀랬어요…
怖かったろうに…!

イネ:
…。

スンウ:
왜 내가 왔나 싶죠?
何で俺が来たんだって、そう思ってるでしょう?

イネ:
그 사람이 보냈겠죠?
彼が… 来させたんでしょう?

スンウは抱きしめていた体を離し、イネの顔を見上げた。

イネ:
그 사람 수진이 생명줄이니까 날 구하러 오면 안되는 거죠.
彼はスジンの命綱だから、私を助けにきちゃいけないの。

スンウ:
구하러 오고 있었어요…나랑 같이.
…助けに来ようとしていました。俺と一緒に。

イネ:

スンウは彼女にしっかりと頷きかけた。

1692

#このシーンものすごく良かった。男泣き(爆)しちゃったよ。
前回、自分のやったことをイネに正直に打ち明けたことが、見事にこのシーンのスンウに繋がりましたね。
あれがなければ、このシーンもこの台詞もなかった。

+-+-+-+

テサンは病院へ戻りながらチェギョンに連絡を取った。

テサン(電話):
イネは無事なんですね?

チェギョン(電話):
今、病院に向かってます。

テサン:
(安堵の溜息)スジンは?

チェギョン:
ここへ来て自分の目で見てください。
スジンが… お父さんを探してるわ。

#ここでどうにもたまらなくなって、一時停止して泣きました。
何でしょうね、この感覚。急激な山を皆で駆け上がって無事降りてきて、なが~い安堵の溜め息をついたら、そこに愛する娘が待っている…。
チェギョンの穏やかな口調も本当にいいです。

+-+-+-+

目覚めた看護婦たちが事態の把握に混乱している間に、スジンとテサンが話せるよう、チェギョンはスジンの主治医に話をつけていた。

無菌室の面会ガラスの前で、テサンは緊張してスジンを待っていた。
そこへ…ゆっくりとブラインドが上がり始める。
上がっていくブラインドの下から顔を出したスジンは、テサンが送った髪飾りをつけていた。

# 。・゚・(ノ∀`)・゚・。

ガラスの向こうに父の顔を見つけると、彼女の顔がパッと輝く。
二人は受話器を取った。

テサン:
안녕, 수진아.
(右手を上げ)やぁ、スジン^^

スジン:
안녕하세요, 아빠.
こんばんは、お父さん!

「お父さん」そう呼びかける娘の笑顔に、テサンの目が潤んだ。

テサン:
많이 놀랬지?
원래 오늘 만나기로 한 날 아니었는데.
すごく驚いたろ?
今日は会いに来る日じゃなかったのに…。

スジン:
아빠 말이 이거였죠?
수술 날 말고 날 안 본다는 게.
お父さんが言ったのはこれだったんでしょう?
手術の日が来るまで会えないって言ったこと。

テサン:

スジン:
오늘 방금전에 그 어저씨 이거였죠?
내가 아빠 말 잘 들었죠?
さっきのおじさんのことだったんでしょう?
私、お父さんの言うことちゃんと聞いたでしょ?

テサン:
…너무 너무 어떻게 그렇게 잘 알아들었어?
…すごくすごく。どうしてそんなによく分かったんだ?

スジン:
나쁜 친구가 있는 거거든요, 우리 유치원 때도.
그래서 나쁜 친구랑 놀면 안돼요.
悪いお友だちがいたの。幼稚園にも。
だから、悪いお友だちとは遊んじゃダメなの。

テサン:
어떤 게 나쁜 친군데?
どんなのが悪い友だちなんだ?

スジン:
어, 거짓말 하는 애, 친구 거 뺏어 먹는 애,
힘 약한 친구 때리는 애, 괴롭히는 애,
또 새치기하는 애.
えっと… 嘘つく子、友だちの食べ物を横取りする子、
力の弱いお友だちを叩く子、いじめる子、
それと、割り込む子。

テサン:
엄마가 참… 똑똑하게 잘 키웠구나.
ホントに… お母さんは賢く育てたんだな。

スジン:
똑똑하지는 않은데.
공부는 잘 못해요.
賢くはないけど。
お勉強はできないの。

テサン:
(吹き出す)

スジン:
입학하자마자 아파가지구요,
그래서 좀 못하는 거에요.
入学してすぐに病気になってね、
それであまり得意じゃないの。

テサン:
알아.
근데 다시 학교 가면은 잘할 거야.
分かってるよ。
けど、また学校に行ったら得意になるさ。

スジン:
어떻게 알아요?
どうして分かるの?

テサン:
잘했거든!
(自分を得意気に指し)得意だったから!

スジン:
우와! 그럼 나도 잘하겠구나!
うわぁ!じゃあ私もできるようになるね!

テサン:
꼭 잘하지 않아도 돼.
그지만 넌 잘할 거야.
得意じゃなくったっていいんだ。
だけど、きっとできるようになる。

スジン:
신기하다.
不思議な感じだなぁ。

スジンは少しでも父に近づこうと、ガラスに顔を寄せてテサンをまっすぐ見上げた。
テサンも腰をかがめ、スジンの目線まで近づく。

スジン:
아빠, 생일 축하드려요.
お父さん、お誕生日おめでとう。

テサン:
생…일?
誕生…日?

スジン:
엄마가 미역국 끓려 줬어요.
お母さんがワカメ汁を作ってくれたんだよ。

テサン:

スジン:
아빠는 미역국을 싫어해서 한번도 생일 미역국 못 먹었다면서?
아빠 대신 나보고 먹어라고 했어요.
お父さんはワカメ汁が嫌いだから、一回もお祝いのワカメ汁を食べてないんでしょう?
お父さんの代わりに、私に食べなさいって。

テサン:
…그랬어?
…そうだったのか?

スジン:
아빠 대신 축하하라고.
お父さんの代わりにお祝いしてあげなさいって。

テサン:

スジン:
아 참 참! 잠깐만 잠깐만요!
あ、そうだそうだ!ちょっと待って、ちょっと待ってね!

スジンは受話器を置くと、一枚の絵を取って来て、ガラス越しに掲げた。

1694

『お父さん!お誕生日おめでとう!生んでくださってありがとうございます』

そこには二つの大きな山が寄り添うようにそびえ、太陽が昇り、綺麗な花が咲いていた。

テサン:
!!!

スジン:
아빠, 생일 축하해요.
낳아 주셔서 감사합니다.
お父さん、お誕生日おめでとう。
生んでくださってありがとうございます。

テサン:

何も言えず、テサンの目に涙が溢れると、スジンが心配そうに顔を曇らせた。
溢れた涙が彼の目から零れ落ちた。

テサン:
너무 좋아서… 고마워서.
すごく嬉しくて… ありがたくて…。

スジン:
좋으면 웃는 건데?
嬉しいときは笑うんだよ。

テサンが精一杯笑ってみせると、スジンも安心して嬉しそうに笑った。
ガラス越しにテサンの手とスジンの手が重なる。

テサン(心の声):
이 아이가 나를 보고 웃는다..
웃어 준다…
この子が…俺を見て笑ってる。
笑ってくれてるんだ…。

1693

 

+-+-+-+

イルソクは結局スジンを乗せていない無菌車の助手席で悪態をついていた。

イルソク:
チャン・テサンの奴、一体どうして気づいた?!
…いますぐ写真館に向かえ!

イム室長:
あの…会長、危険な状況です。
まずは会社に戻って一刻も早くアリバイを作ったほうが…

イルソク:
俺は仏じゃないぞ!
あんなゴミ野郎にやられて徳を磨けと?!

そこへテジュンから連絡が入る。

テジュン(電話):
兄貴、今、写真館を見張ってたヤツらから連絡があったんですがね、
イム・スンウ刑事が来て、ソ・イネを連れて行ったそうです!

イルソク(電話):
イム・スンウが写真館に?!!!
なぜ分かった?なぜ分かったーーー!!!

+-+-+-+

病院に到着したスンウが、イネの手を引いてエレベーターに乗り込む姿を、
テサンは柱の影から見送った。

テサン:
ケガはないみたいだな。良かった…。
(笑う)あいつ、なかなかやるな。

+-+-+-+

主治医の処置を受けているスジンの元へ、イネが駆け込んできた。

イネ:
수진아!
スジン!

スジン:
엄마!
お母さん!

イネ:
너무 힘들었지?
너무 놀랐지?
미안해. 미안해.
辛かったでしょう?
すごくビックリしたよね?
ごめん。ごめんね…

スジン:
재미있었어.
(笑顔)面白かったよ。

イネ:
?… 재미있었어?
?… 面白かった?

スジン:
아빠가 슈퍼맨처럼 나타나서 ” 수진아!” 그랬어.
お父さんがスーパーマンみたいに現れてね、”スジン!” って言ったの。

イネ:
그랬어?
…そうなの?

スジン:
응. 그랬더니 그 친구라고 거짓말하던 나쁜 아저씨가 확 도망갔어.
うん。そしたらね、友だちだって嘘ついてた悪いおじさんがパッと逃げたの。

イネ:

スジン:
근데 아빠는 어떻게 알고 왔을까?
되게 신기하지, 엄마.
엄청 신기하지?
でも、お父さんはどうしてわかったのかな?
すごーく不思議でしょ?お母さん。
めちゃくちゃ不思議でしょ?

イネ:
그러네. 엄청 신가한데.
(頷く)そうだよね。めちゃくちゃ不思議だね。

スジン:
근데 엄마는 어디 갔었어?
그 나쁜 아저씨 엄마 없는 걸 어떻게 알았어?
お母さんはどこ行ってたの?
悪いおじさん、お母さんがいないってどうして知ってたの?

そこで急に疲れが出たのが嘔吐してしまうスジン。
医師はスジンを横にならせた。

スジン:
엄마 힘들어…
お母さん…しんどいよ…

イネ:
괜찮은 거에요?
(医師に)大丈夫なんですかか?

スジン:
아직까진 괜찮은 것 같아요.
今のところは大丈夫そうです。

苦しそうなスジンの姿をガラス越しに見守っていたスンウは、
病棟の外で待っているチェギョンの元へ向かった。

チェギョン:
수고했어요.
お疲れ様。

スンウ:
고마웠어요.
…ありがとう。

※「お疲れ様」に対する「ありがとう」ではなく、イネとスジンの救出に対しての「ありがとう」です。

チェギョン:
다행이라는 말 밖에 할 말이 없어요.
良かったという以外に…言葉がないわ。

スンウ:
장태산은요?
チャン・テサンは?

チェギョン:
나 기다리고 있어요.
둘이서 좀 할 일 있어서.
私のこと待ってるんです。
二人で…ちょっとやることがあって。

スンウ:
그동안 있었던 일들 그리고 앞으로 하게 될 일들 나도 좀 압시다.
これまであったこと、それに、これからやること、俺にも教えてください。

チェギョン:

スンウ:
수술 이틀 남았어요.
그 전에 문일석 그 자식 잡아야지.
手術まで2日なんです。
それまでにムン・イルソクのやつを捕まえないと。

チェギョン:
알았어요.
分かりました。

そこへ、イネが出て来ると、スンウは病院内の捜査をすると言い、席を外した。

イネ:
태산씨, 어디 있어요?
テサンさん、どこにいますか?

+-+-+-+

外来診療時間も終わって人気のない待合室で、テサンはなかなか来ないチェギョンを待っていた。

テサン:
왜 이렇게 안 와?
なんで来ないんだ?

そこへ曲がり角から現れたイネが、彼を見つけて立ち止まる。

テサン:
인혜야…
イネ…。

近づいた二人は、互いの目をじっと見つめた。

イネ:
고마워. 수진이 구해 줘서.
ありがとう。スジンを助けてくれて。

テサン:
무슨…
이런 일 겪게 만들어서 내가 미안하단 말도 염치없어.
そんな…。
こんな目に遭わせて、謝る資格もない。

イネ:
내 신호도 기억해 줘서 고마워.
(首を横に振る)私の信号も覚えててくれて…ありがとう。

テサン:

イネ:
수진이 살려야 하니까 태산씨는 오면 안되는데
나도 살고 싶더라.
오빠가 눈동자 사진을 기억해 주길 얼마나 바랬는지 몰라.
スジンを助けなきゃいけないから、テサンさんは来ちゃダメなのに、
…私も助かりたかったみたい。
瞳の写真、あなたが覚えていてくれたらって…どれほど願ったか。

テサン:
잊혀질 기억이 따로 있지.
忘れるべきことは他にあるだろ。

イネ:
?

テサン:
네가 좀 엉똥한 데가 많았잖아.
그러니까 나같은 놈 만났겠지만
나같은 놈 기억을 아직까지 담고 있는 네가 더 놀랍지.
(笑う)お前、ちょっと突拍子もないところがあるだろ。
だから俺みたいな奴に出会ったんだろうけど。
俺みたいな奴の記憶、未だに閉じ込めてあるお前のほうが驚きだよ。

イネ:
…오늘 수진이 구한 걸로 8년전 일을 퉁치자, 우리.
…今日、スジンを助けたことで、8年前のことは水に流そう、私たち。

テサン:

イネ:
내일 모레 골수 주는 걸로 8년동안 수진이 옆에 못 있어 준 것도 퉁치고.
あさって骨髄を提供してくれることで、8年間スジンのそばにいてくれなかったことも帳消し。

テサン:
그렇게 쉽게 용서가 돼?
왜 이렇게 물렀어? 사람이.
そんなに簡単に許せるのか?
なんでそんなに甘いんだよ?

イネ:
용서 해 주고 싶어.
그래야 오빠도 오빠를 용서하지.
許してあげたいの。
そうすれば、あなたも自分を許せるでしょう?

テサン:
그래 주면 그래 볼게.
…そうしてくれるなら、そうする。

イネ:
내일 모레 봐.
明後日、会おうね。

テサン:
그래. 내일 모레 올게.
그 때까지 더 조심해.
あぁ。明後日来る。
それまで気をつけろよ。

イネ:
그럴려고.
そうする。

テサン:
오늘 정말 고생했어.
고마웠다.
今日はホントに大変だったな。
ありがとう。

イネ:
…오빠도.
…あなたも。

1695

+-+-+-+

病院の警備室は大胆にケーブルが切断され、メインボード諸共破壊されていた。
イルソクが忍び込んでからの映像は一切残されていないのだ。
職員が眠ってしまうまでの映像は残っているため、睡眠薬入のドリンクを持ち込んだ女の姿は映像に残っている。
捜索が始まった。

+-+-+-+

チェギョンとテサンは手早くカップ麺を食べていた。
落ち着いたらイルソクに対する怒りがこみ上げるチェギョン。

チェギョン:
スジンもチャン・テサンさんも顔を見てるのに!

テサン:
(冷静)スジンに証言させることはできないし、俺だってそうだ。
目撃者である父子が証言台に立てない状況だってわからないんですか?
…興奮しないでください。

チェギョン:
(反省)そうね。私の方が興奮してどうするの。
ムン・イルソクを思う存分殴って、少しは怒りがおさまりました?

テサン:
… 殺したっておさまるかどうか。

(中略)

チェギョン:
ところで、ソ・イネさんの瞳を調べるの、どうやって思いついたんです?

チェギョン:
ソ・イネさんが信号を送ったって言ったでしょう?どういう意味だったんですか?(←こらっ!

テサン:
…。それは俺1人… 自分の中に留めておきたいことなんだ。(←うまいこと掛けてある!

二人は今後の作戦について話し始める。

テサンが提供したのは、テジュンたちの会話を録音した例の音声だ。
かなり具体的に話してはいるものの、ムン・イルソクをオ・ミスク殺しの犯人として逮捕するには、決定的ではなかった。

チェギョン:
これだけではムン・イルソクを捕まえられないわ。

テサン:
捕まえられます。

チェギョン:
どうやって?!

テサン:
俺が録音機を仕掛けてたこと、ファン・テジュンはムン・イルソクに話してません。
ムン・イルソクの家で捕まったとき、俺が質屋に泊まって行ったことしかしらなかった。

チェギョン:
ミスクを殺したのがムン・イルソクだって言葉が、ファン・テジュンの口から出たとムン・イルソクが知ったら…?

テサン:
ファン・テジュンは窮地に陥るでしょう。

チェギョン:
ムン・イルソクとファン・テジュンの関係を引き裂けばいいのね。

テサン:
けど、中途半端にムン・イルソクだけ捕まえても仕方ない。
チョ・ソヒがまた権力を使って助けだすだろうに。

そこで、チェギョンが提供したのは、チョ・ソヒの家や写真アトリエなどに関する不動産情報だ。
それらはウィノス不動産という会社の所有だった。

時間はない。
0時15分。チョ・ソヒの家の電気がいつもどおり消えると、テサンは塀をよじ登った。

+-+-+-+

塀の影に隠れ、チョ・ソヒの家の隣家、彼女が隠れ住む家をじっと様子を伺っていると、
メイドが出て来て、ステレオにCDをセットした。
音楽が流れ始めると、広い広いその庭にソヒが姿を見せる。
ワイングラスを片手に音楽に合わせて踊る彼女の姿を、テサンはカメラに収めた。

+-+-+-+

ムン・イルソクは暖炉の縁にあるスイッチを押し、隠し部屋への扉を開ける。
金庫から現金を出し、カバンに詰め込むと、
「SH.C」(※チョ・ソヒのイニシャル)と書いてある棚から書類袋を取り出した。

+-+-+-+

チグクの家に戻ったテサンは、キムについてチェギョンが調べたことをチグクに伝える。

29歳。元々の国籍はコロンビアでフランスの外国人部隊出身。
外国人部隊に3年間在籍すれば、国籍が手に入るのだ。
コロンビア以前のことはまだ調べがついていなかった。

書類を見つめ、考えこむチグク。

チグクは息子を健全に育てるため、幼い時に万年筆を買い与えた。
キャップに息子のイニシャルの刻印を入れて。
父によく懐き、素直に育っていた息子。
ずっと父にくっついているので「タップル(糊)」とニックネームをつけたほど。

ある日、ちょっと外で遊んでいる間に子どもが姿を消してしまったのだ。
家の前には、キャップのない万年筆が落ちていた。

チグクは代わりにピンクのキャップをはめた、その万年筆を眺めた。

+-+-+-+

「あとは手術の日に病院へ来たところを殺すしかない」

持ってきた大金を出し、腕のある奴を集めるよう、イルソクはイム室長に指示する。

チェギョンが動いていることに、まだイルソクは気づいていなかった。
本当に動きがないのか確認し、イネとスンウにも尾行をつけるよう付け足す。

すると、イム室長が震える声で口を開く。

イム室長:
あの…会長、もうチャン・テサンのことは諦めてはどうでしょうか?
会長がオ・ミスクを殺したという物的証拠は上がっていません。
自首する要員を探して、今からでも事件を収束させるのが、
今の状況では一番安全です。

イルソクは、与えた金が足りないならもっと持っていけ、と、自分に逆らったイム室長を罵倒する。

そこへ、テサンが会長室に電話を掛けてくる。

聞かせやるものがある、と前置きしたテサンは、「ファン・テジュン、まだ会長に話してないのか」と電話口で話してから録音機を再生した。

「ソクトゥが全部吐いたぞ。ムン・イルソクがオ・ミスクを殺したってな」
「ソクトゥお前、チャン・テサンに会長がオ・ミスクを殺したと言ったのか?」
「会長が殺したと言ったのか?いつだ!」
「あのときですよ、コ・マンソクが死んだ日」
「本当に会長が殺したんですか?社長じゃなくて?」
「こいつ!俺はナイフをたくさん持っていても、人を殺したことはない!!!」
「チャン・テサンが録音機を仕掛けたこと、誰にも言うんじゃないぞ」

音声を聞くイルソクの表情がみるみるうちに険しくなる。

テサン(電話):
お前がオ・ミスクを殺したって、どうしてわかったと思う?
テジュンが全部ペラペラ喋ったからさ。
”悪事千里を走る”ってな。

イルソク(電話):
仲違いさせる作戦か、テサン。
俺に聴かせた理由は何だ?
これだけ確かな証拠があれば検察に持っていくべきだろ。
持って行ったところで役に立たんから、持って行けないんじゃないか?こいつ!!!!

テサン:
(余裕)持ってくよ。

イルソク:
何だと?

テサン:
俺を捕まえられないまま、一つ二つと証拠があがったら、
ファン・テジュンを犯人に仕立てて自首させるんだろう?
そのとき検察に送るんだ。
真犯人はファン・テジュンではなく、お前だってな。

怒りに震えるイルソクの前で、電話は切れた。

+-+-+-+

犯行に使われた写真館を一刻も早く撤収しようと、テジュンは手下たちに檄を飛ばしていた。
そこに電話が鳴る。

テサンだ。

テサン(電話):
牢獄に入る準備は進んでるか?

テジュン(電話):
チャン・テサ…!

テサン:
そうさ。お前がオ・ミスクを殺して濡れ衣を着せたチャン・テサン。

テジュン:
こいつ、また何の戯言を!

テサン:
ムン・イルソクの家で捕まったとき、ムン・イルソクが俺に何て言ったと思う?
俺を殺して、お前を代わりに突き出せばいいってな。

テジュン:

テサン:
ナイフもお前の、オ・ミスクの家もお前の嫁さんの名義。
それにあの日、CCTVにお前も一緒に映ってたろ?

テジュン:
…。

テサン:
代わりに牢獄に入って、棺桶の蓋が閉まるまでの~んびり腐ってな。

テサンからの電話が切れると、すぐにイルソクからの電話がなった。

+-+-+-+

会長室に呼び戻されたテジュンは、妙に機嫌の良さそうなイルソクを前に緊張で固まっていた。

イルソク:
チャン・テサンのように、前科がなくて雪みたいに潔白な奴を一人選べ。

テジュン:
…え?

イルソク:
チャン・テサンを殺して、チョ・ソヒにパク・チェギョンを失職させたら、
あとはもうこの件を追う人物はいなくなる。
はて… あぁ、偶発的な強盗殺人だったってのはどうだ?

テジュン:
偶発的強盗殺人?

イルソク:
…。

テジュン:
(作り笑い)それが良さそうですねぇ。

イルソク:
はっはっはっ
(身を乗り出す)それには、まずテサンのやつを始末しなければ。

テジュン:
もちろんですとも!

イルソク:
(笑って金を差し出す)手術の日、失敗のないようにメンバーをしっかり選んでおけ。

テジュン:
えぇ、兄貴!

イルソク:
お前の痕跡がバレそうなものは、早く消すんだぞ。
さっさと動け、時間がないぞ^^

テジュン:
承知しました!

そこへまたテジュンの電話が鳴る。画面には「嫁」

+-+-+-+

テジュンは嫁名義の家に愛人を住まわせていた。
嫁のクォン・ヒオクを訪ねてきたのに、そんな人は知らないと言われたと、
駆けつけたテジュンに話すのはスンウだ。

愛人ではないと取り繕うテジュンに、
それなら賃貸契約で住まわせていることを証明する通帳を警察へ持って来いと突きつける。

+-+-+-+

テジュンが不動産屋に駆け込もうとすると、「無駄だ」とテサンが声を掛けた。
「こいつめ!」殴りかかろうとしたテジュンの頬にテサンの平手が飛ぶ。(←いい音ー!パチンッ!って

テジュン:

テサン:
痛いか?
痛けりゃ警察呼べよ。脱走犯チャン・テサンに殴られたってな。

テジュン:
何しやがる!気でも狂ったか?!

テサン:
ムン・イルソクは録音機のこと何も言わなかったろ。
怒りもしなかったろ?

テジュン:
お前、仲違いさせに来たのか?!

テサン:
(余裕の微笑み)

テジュン
兄貴が俺を監獄送りにするだと?!

テサン:
以前の俺みたいに、前科なしで雪みたいに潔白な奴を一人探せって?

テジュン:

テサン:
俺を殺したら、偶発的強盗殺人程度に濡れ衣を着せればいいってな。

テジュン:
…。

テサン:
けどな、それは時間稼ぎだ。
お前が俺を殺すために奔走している間に、どうやってお前を罠にはめるかゆっくり企むんだろう。

テジュン:
な、な、何をほざいてんだ!!!(?)
お前の罠にはまる前にとっ捕まえてやる!

テサンは録音機を取り出し、再生してみせた。
テジュンたちのやり取りが流れると、テジュンは愕然とする。

テサン:
これをムン・イルソクに聴かせたか、聴かせてないか、どっちだろうな?

テジュン:
…。

テサン:
標的にされたのに、逃れようともがいたら、
今の俺みたいになるぞ。

テジュン:
…。

テサン:
せいぜい頑張れよ。

+-+-+-+

ト捜査官を呼ぶと、部長はチェギョンの様子を訪ねた。
自分は知らない、何も言うことはないと口をつぐむト捜査官。

部長:
パク・チェギョンに伝えろ。
信じる信じないではなく、必要か必要でないか計算しろと。

+-+-+-+

一人で酒を飲んでいたイ・ドンミョン記者にチェギョンが声を掛けた。

以前、チェギョンが自分の携帯に電話してきて「チョ・ソヒにかわってくれ」と言ったことを覚えていた彼。
先日、ムン・イルソクを逮捕したのが彼女であることも、そして、チョ・ソヒがすぐに釈放させるだろうとネタを流したのが彼女であることも、記者は勘づいていた。

その後、ムン・イルソクとチョ・ソヒについて何も記事が出ないことで、
チェギョンはどうなっているのか記者に問う。
「チョ議員は、記事を書いてもいいと言ってましたよ」と聞き、チェギョンは驚いた。

~~ムン・イルソクの逮捕を受けて、記者がチョ・ソヒを訪ねた日

チョ・ソヒがムン・イルソクをすぐ釈放させるという情報があると、記者はソヒに話す。

ソヒ:
今、その情報を元に記事を書こうか、やめようか、
私の許可を取りにいらしたのかしら?

記者:
火のついていない煙突から煙はでないという諺もありますから。

ソヒ:
私がかまどなのか煙突なのか、聞きにいらしたと?

記者:
国民情緒を鑑みた、最小限の確認ということです。
核爆弾級のネタですから。

ソヒ:
どうぞ記事をお書きになって。

記者:

ソヒ:
ソウル市長候補だからと記者が顔色をうかがう…今、この国はそんな状態です。
所信を持つべきでしょう、記者ならば。

記者:
書いてもいいという…?

ソヒ:
(微笑む)自分の書く記事に責任を持ち、自信があればいいのでは?
核爆弾を落とせばどうなるかも知らない子どもではないでしょう。

~~

チョ・ソヒの余裕に圧倒され、逆に記者は記事を書かなかったという。

チェギョン:
核爆弾だと知りながら、爆破しろと…?

記者:
ムン・イルソクは本当にすぐ釈放され、チョ議員が検察庁まで出向いたと聞いて、
権力とはこういうものか… 思い知りましたよ。

チェギョン:
もう一つ情報を掴んだとしたら… 今度はどうなさいます?

+-+-+-+

警察チームが久しぶりに集合し、捜査内容を検討していた。

オ・ミスク事件の日にチャン・テサンを乗せたタクシーの運転手は、次の日に退職しており、この後イ刑事が会いに行くことになっている。

オ・ミスクを殺した凶器はオーダーメイドであり、ナイフごとに鞘の模様が全て違っているという。
購入者の名簿を渡してもらうよう依頼済みだ。

病院の警備は持ち回りになっており、今夜はパク刑事が担当することが確認された。
各者、それぞれの持場に散る。

スンウとイルドは、テジュンの経営するバーに来ていた。
イルドは従業員の女性を並べ、病院の防犯カメラに映った「睡眠ドリンク女」がいないか捜索。
スンウはオ・ミスク殺害凶器の写真を見せ、テジュンがこのようなナイフを持っているのを見たことがないか、聞いて回った。
どちらも収穫はない。

+-+-+-+

チョ・ソヒとイルソクが川の畔で会っていた。

ソヒ:
カメラのコピーなんてものを何故作ったのよ。

イルソク:
…。

ソヒ:
ムン会長の事業のやり方を何年見ていると思ってるの?
三つ子の魂百までとはよく言ったものね。
慈善オークションを終えたら、私はこの国を発つのに!

イルソク:
26日夜の飛行機だそうですね。

ソヒ:
…。

イルソク:
なぜ私に何も言わず日程をお決めになるんです?

ソヒ:
発つ日程まで言わなきゃいけない?
発てば皆分かるのに!

イルソク:
当然言うべきだろ。

ソヒ:
!(睨む)

イルソク:
目の力を抜いてはどうです?

ソヒ:
ちょっと、ムン・イルソク。
あなたよくも…

イルソク:
”大胆にもタメ口を?!ギャングから実業家にしてやったのに!”

ソヒ:
…。

イルソク:
このギャング出身の実業家が、あんたの垢を10年間洗ってやったんだ。

ソヒ:
何ですって?!

イルソク:
今のあんたの権力、半分は俺のだ。
オ・ミスク事件で俺が捕まったら、あんたはその権力を使わなければならない。
だから、パク・チェギョンが失職し、チャン・テサンが死ぬまでは、韓国を出るな。

ソヒ:
出るな?
チャン・テサンみたいな男に嫉妬してオ・ミスクを殺し、
この状況を作った本人が私を足止めするつもり?!!!

イルソク:
だからだ。
だからあんたの力を使おうってな。

ソヒ:
ムン会長あなた…!あなた…。
ムン会長がそんな態度なら、オークションは中断よ。

イルソク:
(頷く)中断するといい。

ソヒ:
…。

イルソク:
俺は大企業にのし上がるスピードが少し落ちるだけだが、
チョ議員、あんたその金なしにどうやって暮らす?

ソヒ:
…。

イルソク:
哀れな息子さんの住むスイスに移るべく、金を工面してどこかに拠点を作っておいででしょう。
それに金を注ぎ込んで金庫の中身もどんどん減ってるだろうに、残りの支払いはどうするんです?
余生はどうやって暮らすんだ?その1000億がなければ。

ソヒ:
ちょっと…。ムン・イルソク。

イルソク:
1000億を持ってこの国を出るためには、
まずは俺が無事ユジンガスを手に入れられるようにするんだ。
そのためにはオ・ミスク事件から俺を外して貰わなければ。ん?

ソヒ:
(?)恩も知らずに!

イルソク:
自殺した夫の借金を払い、国会議員にしてやり、
息子のための王国を作る資金まで!
…俺にそんなふうに振る舞っては駄目でしょう。

ソヒ:
金を…渡さないと?

イルソク:
これまで俺はビジネス上の金勘定を正確にやって来た。
あんたみたいな人だって信用させたんだから。

ソヒ:
…。

イルソク:
チョ議員、この国は地獄のようだと、餓鬼地獄のようだと言ったな。
俺に言わせれば、この餓鬼地獄を脱出するために、また別の餓鬼になったのがあんただ。
だから、そんな汚いものを見るような目で俺を見るな。

車を降りていくイルソクを、ソヒは呆然と見送った。

+-+-+-+

出前持ち姿がすっかり板についたチェギョンが、こっそりチグクの家に何かを持ち込んだ。
カメラ、レンズを出し、大きな袋をテサンに渡す。

お互い、準備は整っていることを確認した。

+-+-+-+

写真館を出てから単独行動をしているキムは、ある林の中で車を止め、着々と武器の整備を整えていた。
そこへ携帯メールの着信音がなる。
スマートフォンではなく、その奥にあった一般携帯だ。

「タップル(糊)か?」

同じメールが何度も何度も届いていた。

「携帯のバッテリー、充電しておくんだ」

キムは表情も変えず、携帯を荷台に放り出した。

+-+-+-+

事務所に戻ったチョ・ソヒに来客があった。

息子ソンジュンについて、イ・ドンミョン記者の使いでやって来たというその男に、
ソヒは困惑の色をあらわにする。
名を名乗ってくれと言うソヒに、男はサングラスと髭を外し、「チャン・テサンです」と答えた。

ソヒ:
ここをどこだと!(電話に手を伸ばす)今すぐ警察を呼ぶわ。

テサン:
庭の広いお宅を訪ねようかとまで思いながら、こちらに伺ったんですが。

ソヒ:

テサン:
(撮影した写真を差し出す)随分いいお宅にお住まいですね、議員。

ソヒは黙って写真を確認した。

テサン:
10分だけ時間をいただければ、インターネットには上げません。
もちろん、その写真以外にもいくつかあるにはありますが。

テサンは両手を広げた。

テサン:
楽にお話できるように、チェックなさってください。

ソヒはその言葉を聞き流し、席についた。

ソヒ:
昨夜の写真の持って来るところをみると、かなり急いでいるようだけど。
要件をお話しなさい。

テサン:
僕はムン・イルソクを真犯人として逮捕させたいんです。
あと2日で娘の手術があります。
それまでに僕を殺そうとなさっているのは、26日のオークションのためだというのも知っています。
その日まで、ムン・イルソクが無事でなければなりませんから。

ソヒ:
遠回りしないで、要件だけ言いなさい。

テサン:
僕は娘さえ救えて、娘ににさえ潔白でいられればいいんです。
他には何も望みません。

ソヒ:
それで写真を何枚か撮り、どこかで拾った情報をいくつか持って、
私を脅迫しに来たの?

テサンは鞄からCDと書類を出した。

テサン:
僕と娘の命の掛かったことなんです。脅迫だって何だって出来ますよ。
チョ・ソヒ議員が実際にお住まいのお宅、ウィノス通商という法人名義だそうですね。
その登記簿謄本です。
それに、あの写真館の建物も。
写真館の建物に、娘の母親が拉致されていました。
もちろん証拠もあります。そのCDの中に。

ソヒ:
…。

テサン:
調査すれば、ウィノス通商という会社がムン・イルソクのペーパーカンパニーだということくらい、すぐに出て来るでしょう。
ムン・イルソクをオ・ミスク殺害の真犯人として捕まえ、
僕の濡れ衣を晴らすことさえできれば、
議員とムン・イルソクの関連性、それに、隣にあるそのお宅、口外はしません。

ソヒ:
…。

+-+-+-+

議員会館を望む高いビルの屋上で、チェギョンはじっと時計を見ていた。

「俺が入って5分経っても出て来なかったら、作業を始めてください」

カメラを手に立ち上がると、彼女は議員会館に照準を合わせた。

1696

+-+-+-+

テサンとソヒは応接ソファーに場所を移す。

テサン:
ムン・イルソクさえ差し出してくだされば、この資料をパク・チェギョン検事に渡しはしません。

ソヒ:
これをパク・チェギョンの協力なしにあなた一人で調べたと、私が信じると思うの?

テサン:
えぇ。

ソヒ:
何ですって?

テサン:
これが万が一パク検事との共謀なら、いや、僕が娘の手術を終えて議員を裏切ったら、
議員が僕を放っておくわけがありません。
正直、僕は議員が怖いです。
春川でも死ぬ目に遭い、昨日も死ぬ目に遭いました。
ムン・イルソクをパク・チェギョン検事の手から引き戻したのも、全て議員なんですから。

ソヒ:
…。

テサン:
俺みたいな人間一人、一週間後、一ヶ月後、いや、一年後でも始末できる方なのに、
この地に住みながら議員を避けて暮らす自信はありません。

ソヒ:
私が断ったら?

テサン:
娘を救うために死ぬ覚悟をした僕です。
ネタをばら撒いて、議員とムン・イルソクの関係を知らしめ、
僕の事情を訴えるしかないでしょう。
スジンの手術まで、国民に僕を保護してくれと。
そうすれば少なくとも、スジンの手術くらいは受けさせられるんじゃないでしょうか。

ソヒ:
ムン・イルソクを捕まえるための証拠はちゃんと確保してあるのかしら。

テサン:
そんなものもなしに、僕が大胆にも議員を相手にしようなどと思いますか?

ソヒ:
…。

テサン:
ムン・イルソクは僕が捕まえます。
ですから議員は、ムン・イルソクを釈放させたりせず、じっとしていてくださればいいんです。

ソヒ:
…。

テサン:
娘を救い、残りの人生、死んだように生きるつもりです。

ソヒ:
…。イ・ドンミョン記者とキム・ソンジュン、息子のことはどうして知ったの?

テサン:
(少し動揺)それは…(再びまっすぐソヒを見る)検事から聞きました。

ソヒ:
…。いいわ。

テサン:
本当ですか?!

ソヒは立ち上がった。

ソヒ:
命の尊さは、十分に分かっているようだから。

テサン:
(立ち上がり、頭を下げる)ありがとうございます。
ありがとうございます、議員。

ソヒ:
(テーブルの上を指し)これ、(付け直しなさい?)(←ヒゲのこと?ちょっと不明

テサン:
えぇ。あの、議員。

ソヒ:

テサン:
約束の証をください。

ソヒ:
覚書でも書けと?

テサン:
いえ、そういうことではなく、
お互い取引が成立したから、よろしく頼むという挨拶がしたいんです。

テサンが右手を差し出すと、ソヒはその手を取った。
どこかで小さなシャッター音が鳴っているとも知らずに。

1697

+-+-+-+

ここでエンディングです。

後2話残っていますが、後々何回も繰り返し見るのは、この14話になるかも。
ずっとテサン側が押し気味であり、大きな感動もあり、悪側がすれ違っていくのも痛快で、本当にいい回でした。

テサンとスジンのシーンはもちろん何度見てもその度に泣くであろう感動のシーンですが、
私は、イネが言った「용서해 주고 싶어.(許してあげたいの)」がとても心に残りました。
許すって幸せ。相手にとっても自分にとっても^^

これまでいろんなことを仕掛けてきましたが、まだそのままになっているのは、質屋に忍び込んで誰かに送っていたメールでしょうか?
まだあるかな?
ドラマの作りから考えると、最終話の前、つまり15話には、もう一山ならぬ「一谷」あるのではないかと思っています。
今回押せ押せだっただけに怖いですが、テサンの度胸と頭脳を楽しみに、見守りましょう^^

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 - Two Weeks ,

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