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主君の太陽8話あらすじ&日本語訳 vol.2

   

ソ・ジソブ、コン・ヒョジン、ソ・イングク、キム・ユリ出演「主君の太陽」8話の後半です。

1548

さっそく…

戻って来ないテ嬢が気になり、チュ君はホテル内に戻った。

支配人「他に必要な物はおありですか?」
チュ君「何がです?」
支配人「花、シャンパン、管弦楽団。何でも用意いたします」
チュ君「結構です。(独り言)何か勘違いしてるようだな」

チュ君は、トボトボとホテル内を歩いているテ嬢を見つけ、彼女の前に立ちはだかった。

テ嬢「…。」
チュ君「着替えたんだな」
テ嬢「…はい。不便だと思って」
チュ君「さっき綺麗だったのに。行こう」

チュ君が彼女の手を掴むと、彼女はそれに抗った。

チュ君「?」

嫌がるその手を引き寄せ、強引に腕を組んで歩き出す。
ひそかに二人に注目しているホテルのスタッフたちがヒソヒソと囁いた。

テ嬢「大丈夫ですよ。この辺は怖いものいないから」
チュ君「幽霊より怖ろしい人の目があるだろ」
テ嬢「今、周りの目から”あの人たち何の真似?”なんて見られたら困るでしょう?」

テ嬢が立ち止まり、がっしり組まれた腕を振り払った。

チュ君「あいつらに何と言われようと何の関係もない。あいつらに何を言われるか気にしているお前を見てるんだ」
テ嬢「…。」
チュ君「テ・ゴンシル、傷ついたろう」
テ嬢「…はい」
チュ君「さっき綺麗に着飾って走っていく姿、まるでキャンディーみたいだった」
テ嬢「(頷く)そうですね。こんなところに招待されて、ご馳走してもらって服も買ってもらって…。それこそキャンディですよ」
チュ君「…。」
テ嬢「レーダーやれって言えばよかったのに、どうして?」
チュ君「怖いって言ったろ。これでも俺は防空壕なんだ」
テ嬢「…。」
チュ君「嫌がってるのに無理にやらせるのは…申し訳ないと思ったんだ」
テ嬢「(笑顔が戻る)そうだったんですか。それならちょっとスッキリしました。水霊捕まえに行きましょ」
チュ君「(また強引に腕を組み)行こう」
テ嬢「もう大丈夫ですよ、社長(離そうとする)」
チュ君「(手つなぎを死守)離せるもんなら離してみろ。俺は構いやしない」

ホテル内を見渡すテ嬢。
至るところで自分たちを見て噂している人たちがいた。

テ嬢「(笑)みんな捨てられたキャンディーを期待してるみたいだけど、そうなるのは嫌。行きましょ」

微笑み合い、二人は歩き出した。

+-+-+-+

カン・ウとイリョンはまた二人で顔を合わせていた。

#この二人のシーン、何故かすごく安心してみてられる。何?この安定感(笑

カン・ウ「早いな」
イリョン「コンシルと一番仲良かった子たちに聞いてみたんだけど、あの子のご両親は実のご両親で、仲も良かったって。電話の内容録音したけど、聞かせてあげよっか?」
カン・ウ「送っといてくれ。とにかくありがとな」

またしても素っ気なく席を立つカン・ウ。

イリョン「ちょっと!!!!!!」

イリョンは彼を追って外へ出た。

イリョン「あたしたちスパイみたい♪そんな映画出てみたかったのよね」
カン・ウ「お前、歌手じゃなかったのか?」
イリョン「映画だって1本出てるんだから!あたしのこと検索したこともないの?ネットに出てるのに」
カン・ウ「いつまでついて来んだよ」
イリョン「サラリーマン、車ないでしょ。あたしの車で送ってあげるわ。乗って行きなさいよ」
カン・ウ「俺は地下鉄で帰る。地下鉄は誰でも乗れるから、乗れることなら乗ってみな」

イリョンはフードでしっかり頭を覆い、歩き出した。

+-+-+-+

チュ君とテ嬢はプールサイドに並んで座っていた。
静かに時間が過ぎていく。

チュ君「テ嬢、しばらくここに座ってるが、何か見えるものはないのか?」
テ嬢「見えませんね。水の中にいるのかな?入って探さなきゃ」

立ち上がったテ嬢に続き、チュ君も思わず立ち上がった。

チュ君「もう少し待ってみろ。夜が更けたら現れるかもしれないだろ」
テ嬢「注射って打つ前が怖いでしょう?オバケだって見えるときより、何か出て来る予感のする方が怖いんですよ」
チュ君「…。」
テ嬢「それに、花火の時間までに終わらせたいんです。さっさと入って探します」
チュ君「大丈夫か?」
テ嬢「水霊ホントに怖いんです。一度掴んだら引きずり込んで離さないんですから」
チュ君「…。」
テ嬢「もし私が浮かんでこなかったら、救助はしてくれるでしょう?」

彼女がつけようとしたゴーグルをチュ君が奪い取った。
チュ君「もういい。やるな」
テ嬢「…。」
チュ君「部屋に戻ってゆっくり花火でも見ろ」
テ嬢「水霊はどうするんですか?せっかく無人にしたんだから解決しなきゃ」
チュ君「水を全部抜いて何日か乾かせばいい。やめにして戻ろう」

歩き出すチュ君。
彼女が一人になった瞬間、バシャッと水面を叩くような大きな音がした。

テ嬢「!!!」

彼女は水の方へと吸い寄せられるように歩き出す。
水の中から忍び寄ってきた何かがテ嬢の目の前に飛び出した瞬間、チュ君が彼女の手首を掴んだ。
瞬く間に消える霊。

チュ君「落ちるところだったろ」
テ嬢「(指差し)いました。おばさんが…。」
チュ君「(水の中を凝視する)」
テ嬢「怖い!」

+-+-+-+

テ嬢姉は追跡の末、借金踏み倒し男の家を突き止めた。
車の外に出ようとしてハッと動きが止まる。

男の妻らしき女性が大きなお腹を支えながら出て来たのだ。
幸せそうな二人。

ドアに手をかけていた力が抜け落ちた。

+-+-+-+

カン・ウとイリョンは地下鉄の座席に並んで座っていた。
黒いコートにフードをしっかり被り、サングラスで顔を隠し、それでも楽しそうなイリョン。
すると、前に立っている乗客がイリョンのうわさ話を始めた。
歌が下手だとか、年取ったら整形バレバレだとか、もう旬を過ぎたとか、あれこれと言いたい放題だ。

カン・ウ「…。」

イリョンはみるみるうちに下を向き、小さくなった。
カン・ウがさっと彼女の手を取る。

カン・ウ「次の駅で降りよう」

立ち上がった瞬間、彼女はフードを取り、サングラスを外した。

イリョン「こんにちは~、テ・イリョンです!」
乗客「!!!」

悪口を言っていた女性客に笑顔で詰め寄るイリョン。

イリョン「私、まだまだイケますよ♪ IU?♪ 나는요 오빠가 좋은 걸~♪」

夢中で写真を取る乗客たちの中、彼女の横で呆れ果てるカン・ウ。
集まってくる人の群れから彼女をかばうように、カン・ウはドアの方へ向かった。

駅を出たカン・ウの足取りは明らかに苛立っていた。

イリョン「どうして?面白かったのに」
カン・ウ「お前、全く!… ホントに歌ヘタだな」
イリョン「そう?けど、綺麗なのは認めるでしょ?」
カン・ウ「お前、完全に大バカだな」
イリョン「うん。だから決心したの」
カン・ウ「(うんざり)」
イリョン「あたしたち、付きあおうよ」
カン・ウ「(驚きもしない)…嫌だ」
イリョン「…。」

馬鹿げてるとでも言うように首を振り、彼はイリョンを置いて歩き出した。

イリョン「その場で振るなんてマナー最低ね!ちょっと!!!」

大声を上げた彼女は、すぐにまわりの人たちに見つかり、あっという間に人垣に取り囲まれてしまった。
シャッター音の中で困ったようにうつむくイリョン。

そこへ割って入って来たカン・ウが、彼女の手首を掴んだ。

イリョン「!」

#ここ、一瞬目を合わせる演出が素敵^^

1547

何も言わず彼女の手を引いて走り出す。
走りながら彼女は…楽しそうに笑った。

+-+-+-+

チュ君「水霊が…おばさんだって?」
テ嬢「えぇ。あっ!あそこです」

彼女が指を差した先には…コンパクトを覗きこみ、化粧を直すおばさんの霊。

チュ君「あそこか?何してるんだ?」
テ嬢「お化粧してます」
チュ君「化粧?」
テ嬢「…。」
チュ君「幽霊が化粧して、誰に見せるつもりなんだ?」(←こういう発想が普通とは違う。テ嬢と通じる所だと思う
テ嬢「何だかすごく変な感じです。あっ、おばさん出掛けるみたい」
チュ君「水霊なら水の中にいなきゃいけないんじゃないのか?」
テ嬢「水霊じゃないのかも」

霊が横を通り過ぎ、慌てて小さくなるテ嬢。

チュ君「何だ?どうした?」
テ嬢「あっちに行きましたよ」
チュ君「えっ?」(←ここ好き:笑

テ嬢は女子更衣室に入っていった霊の後をついて行った。
彼女が出て来たのは随分たってからのことだ。
おばさんの霊はすっかり支度を整えて階段を上がっていく。

#外で待ってるチュ君の心配っぷりが好き♥

チュ君「何でこんなに時間が掛かったんだ?」
テ嬢「あのおばさん、シャワーしてサウナして、トイレに入るときトントンってノックもするんですよ」
チュ君「(真顔)そんな礼儀正しい霊もいるのか?」(←こういう素直すぎるところがテ嬢と通じる所だと思う:笑
テ嬢「ちっとも自分が死んだとは思ってないみたいです」
チュ君「今どこに?」
テ嬢「あっちへ上って行きました」

レストランへやって来ると、おばさん霊はテーブルで腰掛けて食事中だ。

テ嬢「おばさん、あそこの椅子に座って食事なさってますよ」
チュ君「ずっとプールにいるわけじゃなかったのか?」
テ嬢「^^ 今、口元を拭いてます」

おばさん霊が立ち上がる。

テ嬢「行くみたい」
チュ君「次はどこだ?」

おばさん霊の後を追うテ嬢。チュ君も彼女に従った。

次はロビーのソファに腰掛け、ドリンクを飲みながら雑誌をめくるおばさん霊。

テ嬢「雑誌読んでいらっしゃいますよ」
チュ君「何だ?ホテルじゅう回るつもりか?」

次に客室フロアにやってきたおばさん霊。
廊下を歩いて行くと、突き当りにある部屋へと消えて行った。

テ嬢「あの部屋に入って行きました!」
チュ君「あの部屋はうちのホテルで一番高い部屋だな」

そこへ、ちょうど別の部屋からスタッフが出て来る。

チュ君「今あの部屋に宿泊客はいますか?」
スタッフ「いいえ、あの部屋は今、空き室です」
チュ君「開けて」

部屋の奥へ入ると、テ嬢がギクリとして立ち止まった。
これまでと違うのは、幽霊が二人の存在にまったく構っていないことだ。

チュ君「こんな高い部屋でそのおばさんは何してるんだ?」
テ嬢「あそこで夜景を観ながらワインを飲んでいらっしゃいますよ」
チュ君「…。」
テ嬢「生きてる人間みたいですね」
チュ君「生きてる人間みたいに振る舞うのに、プールではどうして?」
テ嬢「(考える)自分が死んだと思っていないから、プールで泳ぎながら他の人たちを押しのけてるんじゃないですか?」
チュ君「…。」
テ嬢「(首を傾げる)」
チュ君「もう死んだんだと教えてやって、もうチェックアウトするように言ってくれ。(小声で)行って」
テ嬢「分かりました」

おばさんに近づき、そっと声を掛けるテ嬢。
その声に、初めて霊が彼女の方を見た。

テ嬢「こんなこと申し上げるのは本当に申し訳ないんですけど、おばさん、ここにいらしたらダメですよ」

おばさん霊はグラスを脇に置いてバッグを取ると、中からホテルのチケットを取り出し、彼女に見せた。
チケットを覗きこみ、苦笑いするテ嬢。
一旦退却だ。

チュ君「どうした?聞き入れたか?」
テ嬢「当選して来たんだから、ここにいてもいいんだっておっしゃるんです」
チュ君「?」
テ嬢「これ、私にくださったのと同じのを見せてくれましたよ」

そう言ってテ嬢が出したのは、チュ君がプレゼントしたホテルのチケットだ。

チュ君「宿泊券の当選者だって?」
テ嬢「(うんうん)」

二人はロイヤルルームの宿泊券当選者を調べた。
当選者の個人情報と写真がまとめられている資料がすぐに届く。
カン・ギルチャという女性が当選者だ。

チュ君「この人か?」(←えらく小声
テ嬢「(うなずく)この人ですね」
支配人「この方は当選者の中でも特別に記憶に残っている方です」
チュ君「?」

支配人の話によると…
実際の宿泊当日、ホテルにやってきたカン・ギルチャは、ホテルの施設に目を輝かせ、
滞在中、それはそれは幸せに過ごされたとのこと。

チュ君「そんな熱心な顧客なら、死んでもここが忘れられないのは無理もないな」
支配人「(驚く)死んだですって?誰がです?」
テ嬢「カン・ギルチャさんですよ。亡くなったでしょ?」
支配人「誤解なさっているようですね。その方は生きておいでですよ」
チュ君「生きてるって?」
テ嬢「どこにいらっしゃるんですか?」
支配人「病院にいらっしゃると聞いております」
チュ君「…。(テ嬢に小声で)そんなことあり得るのか?」
テ嬢「私も初めてで…よくわかりません」

+-+-+-+

カン・ギルチャは、意識のないまま病院のベッドに横たわってた。
彼女のそばで暴言を吐く義母。義母を責める夫。言い争う二人をたしなめる娘。

+-+-+-+

チュ君とテ嬢は、まだ客室にいる幻ギルチャのそばに付き添っていた。

テ嬢「おばさん、ここにいちゃダメです。戻らなきゃ。本当に死んでしまうかしれませんよ」

テ嬢の声が聞こえないように、ギルチャは熱心に鏡を覗いている。

テ嬢「(チュ君に)戻りたくないみたい」
チュ君「…。(何か思いつく)さっきおばさんの娘の名前、何て言ってた?」
テ嬢「チュヨンですよ」

その名前を聞いた途端、ギルチャの手が止まる。

テ嬢「あ、反応したわ」
チュ君「…。」
テ嬢「イ・ジュヨンさんのお母さん、ここにいちゃダメですよ」
ギルチャ「…。」
テ嬢「家族が待ってますよ」
ギルチャ「…。」
テ嬢「戻って生きなきゃ」

ギルチャはゆっくりとテ嬢の方を振り返った。

テ嬢「(ギルチャに)行きますか?(うんうん)それがいいですよ」
チュ君「…。」
テ嬢「(ギルチャに)えぇ。そうですよね」
チュ君「はぁ。ああやってるのを見るのも、もうすっかり慣れたな」

テ嬢がチュ君に指でOKサインを出す。

テ嬢「OK、OK!」
チュ君「OK?OK?」
テ嬢「(うんうん)」

二人はホッとして笑いあった。

チュ君「(独り言)話が上手くいったんだな」
テ嬢「お帰りになるそうですよ」
チュ君「^^」
テ嬢「今夜の花火大会だけ見てから帰らせてほしいって。さっきのプールでおばさんと一緒に見て来ます」
チュ君「…。」
テ嬢「(一瞬でドレスに着替えた幻おばさんを見て)あっ、もう着替えたんですね。行ってきますね」

テ嬢が立ち上がった。

チュ君「テ・ゴンシル」
テ嬢「?」
チュ君「幽霊だって着替えて気分上げてるのに、お前も負けるな」
テ嬢「^^最後だし、一緒にアゲて行きましょうか」
チュ君「(行っておいでという素振り)^^」

+-+-+-+

ふたたびドレスに着替えたテ嬢は、チュ君と一緒にホテルのロビーへと戻ってきた。
花火を控えてワクワクした彼女は、おばさん霊を見つけ、「おばさん!一緒に行きましょ!」と思わず声を掛け、手を伸ばした。
その瞬間、チュ君が彼女の手を掴んだ。

テ嬢「!」
チュ君「人の目があるだろ。」
テ嬢「…。」
チュ君「おばさんじゃなく、俺と話してる振りをしろ」

そう言って、今度は優しく彼女の手を自分の腕に優しく絡ませ、微笑んだ。

チュ君「行こうか」
テ嬢「^^」

+-+-+-+

プールサイドに並んだ2人+1人の前で、次々と花火が上がった。

#花火を見上げるギルチャさんの顔がすごくいい。美しいものを見ている人の顔も美しくなるのだ♪

花火に顔をほころばせるテ嬢の横顔をチラリとうかがい、チュ君も空を見上げる。
ふとギルチャの方を見たテ嬢は、その輝いた表情から目が離せなくなっていた。

1549

ギルチャ(声)「とっても素敵な夢だったけど、もう目覚めなきゃ」

テ嬢の目の前でギルチャの姿が空へと消えて行った。

テ嬢「…。」

テ嬢は何事もなかったように、黙って視線を戻す。

+-+-+-+

ギルチャが病室で目を開けると、そばにいた家族が喜び、神に祈り、涙を流した。
彼女は帰って来たのだ。

+-+-+-+

チュ君「カン・ギルチャさん、喜んでるか?」
テ嬢「えぇ。ものすごく素敵だって」
チュ君「…。」
テ嬢「ひと夏の夜の夢みたいだって」
チュ君「…。」
テ嬢「頭がぼんやりしちゃうくらい目のくらむ夢みたいだって」
チュ君「(テ嬢をゆっくり振り返る)」
テ嬢「ドキドキもするし、幸せでもあるし、胸が痛みもするって」
チュ君「…。」
テ嬢「ここで見てるのがあまりに素敵で」

1550

二人の視線が合い、そこで止まった。

テ嬢「…。」
チュ君「…。」

ふっと我に返ってテ嬢が視線を外す。

テ嬢「おばさん、帰りましたよ」
チュ君「いつのことだ?」
テ嬢「たった今です」
チュ君「俺には見えないから。お前の言うとおりに信じていいんだな?」

テ嬢は頷いて微笑んだ。

テ嬢「えぇ」

大きな花火がひとつ上がって消えた。

テ嬢「終わったみたいですね。今日の私、ある人の素敵な夢を目覚めさせちゃった」
チュ君「?」

テ嬢はさっと立ち上がり、彼を置いて歩き出した。

+-+-+-+

後日のキングダム。休憩室付近。

キム室長「中国出張の日程が決まりました」
チュ君「何日間です?」
キム室長「1週間です」
チュ君「1週間とは随分長いな」

二人の視線の先には、休憩室のテーブルで何やら作業をしているテ嬢の姿があった。

チュ君「言ってやった方がいいかな?」
キム室長「テ嬢は知ってますよ」
チュ君「?知ってるのに、平気そうだな」
キム室長「テ嬢はこう言ってましたよ」

それはキム室長がテ嬢と話した時のこと~

テ嬢「社長は私にとって、高級ホテルの宿泊券プレゼントのようなものです。とんでもない幸運」
キム室長「でも、そこはずっといられる場所じゃないでしょう?そこを出てちゃんと生きるためには、いないことに慣れなきゃ」

チュ君「やっぱりな…。あのとき言ってたのはテ嬢自身じゃなく、カン・ギルチャさんのホテル感想記だったんだ。気を揉んで損した」
キム室長「気を悪くなさいましたか?」
チュ君「ちっとも。いなくてもいいとは、清々しますね」
キム室長「心が素直になれないときは、痛みが答えをくれるそうです」
チュ君「?」
キム室長「それもテ嬢が話していました。自分は答えを見つけたと」

チュ君は厳しい表情でじっと彼女の姿を見つめた。

チュ君「心が素直になれないときは、痛みが答えをくれると?誰かからよく聞いた話だ」
キム室長「誰です?それは」
チュ君「チャ…ヒ…ジュ」

~高校の図書室の棚の前で、チュンウォンとヒジュは向き合っていた

ヒジュ「心が素直になれないときは、痛みが答えをくれるの」

チュンウォンは自分の頬をパンパンと叩く。

チュンウォン「叩けばシャキッとするってことか?」
ヒジュ「そうね。あんたのほうが遥かに私のこと好きだから、あんたの心のほうが傷んで当然なの」
チュンウォン「お前を好きでいるためには痛みを覚悟しろって?」
ヒジュ「そうよ。チュンウォン、あんたにたくさん痛みを感じてほしいの(微笑)」

#とんでもなく天性のドS女。憧れる(爆

++-+-+

チュ君は改めて顧客センターのテ嬢を訪ねた。

チュ君「お前、その話誰から聞いた?ひょっとしてヒジュから聞いたのか?」
テ嬢「(首を横に振る)私、ヒジュさんには会ってませんよ」
チュ君「それなのに、ヒジュがよくしてた話、お前が何で知ってるんだ?」
テ嬢「それ…カン・ウさんに聞いたんだけど」
チュ君「…。」

+-+-+-+

社長室に戻ったチュ君は秘書に指示を出していた。

チュ君「カン・ウチーム長の履歴書をもう一度持ってきてください」
キム室長「はい。あ、ところで社長」
チュ君「?」
キム室長「チャ・ヒジュ嬢の保育園へ寄付に行ったんですが、そこでカン・ウチーム長を見かけました」
チュ君「!」

チュ君が次に向かったのは副社長のところだ。

副社長「カン・ウチーム長は履歴もいいし、推薦を受けて俺がスカウトしたんだが、何か問題でも?」
チュ君「推薦したのは誰です?」
副社長「あぁ、それは…」
チュ君「父ですか?」
副社長「!」

副社長が驚いて彼に向き直る。

副社長「知ってたのか?」
チュ君「…。」
副社長「義兄さんも君に話さないように言ってたし、君も義兄さんが人事に関わるのは嫌がるだろうと思って、途中で俺が預かったんだ。俺は両方に配慮したんだぞ」
チュ君「今後、配慮は二つに分けずに、僕側であれ、反対側であれ、ハッキリ一方だけにしてください」
副社長「?」
チュ君「…。」

+-+-+-+

チュ君が次に向かうのは保安室だ。

#一連の行動、無駄がなく直球で彼らしいですよね。

まっすぐカン・ウの前に立ちはだかった彼は…

チュ君「君は父が送り込んだ人間だって?」
カン・ウ「チュ社長の周辺を調べろと指示を受けました」
チュ君「なぜだ?」
カン・ウ「死んだチャ・ヒジュと関連する人物に接近できるからだとおっしゃいました」
チュ君「なぜだ?」
カン・ウ「チャ・ヒジュさんの周辺人物があの事件の主犯だとお考えです。チャン・ヒジュさんは被害者ではなく共犯だとお考えだからです」
チュ君「…。」
カン・ウ「お父様のお考えは当たっていますか?」
チュ君「…。」

~15年前の事件後~

父「犯人の顔を本当に見ていないのか?」
チュンウォン「先に父さんが正直に答えてください。あのとき僕の身代金は確かに渡してくださったんですか?」
父「私が金を渡さなかったから、ヒジュが死んだと思っているのか?」
チュンウォン「そうでなければ、なぜ僕が犯人の顔を見たんじゃないかと不安がるんです?」
父「お前の信じたいように信じろ」
チュンウォン「父さんも信じたいように信じてください」
父「…。」

父を睨みつけたまま、彼は拳をぎゅっと握りしめた。

チュ君「15年ぶりになぜまた気になり始めたのか、ここへ来て俺に説明するように伝えろ」
カン・ウ「…。」
チュ君「あぁ、それから。信じたいように信じろと言われたから、無くなったネックレスが父さんの元から出て来ることはない…そう信じていたと伝えろ」
カン・ウ「?」
チュ君「俺が今一生懸命探しているから、どうかそっちで見つからないように祈っていると…そう伝えろ」

それだけ言い、彼はカン・ウの前を後にした。

+-+-+-+

社長室に入って来たテ嬢は、誰もいないデスクの上に資料を置き、ぼんやりと考えをめぐらせた。

テ嬢「カン・ウさん、チャ・ヒジュさんとどんな関係なのかな?」

そのとき…

窓辺に冷たい空気を感じた彼女がゆっくり振り返ると、そこにヒジュが静かに佇んでいた。

テ嬢「…。チャ・ヒジュさん」
ヒジュ「…。」

+-+-+-+

チュ君が社長室へ戻ってきたとき、テ嬢は彼のデスクの前の床にぐったりと座り込んでいた。

チュ君「どうした?」
テ嬢「…チャ・ヒジュさんがいたんです」

テ嬢は立ち上がり、彼の方を振り返った。

テ嬢「話をしてくれたんです。自分がどうして最低女なのか…」
チュ君「…。お前はヒジュが見えるから、いつかは知ることになるだろうと思ってた」
テ嬢「…。」
チュ君「あいつが犯人のうちの一人だったってこと」

テ嬢は微かに頷いた。

チュ君「誰だ?俺を騙して、一緒に企てたのは誰だと言ってた?」

テ嬢は力なく首を横に振る。

テ嬢「…言えないって」
チュ君「何だって?」
テ嬢「その人を守らなきゃいけないって」
チュ君「…。」

チュ君が悲しげに小さく息をつく。

テ嬢「…。」
チュ君「分かった」

席につこうとデスクを回りこんだ彼は、途中で書類ケースに寄りかかった。

ヒジュ(声)「あたし、あんたにたくさん痛みを感じてほしいの」

じっと悲しみに耐えているチュ君を見つめていた彼女は、彼を残してそっと部屋を出ていこうとした。

チュ君「テ・ゴンシル」
テ嬢「?」
チュ君「行くな。ここにいるんだ」
テ嬢「…。」
チュ君「あいつにこんな自分をみせたくない」
テ嬢「…。」
チュ君「お前はあいつが見えるから、そばにいて俺のことを守ってくれ」

1551

+-+-+-+

ここでエンディングです。

普通なら衝撃的なラストのシーン。
力の入りそうなシーンなのに、二人の会話が逆にものすごく静かで、ポツリポツリと力が抜けているのがとても印象的です。

すごく重要な回だったけど、お姉さんの話あたりは省いて、もう少し花火のムードを楽しませてほしかったですね~。
ちょっと残念。

おばさんが消えたのに、そのままテ嬢は黙って続けたことや、聞いてもいないおばさんの感想を話して聞かせたこと。
とても素敵な描き方で、その後、テ嬢が「プレゼントに当選したのなら長くそこにはいられない」とキム室長に話したことに見事に気持ちがつながります。

これまでは幽霊怖さにテ嬢がチュ君を求めるばかりだったけど、チュ君がテ嬢を求めていることをはっきり自覚し、彼女にそう言ったことで、
次回から二人の関係がどう変化するのか、とても楽しみです。

今回も長文を最後までお楽しみいただきありがとうございました。
いつもどおりロクに読み直さずに公開しますが、後で随時修正します。
どうぞご了承くださいね。

 - 主君の太陽 ,

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