SPY(スパイ:JYJジェジュン主演)15話あらすじ&日本語訳vol.2
JYJキム・ジェジュン、ユ・オソン出演、「SPY」15話。後半に進みます。
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ヒョンテだけを乗せ、救急車が走り去った。
一人残されたソヌは電話を手に取る。「…ユンジン、今どこだ?」
「分かったわ」彼と連絡がつくと、ユンジンは車を大きくUターンさせた。
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ウナはソヌの自宅に来ていた。
ウソクとヨンソがソファに並び、悶々と連絡を待っている。
ウナの電話が鳴った。「先輩、どうなりました?」
「…。」電話の向こうの声に、ウナは声を失った。
ウソク「何ですって?」
「…。」どう話していいものか、ウナが困って下を向いたそのとき、玄関の暗証キーを入れる音が聞こえたかと思うと、見知らぬ男が入ってきた。
ヨンソは思わず父にしがみつく。
ウソク「今度はまた何です?」
男「キム・ウソクさんでいらっしゃいますね。少し外へ出ていただけますか。お待ちの方がおられます」
「?」ウソクがウナを振り返ると、彼女は気まずそうに視線を逸らした。
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ウソクが外へ出ると、停まっていた黒塗りのセダンのドアが開かれた。
彼がチラリと覗くと、中にいた男と目が合う。
チョン次長だ。
ウソクは車に乗り込み、次長の隣に座った。
次長「ご子息が逮捕されたという話はお聞きになったでしょう。状況がよくありません」
ウソク「全部私の過ちです。どうにかならないんですか?」
次長「キム・ウソクさんさえ腹をくくれば、方法がないわけじゃありません」
ウソク「それは何です?」
次長「30年前にパク・ヘリムに抱き込まれ、今まで定住スパイの仕事をしてきたと、そう自白なさればいいんです」
#だからさー ユンジンがスパイだったとか、ヘリムがスパイだったとか、そういうこといつの間に次長やジュンヒョクが知ってるのか。
そういうとこウヤムヤに進められると力抜ける。
次長「そうすればキム・ソヌは機密漏洩程度に軽く処理して差し上げますよ」
ウソク「…。」
次長「学のある方ですから、話の意味はお分かりになるはずです」
「…。」ウソクは頭を抱えた。
そのとき、次長の電話が鳴る。
次長(電話)「あぁ、何だ?何?逃げられたって?!」
ウソクがハッとして顔を上げた。「!」
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バス停前に立っているソヌの前に、ユンジンの運転する車が到着した。
助手席に乗り込むなり、彼は口を開く。「ファン・ギチョルは?」
ユンジンはタブレットを彼に差し出した。
ユンジン「まだ近くよ。すぐ追いつけるわ」
「…。」ソヌが痛みにぎゅっと目を閉じた。
ユンジン「大丈夫?ひどい怪我なんじゃないの?」
ソヌ「掠っただけだ。何てことない。すぐ行こう」
車が走りだした。
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チョン次長が国家情報院へ戻ってきた。
廊下へ入ってくると、先に戻っていたヒョンテが近づく。「次長」
次長「こいつ… キム・ソヌを取り逃したそうだな」
ヒョンテが苦笑いを浮かべる。
「チャンスをやったのに!」次長は舌を鳴らした。
次長「今度は辞職くらいでは済まんぞ」
ヒョンテ「はい。それは構わないんですがね。キム・ソヌがハードディスクを持って来たらどうなさるんです?」
次長「!」
次長が立ち止まり、ヒョンテを振り返った。「お前、取り逃したんじゃないな」
ヒョンテは大きく一つ、咳払いをする。「キム・ソヌはハードディスクを取り戻しに、ファン・ギチョル追って行きました」
ヒョンテ「もしハードディスクを持って来たら、なかったことにしてくださいますか?」
次長「!」
ヒョンテ「ハードディスクが見つかったら、埃一つ残さず綺麗さっぱり処理します。これ以降もし問題が起きたら、全部自分が引き受けます」
次長「事を大きくしてくれたな。12時間やろう。今回も失敗したら、キム・ソヌの家族は娘も含めて全員終わりだ。いいな」
ヒョンテ「…。」
次長が廊下を進んでいくと、ヒョンテはくるりと背を向け、反対側へと足を進めた。
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古い工場が並ぶ寂れた区域へ入ると、ユンジンはそこで車を停め、タブレットの表示を確かめた。
「すぐ向こうよ」ユンジンが前方を指す。
車を降りると、二人はそれぞれ銃を手に目的の場所へと進んだ。
ユンジンが彼の前に立ち、建物の陰から向こうを覗く。
黒いバンが目に入った。
二人は2方向に分かれ、両側からバンに近づく。
同時に運転席にピストルを向けると、中は無人だった。
ソヌ「逃げたんだ」
ユンジン「…。」
ソヌ「そんなに経ってないから、きっと近くにいるはずだ」
二人は車に戻る。
来た時と違い、ソヌが運転席に座った。
ユンジン「落ち着いて、ソヌさん」
ソヌ「落ち着く?落ち着いていられるか?急いで追いかけなきゃ逃がしてしまう。家族全員傷つくかもしれないんだ」
ユンジン「それでも、どこへ逃げたのか考えて行かなきゃ。闇雲に出発して、見つけられると思う?この近くに潜んでるのか、車で移動したのか、私たち何も分からないのよ」
逸るばかりの心と、ソヌは懸命に葛藤していた。
ユンジン「それにソヌさんは怪我してるのよ。これ以上動くのは…」
ソヌ「母さんも!…母さんも怪我してるんだ」
ユンジン「…。」
「待てよ」ソヌが考えを巡らせる。「ファン・ギチョルの手下の中にも負傷者がいた」
ソヌ「怪我人が2人いたら、どこに行っても目につくはずだ。わざわざここへ来て車を捨てたってことは、近くに治療を受けられる場所があるってことだ」
彼は電話を手に取った。
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国家情報院へ戻ってきたウナは、個人ブースでソヌからの電話を受けた。「あんた大丈夫?」
ウナ(電話)「あんたの家族、今…」
ソヌ(電話)「知ってる。そこでなんだけど、頼みがあるんだ」
ウナ「また?今度は何?」
ソヌ「俺が知らせる位置、半径3km以内の診療所。大きいところじゃなくて、外科治療が可能な場所を調べてくれ。それから、うちが持ってる資料の中で、近くで不法滞在者を相手に無免許で治療しているところ。全部リストアップしてくれ」
「ありがとう」ソヌはそう言って電話を切った。
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すっかり夜になっていた。
暗い病院の廊下に人影が見える。
ホンランたちだ。
奥の部屋で、ヘリムとジョンホが治療を受けていた。
治療を見守るキチョルの元へ、ホンランがやって来る。「先に出発する予定ですか?」
キチョル「朝には出発しないとな」
ホンラン「これ以上遅らせるわけにはいきません。もう随分遅れているんです」
キチョル「仲間が怪我したのに、捨てていくのか?」
ホンラン「…。」
キチョル「俺はまぁ、取り分が増えるから都合がいいが」
ベッドの上で苦しんでいるジョンホを、ホンランはチラリと見た。
そして、反対側にいるヘリムに視線を移す。
「終わりました」医師が言い、部屋を出て行った。
キチョルは手錠を手にヘリムに近づくと、彼女の腕とベッドを繋いだ。
キチョル「突飛なことでもされたら困るからな」
ヘリム「…。」
キチョル「ゆっくり休め」
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店から買い物袋を片手にユンジンが戻ってきた。
「包帯と消毒薬を買ってきたわ、ソヌさん」車の中をのぞき込むと、ソヌはシートにもたれ掛かったまま、眠っている様子だ。
運転席に乗り込み、彼女は眠っているソヌの横顔をじっと見つめた。
思わず額に手を伸ばし、そこで躊躇う。「…。」
夢にうなされた彼の汗を拭った記憶が、彼女の中で甦った。
「大丈夫?もう2度目よ。一体どんな夢なの?」
「言ったろ。君が出てきたって」
「また冗談で誤魔化すんだから。家に帰って休めばいいのに」
「俺はここが楽なんだけど。誰かさんがいるから」
あのときは何の躊躇いもなく彼の汗を拭ったその手を、今はこれ以上伸ばせずにいた。
ユンジン「誰も傷つかずに済むとは思ってなかった。それがソヌさんでさえなければいいと…そう願ったのに」
ソヌの電話が鳴り始めた。
ユンジンはさっと彼から目を逸らす。「電話よ」
「ありがとう」彼は電話に手を伸ばした。
ソヌ(電話)「あぁ、ウナ。リストを送ってくれ」
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ジョンホがベッドから起き上がった。
ヘリム「撃たれたのは初めてのようね」
ジョンホが上目遣いに彼女を見る。
頬の汗が光っていた。
ヘリム「私がいて良かったと思いなさい。私がいなかったら、あんたは治療も受けられずに捨てられたわ」
「!」ジョンホはいきなり立ち上がると、そばに置いてあった治療道具をひっくり返す。
ジョンホ「黙れ」
ヘリム「冗談だと思う?」
ジョンホ「!」
ヘリム「負傷者はお荷物よ。さっき見ていたら仲間たち、もうあんたを疎ましがっているようだったけど」
ジョンホ「…。」
ヘリム「気を抜いては駄目。しくじったら自分の取り分を受け取る前に死ぬわ」
そこへ足音が近づいてくる。
キチョルが入ってくると、向き合っている二人を見比べた。
キチョル「元気が出たようだな、ジョンホ同志」
「出てろ」そう言われ、ジョンホは上着を掴み、外へ出て行った。
キチョルは椅子を持ってくると、ヘリムのそばに腰を下ろし、手に持った黒い鞄を床に置く。
ヘリムの顔を見ると、ふっと笑う。「昔を思い出すな」
ヘリム「昔の何を?」
キチョル「瀋陽で、お前が爆弾をぶちまけたときのことだ」
ヘリム「…。」
キチョル「目が覚めたら、周りは真っ白で。地獄ってやつは白いのか… そう思ったが、病院だった」
ヘリム「…。」
キチョル「あのときお前、病院に来てたろ」
~~~~
あの爆発事件の後。
目の他は包帯でぐるぐる巻きにされ、キチョルは病院のベッドに横たわっていた。
「?」ベッド脇のカーテンに映ったシルエットに、彼は目を硬直させる。「!」
カーテンが揺れると、その隙間から黒い銃口が顔を出した。
キチョル「…。」
身動きできず、ただ呻くことしか出来ないキチョルを、キム・ソンへの目が静かに見下ろしていた。
「…。」しばらく見ていた彼女は、そのまま銃を下ろす。
~~~~
キチョル「最初は幻を見たのかと思った。俺を生かしておく理由がないからな」
ヘリム「…。」
キチョル「ところが、それからもずっと頭が混乱してた。教化所にいる間… 夢だったのか、現実だったのか、気になって死ぬことも出来なかった」
「ソンへ… お前だったのか?」じっと前を見据えたまま、キチョルは言った。
キチョル「あのとき病院に来たのは、お前だったのか?」
ヘリム「…そんな覚えはないわ。見間違いよ」
キチョル「なぜ殺さないのかと、なぜこんなに苦しめるのかと、そう訊いたろ。全部お前の過ちだ。俺を殺さなかったから」
キチョルは再び黒い鞄を手に立ち上がった。
キチョル「時間はもう少しあるから、寝ておけ」
ヘリム「…。」
キチョル「長旅になる」
キチョルが部屋を出て行くと、ヘリムは思い巡らせるように目を細める。「そう」
ヘリム「全部私の過ちよ。遅くなってしまったけど、そろそろ私のやるべきことをやるわ」
+-+-+-+
ウナのリストを頼りに、ソヌたちはある診療所の前に車を停めた。
ソヌ「ここは小さすぎる」
ユンジンは頷き、再びアクセルを踏む。
彼らはまた別の診療所前に辿り着いた。「ここは大通りの目の前だ」
「一体どこにいるんだ?」ソヌが苛立ちを募らせた。
ユンジン「落ち着いて。まだ日が昇るまでは時間があるわ。もう一周まわってみる?」
「ちょっと待って」ソヌはウナから送られたリストをもう一度チェックする。
『메스트병원(メスト病院)
逃走容疑。医師免許停止により、現在休業状態』
ソヌ「ここへ行ってみよう」
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キチョルの手下たちが、こっそり廊下に集まっていた。
「これ以上先送りしないで、ここでやろう」ジョンホが言う。
ジョンホ「早く終わらせた方がいい」
「さっさとそうすりゃ良かったのよ」ホンランがニヤリと笑みを浮かべた。
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ヘリムはベッドの下を覗き込んだ。
さっきジョンホがワゴンからひっくり返した道具が転がっている。
彼女は懸命に手を伸ばした。
#足を伸ばしゃいいのに。お上品なんだから
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キチョルの手下の一人が病院の正面玄関を開け、外を覗いた。
誰も居ないのを確かめると、中から鎖で扉を封鎖する。
ロビーに一人でいるキチョルを横目に、彼はそのまま病院の奥へ向かった。
キチョルは手に持ったハードディスクをひとしきり見つめると、それを黒い鞄に戻した。
「?」ふと異変を感じ、ゆっくりと後ろを振り返る。
そこには彼の手下たちが勢揃いしていた。
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病院へ向かいながら、ソヌはそこへ電話を掛けた。
何度も呼び出し音が流れるばかりで、応答はない。
無言で睨み合うキチョルたちのそばで、電話の鳴る音だけが響いていた。
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ここでエンディングです。
ヘリムたちを手当てした医師に「ちょっと待って。もうすぐあと一人来るから」と無駄なことを呼びかけつつ、最終回へ進みまつ♪
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Comment
いつも有り難く読ませて頂いています。
今回、何故、国家情報院のメンバー達がヘリムとユンジンがスパイと知っているのかということを仰ってましたが。
13話だと思いますが、ソヌがウソクの会社に乗り込んでいったときに、1人ギチョルの部下が捕まっています。(気絶していた人)。
後に、部下が取り調べで自白剤を打たれていましたので、そこで皆が知ることになったのではと考えられませんか?
否定的意見を書かれるなら、細心の注意を払って書くべきだと思います。
では、これからも素敵な訳期待してます。
皆さん、いつもありがとうございます。
>韓国ドラマファンさん
ご指摘ありがとうございます。
確かに捕まったキチョルの部下が自白したのだと思います。
「イ・ユンジンもスパイだったのか?」というジュンヒョクの声も、ヒョンテの回想で出てきますね。
おっしゃるとおり、自白で明らかになったのだと、そう”考えられます”。
ただ、これまで事実は比較的ハッキリ示してきたこのドラマで、こんな大事な部分を視聴者の推測に委ねるような作りにしたのは無理があるんじゃないかと、それが正直なところです。
否定的な意見を書くなら細心の注意を払うべきだというご指摘はおっしゃるとおりであり、今後肝に銘じたいと思います。
ありがとうございました。