夜警日誌あらすじ&日本語訳14話vol.1
チョン・ユンホ(東方神起ユノ/ユンホ)、チョン・イル出演、「夜警日誌」14話前半、ドラマのあらすじを掴みながら、台詞を丁寧に日本語に翻訳していきますね。
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ムソクの首を締めるイナに素早く近づくと、リンはその背中に護符を貼り付けた。
イナ「あっ…」
イナは兄の首から手を放し、ジリジリと後ずさりをする。
彼女はリンの顔を見上げた。
リン「もう悪鬼にならなくてよいのだ」
イナ「…。」
イナの纏っていた黒装束が、もとの美しい娘姿に戻った。
呪いが解けたのだ。
ムソクが立ち上がった。「どうなったのですか?」
リン「ようやく…君の妹に戻った」
「!」ムソクは手に握った鬼針盤を見ると、針の指す方を探る。
イナ「…。」
兄を見上げて微笑むイナの目を、ムソクは正確に捉えていた。
リン「君を見て笑っている」
ムソク「…。」
リン「温かい兄上が冷たく振る舞うのは胸が痛む… だから、そうしないでくれと。どうか幸せに生きて欲しいと…そう言っている」
「…。」ムソクはゆっくりと妹に手を伸ばす。
涙が一筋、彼の瞳からまっすぐにこぼれ落ちた。
温かい兄の手が頬に触れると、イナは嬉しそうに微笑む。
イナ「すごく温かいわ。お兄様の手」
ムソク「イナ…」
愛しい兄の顔を見つめたまま、イナは静かに消えた。
ムソクの鬼針盤が…動きを止める。
ムソク「?」
リン「…行った」
ムソク「!」
リン「微笑んだまま、穏やかに…行った」
ムソク「…。」
ムソクはもう誰もいなくなってしまった空間をぼんやりと見つめた。
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サダムとホジョが石光寺へと駆け込んだ。
そこは何ら変わりはない普段の石光寺そのままだ。
サダム「そんなはずはない!どこの誰が大胆にも我が結界を破ったというのだ?!」
彼は足元に落ちている護符に気づいた。「?!」
サダム「まさか…」
そのとき、ホジョが叫んだ。「サダム様!」
寺の建物の脇を、向こうへ歩いて行く人影が見える。
ホジョ「月光です!」
サダム「何だと?!」
サダムは手にした護符と、寺の向こうへと消えていく背中を見比べた。
サダム「…月光?」
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尚宮に付き添われ、回復した大妃が外へ出てくると、待っていたリンが向き直った。
ムソクとトハも一緒だ。
揃って深く頭を下げる彼らを、大妃は穏やかな笑みで見つめる。
駕籠に乗り込むと、大妃は孫に守られながら石光寺を後にした。
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山道をのんびりと進みつつ、ムソクは並んで馬を歩かせるトハにポツリポツリと漏らした。
ムソク「死んだイナとは永遠に縁が切れたんだって… 以前はそう思っていた。それがこの上なく悲しくて…」
トハ「…。」
ムソク「今は… ここでないどこかにいるんだと思えるから、前のように虚しくはないんだ」
そう言って、ムソクは遠いどこかをぼんやりと見つめた。
トハ「一度つながった縁なら、いつか必ずまた巡り会えます。いくら生死が分かれたとしても」
ムソク「左道だと蔑んでいた。人々の弱った心に潜り込んで惑わせ、誤った行いをさせる… そう思っていたんだ」
トハ「たいていの人はそう思うんですよ」
ムソク「けれど、その左道のおかげで他人より多くを見聞きし、理解し、そうなるなら…」
トハ「?」
ムソク「それは君主が持つべき素質ではないか… そんな気がする」
トハは黙ってムソクの横顔を見つめる。
彼の表情はとても穏やかだった。
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「何と言ったのだ?」蔵書閣の前で、領相はサダムに聞き返した。
領相「夜警軍だと?」
サダム「12年前、これを見たことがあります」
そう言ってサダムが取り出したのは、石光寺で拾った護符だ。
サダム「やはり崩壊した夜警軍がふたたび結成されたようです。まさに月光大君を主軸として」
領相「夜警軍…。夜警軍と言ったか」
サダム「夜警軍を捕らえ、同時に主上を圧迫する方法、私は知っていますが」
領相「そのような方法があるのか?」
サダムはニヤリと笑い、心の中で呟いた。「それから領相、あんたのことも縛り付ける方法だ」
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深々と礼をするリンを前に、キサン君は実に憔悴した様子だった。
キサン君「御祖母媽媽を宮までお連れしたそうだな」
リン「はい、殿下」
キサン君「そうか、よくやった」
顔を上げたリンの目に入って来たのは、キサン君の後ろでこちらを見ているキム尚宮の姿だ。
リン「!」
キム尚宮の霊がなぜここに?
キサン君「どうした?」
リン「何でも…ありません」
キサン君はそれ以上追及するのも面倒だとばかりに、眉をひそめた。
「殿下、入ります」そのとき、外で領相の声がする。
キサン君は返事の代わりに大きな溜息をついた。
領相が入ってくると、キム尚宮はリンのすぐそばまでやって来て、領相を睨む。
リンは黙ったまま、領相とキム尚宮を見比べた。
リン「…。」
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リンが大殿の外へ出てくると、彼に続いて出てきたキム尚宮は、あっという間に遥か前方へと姿を消した。
リン「なぜ…パク・スジョンを?」
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「夜警軍の話をお聞きになったことが?」領相は単刀直入に切り出した。
キサン君「夜警軍?」
領相「一時期、彼らは先代王の親衛隊でした。しかし、彼らは鬼神を利用して先代王を惑わせて傀儡とし、権力を手に入れようとしたのです」
キサン君「鬼神を利用しようとしたと?」
領相「その親衛隊が月光大君へと集結しているという話があります」
「何と?!」キサン君が身を乗り出した。
領相「月光が…?鬼神を扱う者が月光に集まっていると?!」
「鬼神…?」キサン君は譫言のように呟く。
領相「殿下、どういたしましょうか」
キサン君「そやつらを捕らえ、誰よりも真っ先に余の前へ連れて来るのだ!よいな?」
領相「はい、殿下」
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「領相の方から動き始めました」祠堂へやって来たホジョがサダムに告げた。
サダム「互いに噛みつき合うことになるだろう」
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街の中をものすごい勢いで駆け抜ける軍官たちの姿に、街の人々は呆気にとられた。
サゴン「一体どうしたんだ?戦争でも起きたのか?」
町人「別の王を立てようとしている奴らがいるらしいですよ。そいつらを捕まえに行くんでしょう」
サゴン「おかしな奴らだな。別の王を立てようなんて、命が10個あっても足りないぞ」
町人「それにしても、宿屋と何の関係があるんだか」
サゴン「宿屋だって?!」
町人「えぇ」
サゴンは慌てて駈け出した。
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リンとトハは地下室でサンホンと顔を合わせていた。
サンホン「大蛇は石像となって保存されていました。封印はまだ完全に解かれてはいないはずです。サダムが怨霊の力を利用して完全に封印を解く前に、大蛇を除去しなければなりません」
リン「方法は?今のところ、まだ大蛇のそばに近づくことさえ出来ないのです」
サンホン「大蛇と一緒に、それを射抜いた神弓もあったんですが… おそらくサダムが放置してはいないでしょう」
リンが小さく頷く。
リン「何かありそうだ…。サダムはなぜそこまで大蛇に執着するのですか?大蛇を昇天させ、何を得ようとしているのです?」
サンホン「”率獸而食人”を起こし、朝鮮を龍神族の国にしようとしているのです」
※率獸而食人=文字通り、獣を従えて人を食わせること
サンホン「そうなれば、人間は牛や豚のように龍神族に踏みにじられ、悲惨な生を送ることになるでしょう」
トハ「龍神族はとても凶悪な奴らです。絶対に阻止しなければ!絶対に!」
リン「トハはなぜそんなに知っているんだ?龍神族のことを」
トハ「私の両親も… 彼らの手で亡くなったんです」
サンホン「…。」
トハ「それに姉も…。絶対にこの地を彼らに支配させちゃ駄目です!そうなったら、多くの人々が苦しむことになるわ」
息の詰まるような空気に、サンホンはそっと視線を外した。「副護軍(ムソク)は来ないようだな」
リン「左道を撥ね付けてきた人です。人は一日のうちにそう簡単に変われるものじゃありません」
サンホン「…。」
そのとき、背後から不意に声が聞こえた。「遅くなりました」
リン「!」
入って来たムソクに、思わずトハが立ち上がった。
リンはムソクを見上げ、小さく微笑む。
トハ「いらっしゃったんですね!」
ムソク「皆、どうなさったんです?気まずいじゃありませんか」
嬉しそうに笑ったトハに、ムソクもふっと微笑んだ。
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サゴンが大慌てで走ってくると、宿屋へ駆け込んだ。
完全に息が上がったまま、彼はキョロキョロと宿を見渡す。
オンメ「またお腹でも痛いんですか?厠へ行ってらっしゃいな」
サゴン「兄貴はどこだ?兄貴はどこだよ?」
オンメ「どうしたんです?」
そこへ軍官たちがゾロゾロと中へ入って来た。
彼らは一斉に宿の中に散らばり、反逆者たちを探し始めた。
オンメ「何です?何をしてるんですか?!」
サゴン「ここが反逆勢力の本拠地だって」
オンメ「何ですって?反逆?!」
軍官たちは1,2階の各部屋を覗き、1階の奥へも立ち入った。
厨房の奥にある、飾り棚が並ぶ部屋まで入ってくると、ざっと周りを見渡す。
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地下室の階段の下で、リンたちは階上での物々しい足音に聞き耳を立てていた。
足音はしばらくするとさっと遠ざかる。
トハ「行ったみたいです」
リン「そうだな」
「私が確認してきます」上へ上がろうとしたトハの前を、リンが咄嗟に塞ぐ。
ムソクがチラリと彼を見た。
リン「ここにいろ。私が行ってみる」
今度は逆にトハがリンの腕を掴んだ。
トハ「左道の痕跡を探しに来たんです。私は巫女だから構わないけど、皆さんは危険だわ」
トハは階段を上がっていくと、扉を開けた。
#床を押し上げてますが、そんな作りになってましたっけ?!前にリンが見つけた時は、普通に扉を開いてたよね?
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トハが1階の表へ出てくると、そこは散々な光景だった。
そこら中に調理道具や食器が転がり、大切な野菜も床に散乱している。
愕然とするトハにオンメはどこか平然と口を開いた。「皆行ったわよ。何の証拠も掴めずにね」
オンメ「はぁ、何てことなの?こんなにひっくり返したんなら、片付けて帰んなさいよね!あー!腹が立つ!」
チョヒ「突然どうなっちゃったの?」
「商売しなきゃ、片付けよう」サゴンがチョヒに促した。
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宮中を歩いていたキサン君は、不意に聞こえてきた声に思わず立ち止まった。
「キム尚宮の霊ですって」
「本当?前に中殿媽媽のお世話をしてた人?」
向こうの方を歩いて行く女官の噂話だ。
キサン君「!」
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たちまち不安に陥り、キサン君は領相を呼び寄せた。
キサン君「何も見つからなかった?そんなわけがあるまい。今すぐ捕らえるのだ。鬼神が見える者たちだそうではないか」
領相「…。」
キサン君「あやつらがあの日のことを知る前に!月光に話す前に、早く!」
領相「…。」
「領相もあの日のことが外に漏れたら困るであろう」キサン君はそう言って視線を逸らす。
領相「あの日のことですと?何のことを仰っているのか分かりません」
キサン君「!」
領相「では、これで失礼致します」
出て行く領相の背中を、キサン君は鋭い目で睨んだ。
キサン君「あぁ。あの日のことは、知らぬふりをしていた方が気楽だろう」
大殿を出てきた領相の表情は実に重苦しかった。
彼は思わず柱にもたれかかり、立ち止まる。
領相「…。」
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「真っ黒に干からびた宮女の死体が宮中で見つかりました」ぞっとするような話が大妃の耳に入った。
イ尚宮「鬼神の仕業ではないでしょうか」
大妃「これ!なぜ鬼神のことなど口にするのです?!」
イ尚宮「…。」
大妃「皆にしっかり口止めをしなさい」
退室するイ尚宮と入れ替わりに、大妃の前に現れたのはキム尚宮の霊だ。
そうとは知らず、大妃は溜息のように独り言を漏らした。「そう…」
大妃「鬼神というものが存在するなら、朝鮮じゅうでこの宮廷に一番多くの鬼神が住んでいるはず」
キム尚宮は大妃を睨みつけた。
大妃「この手で… 実にたくさん過ちを犯してきた。でも、そうしなければ王室、そして朝鮮は維持できなかったのだ」
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大蛇が安置される秘蔵庫で、サダムは今日も怨霊を放ち、大蛇の治療を行っていた。
ホジョ「龍神がここにいるのを知っている以上、やつらもじっとしていないでしょう」
サダム「案ずるな。備えは全て済ませてある」
そのとき、石化した大蛇の表面がボロボロと剥がれ始めた。
サダム「怨霊の力で、もうじき大蛇の封印も解けるだろう」
ホジョ「主上をどう説得なさるのですか?」
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「塔を建てることは、領相大監の損にはなりません」サダムは領相に再び塔の話を持ちかけた。
領相「…。」
サダム「そうなれば、民心は離反するでしょうから、大監が後のことを図るのに役立つではありませんか」
領相が納得したように頷いた。
その口元に笑みまで浮かべて。
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「サダムはまだか!」全く落ち着かない様子で大殿へ戻ってきたキサン君は、待ちきれずに内官に言いつけた。
キサン君「サダムを呼ぶのだ。早く!」
ほどなく、サダムは実にふてぶてしい様子で現れる。
サダム「お呼びですか」
キサン君「宮中を怨霊が徘徊しておる!余の殺した者たちが怨霊となり、余を殺そうとしているのだ!あやつらを阻止せねばならぬ!阻止せねば!」
サダム「怨霊たちを封印する方法はございます」
キサン君「あぁ、そうだろうと思ったのだ!それで?どうすればよいのだ?どうすれば封印できる?」
サダム「怨霊を封印すると同時に、殿下の威厳も高めることができる方法!」
キサン君「焦れったい。早う申せ!」
「塔を建てるのです」サダムは十分溜めた後、そう口にした。
キサン君「塔を建てよと?」
サダム「朝鮮史に前例のない、偉大な塔となることでしょう」
キサン君「…。」
サダム「塔の上で雲を掴めるほどの、高く巨大な塔!それを殿下が成し遂げるのです」
キサン君もまた、塔という突拍子もない提案に、領相同様あっさり惑わされたようだ。
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「朝鮮が鬼神たちでざわついておる」官僚たちの前へやって来ると、キサン君はさっそく話を切り出した。
キサン君「鬼神たちを眠らせ、王室の威厳を保つため、塔を建てることにする!」
官僚たちが一斉にざわめいた。
大臣「殿下!鬼神ですと!なぜ殿下が鬼神などと軽く口になさるのですか?!」
右相「何の権限があって、殿下に説教を?!」
大臣「説教ですと?!」
「やめるのだ!」キサン君の声が飛ぶ。
官僚たちは下を向き、黙り込んだ。
キサン君「塔の名前は決めてある。その名も”泰平蒼天の塔”!」
落ち着いて黙っている領相の顔を、右相がじっと窺う。
大臣「先日の痘瘡で、民は苦しい思いをいたしました。それなのに、巨大な塔を建てるですと?あってはならないことです!ですから、どうか志をお取り下げくださいませ!」
キサン君「反対するでない!余の志に黙って従うことは出来ぬか!」
大臣「領相大監、何とか仰ってください」
領相が静かに目を開いた。「殿下!」
領相「殿下の思うようになさいませ」
大臣たち「!!!」
サダムと領相の魂胆を推し量れぬまま、キサン君は一人賛成する領相を見つめた。
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王が塔を建てるらしいという話は、あっという間に街へと広まった。
宿の食事客もその話で持ちきりだ。
客1「一体何のために塔を建てるのか、いくら考えても分かりゃしない」
客2「同感だ。無駄に金持ち自慢してどうするんだよ」
「そうさ、金持ち自慢!」チャン氏が声を上げる。
チャン氏「塔を建てておいて、自分はこんなに金を持ってるんだ!そう自慢したいんだな」
オンメが注文の酒を持ってやって来る。
オンメ「塔を建てるお金があるんなら、痘瘡で両親を失った子どもたちに、ご飯の一杯でも食べさせてあげろってんだ。全く腐ってるわ」
チャン氏「その通りだ!オンメみたいな人が王様だったらなぁ」
客が一斉に大笑いした。
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リンの仲間たちは地下室に勢揃いしていた。
リン「蔵書閣を潰し、塔を建てるそうです。その混乱に乗じて大蛇を移すつもりでしょう」
サンホン「今、何と?塔とおっしゃったのですか?」
リン「…えぇ。そうです」
サンホンは愕然とした表情で、考えを巡らせた、
サンホン「あやつは大蛇を移そうとしているのではありません」
リン「どういう意味ですか?」
サンホン「大蛇はもともと水の気を受け、それを動力に昇天するよう成り立っています。それが今は昇天できる条件が揃っていないため、次善策として塔を選択したのでしょう。塔を登り、昇天させるためです」
トハ「それなら、どうすればいいのですか?サダムを止めるためにはどうすれば?!」
「…。」皆が黙りこむ。
トハ「こうしてる時間はないんです!早くサダムを止めないと!大蛇も退治しなきゃいけません!」
「待て」憤慨するトハを制し、リンは落ち着いて考える。
彼が口にしたのは、意外な言葉だった。
リン「必ずしも… トハも一緒にやらなければなりませんか?」
一同「!」
トハ「それ…どういう意味ですか?」
リンはすがるような目でサンホンを見つめる。
サンホン「今のところは… 仕方がありません」
リン「…。」
トハ「私が漢陽にいるたった一つの理由なんです。サダム!あの男を止めること」
リン「…。」
サンホンはサゴンに蔵書閣の状況を調べるよう頼む。
「何で俺に?夜警師でもないのに」サゴンは逃げるようにその場を離れた。
サゴン「これからは私にそういうことやらせないでくださいよ」
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彼らはやはり自分たちで調べるため、夜、宮廷が静まってから蔵書閣へやって来た。
いつものように秘密通路の蓋を開け、3人で飛び込むと、蝋燭の火をつける。
もう慣れたものだ。
トハが先へ進もうとすると、リンがさっと彼女の手首を掴んだ。
リン「体を大事にしろよ」
トハ「?」
リン「花見に出掛けるわけでもないのに、いつも先頭じゃないか」
トハ「…。」
「副護軍」リンはトハを見つめたまま、ムソクに呼び掛けた。
ムソク「…。」
リンが後ろのムソクをゆっくり振り返る。
ムソク「どうなさったのですか?」
リンは何も言わず、前を指す。
小さな咳払いをし、リンをひと睨みすると、ムソクは蝋燭をトハから受け取り、前へ出た。
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「変です」狭い通路を進みながら、トハが言う。
リン「何が?」
トハ「私たちが来た場所じゃないようです」
「えぇ」ムソクも頷く。
ムソク「前に来た場所ではありません」
その瞬間!
前方からいきなり湧いた煙が彼らを襲う。「!!!」
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トハを庇うように、3人は固まって身を伏せていた。
「?」ふと顔を上げると… 彼らは森の中にいたのだ。
リン「何だ?ここはどこなんだ?」
ムソクはただちに刀を抜き、鬼針盤を手に取る。
トハ「結界が張ってあったのでしょう」
森の中は深い霧に包まれ、遠くまで見通すことが出来ない。
辺りを慎重に見渡していたムソクが、目を見開いた。「逃げてください!」
どこからか飛んできたクナイをムソクが刀で弾く。
リンはトハの体を引き寄せ、ぎりぎりのところで飛んでくるクナイを回避した。
木の幹に突き刺さったクナイは、煙のように消え去る。
リン「誰だ!」
霧の中から徐々に近づいてきたのは… 夜警師たちの霊であった。
彼らは刀を向け、リンたちに迫ってくる。
リン「なぜ彼らが… 我々を攻撃するのだ?」
ムソクの鬼針盤の針が激しく回った。
ムソク「誰なのですか?」
リン「…。」
リンが答える前に夜警師たちが襲いかかってくる。
3人はとにかく彼らに立ち向かった。
タイミングを見計らい、リンが剣を地面に突き立てる。
あたりが一瞬にして煙に包まれ、次の瞬間、彼らはまた別の場所に立っていた。
3人「???」
そこは工事現場のど真ん中だ。
呆然としている彼らのそばを、工事に携わる人々が不思議そうに眺めながら通り過ぎる。
彼らは状況が掴めず、お互いに黙って顔を見合わせた。
現場で作業する人々の中には、サゴンとチャン氏の姿もあった…。
+-+-+-+
ここで一旦区切ります。
遅々として作業が進まず…。
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