韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

プロデューサー11話あらすじ&日本語訳 vo.1

   

チャ・テヒョン、コン・ヒョジン、キム・スヒョン、IU出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサ」11話、序盤です。

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イェジン「!」
スンチャン「!」

「あんた、何するの…?」唇が離れると、イェジンがキョトンとして言った。

#そりゃないよー

「えっと…」掴んでいたブランコのロープを、スンチャンは思わず離す。
弾みで揺れたブランコから、イェジンは落ちそうになった。「!」

イェジン「あんた…!」
スンチャン「すみ…ません」
イェジン「何がすまないのよ?」
スンチャン「…。」
イェジン「私にチューしたこと?落ちそうになったこと?」

「…。」スンチャンは呆然と自分の唇に手をやった。

イェジン「…あんたってホント!」
スンチャン「…え?」

「ここはダメだわ」イェジンが立ち上がる。「場所移ろう」

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スンチャンは滑り台の上で小さくなり、しきりに唇を触り続けた。
「ねぇ」イェジンが下から見上げる。

イェジン「あんたの顔、人が見たら、私が何かしたのかと思うわよ」
スンチャン「…。」
イェジン「心臓の音がここまで聴こえるもん」
スンチャン「あ… ホントですか」

「はぁ」イェジンが頭を抱えた。「ホントなわけないでしょ」

イェジン「いきなりあんな勇気出しといて、そんなにドギマギしなくてもいいじゃない」
スンチャン「…。」
イェジン「とりあえず、落ち着きなよ」
スンチャン「…はい」

二人の間に沈黙が流れる。
「…。」スンチャンが滑り台を滑り降り、イェジンの元へ歩み寄った。

イェジン「な、なんで来るの?ねぇ」

「そこで話しなさいよ」イェジンが滑り台を指さす。
彼女の目の前へやって来ると、スンチャンは真剣な目で彼女を見た。

イェジン「な、何よ?」
スンチャン「どう考えても、先輩は僕のこと、ただ幼くて、よく言うことを聞いて、たまに可愛くて…そんな後輩としか見ていらっしゃらないみたいですけど」
イェジン「…。」
スンチャン「今、この瞬間から、僕のことを前とは違う目で見てもらえるキッカケを作ったと、そう思います」
イェジン「私がどんな目であんたを見るの?」
スンチャン「会社の先輩後輩の関係ですけど、だからって、人と人の関係は ”私は何期、あんたは何期” それだけを基準にはできないと思うんです。僕はそれを突き破りたいんだけど、そのためには伝えなきゃいけないと思って」
イェジン「…何を?」
スンチャン「僕の… 気持ちを」

2044

イェジンが慎重に頷く。「つまり、ついさっきのあれは…」

イェジン「あんたのことを、幼くて、よく言うこと聞いて、たまに可愛いと思ってる私に、ある種の気持ちを伝えて、単純な先輩後輩の関係を突き破るために投げた石ころみたいなものってことね?」
スンチャン「…。」
イェジン「ね?」
スンチャン「石ころ…っていう表現はちょっとどうかと思いますけど、意味はだいたい合ってるみたいです」
イェジン「それなのに、投げたあんたがビックリしてどうすんのよ?」
スンチャン「想像していたことを本当に実践に移す勇気があったなんて、自分でも思わなくて」

イェジンは小さく息をついた。「スンチャン」

スンチャン「はい」
イェジン「新しい関係をスタートさせるより、もとの関係を守るほうが大事なときもあるわ。守り通すのは思ったより難しいことでもあるし」
スンチャン「…はい。だけど、その関係を守ろうとして、チャンスを逃したら?」

「…。」イェジンが考えを巡らせる。

スンチャン「守ろうとしているうちに、チャンスを逃したことがあるんです。僕も」
イェジン「…。」
スンチャン「だけど、今考えてみたら、もともと守ろうとしていたのがどんな関係だったのか、それさえ思い出せないんです」
イェジン「…。」

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イェジン(インタビュー)「告白されるってことは、つまり、球が私に飛んできたってことじゃないですか。この球をどうすべきか… そのまま投げ返すか、受け取るか、それって本当に難しいことですよね。え?(苦笑)告白されるのが久しぶりだからってわけじゃないですよ。最近、ちょっと恋愛をお休みしてただけで、ときどき好きだって言われてたんですから。いつだったかな?あれは誰だったっけ?えっと…」

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イェジンが帰って来ると、ジュンモは一人でテレビを見ていた。
チラリと彼女を見ると、何でもないように目をそらす。

イェジン「まだ寝てないの?」
ジュンモ「まぁな」

「何もやってないな」ジュンモはテレビを消す。

#心配で待ってたってことですね^^

ジュンモ「なぁ、明日、朝早く引越し屋が来るんだろ?寝ないのか?」

「寝なきゃ」同じ飲み物を持って来て、イェジンはソファに腰を下ろす。

ジュンモ「…。」
イェジン「あのさ、ジュンモ、訊きたいことがあるんだよね」
ジュンモ「言ってみろよ」
イェジン「私って、強いというより、”自己防衛的過剰反応”してる?」
ジュンモ「何反応?」
イェジン「傷つかないために強い振りをしてるとか、そういう意味みたい。そうかな?私って」

ジュンモは黙ったまま、神妙な顔で彼女を見た。

イェジン「内的エゴ(自我)は、弱くて温かい人なんだけど、外的エゴは強い振り。それで、2つの自我のアンバランスによって寂しさを感じていて、そばで見守って理解してくれる存在を望んでるかな?私って」」
ジュンモ「何言ってんだ、ホント。お前、論文でも書いてんのか?」

笑って飲み物を口に運んだ瞬間、ジュンモはハッとした。「!」

イェジン「何?」
ジュンモ「ペク・スンチャンが言ったのか?」
イェジン「え?何でわかったの?」
ジュンモ「言い回しがあいつそのものだろ」

#スンチャンが作った資料を、イリョンが「論文だ」と言ったのが、ここに繋がってます。

ジュンモ「あいつ、どんだけお前のこと分かって言ってんだ?」
イェジン「短い間に、私のことすごく詳細に見てたみたい」
ジュンモ「…。」
イェジン「だけど、考えてみたら、合ってるような気もするんだよね。自分でもわからなかったけど、本当に強いんじゃなくて、強い振りをしてたのかも」
ジュンモ「…。」
イェジン「ほら、私が入社したときは、女のPDがあまりいなかったでしょ?それでマネージャーたちに無視されるんじゃないかって。いい番組に配置してもらえないんじゃないかとか、出演者が私のことPDだと認めてくれないんじゃないかとか、それで怒って喧嘩したり、キツく振る舞ったりしたのよ」

ジュンモが何度も頷いた。

イェジン「恋愛でもそういうところがあったのよ。断れるんじゃないかって、わざと強く出たり、何か言われたらひねくれて受け取ったり」

「あぁ、お前ってそうだ」イェジンが言い終わらないうちに、ジュンモが肯定する。

イェジン「?」
ジュンモ「この間、新しい家を貸しに出して、ここにいろって言った時だって。何でそこで、飯作って掃除してくれるのが楽で言ってるんだって、そんな発想ができるんだ?」
イェジン「…。」
ジュンモ「”お前が出て行くのが嫌だ”って俺がそう言ったら、言葉通りそのまま受け入れればいいのに」

「…。」イェジンは頷いた。「うん、そうね」

イェジン「私、自尊心が足りてないのかも」
ジュンモ「あぁ、足りてない。全然足りてないぞ」
イェジン「…。」
ジュンモ「愛らしくて、愛される資格も十分あるのに、お前自身はそんなはずないと思ってるだろ。そうじゃないと思ってる」
イェジン「…。」
ジュンモ「そりゃ違うぞ、タク・イェジン。お前はな、お前自身が思ってるよりずっと… 悪くない」
イェジン「…。」
ジュンモ「おい、俺は見る目があるんだ。誰とでも25年つき合うわけじゃないぞ」

じっと黙っているイェジンに、ジュンモは無理やり「カチン」と飲み物の缶を合わせた。

ジュンモ「それはな、お前がどこにいようと、そばに誰がいようと、変わらない事実だ。忘れんなよ」

#シンディから学んだことを自分の恋愛に活かすスンチャンと、スンチャンから学んだことで親交を深める先輩たち…。

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スンチャンが家に帰って来ると、母はソファにゴロンと横になっていた。

スンチャン「お母さん、何してるんです?」
母「スンチャン、遅かったわね。何してたの?」
スンチャン「人に会ってから、ちょっと考えたいことがあって散歩してて」

「お母さんにパック貼ってくれる?」母がビニールの包みを破りながら言う。

素直に母の顔にパックを貼ってやり、スンチャンは近くの椅子に腰掛けた。「母さん」

母「何?」
スンチャン「父さんに初めて男性を感じたのっていつだったんですか?」
母「突然どうしたの?」
スンチャン「別に… 気になって」
母「お父さんとはお見合いして半年で結婚したから…。一緒に暮らしていれば、ときどき男を感じることもあるし、憎しみを感じるときもあるし」
スンチャン「じゃあ、チョン・ヨンロクの歌を聴くたびに、恋していた時代を思い出すって言ってたのは?」
母「それは別の人よ」
スンチャン「…あぁ」
母「その人と結婚していればもっと幸せだったかと考えてみたら、それもまたわからないのよ。恋愛だけで終わったから、ずっといい記憶として残ったのね」
スンチャン「”進まない道”?」
母「え?」
スンチャン「あぁ、そんな詩があるんです」
母「詩?どんな?」
スンチャン「進まない道についての詩なんですよ」

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노란 숲길에 길이 두 갈래로 났었습니다.
나는 두 길을 다 가지 못하는 것을 안타깝게 생각하면서
오랫동안 서서 한 길이 굽어 꺾여 내려간 데까지 바라다볼 수 있는 데까지 멀리 바라다보았습니다.
黄色い森路に分かれ道がありました。
2つの道、どちらか1つしか進めないのを私は残念に思いながら
長い間そこに立ち、片方の道が曲がりくねって下りていくのが見えるところまで、遠くから眺めてみました。

2045

그리고 똑같이 아름다운 다른 길을 택했습니다.
그 길에는 풀이 더 있고 사람이 걸은 자취가 적어 아마 더 걸어야 될 길이라고 나는 생각했던 것이죠.
そして、同じように美しい、もう片方の道を選びました。
その道には草が多く、人の歩いた痕跡が少なくて、きっとたくさん歩かなければならない道だと思ったのです。

2046

훗날에 훗날에 나는 어디선가 한숨을 쉬면서 이야기할 것입니다.
숲 속에 두 갈래 길이 있었다고.
나는 사람이 적게 간 길을 택하였다고.
그리고 그것 때문에 모슨 것이 달라졌다고.
後々になって、私はどこかで一息つきながら話すことでしょう。
森の中に分かれ道があったと。
歩いた人の少ない道を私は選んだと。
そして、そのことで全てが変わったと。

2047

 

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長い夜が明けた。

早朝やって来た引っ越しのトラックには、さっそく荷物の積み込みが始まっていた。
業者のスタッフに混じって、ジュンモとイェジュンが積み込みを手伝う。

ダンボールを抱えて玄関を出て来たイェジンは、ふと玄関ドアを振り返った「…。」

【イェジンの家】

ずっと昔に書いた落書きだ。
しばらくそれを見つめると、彼女はその落書きを消し、笑みを浮かべた。

#この後の、カメラがずっと廊下を遠ざかっていくショット、さりげないけど堪らないね。上手い

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「ちょっと!」トラックの前にいるイェジンを、通り掛かったご婦人が呼び止める。

女性「あの棚、そちらが捨てたの?」
イェジン「えぇ、私がそこに捨てて回収シールを貼っておいたんです」
女性「いえ、大事なのはそこじゃなくてね、木曜日に捨てないと。今日捨ててどうするの」
イェジン「私、今日引っ越すんですよ」
女性「それはそちらの事情でしょ。今すぐ引き取って。何でこうモラルがないのかしら」

「えぇ、僕が」素直にゴミ捨て場へ向かおうとしたジュンモを、イェジンが止める。「いいのよ、ジュンモ」

女性「!」
イェジン「ってことはですよ、私は今から京畿道に引っ越すのに、リサイクルごみの日は木曜日だから、あの棚をとりあえず積んで行って、木曜日の日に持って来て捨てろってことですか?」
女性「そんなの自分で考えなさいよ!」

「どうしたの?」後ろから声がする。

女性「あら、お姉さん!」

やって来たのはスンチャンの母親だ。

女性「見てくださいよ、うちは木曜日がリサイクルごみなのに」

スンチャンの母親は、まずイェジンとジュンモに満面の笑みを見せ、頭を下げた。「ごきげんよう、先輩の皆様」

イェジン「お母様!」
スン母「どうなさったんです?何か困ったことでも?」
イェジン「あ、いいえ、私が今日引っ越しするんですけど、こちらの方がどうしてもリサイクルごみは木曜日だと言うから、あの棚を積んで行って、木曜日にまた持って来ましょうかって、そう伺っていたところで…」
女性「あらま!そんな優しい言い方しなかったじゃない!目をつり上げて突っかかって来たくせに!!!」

スンチャンの母は落ち着き払った様子で女性を制した。
「私が収拾しますわ」イェジンたちに言い、女性に向き直る。「何の真似?」

スン母「ご近所の住民が遠くへ引っ越されるのに、わざわざこの程度のことで最後に嫌な思いをさせるの?」
女性「だって、美観が…」
スン母「どうしても嫌なら、うちへ持って帰って私が捨てるわ。それでいいでしょ」

女性は悔しそうにイェジンを睨み、その場を後にした。
スンチャンの母は再び満面の笑みで振り返る。「済みましたわ」

スン母「もうお気になさらずに」
イェジン「ありがとうございます!」
スン母「いいんです、先輩。引っ越し、無事済みますように」

「うちのスンチャンをよろしくお願いします、先輩方」スンチャンの母はまた深々と頭を下げた。

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スンチャンが部屋から出てくると、母がよいしょよいしょと棚を運んできたところだった。

スンチャン「母さん、それ何ですか?」
母「あぁ、スンチャン。これはね、向かいのク…!」
スンチャン「?」
母「ううん、向かいの先輩、いるでしょ?タク・イェジンPDが引っ越すのに、今日はリサイクルごみの日じゃないから、お母さんが持って来たのよ」
スンチャン「もう出発するんですか?」
母「うん、そうみたい。これでもうあんたに無茶なことしないわよ。ご飯も食べさせたし、こういう便宜も計ってあげたんだから」
スンチャン「…。」

「ちょっとお母さんを手伝って…」母が言い終わるのも聞かず、スンチャンは駈け出した。

母「?!」

+-+-+-+

すっかり荷物を積み終わると、いよいよ出発のときだ。
「兄貴」イェジュンが手を差し出した。「また会いましょう」

ジュンモ「あぁ。運転気をつけてな」

「姉さん、車のキー」イェジンが黙ってキーを渡す。
イェジュンは二人を残し、先に車へと向かった。

「…。」二人になると、ジュンモは彼女から視線をそらし、どこともなく辺りを眺めた。

イェジン「私たち、握手しよっか」
ジュンモ「何だよ?握手なんか」
イェジン「なんとなくね、私の人生のある部分が終わるような、そんな感じっていうか」
ジュンモ「…。」
イェジン「今までの引っ越しとは気分が違うのよ」
ジュンモ「何おおげさなこと言ってんだよ。ただの引っ越しだ。場所移動」

「しないの?握手」イェジンが手を差し出した。
「はぁ、どこまでやらせんだか」照れ隠しにボヤきながら、ジュンモはその手を握る。

イェジン「ジュンモ」
ジュンモ「何だよ?」
イェジン「私の人生にあんたがいて、すごく嬉しいよ」
ジュンモ「…。」

2048

「行くね」彼女が手を離す。

ジュンモ「…あぁ」

イェジンがトラックの助手席に乗り込むのを、ジュンモは何も言えずに見つめた。
走りだしたトラックの窓からイェジンが手を振る。

前に向き直ると、彼女はサイドミラーの中で小さくなっていくジュンモの姿に、じっと涙を堪えた。

2051

#私はメェメェ泣いたけどね(グスン

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全速で駆けて来たスンチャンは、トラックが角を曲がっていくのを見てガックリと頭を垂れた。
振り返ったジュンモが、悲しそうなスンチャンの表情をチラリと見る。「何してんだ?」

スンチャン「イェジン先輩が出発するって聞いて、挨拶したくて…」
ジュンモ「永遠の別れじゃあるまいし。会社で会えるだろ」

「…。」スンチャンは寂しそうに黙り込んだ。

#それよりスンチャンのお肌のツヤツヤ具合に釘づけなんですけど

ジュンモ「何突っ立ってんだよ?会社行かないのか?」

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ヤンミがいつものように視聴率表を掲示板に貼りだした。
ジュンモがさっそくそれを覗き込む。

【スターウォーズ 10.1%】

ジュンモ「!!!」

「あんまりだ」ジュンモは思わず呟く。

「…だよな」ヤンミに無視されたホンスンが、呆然と同調した。

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深刻な顔で溜息をつくジュンモのことを気に掛けながら、スンチャンはさり気なく距離を保った。

スターウォーズのPDがテホCPと楽しげに歩いてくるのが見える。

ジュンモ「!」

「ジュンモ、メシ食いに行こう」スターウォーズのPDと別れると、テホCPはジュンモの方へやって来る。

ジュンモ「いいって、メシなんか」

「どうしたんだ?」テホCPはキョトンとして周囲を見回した。「何でそんな雰囲気なんだよ」

テホCP「試験番組の視聴率が良かったからか?」
ジュンモ「…。」
テホCP「立てって。昼メシおごってやるから。スンチャン、お前も行こう」

「…。」スンチャンはすぐには答えず、困ってジュンモを見た。

ジュンモ「…。」

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「たくさん食べろ」テホCPが勧める。「スンチャンも食べろよ」

ジュンモとスンチャンは、テホCPに誘われるまま食事に来ていた。

ジュンモ「局長と何話したんだよ?」
テホCP「ん?」
ジュンモ「さっき局長室でニヤニヤ笑ってたろ。何か話があったはずだ」
テホCP「特別何もなかったぞ」
ジュンモ「試験番組が2桁出したんだ。何もないわけあるかよ」

テホCPが溜息をつく。「ジュンモ」

テホCP「わかってるだろ、俺はいつだってお前の味方だったって」
ジュンモ「さぁな」
テホCP「わかってなかったのか?何で?」
ジュンモ「言えよ、普通に」
テホCP「正直”一泊2日”自体ずいぶん長いだろ。他のヤツらが甘い汁を吸い尽くしたものに、いつまでしがみついてるんだよ?」

「無くそうって?局長が?」料理をつまみながら、ジュンモが淡々と言う。

スンチャン「!」
テホCP「違うって。今すぐそんなことになるわけないだろ。スターウォーズだって、レギュラー番組にするには準備する時間が掛かるしな。それまでお前が上手く繋いでくれれば…」
ジュンモ「!」
スンチャン「!」

テホCPがさっと二人の視線を窺う。

ジュンモ「酷いぞ!」
テホCP「これから2、3週の視聴率が重要だ。ハッキリした何かを示さないと、上だって黙ってないぞ。お前たちさえしっかり踏ん張ってくれれば、スターウォーズは違う時間帯に入れたっていいんだ。くすぶってるのはお前らだけじゃないんだから」

テホCPが箸を伸ばしたタッカルビの肉を、スンチャンがさっと奪い取る。

テホCP「…。」

「コーラ頼んだのに、忘れてるのかな?」気まずい空気に、テホCPが言った。「スンチャン、コーラ一つ持って来てくれ」
「はい」スンチャンは立ち上がる。

テホCP「ジュンモ、そう落ち込まないで、この機会に見せつけてやれよ。予告が変わってるってちょっと話題になってるんだし」

スンチャンはコーラの缶を取って来ると、それを背中に隠し、こっそり振った。
テホCPが渡されたコーラの栓を抜くと、コーラの飛沫が飛び散った。「何だよこれ!」

ティッシュを渡して平然としているスンチャンを、ジュンモが物言いたげな目で見た。「…。」

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「視聴率が伸びないなと思ったときに使う薬があるんだ」FDが言った。

FD「別名、酸素呼吸器」

メモを取っていたスンチャンが顔を輝かせる。「あぁ、酸素呼吸器!」

スンチャン「そうですね、今うちの番組には酸素呼吸器が必要なんです!」
FD「例を挙げますよ。以前の”スポンジ”みたいな番組だと、困ったときのアイテムはラーメン!」
スンチャン「ラーメン?」

#日本と同じだ。ラーメンと動物と子ども(笑

FD「えぇ、ラーメン。チキンとかコーラとか、そういうアイテムも効果があるけど、ラーメンほどじゃありません。ラーメンが画面に出て来ると、人は無条件で見ますから」

スンチャンは夢中でメモを取る。

FD「”ビタミン”では、急を要したり、上から視聴率がどうのと言われそうなとき、”韓国人がかかる5大癌特集”」
スンチャン「あぁ!」
FD「それを5週連続でやれば、裏番組は焼け野原になりますよ。大騒ぎです」

「えぇ」スンチャンが興奮気味に頷く。

スンチャン「うちの母もチャンネルを問わず、癌予防に何がいいとか、そういうのは絶対見ますね」
FD「そうでしょ、やっぱり。”ギャグコンサート”の場合、面白くないけどすぐボツに出来ないコーナーは、オ・ナミを投入!これは反則とも言えますね。内容は関係なく、出せばとりあえず皆笑うんだから」

「うーん」スンチャンが考える。「うちの番組の場合、何が酸素呼吸器になってくれるでしょうか」

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スンチャン(インタビュー)「やっぱりPDになって初めての番組ですから、このまま消えてほしくありません。何とか視聴率が伸びればいいんですけど、どうすればもっとたくさんの人に見てもらえるのか、よくわかららないんです。確かに… 誰か一人に自分を見てもらうことだって簡単じゃないのに、たくさんの人に見てもらおうと思ったら…。視聴率を得るっていうのは、もしかしたら、人の心を得ることかもしれません」

2052

#後ろに見切れる物で遊ぶの、好きだよね、この番組。

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一泊二日の作家たちが会議室へ入ってくると、先に来ていたスターウォーズの若い作家二人が立ち上がった。
「これ、誰が剥がしたの?」ジヨンがドアから剥がされていた「一泊二日会議室」の紙を掲げる。

スターウォーズ新人作家「私たちが会議室を取ってたから」
ハンナ「私たちだって取ってるんですよ!こっちも急いでるんです」
スターウォーズ新人作家「すみません」
ジヨン「最近のバラエティ規律はどうなってんの?先輩に話もせずに、他人の会議室を占領していいわけ?」

「ジヨン」そこへ登場したのは、スターウォーズ先輩作家だ。

ジヨンたち「あ…先輩」

スターウォーズ先輩作家「何か問題でも?」
ジヨン「私たち先週休止だったから、会議がなかったんです。だけど、今週はまた放送があるのに」
スターウォーズ先輩作家「あんたたちの番組なくなるってさ」
ジヨンたち「…。」

「まだ編成が公式に決まったわけじゃないのに」続いて登場したのは、一泊二日新人PD、ペク・スンチャンだ。「そんなふうにおっしゃるのはちょっと」

ミンジョン「PDさん!私たちが先に予約したんですよ。それなのに、このチームが貼り紙を剥がしちゃって」

「おい、ペク・スンチャン」そこへやって来たのが、スターウォーズ若手PD。

一泊二日新人PD「あ、は、はい、先輩」
スターウォーズPD「どうした?お前ら会議室ないのか?さっさとヨソを探せよ」

一泊二日チームが沈む。

スターウォーズPD「俺たち、今レギュラー編成の話が出て尻に火がついてんだから」

スターウォーズPDは中へ入ってくると、持って来た資料をボンとテーブルに置く。

一泊二日新人PD「会議室の予約は僕たちが先だったそうです。ドアに貼り紙をしておくのが芸能局の予約システムだとしたら、そのルールに従うべきだと…」

一泊二日新人PDの食い下がりに、仲間の作家たちがうんうんと頷いた。

スターウォーズPD「おい、お前しつこいぞ。黙ってヨソを探せって!お前の上は誰なんだよ?」

「俺だ」満を持して登場したのは一泊二日メインPD、ラ・ジュンモだ。

スターウォーズPD「!」
一泊二日メインPD「素直に出てけよな。お前と喧嘩するエネルギーないから」

スターウォーズPDが彼のためにさっと椅子を引く。

一泊二日メインPD「いや、そりゃ俺の席じゃない」

スターウォーズチームは潮が引くように一斉に退場した。

#おもしろーい!!!

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ジュンモ(インタビュー)「ゲームなんかじゃ、パワー指数とかそういうのが出るでしょ。視聴率ってそういうものなんです。視聴率の低いPDはパワー指数が最低ってことですよ。PDのパワー指数が下がったら、下のヤツらまでみんな同じ扱いに遭うんです。無視されるわ、出演交渉は上手くいかないわ、会議室は取られるわで。マネージャーたちが差し入れ持って来ても、全部持って行かれちまう。そういう目に何度も遭ってると、みんな毒に侵され始めるんだ」

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「ビキニで行きましょう!」ジヨンが言う。

イリョン「そりゃいい!男は全員上半身裸だ!」
ハンナ「マッチョなゲストを総動員して」
ヒョングン「K1やりましょうか!」
ジュンモ「(うんざり)」
ヒョングン「光化門広場の真ん中にリングを設置して、一般人たちと異種格闘!とりあえずは見るんじゃないか?」
イリョン「そりゃいい!」

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ジュンモ(インタビュー)「何でもかんでも言い出すんだ。追い詰められて。だけどね、街で長い間やってきた飲食店が、隣にできた新しい店が大繁盛して羨ましいからって、内装も看板もメニューも変えて、今まで売らなかったものを売り始めるでしょ?そんなことしたら、馴染みのお客さんたちに捨てられるんだ。新しい客を呼び込むために、元からいた客まで逃すことになる。二兎を追う者は一兎をも得ずだ」

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「我らが司馬遷、何か意見はないのか?」鼻息の荒いイリョンが、黙っているスンチャンに尋ねる。
皆の視線が一斉にスンチャンに集まった。

スンチャン「一泊二日の歴史を辿ってみると…」

「うん」「いいね」「そうだ、辿ってみよう」皆が頷く。

スンチャン「主として沈滞期に使ってきたカードは”友だち特集”」
ジュンモ「もうやったろ」
スンチャン「水」
ジュンモ「1時間ずっと濡れてばっかか?」
スンチャン「視聴者ツアーです」
ジヨン「昔大ヒットしたわ!いつも40%出たんだから」
ヒョングン「俺たちがやったのを全部足したって40なんて出ないのに」

「だけど、そういうのは何ヶ月も準備しないと」渉外担当のハンナが言う。

ハンナ「私たち、時間がないわ」

皆が黙りこみ、溜息の音が響く。

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ジュンモ(インタビュー)「だけど、その飲食店主の立場になって考えてみたら、何もしないでいるのもすごく漠然としてて。何人にもならない常連客がいるだけじゃ、家賃も払えないし、どっちにしても店を閉めることになっちまう」

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ここで区切ります。

 - プロデューサー