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SPY(スパイ:JYJジェジュン主演)5話あらすじ&日本語訳vol.1

   

キム・ジェジュン、ペ・ジョンオク出演。SPY5話前半。
あらすじの中で情景や表情も捉えつつ、台詞を出来るだけたくさん拾って訳して行きます。

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044

黙りこんでいるソヌの前で、監察官がペンで机をコツコツと叩く音だけが、静まり返った室内に響いていた。
「今回の作戦に無理があったこと、認めますか?」監察官が言う。

ソヌ「はい」
監察官「チョ・スヨンさんの安全策も疎かでした。死亡の可能性まで念頭に置いていましたか?」
ソヌ「…。」
監察官「キム・ソヌさん、質問にお答えください」

息の詰まるような尋問の様子を、モニタールームで主任、ヒョンテ、ウナが見守っている。
主任が手に持っている『国防部 暗号解読入札結果報告』には、企業名と共に『☓印』が並んでいた。

#ソヌの父親の会社も3番目にありますね。「ヘッチテクニック」って言ってたので。

何も言えないまま、ソヌがゆっくりと顔を上げる。

045

監察官「チョ・スヨンさんの死亡後、どこへ行かれたんです?」
ソヌ「…。」
監察官「作戦立案者が現場を離れるのは、責任放棄です」
ソヌ「…。」

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「家族を…!」そう訴えて、ソヌの腕の中でスヨンは動かなくなった。
本部を構えているカフェに戻り、ソヌは呆然とその場面を反芻する。

誰かがやって来て、タオルを差し出した。
ウナだ。「大丈夫?」
「血が」ウナが頬を指さす。
ソヌはタオルを受け取ると、手の甲にもベットリとついている血をぼんやりと見つめた。

そこへ慌ただしく主任が入ってくる。「どうなってるんだ?」

全員「…。」
主任「用意周到だったのに、何でやられたんだよ?」
全員「…。」
主任「容疑者はどこだ?容疑者はどこだって言ってんだろ!!!」

皆押し黙ったまま、口を開かない。

主任「おい、チョ・スヨンはどうしようもなかったとしても、容疑者の一人や二人は捕まえてなきゃいけないんじゃないのか?おい、何で返事がないんだ?」

「お前、何黙って座ってんだ?」主任がソヌを指さして声を荒げると、ヒョンテがすかさず間に入る。「自分が全部説明しますから」

主任「失敗したくせに、事態収拾しないでどうする!!!」

ソヌに掴みかかる勢いの主任を、ヒョンテが外へ引っ張っていくと、店の中には再び沈黙が広がる。
「…。」ソヌは足元にタオルを落とし、ふらりと立ち上がった。

ウナ「どこ行くの?」
ソヌ「…。」

ソヌは何も言わないまま、外へ出た。

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すっかり騒ぎの落ち着いた現場を、ソヌは呆然と見つめる。
まだ残っている警察官も、もう何を調べるでもなく呑気に談笑しているようだ。

ソヌ「…。」

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ヘリムの携帯にメールが入る。
彼女は、キチョルのアジト前に来ていた。

ウソク(メール)「何もないよな?心配だから電話してくれよ」

「…。」電話の発信ボタンの上で、彼女の指が躊躇う。

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深呼吸する息が震える。
ヘリムは緊張した面持ちでキチョルの部屋へ入った。

「私のミスよ」彼女は窓際にいるキチョルの背中に言う。

キチョル「…。」
ヘリム「報告しないつもりだったわけじゃない。終わってから全部話すつもりだったのよ。接触場所に私が出向いたのも、何があるのか調べて、それからあなたに報告を…」

その瞬間、キチョルの手が彼女の頬を激しく打つ。「!!!」
衝撃で、彼女は壁に向かって崩れ落ちた。

ヘリム「…。」
キチョル「もう一度言ってみろ。今度は本当の理由をな」
ヘリム「あなたには関係ないことだと思ったのよ」

言い終わるや否や、再びキチョルの手が頬を打った。「!!!」

ヘリム「…。」
キチョル「もう一度だ」
ヘリム「ソヌが心配だったからよ。あなたとぶつかるんじゃないかって」
キチョル「…。」
ヘリム「下手すればソヌに危害が及ぶかもしれないと思ったのよ。あなたは賢いから、どうやってでも逃げられるでしょう?!」
キチョル「俺が南の要員たちの手で死ねばいいと思ったんだろう。俺さえいなければ、平凡で幸せな家に帰れると錯覚したんだ」
ヘリム「ソヌに危害を加えるつもりじゃないわよね?ソヌがいなきゃあなただって危険になるのよ」

「ソンエ」キチョルは溜息をつき、諭すように言った。

キチョル「俺はキム・ソヌが必要なんじゃない。その奥まで俺を連れて行ってくれる道具が必要なんだ」

「我が母親と同じ”道具”がな」キチョルは口を歪める。

ヘリム「…。」
キチョル「昔の情で手加減してやったものを…。約束は覚えているだろうな。キム・ソヌはもう俺のものだ」

#「俺のものだ」の後に♥をつけてみたい衝動に駆られるの巻

「私が!」ヘリムは彼の前に跪いた。「私が悪かったわ!」

ヘリム「何でも言うとおりにするわ。もう一度チャンスを頂戴!」

ふっとキチョルが笑う。「何でも言うとおりにすると…?」

ヘリム「あなたの望むことは何だってやるわ!」

必死で訴えるヘリムを冷ややかに見下ろすと、キチョルは何か小さな物を彼女の前に放り投げた。
小型ナイフだ。「死ねと言ったら?死ねるか?」

ヘリム「死んだら、ソヌには手を出さないでくれるのね?」

キチョルは頷いた。「あぁ。そうしよう」

ヘリム「…。」

拾い上げたナイフを広げ、彼女自身の首に向けたその瞬間、キチョルがその手首を掴む。「!!!」
無言のまま、二人の強い視線がぶつかった。

046

ヘリム「…。」
キチョル「…。」

次第に力を失った彼女の手から、キチョルがそっとナイフを抜き取り、畳んだ。
そして、懐から一枚の写真を差し出す。
写真の中にあったのは、国家情報院で分析班を率いるソン・ジュンヒョクの姿だ。
「今のその気持ち、忘れないようにな」キチョルが笑みを浮かべた。

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作戦本部のカフェを出たソヌは、ふらふらと街を彷徨い歩いた。
「お母さん、この人、血が出てる」通りすがりの子どもがソヌを指さし、母親は逃げるように足を早める。「早く行きましょ」

ソヌ「…。」

立ち止まり、ソヌは無表情で手についた血をこする。
すっかり乾いてしまった血は、なかなか落ちなかった。

そこへ電話が鳴った。
ユンジンからだ。
「…。」しばらく躊躇った末、彼は電話を取った。

ユンジン(電話)「大丈夫?仕事は…無事終わった?」

「…。」どう話せばいいのか…。
ソヌには言葉がなかった。
流れる沈黙に、ユンジンの不安が募る。

ソヌ(電話)「言ったろ?何てことないって」

彼はため息をつき、向こうにそびえるビルを見上げた。「俺は後ろで見てただけだ」

047

ソヌ「危険なことなんか一つもなかったし、上手くいったよ。悪い奴は捕まって、良い人は家に帰って…」
ユンジン「ホントに良かった。電話しようかどうしようか、すごく悩んだのよ。あなたが怪我するんじゃないかって、すごく心配してたんだから」
ソヌ「俺の心配してないで、仕事しなよ」

「俺は大丈夫」そう言って、彼はスニーカーで足元の壁を寂しそうに蹴った。

ソヌ「なぁ、ユンジン。君の家でちょっと休んで行ってもいいかな?」
ユンジン「勿論よ。鍵のある場所は知ってるよね?行って休んでて。私もなるべく急いで帰るから」

ユンジンは優しくそう言って電話を切ると、不安げな顔で携帯を握りしめた。「…。」

#ソヌが立ち止まった場所、なんてことはないんだけど、いいロケーションですね。
金網に「電気危険」って書いてあって、周りに何もなく、向こうにポツンとビルが立ってて。
ぽっかり穴の空いたようなソヌの心にピッタリ合ってるような。

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「もしもし、君か?」キチョルの元を出てきたヘリムの耳に、ウソクの声が響く。

ウソク(電話)「大丈夫かい?」

「あなた…」いつになく頼りない声で、ヘリムは涙混じりに言った。

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ヘリムが出て行く後ろ姿を眺めながら、キチョルは誰かに電話で報告を入れる。

キチョル(電話)「すぐ行動に出たところを見ると、向こうにあるのは間違いなさそうです。期限内に必ず回収します。拷問や脅迫の通用する女じゃありませんよ。私がよく知っていますので。しっかり言い聞かせましたから、もうしばらく私を信じてください。無理にキム・ソヌの拘束を試みるよりは、こっちの方が可能性が高いでしょう」

ブラインドの隙間からヘリムが誰かと通話を終えるのが見える。

キチョル(電話)「はい。しくじったら、私が責任を取ります」

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橋の上に車を停め、ヘリムは下を行き交う車をぼんやりと眺めていた。
そこへウソクが息を切らして駆けつける。(←車で来たのにゼェゼェ:笑
キチョルに殴られ、口元に血を滲ませた妻を、ウソクは抱きしめた。「すまない。ごめん」

「それで、あの男は何て?」落ち着くと、二人は並んで車の往来を眺める。

ヘリム「ソヌを渡せと騒ぎ立てるのを、やっとのことで抑えたの。一つだけ条件があるわ」
ウソク「条件?」

彼女は頷き、小さなボイスレコーダーを出す。
キチョルの声が流れてきた。

キチョル(声)「対北情報分析班主任、ソン・ジュンヒョク。ソヌの直属の上司だ。こいつの携帯電話に盗聴器を仕掛けろ」

ヘリムの差し出したジュンヒョクの写真を、ウソクは見つめた。

ヘリム「ファン・ギチョルの目的はこの人よ。ソヌを抱き込もうとしたのも、この人に近づくためだったんだわ」
ウソク「だが、国家情報院の主任の携帯に盗聴器を仕掛けることなんて出来るかな」
ヘリム「どうにかしてやらなきゃ」

「それから、もうひとつ」彼女は自分の乗っていたレンタカーに戻ると、車の中を調べ始めた。

ウソク「何をしてるんだい?」
ヘリム「ファン・ギチョルは裏切られたのをどうして知ったのかしら。この中のどこかに盗聴器があるに違いないわ」

めぼしい場所をひと通り探してみるも、盗聴器らしきものは見当たらなかった。

ヘリム「そんなはずないのに。ないとおかしいわ」
ウソク「落ち着くんだ。内部にスパイがいたんだろう」
ヘリム「それならソヌを抱き込もうなんてしなかったはずだわ。盛りの過ぎたスパイの私に、こんなこと一度もやったことのないあなたまで活用しようとするくらい、切羽詰まってるのよ」
ウソク「…。」

ヘリムは遠くを睨み、考えを巡らせる。「盗聴器のありそうな場所がもうひとつあるわ」

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ソヌは一人ユンジンの部屋にいた。
「おい、今どこにいる?」電話の向こうでヒョンテが言う。

ソヌ(電話)「すみません」
ヒョンテ(電話)「何がすみませんだ…。俺に謝ることはないがな、今回の失敗は全部お前が被ることになる」
ソヌ「…。」
ヒョンテ「処分を少しでも軽くしたけりゃ、今すぐ戻ってこい。閉じこもっていても、一つもアピールにならんぞ」
ソヌ「責任を取る必要があるなら、全部取ります」

「おい!!!」ヒョンテは歯痒さに声を荒らげた。「何言ってんだよ」

ヒョンテ「テレビつけてみろ」
ソヌ「え?」
ヒョンテ「ニュース見てみろって。上でどう事を動かすのか見ないとな」

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『20代の中国同胞女性、殺害』ニュース番組に大きな見出しが掲げられている。

アナウンサー「… 20分頃、ソウル江南部で20代の中国同胞女性が凶器で刺され、死亡しました」

#銃じゃなかったか…。すみません

ソヌ「…。」

画面には、スヨンの遺体が運ばれる様子と共に、『金銭トラブルに捜査の焦点』と見出しが変わる。
ソヌは映像に見入った。

アナウンサー「警察によると、殺害された女性はフィッシング詐欺組織で金銭の引き出し役として働いており、警察では今回の事件が中国同胞の間で金銭トラブルがあったものと見て、捜査しています」

048

「…。」愕然とするソヌの頭に、スヨンの言葉が甦る。
「今回のことが少しでもダメになったら、全部なかったことになるんでしょう?」彼女は分かっていた。
「私はどうなってもいいから、何があっても家族を助けて」何もかも覚悟の上、スヨンは彼に訴えたのだ。自分はそれしか望まないと。

玄関で音がするのにも気づかず、ソヌは頭を抱えた。

「ソヌさん…」不意にユンジンの声がして、ソヌはようやく我に返り、慌てて立ち上がる。

ソヌ「おかえり。早かったね」
ユンジン「あなたが心配で」

「何で?全部上手く行ったって言ったろ?」そう微笑んで、彼は椅子に掛けていた上着を腕に通す。「お陰でゆっくり休めたよ」

ユンジン「行くの?」
ソヌ「まだ片付けることが残っててさ」

玄関へ向かおうとするソヌの袖を、ユンジンは咄嗟に掴んだ。「ソヌさん…」

ユンジン「本当に… 大丈夫?」

ソヌは優しく笑って、袖を掴む彼女の手を外した。「大丈夫に決まってるだろ」
行こうとするソヌの手を、再び彼女が掴む。「行かないで」

ソヌ「…。」
ユンジン「危険なことはしないで」

「…。」まっすぐに彼を見つめるユンジンの大きな目を、彼は静かに見つめた。

ソヌ「しないよ、そんなこと。言ったろ?事務所に帰るだけだって」

「君も仕事に戻りなよ」ソヌは靴を履きながら軽く言う。「無駄な心配させてごめん」

ユンジン「…ねぇ、ソヌさん」
ソヌ「?」
ユンジン「… 怪我しないで」
ソヌ「(微笑)そんなんじゃないって」

「行くよ」出て行くソヌをこれ以上引き止められず、ユンジンは祈るように彼を見送った。

#다치다の訳し方が難しい…。「怪我する」と訳せば、文字通り怪我だし、「傷つく」と訳したら、精神的な意味合いになってしまう。

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ユンジンのアパートからソヌが出て行くのを、ヘリムとウソクは車の中からそっと目で追った。
息子が親にも黙って背負っているものを知りつつ、彼らはこうやって密かに見ていることしか出来ない。
胸をえぐられるような苦しみに、ただ彼らは固く手を握り合った。
息子の後ろ姿が道の向こうに見えなくなるまで…。

049

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ここで一旦区切ります。

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