韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

主君の太陽17話(最終話)あらすじ&日本語訳 vol.1

   

シンプルなベージュのワンピースに黒い上着。
健康的に上気した頬。
夜風に気持よくなびく髪。
一人で夜を楽しむゆとりある心。

1777

そうやって彼女は再び彼の前に現れた。

主君の太陽17話スタートです。

二人はテラスの席に座っていた。
彼らの間に流れる空気は、とても静かだ。

チュ君「あまりに驚いて幻かと思ったが、本当にテ・ゴンシルだな」
テ嬢「私もすごくビックリして、お化けかと思いました」
チュ君「まだレーダーは起動してるのか?」
テ嬢「…。」
チュ君「今も幽霊が見えるのかってことだ。連れは幽霊か?一緒に一杯やってたところだったのか?」
テ嬢「こんなところで会いたくはなかったのに。幽霊はいません。もう見えないんです」
チュ君「本当か?」
テ嬢「えぇ。だからもう幽霊の話はしないでくださいね(ニッコリ)お元気でした?」
チュ君「俺が元気だったかどうか気にするような人間が、連絡の一つも寄越さずに、こんなところで出会ったりするか?」
テ嬢「気になってました。会いに行ってみようかって…考えてたところだったんです」
チュ君「行ってみようか… そう思うくらいの余裕があったってことだな、お前には」
テ嬢「私は元気でいました。外国にもあちこち行って。私、変わったんです」
チュ君「(頷く)そう見えるな」

そこへ「社長」とアン代理がやってくる。
向かいに座っているテ嬢に気づく彼女。テ嬢は微笑んで会釈をした。

チュ君「セジンの方々は皆いらっしゃったか?」
アン代理「はい。今パク・ソヒョンさんもいらっしゃって、皆さんお揃いです」
チュ君「急なミーティングが長引いて、少し遅れると誤魔化してくれ」

アン代理が下がった。

テ嬢「約束がおありだったんですね」
チュ君「あぁ。途方もない金が掛かってるミーティングだ。秒単位で億の金を逃すのに、お前に時間を割いてやってるんだ」
テ嬢「キム室長はもう一緒にいらっしゃらないんですか?」
チュ君「お年だから外の仕事にはあまり出てこられない」
テ嬢「あぁ、セジングループのパク・ソヒョンさんて言ったら、社長と前に婚約すると言ってたあの女性ですよね?」
チュ君「そうだ。あちらと手を組んで着手した上海キングダムがもうすぐオープンする」
テ嬢「手を組んで随分儲けるんでしょうね。…。大儲けするタイミングで会ったのは失敗だわ。そうでしょう?」
チュ君「来月には中国に出て何年か戻らないタイミングだった。会って正解だったんだ」
テ嬢「私、外国を行き来してて、社長ほどじゃないけど、お金もちょっと儲けたんです。資金が貯まったから、それで投資して。イギリスに家も買ったんです」
チュ君「金儲けの自慢をするなら祝いはしてやる。だが、本当に見えなくなったのか?」
テ嬢「えぇ。もう見えません」
チュ君「(頷き、テーブルの酒を眺める)それで今、一人余裕で楽しんでたところだったと?」
テ嬢「えぇ、私今はこういうのも楽しんだりしてるんですよ」
チュ君「それこそ自慢すべきことだ。一杯やらないとな」

チュ君は自分の前のグラスに水を注いだ。
テ嬢の視線がチラリと動く。

チュ君「会議があるから一緒に飲めなくて残念だ。

黙っているテ嬢のグラスにはアルコールを注いでやる。
小さなグラスに満ちていく小麦色の液体を、テ嬢は緊張した面持ちで見つめた。

チュ君「レーダーが消えておめでとう。何も引っ掛からないからもう大丈夫なんだろ?」
テ嬢「…。」
チュ君「どうした?本当はまだ、飲めば何かが出たり入ったりするんじゃないかと怖くなる状態なのか?」
テ嬢「…。」
チュ君「行ってみようかと余裕をみせてるんじゃなく、行ってもいいか… 躊躇してるところだったのか?」
テ嬢「…。いえ、大丈夫ですよ」

テ嬢はグラスに手を伸ばし、グラスのアルコールを飲み干した。
じっと見守るチュ君。

テ嬢「私、変わったって言ったでしょう?」
チュ君「そのようだな」

チュ君は淡々と答えると、すぐさま、空いた彼女のグラスに酒を注ぎ足した。

チュ君「本当におめでとう」
テ嬢「ありがとうございます」

テ嬢はまたグラスを一気に開けると、テーブルの上に戻した。

テ嬢「お金がどんどん逃げていくんでしょう?タイミングが良くなかったわ」
チュ君「…。」
テ嬢「私たち、いいタイミングでまた会いましょう」
チュ君「タイミングが良ければ、会いに来るつもりではいたのか?」
テ嬢「えぇ。そのつもりではいましたよ」

「先に失礼しますね」テ嬢は急に立ち上がると、バッグを掴み、歩き出した。

チュ君「もう大丈夫なのに… 俺を見ていなかった…?」

空になったグラスを、チュ君は虚しく見つめた。

+-+-+-+

ふらふらとホテルのロビーに降りてきたテ嬢。
彼女がふと振り返ると、そこにお酒の瓶を抱えた幽霊が現れる。

テ嬢「ついて来ないでくださいよ!あそこでお酒を飲んで下に落ちたんでしょう?どうしてあんなタイミングでお酒を奢ってくれって泣くんですか?!彼と…幽霊抜きにして、レーダーなんてつけてるテ嬢じゃなく、ただのテ・ゴンシルとしてまた会いたかったのに。おばさんが全部台無しにしちゃったわ」

+-+-+-+

アルコールが回ってきたテ嬢は、タクシーの後部座席で朦朧としていた。

運転手「お嬢さん、大丈夫?気分が悪かったら窓開けましょうか?」
テ嬢「おじさん…マンウリに行ってください」
運転手「西大門に行くって言ったでしょ?」

テ嬢は顔を上げる。

テ嬢「私、マンウリに行かなきゃならないんです」

※マンウリ(忘憂里)=墓地のあるところ。

彼女の低い声に、運転手は気味が悪そうにバックミラーを見た。

テ嬢「その前にシャベルを買わなきゃいけないんですけど…どこで買えるかしら?」
運転手「どうしてシャベルを?」
テ嬢「木の根がしきりに私を突き刺すんです」
運転手「…。」
テ嬢「切ってしまわないと…」
運転手「酔ってるんですか?根っこなんてどこにあるんですか?!」

テ嬢は運転手の背中にふっと笑った。

運転手「おじさん、土に埋められたことあります?」
テ嬢「…。」

そのとき、激しいクラクションの音に運転手は飛び跳ねた。

運転手「何だ?!」

タクシーの隣に並走する車が何度もクラクションを鳴らす。
チュ君だ。

チュ君「おじさん!車を停めてください!」

運転手が路肩に車を寄せると、その前を塞ぐようにチュ君の車が回り込んだ。
彼はテ嬢の座っている後部座席のドアを開ける。

チュ君「テ・ゴンシル。タイミングは抜きにして、降りるんだ」

テ嬢はじっと前を見つめたまま、何も反応しない。

運転手「恋人ですか?ちょうど良かった。俺は行けやしないから、マンウリで墓を掘り起こすなんて言ってるお嬢さん、連れてってください!」

テ嬢が車から降りると、タクシーは逃げるように走り去った。
彼女の状態を探るように、目をみつめるチュ君。

1775

#このとき、彼女の動きに合わせて目をじっと見る、一瞬のチュ君がもうたまらん。

テ嬢「マンウリに行きましょ」
チュ君「(頷く)入ってるな」
テ嬢「…。」
チュ君「(手を振り)消えろ」

一歩近づき、彼がテ嬢の両肩を掴むと、「ハッ!」という声と共に、彼女はぐったりと力を失った。
倒れる彼女を体で受け止めるチュ君。

1776

#懐かしい光景が帰ってきた。ホッとしてる自分^^

彼は両肩を掴んでいた手を彼女の背中に回し、包むように抱きしめた。

チュ君「幽霊のせいで避けていたんなら、許してやる… テ・ゴンシル」

+-+-+-+

朝日が寝室に差し込んでいた。
ベッドの上で眠っている彼女の寝顔を、しっかり手を握ったまま彼はずっと眺めていた。

テ嬢が目を覚ますと、自分を見つめている彼の笑顔が飛び込んできた。

チュ君「テ嬢、目が覚めたか?」
テ嬢「!」
チュ君「”こんな夢まで見るなんて、どれだけこの人と寝たかったんだ?” そう思うだろ」

1778

愉しげに話すチュ君の顔に釘付けになったまま、テ嬢は大きな瞳をパチッと瞬いた。

チュ君「どうせなら19禁の夢を見ればよかった… そう思ってるのか?」

彼は窓から差し込む朝日に視線を上げる。

チュ君「俺は日が昇ったって構わない。希望に沿ってやろうか?」
テ嬢「???」

「来いよ」チュ君が彼女の手を引き寄せようとすると、テ嬢は飛び起きた。

テ嬢「どうなってるんですか?!私がどうしてここに?」
チュ君「(余裕)本当に変わったな、テ・ゴンシル。マンウリの共同墓地にもビクともしないテ嬢も、”どうなっってるんですか?”程度のことは言うようになったか」
テ嬢「どうなってるんですかって!私、間違いなくタクシーに乗って帰ろうと…」
チュ君「お前、昨日酒に酔って墓を掘り起こすところだった。お前が乗ったタクシーを俺が追ったんだ。タクシーで騒いで追い出されたのを、俺が拾った」
テ嬢「…。(縮む)私、大丈夫でした?」
チュ君「俺が大丈夫じゃなかった。お前は昨日、あらゆるバージョンで俺を誘惑したからな」
テ嬢「…。」

昨夜の騒乱を思い出し、チュ君はガックリと枕に顔を伏せた。

~~昨夜

小さな娘になり、「アイスクリームください♥」と両手を広げるテ嬢。
彼が出してやったアイスクリームをすっかり食べると、「もっとください!」と冷蔵庫に駆け寄る。

チュ君「もうダメだ。これ以上食べたら、うちのコンシルが腹をこわす。」
テ嬢「(いやいや!)
チュ君「それに腹が出るだろ!」
テ嬢「いやーん!」
チュ君「ダメだ!」

チュ君がおでこをチョンとつくと、霊が抜け、倒れそうになるテ嬢。
彼は彼女を慌てて捕まえる。

お次は…

リビングへやってくると、テ嬢はソファーの背の上で手をつき、チュ君をじっと見つめていた。

#テ嬢、可愛すぎる

チュ君「今度は何だ?ポーズからして犬じゃないようだし」
テ嬢「…。」
チュ君「にゃお?」
テ嬢「にゃおーん♪」

驚きもせず、「了解」と言った程度に頷くチュ君。

#ジェスチャークイズのようだ。

チュ君「下の階にいつも子猫がいたようだが、死んだんだな」
テ嬢「にゃおーん」
チュ君「(手招きする)降りて来い」
テ嬢「くーっ!(ひっかく)」
チュ君「…こいつ」
テ嬢「(ジーッ)」
チュ君「この間来た犬はクッションを食いちぎって行ったが、お前には何をやろうか?」
テ嬢「(ジーッ)」

彼は持っていたブランケットをパッと開くと、テ嬢猫に覆い被せた。
中でもがくテ嬢猫。

さらにお次は…。

何やら小瓶を手に、彼女は悩ましげに顔をのぞかせた。

テ嬢「シェリー」
チュ君「!」

彼が横になっていたソファーの背に見を横たえ、彼をじっと見つめる。

チュ君「(小瓶を指し)それは俺のスキンケア剤。酒じゃない。顔に塗るんだ。飲んじゃ駄目だぞ」
テ嬢「(フランス語で)今夜は寂しいの。一人にしないで!」
チュ君「なぁ、パリジェンヌ」
テ嬢「?」
チュ君「どうせあんたは俺が触ったら消えるんだ。あんたの望んでることはしてやれない。俺だって手だけ握って寝るのは辛いんだ!」

すねた表情で彼を見つめるテ嬢パリジェンヌ。

チュ君「それぞれ静かに寝るってことで合意しよう」
テ嬢「(首を横に振る)」
チュ君「嫌か?フランス語で言ってやろう」

彼は体を起こす。

チュ君「お前は、消えろ!」

小瓶を放り出したテ嬢パリジェンヌは、指で彼の顔をつつーっとたどった。
その途端、霊が抜けて倒れこむテ嬢。
彼はまた落ちてきた彼女の体を抱きとめた。

チュ君「うっ!全く気が狂いそうだ。俺の我慢にも限界があるのに…」

+-+-+-+

チュ君はダイニングで待っているテ嬢に飲み物のカップを差し出した。
テーブルにカップを置くと、彼の目はすぐ彼女の表情に向かう。

テ嬢「ひょっとして私… 昨日お酒に酔って、また変なことしました?」
チュ君「テ・ゴンシル、会わない間に前にはなかった肉感が生まれたのに、酔って果敢に攻め込んでくるお前の相手も出来ず、手だけ握って眠るのは本当に辛かったぞ」
テ嬢「ただ… 酔って荒れた程度でした?」
チュ君「お前は酔ってただけだ。酒を飲めば誰だって酔う」
テ嬢「…。」
チュ君「昨日のお前はただ… 酒に酔ったテ・ゴンシルだった」
テ嬢「(溜め息)良かった。…ごめんなさい」
チュ君「…。」

~~再び昨夜

テ嬢を連れて帰ってきたチュ君。
ダイニングに突っ伏して眠っているテ嬢の手を、彼はとりあえずじっと握っていた。

チュ君「テ・ゴンシル?テ・ゴンシル?水を持って来てやる」

立とうとした彼の手を彼女はぐっと握って引き止めると、
その手を自分の頬に押し付け、彼女は甘い目で彼を見つめた。

1779

テ嬢「社長♥ 会いたかったです」
チュ君「まだそんな物が見えるから、防空壕への思いが切実になったか?」
テ嬢「(首を強く横に振る)絶対にそんなのじゃなくてね、ただただ社長にすごくすごくすご~~く会いたかったんです」
チュ君「…。」
テ嬢「だけど、私まだ幽霊が見えるんです。平凡な人になる方法、見つかりませんでした」
チュ君「それで俺のところへ来なかったのか?」
テ嬢「”たぶらかす”準備はしてました♪」
チュ君「…ん?」
テ嬢「すごく素敵な女性になって、あなたの前にジャーン!って現れたら、あなたは一目で私に落ちるの」
チュ君「…。」
テ嬢「それでね、あなたが私にすっかり夢中になったら、”私、まだオバケが見えるの。言おうとしたんだけど…”」
チュ君「もう十分惚れてるのに、順番の後先に何の意味があるんだ?」

彼女は握っていた彼の手を乱暴に放り出した。

テ嬢「大事ですってば!私、防空壕にすがりつくレーダー女として、また会いたくはなかったのに!!!」
チュ君「…。」
テ嬢「私、社長が好きなお金だってすんごくたくさん稼いだのに…あぁ!ダメになっちゃった」
チュ君「…。」

悔しがる彼女を黙って見つめる彼の表情は、穏やかに変わった。

~~

テ嬢「迷惑かけてごめんなさい。お茶、ご馳走様です」

テ嬢が立ち上がった。

チュ君「おい、尻軽女」
テ嬢「?」
チュ君「男の家で一晩過ごしたら、ちゃっかり電話番号を渡して、次はいつまた会うのか、時間もちゃんとキープして。そうべきじゃないのか?」
テ嬢「何でそんなことまで?!私、尻軽女じゃありませんから!」
チュ君「分かった。それなら、訂正しよう。高慢なテ・ゴンシル。高慢で電話番号をくれはしないだろうから、俺が自分でゲットしておいた^^」
テ嬢「!」

思わず、テーブルに置いていた携帯電話を掴むテ嬢。

チュ君「俺が丁重に電話したら、高慢に撥ねつけて電話に出るな。さもないと尻軽女と噂が出るぞ」

言うだけ言って目をそらす彼を、テ嬢は睨む。

テ嬢「電話しないでください」
チュ君「…。」
テ嬢「私からします。そう決めたんですから」
チュ君「まぁ、後先が大事だって言うから、理解して配慮する」
テ嬢「…。」
チュ君「…メールはしていいか?」
テ嬢「まぁ、ご自由に」
チュ君「…ありがたい」

「行きますね」彼女は上着とバッグを持ち、出て行った。

チュ君「(独り言)テ・ゴンシル、頑張ってたぶらかしてみろ。最善を尽くしてな^^ファイト」

+-+-+-+

テ嬢は彼の家の玄関を出て来た。

テ嬢「はぁ!私、お酒飲んでも大丈夫だったみたい!そうよ、最近、何も出たり入ったりしてなかったもの。あぁ、良かった!」

彼女が廊下へと消えて行くと、入れ替わりに別の方向から副社長が現れる。
「分かりましたよ。僕が連れて行きます」電話でそう話しながら、チュ君の家の玄関前に立った彼は、遠ざかっていく人影に目を丸くした。

副社長「テ・ゴンシル?!」

+-+-+-+

副社長が上機嫌で外へ出て来ると、待っていた叔母が振り返った。

叔母「チュンウォンは?」
副社長「あぁ、チュ社長は運動しに出かける状況じゃなさそうですよ」
叔母「そう?チュンウォンは昨夜何の用事だったって言ってました?セジングループとの大事なミーティングをキャンセルするなんて」
副社長「さぁ。表情はニコニコ(※パンシルと発音します)笑顔がこぼれてましたし、ご心配なく」
叔母「…。」
副社長「僕がみるに、チュ社長は他の女性にはなびきませんね」
叔母「パンシルを見なくなって1年になるんですよ。あと1年会わなければ忘れるわ」
副社長「これからチュ社長はニコニコ(※パンシルパンシル)微笑んでばかりでしょうねぇ。パンシル、ファイト!」
叔母「…。”パンシル、ファイト!”っていうその掛け声、どこか気に入らないわ」
副社長「…えぇ」
叔母「チュンウォンが行かないなら、私もやめるわ。体がだるいのよ」
副社長「行かないの?黙って見てると、君は僕よりチュ社長優先みたいだ」
叔母「今はまだそうね。うちのチュンウォンが1位。あなたが2位」
副社長「子どもでも出来れば僕の味方になってくれそうだなぁ。はっはっはっ」
叔母「…。」
副社長「…冗談だよ、冗談。この年で子どもなんて。僕たち同士で愛し合えばいいんだ」

彼は憮然とした妻の口角に指を当て、ニッコリと笑わせる。「ニコニコ!」

副社長「愛してるよ」

+-+-+-+

テ嬢の姉はいつもの場所で、いつもの男を前に妹と電話で話していた。

姉(電話)「うん、コンシル。仕事が終わったらすぐ行くね(電話を切る)」
ハンジュ「テ・ゴンシルさんが帰ってきたんですか?!」
姉「何よ?イチーム長が軽口をまた使おうって?」
ハンジュ「チーム長になってめちゃくちゃ高級な口になったんですから!知ってるくせに~」
姉「とにかく、あちこち騒いで回らないでよ。どうなったって、私はコンシルの味方なんだから」
ハンジュ「けど、主君が知ったら騒動になるな。キングダムの主君は顧客センターのテ嬢が去った後、すっかり気が抜けたって噂が絶えないんです。ベンチで一人ぶつぶつ喋ってるのを見たって人は一人や二人じゃない」
姉「はぁ、コンシル、人を一人ダメにしちゃったのね。男をそんなふうにしちゃったら責任取らなきゃいけないのに」

ハンジュは小さく咳払いをし、彼女の肩をポンと叩いた。

ハンジュ「コンシルのお姉さん、責任取って」
姉「私がどうして?」
ハンジュ「(声が大きくなる)あの数々の夜を!ここまで男をもてあそんで翻弄して!」
姉「シーッ!」

彼女が唇をおさえると、ハンジュは嬉しそうに口をつぐんだ。

姉「もう!口が軽いんだから!そんなこと騒がないでよ!」

ハンジュは彼女の指をそっと手で押さえ、テーブルの上に重ねた。

ハンジュ「妹が帰ってきたんだから、正式に紹介してくれますよね?うちの家に挨拶して、もっと寒くなる前にハンコもついて、僕に責任とってくださいよ」
姉「まぁ… そうすれば?ふふっ」
ハンジュ「(嬉)僕たち、結婚するとき、司会はカンチーム長、あ、もうチーム長じゃないから、カン・ウ兄に頼むよ」
姉「^^」
ハンジュ「それに、祝いの歌は当然のごとくテ・イリョンさんに。ん?そうしたらすごい興行になるよ。世紀のカップルになるんです、(ハンジュリーと?)コンリって具合に。ハハハッ!」
姉「やってくれると思う?」
ハンジュ「テ・イリョンはカン・ウの名前一つ出せば一発だ」
姉「カンチーム長時代はうちのコンシルと上手く行ってほしいと思ってたけど、小さいテ嬢にすっかり落ちちゃったわね」
ハンジュ「けどカン・ウ兄、テ・ゴンシルさんが帰ってきたのを知ったら、撤退してたローレライの丘にまた戻ってくるんじゃないかって、それも心配だな」
姉「何心配してんのよ。(ケーキを一口差し出す)これでも食べて」
ハンジュ「(ケーキをパクリ)甘い♥(彼女を指差し)君も。ハハハハハッ」

+-+-+-+

ある建物の入口にレッドカーペットが敷かれている。
誰かが出て来るのを今か今かと待っている報道陣のそばに、カン・ウが立っていた。
インカムをつけ、黒いスーツを端正に着こなした、見慣れたカン・ウだ。

1780

車が到着すると、外国人が二人、降り立った。
カン・ウは彼らの後ろにピッタリと寄り添い、後に続く。
女性が階段でつまずくと、カン・ウはすかさず後ろから手を差し伸べた。

熱心に写真を撮る人たちの群れに混じり、頬っかむりをした女性が写真を撮っている。
イリョンのマネージャーだ。

マネ「テ・イリョン、マネージャーをパパラッチにするなんて!」

+-+-+-+

衣装合わせをしているイリョンに、マネージャーから写真が送られてくる。

1781

イリョン「何よこれ!この女、何で警備員にこんなにくっついてるわけ?(溜め息)外交官たちの夫人ってどうしてみんな美人なの?もう!」

+-+-+-+

ビルの前で熱心に写真をチェックしているイリョンのマネージャーの背後に、カン・ウが現れる。
彼はさっと彼女を捕まえた。

カン・ウ「なぜ写真を?」
マネ「…私よ、カン・ウさん」
カン・ウ「?」

正面を向いた彼女の顔を見て、カン・ウは手を離した。

カン・ウ「イリョンのマネージャーさん?」

+-+-+-+

カン・ウとイリョンは漢江のほとりに互いの車を停め、温かいコーヒーを飲んでいた。

イリョン「ねぇ、犬マナー」
カン・ウ「…。」
イリョン「あんた、外交官じゃなくて、おじさんたちしか集まらないところに移ってよ」
カン・ウ「おい、黒ひげクジラ。お前、俺の回りにいる女を全部取って食うつもりか?」
イリョン「そう。あたしがあんたのたった1匹だって確信がないのよ。会おうて言ったら、いつだってこんな人気のない場所で、ささっと会うのはやめようって言ったのに。私のこと心配じゃないの?」
カン・ウ「それはお前がテ・イリョンだからだろ。それがお前の立場でお前を守るってことだ」
イリョン「…。」

彼女はハッとしたように、もたれていた車から体を起こすと、カン・ウの元へ歩み寄った。

イリョン「カン・ウ、あんた今、あたしを守るって言ったの?」
カン・ウ「…。」
イリョン「あたしのこと守るって言ったんだよね?!」
カン・ウ「なんだよ?」
イリョン「それって、あんたの心はもうあたしのものってことよ」
カン・ウ「黒ひげクジラは全く鈍いな。随分前からなのに…今頃になって。ガッカリだ」

イリョンは彼の服を掴む。

イリョン「ハッキリ言ってよ。本気なら、あたしと映画観に行こうよ」
カン・ウ「映画?映画はよく観てるだろ」
イリョン「深夜映画館じゃなくて。映画祭に行くの」
カン・ウ「映画祭?」
イリョン「(頷き、彼の腕を取る)レッドカーペットをね、腕を組んで通って、あたしと映画観に行こうよ。あんたはあたしのものだって太平洋に見せてやれるわ」
カン・ウ「はぁ。(彼女の腕を外す)やっぱり黒ひげクジラは俺には荷が重すぎる。レッドカーペットは無理だ、無理」
イリョン「私を守るつもりなら、必ず通過しなきゃいけない道よ。私はその道に立たなきゃいけない人なんだから」
カン・ウ「…。」
イリョン「そばにいてくれない?」
カン・ウ「そうだな。お前のそばはそういうところだ。けど、俺に似つかわしくない場所に立って、お前をまともに守ってやれるかどうか」

彼女はカン・ウの腕に優しく自分の手を重ねる。

イリョン「一緒に行こうよ。ね?」

+-+-+-+

テ嬢はまたコシテルに戻ってきた。
姉が一緒に入ってくる。

姉「うちで一緒に暮らそうよ。どうしてまたここに?」
テ嬢「私、この家を手に入れる前にあちこち回ったんだけど、ここが一番気楽なの」
姉「あんた!まだ何か見えるの?」
テ嬢「…。」
姉「ユ・ジヌさんと旅してるうちに、見えなくなったんじゃなかったの?」
テ嬢「そうじゃなくてね、ただ私がどうしてこうなったのかは分かった気がする」
姉「彼は今どこにいるの?」
テ嬢「まだ外国にいるけど、もうすぐ帰ってくるわ」

姉は妹の手を握った。

姉「あんた、もうずっとここにいるんだよね?」
テ嬢「ここにいるよ。お姉ちゃん、私、このコシテル買うつもりなの」
姉「え?!あんた、たくさん儲けたって…そんなに儲かったの?!」

頷いたテ嬢は、楽しそうに姉の肩をコツンと叩く。

テ嬢「ヨーロッパにいたとき、ホントにオバケだらけのあばら屋にいたんだけど、私が上手く話して、オバケたちが皆出て行ったの。家を修理したら、めちゃくちゃ高く売れたのよ」
姉「そんなに稼いだのにどうしてここの住むのよ?」
テ嬢「ここが気楽だし、勉強するにも良さそうだし。それにね、この建物が私の物なら考えてやるって、誰かさんが言ってたのよ」

驚いてキョロキョロする姉の表情に、彼女は笑った。

+-+-+-+

テ嬢は不動産業者を訪ねていた。

テ嬢「建物の所有者、売るつもりはあるって言ってました?」
業者「銀河コシテルの建物は、昨年だったかな?取引があって持ち主が変わったんですが、とりあえず買い取りの意志を伝えたら、会ってはくれるとのことですよ」
テ嬢「そうですか。そんな高く吹っかけてはこないですよね?」
業者「どうでしょうね、それが…」

ふと部屋の外を見た業者が「いらっしゃいましたね」と声を掛けた。
入って来たのは… キム室長だ。
姿勢を正そうとしたテ嬢は、懐かしい人物の顔に気づき、顔を輝かせた。

テ嬢「キム室長!」
室長「久し振りですね、テ嬢。相変わらず晴れやかですな」
テ嬢「(笑)だけど、ここへはどうして?」
室長「銀河コシテル所有者の代理人です」
テ嬢「…。それじゃ、新しく代わった所有者って」

+-+-+-+

テ嬢はキングダムの社長室で、チュ君と睨み合っていた。

1782

チュ君「あぁ、あれは俺が買った。KグループとLグループが共同開発する土地だから、投資のつもりでな」
テ嬢「…。」
チュ君「いつ電話するのかと俺が送ったメールもずっと無視したくせに、建物の価格を調べるために来たのか?」
テ嬢「つまりそれを買うにはとんでもないお金を払わなきゃダメだって、そういうことですか?」
チュ君「言葉ではそう言っただけだろ。いつ電話するつもりだ?」
テ嬢「(溜め息)相場で買えると思ったのに…お金がちょっと足りないわ」
チュ君「まさかお前、金をもっと儲けにまた外国に発とうなんて思わないよな?」
テ嬢「…。」
チュ君「そんなことはやめて、お前の携帯にその建物所有者の電話番号が入ってるだろ?そこに電話しろ。上手く言いくるめれば、まけてくれるかもしれないからな」
テ嬢「…。」
チュ君「俺はその男をよく知ってるんだが、まさにカモだぞ」
テ嬢「まだ電話はしません」
チュ君「!」
テ嬢「その建物にあといくら必要かご検討いただいて、キム室長を通して連絡をください」
チュ君「(しょぼん)」
テ嬢「では失礼」

テ嬢が立ち上がる。

チュ君「メールしたら返事はしろ」
テ嬢「(余裕の笑顔)えぇ」

カツカツとヒールの音を鳴らし、テ嬢が出て行く。
チュ君は完全に沈黙した。

キム室長「あの建物を買ったのは、誰かさんがあそこの屋根部屋がソウルで一番気楽だって言ったから。そう言ってませんでした?」
チュ君「投資が目的の1位。誰かが帰ってきたら楊平の別荘より休まると言うだろう…それが2位でした」
室長「テ嬢はまだ社長のそばにいる決心ができずにいるんでしょうか」
チュ君「決心はついたそうです」
室長「…。」
チュ君「自分の思った通りの順序じゃないとダメらしい。合わせてやるのがエラく大変ですよ」
室長「社長はもともと決められた順序をちゃんと守る、そんな方じゃないでしょう?」
チュ君「?」
室長「必ず手に入れるべきものがあれば、待っているなんて、そんなことなさったことはないと思いますが?」
チュ君「…。俺はもともとそうだった…。(室長に)それでいいと思いますか?」
室長「(笑)そばで忠告してくれとおっしゃったでしょう?」
チュ君「…。」
室長「こっそり順番抜かしをするくらいの反則はなさってもいいんですよ」

チュ君はサッと立ち上がり、すぐに歩き出した。

室長「ブラボー♪」

+-+-+-+

叔母は医師のもとを訪れていた。

叔母「今回の定期健診の結果、出ていますか?」

えぇ、答えた男性医師は、気まずそうに咳払いをした。

叔母「このところ、ずっと体の調子が悪かったんです。良くない結果が出ているかもしれないと覚悟は出来てますが、重病じゃないと助かるわ」
医師たち「…。」
叔母「お話ください」
女医「奥様。ご懐妊です」
叔母「!」
女医「5週になります。おめでとうございます」

驚いた彼女の手が、無意識にお腹へと向かった。

叔母「私が?」
女医「(頷く)」
叔母「この年齢で妊娠…?もっと若い時でも、子どもはもう持てないだろうと思っていたのに、この年齢で子どもが?」
女医「お年を召していますし、過去に流産なさった経験もおありですから、子どもを守るためには努力が必要でしょう」
叔母「この年齢でそんな努力をする自信は…あまりないわ」
女医「難しい状況であるほど、産婦が努力なさらないと…」
叔母「…失うことになるんですか?」

医師は静かに頷いた。

+-+-+-+

叔母が副社長室の夫の元へ帰ってくる。

副社長「病院へ行ってきたんですって?」

副社長は妙に深刻な顔で見つめる妻の表情に、不安を募らせた。

副社長「定期検診の結果が良くなかったのかい?」
叔母「違うの。健康ですって。何の異常もないし」
副社長「あぁ、良かった」
叔母「…。」
副社長「それなら、僕たちが予定してた結婚5周年の旅行には行けるんでしょう?」
叔母「それ…日程がかなりダイナミックなんでしょう?」
副社長「あ、えぇ。きっと面白いよ。軽飛行機の操縦をして、モンゴル草原で馬に乗って、君の好きなことを全部準備しておいたよ」
叔母「スリルに溢れて…危険そうだわ」

彼女はお腹をかばうように腕を組んだ。

副社長「どうして?嫌かい?」
叔母「いえ、違うの。私、残りの生涯あなたと二人で自由に暮らしたいわ」

副社長は妻の手に自分の手を重ねた。

副社長「ソンラン、愛してる…よ」
叔母「…。」

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「ジャーンて登場する計画が狂ってばかりだわ」
社長室を出て来たテ嬢がキングダムのショッピングモール内を歩いてくると、ベンチの脇のゴミ箱の蓋がポン!と勢い良く回った。

テ嬢「おじさん^^いらっしゃったんですね」

おじさんの霊が嬉しそうに頷いた。

テ嬢「久し振りですね。お元気でした?」

そこへ追って来たチュ君が大声で彼女を呼び止めた。

チュ君「テ・ゴンシル!」
テ嬢「!」

彼女は慌てておじさんの霊にこっそり言い聞かせる。

テ嬢「おじさん、私と話してたんじゃないですからね。私と会ってない振りしててくださいよ」

おじさんの霊が頷いた。
彼女に追いついたチュ君は、まだユラユラと揺れているゴミ箱の蓋をチラリと見る。

テ嬢「どうしました?」
チュ君「建物の価格交渉してみるか?食事でもしながら」
テ嬢「私、お昼ごはん食べましたけど」
チュ君「そうか?それならどこかで時間を潰して夕食にすればいいな」
テ嬢「今日は姉と夕食の約束をしてるんです」
チュ君「俺だって食事をする相手はたくさんいる。叔母が俺を呼んでスイートホームを切り盛りする女をあてがおうとしてるのは知ってるだろ?俺は最近そういう席にしょっちゅう引っぱり出される。それでも、俺をそのまま放っておくのか?」
テ嬢「うーん。それで?最近何回食事をされたんですか?」
チュ君「あぁ。建物価格を聞くよりは有益な質問だ。何回くらいだと言えば食いついてくるんだろうな」
テ嬢「(笑)一応食べたのは食べたのね。そうだと思ったわ。セジングループの女の人と手を繋いで中国に行くんですものね」
チュ君「心配だろ。だから今は後先の順番通りにしてる場合じゃない。順序なんて無視して、とりあえずたぶらかせ!」

彼は胸元から電話を取り出す。

チュ君「電話しろ。なびいてやるから」
テ嬢「もしかして私、酔っ払って何か言いました?」
チュ君「あぁ。とんでもなくいい計画を全部漏らしていったぞ。だから実践しろ」
テ嬢「…。」
チュ君「(ベンチを指し)そこに座ってるおじさんがまだ見えようが見えまいが、俺には関係ない」
テ嬢「!… まだ見えることも知ってたんですか?!」
チュ君「…あぁ。お前、まだそんな自分が嫌なのか?」
テ嬢「…。」

そこへ女性客が通りかかると、おじさんの霊はゴミ箱の蓋を叩いた。

テ嬢「おじさん!」
チュ君「(溜め息)幽霊たちは大事なタイミングでいつだって割り込んでくる!なぜだ?」

通りすぎた客を目で追い、いつだってそこにじっと座っていた霊が立ち上がった。

テ嬢「あ!おじさんが動いたわ!おじさん、どこ行くんですか?」
チュ君「待て。そのおじさん、ここに座ったまま身動きしないって言ったろ?」
テ嬢「そうですよ!(霊に向かって)おじさん、どこ行くんですか?!(チュ君に)私、行ってみます」
チュ君「(彼女を引き止め)そのおじさんは俺の友人だ。俺も一緒に行く」
テ嬢「(溜め息)やっぱり社長と私、幽霊抜きには話が成り立たないわ。おじさーん!」

「テ・ゴンシル!」おじさんを追うテ嬢の後を、チュ君が追いかけた。

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おじさんが追った二人は母と娘、親子のようだ。
二人はキングダム内の結婚式場へと入っていく。
「ここで結婚式が出来たら素敵だわ」娘は目を輝かせた。

テ嬢「おじさんの奥さんとお嬢さんみたい」
チュ君「娘の結婚式場の下見に来たようだが…」
テ嬢「そうみたいですね。(霊に)おじさん、今までお嬢さんと奥さんが心配で逝けなかったんですか?」

霊は妻と娘を見つめたまま、首を横に振った。

テ嬢「違うんですか?」
チュ君「違うって?」
テ嬢「(頷く)」

二人は母娘に声を掛けた。

母「この子の父親は3年前にこの世を去りました」
娘「あのロトのせいよ…」
テ嬢「ロト?」
母「毎回同じ番号でロトを買っていたんです。そうしているうち、奇跡的にその番号が1等に当たったんです」
チュ君「あまりに喜んで、心臓麻痺を起こされたんですか?」
母「…そのロトくじを失くしてしまったんです」
二人「…。」
母「財布からゴミを捨てようとして、くじも一緒に捨ててしまったらしくて」
娘「本当に勿体ないけど仕方ないって、そう言ってたんです。でも、何ヶ月か寝込んでいるうちに、もともと血圧が良くなくて、結局亡くなってしまったんです」
二人「…。」

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おじさんは再びベンチに戻っていた。
彼の隣にあるゴミ箱をチュ君たちは見つめる。

チュ君「(テ嬢に)ここに捨てたのか?」

おじさんはテ嬢が答える代わりに、ゴミ箱の蓋をポンと叩いた。

チュ君「それでここを離れられずに、ずっといらっしゃったのか。もう亡くなったのに、あまりに残念で」
テ嬢「そのお金さえあれば、お嬢さんの学資金も賄えて、結婚もさせて…。それに奥さんの苦労も減ったはずだって」
チュ君「1等なら残念なのも無理はないな」

テ嬢は優しく霊に話しかけた。

テ嬢「お嬢さん、とても美人でいい方でした。それに、奥様もいいお婿さんを貰って嬉しいって自慢なさってました。そのお金がなくても、おじさんの愛した方たちはみんな幸せに暮らしてるでしょう?だから、幸せになれるって信じて、もう逝ってもいいんですよ」

ゴミ箱の蓋が、もう一度ポンと回った。

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おじさんの妻と娘は、結婚式場の見学を終え、コンサルタントの前で話していた。

娘「素敵だけど、ここはやっぱり無理よ、お母さん。イさんと選んだところにするね」
母「それでもお父さん、あなたの結婚式は一番いいところでやりたがっていらっしゃったのに…。まぁ、イ君とあなたがいいって言うんなら構わないわ」

母がバッグを手に立ち上がったところへ、チュ君が入ってくる。

コンサルタント「社長?!」

チュ君は母娘の前に進み出た。

チュ君「ちゃんとご挨拶できずにいました。キングダムの社長、チュ・ジュンウォンです」
母「あら!そうでしたか」
チュ君「亡くなった旦那様と私は大変親しくさせていただいていました。深く正すなら、私の恩人だと言えます」
母「あの人が?」
娘「お父さんがですか?」
チュ君「ささやかなお礼として、私がお嬢様の結婚式のお手伝いをさせていただきたいのですが、快く受け取ってください」

1783

驚きと感激で言葉のない二人。

チュ君「(職員に)お二人のご希望に日取りと時間を合わせて、式場をおさえてください。食事も花も最高級のものを準備して。ドレスは…」

そう言って娘を見るチュ君。

チュ君「…お嬢様さえ良ければ、我々キングダムで準備させていただきたいのですが、構いませんか?」

娘は母と顔を見合わせ、嬉しそうに頷いた。

チュ君「(頷いて職員に)準備を頼みます」

彼は足早に二人の前を去った。

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ここで一旦区切ります。

最終回の前半とは思えないほど終始平和だったわけですが、もしかしてこのまま特に驚くような出来事もなく、平和に終わっていきます?
まさかとは思うけど、このまま穏やかに終わっていきます??!!

とりあえず、前半の収穫は、二人の大事な客相手にとことんスマートなチュ・ジュンウォン社長の姿でした♪

 - 主君の太陽 ,