韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

主君の太陽15話あらすじ&日本語訳 vol.1

      2013/10/01

ハッと気づいてみれば、カン・ウはただただ見守り励ますだけで、はや15話。
テソクのように看病したり、スヒョクのように人格変わっちゃったり、コンジャのように王様になっちゃったり、チャドルのように恩人を追う立場になっちゃったり、チョンインのように結婚しちゃったり、ユル君のように…えっと忘れた(爆)…することもなく。
そんな心優しく誠実なカン・ウが全力で守る超安心なショッピングモール、キングダムが舞台の「主君の太陽」15話です。

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ではでは

+-+-+-+

ネックレスを捨てようとした彼女の腕を掴み、チュ君は話を続ける。

チュ君「俺はこの世にたった一人しか存在しない特別な存在だろ。俺なしじゃ死ぬほど苦しいくらいじゃないと無念で仕方ない」
テ嬢「(溜め息)それは困ったわ。私、社長がいないと”残念な”程度なんだけど」
チュ君「残念な程度?」

掴まれた手首を、彼女が引き抜いた。

テ嬢「社長が私のこと思い出してくれるのを待ってたわけじゃありません。(ネックレスを見せて)これを見せれば簡単に記憶は戻ったのに、(記憶を)返さずに持ってたんです」
チュ君「返さずに持っていたと?」
テ嬢「えぇ。お互いそのほうが楽だと思ったから」
チュ君「…。」
テ嬢「これはもともと捨ててあるのを拾ったものだし、そのまま捨てようと思ったんです」

テ嬢は彼の手のひらにネックレスを乱暴に落とした。

テ嬢「これ、社長が持って行ってください」
チュ君「本当に…捨てるつもりだったのか?」
テ嬢「えぇ」
チュ君「(ネックレスを見つめる)俺が自分で思い出してお前を探さなかったら、綺麗サッパリ捨てて…永遠に見つからなかったろうな」
テ嬢「えぇ。どちらにしても私は捨てたんです」

チュ君はネックレスを掴み、その手を掲げた。

チュ君「それなら、俺も捨てようか?」
テ嬢「社長の物だからご自由に」
チュ君「あぁ。それなら俺も捨てる。綺麗サッパリな」

握った拳を上げた勢いでバルコニーの柵へと歩いていくチュ君。
止めると思った当の彼女は、彼を置いて立ち去ろうとする。

チュ君「あぁ!」

彼が痛みに顔をしかめ、柵にもたれかかると、テ嬢が慌てて戻ってきた。

テ嬢「痛いんですか?!」
チュ君「あぁ、痛い。背中が裂けそうだ」
テ嬢「もう良くなったんじゃなかったんですか?」
チュ君「お前、ドライバーが刺さったことあるのか?もう少し深ければ心臓を突き抜けるくらいだったんだ」

彼は彼女の肩を掴み、クルリと引き寄せると、腕を回して彼女にもたれかかった。

チュ君「(嬉しそう)」
テ嬢「まだ痛みますか?」
チュ君「記憶が戻ったら、刺された瞬間の衝撃も蘇った」
テ嬢「…家に帰りましょう」
チュ君「あぁ。帰らないとな。駐車場に行くぞ」
テ嬢「誰か呼んできます」

腕の中から逃れようとした彼女を、チュ君は無理やり引き寄せる。

テ嬢「あっ…」
チュ君「誰のために怪我したと思ってるんだ?肩も貸せないのか?」
テ嬢「…。」
チュ君「酷いんじゃないか?」
テ嬢「…行きましょう」

痛みをアピールしながらそろそろと歩き出すチュ君。

チュ君「お前、一度も病院に来なかったろ」
テ嬢「記憶がなかったんだから寂しくないでしょ?」
チュ君「(さらに引き寄せる)どんなに痛かったと思ってるんだ?正直今でも息をする度に、あっ!痛っ!」
テ嬢「そうですね…。すごく痛かっただろうな」
チュ君「それだけか?誠心誠意、心配してみろ」
テ嬢「そうですね!めーっちゃくちゃ痛かったでしょうね!」
チュ君「(痛)ああっ!そこがぁーー!」

+-+-+-+

駐車場につくと、チュ君は彼女にキーを放り投げた。

テ嬢「?」
チュ君「運転はお前がやれ」
テ嬢「私が?」
チュ君「痛いのに俺がするのか?あっ!あぁ…(痛)」

彼はさっさと助手席に乗り込んだ。
彼女が運転席に乗ると、チュ君は彼女の肩に手を乗せる。

テ嬢「?」
チュ君「運転中に何か出て来たら危ないだろ。俺の安全のためにやってるんだ」
テ嬢「…。」
チュ君「…。」

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彼女の横顔をそっと盗み見ると、彼は肩に置いた手を浮かし、かすかに髪に触れた。
じっと見ているうちに彼女が振り返ると、ハッとしたように視線をそらす。

チュ君「運転だけに集中するんだ。俺は痛くてもずっと耐えてるだろ。出発だ」

+-+-+-+

パーティー会場にはハンナが残された。

叔母「ハンナさん、ごめんなさい。チュンウォンは具合が悪くて帰ったみたいなの」
ハンナ「…。」
副社長「テ・ゴンシルのところに飛んでったようだけど、記憶もないのに会えばこうやって(手招きする仕草)引き寄せられるようだな」
叔母「(ジロリ)」
副社長「(怯まない!)いや何、チュ社長が体を投げ出して助けるくらい好きな人だったんだ。それもそうだろうね」
ハンナ「チュ・ジュンウォンさん、あの人を助けようとしてケガをしたんですか?」
叔母「違うん…」
副社長「そうなんです!」(逆襲!
叔母「!」
ハンナ「!」
副社長「…。」
ハンナ「そうだったんですね。テ・ゴンシルという女性、チュ・ジュンウォンさんにとってそれほどの人だったんですか」

彼女はゆっくりと自分の前髪を撫で下ろす。

~~かつて、イギリスからやって来たハンナとヒジュが出逢ったとき

ハンナとヒジュは厳しい表情で向き合っていた。

ハンナ「私とあんたは同じ顔だけど、チュンウォンが本当に好きなのはあんたじゃないわ」
ヒジュ「チュンウォンは自分の好きなのがチャ・ヒジュだと思ってるのよ」
ハンナ「(悲しげ)私が本当は誰なのか、チュンウォンに言いたいの」
ヒジュ「…。」
ハンナ「ごめんね、ヒジュ」

~~

+-+-+-+

キム室長は自分が頑なに守ってきた事情をカン・ウに明かす。

キム室長「妹が残した姪たちを、私は引き取ることができませんでした」
カン・ウ「…。」
キム室長「双子のうち、イギリスに養子に行ったのがハンナ、韓国の保育施設で育ったのがヒジュだったんです」

ハンナとヒジュ、二人の写った写真を、キム室長は取り出す。

キム室長「二人が会ったと言って送ってきた写真なんです。私も韓国へ戻ってきて、ヒジュに会おうと思っていたんですが、ハンナがイギリスへ帰ってきて、ヒジュが事故で死んだと言うんです。それ以降…ハンナには会えませんでした」
カン・ウ「…。」
キム室長「それなのに、なぜあの子が15年ぶりに主君のそばに現れたんでしょうか」
カン・ウ「共犯の可能性が高いと思われます」
キム室長「ハンナは… 決してそんなことをしでかす子ではありません」
カン・ウ「ハンナ・ブラウンが死んだチャ・ヒジュの双子の姉妹だったことも驚くでしょうが、キム室長が二人の叔父だと知れば、チュ・ジュンウォン社長は大きなショックを受けるでしょう」
キム室長「…。」(この室長の表情にチト涙…
カン・ウ「キム室長を誤解なさるかもしれません」
キム室長「私が主君のそばを守ってきた長い年月が… 解き難い誤解で終わってしまうかもしれませんね」

+-+-+-+

自宅までチュ君に付き添うと、テ嬢はソファに腰掛けたチュ君に「帰ります」と頭を下げた。
その瞬間、慌てて彼がテ嬢の手首を掴む。

#このとき、カッと目を見開いたチュ君の反応が笑える。

テ嬢「!」

彼は引っ張った勢いで彼女を座らせ、そのまま自分は立ち上がった。
今までの痛みは一体どこへ行ったのか、軽快な足取りで歩き出すチュ君。

チュ君「何を飲む?俺はビールを飲むから、お前はサイダー…(冷蔵庫を開ける)…はないから炭酸水にしろ」

彼は冷蔵庫から缶ビールと炭酸水の瓶を取り出す。

テ嬢「痛いんでしょう?」
チュ君「本当に背中だけ痛くて、お前をここまで引っ張ってきたと思ってるのか?違うって分かってて、ここまで来たんだろ」

彼が差し出した瓶を、テ嬢は仕方なく受け取る。
チュ君は隅っこにいるテ嬢とは少し離れた、ソファーの中央に腰をおろした。

チュ君「さぁこれから、なかったことにしようと合意した件は撤回し、改めて整理することにしよう」

そう言って上着を脱ぎ、ネクタイを外して腕を組む。
テ嬢は彼に向き直った。

テ嬢「いいわ。ここまで来たんだから話しましょう」
チュ君「俺の事故に対する自責の念で、逃げ出そうとした気持ちは理解する。引っ張りこんだお前の過失ではあるが、闇雲に飛び込んだ俺の過失もある。その件はこれで終わりだ。これから気をつければいい」
テ嬢「…。」
チュ君「お前との関係にも終着点はあるだろうと、深みにはまらないようにはしていた。だが、本当に死や終わりを経験してみたら、ハッキリ分かったんだ。俺はお前と終わりにはしたくない」
テ嬢「…。」
チュ君「終わりにはしない。これからも俺のそばにいろ。我慢は…俺がする」
テ嬢「つまり社長はそうすると決めたってことですね?」
チュ君「あぁ。だから(ニコニコ)もうこれからは俺が口説いたら、なびけばいいんだ。飲もう」

チュ君は缶ビールに手を伸ばした。

テ嬢「社長が口説いても、私はなびかないと思いますけど?」

プルトップを引っ張ろうとした彼の指が空を切る。

チュ君「(ジロリ)」
テ嬢「私にとって社長は、前のように死ぬほど切実な…そんな人じゃないんです」
チュ君「防空壕だろ。どうした?ドライバーが刺さって機能が失くなったのか?」
テ嬢「いえ、そうじゃなくて…。前ほどオバケが怖くなくなったから、防空壕もたいして使い道がないんです」
チュ君「!」
テ嬢「つまりね、社長は今でもお金持ちで立派ですけど、私にとって一番決定的な魅力が消えちゃったってことです」
チュ君「目をギラつかせて使ってたときは、最高級の大理石でできた防空壕だとおだてたくせに、今は何だ?幽霊は怖くないから、俺が…魅力的じゃないと…?」
テ嬢「えぇ。例えばある男性がすごくお金持ちで好きだったけど、家が潰れて魅力がなくなった…そういうことです」
チュ君「俺はできる限りお前のレベルに合わせてやったつもりだったのに、俺の価値がさらに落ちたから…もう一度協議し直そうってことだな?」
テ嬢「(首を横に振る)私に合わせてレベルを落としたり、落ちたりしないでください」
チュ君「?」
テ嬢「私は望まないって言ったでしょう?…帰りますね」

テ嬢は立ち上がる。

チュ君「あぁ、今は帰れ。鏡を見て、次にアピールできる魅力ポイントは何があるか一生懸命探してから、もう一度合意を得に行く」
テ嬢「ご自由に」

素っ気なく出て行くの背中を見送ると、チュ君はあげていた指を自分に向けた。

チュ君「(自分に)お前、魅力ないってな。そんなこと言われたの初めてだろ。(手がガタガタ震える)震えるなよ、怒るなって!また合意を得に行くんだ。な?(手にドンドン力が)耐えるんだ!力を抜け!」

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震える拳を、彼はもう片方の手で押さえ込んだ。

チュ君「はぁ、面白くない。魅力がないだと…?」

#ゲラゲラ 笑っちゃって訳が進まない。彼を守るためとはいえ、こういう逆襲が出来てこそヒロインなんだよなー

#一連の二人の会話には、主に10話エンディング&11話冒頭の会話が裏返しになって使われています。
他の回で話したこともいろいろ出て来てますが…。
それをよく覚えていると数倍楽しめるかと。

+-+-+-+

先ほどのパーティー会場。

結婚式を無事終えた例の男性は、コ女史に謝礼金を渡していた。
そこへ現れたチュ君に、男性は顔が凍りつく。
「消えます」の仕草で早々に退散する男性。

コ女史「計算がお早いのね」
チュ君「好きなだけ言ってみろ。全部払ってやるから」
コ女史「(ニッコリ)計算の答えがハッキリ出たようですね」
チュ君「俺が支払えば、テ・ゴンシルとあんたの契約は終わりだ。あいつをまた引きずり込んだら、俺がブローカーになって、あんたの霊婚式をしてやる」
コ女史「…。」
チュ君「そのためには、死ななきゃいけないよな」
コ女史「(溜め息)二度と、あなたの太陽を遮ったりはしません」

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#今のはおそらく、パーティー会場で記憶を取り戻し、テ嬢の元へ行く前ですね。

+-+-+-+

見えない誰かさんと話しながら、テ嬢がレインコートを来て部屋から出て来た。

テ嬢「コ女史と一度相談してみます。第一条件が外見?亡くなっても外見を気にするなんて…」

振り返った彼女は、そこにしょんぼり立っているチュ君に驚いて声を上げた。

テ嬢「きゃっ!」
チュ君「…。」
テ嬢「(後ろから幽霊に話しかけられ)え?(チュ君を指さし)この人が超タイプ?この人は生きてるでしょう?!何見てるんですか、消えてください!!!(怒り)」

#この間、静かに待ってるチュ君が笑える。

チュ君「今夜は雨が降るって言うのに、どこ行くんだ?GTか?」
テ嬢「GTって何です?」
チュ君「コ女史がやらせてる、Ghost Training(ゴースト・トレーニング)」
テ嬢「…。」
チュ君「幽霊を捕まえに行くうちに鍛えられて、怖くなくなったのか」
テ嬢「…契約したことがあるんです」
チュ君「それはもう終わった」
テ嬢「!」
チュ君「俺が先方と合意したんだ。もちろん有り難いなんて思わなくていい。落ちた魅力ポイントでも少し増やしてくれ」
テ嬢「…。あぁ、社長が合意したんですね」
チュ君「…。」
テ嬢「良かったです」
チュ君「(ニヤニヤ)」
テ嬢「お聞きになったでしょうけど、その契約、社長を救おうと思ってしたことなんです。無事目覚めたから良かったとは思ってたんですけど、なんとなく私の一人損みたいで悔しかったんですよ」
チュ君「一人損?」
テ嬢「…。」
チュ君「犠牲、献身、愛。そんなもので美化すれば実にいい話なのにな」
テ嬢「(笑う)そんな美しい心は童話の本にあるものです。雷の日に出会ったオオカミとヤギがお互い相手のために耐える気持ちはとても美しいでしょ?童話の本だからですよ」
チュ君「…。」
テ嬢「でも、現実ではオオカミとヤギが一緒にいたら駄目なんです。社長はよくご存知でしょう?」
チュ君「俺は死から蘇って、現実から童話の世界に飛び込んだのに、お前は入れ替わりに飛び出してきたようだな」
テ嬢「…私の童話は残酷だったから」
チュ君「…。」
テ嬢「片方が死んで、もう片方に会いに来る…」
チュ君「!」
テ嬢「怖くて飛び出してきたんですよ」
チュ君「…。」
テ嬢「だから、そちらも自分の住む場所に帰ってください」
チュ君「お前、今日俺に3度消えろと言った。俺が3度我慢したってことだ」
テ嬢「社長、前に言いませんでした?」
チュ君「?」
テ嬢「消えろと言われたのに聞かないのは犬コロのすることだって」
チュ君「!」
テ嬢「社長こそちゃんと聞き入れていらっしゃらないようですけど?」
チュ君「耳の穴が開いてるからちゃんと聴こえる!それでも理解できないんだ!」
テ嬢「はっ!」

そのとき、後ろから幽霊に声を掛けられ、テ嬢は振り返った。

テ嬢「おばあさん、どうしてまたいらっしゃったんですか?」
チュ君「今、大事な話してるところだろ!何やってんだ?後で来いって言えよ!」
テ嬢「(チュ君を手で制し、幽霊に)息子さんがまた?はぁ、すごく危ないのに…」
チュ君「(イライラ)」
テ嬢「(幽霊に)行きましょう」
チュ君「どこ行くんだ?」

隣を通りすぎようとしたテ嬢に手を伸ばすと、テ嬢は彼に触らせないように咄嗟に避けた。

テ嬢「触らないでくださいね。今、無駄に防空壕が登場するタイミングじゃないんですから」
チュ君「(絶句)」
テ嬢「家に帰ってください」

テ嬢は彼を残し、さっさと出掛けて行った。

チュ君「俺に4度も消えろと言った!もう3つも貯まってたのに!!!」

+-+-+-+

お婆さんの霊と出掛けるテ嬢の後を、チュ君は一生懸命ついて行く。

チュ君「もうすぐ雨も降ってくるのに、お前全然怖くないのか?」
テ嬢「大丈夫ですって!(幽霊に)息子さん、あまり良くない状況なんですか?息子さんが心配だからお婆さんも逝けないんですよね、そうでしょう?」
チュ君「(疎外感)どんなお婆さんなんだ?俺にも話してくれ」
テ嬢「どうせ社長には見えないお婆さんなんですから!知らなくていいんです」
チュ君「…。」

彼に背を向けると、お婆さんの霊に向かって「きゃはっ♪そうでしょ?」と笑うテ嬢。

チュ君「???何で笑ってるんだ?」
テ嬢「…聞こえもしないんのにどうして気にするんです?(幽霊を振り返り)そうなんですよ~(こっそりチュ君を指さし)ちょっとね」
チュ君「お前、幽霊と俺の悪口言ってんだろ。聞こえなくてもわかる。悪口言ってんだろ?」
テ嬢「(前方に何かを見つける)おっ、あそこにいる!」

お婆さんの息子であるスーパーのおじさんは、酒に酔いつぶれて路上で眠りこけていた。

テ嬢「おじさん!」
チュ君「この人は俺にも見えるぞ。どれだけ飲んだんだ?」

「おじさん!」テ嬢の呼びかけにも、おじさんは目覚めない。

テ嬢「(おばあさんの霊を見上げ)おばあさん、前みたいに起こせばいいですか?」

霊が頷いた。
はぁーと息をつき、咳払いをするテ嬢。
何が始まるのか分からず、ドギマギしているチュ君。

テ嬢は手拍子をし、「パンパパーンパーンパ パーンパッ!」と急に歌い出した。

テ嬢「パラパッ パラパッ パパパパーーンパーン 全国ーーーのど自慢ーーー!」

路上で眠っていたおじさんがガバっと起き上がると、転がっていた酒瓶を掴み、よろよろと歌を歌い出した。

おじさん「ははっ 俺は一等賞を取った人間なんだぞぉ」
テ嬢「(苦笑いで頷く)そうですよね~。全国のど自慢で一等賞になった方が、ここで倒れてちゃ駄目だわ。そうでしょう?トラックが走り出したらすごく危ないですよ」

おじさんが笑って頷くと、テ嬢は後ろでホッとしているお婆さんの霊に微笑んだ。
「一緒に帰りましょう」とおじさんに笑いかけるテ嬢の横顔を、チュ君はじっと見つめた。

+-+-+-+

気分よく帰っていくおじさんの後ろ姿を、二人は並んで見送っていた。

チュ君「こういうことなら説明してくれればいいだろ」
テ嬢「…。もしあのおじさんが危険な人で、凶器でも振り回したら、この前みたいに飛び込んできて助けてくれるんですか?ひょっとして銃を持っていたら?今度は撃たれるかもしれませんね」
チュ君「…。」
テ嬢「そうやって社長を引きずり込むようなこと、これ以上はしないつもりなんです」
チュ君「それならお前を一人で危ない目に遭わせろっていうのか?」
テ嬢「二人でいるほうがもっと危険です。私たち、同じものを見たり聞いたりは出来ませんから」

チュ君は手を差し出す。

チュ君「手を握って… お前も見ずに聞かずにいればいいんだ」
テ嬢「どうしてあなたにばかりすがって生きられるの?私は私の世界にいるんです」
チュ君「…。」

差し出した手を、彼はそっとおろした。

チュ君「俺なしで生きていけるって… 本当なんだな」
テ嬢「私があまり切実にしがみついたから、社長を惑わせたんです」
チュ君「…。」
テ嬢「実際、この世の女性の中で、私が社長にやったようにすがりつける人はいないでしょう。頭をひっつかまれてもまた現れて、100回消えろって言われてもしがみついて」
チュ君「…。」
テ嬢「ごめんなさい。社長が私についていてくださる理由は何もないんです」
チュ君「そうだ。俺は惑わされて正気を失った。お前が賢明に正論を並べたのに、俺は聞き入れられない。俺は犬コロになったようだ」

#犬ころチュ君 ∪o・ェ・o∪キューン♪

テ嬢「(冷静)落ち着いて考えてみれば正気に戻るはずです」
チュ君「5度目の消えろは聞かないぞ。俺は帰る。暗いんだから幽霊たちと気をつけて帰れ」

彼はテ嬢を残し、すたすたと歩き出す。
いざ彼が行ってしまうと、テ嬢は複雑な表情でその背中を見送った。

+-+-+-+

夜道をついてきたコーヒーくんに「会いたがってる人がいる」と聞き、カフェへやって来たテ嬢。
彼女が入ってくると、男性が立ち上がった。
彼女は言葉もなく男性の顔に釘付けになった。

男性「来たんだね」
テ嬢「…。」
男性「君に会いたくて、ジュンソクに呼んできてもらったんだ」

ジュンソクと言われたコーヒーくんは、向かいの席でニコニコしている。

男性「あぁ、君にいつもコーヒーをねだってたこいつの名前、ジュンソクっていうんだ」
ジュンソク「(ニコニコ)」
男性「コンシル、僕のこと…覚えてるか?」

テ嬢は彼から目を離さず、頷いた。

テ嬢「あなたのこと知ってるわ」
男性「…。」
テ嬢「間違いなく、私は夢のなかであなたを見た」
男性「ただの夢じゃないさ。3年も続いた長い夢の中で、君は僕のそばにいたんだから」

テ嬢は言葉もなく、ただじっと彼を見つめた。

+-+-+-+

自宅に戻ったチュ君は、長い間考え込んでいた。
いざテ嬢に突き放されると、自分に付きまとった彼女の姿が眩しく思い出される。

彼は、再び自分の手に戻ってきた太陽のネックレスを両手に包んだ。

+-+-+-+

テ嬢も自宅で一人、一冊の冊子を見つめていた。

テ嬢「私と同じものを見聞きする人…?」

~~先ほどのカフェで、彼はテ嬢に話し始めた。

ジヌ「山の中で遭難した君を、最初に見つけたのが僕だった。君の霊魂が教えてくれたから」
テ嬢「…。」
ジヌ「病室で眠っている間、君の霊魂は戻らなかった。僕たち、3年間一緒にいたんだ」
テ嬢「3年間も霊として生きたんですか?だから今、私に幽霊が見えるんでしょうか」
ジヌ「理由は僕にもハッキリ分からない。僕だって自分がどうしてこうなったのか分からないから」
テ嬢「私たち、どこにいたんですか?」

ジヌは冊子を差し出した。

ジヌ「ここに」
テ嬢「…。」
ジヌ「写真に写っているあらゆる場所に…君がいたんだ」

~~

テ嬢は本をめくった。
ページをめくるごとに、美しい風景が記録されている。

テ嬢「ここに私がいたって?」

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「行ってみるか?僕と一緒にいた時間を思い出すだろう」

テ嬢「私が見聞きすることを共有できる人… この世にいたんだわ」

#これは思った以上にチュ君の危機かも。
異世界から救い出してくれる人と、異世界を共有出来る人。

+-+-+-+

帰宅し、自宅のドアに手をかけようとした”ハンナ・ブラウン”は、何か気配を感じ、その手を止めた。
彼女の背後に立っていたキム室長が姿を現す。
振り返った彼女は、さっとにこやかな表情を作り、彼に近づいた。

ハンナ「ようやく私に気づいたようですね、叔父さん」
キム室長「あまりに変わったから、お前だと分からなかった、ハンナ」
ハンナ「イギリスまで私の友だちに会いに行って、私のことをお調べになったそうですね」
キム室長「…。」
ハンナ「なぜなんです?」
キム室長「ヒジュと何かあったのか?」
ハンナ「(微笑)」
キム室長「ヒジュが死んだ事件、お前も関係があるのか?」

+-+-+-+

気の乗らない様子でキングダムへやって来たチュ君は、秘書室にキム室長がいるのを見た途端、生き返った。

チュ君「キム室長!!!」
キム室長「^^」
チュ君「いつお帰りに?いらっしゃらない間に記憶が戻ったんですよ」
キム室長「…。」
チュ君「僕と話しましょうよ。話し相手がいなくて気が狂いそうだったんですから!(社長室へ)入ってください」
キム室長「…主君」
チュ君「?」
キム室長「その前に、私の話を先に聞いていただかなければなりません」
チュ君「(笑顔)なんですか?」
キム室長「チャ・ヒジュ嬢に関することです」
チュ君「…。双子の姉妹が…見つかったんですか?」
キム室長「えぇ。その双子は私の姪っ子たちです」
チュ君「…!」

キム室長は重苦しい溜め息をついた。

+-+-+-+

テ嬢はキングダムのスタッフルームにカン・ウを訪ねていた。

テ嬢「キム室長がチャ・ヒジュさんの叔父さんですって?!」
カン・ウ「えぇ。犯人の疑いのある双子の姉がチュ・ジュンウォン社長の周辺にいたんです」
テ嬢「チャ・ヒジュさんのお姉さん?」
カン・ウ「(頷く)」
テ嬢「…。」

+-+-+-+

チュ君は今度もストレートだ。
さっそくハンナを呼び出し、事情を聞いていた。

ハンナ「面白いですね。私を犯人だと疑っていらっしゃるなんて」

チュ君は父から受け取ったものを彼女の前へ放り投げる。

チュ君「これはあんたの送ったカードだ」
ハンナ「そうですね。私が友だちに送ったものです」
キム室長「…。」
チュ君「あんたは俺のいるところにいた。俺について回っていたのか」
ハンナ「(笑)あなたについて回ってことになるんですか?確かに…あなたのそばにはいつも叔父がいたから、そう見えるでしょうね」

チュ君の視線がキム室長に移る。

ハンナ「叔父さん、私にいつもメールをくださっていたでしょう?もちろん、私は決して返事をしなかったけれど」
キム室長「…。」
ハンナ「今いる場所のどこがいいとか、お前のしてる勉強にはどこへ行けば役に立つとか…。たった一人の肉親のアドバイスだから、嫌がらずに聞いていただけです」
チュ君「…。」
キム室長「その通りです。一月に一度ずつ、メールを送り続けていました。読んではいるようでしたので、姪との連絡手段は切れていなかったのです」

チュ君は何も言わず、キム室長を見つめた。

ハンナ「叔父さん、ヒジュが犯人だったっていうのは驚いたけど、私が犯人だっていう理由にはならないでしょう?」
キム室長「(チュ君に)ハンナは相当な富裕層である養親のもとで育ちました。金のためにそんなことをやる理由はありません」
ハンナ「(微笑)」
キム室長「私の知るハンナは本当に明るくいい子で、そんな事件を起こすような子ではなかったんです」
ハンナ「ヒジュは確かに少し暗い子でした。欲深いし」
チュ君「双子の姉だということを隠して、なぜ俺のそばをうろついてた?」
ハンナ「ヒジュに会ったとき、あなたのことを聞いたんです」

~~高校時代

図書館の奥で本をめくるチュンウォンを、双子の姉妹がそっと見つめていた。

ヒジュ「あれがチュ・ジュンウォン。私が育った保育施設で、毎年クリスマスの度にたっぷりのプレゼントと一緒にあの子が来たわ。まるで王子様みたいだった。小さい時から…あの子が好きだったの」

1718

~~

ハンナ「ヒジュは自分はみすぼらしくて声も掛けられないって言ってました。私が励ましたんだけど、その愛が…悲劇になったんですね」
チュ君「…。」
ハンナ「死んだヒジュが好きだった人だから、興味を引かれたんです。双子は通じ合うものでしょう?」
チュ君「…。」
ハンナ「あなたも私に興味を持っていると思っていたけれど…本物じゃないって言いましたよね。残念だわ」

#残念だわ、の前になぜわざわざ足を組み替えるのだ

チュ君「あぁ。あんたは偽物だ。言っていることは本当だと信じよう。(ゆっくりキム室長に視線を移す)キム室長が保証するんだから」
キム室長「…。」
ハンナ「私、もうじきイギリスへ戻ります。ヒジュ事件の時効成立はもうすぐじゃないですか?」
チュ君「…。」
ハンナ「それが終わったら、ヒジュにちゃんとお別れするつもりだったけど… 全て台なしになったわ」

キム室長は苦しそうに下を向いた。

+-+-+-+

ハンナが退室する。

キム室長「これまで主君に言えずにいたこと、お詫びします。死んだ私の姪… 事件に関わった子が気になって、主君の元へ来たのです。でも、その子はあまりに深い傷を負っているように見えました。その子のそばで世話をすることが、死んだ姪のためにできることだと思ったんです」

チュ君はキム室長に横顔を向けたまま、手で制した。

チュ君「いいんです。やめてください」
キム室長「…。」
チュ君「初めてお会いしたとき、録音機、解読機だと言ったのに、僕はこれまで、それに向かって口うるさくしすぎましたね」
キム室長「私がおそばにいるのが疎ましければ、ここに留まるつもりはありません」

チュ君はかすかに首を動かした。

チュ君「そうなさってください」

キム室長は静かに頭を下げ、出口へと向かう。

チュ君「…。」

1719

感情を押さえていたチュ君は、小さな溜め息とともに、それをそっと胸におさめた。

+-+-+-+

キングダムを出るハンナに、キム室長が付き添っていた。

ハンナ「叔父さんのおかげで疑いが晴れました」

そこへ、向こうから歩いてきたテ嬢が、キム室長に気づき、頭を下げる。

キム室長「カンチーム長から話は聞いたでしょう?私が騙していたこと」
テ嬢「(頷く)」
キム室長「テ・ゴンシルさんも私を誤解するかもしれませんね」
テ嬢「(首を横に)いいえ。私にはチャ・ヒジュさんが見えるでしょう?ヒジュさんはキム室長を見てはいませんでした」
キム室長「…。」

そこへ、後ろにいたハンナが近づく。

ハンナ「あなた、霊魂が見えるって言いましたよね。死んだヒジュを見たんですか?」
テ嬢「(頷く)えぇ。ヒジュさんは犯人を守りたいと言ってました」
ハンナ「!」

ハンナの笑顔が消えた。
テ嬢がじっとハンナを見つめると、彼女はふっと笑う。

ハンナ「幽霊まで守っているなら、犯人を捕まえるのは難しいでしょうね」
キム室長「…。」

ハンナは余裕のある足取りで出て行く。
その背中をテ嬢が振り返った。

キム室長「ハンナは犯人ではないでしょう」
テ嬢「…。」

~~ヒジュの霊がテ嬢を訪ねてきたとき

テ嬢「犯人を見つけられますか?」

ヒジュの霊はハッキリと頷いた。

~~

テ嬢「(溜め息)本当に言いたくないんだけど… ヒジュさんの頼みを聞いてあげなきゃ」
キム室長「?」

+-+-+-+

カン・ウがチュ君の元を訪れていた。

カン・ウ「キム室長の言葉を信じて、ハンナ・ブラウンを疑いはしないと?」
チュ君「いや。あの女が共犯だと、俺は確信してる」
カン・ウ「それなら証拠を掴んで捕まえなければ。イギリスに戻ってしまったらお終いです」
チュ君「自分の足で近づいてきて、俺をたぶらかそうとまでしたんだ。証拠なんてないと自信がなければ、そんなことはできない」
カン・ウ「だからって、このまま何もせずに見ているつもりですか」
チュ君「知りたいことは全部分かった。共犯が誰か知りたかったが、それも分かった。守りたいと言ったのは、双子の姉だったからなんだ」
カン・ウ「それで終わりですか?」
チュ君「…。」
カン・ウ「チャ・ヒジュさんは死にました。いくら憎いからといって、どうしてそんなことを犯したのか理解しようという努力をすべきではないんでしょうか」
チュ君「やりたければ俺の前でするな。これまでのように父とこっそりやればいい」

「もう行け」と、チュ君は立ち上がった。

カン・ウ「そうします」
チュ君「!」
カン・ウ「あなたのキングダムから出て続けます」

カン・ウは頭を下げ、チュ君の前を立ち去った。

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ここで一旦区切ります。

白と黒のワンピで並んで立ってるヒジュとハンナ、Winkか何かみたい(笑)

 - 主君の太陽 ,