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Oh my Venusオーマイビーナス5話あらすじ&日本語訳vol.1

   

ソ・ジソブ、シン・ミナ主演のKBSドラマ「Oh my Venus(オーマイヴィーナス)」5話、あらすじをまじえながら、なるべく丁寧に台詞を拾って訳していきますね。

では、さっそく♪

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部屋へ飛び込んでいたヨンホは、ジュウンと見知らぬ男を素早く見比べた。

ヨンホ「知り合いですか?」

ジュウンがすがるような目で首を横に振る。
殴りかかってきた男を一瞬で組み伏せ、ヨンホは振り返った。「大丈夫ですか?」

ヨンホ「何で電話に出なかったんですか」
ジュウン「…ごめんなさい」

足で男を床に押さえつけておき、ヨンホは携帯をジュウンに差し出した。「通報を」

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警察署へやって来たジュウンは、不審者の男と並んで座っていた。
「101号にお住いで?」刑事が言うと、男が「はい」と答えた。

ジュウン「!!!」

「201号にお住いですね?」今度はジュウンに言う。

前に「宅配が来てたから」と持って来た下の住人の声、いつの間にか部屋の中で元気に咲いていた花。
「…。」ジュウンは隣に座る男を驚愕の目で見る。

刑事A「ご近所同士で何か誤解があるみたいですが」
ジュウン「誤解?この状況を誤解ですって?!」
刑事A「暴行に遭われたわけでもないし、脅迫文や手紙もないし、常習だっていうのも、ただの心証ですからね」
ジュウン「…。」
刑事A「正直言いますとね、この方がなんであなたをストーキングするんです?そう思いません?」
ジュウン「…。警察なら被害者の立場で被害事実を証明すべきなんじゃないですか?」
刑事B「驚かれたのはわかりますけど、法っていうのはそう甘くはいかないんですよ」
ジュウン「被害者のことは?甘く見ていらっしゃいますよね」
刑事A「そういう意味じゃないですよ。そうピリピリなさらないで」

「幸せですか?」突然後ろから声がして、皆が顔を上げた。
ヨンホだ。
「あそこに書いてありますよね」彼は壁のポスターを指差した。「”女性が幸せな我が都市”」

刑事B「保護者の方ですか?」
ヨンホ「こんなことがたびたびあるなら、もっと早くそうしてれば良かったですよ」

「思い出しませんか?」ヨンホは捕らえた男性を見た。「僕は覚えてるけど」

男「…。」

そう、ヨンホはこの男を見たことがあった。
アメリカから帰国した直後、雨の中ジュウンを追いかけていた男だ。

刑事A「(男を指し)こちらは怪我もしてるんです。弁護士を雇ったら、逆にあなた方が暴行で捕まるかもしれませんよ」
ヨンホ&ジュウン「…。」
警察A「拘留も難しいし。法ってヤツはね…」
ジュウン「くだらないわ…」

「…。」淡々と言うジュウンの横顔を、ヨンホはそっと見た。

ジュウン「真実がないと慰めにはならないかもしれないけど、誤解さえなければ理解は出来るのに」
刑事「…。」
ジュウン「”大丈夫です、わかりますよ”って。”くだらない法のせいで処罰は難しいかもしれないけど、それでも最善は尽くします”って。他の被害者たちにはそう言ってください」

「お疲れ様です」ジュウンは立ち上がった。

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「待って」先々歩いて行くジュウンを、ヨンホは追いかけた。
彼女は明るい表情を作ってから振り返る。「本当にありがとうございました」

ヨンホ「顔を覚えてくださってて本当に良かった…」

「それじゃ」背を向けた彼女の腕を、ヨンホはさっと掴む。「カン・ジュウンさん」

ヨンホ「どうしたんです?弁護士だってなぜ明かさなかったんですか?僕のために?あれは正当防衛ですよ」
ジュウン「あ、怪我なさってないですか?」
ヨンホ「…。」

自分の怪我を気にするジュウンを、ヨンホはやり切れずに見つめた。

0042

ジュウン「良かった」
ヨンホ「自分も守れないのに、どうして弁護士になんかなったんですか」
ジュウン「(溜息)そうですよね」
ヨンホ「死ぬほど殴ってやりましょうか?」
ジュウン「!」

「いっそのこと僕を弁護してください」警察署へ戻ろうとしたヨンホを、ジュウンは慌てて引き止める。

ジュウン「ストーカーを罰するために死にたくないわ」
ヨンホ「…。」
ジュウン「常習で確かな証拠があったって、拘留はせいぜい24時間。罰金は10万ウォン未満。それだって被害者にくれるわけじゃないんです」
ヨンホ「…。」
ジュウン「弁護士だから、わかってるから期待してないんです」

「ホントにくだらないな…」ヨンホは力なく呟いた。

ジュウン「誰かにとっては死ぬ思いでも、他の誰かにとっては些細なこと。世の中にとって法ってそういうものみたい」
ヨンホ「…。」

深刻な顔で黙っているヨンホを見て、ジュウンはふっと笑った。「前世で私に借りがあったんでしょうね」

ヨンホ「…。」
ジュウン「お陰でまたこうして助かったでしょう?」

「上着は今度お返ししますね」ジュウンはまたペコリと頭を下げた。「じゃあ」

ヨンホ「どこ行くんです?」
ジュウン「この近くに友だちの家があるんです。心配しないでお帰りください」

歩き出したジュウンの腕を、ヨンホはまた追いかけて行って掴んだ。
どうにも一人で行かせるわけにはいかなかった。

ヨンホ「前世でよっぽど大きな借りがあったみたいです」

彼の車はジュウンを乗せて走りだした。

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ジュウンのアパートの前で二人を見たウシクは、警察署を出て行く二人をふたたび見送った。

ウシク「…。」

#15年もつき合ったからたっぷり情はあるだろうし、振った途端に只者じゃない男が近づいて気になるのは分かる。
#でも…何やってんだろうねぇ。
#まぁ、彼は本来の彼らしくジュウンを守る役回りになれば、それはそれで面白くなるかも。

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「ヒョヌ」ジュウンは車の中から電話を掛けた。

ヒョヌ(電話)「急用?」
ジュウン(電話)「何かあったの?」
ヒョヌ「いやね、お母さんがまた顔にアザ作って」
ジュウン「また?!」
ヒョヌ「今回も事故だって言ってるけど、違うわ。間違いなく家庭内暴力よ」

※原語では”お母さん”ではなく、”ミンジュン(ヒョヌの息子)のおばあさん”と言っています。前に出て来た時もそう呼んでいて、お互い丁寧語で話しており、血縁関係がどうなっているのかはよくわかりません。

「うん、すぐ行くよ」ジュウンは明るく電話を切った。

ジュウン「(運転しているヨンホに)寝ないで待ってるって」

「すぐそこです」ジュウンは前方を指差す。

ヨンホ「…。」
ジュウン「…毎回お世話になってばかりですね」

「…。」ヨンホは何も言わず、ただ彼女を見た。

ジュウン「あ、そこです。そのすぐ後ろが友だちの家なんですよ」

車を降りると、ヨンホはすぐ車を発進させた。

ジュウン「…。」

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ジュウンはそこにあったモーテルに入った。「いくらですか?」

フロント係「この時間は宿泊だけなんですよ。5万ウォンになります。
ジュウン「あの… 口座引落って出来ますか?」
フロント係「カードよりはいいですね。お一人ですか?」
ジュウン「えぇ」

その瞬間!

ひゅん!

彼女の肩が風を切ったかと思うと、体がクルリと90度回転する。「はっ!」
ヨンホが肩を掴んでいた。

ヨンホ「…。」
ジュウン「どうして?!」
ヨンホ「友だちの家、部屋がたくさんあるんですねぇ」
ジュウン「(溜息)」
ヨンホ「女が一人で来るようなところじゃありませんよ」

ヨンホはまたしても彼女の腕を掴むと、引っ張って歩き出した。

+-+-+-+

「放っておいてくださいよ!」外へ出てくると、ジュウンは彼の腕を振り払う。

ジュウン「もういろいろ見られちゃったけど、それでも私、恥ずかしくてたまらないんですから」
ヨンホ「…。」
ジュウン「病んでる人に弱くて、危険な人にはもっと弱い。それは私、十分知ってます。見た目より純で優しいことだって分かってます」
ヨンホ「?」
ジュウン「道端に女性を放って帰ったら眠れないのもわかってるけど!」
ヨンホ「わかってるけど?」
ジュウン「私… 帰りたくないんです。怖くて」
ヨンホ「…。」
ジュウン「行くところもなくって。好きでモーテルに来たと思います?!」

「じゃあ行こう」ヨンホが言う。

ジュウン「?」
ヨンホ「行こう。地球外にね」
ジュウン「!!!」

あの夜を思い出し、彼女は目を丸くした。

ヨンホ「あしたになったら後悔するだろうな」
ジュウン「つまり…私と…ホテルのスイートルームに?」
ヨンホ「?!(呆れたように)スイートルームに泊まりたいって?まぁ、そうしたいならそれでもいいけど」
ジュウン「いや、そうじゃなくて。それじゃ、地球外ってどこなんですか?」

ヨンホはすっと彼女に顔を近づけた。「僕みたいな男と、一つ屋根の下で寝ること」

ジュウン「はっ!えぇっ?!」
ヨンホ「エロティックなこと考えるより、まずは安全第一だと思うけど?今夜は」

「えぇっ?」彼はジュウンの驚きっぷりを真似してみせると、先に車へと乗り込んだ。

ジュウン「エロティックだなんて…。また感謝する隙もくれないのね」

+-+-+-+

自宅へ連れてくると、ヨンホは空き室のベッドに掛け布団を運んできた。

ヨンホ「客を招くつもりはなかったから、新しいのがないんです。僕のを使ってください」
ジュウン「あらっ、それじゃヨンホさん…いや、コーチは?」
ヨンホ「自分が使う分を渡すと思います?」
ジュウン「…。」
ヨンホ「寝てください。あいつらには明日話すから」
ジュウン「言いすぎて自分でもウンザリしちゃうけど…(頭を下げ)ありがとうござ…」
ヨンホ「”ありがとう、すみません、恥ずかしい”どうのこうのはカン・ジュウンさんの流行語でしょ?わかってるから省略しましょう」
ジュウン「それでもありがとうございます」
ヨンホ「”助けてください”だけはやめてください。あんまり疲れてて、今夜はもう助けてあげられないかもしれない」
ジュウン「…。」

ヨンホが出て行くと、彼女は崩れ落ちるようにベッドへ倒れこんだ。「はぁ」

ジュウン「(彼の口調を真似て)”まさか自分が使う分を渡すと思います?” …んなわけないでしょうよ!」

+-+-+-+

ヨンホは自分の寝室に戻ってくると、掛け布団のない空っぽのベッドを見つめた。「…。」

#はぁあん優しいヨンホヒョンニム!!!♥♥♥

ホッとして緊張が解けたところで、ふと彼は自分の膝を見下ろした。「…。」
彼女を救おうとして無理をしたため、古傷を痛めてしまったのだ。

+-+-+-+

「助けてくださーーーい!」朝一番、ヨンホたち3人組はジュウンの悲鳴で呼び集められた。

ジュウン「(ベッドで動けず)攣ったの!足が!」
ヨンホ「普通に出てくるのが気まずいんですか?」
ジュウン「違いますってば!ホントに足が攣ってるんですって!早く早く!」
ヨンホ「それなら”コーチ、素敵です”って言ってみて」
ジュウン「コーチ素敵です、最高です!早く!猫の手も借りたいくらいなんですから!」

ヨンホの合図に、二人が一斉に飛びかかり、足を揉んだ、

ジュウン「あぁああ゛あ゛あ゛!!!」

※「足が攣る」という韓国語は、「ネズミが出る」と同じです。だから、解消のために「猫の手も借りたい」と言ってるんですね。
その後、ヨンホは「ネズミを捕まえろ」と二人に合図しています。

+-+-+-+

「バカバカしい!」朝食の席でジウンが興奮した声を上げた。「何でそんなことするんだ?」

ジウン「Ma’am、本当に良かったよ。そんなストーカーは、捕まえてパッパッ、ネックスライスしなきゃ!」
ジュウン「(ニッコリ)」
ジュンソン「弁護士さん、ビックリなさったでしょうね」
ジュウン「えぇ、ちょっと…」
ヨンホ「俺がいなきゃ大変なことになるところだった」
ジュウン「もう!今そう言おうと思ったんだから!わざわざ自画自賛しちゃって」

ジュウンは自分の前の皿を覗く。
とことん脂身のない蒸し鶏のスライスが数切れ並んでいる。ソースも何も掛かっていない。
彼女は深い溜息をついた。「やれやれ」

ジュンソン「僕たちちょっと…(減量中で)」

「これ食べなよ」ジウンが自分の皿から一口、彼女の皿に乗せた。

ジュウン「悪いけどタレか何かないですか?」
ヨンホ「焼肉屋に来たんじゃないんですよ」
ジュウン「…。」

ヨンホはさっと薬の包みを出すと、ビリっと口を破いた。「まずはこれを飲んで」

ジュウン「わっ?どうしてこれを?」
ヨンホ「(ジュウンのことを嫌味で)えらく几帳面でいらっしゃるもんだから」
ジュウン「…ありがとうございます」

薬を一気に飲み、皿の肉を一口放り込んで、ジュウンはもう一度溜息をついた。「あぁ汁物欲しくなっちゃう」
ヨンホがグラスの水を黙って差し出した。

ジュウン「そうじゃなくって、ピリッと辛いやつ。色がついてて、そういうのあるじゃないですか」

ヨンホは手元にあった錠剤(プロテインか何か?)をグラスの水に放り込む。
錠剤が溶けて、瞬く間に水は黄色くなった。

ヨンホ「色がついたからいいでしょ」

ジュウンはそれ以上抵抗せずに、グラスの飲み物を素直に飲んだ。

「ファンタスティック!」ジウンが急に声を上げる。
彼が見ていたのはジュウンの携帯だ。
そこにあったは、痩せていた頃のジュウンの写真だった。

ジュウン「もう♪ あんまり褒めないでくださいよ」

「Oh」ジュンソンも写真に目を細める。「芸能人かな?」

ジュウン「そんなに間違ってはないけど♪」

ジュンソンが携帯をヨンホに向ける。「?」

ヨンホ「どこかで見た気がするけど?」

#やっぱりそうかおまいーっ わかってなかったんかーっ

ジュウン「もう、みんなわかってるくせに」
ヨンホ「あぁ!」
ジュウン「♪」
ヨンホ「昔、中国の女優にソギってのがいたんだ」
ジュウン「…。」
ヨンホ「昔の人だ。昔の女優だからお前らは知らない」
ジュウン「みんな酷い!」
皆「?」
ジュウン「私だってば!私!カン・ジュウン!現、知性と美…(言いよどむ)微笑の弁護士。大邸のビーナス」

ヨンホが無言で携帯の美女とジュウンを並べる。

0045

#ただただ凄い!そして爆笑

ヨンホ「(考える)確かに似てるけど… 証拠あるんですか?」
ジュウン「(呆れて)私だから私だって言ってるのに証拠ですって?!」
ヨンホ「(まだまだ考える)」
ジュウン「全く…。痩せたらわかるわよ!みんなビックリするから!」

「食べよう」皆、無言で食事に戻った。

ジュウン「みんな信じてないんでしょ。待ってなさい、今に目からハートが溢れるから」

+-+-+-+

一人で車を走らせながら、ヨンホは不意に笑った。
「私、昔は大邸のビーナスって呼ばれてたんですから」ジュウンの得意げな様子が思い浮かんだのだ。

ヨンホ「ホントだったのか?」

運転しながら、ふと意識が膝に向かう。
「…。」膝をさすってみて、その手で電話のボタンを押した。

「はい」ミン室長がすぐに応える。

ヨンホ(電話)「ビックリした。(皮肉)ずっと僕のことだけ待ってらしたんですか?」
ミン室長(電話)「寝ても覚めてもですよ。どうなさいました?」
ヨンホ「大邸に… 用事があるんですが、付き添いが必要で」
ミン室長「ひょっとして、足の具合がお悪いんですか?今どこにおいでです?」
ヨンホ「そうなのかそうじゃないのか、行って調べてみないとね」
ミン室長「院長のスケジュールをおさえて、すぐご連絡いたします」

+-+-+-+

ジュウンの執務室を弟のジェヒョクとヒョヌが訪れていた。

ヒョヌ「家主に電話しなよ。早く処理してくれって」
ジュウン「したわ、さっき」

「あ」ジュウンが足元の紙袋をヒョヌに差し出す。「これ、ミンジュンのアトピークリームと免税店で買ったやつ」

ジェヒョク「なんで姉さんが避けなきゃいけないんだよ。母さんに来てもらって一緒にいろよ」
ジュウン「娘がストーカーされたって知ったら、超喜ぶでしょうよ、お母さん」
ジェヒョク「確かに…。母さんがそのストーカーにつきまとうかもな」
ヒョヌ「そうよ!避けてないでお母さん呼ぼう」
ジュウン「…。避けるっていうより、下に住んでると思うとすごく嫌なんだよね。眠れそうにないし」
ヒョヌ「最悪だよね…。ジェヒョク、荷物はうちの家に運んどいて」
ジュウン「ううん。あんたの家、2部屋なのに。ミンジュンとお母さんもいらっしゃるし。自分でどうにかするから、もう行って」
ヒョヌ「自分でどうにかするって、どうするつもりよ?」
ジュウン「どうにかするから!早く行きなよ」

「とにかく、ありがとうございます、先生♪」ヒョヌは遅れて受け取ったアメリカ土産を手に微笑んだ。

ヒョヌ「何かあったらすぐ電話して。いいわね?」

ヒョヌは隣のジェヒョクを振り返ると、厳しい顔で言う。「結婚やめなさい。バカな行為よ」

ヒョヌ「(イラッ)それから!姉ちゃんのスネかじるのやめなさいよ!もうスネもボロボロなんだから」
ジュウン「早く帰りなってば」

+-+-+-+

ヒョヌが出て行くと、ジュウンはポケットから何かを出した。「ほら」
弟の前に置いたのは、通帳と印鑑だ。

ジェヒョク「何だよ」
ジュウン「まともな結婚式もできないでしょ。人様の家の大事な娘をもらうのに。お腹の子はどうなるのよ」
ジェヒョク「姉さん…」
ジュウン「準備は簡素にして、店を出しなさい。何とかして食べて行かなきゃ。引っ越せたらもう少し渡すわ」

「ごめん」ジェヒョクが声を震わせる。「いっぱい稼いで倍にして返すから」

ジュウン「弁護士っていうのはね、荒稼ぎできるような職業じゃないの。たくさんは渡せないわ。しっかり節約しなさい」
ジェヒョク「式は後で挙げることにしたんだ。先に店を探すよ」
ジュウン「(頷く)」
ジェヒョク「ウシク兄貴とは…」
ジュウン「もう!別れたって言ったのに訊かないでよ!さっさと帰りな!」

+-+-+-+

ウシクは車を走らせながら考え込んでいた。

~~~~

昨夜、ジュウンたちが警察署を出た後、中へ入ってみたのだ。
不審者として捕らえられた男が帰るところへ、彼はその男とすれ違った。「?」

「あれ?」さっきまで取り調べをしていた刑事がウシクを見て立ち上がる。「イム・ウシク選手」

ウシク「あ…」
刑事「お会いできて嬉しいですよ」

ウシクは刑事とともに、防犯カメラの映像を見始める。

刑事「保護者同然だというあの方の要請でCCTVを調べていて見つけたんですがね」

画面の中の映像は、アメリカから帰った夜、雨の中でジュウンが男に追いかけられたときのものだ。

刑事「どういうご関係ですか?」
ウシク「よく知っている女性なんです。昔から親しくしていた…」

~~~~

男は今日も、ポインセチアの花を抱えて、幸せそうに2階へ上がっていく。

#先週から街でポインセチア売ってるとゾッとする(笑

そこへ、ウシクがやって来て彼を捕まえた。

ウシク「今度カン・ジュウンのそばをうろついたらぶっ殺すぞ」
男「あんたに何の資格が?」
ウシク「…。」
男「全部見ましたよ。別れたところ」
ウシク「!」

ウシクは彼の胸ぐらを掴む。「見てたなら分かるはずだ。俺にどんな資格があるか」

男「…。」
ウシク「カン・ジュウンから離れろ。警告じゃない、命令だ」

+-+-+-+

昨夜から放ったらかしにされたスジンは、彼からのメッセージをじっと見つめていた。

ウシク(メッセージ)「ごめん。明日会おう。今日は大事な会議があるんだ」

ジュウンは内線ボタンを押す。「カン・ジュウン弁護士を呼んで」

そう言っておいて、彼女は急に不安になって鏡を覗いた

~~~~

太っていた大学時代。
「どうして綺麗にして来いって言ったの?」食事をしながらスジンは言った。

ジュウン「あんた司法試験に合格したでしょ。それも3年生の二学期に」
スジン「(嬉)」
ジュウン「記念にプレゼントしたいの」

そこへジャージ姿のウシクがやって来て、ジュウンの隣に座る。「やぁ、オ・スジン♪」

スジン「こんにちは、ウシク♪ 」
ジュウン「(ウシクに)何でこんなに早かったの?」

「決まってんだろ」ウシクは持って来た紙袋をジュウンに手渡した。

ジュウン「(中を見て)スジンのね」

「あぁ」ウシクはその紙袋から箱を1つ取って、スジンに差し出した。
チョコレートの箱だ。

ウシク「手作りチョコレートだ。司法試験合格おめでとう」
スジン「!」
ウシク「ジュウンはやっと入学できて、司法試験合格はいつになるやら」
ジュウン「すぐ合格するもん。スジンはチョコ好きじゃないよ」
スジン「ううん!(ウシクに)ありがとう。いただくね」

お礼を言うスジンに、ウシクは爽やかに笑った。

「修道女じゃあるまいし」ジュウンは紙袋に入っていた黒地に白襟の服を取り出し、自分に当ててみた。「着て行く場所がないじゃない」

ウシク「どこ行くって言うんだよ」

「あ、来た!」ジュウンが不意に言った。
一人の男子学生が、キョロキョロとカフェの中を見渡している。

ジュウン「(スジンに)調べてみたんだけど、あの子が工学部首席なんだって。めちゃくちゃ真面目でいい人よ」

やってきた学生に、ジュウンは親友スジンを紹介する。「この子が前に言ったスジンよ。オ・スジン」

ジュウン「それじゃ、二人で楽しくね」

ジュウンとウシクがいなくなると、男子学生は席に腰を下ろし、深く深くうなだれた。

男子学生「ジュウンに言っといてくれ。わかったってな」
スジン「え?それってどういう…?」
男子学生「僕はジュウンに断られたってことだろ。君、僕、この状況」
スジン「え?」
男子学生「ジュウンが君のこと可哀想に思ってやったのはわかるけどさ、だからって僕まで惨めにしちゃ駄目だろ。それに君のその服… 喪中かと思ったぞ」
スジン「ジュウンが…言ったの?私のこと可哀想だって?」
男子学生「言わなきゃ駄目か?それにな、君みたいなビジュアルしてる人は、空気が読めなきゃ。こんなところウロついてないで、さっさと家に帰りな!」

「ジュウンが…」スジンは消え入りそうな声で呟いた。「どうして私に…」

~~~~

「接見は拒否します、副代表」副代表室に呼ばれたジュウンはそうハッキリ言った。

ジュウン「入社したときに代表にお話ししてあったことです。夜勤、外勤、徹夜、全部構わないけど、痴漢や強姦犯の弁護はしないって。罪を犯して入院してる大企業社長の見舞いになんか行きたくありません」

「良かったわ」スジンが言う。

スジン「大企業社長じゃなくて、社長の娘だから」
ジュウン「百貨店従業員へのパワハラ、その人ね。それなら尚更出来ません」
スジン「名運電子とうちの会社は縁が深いわ。外部法務チームに参加してた人もいたんだけど」
ジュウン「正式に申し上げます。副代表、お断りします」
スジン「”上命下服”…。正式に指示しましょう。カン弁護士の担当です」
ジュウン「…。」
スジン「誰かがやらなきゃいけない仕事なんです。カン弁護士が避ければ、他の弁護士がやることになる。目をつぶってれば何か変わる?」
ジュウン「…。」
スジン「代表がおっしゃってたわ。”夢は自費で叶えろ”ってね」

「話は終わりました」スジンは冷たく言い放った。「下がっていいわ」

※「目をつぶってれば」と訳した部分、実際は『눈 가리고 아웅=目をつぶってニャーとなく(※すぐバレる嘘をつく)』という慣用句を言ってるんですが、前後で意味がわからないので、濁しました^^; だいたいこのシーン、他の部分もよくわかりませんが^^;;;

ジュウンが出て行くと、スジンはどっと疲れた様子で椅子にもたれかかった。
デスクの一番上の引き出しを開けると、引き出しいっぱいに並んだチョコレートを1つつまみ、口に入れる。「…。」

+-+-+-+

執務室へ戻ったジュウンは、イライラしてコーヒーに角砂糖を放り込んだ。
「あっ!」頭の中でヨンホの声が響き、彼女はギョッとして手を止める。

ヨンホ(声)「その砂糖、全部食べたら体が怒りますよ!僕もね」

ジュウンはキョロキョロと辺りを見渡す。「幻聴だったの?!」

ジュウン「あぁ、ストレスに(おなかがグーっと鳴る)空腹まで!」

「あぁ甲状腺!」彼女は首を手のひらでさすると、ジウンの持って来た観葉植物を仰いだ。「エアフレッシュ!」

+-+-+-+

ここで一旦区切りますね~♪

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