韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

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オーマイビーナス Oh my Venus 1話あらすじ&日本語訳vol.2

   

シン・ミナ、ソ・ジソブが出演!「オーマイヴィーナス」1話の後半です♪

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薄暗い部屋の中で、消し忘れたテレビの音が響いていた。

音声「人生に挫折したからって、あなたの人生を諦めるのですか?年をとったから、太ったからといって、女性として生きるのを諦めるのですか?」

ソファで寝息を立てているジュウンの耳に、その声は届いていないようだ。

音声「さぁ、ここに新しく生まれ変わった一人の女性がいます。結婚に失敗し、薬と酒に溺れ、破滅してしまった過去の彼女は忘れてください。ご紹介します。生まれ変わったクイーン・オブ・クイーン、ジェニファー・アンダーソンです!」

テレビ画面の中に、華やかなブロンドの女性が登場し、けたたましい歓声が上がる。

音声「こんなこと誰に出来るんでしょうか。ジェニファーを創りだし、完成させたのはジョン・キムです。本当にお綺麗ですよ。ジェニファーが失った過去と笑顔を取り戻したジョン・キム。それが私たちの知るジョン・キムの全てです。私たちはなぜ彼に熱狂するのでしょう。はたして彼は誰なのでしょうか」

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電話が唸りだした時、部屋の中はすっかり明るくなっていた。
ジュウンはテーブルの上の電話に手を伸ばす。「うん、ヒョヌ」

ヒョヌ(電話)「もしもし~、もう空港?まだ時間あるよね。免税店で…」

「!!!」ジョウンはハッとして飛び起きた。「大変!」

「寝過ごしたのね」すでに仕事をしながら、ヒョヌが呆れた声を上げる。

ヒョヌ(電話)「飛行機に乗るんなら、免税店でアイクリーム…」
ジュウン(電話)「切るわよ!」

ジュウンはバタバタと立ち上がった。

ヒョヌ(電話)「アイクリームだよ。アイスクリームじゃなくて。それはあんたの好きなヤツでしょ、ふふふ♪ もしもし?ジュウン?」

「プロポーズどうなったんだろ…?」ヒョヌは思わずポツリと漏らした。

ヒョヌ(電話)「あっ!(ニヤリ)それで寝坊したのかな?ふはは♥」

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代表(声)「カン弁護士、アメリカ出張をお願いしますよ。週末の間ね」

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「I’m coming!!!」後輩たちの声に、彼… ジョン・キムは酸素カプセルの中で目を開けた。
シャワーを終えると、ジウンが豪快にステーキを焼くそばで、彼はジュンソンと二人で格闘技の映像を真剣に見つめる。

ジウン「ヨンホ兄!ステーキ焼けてますけど!」

ヨンホ… 彼はジョン・キムをそう呼んだ。
「裏返せ」画面から目を外さず、ヨンホが言う。

ヨンホ「(映像を見ながら)終わったな」
ジュンソン「アキラ、エラく伸びましたね」

「ジュンソン兄!芋が焼けてますけど!」またジウンが言う。
「裏返せって」ヨンホとジュンソンが揃って眉をひそめた。

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「何時だ?」皆で食事を摂りながら、ヨンホが言った。

ジュンソン「晩の飛行機です」

「Oh my god!!!」携帯を睨んでいたジウンが声を上げる。

ヨンホ「?」
ジウン「アンナ・スーは肯定も否定もしない、ノーコメントだって!熱愛説?」

「…。」ヨンホは彼の携帯を覗いた。

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「どうします?兄貴」ジュンソンが深刻そうに言った。
「ビジュアルはパーフェクトだな♪」パパラッチに撮られた写真の中のヨンホを拡大し、ジウンが呑気な声を漏らす。

ジウン「超お似合いだ!」
ヨンホ「…。」
ジュンソン「厄介ですね。韓国の重鎮たちのお耳に入ったら…」

「好き勝手やりやがって」ジュンソンが怒りを募らせる。

ヨンホ「不用心な人間のミスだ。踏みにじった人間じゃない」

※不用心な人間=尾が長い、踏みにじる=尾を踏む、と原語では言ってます^^

0009

#ツルツルやん!ピカピカやん!

ジュンソン「どうなさるおつもりですか?」
ヨンホ「どこにいるのが目立たないか考えてみるさ…」

「とにかく、これは俺のコトだから」立ち上がったヨンホをジウンが止める。「No, No, No!」

ヨンホ「?」
ジウン「”コト”じゃないよ。スキャンダルだ♪」
ヨンホ&ジュンソン「お前!」

タイミング良く電話が鳴り、ジウンは彼らの前を離れた。「はい、コリアンスネイクのマネージャーです」

ヨンホ「(ジュンソンに)荷物は?」
ジュンソン「荷造りしました。こんな時にホント…。体に気をつけてくださいね」
ヨンホ「(笑)”地獄の門を開く男”が他人の心配とはな」
ジュンソン「…ですね」
ヨンホ「お前はもう若くない。相手はすごく若くて… わかってるな?」
ジュンソン「試合の前に一度いらっしゃいませんか?」
ヨンホ「(笑)今まで付きっきりでチャンピオンに育ててやったんだから…」
ジュンソン「…。」
ヨンホ「不満そうな顔だな」

「愛嬌です」ジュンソンは目を合わせず、ヨンホの肩に腕を回した。
「スパーリングするか?」ヨンホが立ち上がったところへ、携帯が鳴る。

画面の名前にヨンホは緊張をつのらせた。「えぇ、ミン室長」

ヨンホ(電話)「えぇ、それなりに。…。えぇ、では」

電話はあっという間に終わった。

ヨンホ「ただの挨拶だったけど… 気になるな」
ジュンソン「耳に入ったんでしょうか?韓国の重鎮の方々の」
ヨンホ「それなら追いかけてくるか、追い出すかするだろ」
ジュンソン「…。」
ヨンホ「お前、愛嬌見せんなよな」

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「アメリカは京畿道じゃないんだから」ヒョヌが電話で言った。

ヒョヌ「着くなり戻れって?あんたんとこの代表、ホント一貫してるよね」

ベッドの上で荷物を解くジュウンの表情は冴えない。

ジュウン(電話)「ずっとお腹の具合が悪いの。胃もたれしたかな」
ヒョヌ(電話)「そりゃ良かった。痩せるんじゃない?効果的よ」
ジュウン「胃がムカムカするのよ。具合が悪いんだから」
ヒョヌ「体がムクムクするよりマシよ。大丈夫だって」
ジュウン「グラマーなんだってば」
ヒョヌ「そんならずっとアメリカで暮らしなさいよね!グラマーだらけなんだし」

ジュウンはバッグの中の薬を探し始める。

ヒョヌ「そうだ!ウシクとどうなったの?指輪もらった?いくらの?」
ジュウン「超スゴイのをくれたわ。…帰ったら話すよ」
ヒョヌ「それからね、弁護士先生♥迎えに行こうか?」
ジュウン「いいってば!あんたのアイクリーム、ミンジュンのアトピー用ローション、お母さんにはマフラー。忘れてないから」

電話を切ると、メッセージが入った。
ウシクだ。「アメリカだよな。帰ったら電話してくれ」

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ヒョヌの前に誰かが封筒を乱暴に投げた。「?!」
「ミンジュン、遠足に行ったのか?」ヒョヌの別れた亭主だ。「写真送ってくれよな」

封筒を開き、ヒョヌは中に入っている養育費を確かめる。「遠足は来週だから」
別れた亭主は目の前に流れるTVに目をやった。

スタジオで芸能ニュースを伝えているのは…? 彼自身だ。
彼、コPDはテレビ局のPDであり、自身のキャスターをつとめる番組まで持っていた。
相変わらずアメリカでスキャンダルになった謎のトレーナー、ジョン・キムの話題でもちきりの様子だ。

コPD「別れた旦那の仕事に興味があるとはな」
ヒョヌ「養育費がそこから出てるんだから」
コPD「ジョン・キムのことも知ってるのか」
ヒョヌ「韓国はネット大国よ。お客さんたちもいろいろ言ってるわ」
コPD「やっぱりな。大衆を惹きつける話題を選ぶのもPDのセンスだ」
ヒョヌ「(うんざり)」
コPD「ドンピシャリだ」
ヒョヌ「(画面を指差し)ほら見て、”果たして誰なのか” ”真実は何?” 疑問ばっかで中身ないのよ」
コPD「(笑)最近はニュースだってそうだぞ」

「じゃあな」テーブルからおしぼりを1つ掴み、コPDが背を向ける。

ヒョヌ「自動振替にしなさいよ」
コPD「…。」
ヒョヌ「離婚自慢みたいに、養育費持ち歩かないで」
コPD「光熱費じゃないんだぞ」

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ジュンソンは壁に掲げたボードを見つめた。
そこは、自身の輝かしい記事や写真でいっぱいだ。

【特集 孤児出身のチャンピオン!コリアンスネイク!】

0006

ジュンソン「…。」

「Let’s go!」ジウンの声に彼は振り返った。
「誰もハーバード大だと思わないだろうな」ラフなジウンの格好を見て、ジュンソンが漏らす。

ジウン「ん?毎日この(胸の文字を指さし)ハーバードTシャツ着てるのに?」
ジュンソン「だよな。(ジウンの着ているジャケットを指し)トランクに入れろよ」
ジウン「No!飛行機寒いからさ」

「腹減った」ジウンがトランクを引いて歩き出した。

ジュンソン「途中で何か食えばいい」

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韓国へ戻る飛行機に乗り込むと、ジュウンは他の乗客の席をすり抜け、自分の席についた。
すぐ隣に座っていたのは… ジウンだ。
「Hi, ma’am」ジウンは気さくに彼女に話しかけた。

ジウン「僕たちが出会うのは逃れられない運命でしたね♪」
ジュウン「え?」
ジウン「Destiny!」

ジウンは手を出すと、呆気にとられているジュウンと強引に握手をかわした。「Oh!Nice face♪」

ジュウン「… Thank you」

ジウンはニッコリ笑って軽くハグをした。

ジュウン「あっ!」
ジウン「大丈夫。僕はジェントルマンだからね」

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ジュンソンはゆったりしたファーストクラスにいた。
「お連れさんに申し訳ないわ」お腹の大きな妊婦がジュンソンの隣に腰を下ろす。

女性「こんな高い席を」
ジュンソン「いいんです。楽になさってください」
女性「本当にありがとうございます]

ジウンは妊婦に席を譲ったのだ。

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ジウンが突然ジュウンに携帯画面を差し出した。

ジュウン「わっ!」

画面に映っているのは格闘技の映像だ。
レフェリーが試合に勝ったジュンソンの腕を掲げた。

ジュウン「(画面端の文字を見て)コリアン…ステーキ?」
ジウン「No!コリアンスネイクだよ!チャン・ジュンソン」
ジュウン「(ぽかーん)」
ジウン「チャンピオンだよ」
ジュウン「あぁ… コリアンスネイク?運動選手なんですか?」
ジウン「あぁ、僕はマネージャー兼トレーナー.。自分で言うのもなんだけど、ちょっと有名なんだ♪」
ジュウン「(苦笑)」

キリのいいところで、彼女は自分の携帯を取り出した。
ウシクからメッセージが届いていた。「いつ戻るんだ?会えるといいんだけど」

ジュウン「…。」

ふと寒気がして、ジュウンはCAに声を掛けた。「すみません、毛布をもう一枚」
「ご準備いたします」CAがニッコリ微笑むと、すかさずジウンが上着を脱ぐ。「これも着てください」

ジュウン「いえ、大丈夫です」
ジウン「僕だって大丈夫♪」

ジウンは脱いだ上着をジュウンに掛けてやる。
「…じゃあちょっとだけ」断りきれず、ジュウンは上着にうずくまって目を閉じた。

ジウン「超可愛い♥ククッ」

#この人、織田信成くんみたいで可愛いよね ププッ♪

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天候不良で飛行機はひどく揺れていた。

機内アナウンス「乗客の皆様にお知らせします。機内に急病のお客様がいらっしゃいます。医療関係のお客様がいらっしゃいましたら声をお掛けください」

ずっと頭からすっぽり毛布を被っていた客が一人、ピョコッと体を起こした。
通路を挟んで、ジュンソンの隣にいた男だ。
毛布とヘッドフォンを外すと、パーカーのフードも外し、彼は小さく顔を歪める。
ヨンホだ!

ヨンホ「はぁ…サプライズのつもりだったのに」

立ち上がった彼を見て、ジュンソンが目を丸くした。「ヨンホ兄!」

ヨンホ「驚いたならいいんだ」(←ププッ
CA「安全ベルトを外さないでください。今、機体が…」

ヨンホは説明代わりに資格証明書を掲げる。「患者はどこです?」

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CAの案内で、ヨンホは機内を移動する。
「兄貴、どうして急に韓国に?」ジュンソンも一緒だ。

ヨンホ「灯台もと暗しってやつだ」

「Ma’am!しっかりしてくれよ!」ほどなく、ジウンが叫ぶ声と、女性の唸り声が聴こえてくる。
ヨンホはさっと歩み寄ると、さっと彼女のメガネを外した。そこに倒れているのは… ジュウンだ。

ジウン「兄貴、どうしてここに?」
ヨンホ「(ジュウンの容体を調べながら)何か食べてたか?」
ジウン「何も食べてないけど、コーヒーと何かの薬と」
ヨンホ「どんな薬?」

「痛い…」ジュウンがお腹を抑えてうめく。

ジウン「えっと… 兄貴どうしてここにいるんだ?」
ヨンホ「(脈をとりながら)早く言え」
ジウン「OK、OK!コーヒーと薬、名前は分からない。それとワイン(思い出せなくてイライラ)I don’t know!彼女を助けてくれよ!」

「どういたしましょう。応急キットを…」CAが声を掛ける。

ヨンホ「あと輸液とカイロと… いや、あるもの全部持って来てください」

「このおばさん」ジュウンを見て、ヨンホは一瞬考える。「いや、この女性のバッグは?」
ジウンがすかさず座席のバッグを掴んだ。
バラバラと薬の瓶がバッグから落ちる。
いよいよ激しく苦しみだしたジュウンを見て、ヨンホは彼女の心臓に耳を当てた。

ジュウン「助けて…ください」

ヨンホは困ったように辺りを見回す。「簡単に動かせるサイズじゃないからな…」

CA「運ぶ物が…」
ヨンホ「ジュンソン」

「背負いましょうか?」ジュンソンがさっと近づいた。

ヨンホ「危険だ。持ち上げよう」

二人は頭側と足側で息を合わせてジュウンを持ち上げる。「1,2,3!うううっ」

#そ、そんなに重いかぁ?^^;;;;;

やっとのことで持ち上げると、ヨンホたちはジュウンを運び、エコノミー席を出て行く。
後に続こうとしたジウンをCAがさっと止めた。「ここから先はご遠慮ください」

ジウン「兄貴、ファイト!!!うちのma’amを頼んだぞ!!!」

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彼らはスペースにゆとりのあるファーストクラスにジュウンを運びこむと、床に寝かせた。
「とりあえず安全ベルトしてろ」ヨンホはまずジュンソンを気遣う。

CA「医療緊急事態だと機長に知らせたんですが」
ヨンホ「(応急セットを確認しながら)毛布を持って立っててください」
CA「え?」
ヨンホ「服を脱がせなきゃいけないから」
CA「あ、はい」

CAたちが一枚ずつ毛布を広げると、他の乗客に背を向けるようにジュウンを取り囲んだ。
ジュウンのブラウスの前ボタンを外そうとして、ヨンホは一旦手を止める。
「ちょっと緊急だからね」そう言うと、彼は一気にボタンを引きちぎった。

#キャッ、優しくしてん♥

ヨンホ「?…こりゃ何だ?」

彼の目に入ったのは… 胴回りをギュッと固めている鎧のようなコルセットだ。
迷わずハサミを手に取り、彼はコルセットをジョキジョキと切り始めた。

#イヤン♥

端まで切ったその瞬間… ボヨン!押さえつけていたお腹が飛び出す。(←あるある:笑
CAたちが思わず顔をそむける中、ヨンホは表情1つ変えず、彼女を診察した。
「ペンペンしなきゃな」そういって肘の内側を叩いて脈を探し、「ここはダメだ」と別の場所を探す。
「チクっとしますよ」点滴の針を指し、輸液パックをCAに持たせると、彼はジュンソンを呼んだ。

ヨンホ「左側だ」

そうして二人がかりでジュウンの腕を揉み始める。

ヨンホ「エラく冷たいんだ」

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天候はすっかり穏やかになり、機内は明るくなっていた。
ファーストクラスのゆったりした座席に横たわり、スヤスヤと寝息を立てているジュウンのそばで、ヨンホは彼女の額に手を当て、脈をとる。
寝ぼけた彼女は、手に触れたヨンホの逞しい太腿をサワサワと撫でた。

#一ミリも動じてないヨンホが好き♥

と、彼女は不意に目を覚ます。「わっ!!!」

ジュウン「どなたですか?!」
ヨンホ「…。」
ジュウン「(キョロキョロ)ここ、どこですか?」
ヨンホ「大気圏の真ん中あたりでしょうね。もちろん天国じゃありませんよ」

彼女は腕の点滴に気づき、もう一度声を上げる。「わっ!!!」

ジュウン「誰がこんなこと?!」
ヨンホ「感謝の言葉ってのは、どういうわけか逆に聴こえるもんですね」
ジュウン「あの… これを刺した方なら抜いてください」

彼は言われたとおり点滴の針を抜いてやると、そこをガーゼで抑えた。

ヨンホ「いつまで抑えてます?」
ジュウン「あ…」

彼女が腕を引っ込めると、ヨンホはテキパキと点滴セットを片付ける。

ジュウン「あの… このまま血が止まらなかったらどうすれば?」
ヨンホ「見た目の割りにエラく体を大事になさるんですね」

穏やかに微笑み、彼は小さく切ったガーゼを針跡に載せ、メディカルテープで貼ってやる。
起きようとしたジュウンの肩を、彼は押さえた。「ダメだ」

ヨンホ「じっとしててください。着ていらっしゃったもの、僕が全部破いてしまったので」
ジュウン「えぇっ?!」

ヨンホは向かいに腰を下ろし、腕を組む。「失礼だけど…」

ヨンホ「ホントにただ気になって。どうしてあんなことを?」
ジュウン「…何が?」
ヨンホ「飲酒ですよ」
ジュウン「…。」
ヨンホ「カフェインに睡眠薬まで」
ジュウン「あぁ、それは…」
ヨンホ「成分がハッキリしないダイエット薬、それに…(思わず笑う)腹帯まで」
ジュウン「そんな!人の体を…!人のバッグまで…?!初対面なのに失礼じゃないですか?」

「シーッ」彼は人差し指を立て、辺りを見渡すと、彼女に近づいた。

ヨンホ「ファーストクラスで横たわってるのは緊急事態のせいだって、おわかりですよね?」

#出た!手をヒョイヒョイ♥♥♥

ヨンホ「質疑応答が不可能だったからバッグの中を調べたのに、初対面で失礼だって?心外ですね」
ジュウン「あ、それは… 感謝してないってことじゃなくて…」
ヨンホ「(頷く)」

彼女は飛行機の窓を見上げた。「窓開けて飛び出したい気分」

ヨンホ「「ひょっとして僕、死にたい人を助けたんでしょうか?」
ジュウン「何ですって?!」
ヨンホ「そうじゃないなら自分の体に何であんなことを?空きっ腹で、しかも飛行機の中で」
ジュウン「死にたい人が、成分のハッキリしないダイエット薬で痩せようとします?」
ヨンホ「あのね、おばさん」
ジュウン「何って?!」
ヨンホ「いや、お嬢さん、痩せたいなら汗を流さないと。無茶な断食に変な薬、腹帯なんかに頼らないで」
ジュウン「あの… 助けてくださったことは感謝しますけど(体を抱え)プライバシーまで暴かれたくないわ」

「…。」余裕たっぷりに彼女を見下ろすと、彼はさっと回りの乗客を見渡す。
そして、不意に彼女に顔を近づけた。

ジュウン「!!!」
ヨンホ「出会って5分も経たずに服を脱がせた女は初めてなもんで、つい親しみを感じてしまったみたいです。認めますよ」

0007
ジュウン「!!!」
ヨンホ「腹帯は(バッグを指差し)綺麗に畳んでバッグの中に入れておきましたよ(ニッコリ)」
ジュウン「感謝しろって?損害賠償はしちゃダメね、助けてくださった方なんだし。それから!腹帯じゃなくてコルセットですから!」
ヨンホ「あぁ~。初めて引き裂いたもんだから♪すみません」
ジュウン「結構ですよ。ぜひ恩返しをしたいんですけど、(毛布で顔を隠し)会わずに返せたらどんなにいいか」

「!」ジュウンは突然何かを思いついたように顔を輝かせた。

ヨンホ「それなら方法がないわけじゃありませんよ」
ジュウン「?…何です?」

彼は片眉をヒョイと上げ、意味ありげに笑みを浮かべた。

+-+-+-+

空港でスーツ姿の男たちが誰かを探していた。
「出て来ないって?どうなってるんだ?」年長の男… ミン室長の声に、皆がさっと集まる。

男「我々もさっき連絡を受けたばかりで。搭乗者名簿はダブルチェックしました」
ミン室長「搭乗客はどこから出てくるんだ?」

電話が鳴った。「はい、会長」

ミン室長(電話)「いいえ、入国は確かだそうで。もう少し調べて、ご連絡差し上げます」

電話で話す彼らの後ろを、ジュンソンとジウンが静かに通り過ぎる。
そこへメッセージが届いた。ヨンホからだ。「ソウル ハンマウム病院の救急室へ」

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救急車輌の中で、ジュウンは自分の不運を呪っていた。「飛行機の窓から飛び降りればよかった」
彼女に付き添ってまんまと空港を抜けだしたヨンホは、そっとカーテンの外を覗くと、ニヤリとほくそ笑んだ。

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病院のベッドにポツリと座り、ジュウンの心には急速に寂しさが襲っていた。
ウシクの優しい声がしきりに思い出される。
「バッグ?空港からは届いてませんよ」彼女は看護師が止めるのも聞かず、病室を飛び出した。

病院の前でジュンソンたちと別れたヨンホは、ふと病院の前でタクシーを止めようとしている人影に目を留めた。
ジュウンだ。

ヨンホ「?」

しばらく見ていると、ジュウンは雨の中、意を決して走りだす。
ヨンホはゆっくりと彼女の姿を目で追った。

+-+-+-+

病院の前のスロープを下り、通りへ出てくると、そこで一旦ヨンホは車を停めた。

0008

ヨンホ「…。」

バックミラーの中で、ジュウンがタクシーを探しているのが見える。

+-+-+-+

ジュウンの前に一台の車が滑り込んできて、停まった。

ジュウン「?」

助手席の窓が開くと、運転席に前を向いたまま座っている男の横顔が見える。
ヨンホだ。

ジュウン「…。」
ヨンホ「失礼だけど、ホントにただ気になったから」

ムキになって知らんぷりするジュウンに、ヨンホは困ったように声を漏らした。「はぁ、どう言えばいいんだ?」

ヨンホ「あの!」
ジュウン「?」
ヨンホ「病院に戻ろうって気はないんですか?」
ジュウン「(頷く)」
ヨンホ「(呆れ顔)それなら乗って」
ジュウン「(ジロジロ)」
ヨンホ「降りてドアを開けてあげましょうか?こんな道端にいるより、僕のほうが安全だと思うけど」

しばらく考えると、ジュウンは頑なにコートの前を閉じ、助手席に乗り込んだ。

+-+-+-+

「行き先登録して。シートベルトも」ヨンホに言われ、ジュウンはゴソゴソと大きな体を動かしてシートベルトを締める。

ジュウン「何日か前… あの日は今日が人生最悪の日だと思ったのに」
ヨンホ「?」
ジュウン「…違ったみたい。今日だったわ」
ヨンホ「救急車に乗せられたから?それは…」
ジュウン「事情があったんでしょうね」
ヨンホ「…。」
ジュウン「理解してくれとは言わないけど、私にも事情があるんだから、あんまり変に…」
ヨンホ「…思いませんから」
ジュウン「…。」
ヨンホ「今日じゃなくても、病院には必ず行ってください。体温が低すぎます。体つきの割りに」

+-+-+-+

「目的地に到着しました」ナビが告げる。
「もうここで」ジュウンが言った。

ジュウン「あの…」
ヨンホ「”お気をつけてって挨拶が最後になりそうですね”くらい言ってくれれば、送った見返りになりそうだけど」
ジュウン「お礼を言う隙もくださらないんですね」
ヨンホ「…。」
ジュウン「とにかくお世話になりました。お別れの挨拶になりそうですね。お気をつけて」

ジュウンが車を降り、雨の中を走っていく。
「びしょ濡れだな」助手席のシートをチラリと見て溜息をつくと、ヨンホはティッシュに手を伸ばした。

+-+-+-+

トコトコと走ってきたジュウンは、あるアパートの前で呆然と立ち尽くした。

ジュウン「!」

階段の上に見えたのは、女性を抱き寄せているウシクの姿だった。
彼の表情があまりに幸せそうで、ジュウンはたまらず背を向ける。

「…。」ずぶ濡れになるのも構わず、彼女は来た道をぼんやりと歩いた。
ただただ惨めだった…。

カフェのネオンも、そんな彼女に呼応したように「LOSER(敗者)」に姿を変える。

店の入口のパネルに、彼女は足を止めた。
スタイルのいい女性タレントのパネルだ。
入り口のガラスには、それを見つめている自分の恨めしい姿が映っていた。

【私は… その気にさえなれば何だって出来るカン・ジュウンだった。それなのに…】

ジュウン「!!!」

そのとき、彼女は後ろで彼女を見ている不審なレインコートの男性に気づき、慌てて逃げ出した。
「あの、すみません!」男が追いかけてくる。「あの、ちょっと!」

逃げるジュウンの肩を、不意に誰かが掴んだ。「キャッ!!!」
「助けて」しゃがみこんだジュウンは無我夢中で手を伸ばした。

声「人を見りゃ助けてくれって」
ジュウン「?」

恐る恐る顔を上げてみると、そばで傘をさしている男の横顔が目に入る。
ヨンホだ。

ヨンホ「お礼も言わないくせに」

ショックと恐怖と雨でグシャグシャになったジュウンの顔を、ヨンホは静かに見つめた。

+-+-+-+

ここで1話終了です!

いやぁ、ヨンホのキャラが心地いいです。
いつでも冷静沈着で、だからって堅物じゃなくて、優しいしユーモアもある。
なかなか絶妙じゃないですか?♥

たとえば、病院の前でジュウンを見つけた時も、すぐ声を掛けたりせず、しばらく見てるようなところ。
そんな細かいところまで人となりが表れてるようで、とてもイイです。

ジュウンのコンプレックスは身につまされるけど、太っても色褪せないミナちゃんのキラキラはホントさすが。
彼に出会ってどんなふうに変わっていくのか、楽しみです。
昔のように自分を愛せるようになってほしいな^^

 - Oh my Venus ,

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