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夜警日誌あらすじ&日本語訳11話vol.1

   

チョン・イル、チョン・ユンホ(東方神起ユノ/ユンホ)出演、「夜警日誌」11話前半、ドラマのあらすじを掴みながら、台詞を丁寧に日本語に翻訳していきますね。

#10話ではたくさんの方にコメントをいただき、本当にありがとうございます。
Twitterでも^^

喜んでいただけて嬉しいです。エネルギーいただいたので頑張ります♪

+-+-+-+

「知らぬはずがありましょうか」向こうから歩いてくる男…サダムの姿に、サンホンの目は釘付けになった。

サンホン「今夜は話すことがたくさんありそうです」

+-+-+-+

領相「その男… 武芸に秀でた男とは、チョ・サンホンだと言うのか!」

領相もまた、思いがけない男の正体に驚愕した。

手下「はい、大監様。12年前、私が兼司僕(※王の親衛隊の一つで、賤民出身でも就くことができる)に勤務していた時に見た、チョ・サンホンに間違いありません」
領相「!!!」

「分かった。もうよい」茫然としたまま、領相は手下を下がらせる。

領相「チョ・サンホン… 夜警隊長チョ・サンホンが生きていたとは」

+-+-+-+

宿へ戻ると、サンホンは12年前の出来事について語り始める。

サンホン「12年前、殿下は大君の病を治すため、白頭山への遠征を敢行なさいました。千年花…その花を手に入れるために。ところが、千年花を咲かせるマゴ族の巫女が龍神族にさらされ、殿下は神弓を使って、大蛇の昇天を阻止なさったのです。それで全て解決したと思われました」

294

サンホン「ところが、龍神族の首長サダムの計略により、千年花は病に冒され、殿下はその花のため狂気に包まれてしまいました。殿下の不幸を引き起こしたのが龍神族の首長、サダムだったのです」

295

「龍神族っておっしゃったんですか?」不意にトハの声が聴こえる。
庭を歩きながら話していた二人の前に、彼女は立っていた。
彼女はまっすぐ歩いてくると、目を丸くしてサンホンに尋ねた。

トハ「今、龍神族っておっしゃいましたよね?」
リン「…。」
サンホン「あぁ、龍神族。その龍神族の首長こそ、サダムという男だ」
トハ「それなら、サダムが姉を連れて行ったんですか?」
サンホン「…。」
トハ「姉を知ってるといって私に近づいたのも本当のことで…。今あの男が姉と一緒にいるんですか?そうなんでしょう?」

サンホンは口をつぐんだまま、じっとトハを見つめる。

トハ「教えてください。12年待ち続けたんです」
サンホン「あの男がお前に近づいてきたのか?」
トハ「…。」
サンホン「白頭山マゴ族の巫女を必要としたと…。それは、つまり…」

「どうなさったのです?」愕然とするサンホンに、リンが口を開く。
サンホンはそれでも口に出すのが憚(はばか)られるかのように、黙ったままトハを見つめた。

+-+-+-+

読書好きのサゴンは部屋でのんびり本をめくっていた。
ゲラゲラ笑いながら1冊読み終えると、続きの巻を探して辺りの本を探った。

サゴン「3巻は…。これは”夜警軍日誌”…!!!」

上の本をめくるとそこに見えてきた題字に、サゴンは思わず飛び起きた。

サゴン「何だこりゃ?」

サゴンは慌ただしく本をめくった。

サゴン「私が書いたものだ!どうなってるんだ?これがどうしてここに?どうしてここにあるんだよ!」

サゴンは立ち上がった。

#初登場時からずっと不安なんだけど、サゴンって名前じゃなくて役職名かも。
記録の仕事をしてたくらいだから、トハの志願書を書いた時も達筆だったんだね。

+-+-+-+

トハを加え、サンホンは宿の1階に場所を移し、さらに話を続けた。

297

サンホン「都に怨霊を集め、マゴ族の巫女を必要としていたのなら、その理由はたった一つです」
リン「それは何ですか?」
サンホン「昇天です」
二人「!」

296

サンホン「大蛇を昇天させ、朝鮮をまるごと飲み込もうと…」

「兄貴!」サゴンが駆け込んでくる。

サゴン「今何を…!」

彼はサンホンの前に座っているリンを見て、思わず口をつぐむ。

サゴン「何言ってるんですか?くだらないこと言ってないで、黙ってなさいよ!」
サンホン「…。」

サゴンが慌てて止めたことで、サンホンの話はかえって深刻さを増した。
リンはサゴンが手に持っている『夜警軍日誌』に目を留める。

リン「!」

+-+-+-+

今度ばかりは領相も頭を抱えていた。

領相「チョ・サンホンという男が生きており、大君のそばにいると… 何か知っているというのか?先代王の霊にでも会って、何か聞いたのか?」

と、領相は我に返り、豪快に笑い出す。

領相「私が… このパク・スジョンが鬼神などに動揺するとは!!!」

そこへ来客の知らせが入る。

+-+-+-+

領相が外へ出てみると、そこに待っていたのはサダムとヨンウォルだった。

領相「賤しい道流が私の家に何の用だ?」
サダム「領相は今、貴賎を選んで人に会っている場合ではないと思いますが」
領相「何と?!どれほど命が危うくなろうと、お前のような賤しい道流ごときと手を結ぶと思うか!」

「今すぐ追い出せ!」領相が声を荒げると、後ろに控えていた下男たちがサダムに駆け寄る。

サダム「今後、領相は私を必要となさるはずです」
ヨンウォル「…。」
領相「そのような戯言に私が惑わされるとでも思っったか!追い出せ!」
サダム「この難局を突破する道は、私と手を結ぶ他ありません!!!」

サダムは腕を掴んだ下男の手を振り払う。

サダム「…心変わりなさったら、梅蘭房へお越しください」

サダムは一礼すると、自らの足で悠々と屋敷を出て行く。
ヨンウォルは一言も口に出さないまま、サダムの後に続いた。

+-+-+-+

屋敷を出たヨンウォルは平静ではいられなかった。

ヨンウォル「領相まで怒らせてどうするのですか!」
サダム「ついに領相にも不安というものが生まれました」

サダムは思いのほか上機嫌だ。

ヨンウォル「?」
サダム「強固だった領相の心に不安が生じたのです。その不安が隙を作り、その隙に私が入るのです」

+-+-+-+

サダムの言葉通り、領相は不安でじっとしられなかった。
部屋の中をウロウロと歩きまわり、考えを巡らせる。

領相「チョ・サンホンは何か知っているのだ…」

+-+-+-+

リンたちの話はまだまだ続いていた。
リン、サンホン、トハの3人に、今度はサゴンも仕方なく加わる。

リン「狂気に包まれた父上が、不貞を働いた母上を殺した…。私が知っている事実はそうです。でも、それが事実でないなら、お二人の死について詳しく知りたいのです。一つも漏らさず話してください」

リンの熱意に反し、サンホンの様子は実に静かだった。

サンホン「その部分については何も知りません」
リン「!」
サンホン「それから、トハ、お前のお姉さんについても何も知らない」

言い終わるや否や、サンホンは席を立つ。
「嘘です!」トハが立ち上がった。

サンホン「…。」
トハ「知っているのに嘘をおっしゃってるんです。そうでしょう?」
サンホン「…。」
リン「それなら、日誌に記されていた女人とは誰なのですか?」
トハ「?」
サンホン「…。」
リン「父上を狂気に包んだ、その女人です!」

黙り込んだサンホンの目が、トハへと動いた。

トハ「!」
リン「私にとっては重要なことなのです。どうか…知らないとおっしゃらないでください」
トハ「教えてください!事実のまま教えて下さい、全部!」

懸命に訴えるトハに、サンホンはそれでもポツリと答えた。「本当に何も知りません」

トハ「…。」
リン「…。」

絶望的な空気が場を包む。

サゴン「も、もういいだろ。無駄な話はやめにしよう」

耐えられず、サゴンが沈黙を破った。「寝ましょうよ。ね?」

リン「…。」

サゴンに手を引かれ、サンホンは席を離れ、歩き出した。

#素直に手を引かれて2,3歩歩くサンホンに和む♪

その瞬間!
突然侵入したきたのは、黒装束の謎の集団だ。

サンホン「!」

1階と2階、両方から入ってきた男たちは、リンたちには目もくれず、サンホンを取り囲んだ。

298

サゴン「兄貴…!」

男たちが一斉に斬りかかると、サンホンは目にも留まらぬスピードで応戦する。

#いや、ホントに一枚もまともにキャプれん。
びっくりしてるリンの顔しか撮れん。

リンはトハの手を引くと、上から降りてくる男を片手で放り投げ、階段を上がった。
さらに追いかけてくる男を、長い足で蹴り飛ばす。
トハもまた、怯むことなく果敢に戦った。

吹っ飛んだ男たちが宿の建具をなぎ倒し、豪快な音を立てると、物音に気づいたオンメたちが部屋から飛び出してきた。

オンメ「何なの!!!!!」
チャン氏「どうした?どうしたんだ?!」

存分に暴れると、サンホンは男の一人を捕まえ、首に刀を突きつける。

サンホン「誰だ?誰の差金だ?」

「ど、どうしよう!」オンメがあげた声にサンホンが気を取られた瞬間、男は目眩ましをして逃げる。
2階にいた男たちも、潮が引くように一斉に姿を消した。

「旦那さん!!!」オンメは無我夢中でサンホンに駆け寄る。

オンメ「大丈夫ですか?」

「…。」サンホンは男たちが出て行った先を鋭い目で睨むと、2階にいるリンを見上げた。

299

リン「!」

+-+-+-+

裏庭へやって来ると、サンホンは一人考え事をしているリンの背中を見つめる。

サンホン「…。」

サンホンは静かにやって来ると、リンの隣に並んだ。

サンホン「パク・スジョンの仕業でしょう。夜警組織を潰した張本人でもあります」
リン「敵は殿下だけだと、最初はそう思っていました。でも、一体どれほど多くの敵が潜んでいるのか、推し量ることさえできません」
サンホン「大君…」
リン「どうして…。何かを突き止めたいと決心すれば、それを阻止しようとする人間ばかりです。ここまで皆隠そうとするなんて、いったい父上はどれほど大きな秘密を抱えていらっしゃったのですか!」
サンホン「…落ち着いてください」
リン「父上について分かれば、何かが変わるだろうと思っていました。でも、よく分からないのです」
サンホン「…。」
リン「父上がどういう方なのか…。いったいなぜ私にこれほど多くの敵を残されたのか。…腹が立ちます」
サンホン「殿下が白頭山への遠征という険しい道を選ばれたのは、大君様への果てしない愛のためでした」
リン「!」
サンホン「ただ、そうご記憶ください」
リン「本当に…愛しておられたのですか?狂気に囚われた真っ青な刃…私に刀を向けた姿しか思い出せないのです。私にとって父上は…それが全てだったのです」

301

リンの目から涙が流れていた。

リン「それが父上の真の姿でないのなら、私にそんな記憶しか残さなかった者たちを許しはしません!サダムであろうと、領相であろうと、その女人であろうと、全て!決して許しはしません」
サンホン「…。」

+-+-+-+

部屋へ戻ったトハは、リンの父…先代王が遺した赤い小さな帯を見つめていた。
愛おしそうにその帯を手にしていた先代王のことは、今でも彼女の胸の中に強く残っている。

子トハ「王子様はすぐ良くなられますよ。王様がこんなに勇敢にお守りになったでしょう?」

「!」トハの中でぼんやりしていた何かが不意に輪郭を表す。

トハ「あのときの王子様は… 今の王様じゃなくて、リンだった…。イ・リン!」

#ビックリしたわ。両親以外、誰もリンなんて口にもしないのに、突然なんだもん。

先代王「余の帰りを待ち焦がれているだろう。リンも中殿も」

トハ「リンも…中殿も…」

302

彼女は立ち上がった。

+-+-+-+

「待って!待ってください!」まだ庭で考え事をしていたリンは、彼を呼ぶトハの声に振り返った。

リン「!」

駆けてきた彼女は、リンの手を掴むと、持ってきた赤い小さな帯をその手に握らせる。

303

リン「…。」
トハ「病に冒された息子を、眠れないほど心配なさっていました」
リン「!」
トハ「それに、息子と同じくらい、私にも温かく接してくださったんです」
リン「…。」
トハ「それが私の覚えている王様です。それが本当の姿だと信じています」
リン「…。」
リン「これには… そんな王様の気持ちが詰まっているんです」

リンはもう片方を出すと、そっと帯に触れた。

リン「父上の…気持ちが詰まっていると…」

リンの胸の中に、最後に見た父の姿が蘇った。
彼は最後に千年花の籠を息子に手渡し、悲しげに見つめたのだった。

先代王「これをお前に与えようと… どんなに険しい道も乗り越えてきたのに、この父はおかしくなり、結局やることができなかった」
先代王「この父は…ずいぶん病んでいたようだ…」

「すまない。すまない…リン」父はそう言って、優しく彼の頬を撫でたのだ。

「…。」小さな帯から溢れだした父の愛情と悲しみが、全身に流れ込んでくる気がした。
引っ込めようとしたトハの手を、リンは強く握る。

リン「もう少しだけ… このままでいてくれ」

こうして手を握っていないと、今にも何かが崩れ落ちてしまいそうだった。

+-+-+-+

二人の姿を、サンホンは遠巻きに見つめていた。

サゴン「どうするつもりですか?」
サンホン「…。」
サゴン「後になって事実を知ることになったら… 大君が探している人がトハの姉さんだって…」
サンホン「口に出すな」
サゴン「…。」
サンホン「それは口に出してはいけない」
サゴン「兄貴、駄目ですよ。今までちゃんと持ち堪えてきたじゃないですか」
サンホン「振りをしていただけだ。天性の夜警師は… 血の沸く方へと進むしかない」

サンホンの言葉に、サゴンはそれ以上掛ける言葉もなく、途方に暮れた。

+-+-+-+

今宵も蝋燭の炎に囲まれ、坐禅を組んだサダムは、ひたすら呪文を唱えた。

突然小さな風が吹き込み、蝋燭の炎が次々に消えると、サダムは目を開ける。

サダム「とうとう疱瘡神のお出ましです」

※疱瘡神=天然痘を引き起こす悪神。wikipedia

サダムの目の前に黒い不気味な女性が現れた。

304

+-+-+-+

夜中。

大妃は妙にうなされて目を覚ました。
体を起こすと、御簾の向こうに人影が見える。

大妃「誰なの?イ尚宮?」

「…。」声が聞こえないのだろうか?何も答えず、動きもしない人影に、大妃は目を凝らした。

大妃「返事をなさい」

人影はゆっくりと歩を進めると、御簾の陰から姿を見せる。

大妃「!!!」

サダムに呼び寄せられた疱瘡神ではないか!

「はっ!」大妃は叫び声を上げんばかりに飛び起きた。
夢だったのか…。
驚いてイ尚宮がやってくる。

イ尚宮「媽媽、どうなさいましたか?」

やって来たのがイ尚宮であるのを見ると、大妃は安堵して息をついた。

大妃「夢を…とても恐ろしい夢を見たわ」

「夢だったから良かったものの…」大妃はあまりの恐ろしさに大きく呼吸をし、疱瘡神が立っていた空間を見渡した。

+-+-+-+

夢などではなかったのだ。

疱瘡神は広い宮中を我がもの顔で歩いた。
門からまっすぐ続く三道(※王が歩くための中央の道)を正殿へと進む。

312

彼女はふと足を止めると、めぼしい場所を見つけたのか、ある建物の中へスッと入って行った。

#この女優さんはホント一度見たら忘れられへんキョーレツな顔ですよねぇ。
大阪行ったら、こんなおばちゃんいてはるけどね。

+-+-+-+

官僚たちが顔を揃え、いつものように議事が進んでいた。

右相「生薬鋪は民に薬を配給するために設置した場所です。しかし、恵民署と生薬鋪の薬剤専売権を、宰相の娘が私的に利用したのです」
領相「…。」
右相「これは荘厳たる国法を欺く行為。どうか厳しく問責なさいませ」
キサン君「他のことは全て不問に付しても、民に被害が及ぶことは余も決して見過ごせぬ」
領相「…。」
キサン君「直ちに領相の令嬢を義禁府へ拘束させよ!」

場内が一斉にどよめく。
「…。」領相は愕然と目を閉じた。

+-+-+-+

市場の人混みをかき分け、ムソクはどこかへ急いでいた。
急がなければ…。焦りが彼を駆り立てる。

一足早く恵民署へ踏み込んだ義禁府は、患者を診ているスリョンの前に立ちはだかった。

スリョン「?」
義禁府「義禁府へ拘束せよとの王命です」
スリョン「な、何?!」

「連行せよ!」「はい!」有無を言わせずスリョンは両腕を掴まれた。

スリョン「放しなさい!」

そこへ駆け込んできたのはムソクだ。

ムソク「何をしているのですか!手をお放しください」

ムソクの言葉に、武官たちはさっとその手を放す。

スリョン「お兄様!」
義禁府上官「我々は王命を遂行しているのです。王命です!」
ムソク「…。」
スリョン「お兄様!」
ムソク「…。」
スリョン「私を引き渡したりなさいませんよね?」

立ち尽くすムソクの前で、スリョンはあっという間に連行されて行く。
「お兄様!お兄様!」叫ぶスリョンの後ろ姿を、ムソクは為す術もなく見送った。

ムソク「…。」

305

彼はまたすぐにどこかへ急いだ。

+-+-+-+

スリョンは乱暴に牢の中へ放り込まれる。

スリョン「すぐに出られるわ!すぐに!」

+-+-+-+

リンと守護霊3人衆は、いつになく深刻な様子で顔を突き合わせていた。

リン「父上が亡くなる時、左相、そなたはどこにいたのだ?」
左相(霊)「あの日の夜は宮廷の外にいたもんだから…そのときのことはあまり…」
リン「…。」

ソン内官が深い溜息をつく。

ソン内官「私が生きてさえいれば全部分かったでしょうに」

そう、先代王が亡くなった日、ソン内官はすでにこの世の人間ではなかった。
彼はリンの冊封式の日、リンをかばって代わりに斬られたのだ。

下を向いて悲しそうにしているランイに、ソン内官の目が止まった。

ソン内官「ちょっと、あんたどうしたのさ?」
ランイ「?」
ソン内官「あんた、何か知ってるの?」
ランイ「知ってるわけないでしょ!」
ソン内官「そんな大声出さなくても」

ランイはじっとリンを見上げた。

ソン内官「?」

そこへやって来たのはムソクだ。
彼はリンの隣へやって来るなり、突然リンの胸ぐらを掴んだ。

リン「!!!」

ソン内官「そ、そ、その手、いますぐお放しなさいな!」

ムソクは構わずリンを睨みつける。

ムソク「よくもスリョンにあんな真似が出来るものです」
リン「…。」
ムソク「スリョンの気持ちを知っている大君がなぜ!!!」

307

声を荒げるムソクに怯むこともなく、リンは静かにムソクを見つめた。

「…。」ムソクはふと思い出した。
「友が不正を働いたら君はどうする?君がその不正を明らかにする立場なら?」訪ねて来たリンが、彼に相談をしたのだ。

ムソク「あぁ、それであのような質問を?友人に不意打ちを食らわせようと、私にあんな話をなさったのですか!」
リン「私的に専売権を渡し、それで利益を得る…。スリョン嬢がそんな人に見えるか?」
ムソク「!」

リンは胸ぐらを強く掴んだムソクの手を、そっと外した。

リン「絶対にそんな人ではない… 私はそう思う」
ムソク「そうお考えになる方がなぜスリョンを死地へ追いやるのですか?」
リン「もっと大事(おおごと)になる前に、スリョン嬢を保護しようとしたのだ。こんなこと… スリョン嬢が一人で起こすはずがない」
ムソク「それなら… どうなさるおつもりですか?」
リン「間違いなく何か事情があるはずだ。それを明らかにする」
ムソク「…。」
リン「スリョン嬢のために嘆願書を書いてくれる人も大勢いるだろう。とにかく… 私に出来ることは全てやるつもりだ」

308

#えっと、御二方とも、
顔が美しすぎて、話が二の次になっちゃうんですが

ムソクはもう一度リンの胸ぐらを掴んだ。
もどかしくて、掴まずにはいられなかったのだ。

ムソク「本当にそんなことが出来るとお思いですか!」
リン「…。」
ムソク「領相大監を警戒している殿下が、スリョンを放っておくとお思いなのですか!」

ムソクは踵を返すと、足早に去っていく。
「…。」リンは乱れた襟を直し、その背中を見つめた。

+-+-+-+

リンがその足でやって来たのは義禁府だった。
門をくぐると、向こうに領相の姿が見える。
リンの緊張が高まった。

「大君がここへ何の御用ですか?」領相の言葉は妙に静かだ。

リン「スリョン嬢に会いに来ました」
領相「お引取りを。今さらスリョンに謝罪でもしにいらしたのですか?」
リン「…。」
領相「ご自分が楽になるために謝罪したところで、スリョンには何の助けにもなりますまい。必要ありませんので、お引取りください」
リン「領相ではありません。スリョン嬢に会いに来たのです」

リンは牢へと足を進めた。

領相「(武官たちに)何をしている!しっかり警備せよ!」
リン「…。」

「大君をお送りするのだ」領相の命令で武官が掴んだ手を、リンは振り払った。

リン「…。」
領相「…。」

リンはそれ以上領相を刺激することを避け、おとなしくその場を後にした。

#このシーン、もしスリョンに会えていたらリンは何て言うつもりだったのか、すごく気になる。

+-+-+-+

牢の中で悶々としているスリョンの前に現れたのは…父であった。
柵越しに差し出された手を、スリョンは両手で強く握る。

スリョン「お父様…」
領相「大君がお前をこのような目に遭わせたのだ」
スリョン「お父様!」
領相「だから、今日を最後に大君への思いは捨てなさい」
スリョン「…。大君… どうして…。どうしてたったの一度もいらっしゃらないのですか!」

309

「たったの一度も…!」泣き崩れる娘を、領相は苦々しい表情で見つめた。

領相「もともとそういう人なのだ!」

牢への階段を上がってきたムソクは、ハッとして足を止めた。
「大君!!!」スリョンの泣き叫ぶ声が聴こえる。

その瞬間、ムソクの頭の中にある日の記憶が降って湧いた。「イナ!!!」

ムソクの大切な妹イナ(インファ)が天然痘に侵され、外へ病原菌が広がらぬよう、彼の家は封鎖されていた。

兄の必死の呼びかけにも答えられないほど、イナの意識は朦朧とし、
それでもムソクはひたすら彼女に声を掛けた。

ムソク「イナ!しっかりするんだ!父上が呼んでも、決して行っては駄目だよ。いいね?」

「お…兄様…」微かな彼女の声に、彼は懸命に答えた。「イナ!!!」

そこへ部屋の外でムソクを呼ぶ声がする。スリョンの声だ。

ムソク「入って来るな!」

彼の警告にも構わず扉が開くと、布で口を覆い、スリョンが中へ駆け込んでくる。

スリョン「私は天然痘にかかったことがあるから、大丈夫です。でも、お兄様は危険だわ!」
ムソク「いっそのこと… 私が代われたらいいのに」
スリョン「そんなこと言わないで!イナのそばに他に誰がいるんですか?お兄様しかいないんです!」
ムソク「…。」
スリョン「薬を持ってきたから、もう大丈夫」

「私は… 何一つしてやれることがないんだ」ムソクは茫然と呟く。

ムソク「妹にも… 父と母が亡くなるときも… 私が出来ることなど何もないんだ…」

妹の手を握ったまま、ムソクはただ無力を嘆いた。

310

スリョン「しっかりしてください!しっかりして!!!」

スリョンは鼻と口を覆っていた布さえも外していた。
彼女は持ってきた包みをテキパキと解く。

スリョン「内医院からいただいた薬です」
ムソク「!…それでは殿下が?」
スリョン「共に剣術を磨いた友に授ける薬だとおっしゃいました」
ムソク「!」
スリョン「これさえ飲めばきっと無事です」

311

虚ろだったムソクの目に力が宿る。
薬を与えるスリョンの横で、ムソクは妹の手を握り直した。

そう。
ムソクにとってスリョンは、危険を顧みず駆けつけて勇気づけてくれる、かけがえのない存在だ。

今、彼の目の前で、そのスリョンが絶望に打ちひしがれている。
無力だと、ただ手をこまねいているわけにはいかなかった。

スリョン「…大君!」

ムソクはそのまま身を翻すと、上がったばかりの階段を下りた。

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。

一つ一つはいいシーンだし、いい台詞なんだけど、
ムソクが妹とスリョンのエピソードを、このタイミングで思い出すのは不自然だし、
せっかく話が盛り上がってるところに、いろいろ邪魔は入るし、
ぶちぶち切れて、ちょっと気持ちが繋がりにくい、勿体ない感じがしますねぇ。

サンホンがいろいろ話してくれたから、私としてはそれが一番のワクワクしどころでした。

ただでさえ、肝心なことがふわふわして分からないまま話が進んでるのに、
「え?そうだっけ?」ってことも多いし、
せめてメインキャラたちの感情に気持よく寄り添えるようにお願いします!

ところで、千年花は宮を出るときにリンが持って出たはずですが、今も屋敷のどこかにあるんでしょうかね。

 - 夜警日誌 ,

Comment

  1. 匿名 より:

    どんどん気になる事がふえてきましたね!!個人的にはランイちゃんの正体が気になる所です。お母様だったりしてと思って見たり?! どんどん勢力図が複雑になってきていますね。ブログのおかげでだいぶ理解してドラマを見ることができています。後編・・・むそくさんの見所増えますね♪次の更新も楽しみにしています☆

  2. まさひか より:

    毎回楽しみにしています♪

    とっても分かりやすい日本語訳&あらすじに感謝です(^^)

    大変かとは思いますが、
    今後も楽しみに待っています。

  3. ユリファ より:

    初めまして

    ジェジュンが出演していた「トライアングル」の時に、ツィでこちらが紹介されていて、それからお邪魔させていただいております。

    こちらのあらすじは、話の流れがとてもわかりやすくて、ありがたいです。

    毎回、大変な作業でご苦労されているかと思いますが、UPされるのを楽しみに待っております。

    時折入るツッコミ?も楽しみにしております^^

  4. LOHAS より:

    ドハは梅蘭房の塀をよじ登り、身軽とはいえないくらいドスン
    と落ちますよね。

    “野生馬のような少女”設定のドハの想定外の動き、
    火事場シーン、街中でサダムを捜すシーン、領相指示の黒装束との格闘シーン(勝手に相手が倒れる)…
    いっそうのこと、ドハのキャラクター設定を
    もっとコミカルに笑いのシーンに徹したほうが面白いのに。と思いました。

  5. Marin より:

    中殿の想いが籠った布(ミサンガじゃないし~何だっけ(/ω\))をドハがリンに渡すシーンで・・・動画では軽く流せたのに・・・ユジナさんの文章を読んでいて 涙が流れてしまいました。
    絶対に 本編よりもレベルUPされているわ!!!
    ありがとうございます。

    ドハの3角関係は何処へ?なんか・・・同志になってきちゃったかも~(笑)

    ツイッターの返信をここに書くのも変ですが・・・「ネイル」も手がけられているので・・・無理をされませんように・・・

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