韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

プロデューサー8話あらすじ&日本語訳 vo.3

   

キム・スヒョン、IU、コン・ヒョジン、チャ・テヒョン、出演、KBS韓国ドラマ「プロデューサー」8話、終盤です。

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カメラを前に、導入部分のインタビューが始まった。

スンチャン(進行)「シンディさんの親友が一人、もうすぐこちらへいらっしゃいます」

「親友ですか?」シンディが爽やかに驚いてみせる。

シンディ「つまり私の一番仲良しの友だちってことですよね?誰なんですか?私の親友って」
スンチャン(進行)「(台本をチラリ)」
シンディ「ここに来る親友が誰かってことですよ」
スンチャン(進行)「それはお答えできません」

シンディが考えを巡らせる。「Pinky4のクリスティナさん?」
「ブー」スンチャンが反射的に言う。

スンチャン「…教えてあげられないんです」
シンディ「ひょっとして…まさかピョン代表?」
スンチャン「…。」
シンディ「そうなんですか?」

「ちょっと、撮影ストップしますよ」シンディが手でカメラを払う仕草をする。

シンディ「そんなの無理です」
スンチャン「ピョン代表ではありません」
シンディ「あ、それなら良かった♪」
スンチャン「果たして誰が来るんでしょうか。ご本人が普段親友だと思っている方とか、今日ぜひ来てほしい!と思うお友だちを聞かせてください」
シンディ「うーん、そうですねぇ、これって一人を選ぶのはちょっと…。友だちはたくさんいるんだけど、一人選んだら残りの友だちが寂しがるかと思って」

そのとき、玄関のチャイムが鳴った。

スンチャン「はい、シンディさんの親友がついにいらっしゃいました」
シンディ「!」
スンチャン「さぁ、はたして誰がシンディさんの親友として招待されたんでしょうか」

「ふふふ、そうですね、私も気になるわ」シンディは不安を隠し、カメラに向かって微笑んだ。

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「誰かな?誰が来たんだろ?」シンディはそう言いながら、足を引きずり玄関へ向かった。
カメラも玄関の後方から彼女の姿を捉える。

笑顔でドアを開けると…?「!!!」
そこに立っていたのは、女優コ・アラ(Ara)だ。
「あんたが何で来たの?」思わずそう口走り、シンディはハッとして表情を取り繕う。「…私が行こうと思ってたのにぃ~!」

シンディ「ちょっと、あんたが来てくれるとは思わなかったよ~」
アラ「私も会いたかったよ、シンディ」

二人はキャピキャピと手を振り、不器用に抱き合った。

スンチャン「…。」
カメラマン「…。」

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1973

二人は仲良く手を繋いでソファに並んでいた。

シンディ「視聴者の皆さん、私の親友、ベストフレンドのコ・アラさんです♪」
アラ「もぅ~、”ソウルメイト”が抜けてるじゃない!」
シンディ「うんうん、ソウルメイト!」

顔を見合わせると、彼女たちは派手に笑った。

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二人は昔からいわゆる犬猿の仲だ。
ある日、二人は階段の踊場で髪を激しくつかみ合った。

アラ「離しなさいよ」
シンディあんたが先に離しな」
アラ「あんたが離したらね」
シンディ「同時に離そう」
アラ「OK. 3数えたら離す、1」
シンディ「2」
アラ「3!」

二人はさらに強く相手の髪を掴む。
確かに…ある意味、親友と言っても間違いはない。

1974

シンディ「ほらね!離さないと思った、嘘つき女」
アラ「よく言うわ!この嘘つき!」
シンディ「やろうっての?」
アラ「3つ数えるわよ。もう一回」

#アラちゃん、こういうの似合いすぎ(笑

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「こんなことがあるなんてね」「だよね」二人は小さく溜息をつく。

アラ「私たち同い年だから、周りからはライベルに見えるんです」
シンディ「ライバルだなんてとんでもない。なぜかって、例えばアラに新しいCMが入るでしょ。そしたら自分のことみたいに嬉しいんですから」
アラ「私も!」
シンディ「だけど、アラが私のを取っていっちゃうこともあるんですよ。そんなときさえも私、良かったなぁって、そんな気持ちで」

「ちょっと停めて、カメラのセッティングします」カメラマンが撮影を停めた。

「は~い」返事をしておいて、アラは男まさりに足を組む。

シンディ「何よ。こんなの断ればいいのに。親友だなんてうすら寒い」
アラ「あんたが合わせてくれなきゃ。私お客さんなのよ。それにね、私だって気が向かなかったんだから」
シンディ「じゃあ何で来たのよ?いきなり」
アラ「あんたんとこの代表からうちの代表に話が来て、こうなったのよ。あんた友だちがいないから、私に行ってくれって」
シンディ「…。あんたが来なけりゃ済むことでしょ!」
アラ「あんたと私が髪の毛掴んで3時間いがみ合ったって、あのうんざりする噂のせいで…」
シンディ「事実でしょ、噂じゃなくて」
アラ「とにかく!とにかく… そのせいでシャンプーのCMが来ないんじゃないかと思ってさ」

「あ!」シンディが顔を輝かせる。「聞いてなかったのね。私には来たわ、シャンプー」

アラ「…。」
シンディ「…。」
アラ「とにかくさ、まぁとにかく、この機会にあんたと私が親友だって実証しておけば、お互いイメージも良くなるし、広告主も嬉しいし、事務所も嬉しい。それでよ、それで来たの。だからちゃんとやろうよ、ね?」
シンディ「あんたこそ」

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「ピョン代表のセンスも落ちたもんだわ」シンディはイライラとメイクを直しながら鏡を睨んだ。

シンディ「あの子とツーショットで出なきゃいけないのに、あんな顔の小さい子を呼んでどうすんのよ!何日か汁物食べて、顔がパンパンに浮腫んじゃってるんだから」

髪の毛で頬を隠してみて、やっぱりそれを払いのける。「しっくり来ないわ」

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アラはラブリーなエプロン姿でキッチンに立っていた。

アラ「(カメラに)私の友だちシンディ、最近ちょっと大変だったじゃないですか」

そう言ってフライパンに油をとろ~り。

アラ「だから、私が料理を作ってあげようと思ってます。私の友だちシンディは、キムチチャーハンが好きなんですよぉ~♪」

シンディが笑顔をひきつらせた。「辛いの食べられないよ」

アラ「私に任せといて♪」

「さぁ、では皆さん!キムチを」そう言って、アラはキムチを鷲掴みにし、まな板にドンと置く。「超美味しそう~」

アラ「皆さん、シンディが食べるキムチですよぉ」

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テーブルの上に、キムチチャーハンらしき皿が乗った。
アラがスプーンに一匙すくい、シンディに向ける。「ソウルメイトへGo~♪」

シンディ「(自分のスプーンを取り)自分で食べるよ」
アラ「食べないの?」

「じゃ、PDさんに食べてもらおうかなぁ」アラの視線がスンチャンに向かう。
「あーん」アラがスプーンをスンチャンに向けた途端、シンディがその腕を掴み、パクっと食べた。

アラ「Oh、どう?美味しいでしょ」
シンディ「…うん」

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「さて、御二方」ソファへ移動すると、シンディとアラを前にスンチャンが進行する。

スンチャン(進行)「それぞれの携帯電話に相手への動画メッセージを入れてありますよね」

「はい」見つめ合ったまま、二人が答える。

スンチャン(進行)「それをお互い相手の携帯に送ってください」
シンディ「え?」
アラ「え?」
シンディ「今?」
スンチャン(進行)「はい、今」

「ちょっと待って」二人が声を揃えた。

「さっさと入れて」シンディが自分の携帯をアラに渡す。
アラがシンディの携帯に何やら打ち始めた。

スンチャン「番号登録されてないんですか?」
アラ「今やってるでしょ」
シンディ「…。」

”もう1回” スンチャンがカメラマンに手で合図した。

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玄関へ向かいながら、またアラがテンションを上げる。「超寂しい~!」

アラ「(カメラにアピール)仕事さえなかったら泊まっていくのに」
シンディ「そうだね。また来て」
アラ「うん」

二人は抱き合った。

スンチャン「はい、そこまで」

スンチャンの声で、二人はさっと離れる。

アラ「じゃ行くわ」
シンディ「うん」

アラが出て行くと、スンチャンがカメラマンに声を掛ける。

スンチャン「先に下りていてください。僕、シンディさんと話があって」

「!」シンディがハッと顔を上げる。
カメラマンが機材を片付けるのを、シンディは緊張して待った。

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誰もいなくなったシンディの家で、スンチャンは彼女と二人、リビングにいた。

シンディ「お話って何ですか?おっしゃって」
スンチャン「はい。今日の… コ・アラさんなんですけど」
シンディ「?…えぇ」
スンチャン「親友じゃ… ないみたいで。電話番号もご存じなかったし」
シンディ「…。」
スンチャン「どう考えても事務所から依頼したんじゃないかって…」
シンディ「それで?」
スンチャン「僕が決めることじゃないですけど、今日のコンセプトとはちょっと合ってなかったようです。100%真実だけを放送するのは難しいといっても、嘘を放送することはできないんじゃないかと」

「またそれですか?」シンディが呆れたように息をつく。

シンディ「嘘ってわけじゃないでしょう?友だちなのは本当なんだから。親しさの度合いがちょっと足りないだけ。友だちだからって皆が皆仲良し?違うでしょ?」

「えぇ」スンチャンが考えながら頷く。

スンチャン「シンディさんは演技がお上手だから、知らない人が見たら本当に仲がいいんだと思うくらいで…」
シンディ「何が言いたいんです?」

スンチャンがシンディに向き直った。「率直にお話しします」

スンチャン「僕、シンディさんはいい人だと思いますけど、シンディさん自身はそう思っていないみたいです」
シンディ「!」
スンチャン「それで、いつの間にか真実まで演技するようになってしまったんじゃないかと… 」
シンディ「…。」

1975

しばらく考えると、シンディは静かに口を開いた。「今…」

シンディ「あの日、私が質問したことに答えてるんですか?」

「…。」スンチャンはそれには答えず、視線を外す。

シンディ「前にラ・ジュンモPDが言ってました。リアルバラエティなんだから、私のありのままを見せてくれればいいって。だけど…!」
スンチャン「…。」
シンディ「私のありのままって…何ですか?よくわからないんです」

シンディは立ち上がった。

シンディ「PDさんの言うとおり、私は自分がいい人間だなんて思ってないし、愛してもいないし、自分がよくわからないのに… 誰も私のことそんなふうに思ってくれるわけないわ」
スンチャン「…。」
シンディ「誰も好きになってくれるわけない。誰もわかってくれるわけないわ」

「PDさんの答え、受け入れます」シンディは背を向けた。「お気をつけて」

シンディがいなくなっても、スンチャンはすぐにはそこを立てず、悶々と考え込んだ。「…。」

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「局長が私に運動会を任せるって?」イェジンがホンスンに聞き返した。

ホンスン「あぁ、我が芸能局の運動会をな」
イェジン「それってそんないいもの?ただでさえ忙しくてたまらないのに」
ホンスン「雑務だと思うだろ?違うんだ、これはテストだぞ」
イェジン「(笑)何のテストよ?ステファノ」
ホンスン「運動会ってのはな、芸能局長の人気度を図る試験みたいなものだ」
イェジン「規模が大事だってこと?」
ホンスン「その通り!去年のチェ局長のときは50人集まった。今年は目標80人だ」
イェジン「そんなに集まる?」

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さぁ、運動会当日だ。

会場のスタジアムにやって来た局長を、ホンスンが甲斐甲斐しく案内する。

中央のテントには賞品の品がズラリとならび、抽選箱や得点表が用意されている。

テホCP(インタビュー)「学生時代から運動会は大嫌いだったんですよ。走るのも嫌いだし、そもそも動くこと自体面倒くさいほうだから。それなのに、何を楽しみに運動会に来るか?食べ物だよ」

「これが楽しみでね」テホCPはさっそく皿をご馳走で一杯にした。「出張ビュッフェを皆で食べる楽しみだ」

テホCP(インタビュー)「いつも猪肉があるんですよ。ビールとね♪」

彼はそれはそれは楽しそうに、そばの女性スタッフに料理を取り分けてやる。

#そばでタッパにルンルンで料理を詰めてる女性が実にイイ感じです(笑

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ホンスン(インタビュー)「会社の人たちが運動会の重要性を知らないのは大問題ですよ。それじゃダメだ。ここは集結の場なんだ。バラバラに動いてる個人個人を集める儀式みたいなものなんです」

彼は張り切って応援グッズを配る。「♪局長なしでは生きられぬ♪局長なしでは生きられぬ♪」

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「みんな何考えてるのかしら」イェジンが言う。

イェジン(インタビュー)「こんなに疲れてるのに、わぁっと群れで集まって、バスケだのサッカーだの。毎年やってることだけど、嫌ですね。特別面白くもないのに、声援してくれって」

「わぁ、カッコイイ!上手い!」イェジンが手を叩く。「こんなふうにやってくれってね」

イェジン(インタビュー)「やらなきゃ拗ねるんですから。写真撮ってくれっていうし。自分たちのカッコイイところを一枚ずつ撮ってくれって」

女性陣が並ぶ目の前で、男性陣がバスケットボールの試合を行っていた。
スンチャンがボールを取ると、イェジンが声を上げた。「カッコイイ!ペク・スンチャン!!!」
その直後、スンチャンが見事にゴールを決める。「やった!」ヒョングンとイリョンが彼に駆け寄った。

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スンチャン(インタビュー)「正直、入社して初めて、会社っていいところだなぁって。先輩たちと一緒に、皆が共通の目標に向かう喜びを感じました!」

「それに」運動の後の興奮に、喜びが入り混じる。

スンチャン(インタビュー)「応援してくれるのも感動的だし!1年に1回っていうのが残念なくらいで。季節ごとにあったら嬉しいです!ホントに」

1976

#ははははは

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コートではfeat.タジョンのセクシードッジボールが始まっていた。
惚れ惚れするフォームで豪球を繰り出すタジョンに、男性陣の大歓声が飛ぶ。

1977

#ぎゃはははは

次々と相手チームにボールを当てるタジョンに、男性陣はヒートアップするばかりだ。
スンチャンが困って、隣のヒョングンたちに突っ込んだ。「あっちは僕らのチームじゃないですよ」

スンチャンたちの味方、白ゼッケンのチームは、あっという間にイェジン一人を残すのみとなってしまった。
スンチャンは思い切って大声で叫ぶ。「イェジン先輩頑張れ!!!!!」

後ろ向きなイェジンは、勢いにのるタジョンを前にひとたまりもない。
タジョンの放ったボールに、一発アウトになってしまった。

スンチャン「…。」

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次はリレーだ。

一位でバトンを受け継いだホンスンを猛追するのは… 事務局の女帝ヤンミだ。
彼女はホンスンを鮮やかに抜き去り、ゴールテープを切った。

1978

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実況席には解説者ヤンミが陣取った。

実況「さぁ、芸能局運動会のハイライト!サッカー競技を前に、両チームの挨拶です」

両チームがズラリと並び、フェアプレーの握手をかわす。

実況「くじ引きでわかれた芸能局のチーム対抗、どうご覧になりますか?」
ヤンミ「青チームが勝ちますわ」
実況「いや、どうしてそんな確信をお持ちなんですか?」
ヤンミ「局長は青チームですから」
実況「あぁ、これは社内サッカー大会ですし、会社に戻ればまた顔を合わせなければいけませんからねぇ。組織生活の延長であり、勝負はそう重要ではない…」

実況者が興奮して立ち上がる。「…と申し上げてるうちに、一人誰かがドリブルでどんどん抜いています!誰でしょうか」
ヤンミ「局長です」
実況「ディフェンスが両側にさっとわかれてますね!」
ヤンミ「見え見えですよ」
実況「ですが、局長に立ちふさがっている選手が…!」
ヤンミ「ペク・スンチャン選手です。新人ですよ」
実況「まさかボールを奪うつもりじゃないですよね?」

前から走ってきたスンチャンがボールを奪い、局長がすってんころりんと引っくり返る。

ヤンミ「奪いましたわ」
実況「なんてことだ」

「わぉ!」ヤンミが身を乗り出した。「クレイジーだわ」

一人でゴールまで突っ切るスンチャンをよそに、全員が倒れた局長を大慌てで取り囲む。

実況「不運は重なるものです。局長が転んでしまいました。PDたちが皆駆け寄っていますが、とにかく局長が起き上がり、大丈夫だと観客席に手を振っています。観客席は全く関心のない状況ですが」

実況者の視線がようやくスンチャンに移る。

実況「と申し上げているうちに、ペク・スンチャンPDに誰かが駆け寄っています!あれは誰ですか?」

猛烈な勢いでスンチャンを追い上げるのは、ホンスンだ。

ヤンミ「(見向きもせず)見るほどのこともありませんわ。キム・ホンスンPDですよ」
実況「ペク・スンチャン選手を追い上げるキム・ホンスンPD!」

ホンスンが後ろから体ごとスンチャンをぶっ飛ばし、ボールを奪って走り去った。

スンチャン「!!!」

倒されたスンチャンが狐につままれたようにゼッケンの色を見比べた。

実況「これはラグビーですかね?同じチーム同士で、どうなってるんでしょうか」
ヤンミ「闘犬ですわ」

ヤンミが小さく拳を握った。「ファイト」

実況「そしてボールは白チームのキム・ホンスンPDへ渡りましたが、あぁまた!局長へ優しく渡してやるキム・ホンスンPD!」

ホンスンが敵チームである局長にそっとボールを蹴りだす。

実況「あれは明らかにパスでしょう!奪われたんじゃないですよ」
ヤンミ「取り戻してやったんですね」
実況「自チームのボールを後ろからタックルで奪い、局長に捧げるキム・ホンスンPD!なぜあんなことを?生きるのに必死なんでしょうかね」
ヤンミ「過剰な忠誠心は、受ける側も重荷ですわ」
実況「さぁ、局長はついにノーマークのチャンス!あ、ペク・スンチャンPDを味方のキム・ホンスンPDが阻止するという、笑うに笑えない状況が展開されていますが…局長、局長、PKよりももっといい場所から…シュート!」

ゴールで待ち構えるキーパーはテホCPだ。
局長の蹴りだしたへなちょこシュートが、ゴールへ転がっていく。

ヤンミ「ボールがのらりくらりと転がっていくわ」
実況「あぁ、それをどうして誰も阻止できないんでしょうか!ゴールキーパーであるキム・テホPD、局長のボールとは正反対の方向へダイビング!」

皆が歓声を上げる。テホCPまでがガッツポーズだ。

実況「何ということでしょう。ゴールです」
ヤンミ「ゴールキーパーまでセレモニーに加わっていますわね」

青チームである局長に、白チームのテホCPとホンスンが肩を組み、ゴールを喜び合っている。

実況「この状況、どう表現すべきでしょうか」
ヤンミ「地べたで泳ぐ、寝そべって餅を食う」

※땅 짚고 헤엄치기, 누워서 떡 먹기=地べたで泳ぐ、寝そべって餅を食う。非常にたやすいこと、朝飯前の意。

ヤンミ「一人で見るには惜しいし、言うには辛いわ」
実況「ほぅ」

「さて、競技は続きます」気を取り直し、実況者が競技に向き直る。

1979

ヤンミ「このまま適当に時間をやり過ごして終わりそうですね」
実況「おそらくそうでしょう。局長のゴールで和やかに締めくくることになる、今年の運動会」

と、コートの真ん中をドリブルで突っ切るのは、スンチャンだ!

実況「お、何でしょう!新入社員、何をしているんでしょうか!」

退屈そうにしていた観客席が、ハッとコートを見る。
「ペク・スンチャン!ファイト!」イェジンが手を叩いた。

実況「これはこれは!番組に例えれば、エンドロールが流れ始めたのに、また誰かが喋りだした、そんな状況じゃありませんか?」
ヤンミ「水をさす行為ですわ」

スンチャンの放ったシュートは矢のようにゴールへ突き刺さった。
「やったーーーー!」スンチャンは大喜びだ。
反対側のゴールで、テホCPがガックリと跪いた。

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選手全員がゴールの前にズラリと並んだ。

実況「さぁ、誰も望んでいなかった、そして予想もできなかったPK戦です。ところで、なぜ延長戦をやらずに、すぐPK戦なんでしょう?」
ヤンミ「会場の使用料を2時までしか払っていないんです。早く空けなきゃいけないんですよ」
実況「あぁ~」
ヤンミ「追加料金が発生しますから」
実況「さぁ、そう申し上げたところで、今日のPK戦の元凶、ペク・スンチャン選手がキッカーとして出て来ました。ゴールキーパーは一泊二日のメインPD、ラ・ジュンモ選手!この状況、どうご覧になります?これはペク・スンチャン選手、正気ならまさかゴールを決めたりしませんよね?」
ヤンミ「正気でないって、これまでで判明したでしょう?」

おべっか二人組が後ろからスンチャンにささやく。

ホンスン「お前、ゴール決めたらタダじゃ済まんぞ」
テホCP「お前、何そんな一生懸命やってんだ?やめとけ」

実況「どうも表情が変ですね。見るからに真剣勝負を仕掛けるつもりのようですが。それでもゴールキーパーがいますからねぇ」
ヤンミ「キーパーがいるからって、ゴールが決まらないとは限らないわ」
実況「確かにおっしゃるとおりではあります」

実況「あぁ、真剣な表情の我がペク・スンチャン選手、果たしてゴールを決めるんでしょうか。やる気満々の様子ですが」

対峙する二人の只ならぬ空気に、観客席で眺めていたイェジンが思わずサングラスを外す。

緊張が頂点に達する。
スンチャンがボールに向かった。

1980

実況「シュート!!!」

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スンチャンはロッカールームで一人、水を飲んでいた。
そこへ明るく声を掛けたのはイェジンだ。「ペク・スンチャン!」
スンチャンはさっと立ち上がった。

イェジン「あんた、見直したよ!勝負魂があるよね」

イェジンに肩を叩かれ、スンチャンは嬉しそうに下を向く。

「暑いでしょ」そう言って、イェジンはハンカチを出す。「あのとき貸してくれたハンカチ」

イェジンは自らスンチャンの汗を拭ってやる。「ご苦労様だったね」

イェジン「それから、あのときはありがとね」

スンチャンははにかんだようにハンカチを受け取った。

イェジン「一緒に写真一枚撮る?」
スンチャン「はい!」
イェジン「うん、記念写真撮ろうよ」

イェジンがカメラを自分に向けると、スンチャンは控えめにそばへ寄った。

イェジン「ほら、1,2,3!」

1982

#シンディに教わったマナーを、イェジンに活かす男

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「Hi!」男性が一人入ってきた。
知り合いのようで、イェジンが親しげに挨拶をする。

男性「僕は”わが町の芸能・体育”のウォン・スンヒョンPDなんだけど、君、今度のクール、一緒に仕事しないか?」
スンヒョン「…?」
男性「ホドン兄貴とサッカーやろうよ、な?」

よくわからないまま、スンチャンは調子を合わせて微笑む。
ウォンPDが出て行くと、イェジンがからかうように笑った。「あんた、こんなことでスカウトされるなんてね、PDなのに」

イェジン「とにかく、あんたホントに大活躍だったから、今日の返済分はあんたの希望通りにしてあげる」

「ご飯?お酒?映画?」イェジンがそう言って指を折る。
「…。」スンチャンは一生懸命考えを巡らせた。「…映画にします!」

イェジン「そう?じゃあ私、家で着替えてから映画館に行くね」
スンチャン「僕も会社に戻って、すぐ準備して向かいます」

「わかった」イェジンはニッコリ微笑んで背を向けると、スンチャンは密かに渾身のガッツポーズを決めた、

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ロッカールームを出ると、イェジンはカメラの画面を覗く。
撮ったばかりのスンチャンとの写真を見つめ、彼女は嬉しそうに笑った。

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食事タイム。
いつもお一人様のヤンミの前に、今日はホンスンが小さくなって座っていた。

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シンディはベッドの上で、コ・アラから届いた映像メッセージを見つめる。

1983

アラ(映像)「あんたと私、13歳、14歳?何もわからないうちにデビューして、たくさんの人に見られるのが当然だと思いながら大きくなったでしょ?ときどき、あんたのことが憎らしくてさ、家に帰るといつも思い出してたんだよね。自分とすごく似てるって。だから、余計に嫌で。…とにかく、今日招待してくれてホントにありがとう。私、友だちの家に行くのは今日が初めてだったの」

「ふふっ」画面の中で笑うアラに、シンディの目から涙がこぼれる。

アラ(映像)「また会おうよ、友。バイバイ!」

「…。」シンディはアラの連絡先を選択すると、”友だち”に分類し、穏やかに微笑んだ。

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【08 ラブラインの理解
始まりはわかるが、終わりはわからない】

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映画館の前で、イェジンは携帯のボタンを押した。
「?」何も反応がない。

イェジン「あれ?バッテリー切れちゃったのかな」

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シンディはどこかで誰かを待っていた。
そこへ急に雨が降りだし、彼女は咄嗟に樹の下へ逃げ込む。

携帯を開くと、彼女は少し躊躇った末、”傘”へ電話を掛けた。

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「はい、もしもし」ウキウキしながら車を走らせていたスンチャンは、掛かってきた電話を取る。

シンディ(電話)「シンディです。言いたいことがあって… PDさんの家の前に来てるんです」
スンチャン(電話)「あ、シンディさん、僕、約束があって」
シンディ「待ってます」
スンチャン「…。」

シンディはそのまま電話を切った。

1985

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スンチャンは路肩に車を停めると、イェジンに電話を掛ける。
「電源が切れています」定型メッセージが答えた。

スンチャン「…。」

1986

フロントガラスに打ちつける雨はどんどん強くなっていた。

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【エピローグ】

「シュート!」スンチャンの放ったボールが、ゴールポストの端めがけて飛んで行く。
必死でダイビングしたジュンモは、ギリギリのところでそれを… 見事弾き飛ばした。
ジュンモが執念を見せつけたのだ。

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ここでエンディングです。

長年韓ドラを見ていると、「あ、このデートはアクシデントが起きて会えないとか、会えても悲劇が起きるとか、そういうやつね」って、すぐピンと来ますね。
手放しにHappyなシーンには浮かれちゃいけません(笑

 - プロデューサー