韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

トライアングル24話あらすじ&日本語訳vol.1

   

ジェジュン(JYJ)、イ・ボムス、イム・シワン(ZE:A )主演、「トライアングル」24話、セリフの日本語訳を交えつつ、あらすじを追っていきます。

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「ヨンダルさん!逃げて!!!」

「?」駆けつけたジョンヒの叫びに、ヨンダルは初めて背後に迫る車に気づく。
「!!!」彼はギリギリのところで車を避け、壁際へ転がり込んだ。

車はそのまま速度を緩めず、遠ざかっていく。

ジョンヒ「ヨンダルさん!ヨンダルさん、大丈夫?」
ヨンダル「どうなってるんですか?」
ジョンヒ「ここで会おうって、ヨンダルさんがメール送ったんじゃないんですか?」
ヨンダル「いや、ジョンヒさんから送ったんじゃないんですか?」
ジョンヒ「!誰かがヨンダルさんを殺そうとしたんだわ」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「私とヨンダルさんにメールを送って、ここに呼び出したんですよ」

ヨンダルは黙って考えを巡らせる。

ジョンヒ「私、車のナンバー憶えてます」
ヨンダル「誰かの仕業なら、ナンバーは偽物でしょう」
ジョンヒ「…。」

二人の様子を物陰からそっと見つめる人物が一人。
ヤンハだ。

ヤンハ「…。」

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「…。」ピルサンは本部長室で気をもんでいた。

「お前の仕業だ!」「アン・チャンボン先生をあんな目に遭わせたのは、お前だ!!!」そう食って掛かったヨンダルの目が、頭から離れなかった。

ピルサン「…。」

そこへ、デスクの上の電話が鳴る。

ピルサン(電話)「どうなりました?」
スチャン(電話)「失敗です」
ピルサン「…。私が指示するまで、下手に動かないように」
スチャン「分かりました」

電話を切ると、ピルサンは思わず拳でデスクを叩いた。
彼は素早く考えを巡らせ、すぐさま誰かに電話を掛けた。

ピルサン(電話)「ミョンチョルは今どこだ?」
電話の相手「昨日から連絡が取れません」
ピルサン「何だって?…。あの老人をやった件、どうも俺との関連性が漏れたようだ。ミョンチョルの口を塞いでほしい。至急処理してくれ」

ピルサンは確実に追い詰められていた。

#なりすましメールを送れるくらい知恵のある人が、カジノの通用口でサクッとひき逃げしようなんて、まずその作戦がしょぼすぎる。それにアン・チャンボン氏と関連の深いヨンダルが同じようにひき逃げされたらと分かったら、その場で犯人と動機は絞り込まれるよねぇ。

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ヨンダルとジョンヒは、2階フロアへと戻ってきた。

ジョンヒ「ヨンダルさん、誰か心当たりの人がいるんですか?」
ヨンダル「いるのは確かだけど、今俺を狙ってるのは一人や二人じゃないから、断定できないんです」

「実は、少し前に…」ジョンヒが慎重に切り出す。

ジョンヒ「ヨンダルさんが危険だから早く行けって、ユン・ヤンハさんに言われたんです」
ヨンダル「!… 確かですか?」
ジョンヒ「えぇ」
ヨンダル「…。」

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「どうした?」ジャンスとジェリーが駆けつける。

ジャンス「何事だよ?」
ヨンダル「…。」
ジョンヒ「誰かがヨンダルさんを殺そうとしたの」
ジェリー「何だって?!どこのヤツだ?」
ヨンダル「分からない。ジョンヒさんと俺を呼び出して、車で轢こうとしたんだ」
ジャンス「あいつらどこまでやるつもりなんだ?!おい、このままじゃ本当に大変なことになるぞ。通報するなり、お前の兄さんに話すなり、何か対策しなきゃ」
ヨンダル「兄さんに無駄な心配させることはない。どうせ長引く戦いじゃないんだ。ユン・テジュンだろうがコ・ボクテだろうが、俺が自分で解決するしかない」
一同「…。」

重苦しい空気が広がる中、ヨンダルは決意を新たにした。

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「…。」ヤンハは執務室で思いに耽っていた。

そこへ入ってきたのはヨンダルだ。
振り返ったヤンハは、何も言わず、まっすぐ兄を見つめる。
「俺に言うことがあるんじゃないか?」ヨンダルは静かにそう言った。

ヤンハ「…。」
ヨンダル「あるなら今言うんだ。心の内を吐き出すのも、タイミングを逃すと難しくなる」
ヤンハ「…。」
ヨンダル「お前がそこまで必死で守ろうとするものに、それだけの価値があるんだか…。大してないと俺は思うけど。お前が死に物狂いで執着してるってことは、何かあるには違いないんだろう」
ヤンハ「…。」
ヨンダル「どうかお前自身にとって意味のあるものであってくれ… そう願うよ。そうじゃなきゃ… お前の人生虚しすぎる」
ヤンハ「…。」

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何も言えず、ただ黙って見つめるヤンハに、ヨンダルは背を向け、静かに部屋を出て行く。

ヤンハ「…。」

一人残されたヤンハの目が、涙で赤くなった。

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ジョンヒの自宅の近くまで彼女を送ってくると、ヨンダルはそこで足を止めた。

ヨンダル「すごくビックリしたでしょう。早く入って」
ジョンヒ「少し寄って行ってください。ヨンダルさんがドンチョルだって知って、お祖母ちゃんがすごく会いたがってるんです」
ヨンダル「…。」

「ヨンダルさんが憶えてない昔の話も、お祖母ちゃんから聞けるでしょう?」ジョンヒが彼を覗きこむ。
「早く行きましょう」まだ躊躇しているヨンダルの手を、彼女が引いた。

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居間でピョンスの宿題を見ていたジョンヒの祖母は、帰って来たジョンヒの後ろにいるヨンダルの姿に目を輝かせた。
「いらっしゃい、ほら、座って!」空いた場所を指し、嬉しそうに笑って彼を見上げる。

祖母「いやぁ、チャン・ドンチョル!よく来たねぇ」
ピョンス「お祖母ちゃん、急にどうしたの?」
祖母「うん。このヨンダル君はね、あんたが生まれるずっと前から、うちの隣に住んでた子だったんだ。本当の名前はチャン・ドンチョルだよ」

「わぁ!」歓声を上げるピョンスに、ヨンダルは表情を和らげた。

祖母「夕飯は食べたのかい?」
ヨンダル「はい」
祖母「ふぅん。ねぇ、こうやって顔を見てると、昔の面影を感じるねぇ」
ヨンダル「…。」
祖母「だけど、どうして昔の記憶を全部失くしてたんだい?」
ヨンダル「…。」

「孤児院を出て、あまりに辛かったからみたい」黙っているヨンダルの隣で、ジョンヒが助け舟を出した。

祖母「だけど、遅くなってからでも兄弟に会えて本当に良かったねぇ。お兄さんと弟は元気にしてるのかい?」
ヨンダル「はい」
祖母「私も一度会いたいよ。下の子は赤ん坊だったから何も憶えてないだろうけど、お兄さんは私と話が弾むはずだよ」
ヨンダル「近いうちに兄と一緒にお邪魔します」
祖母「あぁ、そうだね」

「それと…」祖母は少し顔を曇らせる。

祖母「こんな話をしていいものかわからないけど… その気になればあんたのお母さんも探せると思うよ」
ヨンダル「…。」
祖母「育ち盛りの子を捨てて逃げちまったんだ。恨みもあるだろうよ。だけど、私はね、あんたのお母さんの気持ち、少しは分かるんだ」
ヨンダル「…。」
祖母「あんたのお父さんが労組をやっていてね、生活がとっても苦しかったんだ。そこへ、下の子を産んで余計に大変になったんだよ。… 近頃じゃ何て言うんだい?産後鬱?そのせいであんたのお母さん、死のうとまでしたんだ」
ヨンダル「…。」

「もしお母さんが見つかっても、あまり恨むんじゃないよ?」そう言って、ジョンヒの祖母は俯いたヨンダルの顔を覗き込む。
「はい、そうします」ヨンダルは穏やかに頷いた。

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マンボンがミン社長の事務所へ入ってきた。

マンボン「姐さん、ヨンダルが死ぬところだったそうです」
ミン社長「何故?!」
マンボン「誰かが車で轢こうとしたのを、ギリギリ避けて助かったと」
ミン社長「誰かなんて決まってるわ。 コ・ボクテの野郎よ!」
マンボン「自分も姐さんと同じ考えです」
ミン社長「もう我慢出来ないわ」
マンボン「どうなさるおつもりですか?」
ミン社長「コ・ボクテのヤツ、私の前に連れて来なさい」
マンボン「えぇ?!」
ミン社長「ヒョンタクを使えば、大きな騒ぎを起こさなくてもコ・ボクテを連れて来られるわ」
マンボン「…。どういうことか分かりました」
ミン社長「…。」

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「どうです?ペ主任」社内を移動しながら、ピルサンが声を掛ける。

ピルサン「私の話、考えてみましたか?」

「…はい」ペ主任のハッキリしない返事に、ピルサンは立ち止まった。

ピルサン「私の話に肯けるなら、今後ユン・ヤンハの動きを観察して、何かあれば私に報告してください」

「はい」ペ主任が頷く。

再びピルサンが歩き出すと、そこへ不意に現れたタク刑事が立ちふさがった。
ミン刑事、イ刑事も後ろに控えている。

タク刑事「ヒョン・ピルサン氏ですね?」
ピルサン「えぇ。どちら様です?」

タク刑事は懐から出した警察証を示す。

タク刑事「アン・チャンボン氏の殺人教唆容疑で緊急逮捕します」
ピルサン「!何言ってんだ?」

「弁護士を選任できますし、不利な陳述は拒否する権利があります」タク刑事は淡々と決まり文句を述べた。

ピルサン「一体何を根拠にそんなデタラメ言ってんだよ!」
タク刑事「イム・ミョンチョルを知ってるでしょう」
ピルサン「!」
タク刑事「全て自白しましたよ」

「連行しろ」タク刑事の指示で、ミン刑事とイ刑事がピルサンを囲み、手錠を掛けた。
後ろのペ主任とファランを振り返ることも許されず、ピルサンは連行されていく。

ペ主任「どういうことだ?」
ファラン「私だって知りませんよ」
ペ主任「!」

たった今ピルサンの配下へ移ったばかりだというのに…。
ペ主任の放浪はまだ続きそうだ。

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「会長、大変なことになりました」会長室へ入ってきたキム専務が、ユン会長に告げた。

ユン会長「どうした?」
キム専務「ヒョン室長がアン・チャンボン氏殺人教唆の容疑で拘束されたそうです」
ユン会長「何だって?」
キム専務「ヒョン室長が口を割れば、間違いなく会長に余波が及びます」
ユン会長「…。」
キム専務「どう収拾して良いやら、私にはわかりません」
ユン会長「落ち着いて、さっさとキム弁護士に連絡しろ」
キム専務「はい」

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「代表!」階段を駆け上がってきたペ主任が、そこへ通り掛かったヤンハを呼び止める。

ペ主任「ヒョン・ピルサン本部長が警察に連行されました」
ヤンハ「何故です?」
ペ主任「アン・チャンボン氏への殺人教唆だそうです」
ヤンハ「!」

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ドンスは急遽カジノを訪れ、屋上でヨンダルと会っていた。

ドンス「ヒョン・ピルサンが単独で決めたことじゃない。間違いなくユン・テジュンの指示だ」
ヨンダル「ヒョン・ピルサンが自白するかな?」
ドンス「するように仕向けないと」
ヨンダル「…。」
ドンス「捜査結果が出るまで、とりあえずお前も様子を見てろ。一人で先走るんじゃないぞ」
ヨンダル「分かった。心配しないで」

ドンスは頷く。

ドンス「それから俺… シネと一緒にアメリカへ渡って、勉強して来ることにした」
ヨンダル「!」
ドンス「俺もそろそろ新しい人生の計画を立てなきゃな」
ヨンダル「…。よく決心したな、兄さん。俺に出来ることは何でもやるよ」
ドンス「…あぁ。心置きなく行くためには、ドンウのことを早く解決しなきゃならない」
ヨンダル「…。」

言葉の出ない弟を、ドンスは静かに見つめた。

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人気のない駐車場に、ブレーキの音が響き渡る。
コ・ボクテが車を降りると、辺りをさっと見渡し、歩き出した。

彼を待っていたのは、ヒョンタクだ。

コ・ボクテ「どうした?」

「申し訳ありません、会長」微笑むヒョンタクに、コ・ボクテが笑い声を上げる。

コ・ボクテ「何言ってるんだ?」

そこへ一台の車が滑り込んで来た。

コ・ボクテ「!」

車から大柄の男たちがゾロゾロと降りてくる。
「こいつめ!!!」振り返ったコ・ボクテの腹に、ヒョンタクが思い切り拳を見舞った。
倒れこんだコ・ボクテを、やって来た男たちが取り押さえ、車の中へ押し込む。
男たちは素早く車に乗り込むと、あっという間に走り去った。

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「…。」ユン会長は一人、会長室で考えを巡らせていた。
そこへ入ってきたのはヤンハだ。

ヤンハ「ピルサン兄さんの話、お聞きになりましたか?」
ユン会長「…聞いた」
ヤンハ「ピルサン兄さんが仕事を任せた人が捕まって、すでに自白しているそうです。逃れる方法はありません」
ユン会長「…。」
ヤンハ「父さんも危険です」
ユン会長「そんなことで大げさに騒ぐことはない」
ヤンハ「そんなこと?」
ユン会長「…。」
ヤンハ「今回のことは僕が身代わりになることも出来ません。父さんが拘束されるかもしれないんです!」
ユン会長「決してそんなことにはならん。ピルサンが収拾をつけるはずだ」
ヤンハ「どうして確信出来るんです?」
ユン会長「ピルサンは絶対にテジョングループや私を手放せはしない。手放せば、その瞬間自分の人生も終わりだと、よく分かっているはずだからな」
ヤンハ「!」
ユン会長「これまで私が経験した危機を思えば、こんなものは危機とも言えん。無事収拾がつくはずだから、お前が心配することはない」
ヤンハ「…。」
ユン会長「今私が困っているのは、チャン・ドンスとホ・ヨンダル、あの二人を処理する人間がいないことだ。全ての発端となったあいつらを一刻も早く処理できなければ、今まで私が興してきた事業は一瞬にして潰れることになる」
ヤンハ「僕は今でも父さんが危機を乗り越える方法に同意できないし、理解も出来ません。どうしてもそこまでする必要があるんですか?」

「お前に同意も理解も出来るわけがなかろう!」ユン会長が声を荒げる。

ユン会長「殺そうと飛びかかってくるヤツらを相手に、ただ手をこまねいてやられろと言うのか?」
ヤンハ「…。」
ユン会長「そんな弱音を吐くなら、私の前に現れるな」

そう言い捨て、ユン会長は冷たく視線を逸らした。

ヤンハ「…。」

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ピルサンは取調室にいた。

タク刑事がドアを開けると、一人の男を連れて入ってくる。
男は、黙って腕組みをしているピルサンの向かい側に座った。

タク刑事は二人の間に立つと、交互に表情を見比べる。

タク刑事「お二人は親しいんじゃないんですか?」

モニター室ではイ刑事とミン刑事がじっと様子を見守っていた。

イ刑事「今ヒョン・ピルサンの表情、見たか?」
ミン刑事「えぇ。表に出さないようにしようとしてるけど、かなり動揺してましたね」

タク刑事が手に持ったファイルをピルサンに向ける。

タク刑事「イ・ミョンチョルさんが供述した内容です。ヒョン・ピルサンさんからいつ、どこで今回の件について指示を受けたのか、どんな条件で今回のことを引き受けたのか、全て供述しています」
ピルサン「…。」

「ご自身で確認を」タク刑事は供述書をピルサンの前に放って寄越した。

ピルサン「見るまでもありません。私はどんな指示もしたことはありませんから」

「!」気まずそうに俯いていたミョンチョルが驚いて顔をあげる。

ピルサン「(ミョンチョルに)お前、どうした?嘘をでっち上げるとは、俺に何の恨みがある?」
ミョンチョル「兄貴!何をおっしゃるんです?そんな手で逃れられると思ってるんですか?」
ピルサン「黙れ!!!」
ミョンチョル「…。」

ピルサンがタク刑事を見上げる。

ピルサン「私がこいつに殺人教唆をした証拠を言ってみてください。あんたたちの言う証拠ってのは、こいつの供述以外に何があるんだ?!」

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タク刑事がドンスの待っているカフェにやって来た。

ドンス「どうなった?」
タク刑事「ヒョン・ピルサンってヤツ、全く緻密な男ですね。イ・ミョンチョルの証言まで確保して、状況は間違いないのに、それを立証する証拠を一つも残していないんですよ」
ドンス「…。容疑者同士、突き合わせてみたか?」
タク刑事「えぇ。目一つビクリともさせませんよ」
ドンス「…。」
タク刑事「今の状態じゃ令状の請求もすんなり行きそうにないですね。金を持ってるヤツらですから、強力な弁護士をつけてるんです。上からすぐ連絡が来て… 長く引き止めておくのは難しそうです」

「無理しないで、一旦釈放しろ」ドンスの言葉は意外だった。

タク刑事「え?どうするつもりなんです?」
ドンス「ユン・テジュンもコ・ボクテも、もうとことんまで追い詰められてる。そろそろ引き返しようのない事態が起きるだろう。そのとき捕まえても遅くはない」

タク刑事が頭を抱えたところで、ドンスの電話が鳴った。

「チャン・ドンスさんですね?」憶えのない声が聞こえてくる。

声(電話)「僕…パク・ヨンホといいます」
ドンス(電話)「すみません。どなたなのかよく分からないんですが」
ヨンホ「あの… 龍仁の…」

ドンスは小さく溜息をつく。

ドンス「どうしたんです?」
ヨンホ「か、母さんが… 亡くなりました」
ドンス「…。今、何て言ったんです?」
ヨンホ「母さんが亡くなったんです」
ドンス「!」

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ヨンダルはじっと思い悩んでいた。
そこへデスクの電話が鳴る。
訪問客だった。

「ホ理事!」マンボンはニッコリ笑って入ってくると、右手を上げる。

ヨンダル「どうしたんです?」
マンボン「姐さんがホ理事にプレゼントを用意してる」
ヨンダル「どういうことですか?」
マンボン「コ・ボクテを捕まえたんだ。一緒に行って、これまで積もりに積もったもの、返してやれよ」
ヨンダル「俺は結構です。適当にやって帰らせるように言ってください」
マンボン「何でだ?ホ理事」
ヨンダル「コ・ボクテはそんなふうに憂さ晴らしをして終わらせる相手じゃありません。俺の手で、あいつをドン底まで陥れてやりたいんです」

「分かった」マンボンはニヤリと笑った。

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「どうして一人なの?」コ・ボクテを監禁している倉庫へ戻ってきたマンボンに、ミン社長は怪訝な顔を見せた。

マンボン「来ないそうですよ」
ミン社長「どうして?」

「こんなふうに鬱憤を晴らして終わらせるのはいやだって」マンボンが苦笑する。

マンボン「ホ理事自身の手でケリをつけるそうですよ」

ミン社長は小さく溜息をつき、コ・ボクテの前へと進んだ。

ミン社長「ヨンダルがあんたのせいでどれだけ歯ぎしりをしてるか分かる?」
コ・ボクテ「おい、ミン社長。今からでも止めれば、全部許してやるぞ」

言い終わるや否や、ミン社長の平手が思い切りコ・ボクテの頬を打った。

ミン社長「私を許すなんて、何様のつもりよ?!」
コ・ボクテ「…。」
ミン社長「これ以上ぶたれなくなかったら、黙ってな」

「適当にいたぶってやりなさい」ミン社長はマンボンに指示する。

ミン社長「仕上げはヨンダルがやるから、あまりやり過ぎないように」
マンボン「そんなこと心配なさらないでくださいよ~」

「さて、会長、始めましょうか?」ミン社長が倉庫を後にすると、マンボンはコ・ボクテの前にしゃがみこみ、愉しげに見上げた。

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コ・ボクテ「今俺を殺さなければ、お前ら全員俺の手で死ぬことになるぞ」

マンボンが笑う。

コ・ボクテ「勿体ぶってないで、いっそのこと殺せ」
マンボン「ははははは。いやぁ、コ会長の口はまだ健在だな。けどねぇ、会長。問題はその口ですよ、口」

立ち上がると、マンボンはコ・ボクテを殴り飛ばす。
コ・ボクテの呻き声が倉庫に響いた。

+-+-+-+

ドンスは大急ぎで斎場へ駆けつけた。
中へ入ると、質素な祭壇の上には母の写真が飾られ、そばでは喪主のヨンホが酔って眠っていた。

~~~~

「どうしてここが分かったの?」20数年ぶりに会いに来た息子に、母は呟いた。

ドンス「僕を見て話してください」
母「誰なのかも見分けられなかったのに、見てどうするのよ。私は何も言うことはないわ」
ドンス「本当にないんですか?僕の顔を見て言ってください!!!!!」

ドンスを振り返った母は、涙で顔を歪める。

母「恥ずかしくて顔なんて見られないわ!厚かましくあんたに何が言えるっていうのよ!!!」

~~~~

壁にもたれてウツラウツラしていたヨンホは、ふと人の気配に気づいて目を覚ました。
「?」ドンスが立っているのに気づき、彼は慌てて飛び起きる。

「何があった?」ドンスは遺影を見つめたまま、そう言った。

ドンス「どうして急に?」
ヨンホ「それが… 急ってわけじゃなくて… 僕もよく知らなかったんだけど、すい臓癌だったそうです」
ドンス「何で今頃連絡した?何で亡くなる前に連絡しなかった?!!!」
ヨンホ「す、すみません。僕もこんなに早く亡くなるとは…」

ドンスは呆然と遺影に近づいた。

396

ドンス「酷いな…。またそんなふうに行ってしまうんですか…」

ドンスの目から涙がこぼれ落ちる。

ドンス「まだ胸に染みついた恨みも解けていないのに… そんなふうに行ってしまって、どうしろと言うんですか?!」

「答えてください!!!」ドンスは物言わぬ母に、ありったけの声を張り上げた。

ドンス「まだドンウに会ってもいないのに…!ドンチョルに済まなかったと謝ってもいないのに…!あんまりです、母さん!!!」

+-+-+-+

すっかり暗くなっても、まだヨンダルはデスクに向かっていた。
そこへ、電話が鳴る。

ヨンダル(電話)「あぁ、兄さん」

ヨンダルの耳に聞こえてきたのは、深い溜息だ。

ドンス「ドンチョル」
ヨンダル「…。どうしたんだ?何かあったのか?」

なかなか言い出せず、ドンスはこみ上げる悲しみをもう一度溜息で吐き出した。

ドンス「母さんが亡くなった」
ヨンダル「…。」

397

「ドンチョル…」そう言ったっきり、ドンスの言葉は涙に代わる。

ヨンダル「どこだ?兄さん。今、どこにいるんだ?」
ドンス「龍仁の霊安室だ」

「…。そんなのあるかよ」静かに言ったヨンダルの目から、涙が溢れた。

ヨンダル「俺、俺まだ… 自分がドンチョルだって言えずにいたのに。俺が誰なのか気づいてもくれなかったのに… そんなのってあるかよ!!!!!」

398

受話器の向こうから聞こえる弟の叫びに、ドンスはただただ涙を流すことしかできない。
泣いても叫んでも、もう母に会うことも、恨み言を聞かせることも叶わないのだ。

+-+-+-+

休憩スペースにいたジョンヒに、ジュノが声を掛けた。

ジュノ「ホ理事のお母さんが亡くなったんだ」
ジョンヒ「!!!」
ジュノ「今、霊安室に向かったんだけど、君にも知らせておくべきだと思って」

+-+-+-+

助手席にいるジェリーも、ハンドルを握るジャンスも、誰も何も言わなかった。

ジャンスがチラリとバックミラーを見る。
後部座席で、ヨンダルはぼんやりと外を眺めていた。
とめどなく流れる涙を止めるすべもなく…。

+-+-+-+

「今誰も来てなくってさ」霊安室の外で誰かと電話中だったヨンホは、突然やって来た男の顔を見て、目を丸くした。

ヨンホ「?!」

そうだ。いつだったか、いきなりビリヤード場へ乗り込んできて、自分を殴り飛ばした男だ。
訳が分からず、ヨンホは男を見つめた。

+-+-+-+

ヨンダルは呆然と母の遺影に近づいた。
祭壇の前には、そこを守っているドンスが酒を飲んでいる。

ヨンダル「…兄さん」
ドンス「…ドンチョル」

「僕を憶えてますか?」ヨンダルは母の遺影に静かに声を掛ける。

400

ヨンダル「あのときは、どうしてもドンチョルだって言えなかったんです。僕が誰だかも気づいてもくれなかったのに、こんなふうに行ってしまうなんて…。言いたいことがあったのに… 言いたいことがあったのに、誰に言えというんですか!!!」

どんなに責めても、答えが返ってくることはない。
深い悲しみと後悔に、彼らは包まれた。

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。

「いきなり死んだなんて言われても」と、突拍子もない話に最初は正直困ってしまったんですが、ここまで「取り返しのつかない無念」が大きいと、本当に辛いものです…。

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