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トライアングル12話あらすじ&日本語訳vol.1

   

ジェジュン(JYJ)、イ・ボムス、イム・シワン(ZE:A )主演、「トライアングル」12話、セリフの日本語訳を交えつつ、あらすじを追っていきます。

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ヨンダルは意を決してマンボンに話を切り出した。

ヨンダル「俺たちを殴ったからって兄貴の金が戻ってくるわけでもないでしょう。正直、殴られるのも慣れて怖くなくなりました」
マンボン「それで、何が言いたい?」

「俺と賭けをしましょう」ヨンダルの意外な言葉に、マンボンが思わず笑った。

ヨンダル「兄貴は50億を、俺は自分の命を賭けるんです」
マンボン「お前の命に50億の価値があるのか?」
ヨンダル「500だろうが50億だろうが、たった一つには変わりないでしょう。認める認めないは兄貴が決めてください」
マンボン「どうやるつもりだ?」
ヨンダル「ここへ来たのは、不法カジノ営業と詐欺賭博罪です。出所したってどうせそこに戻るしかありません」
マンボン「…。」
ヨンダル「出所したら1年以内に借りを全部返します」

「もし返せなかったら…」ヨンダルの言葉に力が入った。

ヨンダル「そのときは俺の命、兄貴の好きにしてください」

マンボンが豪快に笑い声を上げ、立ち上がった。

マンボン「乗った!」

マンボンはヨンダルの肩をガシっと掴むと、囁くように口を開く。

マンボン「自分の言ったことに責任持たない時は、地獄まで追いかけて殺す。覚えとけ」

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手下たちを引き連れ、マンボンは出て行った。
彼らが出て行くのを待ち、ジャンスが歓声を上げる。

ジャンス「助かったぞ!」
ジェリー「けど、金返せなかったらどうする?」
ジャンス「そしたらそん時考えりゃいいだろ。とにかく俺たち殴られなくていいんだ!」

二人が喜び合うそばで、ヨンダルは悲しい目で立ちすくんでいた。
ただただ…ジョンヒの言葉が頭から離れなかった。

「ホ・ヨンダルさんにはギャンブルに人生を賭けてほしくないんです」

ヨンダル「…。」

自分を案じてくれるジョンヒの願いは聞いてやれそうになかった…。

#それにしても、突然現れたマンボンに「50億は俺のだ」なんて言われてもねぇ。名前も覚えられないフィリピンの誰かよりはマシだけど。出所しちゃった後にマンボンが再登場しても、「今さら」って思っちゃう気がする。このドラマ、ピンと来ないことだらけ。

+-+-+-+

ジョンヒはヤンハの後に続き、近くのベンチに腰を下ろす。

ヤンハ「謝ります。感情表現が苦手で、ジョンヒさんを怒らせていること」
ジョンヒ「感情表現が苦手なんじゃなくて、自己中心的なんです」
ヤンハ「…。」
ジョンヒ「他の人の感情なんて眼中にもない」
ヤンハ「えぇ、僕はそうやって育ったんです。他の人の感情なんか気にする必要もなかった」
ジョンヒ「…。」

「オ・ジョンヒさんにだけはそうしないでいたかったけど、うまくいかなくて」ヤンハはそう言って俯いた。

ジョンヒ「別にいいですよ。私、ユン・ヤンハさんの感情に興味ないから」

139

#キッツイ女やわーーーー

ジョンヒ「一日だけ時間をあげたら何が変わるんです?何をどうするって言うんですか?」
ヤンハ「僕がなぜオ・ジョンヒさんに興味を持ったのか、オ・ジョンヒさんへの感情がどんななのか、話をしたかったんです」

ヤンハは記憶をたぐり寄せるように視線を遠くへ向けた。

ヤンハ「私設カジノで初めてオ・ジョンヒさんに会った日、オ・ジョンヒさんを手に入れたい… 僕はそう思いました」
ジョンヒ「…。」
ヤンハ「オ・ジョンヒさんじゃなくてもいい。あの日、誰がディーラーをしていても同じことを提案したでしょう。女性が必要なときは、そうやっていつでも手に入るから、僕は一度も女性と付き合ったことがないんです」
ジョンヒ「…。」
ヤンハ「だけど、僕を拒んだのはオ・ジョンヒさんが初めてでした」
ジョンヒ「それで?へし折られたプライドに火でもついたんですか?」
ヤンハ「そうですよ」
ジョンヒ「…。」
ヤンハ「それなのに、いつからか本当に気になり始めたんです」

ジョンヒが振り返り、二人の視線がぶつかった。
ヤンハは思わず視線をそらし、立ち上がる。

ヤンハ「僕たちは住む世界が違うって、オ・ジョンヒさんは言いましたよね。だから僕を拒むんだって。初めてそう言われた時は滑稽に思いました。みんな僕が住む世界に入りたくて躍起になるのに、なぜこの人は避けるんだろう?僕の目に映るオ・ジョンヒさんの世界は苦しくて惨めなのに、なぜ僕の前じゃ怒ってばかりで、窮屈な自分の世界で楽しそうにしてるんだろう?」
ジョンヒ「…。」
ヤンハ「そうやって疑問に思っているうちに、オ・ジョンヒさんへの関心が膨らんでいったんです」
ジョンヒ「…。」
ヤンハ「そして、オ・ジョンヒさんに僕の話を聞いて欲しい… そう思いました。今まで一度だって口にしたことのない僕の本心を打ち明けたいと思ったんです。オ・ジョンヒさんなら、何でも聞いてくれそうだったから」(←そうかぁ?
ジョンヒ「…。」

俯いているジョンヒをじっと見つめると、ヤンハは真剣な目で訴える。

ヤンハ「僕の話、聞いてくれますか?」
ジョンヒ「!」

大きな目でしばらく彼を見上げると、彼女は固い表情のまま口を開いた。

ジョンヒ「他人の気分や感情なんて気にもとめない我儘なお金持ちの御曹司が、一体どんな本心を隠しているのか、気にはなりますね」

ヤンハは嬉しそうに微笑んだ。

ヤンハ「これで今日一日僕に時間をくれる理由が出来たから、話はゆっくりしますね」

「何か食べますか?」そう尋ねたところで、ヤンハのポケットの中で携帯が唸った。
取り出した携帯の画面には『父』の文字。
ヤンハは気の進まない表情で応答ボタンを押した。

ヤンハ(電話)「はい」
ユン会長(電話)「どこだ?今すぐ話がある」
ヤンハ「今ワークショップに来てるんです」
ユン会長「チャン・ドンスの件だ。急用だからすぐ戻って来い」

「…。」有無を言わさず電話は切れた。

ヤンハ「困ったな。会長から呼び出しです」

ジョンヒが立ち上がる。

ジョンヒ「それなら行かなきゃ」
ヤンハ「やっと出来たチャンスを逃したくないんです」
ジョンヒ「ユン・ヤンハさんの話を聞くのはまたの機会にします。私はワークショップに行きますから、ユン・ヤンハも早く行ってください」
ヤンハ「…。」

+-+-+-+

ヤンハが到着すると、ユン会長は早速話に入った。

ユン会長「チャン・ドンスが我々に協力すると言ったのは意図があってのことだった。父親がどうして死んだのか全部知っているようだ」
ヤンハ「それで、何と?」
ユン会長「我がグループの裏金、政界人へのロビー活動をネタに私を脅迫した」
ヤンハ「脅してきたんですか?」
ユン会長「あぁ。私自身がチャン・ジョングクの死に関わっている証拠を公開するとな」

ヤンハはフッと笑う。

ヤンハ「意外と単純な人ですね」
ユン会長「?」
ヤンハ「僕が対処しておきますから、ご心配なく」
ユン会長「どうするんだ?」
ヤンハ「コ・ボクテ会長と手を組んだこと、お叱りになったでしょう?僕がコ会長をどう利用するか、見ていてください」
ユン会長「…。」

+-+-+-+

ヤンハはすぐにコ・ボクテの元へ出向いた。

ヤンハ「チャン・ドンス氏が本性を表しました」
コ・ボクテ「父親の死にユン会長と俺が関わっているのを知っていると?」

#って、あんたはドンスがチャン・ジョングクの息子だって、いつから知ってたんでしたっけ?

ヤンハ「えぇ。知っていてテジョングループへ入ってきたんです」
コ・ボクテ「…。」
ヤンハ「今処理してしまわなければ、コ会長と僕の前途に立ち塞がるでしょう」
コ・ボクテ「それは困る。どう処理すべきか…」

「今度こそ始末するか」コ・ボクテが側近に囁いた。

側近「それはいけません。チャン・ドンスと会長の関係は、世間に広く知れ渡っています。会長に不利に働くでしょう」
ヤンハ「僕も同感です」
コ・ボクテ「それならどうすれば…」
側近「(ヤンハに)会長はもう10年チャン・ドンスに悩まされて来ました。その間、我々もチャン・ドンスを陥れるために十分な準備をしてあります」

「でっち上げてでもやらなきゃ」ヤンハはニヤリと笑った。

コ・ボクテ「…。」

※ドンスを倒す準備が出来てるんだったら、ヨンダルにやらせたりしなくても良かったんやん(・д・)ジーッ

+-+-+-+

ヤンハが次の行動を起こす頃には夜になっていた。

彼は人気のない公園にドンスを呼び出す。

ヤンハ「会長にお会いになったそうですね」
ドンス「会いましたよ」
ヤンハ「そんな脅迫が通るとお思いですか?」
ドンス「脅迫?私は正当な要求をしたんです」
ヤンハ「やめたほうがいいですよ」

「チャン理事がダメージを受けることになります」ヤンハが語気を強める。

ドンス「おい、ユン・ヤンハ!」
ヤンハ「…。」
ドンス「これはお前には分からない俺と父の問題だ」

ヤンハは笑う。

ヤンハ「最後の警告ですよ。今やめれば、なかったことにしましょう」
ドンス「…。」
ヤンハ「無茶をしても傷つくだけですよ」
ドンス「!」

ドンスはヤンハの胸ぐらを掴み、食らいつく。

ドンス「お前、何でそこまで高慢なんだ?!」

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ヤンハ「…。」
ドンス「後ろで不意打ちを食らわせたこと、俺が気づいていないとでも思ったか?」
ヤンハ「…。」
ドンス「お前の父親とコ・ボクテは世間の汚い荒波にもまれて善悪の区別がつかないにしても、まだ若いお前はそんな卑劣に生きちゃダメだ!」

「分かるか!」ドンスは叫び声を上げた、

ヤンハ「名誉を守るのに年齢など関係ないでしょう!」
ドンス「何だと?」
ヤンハ「なぜそんなに純情なんです?チャン理事!」

「黙れ!!!」ドンスはヤンハの頬を殴りつけた。
ヤンハは後ろに派手に倒れる。

ドンス「名誉?お前らに守る名誉なんてあるか?」
ヤンハ「…。」
ドンス「金だろ!お前らがどんな手を使ってでも守りたいのは、汚れた金じゃないのか?!」
ヤンハ「金が名誉であり、金がプライドであり、金が全てです!その年にもなってそんなことも知らないから純情だって言ってるんですよ」
ドンス「!」

141

ドンスは地面に座り込んでいるヤンハの胸ぐらを再び掴む。

ドンス「金しか知らないくせに偉ぶる哀れなヤツ、よく聞け!!!お前の父親に伝えろ。俺の要求通り移譲しないなら、テジョングループは終わりだとな」

ドンスはヤンハの服を掴んでいた手を乱暴に離し、その場を立ち去った。

ヤンハ「…。」

+-+-+-+

皆が寝静まった雑居房の小さな机で、ヨンダルはノートにペンを走らせていた。
周囲にはクシャクシャに丸めた紙がいくつも転がっている。

ヨンダル「…。」

今度もほんの一言書くと、ヨンダルはノートをちぎって丸めた。(←二枚ちぎってません?:笑)
そして、また新しい紙に向かう。

ヨンダル((心の声)):
命を賭けたギャンブルが受け入れられて以降、刑務所生活は平和になり、
夢にジョンヒさんが出てくるようになった。
切実に会いたくて、もう一度面会に来てくれないかと願ったけれど、
それはただの欲に過ぎなかった。
毎晩、ジョンヒさんに手紙を書いたけれど、結局出すことは出来なかった。

+-+-+-+

ヨンダルたちは刑務所の広い運動場で仲良く戯れていた。
ジェリーが逆立ちをすると、ジャンスが受け止めずに避ける。
ジェリーが怒り、ジャンスが笑う… いつもの光景だ。

「もう1回」今度こそジャンスが逆立ちを受け止めてやると、ジェリーはそのまま腕立てを始めた。

ジャンス「1,2,3,4!」
ジェリー「!!! 兄貴、ちょっと待った!」

逆立ちから戻ると、ジェリーは慌てて立ち上がり、逆立ちで見ていた方を振り返る。

ジャンス「どうした?」
ジェリー「兄貴!今、誰が見えたと思う?」
ジャンス「誰?」
ヨンダル「!」

ヨンダルも驚いて身を乗り出した。

ジェリー「広域隊の班長だよ!チャン・ドンス!」

#ジェリーとドンスは顔見知りだったっけ?って、またピンと来ずに記憶を手繰り寄せたけど、この間、焼肉屋で喧嘩をふっかけてましたね。

「アホか」ジャンスが笑ってジェリーの額をピシャリと叩く間に、ヨンダルは急いで立ち上がった。

ヨンダル「!」
ジャンス「(笑って)ヨンダル、こいつ肉が食えないからって幻が見えるらしい。マンボン兄貴に言って肉を食おうぜ」

ヨンダルの視線の先に、腕組みをしてじっと立っているドンスの姿が確かに見えていた。

ヨンダル「!!!…班長さん」
ジャンス「お前までどうしたんだよ?」

ヨンダルはドンスの元へ駈け寄った。

ヨンダル「班長さん!」
ドンス「…。」
ヨンダル「どうしたんですか?班長さんがどうしてここに?」

ドンスは小さく息をつく。

+-+-+-+

夜。ヨンダルは眠れずにドンスの話を思い返していた。

~~昼間、ドンスと再会したときのこと~~

ドンス「ユン・ヤンハの仕業だ」
ヨンダル「班長さんがどうして?あいつにやられる理由なんてあるんですか?」
ドンス「テジョングループ会長のユン・テジュン、それにコ・ボクテ。親父を殺したのはあいつら二人だ」
ヨンダル「!」

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ドンス「25年も前のことだから法じゃ解決できない。だから、俺自身であいつらを破滅させようとした」
ヨンダル「…。」
ドンス「でも、汚い金の前じゃ法も権力も無力だと、俺は分かっちゃいなかったんだ。ユン・ヤンハに反撃されて、俺には打つ手が無くなった」
ヨンダル「…。」
ドンス「お前をムショ送りにしたのもユン・ヤンハだ」
ヨンダル「!」
ドンス「あいつがコ・ボクテと結託してお前を陥れた。ユン・ヤンハの金の前に屈したコ・ボクテがお前をここへ追いやったんだ」

~~~~

ヨンダルの目が怒りで赤くなっていた。

143

+-+-+-+

シネがドンスの面会に訪れていた。

シネ「どうなの?」

ドンスは力なく微笑む。

ドンス「何とかやってる。お前は?」
シネ「私、離婚訴訟を起こしたわ」
ドンス「…。何て言っていいか分からないな」
シネ「(微笑)祝ってくれればいいのよ」
ドンス「…。」
シネ「私、ドンスさんのために出来ることは何か、毎日それだけを考えているの。だから、心穏やかよ」

ドンスはたまらず俯いた。

ドンス「俺は一日中、後悔ばかりだ。お前に対して何の感情表現も出来ないまま、卑怯に生きてきた人生。こうやって愚かにやられてしまった人生、何もかも後悔してる」

ドンスの頭に、ヤンハの罠に掛かった瞬間が鮮やかに蘇る。

~~テジョングループ会長室にて~~

ドンスがやって来ると、いつも会長が座っているソファにヤンハが一人でいた。

ドンス「なぜ一人なんだ?」
ヤンハ「会長は今頃東京へ向かう飛行機の中です」
ドンス「結局、とことんまで行くつもりか?」
ヤンハ「とんでもない。終わりを迎えるのは会長と僕じゃありません。チャン・ドンスさんですよ」

その瞬間、会長室に刑事が踏み込んだ。

刑事「チャン・ドンスさん、暴行および収賄による不正捜査の容疑で緊急逮捕します」
ドンス「バカな事を!」
刑事「逮捕しろ」

刑事の指示で警官たちがドンスの手首に手錠を掛けた。

ドンス「手錠を外せ!」
刑事「チャン・ドンスさんは黙秘権を行使でき… (決まり文句を言い掛けて、やめる)すぐ弁護士を手配なさってください」
ドンス「こいつら!!!」

そこへヤンハの声が飛んだ。

ヤンハ「そうやって純情に生きていたら人生無駄にします。反省して来るといいですよ」
ドンス「ユン・ヤンハ!!!」

~~~~

ドンスもまた、ヤンハに対する怒りで震えていた。

シネ「後悔しないで。私が好きなのは、そうやって生きてきたドンスさんなの」

ドンス「ここから出たらその時は!!!悪魔とだって手を組んでやる。もう俺に出来ないことなんてない」
シネ「…。」

+-+-+-+

それから一年が過ぎた。

ジョンヒはテジョンカジノで順調にディーラーの仕事を続けていた。
控室に主任が入ってくる。

主任「オ・ジョンヒ」
ジョンヒ「はい」
主任「今度、全国のディーラーが参加するブラックジャック・バカラ大会があるんだけど、あんたがうちのカジノ代表で出場するから、準備しておきなさい」

「わ、私がですか?!」ジョンヒは驚いて目を泳がせた。

チョンジャ「どうしてオ・ジョンヒが出るんですか?!」

厳しい顔で主任がチョンジャを振り返る。

主任「前回のワークショップでオ・ジョンヒが一位だったでしょうが」
チョンジャ「…。」
主任「まだ説明がいる?」

チョンジャはまだ何か言いたげに俯いた。

主任「一位を取れば賞金も大きいけど、人事査定にも大きく反映されるわ。頑張りなさい」

「はい」ジョンヒが頭を下げる。

主任が退室すると、同期のディーラーたちがジョンヒに声を掛けた。

ディーラー1「大会前に練習しないといけませんね」

「そうだわ」皆が口々に言うと、前に座っていたヒョンミが笑った。

ヒョンミ「ジョンヒはそこらのギャンブラーよりよっぽど上手だから、心配ないわよ」
ディーラーたち「(ニッコリ)」

ジョンヒも笑う。

ヒョンミ「ジョンヒ、あんたにカジノのゲームを初めて教えたのは私だって、忘れちゃダメよ」

「分かったよ」ジョンヒは頷いた。

+-+-+-+

ジョンヒが帰宅すると、離れの前に男性と談笑している祖母がいた。
不動産屋の男性だ。

ジョンヒ「おじさん!」
不動産屋「ジョンヒ、久し振りだね」
ジョンヒ「どうなさったんですか?」
祖母「離れを貸しに出してくれってね」
ジョンヒ「…。」
不動産屋「近頃は部屋不足が酷くてね。家賃もたくさん貰えるよ」
ジョンヒ「うちは貸しに出しません」
不動産屋「何で?もう1年も空いてるじゃないか」

「空いたままにしてください」ジョンヒが頭を下げ、家へ入るのを、祖母は黙って見送った。

不動産屋「(祖母に)なぜ貸そうとしないんです?」
祖母「主(あるじ)が他にいるからね」
不動産屋「ヨンダル?いつ出てくるか分からないのに、ずっと空けとくんですか?!」
祖母「だけど、荷物もそのままなんだよ。勝手に出すわけにいかないからね」

祖母は涼しい顔でお茶をすすった。

#このお祖母ちゃん、素敵ですよね~。余計なことは言わないし、叱る時は一喝もしくは一撃のみ(笑)

+-+-+-+

ドアが開くと、ジャンスとジェリーがヨンダルの後に続く。
3人共、捕まった当時の私服に着替えていた。

晴れて出所の日が来たのだ。

刑務所を出ると、3人はそこで立ち止まり、久しぶりの開放感を味わった。
「兄貴!」懐かしいワンゴンの若者たちが走ってくる。

「お帰りなさいませ!!!」彼らは一斉に深々と頭を下げた。

ヨンダル「(ジャンスたちに)誰が呼んだんだ?」
ジャンス「俺は呼んでないけど?(ジェリーに)お前か?」
ジェリー「いいや?(若者たちに)誰に呼ばれたんだ?」
若者1「兄貴が出ていらっしゃるのに、来て当然です!」

3人の若者が進み出て、包みをヨンダルたちに差し出した。
出所祝いの豆腐だ。

※韓国では牢から出ると豆腐を食べる慣習があります。

ジャンス「なぁ、うちの親父見かけなかったか?」
若者「はい。見てませんけど」

豆腐を一口かじり、ヨンダルがそっけなく投げ返す。

ジャンス「親父め、最近なかなか面会にも来ないと思ったら、出所の日まで忘れるなんて、酷いぞ!」

そこへ黒い高級車が一台近づいてくると、ヨンダルたちの前で止まった。
運転席からスーツ姿の男性が降りてくる。(←気合の入った前髪が素晴らしい
男性はゆっくりとヨンダルの前へやって来ると、頭を下げた。

ヨンダル「?」
男性「ホ・ヨンダルさんでいらっしゃいますね」

ヨンダルは怪訝な表情で男性の背後の車を覗き見る。

ヨンダル「えぇ、そうですが」
男性「アン・チャンボンさんをご存じでしょう」
ヨンダル「???」

ジャンスがハッと気づく。

ジャンス「あの老人だよ!おもらし旦那!」
ヨンダル「あぁ。(男性に)えぇ、知ってます。それが何か?」
男性「お連れするよう仰せつかりました」
ヨンダル「…。」

+-+-+-+

「久しぶりだな」コ・ボクテがレストランの個室へ入ってくると、先に来て待っていたキム女史が立ち上がる。
歓迎され、コ・ボクテは席についた。

キム女史「会長のおかげで、予約ルームの上客とも取引できました」
コ・ボクテ「そりゃ良かったな」
キム女史「本当にありがとうございます。会長」
コ・ボクテ「礼には及ばんよ。お互い儲かったんだから」
キム女史「(笑)」
コ・ボクテ「それにしても、キム女史は年を重ねるほど若くて綺麗になる」
キム女史「私がですか?!うふふっ、全て会長のおかげですよ」

コ・ボクテはグラスを手に取り、キム女史を見つめる目を細めた。

+-+-+-+

一方、ミン社長はトラブルのまっただ中だ。

ミン社長(電話)「何ですって?本当なの?!分かったわ。私が解決するから、あんたたちは手を出さないで」

「何事ですか?」ミン社長が電話を切ると、待ちきれずにヒョンタクが尋ねる。

ミン社長「キム・オッキョン(=キム女史)に予約ルームの上客を全部持って行かれたわ」
ヒョンタク「予約ルームの上客っていうと、皆、姐さんと取引してたお客ですよね。突然どうして?」

「突然じゃないわよ!」ミン社長の怒りが膨れ上がる。

ミン社長「コ・ボクテのヤツが間で小細工してるの。私を干上がらせて潰すつもりよ!!!」
ヒョンタク「姐さん!黙ってるつもりですか!」

ミン社長は悔しさに唇を噛んだ。

+-+-+-+

私設カジノの営業も順調だ。
テーブルを見て回るチャンマダムたちのところへ、キム女史が顔を見せた。

キム女史「調子はどう?」
マンガン「客入りはいいけど、たいした売上にはならないな」
マダム「コ・ボクテ会長に会うって言ってたけど、上手く行ったの?」
キム女史「そのつもりで飛び掛かったのに、失敗するわけないでしょ」

キム女史が笑ったところへ、ヒョンタクを伴ったミン社長が入ってくる。

マダム「何かご用でも?」

「あんた、顔貸しなさい」ミン社長はキム女史に言った。

キム女史「あんた?!何であんた呼ばわりなわけ?」
ミン社長「あんた死にたいの?」
キム女史「(笑)」
マダム「(イライラ)お客様もいらっしゃる場で何事ですか?二人共、事務所へ」

ミン社長はマダムに目もくれない。

ミン社長「(キム女史に)あんた、横取りしたうちのお客を返さないと、タダじゃ済まないわ」
キム女史「…。」
ミン社長「これが最後の警告よ。後で後悔しないことね」
キム女史「後悔することなんて絶対にないから、お好きにどうぞ」

じっと黙っているマンガンが、二人の女の争いを静かに観察する。

ミン社長「見てなさいよ」

ミン社長は出て行った。

マンガン「(キム女史に)ミン社長は怖い人だ。大丈夫か?」
キム女史「爪をすっかり失った女狐よ。怖がることはないわ」

+-+-+-+

ヨンダルは静かな公園に案内された。
ベンチで待っている懐かしい顔に、ヨンダルは顔を輝かせる。

刑務所で共に過ごした老人、アン・チャンボンは上品に整った身なりで彼を迎えた。

チャンボン「久しぶりだな」
ヨンダル「お元気そうでなによりです」
チャンボン「君のおかげで助かったんだ」

+-+-+-+

二人は公園のベンチに並んで座っていた。

ヨンダル「どうして僕をお呼びになったんですか?」
チャンボン「命を助けたもらったんだ。恩返しをしないとな」
ヨンダル「大したことはしてません。お気遣いは無用ですよ。僕は本当に構いませんから」

刑務所でそうだったように、チャンボンはじっとヨンダルの顔を見つめる。

チャンボン「私は顔相を見るんだが、君の人生は実に苦労続きだったな」

ヨンダルは笑った。

ヨンダル「星回りってヤツがあるのかどうか分からないけど、あるとしたら… 良くないのは確かですね」
チャンボン「苦労の多い人生はもう終わった。だから、星回りが悪いわけじゃない」
ヨンダル「(笑)本当に終わったんですか?」
チャンボン「火取り蛾(※蛾の一種)も火に飛び込まなければ、死ぬこともない。それでも火に飛び込むのが火取り蛾だろう。君がまさにそうだ」
ヨンダル「…。」
チャンボン「君の人生で本当に重要な勝負をする瞬間が来たら、私が勝利の切り札になってやろう」
ヨンダル「?」
チャンボン「そのときが来たら、訪ねて来なさい」

よく分からないチャンボンの話に、ヨンダルは苦笑する。

ヨンダル「僕のことは心配しないで、いつまでも元気で長生きなさってくださいよ」

「あぁ、お好きなクリームパンと牛乳でも買ってくりゃ良かったな」ヨンダルは笑って空を見上げた。

144

+-+-+-+

ここで一旦区切ります。
キム女史のイタさに拍車が掛かっていて、もうやめてくれと^^;
天下のミン社長がキム女史にやられるなんてねぇ…。

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