韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

韓国ドラマのあらすじや詳細日本語訳を紹介!プロデューサー/SPY/夜警日誌/トライアングル/主君の太陽など

主君の太陽14話あらすじ&日本語訳 vol.2

   

ソ・ジソブ、コン・ヒョジン、ソ・イングク、キム・ユリ出演、「主君の太陽」14話後半です。

前半記事はいつもに増して、ひじょ~~にツメが甘く、誤字が多いわ、日本語もこなれてないわ、読みづらくてごめんなさい。
何箇所か直しましたが、まだ変な所が残っていると思います。

1704

とりあえず後半に進みますね。

+-+-+-+

イギリスに滞在中のキム室長は、ある若い女性と会っていた。

女性「私が持っている一番最近のハンナの写真です」

キム室長はすぐさま写真を受け取った。

キム室長「これがハンナですって?私が覚えているハンナの顔じゃないな」
女性「ハンナ、手術したんです」
キム室長「整形手術ですか?!」
女性「えぇ。自分の顔が大嫌いだって言ってましたから」
キム室長「ハンナ、韓国にいるんですよね?ぜひ探して会ってみなければ…」

1712

もう一度写真に見入ったキム室長は、突然ハッとしたように顔を上げる。

キム室長「!!!」
女性「ハンナの連絡先、私がお調べします」
キム室長「(茫然)いや結構。どこにいるか分かりましたから」

あのとき、なんとなく引っかかりを感じたのは正解だった。
写真の女性は、彼がチュ君の病室で見かけた女性に間違いなかった。

+-+-+-+

「ハンナさん」チュ君の叔母に名を呼ばれると、ハンナは穏やかに視線を上げた。

#彼女、この服似合ってますね。褒めたくないが… 褒めたくないが…

叔母「チュンウォンのそばに幽霊がいるなんて噂がどうのこうの… そんな話、気まずいでしょう?」
ハンナ「(微笑)」
叔母「それでさっきコ女史にお願いをしたのよ」
チュ君「何をです?」
叔母「ある人を呼んでほしいと頼んだの。幽霊を見るお嬢さんがいるそうよ」
チュ君「何を見るって?」
叔母「幽霊。面白いことになりそうだわ」

うんざりしたチュ君は叔母から視線を外すと、また不用意にハンナのネックレスに目を留める。

チュ君「…。」

+-+-+-+

テ嬢はまだコ女史に連れ回されていた。

テ嬢「あのー、私たち今度はどこに行くんですか」
コ女史「…。」
テ嬢「そのー、私ね、夜が来るたびに墓地に行くのはすごく怖いんです。それに眠らなきゃいけないのに、全然眠れないんです。顔を見てくださいよ。ちょっと眠らなきゃ」
コ女史「(ニッコリ)次はとても特別なお方です」
テ嬢「(ぶつぶつ)毎回特別なんだから…」

コ女史がテ嬢を連れて入ったのは…チュ君たちがいる個室だった。

叔母「あぁ、来たわね。チュンウォン、このお嬢さんは幽霊が見えるそうよ」
チュ君「…。」
テ嬢「…。」
叔母「テ・ゴンシルさん、キングダムの特別顧客センターで働いていたでしょう?そんな面白そうな才能があるとは知らなかったわ」

俯くテ嬢をじっと見つめるチュ君の顔が険しくなり、ふいに視線を外すと呆れたように首を振った。

叔母「チュンウォン、あなたは覚えていないけど、この子、あなたのそばにいる幽霊が見えると言って付きまとったそうよ」
チュ君「…。」
叔母「テ・ゴンシルさん、幽霊が見えるの?ここにもいるのかしら?」

叔母はそう言って、手を広げた。
チュ君とハンナも黙って彼女に注目する。テ嬢は顔を上げた。

テ嬢「えぇ、見えます」
叔母「!」
チュ君「!」
テ嬢「ずっと見えてました。社長のすぐ隣に」

チュ君が目を見開いた。
テ嬢にはずっと見えていたのだ。チュ君とハンナの間で、悲しそうに彼を見つめているヒジュの姿が。

テ嬢「(霊に呼びかける)チャ・ヒジュさん」
ハンナ&チュ君「!」
テ嬢「私の前に現れるのはやめてください」

ヒジュはゆっくりと視線を上げた。

テ嬢「私、これ以上あなたを見たくないんです。いえ、いっそここで話してください。あなたを死に追いやった犯人は誰なんです?」
チュ君「!」
テ嬢「…私が皆さんに伝えますから」

立ち上がったチュ君に目もくれず、テ嬢は厳しい口調で続けた。

テ嬢「ここで話したくないなら、もう私の前に現れないでください、お願いだから」

チュ君が彼女の腕を掴むと、ヒジュの霊がたちまち消えて行った。

チュ君「やめろ!」
テ嬢「作業中なんです!私に触らないでください!」

彼はそのままテ嬢の手を引き、部屋を出た。

叔母「チュンウォン!」
ハンナ「…。」

コ女史「あの方、なぜお嬢さんにとって特別な人なのか分かったわ」

+-+-+-+

しばらくテ嬢を引っ張ってくると、チュ君は手を離した。

チュ君「幽霊が見えるって?」
テ嬢「(冷ややか)えぇ、私、幽霊が見えるんです」
チュ君「…。」
テ嬢「キャンディーは可愛げがあったけど、こっちは怖いでしょ?」
チュ君「…。」
テ嬢「事務室だって用意してくださったでしょう?特別顧客センター。特別顧客は幽霊ばかりですよ」
チュ君「俺がお前に、幽霊を見ろと指示したと?」
テ嬢「一時は失った金を取り戻す100億のレーダーでしたよ。(?)通帳パンパンに入れてくださったお金、全部そのお金です」
チュ君「俺が記憶のない間にやった理解に苦しむ行動、全部幽霊のせいだと…?」
テ嬢「知らずにいれば良かったのに。知ったら怖くなったでしょ?」
チュ君「そんなものは怖くない。見えている人間が怖いんだ」
テ嬢「えぇ、その通りですよ。その通りですけど、私といるうちにケガをしたんです」
チュ君「…。」
テ嬢「まぁ、手当もたっぷり貰えるし、私の適性にもピッタリだから、どうにかして居座ろうと思ったんだけど、あなたは私のせいでケガまでしたし、申し訳なくて辞めたんです」
チュ君「それで俺のところを辞めて、コ女史というあの女のところに再就職したのか?」
テ嬢「あなたの知ったことじゃないでしょう?」
チュ君「!」
テ嬢「社長とはこれ以上会わないといいけれど。もう声を掛けたりしないでください」

立ち去ろうとしたテ嬢の腕を、もう一度チュ君が強く掴んだ。

#毎回毎回腕を掴むうちのたった1回くらい、私と変わっても分かりませんよね?分かりますか?

テ嬢「(振り払う)触らないで!嫌なんです」

空(くう)に浮いた彼の手が行き場を失い、力なく落ちた。
これほどまで冷たく自分を拒絶する彼女が、チュ君の心に痛みとなって突き刺さる。

チュ君「…。」

+-+-+-+

チュ君はすっかり暗くなった特別顧客センターへやって来た。
誰もいないその暗がりで、彼はモヤモヤとしたその記憶を辿ろうとする。

チュ君「100億…レーダー?」

コシテルに帰ってきたテ嬢もまた、部屋まで戻る気力もなく、階段に座り込んだ。
無意識に撫でるその太陽のネックレスには、レーダーと防空壕だった二人の記憶が一杯に詰まっていた。

テ嬢「防空壕になってくれなんて…すがっちゃダメ」

そして… カン・ウは安定の定位置orz
廊下の向こうからそっと歩いてくると、彼女が階段に悲しみにくれているのに気づき、近づくことも出来ずに見守った。

#テ嬢が遠景になった瞬間、「あぁ、ここにカン・ウいるな」って分かりますね、もう…。
私「ほらーっ」ってデスクに突っ伏しましたよ。

+-+-+-+

ハンナはチュ君の「身代金」であるネックレスをじっと見つめていた。
そこから顔を上げると、ドレッサーの鏡の中の自分に向かい、口を開いた。

1713

ハンナ「あの女が嘘をついてるんじゃなければ、あんた、本当に幽霊になって残っているの?ひょっとして…私のそばにいるの?」

ヒジュの霊が姿を現す。

ハンナ「もしもあなたがそばにいるのなら、謝罪はするわ。…”申し訳ないことになったわね、お姉さん”」

「ハンナ」は鏡の中の空間に向かって微笑みかけた。

+-+-+-+

キングダム社長室。

カン・ウがチュ君に差し出したのは、記憶のない間のもの。
チュ君の父がスペインから持ち帰った写真とカードだ。

チュ君「俺はヒジュ事件の犯人を探そうとしていたんだろう?」
カン・ウ「はい。チャ・ヒジュさんには双子の姉妹がいて、その女が共犯ではないかとお考えでした」
チュ君「俺はテ・ゴンシルを…死んだヒジュのために利用したんだよな。あのとき消えたネックレスは100億だ。だから、100億のレーダーなのか?」
カン・ウ「そうです。少しずつ記憶が戻っていらっしゃるんですか?」
チュ君「記憶は戻ってない。それでも、彼女は値段相応の働きをしたようだな。もうヒジュのことは憎くないし、文字も読める」
カン・ウ「全て片付いて、これでもう本当にそばにいなくてもいい人になりましたか?」
チュ君「…。」
カン・ウ「テ・ゴンシルさんにとっても、社長が必ずしもそばにいなくていい人になればと思います」
チュ君「…。」

カン・ウが丁重に頭を下げ、社長室を出て行く。
その背中を見つめながら、チュ君は首を傾げた。

チュ君「どうして…こんなに苦々しい気分なんだ?」

彼はふいに背中の痛みに顔をしかめた。

チュ君「背中を刺したやつ、捕まったらただじゃおかない」

+-+-+-+

その頃…

ただじゃすまないその犯人は、人目を避けながらキングダムの従業員入口を入って来た。

男「あの女…キングダムの職員だって言ってた」

「死んだらそれで終わりだと思うの?!」
「今でもあなたのこと見てるわ」

彼は逃走してからもテ嬢のその言葉に苦しんでいた。
そばにいた職員に「ショッピングモールはあちらですよ」と声を掛けられると、彼は来た道を戻るふりをして、こっそり道をそれた。

+-+-+-+

社長室の階でエレベーターを待っていたカン・ウは、後ろで数メートル離れた廊下を誰かが横切る気配を感じた。

カン・ウ「?」

彼の直感が異変を察知すると、彼は迷わずその人影を追う。

#カン・ウが社長室を訪ねたあとで、たまたまこの階に居合わせたとか、そういう場面の繋がりを考えるのって大変だろうなぁと思ったり^^

男は特別顧客センターのドアを開けた。

#ええええー このおっちゃんこそ霊感があるんじゃ?

部屋の真ん中で男が立ち止まると、後をついて来たカン・ウが注意深く声を掛けた。
振り返って凍りついた男は、咄嗟にその辺りにある箱を投げつけ、カン・ウから逃げようとする。

#キャー 大統領官邸レベルの鮮やかな戦闘、毎回観たいんですけどー

男の動きを冷静に観察し、カン・ウは最小限の攻撃で男を組み伏せた。

+-+-+-+

「警察に連絡しました。すぐ来るでしょう」

ハンジュが報告する。

男「あの女に会わせてくれ!あんな話を聞いて…気が狂いそうなんだ!」
カン・ウ「あんた、テ・ゴンシルさんに危害を与えに来たんですか?」

#名前言っちゃダメだって!

男「あの女に会わせてください、お願いだからーー!!!」
カン・ウ「…。」
男「死んだ子が俺のこと見てるって言ったんです」
カン・ウ「…。」
男「俺、そのせいで何も手に付きそうにないんだ!」
カン・ウ「それは、生涯背負うべき罪だと思いますが」
男「…。」

そこへチュ君と副社長がやって来る。
男の前に立ち、「この男か?」と警備員に指で確認すると、彼は男に向き直った。

チュ君「お前が俺の背中にドライバーを刺した人間か?」
男「俺は…あなたを刺そうとしたわけじゃないんです!あなたがあの女の前に立ちふさがったから!代わりに刺されたんでしょう!」
チュ君「俺が代わりに刺されたって?」
カン・ウ「…。」
男「えぇ、そうです!あなたがいきなり駆け込んできたから、お、俺もビックリしたんです!」
チュ君「…。」
男「俺、ホントにわざと刺したんじゃないんです!」

チュ君の鋭い疑問は、横で沈黙している副社長に飛んだ。

チュ君「どうなってるんですか?!」
副社長「…。」
チュ君「俺はテ・ゴンシルについて行ったんだって、そう言いましたよね?それなのに俺があの女の代わりに…!」

突然彼の言葉がピタリと止まった。

チュ君「代わりに死ぬ覚悟で…飛び込んだんですか?」
副社長「いや、それはな…えーと」
カン・ウ「その通りです」

静かなカン・ウの言葉が遮っった。

チュ君「?!」

カン・ウはそっと拳を握りしめる。

カン・ウ「チュ社長は、テ・ゴンシルさんを助けようとして死にかけたんです」
チュ君「!!!」

+-+-+-+

チュ君は誰もいない顧客センターのデスクに突っ伏していた。
どうにも掴めない自分の心に、握りしめた拳がコツコツと机を叩く。

チュ君「気が狂いそうだ!」

彼は椅子をクルリと回し、部屋を見渡す。

チュ君「ここは幽霊の部屋だって言ったよな。俺は一体、あの女にどれだけ狂ってたんだ?!(部屋の空間に)そこに何かいるんだろ!お前たちは知ってるのか?!」

自分の声だけが響くと、チュ君は溜息をついた。

チュ君「本当に…いなくてもいいのか?(痛む)あぁ…苦い。とんでもなく苦々しい」

+-+-+-+

コ女史の部屋で、テ嬢は困り果てていた。

テ嬢「幽霊たちだって好みがあるんです。自分の気に入らない幽霊をあてがうと、夜、うちへやって来て責めるんです」
コ女史「…。」
テ嬢「それはそうと、私にどうして幽霊が見えるようになったのか、理由を知ることは出来るでしょうか」
コ女史「3年間意識が戻らなかったんですって?」
テ嬢「(頷く)」
コ女史「もしもあなたの霊魂が3年間さまよっていたとしたら… 幽霊を見ることもできるわね」
テ嬢「さまよった?どこをです?」
コ女史「私だって知らないわ」
テ嬢「…。」

+-+-+-+

さて、本日もカフェで「作業」中のハンジュ。

ハンジュ「テ・ゴンシルさん、山で遭難事故に遭ったんですか?」
テ嬢姉「山の中で10日も見つからなかったの。やっとのことで見つかったのに、その後も3年間目覚めなかったのよ」
ハンジュ「脳死みたいなヤツ?」
テ嬢姉「もう、脳死だったら二度と起きてないよ。体は何ともなかったのに…目覚めなかったの」
ハンジュ「へぇ…」

後ろを一人の男性が通り過ぎ、テーブル席に座った。
二つ持ったコーヒーカップのうち、一つを自分の前に、もう一つを誰もいない向かいの席に置く。

男性「飲みなよ」

向かいの席には、嬉しそうに香りを嗅ぐ、いつもの「コーヒーくん」がいた。

男性「最近はコンシルにコーヒー奢ってもらえなくて寂しかったか?」
コーヒーくん「ふふん^^」
男性「あいつ、ウロウロさせておいちゃダメなのに…。お前がずっと見守ってろよ」
コーヒーくん「(うんうん)」
男性「その男とは完全に別れたのか?」
コーヒーくん「(さぁ?という仕草)」
男性「コンシルに会うべきか…?俺のこと、わかるかな?」
コーヒーくん「ふふん^^」

+-+-+-+

疲れて帰宅したテ嬢は、ちょうど降りてきたカン・ウに声を掛けられると、ホッとしたように笑った。

カン・ウ「疲れてるように見えるけど、かなり大変なんですか?」
テ嬢「(笑)立派な人になるのは、すごく大変ですね」
カン・ウ「…。」
テ嬢「あ!犯人捕まったって聞きましたよ。警察から連絡があったんです。キングダムで捕まえたんですって?」
カン・ウ「(ニッコリ)そうですか?」
テ嬢「?」
カン・ウ「良かったですね。誰が捕まえたのか知らないけど、すごい功績ですよね」
テ嬢「そうですね^^本当にありがたいですよね」
カン・ウ「(嬉)すごく怖いとき、僕の名前を一度だけ呼んでください。もしかしたら、幽霊みたいに現れるかも」
テ嬢「カン・ウさんの気持ち、本当にありがたいわ。おやすみなさい」

階段を上がっていくテ嬢を、カン・ウはゆっくりと目で追った。
彼女の姿が見えなくなると、彼の顔から笑顔が消えて行く。

前日。
夜ごと、どこかへ出掛けるテ嬢が心配で、カン・ウはそっと後をつけていたのだ。

霧の立ち込める墓地へやってくると、テ嬢はひとしきりそこを歩きまわる。
怖さも忘れ、彼女の後を追って歩くカン・ウ。
テ嬢が墓地を後にすると、トボトボと歩くその後姿に彼は溜息をついた。

次の日、同じように出掛けて遅くに帰ってきた彼女を、彼は何も知らないふりをして笑顔で出迎えたのだった。

1703

カン・ウ「怖いときは一度くらい…僕の名前を呼んでください」

+-+-+-+

今日もチュ君の自宅は大盛況だ。
叔母夫婦がハンナを誘い、テーブルを囲んでいた。
ハンナが持って来たワインを出すと、叔母が歓声を上げる。

叔母「あら!チュンウォンが好きなワインよ。(リビングに声を掛ける)チュンウォン!あなた、今度ペリスホテルの創立式にガールフレンドを連れて行くって言ったんですって?」
チュ君「(腕組み)記憶にありません」
叔母「(わざとらしく)パートナーがいなくちゃね」
副社長「(ドギマギ)」
叔母「ハンナさんが一緒に行ってくださいな。いいでしょう?」
ハンナ「私は構いません」

「ちょっと失礼」と断ると、副社長は席を立ち、チュ君のそばへ向かった。

副社長「(コソコソ)叔母さんに口止めされたから言わずにいたんだが、君が病院にいる間、テ・ゴンシルは毎日来てた。えらく泣いてたんだ」
チュ君「…。手術中、心停止したって言ってましたよね」
副社長「そうらしい。死んで生き返ったんだ」
チュ君「死んで…生き返った?」
副社長「もちろん不自由なく暮らすためには、(ハンナを見て)あっちのレベルにした方がいいだろうが、君が命を投げ打ったのは、コシテルに住んで、幽霊が見えるっていうテ・ゴンシルなんだ」
チュ君「…。僕は思い出せないんです」

立ち上がった彼の目は、ハンナの胸元に光るネックレスに再び引きつけられた。

叔母「ハンナさんも時間があるから一緒に行ってくれるって」
チュ君「…そうしましょう」

彼はどうでもいいようにそう答えると、リビングを出て行った。

+-+-+-+

テ嬢がキングダムの社長秘書室へやって来た。
誰もいない秘書室をテ嬢が見渡す。

テ嬢「室長、いらっしゃいますか?どこ行ったのかしら?」

そこへメールの着信音が鳴る。

キム室長(メール)「テ・ゴンシルさん、頼みがあるんです。今すぐ急いでオフィスへ来てください」

テ嬢「どうしたらいいのかな?待ってればいいの?」

そこへ、ギーッと音を立て、社長室の扉が開いた。

テ嬢「そこにいらっしゃるんですか?」

テ嬢が覗き込むように入って行くと、後ろでバタンと扉が閉まった。

テ嬢「きゃっ!」

そこに立っていたのは…チュ君だ。

1705

#たまらん、この立ち姿。

テ嬢「何してるんですか?」
チュ君「幽霊だと思ったか?」
テ嬢「…キム室長は?」
チュ君「(携帯を取り出す)俺の電話には出ないし、家にもいないから俺がメールした。(ちょっと嬉しそう)俺はもうメールだって出来るんだ」
テ嬢「どうして呼んだんですか?」
チュ君「整理してることがあるんだが、お前に確認しなければ。ついて来い」

軽く手招きすると、チュ君は部屋の奥へと入っていく。
ソファの脇に立つと、彼はテ嬢に席をすすめた。

チュ君「順を追って考えてみたんだ。俺はコシテルに住む全く肉感的でもない女の、また違う六感(※肉感と同じ発音)に惑わされて、お前を救おうとして背中にドライバーが刺さって死にかけた。そうだろ?」
テ嬢「えぇ、そうです」
チュ君「最後の瞬間、自分がどういう気持だったのか、それが気になるんだ。…お前は知ってるだろ」
テ嬢「(目をそらす)私が知るわけないじゃないですか」
チュ君「俺が手術を受けている間、お前はそこにいた」
テ嬢「…。」
チュ君「手術中、俺は心停止したそうだな。死んだんだ。死ねば幽霊になり、お前には幽霊が見える。(テ嬢を指さす)お前、俺を見たんだろ」
テ嬢「…。」

立ち止まり、彼女の様子をじっと窺うと、チュ君は再びゆっくり歩き出した。

チュ君「お前のために死にかけたのに、俺はお前に会いに行ったんじゃないのか?」
テ嬢「(彼をまっすぐ見上げる)えぇ。私に会いに来ました」
チュ君「!」

彼女の前に座ると、息をする間ももどかしいほど言葉が口をついて出て来る。

チュ君「生の最後の瞬間は一番素直になるんだ。計算しようなんて思わないからどんなことでも正直に言っただろう。俺はお前に…何て言ったんだ?」
テ嬢「…。」
チュ君「お前はその言葉で怖くなって、俺を避けてるんだろ?」
テ嬢「…えぇ。すごく怖い言葉でした」
チュ君「怖い言葉?お前みたいな女に会ったせいで死ぬことになったと恨んでたのか?」

彼女は彼と目を合わせることができず、ただ首を横に振った。

チュ君「一人で逝くのが無念だから、一緒に逝こうと無理強いしたか?」

再び彼女は首を横に振る。

チュ君「それくらいで済むなら記憶を取り戻したいのに…。それくらいなら耐えられる…」
テ嬢「…。」

チュ君は立ち上がり、彼女に背を向けた。

チュ君「俺の予想できる最悪の状況まで行ったようだな…」
テ嬢「…。」

1707

振り返ると、何も言わずにまっすぐ自分を見上げている彼女と目が合う。

「愛してる」彼が最後に伝えたその言葉を、彼女はまだ辛うじて封印していた。
テ嬢の顔を覗き込むように、チュ君が顔を寄せる。

チュ君「そこまで行ったのなら、こうやってお前を見れば、気が狂うほど好きだった場面が一つくらい思い浮かぶべきなんじゃないのか?どうして一つも思い浮かばないんだ?」
テ嬢「あなたの記憶は…決して戻って来ないわ。安全に封印されているから」
チュ君「…。」
テ嬢「だから心配しないで」
チュ君「お前は本当に…いなくなってもいいのか?」
テ嬢「頷く)…いなくなっていいんです」
チュ君「(座る)分かった。失ったと思って取り戻そうとしたが、もうそんなことはしない。二度とたぶらかしもしないし、お前を呼ぶこともない」
テ嬢「私の望んだとおりです」
チュ君「もうお前に声を掛けたりしないし、捕まえたりもしない」
テ嬢「私もそうします。帰ります」
チュ君「(消えろの仕草)行け」

テ嬢が立ち上がり、入口へと向かう。

チュ君「いなくなってもいいんじゃなければ…振り返れ。そうすればあと1度…探してみるから」

入口への階段をあがると、テ嬢は決して振り返ることなく、扉を開けて外へ出た。

チュ君「畜生…」

チュ君は背中の痛みとも心の痛みとも分からず、顔をゆがめてうなだれた。

社長室を出ると、テ嬢はシャツの中に隠していた胸元のネックレスを出し、指に触れた。
もう少しで溢れ出しそうな気持ちを封じ込めるように。

テ嬢「これでいい。全部終わったのよ」

+-+-+-+

カン・ウは秋のイベントの関係者と話をしていた。

カン・ウ「今度の秋の展示企画を担当するハンナ・ブラウンさんの詳細な経歴が必要です。展示の警備のために必要なんです」
関係者「ハンナ・ブラウンさんが担当した展示会のパンフレットがあるんですが、それをお持ちしましょう」

カン・ウは関係者から渡されたパンフレットをパラパラとめくる。
最後のページのプロフィールに、彼は目を留めた。

1706

ハンナ・ブラウン
1979年生まれ
イギリス オックスフォード大学入学
L.A. ドリームアートスクール
N.Y. K.Wギャラリー
北京 987ギャラリー、北京ギャラリー

It was truly an honor to introduce
the artworks of a great artist
Best regards. Hanna Brown

英文で書かれた直筆のメッセージに、カン・ウの目が鋭くなった。

警備室へ向かうと、彼は画面の中に二つの画像を並べる。

左にはチュ君の父が手に入れた絵葉書の筆跡。
右には展示会のパンフレットの末尾にあるハンナの筆跡。

カン・ウ「筆跡が同じだ」

次に彼は2枚の写真を見比べる。

カン・ウ「全く違う顔だけど… 筆跡は同じ。どうなってるんだ?」

#注目すべきところは筆跡だけじゃないけど、そこはスルーでいいのか?

スタッフエリアの階段を駆け下りると、そこへ戻ってきたキム室長がいた。

カン・ウ「キム室長!お戻りですか」
キム室長「…。」
カン・ウ「チャ・ヒジュの双子の姉妹だと思われる女が現れました」

キム室長は表情を変えず、静かに口を開く。

キム室長「…ハンナ・ブラウンですか?」
カン・ウ「どうして…お分かりに?」
キム室長「チャ・ヒジュとハンナ・ブラウンは、私の姪たちです」
カン・ウ「!!!」
キム室長「私が… これまで主君のそばを守ってきた理由です」

+-+-+-+

チュ君とハンナは二人、並んで車の後部座席に座っていた。
神妙な表情でじっと外を見ているチュ君に、ハンナから声を掛ける。

ハンナ「チュ・ジュンウォンさん」
チュ君「?」
ハンナ「叔母様に無理やり背中を押されて出掛けたみたいですね」
チュ君「関係ありませんよ」

そう言って振り返った彼の目は、同時に太陽のネックレスに向かう。
彼が視線を外へ移すと、ハンナは人知れずほくそ笑んだ。

+-+-+-+

先日、「昔の恋人が夢に出て来る」と打ち明けた男性の結婚式が行われていた。
それを遠巻きに見守るコ女史とテ嬢。
その隣には、彼の死んだ恋人がひっそりと立っていた。

テ嬢「(幽霊に)彼は結婚したんです。もう彼の元を離れましょう」
女の霊「…。」
テ嬢「彼にとってあなたは遠い過去にすぎません。隣にいる新婦のように、彼の未来にはなれないんです。あなたは死んだんですから」

霊はすっと消えて行った。

テ嬢「(コ女史に)彼女は逝きました。私も家に帰っていいですよね?」
コ女史「…。(無言の許可)」

式場を出ようと振り返ると、ちょうどそこへチュ君とハンナが階段を上がってくる。
テ嬢に気づくと、チュ君はその場で立ち止まった。
先に視線をそらしたテ嬢を、彼はじっと見つめた。

コ女史「あの御方は記憶を取り戻す代わりに、別の未来をそばに置いたのですね」

1708

ハンナと並んでいるチュ君の視線に耐えられず、テ嬢は思わず胸元のネックレスに触れ、背中を向けた。

チュ君「…。」
ハンナ「?…チュ・ジュンウォンさん?」

彼は彼女に横顔を向けると、そのままエスカレーターを上がり、遠ざかって行った。
まっすぐ前を見据えたまま、身じろぎもせずに。

#このエスカレーターを上がっていく、チュ君の斜め下からのショット…
見ていてものすごく苦しい。
黙っている方がずっと苦しいね。

+-+-+-+

チュ君の背中を見送り、振り返ったテ嬢は、そこにいつの間にか立っていたヒジュに息を呑んだ。

テ嬢「もう私のところに来ないで!行ってください」
ヒジュ「…。」

彼女は今にも泣き出しそうな顔でテ嬢を見つめる。

テ嬢「…。」

+-+-+-+

チュ君たちがパーティー会場に到着すると、叔母夫婦はすでにパーティーを楽しんでいた。

叔母「来たのね」
副社長「いらっしゃい」
ハンナ「(叔母に)今日も相変わらずお美しいですね」
叔母「まぁ~、何をおっしゃいますか」

叔母とハンナがグラスに手をのばすと、副社長がそっとチュ君に近づいた。

#このときのチュ君の横顔が堪らなく美しいんですが、なぜにピンぼけなんですか?!
なぜに副社長にピントが合ってるのですか?!

副社長「(声を潜め)ロビーでテ・ゴンシルを見かけたが、コ女史と一緒にいたぞ」
チュ君「僕には関係ありません」
副社長「(軽く)あぁそうか?」
チュ君「だけど…」
副社長「叔母さんに聞いたんだけどな、テ・ゴンシル、コ女史と妙な契約をして、生涯縛られるらしい」
チュ君「…。」
副社長「テ・ゴンシル、こっち側の人間とは全く違う、あっちの世界の人間になったようだな」

チュ君は半ば無理やりワインを口に流し込んだ。

+-+-+-+

「体は貸せません。私だって生きなきゃならないんです」

テ嬢はヒジュの頼みに抵抗していた。

+-+-+-+

会場を出たチュ君は、コ女史を捕まえる。

チュ君「テ・ゴンシルを縛りつけているという契約とは何です?」
コ女史「興味が湧いたということは、記憶を取り戻したいようですね」
チュ君「そうじゃない。記憶を取り戻したいわけじゃないんだ。契約が何なのか話してください。金で解決できるのか?いくら払えばいい?」
コ女史「…。」
チュ君「ところで、記憶を取り戻したいと言えば、取り戻させてくれるのか?」
コ女史「(ニッコリ)取り戻せますわ。教えてさしあげましょうか?」
チュ君「結構です。知りたくない」
コ女史「とても簡単です。(手のひらを広げる)目覚めた瞬間、消えたものを思い出せばいいの」
チュ君「結構だと言ってるんです!なくてもいいと合意したんだ」
コ女史「…。」
チュ君「死ぬんだ、終わりだ、未来はない!そんな状況でなければ絶対むやみに言ったりしない言葉を投げかけた。俺はもう耐え忍んだり複雑になるのはゴメンだ」
コ女史「あなたが投げかけた言葉は、彼女が全て引き取って、一人で耐え忍んでいますよ」
チュ君「知ってる。だから、ずっと気に掛かってるんだ」
コ女史「理解しますわ。あなたの太陽はしおれてしまったの。受け入れて今のままお幸せに(立ち去ろうとする)」
チュ君「契約はいくらなのか話せと言ってる!…んです」
コ女史「彼女は…自分自身を全て差し出したのです」
チュ君「!!!」

その言葉に、チュ君は強く口を結んだ。

コ女史「いくらになるか計算なさい。合意するといいわ」

絶句するチュ君を残し、コ女史は立ち去った。

#一人残された瞬間、涙腺が突然壊れた。

+-+-+-+

チュ君はふらふらとパーティー会場に戻った。
それでも到底中へ入って行けず、壁にもたれかかる。

彼は顧客センターで目にしたテ嬢の姿を思い浮かべた。
そっと中を覗くと、真っ暗な部屋の中で、倒れ込むようにテ嬢が座っているのが見える。
彼は声を掛けることも出来ず、そのままそっとその場を離れたのだ。

体を支えるように壁に掛けた指が、もがくように動く。

#がんばれー がんばるんだー(涙

そのとき…

「チュンウォン!」叔母が中から呼ぶ声が聞こえ、彼は顔を上げた。

叔母「…具合が悪いの?」
チュ君「辛いです。気に掛かる程度じゃなく、正直…ものすごく辛いです」
ハンナ「大丈夫ですか?」

視線を上げたチュ君の視線がハンナのネックレスを捉えた。

1710

チュ君「最初から視線が向かったんだ。ずっと見ていたんだが、気づかないふりをしたかったのか?」
ハンナ「?!」

自分のことを言われたのかと思い、ハンナは嬉しそうに微笑んだ。

チュ君「!」

ふと、チュ君は手のひらを広げてみる。
そうだ!
あのとき、この手のひらから消えて行ったのは…確かにこのネックレスだった。

再び視線を上げたとき、彼の目はもう虚ろではなかった。
広げた手のひらを、そこになくなった何かを掴むようにぎゅっと握る。

叔母「そんなに具合が悪いの?」
チュ君「失くしたものを取り戻しに行かなければ!」

背を向けようとしたチュ君に、ハンナが慌てて声を掛けた。

ハンナ「チュ・ジュンウォンさん!」
チュ君「…。」
ハンナ「ずっと見ていたっていうのは…(自分の胸元のネックレスを触る)私じゃなかったんですか?」
チュ君「同じものだが、それは本物じゃない」
ハンナ「!!!」

チュ君は今度こそ背を向け、失くしたものの元へ向かった。

+-+-+-+

テ嬢は太陽のネックレスを乱暴に外した。

テ嬢「(ヒジュの霊に)私、本当に彼とは終わりなんです。見ていて」

彼女は外したネックレスをヒジュの前に掲げた。

テ嬢「これ、捨てますから!だからもう私のところへ来ないでください!」
ヒジュ「!」

テラスからそれを投げ捨てようと振りかぶると、やはり彼女はひと思いに投げることができず、ぎゅっとそれを握りしめる。

テ嬢「…。」

勇気を振り絞り、もう一度投げようとしたその瞬間、誰かが彼女の腕に飛びかかった。

テ嬢「!!!」

ヒジュの霊が消え、腕を掴まれた勢いで、彼女はクルリと振り返る。
そこに…自分を見つめているチュ君がいた。
掴まれた彼女の指先に、太陽のネックレスが揺れる。

1711

チュ君「お前本当に…防空壕がなくなってもいいと思ったのか?」
テ嬢「思い出したんですか?!」
チュ君「あぁ。絶対に思い出したくなかったのに、思い出した!」
テ嬢「思い出したくなかったのに、どうして来たんですか?!」
チュ君「好きで来たと思ってるのか?忘れたまま気楽に自分の暮らす世界でお前の暮らす世界とは何の繋がりもなく幸せにもなれたのに!!!」
テ嬢「そうよ!私だっていなくなって良かったのに」
チュ君「!」
テ嬢「いなくなってすごく嬉しかったわ!!!いなくなってやっと生きていけそうだったのに、どうして来たんですか!!!」
チュ君「嘘をつくな。お前は生きていけるはずがない」
テ嬢「…。」
チュ君「テ・ゴンシル、お前が俺なしで生きていけるなんて絶対に駄目だ。俺なしじゃお前は…!」
テ嬢「…。」
チュ君「死ぬほど苦しくないと駄目なんだ」

+-+-+-+

ここでエンディングです。

見ていればなんとなくわかることも、訳すときはハッキリ書かなきゃいけないので、これまでも表記に悩むことが多かったんだけど、いよいよ「ハンナ」と書くのか「ヒジュ」と書くのか混乱する状況が来そうな…。

記憶喪失は使い古されたネタではあるんだけど、それほどよく使われるだけのドラマチックな素材であるに違いありませんね。
記憶を取り戻す瞬間の興奮と言ったら…!
今回、チュ君は自分の力で失くした記憶に辿り着いたわけで、その間も彼らしさはブレることもなく、彼にとってテ嬢はやはりどうしても離れられない存在だったのだ…と、彼自身が確認できたいい展開になったと思います。

そして、前半登場した、テ嬢の音声を聴くシーン。
記憶を失っている期間に録音した声に、思い出せない記憶を想う…。
そんなシーンは、かつて冬ソナで大号泣したことを思い出します。(遠い目
感覚に訴えるものは直接響いて胸がぐっと高鳴りますね。

さて、ジャイアントモールの社長と仲良くなったことも思い出してあげてね^^

 

 - 主君の太陽 ,