韓国ドラマから美しい言葉を学ぼう

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2weeks(イ・ジュンギ)10話あらすじ&シーン対訳or日本語訳

   

緊迫すればするほどボリュームが大きくなるBGMと私が戦うドラマ、イ・ジュンギ主演「Two Weeks」10話です。

1609

では早速!

+-+-+-+

病院のロビーで出くわしてしまったテサンとスンウ。
逃げ出したテサンを追おうとしたスンウの腕を、イネは思わず掴んで阻止した。

イネ「行って!!!早く行って!!!」

テサンが走りだす。

スンウ:
!!!

イネ:
(スンウの腰にしがみつく)ごめんなさい、スンウさん!我慢して!!!
あの人は殺人犯じゃないんです!信じてください!!!

スンウ:
…。

自分の腰にしがみついている彼女の手を外すと、スンウはイネの方へ向き直った。
それでもまだ自分の服を握るイネの手は小刻みに震えている。

スンウ:
今…信じてくれと言ったんですか?

ひたすら走るテサンの頭のなかに、イネの言葉が蘇っていた。
もうすぐ結婚すると言ったこと。スジンは父親のようにその人に懐いていること。
自分を追っている刑事と、イネの婚約者が、テサンの頭の中でつながった。

スンウ:
もう放してください。
チャン・テサン、もう十分遠くまで逃げたでしょう。

イネ:
(手を放す)…ごめんなさい。

スンウ:
俺は刑事であり、チャン・テサンは殺人被疑者であり脱走犯なんだ。
「捕まえるな」と言われたら、刑事である俺はどうすればいいんです?

イネ:
彼、殺人犯じゃないんです。

スンウ:
本当に殺人犯じゃないとしても、今は脱走犯なんだ。

イネ:
スジンの手術の日に来ますから!
そのとき捕まえられるから、せめてそのときまで待ってください。

スンウ:
…。

イネ:
掴まったら死ぬって言ってたんです。
留置場で…留置場で死ぬところだったって!

スンウ:
チャン・テサンに…会ってたんですか?

イネ:
電話で話したんです。
スジンの手術のために脱走したって…
掴まったら留置場の中で死ぬかもしれないから自首できないって!

スンウ:
その言葉を信じたんですか?

イネ:
…信じるしかなかったんです。

スンウ:
それなら俺の言葉はなぜ信じなかったんです?!
スジンの骨髄ドナーを俺がそんな無碍に扱うと思ったんですか?!

イネ:
スンウさんを信じられないとか…テサンさんは信じるとか、そんなんじゃないんです。
そんなふうに考えないでください。

スンウ:
…。

イネ:
スジンに骨髄をくれるのがテサンさんで、死なないためだっていう彼の状況を信じたんです。

+-+-+-+

夢中で走って来たテサンは、ようやく立ち止まり、そこで地面に崩れ落ちた。
頭を抱え、地面に突っ伏して泣く彼の前に、スジンの姿が現れる。

スジン:
거기서 뭐해?
そこで何してるの?

テサン:

スジン:
창피하게 뭐냐고? 어른이.
大人なのにみっともないよ。

テサン:
인혜가…얼마나 창피했을까.
얼마나 부끄러웠을까.
イネが…イネがどんなにみっともなく思っただろう…。
どんなに恥ずかしかったろうな。

スジン:

テサン:
너까지 품어 준 그 사람한테 네 아빠가 나인 사실 얼마나 창피했을까.
약혼자가 쫓는 탈주범이 난데 난 아무한테도 말하지 말라고 하고
의지할 수 있는 사람한테 기대지도 못하게 만들고.
대체… 대체 나란 놈은 왜…왜 이렇게 살았던 거냐?!
お前まで包み込んでくれたあの人に… お前の父親が俺だって事実がだれほど恥ずかしかっただろう。
婚約者の追っている脱走犯が俺なのに、俺は誰にも言うななんて…
頼れる人にもたれかかることも出来ずにしてしまった…。
一体… 一体俺ってやつは何で…何でこんなふうに生きちまったんだ?!

スジン:
그러게.
왜 그렇게 살았어?
…そうだよ。
どうしてそんなふうに生きちゃったの?

#テサンがこんなに衝撃を受けた理由が意外で、思わず涙が出ました。
イネの婚約者がスンウだったことにショックを受けたのかと思ったら、
婚約者が刑事なのに、それも知らずにイネを苦しめた自分を責めるなんて…

8年前、イネを殺すと脅迫され、絶対に口を割らないよう約束するテサン。
彼はそのときただただ泣いて受け入れた自分を思い出す。

テサン:
그래. 다 내 탓이었다.
내가 겁먹었었고 당신 협박의 내가 굴복했었지.
そうだ…。全部自業自得だ。
俺が怯えて、あんたの脅迫に屈したんだ。

スジン:
그럼 이제는?
それじゃ、これからは?

スジンを見つめると、テサンは立ち上がった。

テサン:

죽고 싶지 않고 인혜 약혼자 손에 잡히고 싶지 않고
너를 살인자의 딸로 살게 싶지 않아.
死にたくない。イネの婚約者の手で捕まりたくはない。
(スジンを見る)お前を殺人者の娘にはしたくない。

スジン:

テサン:
문일석 네가 진범이란 사실을 꼭 밝혀내고 말거야.
ムン・イルソク… お前が真犯人だって事実を絶対に明らかにしてやる。

1602

+-+-+-+

ムン・イルソクの側近2名+息子のキムは、3人並ばされて厳しい説教を受けていた。

盗聴を疑って囮作戦を繰り広げ、大胆にもキムに自分から話しかけてはぐらかしたこと。
頭脳も武力も優れているはずの彼らが、テサンに完璧にしてやられたことが悔しくて仕方がない。
テサンを育てれば良かった、人を見る目がなかったと毒づくイルソク。

1603

密航のときに続き、テサンの動きをなぜチェギョンが握っているのか疑問を持つイルソク。
キムがデパートでイネを見たことを話した。
テサンが抗生剤を持っていたこと、ミスク事件の日にテサンが病院に行ったと言っていたこと…
そこから、イルソクはスジンの手術の予定日、そして予定が決まった日を調べるよう指示する。

+-+-+-+

今日もスジンはスケッチブックに絵を描いていた。
しかし、いつも描いている山に、今日は色がない。

1604

イネ:
수진아 오늘 기분 안 좋아?
그림이 왜 이래?
スジン、今日は気分が良くないの?
絵はどうしちゃったの?

スジン:
엄마 내 소설 산과 해, 그 뒷얘기야.
お母さん、山と太陽の小説、その後なの。

イネ:
근데 산이 왜 이래?
山はどうしてこうなっちゃったの?

スジン:
해가 따나버리니까 이렇게 됐지.
太陽が行っちゃったからこうなったの。

イネ:

スジン:
아…해가 떠나고나서 해가 없으니까 깜깜하고 추워진 거야.
그러니까 새들도 안 오고 꽃들도 안 피고
근데 산은 산이니까 움직이지 못하잖아.
그래서 산 혼자만 그 자리에서 꼼작못하고 있는 거야.
맨날 어둡고 춥게.
えっと… 太陽が行っちゃって、太陽がいないから真っ暗で寒くなったの。
だから、鳥たちも来ないし、花も咲かないし。
でもね、山は山だから動けないでしょう?
それで、山はひとりぼっちでその場でじっとしてるの。

イネ:

スジン:
슬프지.
산이 너무 외롭겠지.
悲しいでしょ?
山はすごくさみしいでしょ?

イネ:
그러네.
움직일 수 없는 산이 너무 안됐다.
そうね。
動けない山はすごくかわいそう。

スジン:
그지.
そうだよね。

そこへイネの携帯が鳴った。
電話の主は…チェギョンだ。

+-+-+-+

イネがやって来ると、チェギョンは一人、病院の庭で待っていた。
イネの姿に気づくと、チェギョンは丁寧に頭を下げる。

チェギョン:
チャン・テサン事件の担当検事、パク・チェギョンです。

イネ:
…はい。

チェギョン:
今日、チャン・テサンさんに会いにデパートに来ていらっしゃったでしょう?

イネ:
…。

チェギョン:
私は全部知っています。
チャン・テサンは殺人を犯してはいない。
スジンの骨髄移植のために脱走したんです。

イネ:

チェギョン:
なぜ自首できずにいるのかも知っています。
殺すと脅されているからでしょう。
だから、手術の日まで逃げようとしているんです。

イネ:
私そんなこと… よくわかりません。

チェギョン:
ご存知じゃないですか。

イネ:
…。

チェギョン:
心配じゃないですか?
スジンが手術を受けるのに、あんなふうに外を出歩いて、手術の日に来られなかったら…

イネ:
彼は私の言うことなんか聞きません。
手術の日にかならず来る、そう言っただけです。

チェギョン:
外を動きまわって捕まったらもっと危険だわ。

イネ:
誰も信じられないって言ったんです。

チェギョン:
当然そう思うでしょう。それほどひどい目に遭ったんだから。

イネ:
?!

チェギョン:
私が留置場で一緒に寝ようと、警護をつけることになろうと、無事スジンに手術を受けさせますから、
カメラを持って自首するよう言ってください。

イネ:
…カメラ?

チェギョン:
カメラさえあれば、チャン・テサンさんを脅している人たちを皆捕まえられるんです。

イネ:
本当に…安全にしてくださるんですか?

チェギョン:
約束します。

イネ:
今度連絡があったら、話してみます。

背を向けたイネに、チェギョンが続けた。

チェギョン:
チャン・テサンさん、8年前拘置所に入ったんです。

イネ:

チェギョン:
私の父を刺したと自首をして。
2005年、8月。
…8年前です。

イネ:
(驚いて振り返る)8年前ですって?

チェギョン:
今、チャン・テサンを脅している人物の代わりに。

イネ:

チェギョン:
おそらく、周りの大切な人を殺すと脅迫されたんでしょう。

イネ:
!!!

チェギョン:
今、チャン・テサンさんがソ・イネさんに黙っているよう言ったのも、
そのときと同じ理由のはず。
イネさんとスジン、二人を守るためです。

1605

チェギョンと別れたイネは非常階段に駆け込み、泣き崩れた。
この8年間ずっと恨んで生きてきたのに…。
あれだけ自分に酷い言葉を吐き、お腹の子ども諸共捨てたことが、実は自分とお腹の子を守るためだったなんて…。

+-+-+-+

病院を出ようとしたチェギョンは、そこでスンウと出会った。
彼女の顔を見るなり、スンウが激昂して怒鳴りつける。

スンウ:
何の真似だ!!!
スジンの骨髄ドナーがチャン・テサンだってこと隠してたのか!俺に!!

チェギョン:
ソ・イネさんに聞いたんですか?

スンウ:
スジンの命が掛かってることなんだ。
前もって言ってくれたら、俺はチャン・テサンを撃ったりしなかった!
自分がどんなにむごい事をしたか分かってるのか?!

チェギョン:
そのときは知らなかったんです。
撃つ前は知らなかった。

スンウ:
その後は?
その後はなぜ言わなかった?!

チェギョン:
ソ・イネさんが言わなかったから。

スンウ:

チェギョン:
スジンの骨髄に関する部分はソ・イネさんが言うべきこと。
私がでしゃばって言うことじゃないわ。

スンウ:
スジンの命綱であるチャン・テサンを殺そうとしてる奴がいるのに、
俺は知っちゃいけないと?

チェギョン:
…。

スンウ:
イネさんは怖くて言えないこともあるかもしれないが、パク検事あんたは違う。
俺があんなに訊いたのに!
あんたは…あんたは自分の捜査のために口をつぐんだんだ。

チェギョン:
話していたら、イム刑事はどうしてました?

スンウ:
警護…

チェギョン:
警護をつけたでしょうね。

スンウ:
…。

チェギョン:
警護をつけるには、警察内部に説明しなきゃいけないわ。
そうすればスジンも危ないの。
そんな奴らにチャン・テサンがなぜ脱走したか教えてやる行為になるわ!

スンウ:
奴ら?

チェギョン:
…。

スンウ:
…確認した。
父とチョ・ソヒの間にコネクションなんかない。
だから、心配しないで話してくれ。

チェギョン:
…。

スンウ:
チョ・ソヒ一人じゃないのか?チャン・テサンに殺人の罪を被せたのは。

チェギョン:
…。

スンウ:
それなら、あの日、あんたが捕まえようとしていたのは…

チェギョン:
私、死ぬところだったんです、春川で。

スンウ:

チェギョン:
私を…現職検事を殺そうとする人たちよ。
スジン?チャン・テサンを捕まえるためなら、スジン一人くらいいくらでも殺せる人たちなの!

スンウ:
!!!

チェギョン:
イム刑事が見た光景、車に乗っていた私はチャン・テサンのおかげで生きて出られたんです。
けど、それをどうして… チャン・テサンは逃げたし、何の証拠もないのに…。
私の証言?そんなもので捕まえられる人たちなら8年前に捕まえてるわ!
その人たちを調査した資料だけで何箱もあるか…。
それなのに捕まえられるだけの痕跡も証拠は絶対に残さない。
だからまだ捕まえられずにいるの。
昨日チョ・ソヒが私にやったこと… 見たでしょう?

スンウ:
チョ・ソヒ議員の他に…誰がいるんです?
名前だけ言ってください。

#激しくやりとりするうちに、堅い言葉遣い、丁寧な言葉づかい、タメ口が入り交じっています。
それが会話のテンションをものすごく表しているんですが、このへんの加減が本当に上手い…。

+-+-+-+

イム室長がイルソクの元へ戻ってくる。
スジンの手術日が決まったのは、ミスク事件のときにテサンが病院へ行った日と同じであり、手術日は26日であると。
イルソクが大仕事を企んでいるD-Dayと同じだ。

イネを捕らえてテサンをおびき出そうと考えるも、婚約者が刑事であり、しかも警察庁官の息子である以上、それはあまりにリスクの高い方法だと、彼らは二の足を踏む。
同時に、スンウも自分たちのことを何か知っているのではないかと警戒する。

+-+-+-+

警察署へ戻ったスンウは、ムン・イルソクのことを調べていた。
彼はチャン・テサンを洗い直すため、マンソク殺害の凶器の出処と倉庫の持ち主について調べるようチン・イルド(後輩刑事)に指示する。
イルド自身も、この凶器はあまり見ないものであり、脱走犯が持っているのを不思議に思ったと話した。

イルド:
これ、全部チャン・テサン事件の資料ですよね?
再調査されるんですか?

スンウ:
人質たちにも言ってたそうじゃないか。自分は殺人犯じゃないって。
濡れ衣なら晴らしてやらないと。

イルドを送り出すと、スンウはマンソクの家から逃げるときのテサンの不器用な様子を思い出していた。

スンウ:
(マンソク殺しの犯人は)一度で急所を捉えている。
同じ人物の技量じゃない。

もう一度WEBサイトでムン・イルソクの写真を見た彼は、スジンの病院でイルソクを見かけたことを思い出す。
「スジン一人いくらでも殺すことの出来る人よ」チェギョンの言葉が急に現実味を帯びた。

+-+-+-+

テサンがやって来たのはミスクが住んでいた家だ。
前をさりげなく通り、番地を覚える。
路上駐車してある車のフロントガラスで、カメラのランプがチカチカと点滅した。

+-+-+-+

大胆にも、スンウは直接イルソクの元へ乗り込んだ。
イネとスジンに手を出したら絶対に許さないとイルソク本人に釘を刺す。

自分がほしいのはチャン・テサンが持っているカメラだとハッキリ言うイルソク。
スンウはカメラについて、さっきチェギョンから聞いたばかりだ。

チェギョン:
チャン・テサンが持っているカメラにムン・イルソクとチョ・ソヒの関係が保存されているんです。
ミスクはそのために殺されたの。

イルソク:
たかがカメラ1台なんですよ、刑事さん。他にはない。
あんたの女を説得してカメラを受け取ってももらえれば、チャン・テサンは生かしてやりましょう。

スンウ:
何だと?

イルソク:
私はチャン・テサンを殺したいんだが、愛するスジンの命綱なんでしょう?

刑事相手に取引しようとするイルソクに、スンウは激しい憤りを感じた。

+-+-+-+

会長室をでたスンウは、病院にすぐ来るようイルドを呼び出した。
無菌室病棟の前へ駆けつけたイルドに、「理由は訊かず、今から絶対にここを離れず見守ってくれ」と、日頃出入りする人物の名簿を渡す。
ちょうどそこへ出て来たイネの手を引き、彼は屋上へ向かった。

彼女の手をしっかり握ると、まっすぐ目を見つめ、スンウは口を開く。

スンウ:
イネさん、俺たち… 俺たちのことは後で話しましょう。

イネ:
…。

スンウ:
今はスジンに無事手術を受けさせることが大事だから。

イネ:
…。

スンウ:
チャン・テサンから電話があったり、ここへ訪ねてきたら、そのときは俺のところへ自首するように言ってほしいんです。
どうにかして俺が濡れ衣を晴らしてやるから。

イネ:
スンウさん…。

スンウ:
必ずそうするんですよ。
いいですね?

1606

+-+-+-+

テサンは今夜も質屋に潜入し、PCに向かっていた。

『チャン・テサンだ 覚えてるか』
誰かにメールを送る。

ブラウザを閉じた彼は、デスクトップのアイコンに目を留めた。
それは、ビデオチャットサイトであり、ここでソクトゥたちがよく遊んでいたものだ。
それに録画機能がついているのに気付いたテサンは、ミスク事件当日のログを探した。

そのログには、チャットを楽しんでいる後ろで、ミスク殺害前に指示の電話を受けている彼らの声が入っていた。

「テサン兄貴ですか?出掛けましたよ」
「パジュ倉庫に使いですか?タクシーで?」
「チャン・テサンがどこにいるか探せって!」

+-+-+-+

チョ・ソヒは障害を持つ息子ソンジュンとビデオ会話を行っていた。
後7日すれば息子の元へ発つつもりでいるソヒ。
そこで息子と会ったら、一緒にスイスを出て引っ越すと告げる。

会話を終えると、ソヒは引き出しにしまってある2つの旅券を取り出した。

一つに挟んであるチケットは韓国からサンフランシスコへ、チョ・ソヒ名義。
そして、もう一つに挟んであるチケットは2種類。
サンフランシスコからフィンランド、フィンランドからスイス。May Hong名義だ。

1607

チケットをじっと見つめ、ソヒは静かに涙を流した。

+-+-+-+

チョ・ソヒ議員のソウル市長選挙出馬会見が行われていた。
出馬要請を拒否していたものの、無力な市民たちの強い希望を受けて出馬を決心したと話すソヒ。

慈善オークションを最後に政界を引退するという噂について訊かれると、「噂は噂に過ぎない」と受け流す。

記者たちに混じって聞いていたチェギョンは、会見後、ソヒの前に現れ、花束を差し出した。

チェギョン:
뭐가 의원님을 이렇게 만든 걸까요?
何が議員をこうさせたんでしょうね。

ソヒ:
질문에 핵심 단어가 빠져 있네요, 박재경검사님.
質問の核心が抜けていますね、パク・チェギョン検事。

チェギョン:
아, 그랬군요.
다시 여쭤 보죠.
육일 후의 자선경매 날 혹시 제가 문일석회장님 대신 참석하면 안되겠습니까?
そうでしたか?
もう一度申し上げましょう。
6日後の慈善オークションの日、私がムン会長の代わりに出席してはいけませんか?

ソヒ:
행사참석(?)은 진행부에 문의하세요.
그럼.
行事参加については進行部へお問い合わせください。
それでは。

最後まで笑顔を崩さず、チェギョンの前を去るソヒ。

チェギョン(心の声):
왜 저렇게 당당한 거지?
なぜあんなに堂々としていられるの?

ソヒ(心の声):
문회장 참석을 네가 알어?!
ムン会長の出席を… あなた知ってるの?!

+-+-+-+

イルソクはチョ・ソヒの会見の映像を冷ややかな目で見ていた。
オークションの日まで大きな権力を手に入れたソヒは、それまでにチェギョンがカメラを手に入れたとしても権力の力で時間を稼いでオークションを成功させ、その後イルソクがどうなろうと、自分は素知らぬ顔で高飛びするつもりなのだ。

チョ・ソヒがいつ発つつもりなのか調べるよう、イルソクは指示を出す。

+-+-+-+

病院の回線を使い、イネに電話が入る。

イネ:
여보세요.
もしもし。

テサン:
나야, 장태산.
俺だ、チャン・テサン。

イネ:
어떻게 된거야? 어제 왜 안 나왔어?
どうなってるの?昨日どうして来なかったの?

テサン:
네 핸드폰 도청되는 것 같아서 그레서 병실에 전화한 거야.
お前の携帯、盗聴されてるみたいだから病室に掛けたんだ。

イネ:
내 핸드폰?
그래서 백화점에 경찰들이!
이 전화는 괜찮아?
私の携帯?
だからデパートに警察が!
この電話は大丈夫なの?

テサン:
이건 지분전화가 아니라 교환해서 바꿔 준 거니까 괜찮겠지.
그보다 오늘 다시 좀 만나 줄 수 있겠어?
これは所有電話じゃなくて交換して繋いでもらったから大丈夫だろう。
それより、今日また会えないか?

イネ:
저 그보다 태산씨 어제 박재경검사라는 사람이 찾아왔었는데
자수하면 도와준대.
あのね、それよりテサンさん、昨日パク・チェギョン検事っていう人が訪ねてきたの。
自首したら助けてくれるって。

テサン:
자순 안돼.
自首はダメだ。

イネ:
그렇게 위험하게 다니지 말고 자수해서 도움 받아.
누명도 풀어준다고 했어.
그 분 정말 믿을 만해 보였어.
そんなふうに危険を冒して動きまわらないで、自首して助けてもらってよ。
濡れ衣も晴らしてくれるって。
その人、信用できると思うわ。

テサン:
그건 내가 먼저 뭘 좀 찾아보고 생각해 볼게.
それは、あるものを受け取って、それから考えてみる。

イネ:
그럼 일단 만나서 얘기해.
광흥창역에서 만나.
それならとりあえず会って話しましょう。
廣興倉の駅で。

その通信もまた、検察の捜査官によって傍受されていた。
すぐにチェギョンに連絡が入り、音声が転送される。
駅近くの店をイネが待ち合わせ場所に指定した。

テサン:
너 감시 받고 있는지도 몰라.
お前、監視されてるかも知れないぞ。

イネ:
가게에 들었다가 나가면 되잖아.
세시에 거기로 와.
店に入ってすぐに出ればいいわ。
3時にそこに来て。

テサン:
그래.알았어.
あぁ。分かった。

#この電話内容に不審な点があるのは皆さんお気づきですね?
私、一瞬、脚本か編集ミスったのかと思っちゃいましたが^^;

+-+-+-+

近頃何度も外出する母親に、スジンの寂しさが募っていた。

イネ:
お店に行かなきゃいけないんだけど、今日は遅くなるかもしれないの。

スジン:
嘘。

イネ:
え?

スジン:
手術の日までお店には出なくていいって言ったでしょ?

イネ:
可愛い可愛いスジ…

スジン:
可愛いスジンはやめる!

イネ:
…やめたからって可愛くなくなる?
最初から可愛いのに。

スジン:
お母さん、ホントのお母さんなの?
どうして私一人残して出掛けてばかりなの?

イネ:
…。

スジン:
どこ行くの?何のご用?

イネはスジンを抱きしめた。

1608

イネ:
ごめんね。
お利口さんのスジン。今日一日だけ許してくれない?

スジン:
そんなに大事なご用なの?

イネ:
…うん。

スジン:
それじゃ、大事な人のご用?

イネ(心の声):
(頷きながら)あなたを救ってくれる人だから、本当に本当に大切な人よ。

イネ:
手術が終わったら、全部話してあげる。

スジン:
ホント?
私が聞きたいことも全部話してくれる?

イネ:
…そうするわ。
だから、お母さんのこと許して。
ね?

スジンは黙って頷いた。

+-+-+-+

自分の管理する店へ出たイネは、店員にあとを頼み、外へ出掛けた。
店の外にはイネにもテサンにも顔の割れていないキム・ミンス捜査官が待機しており、出掛けたイネの後を追う。

その後を…
帽子を深くかぶり、顔を隠したスンウが密かに続いた。

イネが地下鉄に乗り込むと、ミンスとスンウも同じ車両に乗る。
イネが電話で指定した駅では、チェギョンたち、検察チームがすでに待ち受けていた。
今回はムン・イルソクに情報が漏れるのを防ぐため、検察だけで動くことにしたのだ。

ホームにいるチェギョンの元へ、ト捜査官がやって来た。

ト捜査官:
遂に一週間に及ぶ追跡戦が終わるんでしょうか。

チェギョン:
本当の追撃はこれからが始まりでしょう。

ト捜査官:
それにしても、ソ・イネさんはチャン・テサンに情が残っているんでしょうか。
自首の説得が上手かったけど…。

チェギョンがハッとして顔を上げた。

チェギョン:
チャン・テサン、無菌室に電話したんですよね?
娘の前で「自首しろ」「自首しろ」って言ったことになるわ。

ト捜査官:
それが何か?

チェギョン:
ちょっと変だと思って。
娘の父親でしょう?
子どもの前でそんなこと言うかしら?

そこへ到着1分前だと連絡が入り、話が中断された。

ホームに電車が入り、イネが降りる。
それに続くミンス。

テサン(声):
降りて歩いたら…そのまま乗るんだ!

ドアが閉まる直前、イネは降りたばかりの電車に飛び乗った。
ミンスをホームに残し、電車は走りだした。

+-+-+-+

違う駅で降りたイネは後ろを気にしながら走って駅を出た。
その後を、スンウが追う。

彼女は、テサンがあらかじめ予約して待たせていたタクシーに乗り込んだ。

+-+-+-+

またしても検察チームはテサンにしてやられた。

ト捜査官:
それで、お前をまいたって?

ミンス:
まるで諜報作戦か何かですよ。
ソ・イネさん、本当に民間人ですか?
降りたのに、さっと引き返して乗ってしまったんです。

ト捜査官:
(チェギョンに)我々をまいてカメラを受け取りに行ったんですね。

チェギョン:
ソ・イネさん、全く理解できないわ!
(ハッと気づく)それなら昨日、チャン・テサンとソ・イネはもう会っていたんだわ!

+-+-+-+

タクシーを降りたイネが入ったのは、マンソクの恋人ヨンジャの働くネイルショップだった。

ヨンジャ:
いらっしゃいませ。

イネ:
こんにちは。チャ・ヨンジャさんですか?

ヨンジャ:
はい。どちらさまですか?

イネ:
辛い目に遭ったのに申し訳ないんですが…コ・マンソクさんが借りて行ったカメラを受け取りに来たんです。

ヨンジャ:
カメラですか?

イネ:
コ・マンソクさんと旅行に行かれませんでしたか?

ヨンジャ:
…ところで、どちらさまですか?
どうしてマンソクさんをご存知なんですか?

テサン(声):
マンソクのカーセンターの常連客だって言うんだ。

イネ:
マンソクさんのカーセンターの常連客なんです。

ヨンジャ:
あぁ…。あっ、マンソクさんはそれをチャン・テサ…
一緒に住んでる先輩に借りたって…。

テサン(声):
マンソクが俺に借りたと言ってたと言われたら…

イネ:
違いますよ。
私が車を預けたとき、車の中にカメラがあったんです。
そうしたら、旅行に行くとき貸してくれってマンソクさんが言うから、そうしたんです。
凸レンズのついているカメラです。

ヨンジャ:
そうだったんですね…。
でも、どうしましょう。私の友だちが捨てるって。

イネ:
捨てるって?!

ヨンジャ:
ごめんなさい。持ち主がまた使うことはないと思って…。
その子にどう処分したのか聞いてみますね。

ヨンジャは電話の受話器を取った。

+-+-+-+

昨日、テサンが病院に訪ねてきたとき、イネに詳細な頼みごとをしていた。

テサン:
정말 미안한데 인혜야,지금 도움 받을 수 있는 사람이 너밖에 없어.
ホントに悪いけどイネ、今助けてもらえる人はお前しかいないんだ。

イネ:
말해.
그 증고라는 게 뭔데?
言って。
証拠っていうのは何なの?

テサン:
디칸데, 만석이 여자친구한테 있을 거야.
근데 영자씨가 내 얼굴 알아.
カメラなんだ。マンソクの彼女のところにある。
だけど、ヨンジャさんは俺の顔を知ってるんだ。

イネ:
디카라니…그 디카에 뭐가 있길래 그게 증고라는 거야?
カメラって…。それが証拠になるなんて、一体何が写ってるの?

テサン:
그 디카가 오미숙이 죽은 이유고 내가 살인 누명을 쓴 이유고
나를 죽이라는 이유야.
そのカメラが、オ・ミスクが死んだ理由であり、俺が殺人の濡れ衣を着せられた理由であり、
俺を殺そうとする理由だ。

イネ:
그 디카만 찾으면 누명 벗을 수 있는 거야?
そのカメラさえあれば濡れ衣を晴らせるの?

テサン:
그게 내 살인 누명을 벗게 줄 수 있는지 모르겠지만
내가 누명을 벗으려면 진짜 진범이 누군지 밝혀야 하거든.
디카를 봐야 알아.
それが俺の殺人の濡れ衣を晴らしてくれるかどうかは分からないけど、
濡れ衣を晴らすには、真犯人が誰なのか明かさなきゃならない。
カメラを見れば分かるんだ。

イネ:
태산씨 죽이려는 사람이 누군데, 대체?
テサンさんを殺そうとする人は一体誰なの?

テサン:
그런 것까지 네가 알 필요 없어.
そんなことまでお前が知る必要はない。

イネ:

テサン:
이런 일 시키는 것만으로 염치가 앖다…
こんなことさせるだけでも合わせる顔がないな…。

イネ:
영자씨한테 가서 디카만 달라고 하면 돼?
ヨンジャさんのところへ行って、カメラをくれって言うだけでいいの?

テサン:
그전에 네가 연기를 좀 해 줘야 돼.
その前に、お前に演技してもらわなきゃいけないんだ。

イネ:
말해요.
내가 뭘 어떻게 하면 되는지.
話して。
私が何をどうすればいいのか。

+-+-+-+

「ありがとう、学生さん」ヨンジャが電話を切った。
カメラは単に捨てたのではなく、ヨンジャの友だちを通してある学生に売られていた。
授業の都合で、8時まで都合がつかないから、その後で学校へ来てほしいとのこと。

学校の住所と学生の電話番号を受け取り、イネはテサンに言われたとおり、預かり物をヨンジャに差し出した。

イネ:
これ、マンソクさんが私に預けたんです。
ヨンジャさんにあげるものだったんですよ。

ヨンジャ:
あなたにこんなものまで預けたんですか…?

イネがマンソクと親しいことに疑いの目を向けるヨンジャ。
渡された箱を開けると、そこには小さく畳まれたメッセージ付きの指輪があった。

イネ:
…。

イネの心の中に、ある記憶が蘇る。
それはイネとテサンが幸せだった頃~~

イネはサプライズでテサンの誕生祝いを用意する。
彼女が誕生日の歌を歌い始めると…

テサン:
何だ?

イネ:
…何よー。彼女が誕生祝いしてるのに。

テサン:
今日、誕生日じゃないぞ。

イネ:
そう?オッパの免許証では今日になってたよ。

テサン:
母さんが隣の家のおばさんに出生届を頼んだのが今日だったんだ。

イネ:
あぁ、そうだったのね。
じゃあ、本当の誕生日はいつ?

テサン:
…。

イネ:
誕生日教えてくれないから…。
去年も私の誕生日は祝ってくれたのに、どうして誕生日教えてくれないの?

テサン:
誕生日みたいなもの、何が大事なんだよ?
いいって。

イネ:
私、今日一日掛かってワカメスープ作って、御馳走も作ってここまで持ってきたのに。

テサン:
…。

イネ:
それなら、クリスマスイブパーティーってことにして食べようよ。
私の作ったワカメスープ、すっごく美味しいんだから!

イネは彼の腕を取り、テーブルまで引っ張っていく。

テサン:
悪いんだけどイネ…。
(深刻な顔で立ち止まる)俺、ワカメスープ嫌いなんだ。

イネ:
?!

テサン:
ごめんな。

イネ:
どうして?

テサン:
…。

イネ:
それならいいよ。

イネはテサンの持っている紙袋に気がついた。

イネ:
これ何?私にくれるの?

テサン:
(照れ笑い)あぁ。

イネ:
わたしも誕生日プレゼント用意してきたの。
誕生日じゃないならクリスマスプレゼントにしようっと。

「開けてみて」と。彼女はとても小さな包みを差し出した。
テサンが包みを開けると、そこには小さく畳まれた手紙の挟まれた指輪が入っている。

テサン:
(驚く)指輪か?

イネ:
…。

テサン:
(呆れる)お前から指輪渡してどーすんだ!
待ってられないのかよ…。

イネ:
(笑って)指輪はおまけで、(手紙を指差し)これが本当のプレゼント。

テサン:
手紙?

恥ずかしがるイネの前で、テサンはいそいで手紙を開く。(←このイネの照れ方、みんなマスターしよう:笑)
そこにいっぱいに書かれた文字に視線を落とすと、テサンは思わず涙をこらえられなくなった。

イネ:
…?

“너를 잃을까 두려워 나는 너를 가슴에 꼭 껴안는다.
도대체 어떤 마술이 새상의 보물을 내 가냘픈 두 팔에 안겨 주었을까?”
소중한 장태산, 태어나 줘서 고마워.
”あなたを失うのが怖くて、胸にしっかり抱きしめる。
一体どんな魔法が、この世の宝物を私のか弱い腕に抱かせてくれたんだろう”
大切なチャン・テサン、生まれてくれてありがとう。

床に座り込んで手紙を見つめるテサンを、隣でイネが見守っていた。

テサン:
처음이야.
나란 놈이 태어나서 괜찮다는 사람…처음이야.
初めてだ。
俺みたいな奴、生まれてよかったなんて人…初めてなんだ。

イネ:
그게 무슨 소리야?
それどういうこと?

テサン:
내 진짜 생일은 9월20일이야.
엄마가 돌아가신 날.
本当の誕生日は9月20日。
…母さんが死んだ日だ。

イネ:
어빠 생일에 엄마가 돌아가셨어?!
オッパの誕生日にお母さんが亡くなったの?

テサン:
자살하셨어.
自殺したんだ。

イネ:
!!!

テサン:
날 가진 채 아버지한테 버림 받고
항상 나를… 엄마 사영을 힘들어하셨어.
내 생일 미역국에 잡채를 챙겨 놓고…가셨어.
俺がお腹にいるときに父さんに捨てられて、
いつも俺のこと… 自分の身の上に苦しんでた。
誕生祝いのワカメスープとチャプチェを作っておいて…逝っちまったんだ。

イネ:
…아이, 그건 아니다.
깜박하신 거야, 어머니가.
…もう、それは違うよ。
うっかりなさったのよ、お母さん。

テサン:

テサンが彼女を振り返ると、イネは抱え込むように彼を抱きしめた。

イネ:
아들 생일인 걸 그 순간에 깜박하신 거야.
그걸 까먹을 만큼 많이 힘드셨나 봐.
息子の誕生日だってこと、その瞬間に忘れちゃったのよ。
忘れちゃうくらい…とても辛かったんだわ。

テサンはイネの腕の中で子どものように泣いた。

#逃亡中のテサンに出産を助けてもらった女性が「ワカメスープまで作ってくれた」とTVのインタビューで答えているのを見て、イネがすごく驚いていたのをおぼえていらっしゃるでしょうか。
人の誕生を祝って大嫌いなワカメスープを作るほど、テサンは変わったんですね。

+-+-+-+

イネがネイルショップから出てタクシーに乗るのを確認したスンウは、彼女を追う代わりにそのネイルショップへ入った。

スンウ:
今、女性が来てたでしょう?
何て言っていきました?

+-+-+-+

イネはテサンの指示にしたがい、以前二人でいったことのあるカフェに向かっていた。
テサンがそこにノートPCと席を予約してあり、そこから連絡することになっているのだ。

カフェの奥の席でなかなか現れないイネを待っているテサンに不安が募る。
彼が予約したイネの席は、彼の後方で空席のままだ。

タクシーの運転手に携帯を借りたイネから「少し遅れるから、連絡するまで待ってて」とチャットを通して連絡が入る。
イネは自分の店の店員から何かを受け取り、タクシーから乗り換える車を手配していた。

苛立つテサンの前で、またチャットのポップアップが出た。

「チェ・ユリさんがログインされました」

テサン(チャット):
何でこんなに遅かったんだ?
何かあったのか?

イネ(チャット):
今、私のこと見えてるよね?

イネは彼の予約した席ではなく、その向こうのカウンター席で携帯を触っていた。

イネ(チャット):
このビルの裏口から出て。

大急ぎでそれだけ打ち込んでイネは席を立ち、携帯を借りた近くの客にそれを返すと、そのままカフェを出た。
裏口から車に乗り込むと、イネの運転で二人は出発する。

テサン:
どうしたんだ?
カメラ手に入らなかったのか?

イネ:
ヨンジャさんの友だちがネットで売ったって。
カメラを買った大学生と会う場所と時間、決めてあるの。

テサン:
(安堵)何かあったのかと思った…。
けど、何でこんなに遅かったんだ?

それには答えず、イネがチラリとバックミラーを確認する。

テサン:
何時にどこで会うことになってるのか、それだけ言って停めてくれ。

イネ:
大学よ。
一人で行って、バレて捕まったらどうするのよ。
私が会って受け取るわ。

テサン:
変装してるから大丈夫だ。
俺がやる。
(そっぽを向く)どこなのか場所と時間だけ言ってくれ。

イネ:
…。

テサン:
ソ・イネ、車停めろって!
お前まで巻き込みたくないだ。

苛立ちを募らせるイネ。
彼女は大学ではなく、人気のない川辺に車を停めた。

テサン:
大学って言ってたのに、どうしてここに?

イネ:
婚約者のところに連れて行かれるんじゃないかって、それが怖いの?

テサン:
…。

イネ:
約束の時間は晩よ。
その時間まで、明るい昼間にうろうろ出来ないでしょう?

テサン:
(笑う)相変わらずだな、ソ・イネ。
俺のせいですっかり変わったと思ったのに。

イネ:
…。オッパも変わらないところはたくさんあるわ。

テサン:

イネ:
心の中はちっとも変わらないのに、表面だけどうしてそんなに変わったのよ。

テサン:
…ごめん。
昨日はすごく混乱したろ。

イネ:
…何がよ。

テサン:
…。最初から言えば良かったのに。
婚約者が刑事だって。

イネ:
言ってたら?

テサン:
恥ずかしげもなく、お前に助けを求めたりしなかった。

イネ:
それなら誰に助けを求めたのよ?

テサン:
…。困らせて…ごめん。

イネ:
…。何がごめんなの?
悪いと思うならやらなきゃいいでしょ!

テサン:
…。

イネ:
オッパはどうしてそんなに!
どうしそんなにお人好しなの?!どうしてそんなに駄目なの?!

どうしようもなく悲しくなり、イネは車を出た。
テサンが静かに後に続く。

イネ:
あんた、8年前遠洋漁船に乗ったの?

テサン:

イネ:
どうして乗ったの?

テサン:
…。イ、イネ…?

イネ:
どうして私の人生を勝手に決めるの?
あんたがそうすれば、私が両親について移民するって誰が言った?!

テサン:
…。
どこで何を聞いてきたんだよ…。

イネ:
あんた、あのとき…、漁船に乗ったんじゃなかったのね。
私とスジンのこと、捨てたんじゃなかったんだわ…。

テサン:
…。

イネ:
…いいわ。そのときのことはいいとして。
今回会ったとき、どうして言わなかったのよ?
どうして言い訳しないの、オッパは?!
どうして何も言わずに…!私に軽蔑させたのよ?どうして…!
言い訳してよ…。

テサン:
…。

イネ:
8年も経ってしまったのに、そうするしかなかった事情があったんだって…そう言ってくれればいいのに…。

テサン:
過ぎたことだから…。
全部過ぎたことだ。

イネ:
私がオッパのこと憎んでると思ってるのね、今でも…。

テサン:
そうするしかなかったなんてこと…この世にはない。

イネ:
…。

1610

+-+-+-+

スンウはスジンの病院に戻っていた。
ガラスを通し、楽しそうにスジンと話す。

スジン:
그래서요?
그 때 엄마가 뭐라 그랬는데요?
それで?
そのとき、お母さん何て言ったの?

スンウ:
나를 한참…한참 보다가 끄덕끄덕했어.
俺のことしばらく…しばらく見つめてから、うんうんって頷いたんだ。

スジン:
…그게 다에요?
프로포즈 받았는데?
(ガッカリ)それだけ?
プロポーズ受けたのに?

スンウ:
(笑う)

スジン:
그래서요? 그 다음엔요?
それで?その次は?

スンウ:
엄마를 안아 줬어. 남자답게.
お母さんを抱きしめたんだ。男らしくね。

スジン:
우와!
うわぁ~!

スンウ:
엄마랑 아저씨 연애 그렇게 재미있어?
お母さんとおじさんの恋愛話、そんなに面白い?

スジン:
엄마는 물어봐도 말 안 해 주니까.
お母さんはきいても話してくれないから。

スンウ:
…수진아.
…スジン。

スジン:
네?
なぁに?

スンウ:
어저씨, 이 만하면 수진이 아빠로 괜찮지 않냐?
おじさんさぁ、このくらいならスジンのお父さんとしてイケてないかな?

スジン:

スンウ:
엄마도 사랑하고 수진이도 엄청 사랑하고
힘도 세서 죽을 때까지 엄마랑 수님이 지켜 줄 수 있고.
お母さんのこと愛してるし、スジンのこともめちゃくちゃ愛してるし、
力持ちだし、死ぬまでお母さんとスジンのこと守れるぞ。

スジン:
그 그런 것 같아요.
えっと… そんな気がする。

スンウ:
그런 것 같애?
야, 근데 그런 것 같애.. 가 뭐냐?
そんな気がするか?
なぁ、けど、気がするって…何だよ?

スジン:
아, 그건… 그건…
あ、それはね… それは…

説明に困るスジンに、思わず笑うスンウ。

スジン:
아저씨, 나 귀 뜨거워요.
おじさん、私、耳が熱いよ。

スンウ:
귀가 뜨거워?
열 나? 열 나냐, 수진아?
耳が熱い?
熱か?熱が出たのか、スジン?

スジン:
아니, 한시간 동안 전화하니까 전화기가 막 뜨거워요.
ううん。1時間も電話してたから、受話器が熱いの。

驚いて時計を見上げるスンウ。

スジン:
아이고, 벌써 한시간이나 됐네.
驚いたな。もう1時間も経ったのか。

1611

+-+-+-+

ヨンジャは女友だちに気になることを打ち明けていた。
イネが持ってきた指輪はテサンしか知らないもので、どこの誰かもわからないような女性が持ってくるはずがないのだ。
カメラも、マンソクはテサンから借りたものだと言っていたはずなのに。

友だちに言われ、ヨンジャは警察に電話した。

+-+-+-+

暗くなった大学にテサンたちの車が到着した。
車を降りようとするテサンに新しい携帯電話を渡すイネ。
自分から彼に連絡を取れないのが心配でたまらないのだ。
そこにはイネが自分用に新しく用意した携帯番号もあらかじめ登録してあった。

#出掛ける前に店の店員に頼み、途中で届けてもらっていたのは新規契約した携帯電話ですね。

「あっ」

降りようとして思い出したテサンは、スジンに買った髪留めを差し出した。

テサン:
これ、スジンに。

イネ:
スジンは付けられないの。
髪が全部抜けて、ビニールキャップをかぶってるから。

テサン:
そのうち…。
そのうち、髪がまた伸びたら、そのときに付けてやってくれ。

イネ:
…。

テサン:
ちょっとダサいかな。

イネは髪留めを受け取った。
「行ってくる」テサンが車を降りると、イネが窓を開けて呼び止めた。

イネ:
カメラを受け取ったら連絡してね。

テサン:
…あぁ。そうする。
早く戻れ。スジンが待ってる。
今日は… 長い時間一人で寂しかったろう。

+-+-+-+

テサンは学生から無事カメラを受け取る。

学生はカメラを渡す際、「動画再生が出来ないが、自分が壊したわけじゃないこと」に念を押す。
金を渡し、テサンはついにカメラを手に入れた!

+-+-+-+

ここでエンディングです。

脚本に嫉妬を覚えるほど、面白い1時間でした。

今回で一番大きかったことは、イネが8年前の真相を知ったことと、テサンがついにカメラを手に入れたことですが、
その他にとても心に残ったことは、スンウが途中でイネの尾行をやめ、スジンが一人で待つ病院へ戻ったこと。
イネがカメラを受け取りに行ったことを知り、それ以上追わずに引き返すのです。
彼女がスジンを救うための役割を遂行する代わりに、自分は寂しがっているスジンの元へ駆けつけ、話し相手になる。
彼がこの1話でいろいろなことを知り、確実に変わっていて、これからが本当に楽しみになりました。
私、彼のセリフが聞き取りにくく、あんまり出番が増えると苦労しそうですが^^;

前回、自宅に戻って現金を持ちだしたことが、これまでとは違う今回の頭脳戦になくてはならない武器になっています。
走って潜って怪我して… それの連続だった序盤より、一段と面白くなりましたね。

ではでは!今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 - Two Weeks ,

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